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人工太陽創造時代 ②

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ-。


大津 石山寺

             中天に寝待の月や書屋も更け   山口青邨

              面妖に階段照らす臥待月  
                                      宇


 
高島 メタセコイア並木



   

【再エネ革命渦論 165: アフターコロナ時代 166】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中  ㊻


図1 光渦照射による微小液滴パターニングとレーザー発振の模式図

光渦を照射するだけで微小液滴レーザーを直接印刷
-次世代プリンタブルフォトニクスへの応用に期待

9月14日、千葉大学らの研究グループは、蛍光色素が溶解した高粘度液体(
蛍光性インク)の液膜に光渦注1)を照射することで、直径100 μm(マイク
ロメートル)程度のサイズの揃った液滴を、マイクロメートルスケールの
高い位置精度で印刷することに成功(図1)。さらに、印刷した微小液滴
は液滴内部に効率よく蛍光を閉じ込めることができる小液滴がレーザー発
振に成功する。
【概要】
液滴を対象物に直接印刷する手法として、ノズルから微小液滴を吐出して
印刷を行うインクジェット技術が知られていつが、高濃度で高粘度なドナ
ー物質をノズルの目詰まりなく印刷することは難しく、新しい印刷技術が
求められていた。レーザー誘起前方転写法(Laser-induced forward-transfer:
LIFT)は、レーザーパルスを照射して印刷したい物質(ドナー物質)を転
写するという印刷技術。LIFTは、インクジェット印刷とは異なりノズルを
使用しないため、様々な物質を目詰まりの心配なく吐出することができる
次世代印刷技術として期待。従来のLIFTでは、通常のレーザー光(ガウス
ビーム)が利用されてきました。共同研究グループは、光渦と呼ばれる特
殊なレーザー光を用いると、従来のLIFTでは転写できない高粘度液体を安
定して印刷できることを見出した。


【成果】
水の約100倍の粘度をもつ蛍光性インクを使用しました。通常のレーザー光
(ガウスビーム)を照射して印刷を行うと、吐出される液滴のサイズは不
均一になり、転写位置も不規則となります(図2a)。さらに主滴に加えて
多数の副滴が同時に印刷されてしまいます。一方、光渦を用いると直径100
μm程度のサイズの揃った液滴を、10%以下の位置決め誤差で転写すること
ができました(図2b)。さらに、副滴が生成することなく、主滴のみが安
定的に印刷された。


図3 作製された「OMU」の(a)顕微鏡像と(b)蛍光像。(c)レーザー発振によ
   る蛍光スペクトル変化

光渦LIFT により、微小液滴のパターニングを行いました。33 個の微小液
滴を転写することにより、Osaka
Metropolitan University(大阪公立大学)の頭文字である「OMU」を描き
た(図3a)。パターニングした液滴はピンク色の蛍光を発す。興味深いこ
とに、全ての液滴において中心部よりも端部分で強い蛍光が観察さた(図
3b)。これは、液滴内部で発せられた蛍光が液滴/空気界面での反射を繰り
返しながら液滴内部に閉じ込められていることを示す。この光閉じ込め効
果により、液滴はレーザー発振(光が刺激を受けることによって光波を発
生させる現象)。レーザー発振が起こると、蛍光の色(スペクトル)が大
きく変化し、ある特定の波長の光が強く発せられるようになります(図3c)。
蛍光色素の種類を変えることにより、異なる色の微小液滴レーザーアレイ
(レーザー(光線)を特定のパターンや配置で発生させるための技術)の
作製が可能になり、高感度センサーやレーザーディスプレイなどへ応用す
ることができる。

■ 実験の詳細(印刷機構)
螺旋位相板注4)によって光渦に変換した波長532 nm のナノ秒パルスレー
ザーをガラス基板上のドナー液膜にビームスポットが50 μm になるように
レンズで集光しました。単一パルス照射によって、液膜から単一液滴を吐
出し、別のガラス基板上(レシーバー基板)に液滴として転写しました。
なぜ光渦を用いると微小液滴が安定的に印刷できるのでしょうか?そのメ
カニズムを解明するため、高速度カメラを使用して、106 画像/秒の速度で
液滴吐出過程を観察しました。通常のレーザー光(ガウスビーム)を照射
すると、液膜が破裂し多数の極小液滴が噴出しました(図4a)。一方、光
渦照射の場合、液膜が破れることなく変形し、回転するジェット(細長い
液柱)の先端から微小液滴が吐出した(図4b)。液滴は自転運動しながら
安定に飛翔し、レシーバー基板上に転写される。ジェットや液滴の自転運
動は、光渦の軌道角運動量注5)が大きく寄与。光渦特有の捩じり力が液膜
に働くことにより液膜が高速で捩じられ、自転するジェットや液滴が生成
されることで、安定した印刷が可能になることがわかった。


図4 (a)ガウスビーム、(b)光渦照射における液滴生成過程の高速度カメラ像

■用語解説
 光渦:同じ位相の場所を通り波の進行方向に対して垂直になるような面(
 波面)が螺旋状になっており、円環型の強度分布をもつ光を光渦と呼ぶ。
レーザー誘起前方転写法(LIFT):透明基板上に形成したドナー液膜に
 対してレーザーパルスを照射して、前方にドナー液滴を飛翔させて転写す
 る印刷技術。原理的に転写できる物質の粘度や濃度に制限がない。
 ガウスビーム:平行な波面とガウス分布状の強度分布を持つ光。
 螺旋位相板:通常のレーザー光(ガウスビーム)を光渦に変換する光学素
 子。
 軌道角運動量:光渦は、1 波長あたりの螺旋波面の巻き数ℓ(整数)に対
 してℓℏの軌道角運動量を有、ℓ に比例したトルク(捩じり力)を物質に与
 える。ℏ はプランク定数である。
【関係技術情報】
 著              者:Ken-ichi Yuyama, Haruki Kawaguchi, Rong Wei, and Takashige
                            Omatsu
 論文タイトル:Fabrication of an array of hemispherical micro-lasers using optical
                            vortex laserinduced forward transfer
 雑    誌    名 :ACS Photonics
 D   O   I       : https://doi.org/10.1021/acsphotonics.3c01005
✔ 今後の応用展開が楽しみ。



核融合エネルギーも俺に任せろ ③

➲ここまでのお復習い
新しいエネルギー開発の必要性
世界の人口は、産業革命以降、生活の利便性や医学の進歩に伴い急激に増
加し、現在は70億人ています。さらに、生活水準の向上や、より便利な社
会が実現され、1人当たりのエネルギー消費量も急速増大している。現在、
我々人類は、この地球が何億年もかけて蓄えてきた石油・石炭・天然ガス
などの貴重な資源を「One match in the long night」、すなわち1本のマッチ
が長い夜を一瞬だけ輝らす様な急激な勢いで消費しており、これから新し
い埋蔵資源が発見されたとしても、近い将来にこの貯蓄が無くなる?こと
が危惧され、また、大量消費に伴う地球温暖化問題にも直面している。こ
れらの問題を同時に解決するために、燃料が無尽蔵にあり、CO2の発生がな
い核融合エネルギーの実現が期待されているといわれる。

核融合となんだったけ?
下記に掲載した核融合にかかわる特許情報を参照す
るとして、核融合とは>重水素と三重水素の原子核をクーロン力を超えて
融合させることでヘリウムと中性子を作り出すもの。このとき、ごくわず
かな質量が失われている。この失われた質量はすべてエネルギーとして放
出されます。放出されるエネルギーは失われたエネルギーと光速の2乗の
積に比例することから、莫大なエネルギーとなる。 核融合反応によって
発生するエネルギーと反応を維持するために必要なエネルギーが釣り合う
ための条件をローソン条件といい、レーザー方式の核融合の場合、
 1. プラズマ温度が100万度以上
 2. プラズマ密度と閉じ込め時間の積が10の14乗/cc秒以上
になる。

2つの方式
太陽は生命の源であるエネルギーを水素の核融合反応により発生し、地上
に送り続けていく。この太陽活動を地上に実現しようというのが核融合。
核融合エネルギーには、
①慣性閉じ込め核融合エネルギー(IFE) と②磁場閉じ込め核融合エネルギ
ー(MFE) があり、慣性核融合は核融合燃料を瞬間的に高温高密度に圧縮し、
燃料自身の重さ(慣性力)で燃焼を維持させる方式で、レーザー核融合が
その代表。これに対し、磁場核融合は低密度の燃料を磁場容器に長時間閉
じ込めて核融合反応を起こさせる方式で、トカマク型がその代表。両者は
互いに異なる技術を基盤としており、我が国を始めとして世界各国で研究
が進められている。

特許696166号 核融合反応方法、機器、及びシステム ノンリニア イオン
ダイナミックス, エルエルシー【登録日】2021年10月15日
【特許請求の範囲】
【請求項1】 磁界を生成するように構成された超伝導磁石と、前記超伝導
磁石及びそれにより生成された前記磁界内に配置された外側電極及び内側
電極と、前記外側電極の内表面上に配置された1つ以上の板と、前記内側
電極上に配置された絶縁体であり、前記内側電極の非絶縁部が、軸方向に
前記1つ以上の板の真向かいに配置される、前記絶縁体と、前記外側電極
と前記内側電極との間に規定される空間に作動ガスを導入するように構成
された作動ガス入口ラインと、前記外側電極と前記内側電極との間にわた
る電圧を提供することにより、電界を生成し、前記作動ガスのイオン化を
誘導して、前記磁界及び結果として生じるローレンツ力によって前記空間
内に回転を与えるプラズマ電流を生成するように電気的に構成された電界
発生源であり、前記電界発生源は、前記外側電極と前記内側電極との間に
パルスを生成することにより弱イオン化プラズマを生成するように更に構
成され、前記弱イオン化プラズマ内におけるイオンとニュートラル粒子と
の衝突が前記空間内の回転を加速させる、前記電界発生源と、を備える、
制御核融合機器。
【請求項2】 前記電界発生源が、前記磁界と実質的に垂直な方向に前記外
側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間を通って延びる電界を
生成するように構成されることによって、前記弱イオン化プラズマ内のイ
オンが、少なくとも最初は前記電界に沿って移動し、前記磁界によるロー
レンaツ力を受けるように誘導される、請求項1に記載の制御核融合機器。
【請求項3】 >前記超伝導磁石が、少なくとも1つの電磁石及び/又は少な
くとも1つの永久磁石を備える、請求項2に記載の制御核融合機器。
【請求項4】 前記超伝導磁石が、およそ100,000回転毎秒より大き
な前記弱イオン化プラズマの平均回転速度を誘導するのに十分な強度の磁
界を前記外側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間内に生成す
るように構成される、請求項2又は3に記載の制御核融合機器
【請求項5】 前記外側電極と前記内側電極との間に規定される前記空間の
対称軸が前記磁界と実質的に平行となるように、前記外側電極と前記内側
電極とが互いに同軸である、請求項2〜4のいずれか一項に記載の制御核
融合機器。
【請求項6】 >前記電界発生源が、前記外側電極と前記内側電極との間に規
定される前記空間内で実質的に半径方向に延びる電界を生成するように前
記外側電極と前記内側電極との間の電圧を供給するように構成される電源
を含む、請求項2〜5のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項7】前記外側電極と前記内側電極との間の前記空間内に回転定在波
が発生するように、電磁波を前記空間に印加するように構成された高周波
あ供給装置を更に備え、前記回転定在波が、定在電磁波を支持するように
構成された前記空間中の前記弱イオン化プラズマを回転させるように構成
される、請求項2〜6のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項8】 前記高周波供給装置に印加される前記電磁波に変調を適用し
て、前記弱イオン化プラズマの回転を促進するように構成された変調器を
更に備える、請求項7に記載の制御核融合機器。
【請求項9】 前記変調器が、調節可能な変調周波数を適用するように構成
される、請求項8に記載の制御核融合機器。【請求項10】 前記外側電極と
前記内側電極との間の前記空間に対して動作可能に結合された光子源を更
に備え、前記光子源が、少なくとも前記作動ガスへの照射によって、前記
作動ガスを前記空間内で回転させるのに十分な光子圧力を生成するように
構成される、請求項1に記載の制御核融合機器。
【請求項11】 前記光子源がレーザを備える、請求項10に記載の制御核
融合機器。
【請求項12】 前記作動ガスが、水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、
リチウム−6、リチウム−7、ホウ素−11及び窒素−15から成る群から選
択され、前記板が、水素−1、重水素、三重水素、ヘリウム−3、リチウム
−6、リチウム−7、ホウ素−11及び窒素−15から成る群から選択される
核融合反応物を含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の制御核融合
機器。
【請求項13】 ニュートラルのイオンに対する比率が1〜およそ10000
超である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項14】前記作動ガスが第1の作業物質であり、前記1つ以上の板が
第2の作業物質を含み、前記制御核融合機器が、核融合が生じる領域にお
いて前記第1の作業物質及び前記第2の作業物質の粒子密度が合わせて1
023個毎立方センチメートル超に達するように、回転速度を誘導するよう
に構成される、請求項1〜13のいずれか一項に記載の制御核融合機器。 【
【請求項15】 前記外側電極と前記内側電極との間に規定された前記空間に
対して動作可能に結合されたエネルギー利用アセンブリを更に備え、前記
エネルギー利用アセンブリが、核融合により生成されたエネルギーを前記
空間に隣接する領域から取り出すように構成される、請求項1〜14のい
ずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項16】 前記1つ以上の板が、前記外側電極の前記内表面の周りに配
置された連続リングを規定する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の制
御核融合機器。
【請求項17】 前記内側電極の前記非絶縁部が、前記絶縁体によって覆われ
た前記内側電極の残部よりも大きくなっている、請求項1〜6のいずれか
一項に記載の制御核融合機器。 【請求項18】 前記内側電極の前記非絶縁
部が、前記内側電極の端部に配置される、請求項17に記載の制御核融合
機器。
【請求項19】 複数の水冷ラインを更に備える、請求項1〜18のいずれか
一項に記載の制御核融合機器。 【請求項20】 制御装置を更に備え、前記
制御装置が、コンピュータ及び/又は1つ以上の手動スイッチである、請
求項1〜19のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
【請求項21】 制御装置を更に備え、前記制御装置が、連続波放電回路及び
パルス放電回路を含む、請求項1〜20のいずれか一項に記載の制御核融
合機器。
【請求項22】 圧力チャンバを更に備え、前記圧力チャンバ内に前記外側電
極及び前記内側電極が設けられる、請求項1〜21のいずれか一項に記載の
制御核融合機器。
【請求項23】 クーロン障壁を低下させるために前記外側電極と前記内側電
極との間に規定された前記空間内に電子が放出されることによって、前記
空間内の前記プラズマにおいて2つの近づく粒子間の衝突が促進される、
請求項1〜22のいずれか一項に記載の制御核融合機器。
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まずは、
レーザー核融合発電では、まず炉(熱エネルギーを取り出すための容器)
の中心に直径5mmの球状燃料ペレットを打ち込み、これを数百万ジュール
の高出力レーザーパルスで一様に照射する。レーザー照射を受けた燃料の
外側は高温となり数千万気圧もの圧力が発生するので、球状の燃料はその
中心に向かって圧縮されます(爆縮)。こうして瞬間的に核融合反応を起こ
させる。これを1秒間に数回の割合で繰り返すことにより、連続的にエネ
ルギーが発生し、これを外部へ導くことにより数百万キロワットの発電を
行うことができる。レーザー核融合発電におけるエネルギー収支は次のよ
うになる。爆縮し、核融合反応が起こった燃料ペレットからは投入された
レーザーエネルギーのQ倍のエネルギーが放出。Q=1は投入したレーザ
ーエネルギーと発生した核融合エネルギーが均衡する点に相当するので、
ブレークイーブンと呼ばれます。発生した熱エネルギーは効率ηg の発電
システムで電力に変換され、外部に送電されるが、その一部(ε)は発電
所の所内電力やレーザー光を発生させる循環電力として用いられる。この
電力からレーザー光を発生させる効率をηdとすると、外部からエネルギ
ーを供給することなく自立運転するには、これら4つの要素の積Q×ηg×
ηd×εが1を上回る必要があり、現実的な効率を考慮すると、Q=100を
達成することが一つの目標とされている。


【特徴】
・炉に関する設計の自由度が高く、現存する材料で概ね設計可能である
・発電に必要な主要機能は独立性が高く短期間に開発できる可能性が有る
・同じ規模の磁場核融合発電所で比べた場合、取り扱う放射性物質である
 トリチウムの量が少ない(約1/10)
・プラントの出力、運転モードの自由度が高く、消費電力ピークに柔軟に
 対応できる。
と、良いこと尽くめであるが。

【爆縮と点火】
高温高密度に圧縮された核融合燃料はプラズマ状態になります。プラズマ
は電気を帯びた粒子なので、その静電気力にうち勝ち、強制的に核を衝突
させて融合反応を起こさせる必要があります。このためには1億度以上の
温度、200g/ccの密度(液体水素の1000倍の密度)、10億分の1秒以上の保
持時間の3つの条件が満足される必要。これらの条件は図に示すような燃料
の爆縮で実現。レーザー照射を受け、球対称に圧縮された燃料の中心でま
ず燃焼条件が満たされ、自己点火する。核融合の火は周りの燃料に燃え広
がり、爆発的にエネルギーを放出。この方式を「中心点火」と呼び、この
ほか、燃料が最大に圧縮された瞬間、別のレーザーで外部から燃料を追加
熱する「高速点火」と呼ばれる新方式の研究も開始されている。

【展望】
阪大学のレーザー核融合研究センターの出力10キロジュールのガラスレー
ザー「激光XII号」によると、燃料温度1億度、燃料密度120g/cc (液体水素
の600倍の密度)の圧縮が世界に先駆け実現されました。これを受け、米国
やフランスでは出力1.8メガジュール*のレーザー装置を建設して、核融合
点火・燃焼を実証しようとする計画(米:国立点火施設(NIF) 、仏:レー
ザーメガジュール(LMJ) )が進められています。将来のレーザー核融合動
力炉には現在開発中の高効率・高繰り返しのダイオード励起固体レーザー
が用いられるとのこと。また、高輝度X線応用は新しい分野として急速な
広がりを見せ、高出力レーザーを用いることにより発生したレーザープラ
ズマX線やX線レーザーはリソグラフ光源や物質解析などへの応用が期待
されている。
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図1.実験的なセットアップ。 (左) ヘリオトロン プラズマの断面図を
備えた LHD 真空容器を示す 3D CAD モデル。 (右) LHD セパラトリクス
付近の PIPS 検出器、最後の閉じた流れ表面 (黄褐色) の一部、およびプ
ラスマの下に位置する PIPS 検出器に到達する計算されたアルファ粒子の
軌道 (緑色の曲線) を示す CAD 画像。

先進的核融合燃料を使った核融合反応の実証
中性子を生成しない軽水素ホウ素反応を利用したクリーンな核融合炉へ
の第一歩---- TAE Technologies社との共同研究の成果
【概要】
核融合科学研究所は2021年9月1日に、米国の最も歴史のある核融合スター
トアップ企業のTAE Technologies社と先進的核融合燃料である軽水素とホ
ウ素11を用いた共同研究を開始する契約書を締結。 核融合炉では、磁
場で高温のプラズマを閉じ込め、そのプラズマ中で核融合反応を起こして
エネルギーを発生させるが、これまで、そのようなプラズマ中での、軽水
素とホウ素11を使った核融合反応は実証されていない。磁場で閉じ込め
た高温プラズマに関する様々な研究を行っている本研究所の大型ヘリカル
装置(LHD)で、その反応を実証できれば、先進的核融合燃料を使った核
融合炉の実現に向けて、研究を大きく前進させることができる。
【成果】
小川国大准教授、大舘暁教授らの研究グループは、TAE Technologies社と
共同し、LHDにおいて、軽水素とホウ素11の核融合反応の実証に取り
組みました。 軽水素とホウ素11の核融合反応は、核融合燃料の第1候
補である水素同位体燃料と比べて極めて高い温度のプラズマが必要で実現
が難しい反応と考えられているが、高エネルギーのビームを使うことで実
現の可能性があります。その核融合反応を効率よく起こすためには、軽水
素を時速1500万kmの速さでホウ素11に衝突させる必要がある。L
HDでは、プラズマを加熱するために、時速1500万kmを超える速さ
の軽水素をプラズマに入射する装置を独自に開発してきました。また、高
温プラズマを制御するために、プラズマにホウ素の粉末を振りかける装置
を設置しています。これらを組み合わせることで、磁場閉じ込めプラズマ
中で軽水素とホウ素11との核融合反応が実現できる可能性がありました。
軽水素とホウ素11の核融合反応では、高エネルギーのヘリウムが生成さ
れます。反応の実証には、そのヘリウムを検出しなければなりません。そ
のために小川准教授らは、これまでのLHDにおける高度な実験研究によ
り信頼性が確認されている、数値シミュレーションに基づいて、発生する
ヘリウムの数と磁場の影響によって複雑な動きをするヘリウムの軌道を予
測した。そして、高エネルギーのヘリウムが飛来する予定のプラズマの表
面近くにTAE Technologies社が製作した検出器を設置しました(図)。ホ
ウ素をふりかけたプラズマに高エネルギー軽水素ビームを入射する実験を
行った結果、予測どおり、軽水素とホウ素11の核融合反応によって生成
した高エネルギーヘリウムの検出に成功しました。これにより、世界で初
めて、磁場で閉じ込めたプラズマ中での、軽水素とホウ素11の核融合反
応を実証したのです。 【展望】 軽水素とホウ素11から高エネルギーヘ
リウムを生成する核融合反応は、放射線である中性子を生成しないため、
よりクリーンな核融合炉を将来的に実現できる可能性がある。本研究成果
は、よりクリーンな磁場閉じ込め核融合炉実現のための大きな第一歩であ
る。この点が高く評価され、本研究成果をまとめた論文が、2023年2月21
日に世界最高峰の科学雑誌であるNature Communicationsへ掲載された。今
後、軽水素とホウ素11との核融合反応をより深く理解するための計測器
開発、生成された高エネルギーのヘリウムの閉じ込め特性の研究などを推
進していく。
【関係技術情報】
・雑誌名:Nature Communications
・題 名:First measurements of p11B fusion in a magnetically confined plasma(
  磁場によって閉じ込められたプラズマ中でのp11B核融合の初めての計測) ・
 via レーザー核融合技術振興会

【脚注】
一般家庭のエネルギー消費
https://www.kankyo.metro.tokyo.lg.jp/climate/home/energy.html
石油の体積当たりのエネルギー量
https://www.hakko.co.jp/qa/qakit/html/h01110.htm
石油の重さと体積の関係
http://ryowa-oil.co.jp/data1.htmlWh
ジュールの変換法
https://kenkou888.com/category21/wh_j_henkan.html
------------------------------------------------------------------
LEDレジェンド中村が今、核融合を追う
核融合は原理的に、その主成分が宇宙で最も豊富な元素である水素であり、
比較的無限のエネルギー供給の前兆となります。 このプロセスでは、核
分裂とは異なり、有害な廃棄物は生成しない。核分裂に比べて放射能レベ
ルは低い。 が危険がないわけではない。 しかし、1950 年代以来、エネ
ルギー専門家は核融合がついに準備が整う日を心待ちにしてきた。 著名
な物理学者スティーブン・ホーキング博士はかつて、「核融合が実用的な
電源になってほしいと願っていた。核融合は、汚染や地球温暖化を起こす
ことなく、無尽蔵のエネルギーを供給してくれる」と述べた。 問題はそれ
を機能させること。核融合 の登場は 60年以上もずっと先のこと。水素の
抽出など多くのハードルが残っているが、すべての障害の中で最も根本的
なのは、核融合反応から生じるエネルギーの量が必要なレベルには程遠い
ということ。開発中のほぼすべてのプロジェクトでは、反応に費やされる
エネルギーの方が、出現するエネルギーよりも大きくなる。技術的に言う
と、ゲイン(利得)が11 よりも小さいことにある。

カリフォルニア州リバモアにある米国政府の国立点火施設(NIF)は昨年12
月、レーザーを使用して1.5のゲインを生成したが、反応は一瞬で終わった。
それは信頼性の高い電源に必要な持続可能な種類のものではない。 NIFレ
ーザーは連続的にではなく単発で発射されている。 同様に注目に値するの
は、NIF方式の核融合が電源として経済的実行可能であるが、その利得は
100か200のオーダー以上である必要、つまり1.5からの大幅な飛躍である
と専門家が考えていることに。 (今週、NIFが昨年12月のワンプラスの成
功を再現したというニュースが流れたが、詳細はまだ明らかになっていな
い)。

核融合クラブは成長中
世界のエネルギーの未来にとって良いニュースは、これまで以上に多くの
組織が核融合に取り組んでいること。 少し前までは、少数の政府機関だ
けが2 つのアプローチのいずれかを追求。 NIFの技術は、水素同位体の
小さなペレットを192個のレーザー照射し、標的まで1マイルの距離を跳ね
飛ばす。 あるいは、トカマク法では、超伝導磁石に含まれる巨大プラズ
マに水素同位体が含まれる。それは、フランスのカダラッシュに建設中の
複数政府による巨大ITER施設と密接な関係がある。過去10 ~ 20年にわた
り、多くのベンチャー支援企業がリングに挑戦し、多くの場合、「従来の
レーザー」やトカマク方式だけでなく、斬新な設計を導入したが、これら
の方式を利用する傾向にある。 たとえば、2011年にアマゾン会長のジェ
フ・ベゾスは、磁化ターゲット融合と呼ばれるものを開発しているバンク
ーバー地域の会社ジェネラル・フュージョンに投資。ナカムラの Blue Laser
Fusion は、核融合企業の名簿に加わった最も新しい企業で、日経アジアは3
週間前、同科学者が昨年11月にBlue Laser Fusionを共同設立したと報じた。
また、ブルーレーザーが「ベンチャーキャピタル会社ジャフコグループと、
トヨタ自動車やその他の投資家が支援し、スパークスグループが管理する
未来創造基金から」2,500万ドルを調達したとも報じている。ナカムラ氏
の共同創設者は、東京に本拠を置くドローンメーカーACSLの太田宏明氏で
ある。ブルーレーザーの特徴の1つは、重水素と三重水素として知られる
水素の2つの同位体を融合させるのではなく、ホウ素で動作する。ブルー
レーザーも水素を使用するかはわからない。 核融合クラブ(サークル?)
では重水素 - 三重水素の方が一般的。他の団体は標準的な水素 (中性子
を持たない) とホウ素を使用する、「無中性子核融合」としても知られる
水素 - ホウ素核融合を開発している。 水素-ホウ素は、タービンを駆動し
発電するための熱生成するのではなく、直接出力として電気を生み出す傾
向にある。

レーザーを連続発射する
明らかなことは、光科学に深く没頭し、ナカムラ氏カリフォルニア大学サ
ンタバーバラ校で電子・光材料教授が、核融合を引き起こすためにレーザ
ー応用するということ。「私たちの目標は、半導体レーザーに関する知識
を活用し、繰り返しテストできる安全性の高い方法で核融合発電を商業化
すること」と同氏は日経新聞に語っている。「世界のエネルギー問題の解
決に貢献したい。」 ブルーレーザーは、核融合反応を持続させる連続高
速発射レーザーを採用する。 同社は、LEDから移行して以来、中村氏が共
同設立した2社目のレーザー企業。 彼は、2013年に自身の LED会社 Soraa
からスピンアウトし、カリフォルニア州ゴレタに拠点を置くSLD Laserを共
同設立。 SLDは、2021年1月に京セラが買収したため、現在は京セラSLD
レーザーと呼ばれる。商業的関心をレーザーに集中させる前に、ナカムラ
氏は 2008年に紫色 LED専門会社Soraaを設立し、別のフォトニック技術で
ある LEDの事業に注力。LED の分野では、彼は 1990 年代初頭の青色LED
に関する研究で、他の2人の科学者、赤崎勇氏と天野浩氏と2014年のノー
ベル物理学賞を共同受賞。青色 LED は一般的な照明光源としてのLEDの普
及に貢献。現在、レーザー愛好家として、69歳の彼は照明そのものではな
くエネルギーに商業的な取り組みを集中。日経新聞は、Blue Laser Fusionは、
原子力発電所用タービンのサプライヤーである東芝エネルギーシステムズ
&ソリューションズおよび東京に本拠を置く精密金属加工会社YUKIホール
ディングスと協力する予定である。「目標は、原子分裂の原子炉約1基に
相当する1ギガワットの電力を生成できる原子炉を、2030年までに日本か
米国で稼働させることだ」と記事は述べている。誰もその目標に近づくこ
となく60年以上が経過したことを考慮すると、これは野心的なスケジュー
ル。中村氏がそこに到達できれば、それは光の固体操作を一貫して伴う、
すでに予告されている光学キャリアにおける最高の成果となる。
via  LEDs Magazine Aug. 9, 2023


風蕭々と碧い時












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