楽しみのテレビドラマができた。これは難解なサスペンス性も、ストレス性を強い
ることも、稚拙でもなく、かといってテーマの積極性――『アイ’ ム ホーム』の石
坂啓(日本漫画と原作としたテレビドラマで『ビッグコミックオリジナル』(小学館
)において、1997年7月から1998年12月まで連載され、平成11年度第3回文化庁メデ
ィア芸術祭大賞受賞し、1999年2月に上・下巻のコミック化され、2004年にNHK総合
テレビジョンにて『アイ’ム ホーム 遥かなる家路』のタイトルでテレビドラマ化さ
れ、また2015年4月期からテレビ朝日系で、『アイムホーム』のタイトルで、テレビ
ドラマ化で、作者がギリシャのホテルに滞在した際、パンフレットに「アイムホーム
と言って戻ってもらえるような部屋をめざして……」という内容が書かれていたこと
がきっかけで、最初にタイトルを決めて制作され 日本語の帰宅時の挨拶の「ただい
ま」を、単にその意味に留まらず、帰宅したときの家族との安住感、開放感は最初か
ら備わっているものではなく、家族が努力して初めて得られるもの――として創作さ
れる。そして、その「コミック版」のストーリー概要はというと、
事故で過去5年間の記憶を失った家路(木村拓也)。自分のポケットにあった10数個
のカギをもとに本当の自分と、帰るべき場所をさがす長い旅が始まった……。第1話
/思い出した家、第2話/アイジンの家、第3話/元祖(もと)・家、第4話/男友
達(しんゆう)の家、第5話/人事課・家路課長、第6話/義妹(いもうと)の家、
第7話/仮面(じぶん)の家、第8話/スバルの心情
●登場人物:家路久(半年前、事故で記憶をとぎれとぎれに失った40代の男)、ヨ
シコ(家路の現在の妻)、ヨシオ(家路の現在の家庭の子供。家路になついている)、
スバル(家路の元娘。反抗的な中学生)、カオル(家路の前妻)
●あらすじ:家路は会社から自分の家に帰ってきたつもりだったが、そこは、別れた
家族の家だった。その家で暮らしている娘のスバルに過去のことを聞くが、はっきり
思い出せない。さらに彼女からお父さんのことがキライだったと言われてしまう……
。(第1話)、家路はまたもや他人の家に上がり込んでいた。そこは、杏子という女
性の家だった。杏子は、かつての愛人だった。彼女が原因で、地方に左遷されたこと
を知った家路は……。
●本巻の特徴:離婚した元家族や、友人の家を訪ね歩き、過去の自分のことを聞く家
路。果たして記憶は戻るのか!? そして、少しも自分の家族と思えないヨシコたち
とうまくやっていけるのか!?
●あらすじ:第9話/赴任先の家、第10話/山の家、第11話/高木の家、第12
話/好物、第13話/スバルの部屋、第14話/桔梗、第15話/離婚届、第16話
/居場所、第17話/帰る場所
●あらすじ/家路は、事故の前の生活をたどれば何か思い出すと考え、赴任先にやっ
来た。しかし、赴任先の街には、彼のことを知る人は誰もいなかった。何も思い出せ
ず、深酒してしまった彼は、無意識のうちに事故を起こしたアパートに向かった。か
つて家路が暮らしていた部屋の、現在の住人は、昔の家路を知っていたのだが……。
●(第9話):家路は、家族3人水入らずで、別荘で過ごすことになったが、妻・ヨ
シコとの関係に悩んでいた。そんなとき、ヨシオが目の上を三針縫うケガをする。ヨ
シオの手術を待つ間、家路はヨシコから、ヨシオの出生の秘密を打ち明けられる。(
第10話) ――として展開。
これは目が離せない、ご機嫌な「ただいま」「お帰りなさい」の常套句のドラマだ。
【新弥生時代 植物工場論 11】
「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を
施設内で人工的に制御し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場所に
とらわれず、安全な野菜を効率的に生産できることから多方面で注目を集めてい
ます。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設備投資・生産
コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や図解を用い
て様々な角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技術革新などに
よってもたらされるであろう将来像についても、アグリビジネス的な視点や現状
もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわかる一書となっています。
古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」
【目次】
巻 頭 町にとけ込む植物工場
第1章 植物工場とはどういうものか
第2章 人工光型植物工場とは
第3章 太陽光型植物工場とは
第4章 植物生理の基本を知る
第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
第6章 CO2/空調管理
第7章 培養液の管理
第8章 植物工場の魅力と可能性
第9章 植物工場ビジネスの先進例
第10章 都市型農業への新展開
第11章 植物工場は定着するか
植物生理の基本を知る気孔の生理機能
小さな「気孔」の大きな役割
学校の理科の授業で、ツユクサなどの葉裏にある小さな気孔を顕微鏡で観察し
た人も多いだろう。気孔は植物が生きていくうえで大変重要な役割を果たしてい
る。
気孔の役割のひとつは、光合成のための二酸化炭素の取り入れ口であること。
光合成とは、光の存在下で、空気中の酸素が葉の気孔を通じて葉肉細胞に移動し、
そこで炭水化物(糖)に変換される現象である。そのため、二酸化炭素をできる
だけ多く植物に吸収させることは、栽培技術としてきわめて重要である。二酸
化炭素は、濃度の高い葉外の空気から、光合成に使われ爪濃度が低くなっている
葉内に流れこむ。開いた気孔から、光合成に必要な爪を取り込み、水蒸気も取り
込み、光合成の副産物・酸素を放出する。これらをあわせてガス交換と呼び、気
孔はガス交換の95%以上を担う。もうひとつ、気孔の大切な役割は、植物体の水
を水蒸気として体外に発散させる「蒸散」の出口になることである。
【水・養分の吸収】植物の蒸散は、水と養分(可給態栄養素)の吸い上げポンプ
の働きをしている。根の根毛から吸収された水や養分は、圧力の差によって移動
する。蒸散量が低下すると、水を上に引き上げる力(圧力の差)が弱くなるので、
水分とともに養分の吸収も低下する。
植物体のなかの水(水溶性物質を含む)は、導管、細胞間の隙間、細胞内溶液
などでつながっていて、圧力が最も高い根の先端から、最も低い気孔に向かって
流れる。つまり、圧力の差に応じて流れるのである。この場合の圧力(正しくは、
水ポテンシャルと呼ぶ)は、浸透圧、細胞の膨圧、毛管圧、根圧などの合成圧力
を意味する。
【葉温を下げる】また、蒸散には、強い日差しで上昇した葉の温度を下げる働き
もある。葉内の液体水が水蒸気に変わるとき、気化熱を奪うので、そのときに葉
温が下がる。適温を超えた高温時には、呼吸による消耗と光合成の低下が起きる
ので、蒸散による冷却作用がきわめて重要になる。
気孔が開く環境管理を
光合成産物の増大のために、爪の吸収を高めること。水や肥料養分の吸収をよ
くするために、蒸散を盛んにすること。このどちらも、気孔が閉じずにしっかり
開いていることが大切になる。半閉鎖型や閉鎖型の植物工場では、気流や湿度調
整など「気孔が開く環境管理」がいちばんの目標になる。
「有効放射(光)範囲」とは
放射(光)の波長範囲と分類
光は放射の一部であり、電磁波の一種で波動性(波長)をもち、同時に光子(
光量子ともいう)という粒子でもある。
太陽はさまざまな波長城の放射を地球上に送り届けているが、このうち植物の成
長に有効な波長城は、次のふたつの範囲に区分されている(次頁)。
①「植物の生理的有効放射」(波長範囲315~800m)
②「光合成有効放射」(波長範囲400~700m)
このふたつのうち、①の[植物の生理的有効放射」には、「光合成有効放射」
以外の波長城である「近案外放射」(波長315~400ナノメートルと「遠赤
放射」(波長700~800ノアノメートル)が含まれている。
「近紫外」と「遠赤」の放射が「生理的有効放射」の範囲に入っているのは「光
形態形成」(種乙‐’発芽・子葉の展開・節間伸長・葉緑素合成・花芽分化など
)と「二次代謝物質生産」(サポニン・ポリフェノールなど機能性物質の生産
)に関与しているからだ。
人間の比視感度と植物の分光感度の違い
次頁上の図の「人間の可視域」は、人間の目の網膜が感じる放射(波長範囲360
~780ナノメートル)で、可視光または可視放射と呼ぶ。人間の目の可視光と
植物の有効放射の波長城はほぽ重なっている。
ただし、植物と人間では、光の感じ方が違うことに注意したい。次頁下の図は、
人問の目(視器官)の分光(波長)別の比視感度(明るさの相対的な感度)をあ
らわしたもの。人間の目は、青の波長(400~500m)や赤の波長(600
~700m)よりも、緑の波長(500~550ナノメートル)への感度が高く
より明るく感じる。
光合成に大切な赤や青の波長城の放射を多く含み、緑の波長城をあまり含まな
い場合は、照度(人間が目に感じる明るさ)は低くなり暗く感じる。このため照
度(ルクス)は、植物の光合成に関する光の強さをあらわすには適切ではない。
人工光栽培は、光の量と質が大切
光は、光合成反応をすすめる子不ルギー源であるとともに、節間伸長や葉緑素
合成など形態形成への信号源でもある。光をコントロールし、生育を早め収量を
高めながら商品としての形態・品質も向上させること。とくに、太陽光に依存し
ない人工光型植物11場の光環境制御では、光の量と質を考えた光源選びや、照射
時間の調整などが大切になる。
光の波長(色)と光合成
青色光と赤色光の有効性
植物は、葉肉組織にあるクロロフィルと呼ばれる色素(葉緑素)によって光の
エネルギーを受け取り、光合成に利用している。クロロフィル(一般の植物では
aとbの2種類がある)は、どの波長(色)の光を吸収しているのか、波長別の
単位厚さ当たりの吸収率をみたのが次頁上の図である。
この図をみると、クロロフィル(aとb)には、大きくふたつの波長(色)の
吸収帯があり、青い光(400~500ナノメートル)と赤い光(600~70
0ナノメートル)をおもに吸収している。
660ナノメートル付近の赤色光と450ナノメートル付近の青色光は光合成
に有効であり、また形態形成や光屈性(光の方向に茎葉が伸びる)にも有効だと
いわれている。
緑色光はむだなのか
上の図で示したクロロフィルの波長(光)別吸収特性は、葉からクロロフィル
だけを取り出し、有機溶媒に溶かして測定したもの。この測定法では、緑色の光
の吸収は非常に少ない。植物は緑色の光をむだにしているのだろうか。
下の図は、クロロフィルだけでなく、ひとつの葉全体の光合成作用スペクトル
(色分布)をみたもの。線が多いのはいろいろな植物種での測定例を載せている
からだ。この図をみると、どんな植物でも、400~700ナノメートルの範囲
で光合成速度に大きな変化はない。
波長500ナノメートル付近の緑色光で光合成速度の相対値がやや低いのは、
葉が緑色光を透過および反射するからである。緑色光の約30%は上層葉を透過
し、約20%が反射し、約50%が上層葉で吸収される。上層を透過した30%
の緑色光は中層の葉に到達する。赤色光や青色光は約80%が上層の菓で吸収され、
約10%が反射し、中層の葉には10%程度しか届かない。すると、数枚の葉が
重なりあっている植物群落全体の正味光合成速度は緑色光を多く含む光源のほう
が高くなりうる。
幅広い波長城が生育に役立つ
光合成に適した波長(色)は赤と青だとの見方から、それを効率的に供給でき
る光源として、青色や赤色のLED(可視発光ダイオード)が注目されている。
しかし植物群落では、中層まで透過する緑色光が光合成に有利に働いている。ほ
かにも、最近、緑の効用が注目されている。また、青・緑・赤の波長域だけでな
く、「近紫外」(315~400ナノメートル)や「遠赤」(700~800ナ
ノメートル)も含む光源を用意することも、形のよい生産物などにするために大
切であることが多い。
この項つづく
● ナノ粒子の合成に放射光を用いることで原子13個を安定化
産業技術総合研究所らの研究グループが、放射光と化学反応の同時利用により、従来
よりもさらに小さなナノ粒子を合成する技術を開発した。これにより、放射光で原子
を選択し局所的に還元し、化学反応条件を調整することで、これまでよりも小さな、十
数個の原子から成る後期遷移金属ナノ粒子を成長させる技術を開発。今回成長させた
銅(Cu)など後期遷移金属ナノ粒子で、ナノ触媒、ナノインク、ナノ配線への応用が
期待されるという。
【概説】これはエネルギー選択性がよく細く絞れる放射光エックス線ビームを照射し、
特定の金属の周辺に光電子、2次電子を供給して、金属の還元後に配位子で安定化す
る技術。
代表的な後期遷移元素である銅(Cu)原子13個からなるナノクラスターを基板上に安
定に得ることができる。エックス線には、大きな原子番号の原子に対して選択性高く
その軌道電子をはじき飛ばして還元する作用がり、この作用を利用し、金属錯体の中
心原子を選択的に、強度調節した還元を施し、ナノクラスターを安定にえる。真空グ
ローブボックス中で調整した溶液を、カプトン基板をエックス線を通す窓としたテフ
ロンセルに封入し、エックス線ビームを照射すると、カプトン基板上にナノクラスタ
ーが生成。得られたナノクラスターをセル中で洗浄し、「その場」XAFS測定を行う。
特定の平衡条件の実現には、適切な化学反応の還元条件と配位子の選択が鍵となり、
還元後に得られるナノクラスターの成長が出発物質の平衡条件で制御される。ナノク
ラスターの構造は、分子軌道法(DFT)によりリガンド分子と金属コア全ての原子位
置を最適化し、それに対応したエックス線吸収スペクトル微細構造(XANES)を、精度
の高い計算手法(FPMS)で計算し比較してコア原子の対称性を決定。またリガンド配
位子を含めたクラスター構造をスペクトルの高エネルギー部分(EXAFS)で解析する
(図1)。
Nanoclusters Synthesized by Synchrotron Radiolysis in Concert with Wet Chemistry, Scientific
ReportsVolume:4,Article number:7199DOI:doi:10.1038/srep07199
これで量子サイズ科学工学の応用・産業化が加速されることになる。これは楽しみだ。