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自在行動概論 ①

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彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる"招き猫"と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え。(戦国時
代の軍団編成の一種で、あらゆる武具を朱塗りにした部隊編のこと)の兜
(かぶと)を合体させて生まれたキャラクタ。


  Part 1 Chapter 9

  そう、人々はそこでは影を連れて生きていた。
  この街では人は影を持たない。影を棄てたとき初めて、それが確か
 な重さをそなえていたことが実感される。普段の生活で地球の重力を
 実感することがまずないのと同じように。
  もちろん影を棄てるのは簡単なことではない。どのようなものであ
 れ、長い年月を共に過ごし、慣れ親しんできた相手と引き離されるの
 は、やはり心乱されることだ。この街にやって来たとき、私は入り口
 で門衛に自分の影を預けなくてはならなかった。
  「影を身につけたまま壁の内側に足を踏み入れることはできない」、
  門衛は私にそう告げた。「こちらに預けるか、街に入るのを諦める
 かどちらかだ」
  私は影を棄てた。
  門衛は私を暖かい日向の中に立たせ、私の影をぐいと掴んだ。影は
 怯えてぶるぶると震えた。
  門衛は影に向かってぶっきらぼうな声で言った。「大丈夫だ。怖が
 ることはない。何も生爪を剥がそうってわけじゃないんだ。痛みはな
 いし、すぐに終わる」
  影はそれでも少しばかり抵抗を見せたが、剛健な門衛にかなうわけ
 はなく、すぐに私の肉体から引き剥がされて力を失い、そばにあった
 木のベンチにずるずるとしゃがみ込んだ。身体から離された影は、思
 ったよりずっとみすぼらしく見えた。脱ぎ捨てられた古い長靴みたい
 に。門衛は言った。「いったん別々になっちまうと、ずいぶん奇妙な
 見かけのものだろう。これまで後生大事にこんなものを身にくっつけ
 ていたなんてな」
  私は曖昧な返事をした。自分の影をなくしてしまったという実感が
 、まだうまく持てない。
 「影なんて実際、なんの役にも立ちゃしないんだ」と門衛は続けた。
 「これまで影が何かすごく
  あんたのためになったって覚えはあるかい?」
  覚えはなかった。少なくとも即座には思い出せない。
  「そうだろう」と門衛は得意そうに言った。「そのくせ口だけは一
 人前に達者ときている。あれはいやだとか、これならまあよかろうだ
 とか、自分一人じゃ何もできんくせに、小理屈だけはたんまり持ち合
 わせている」
  「私の影はこれからどうなるんですか?」
  「こちらでお客として大事に預かっておくよ。部屋も寝床も用意が
 あるし、豪華なディナーとはいかないが、食事も三食ちゃんと出して
 やる。まあ、たまに仕事も手伝ってもらうが」
  「仕事?」と私は言った。「どんな仕事ですか?」
  「ちょっとした雑用さ。主に壁の外での仕事だが、大した作業じゃ
 ない。林檎をもいだり、獣の世話をしたり・・・・季節によって少し
 ずつ違う」
  「もし私が影を返してもらいたいと思ったときは?」
  門衛は目を細め、じっと私の顔を見た。まるでカーテンの隙間から
 無人の室内を検分するみたいに。そして言った。
 「ずいぶん長いことこの仕事をしているが、自分の影を返してもらい
 たいと申し出る人間にはまだお目にかかったことがない」
  私の影はおとなしくそこにしゃがみ込んで、私の方を見ていた。何
 かを訴えかけるように。
  「心配するこたないさ」と門衛は私を力づけるように言った。「あ
 んたも影のない生活にだんだん馴染んでいく。自分が影を持っていた
 ことなんてそのうち忘れちまうさ。そういえばそんなこともあったっ
 けなあ、みたいにな」
  影はしゃがみ込んだまま、門衛の言葉に耳を澄ませていた。私は後
 ろめたさを感じないわけにはいかなかった。やむを得ないこととはい
 え、自分の分身を見捨てようとしているのだから。
  「街の出入り口は今ではこの門ひとつしかない」、門衛はむっくり
 した指でその門をさして言った。「いったんこの門をくぐって中に入
 ったものは、二度とこの門から外に出ることはできない。
  壁がそれを許さない。それがこの街の決まりだ。署名したり血判を
 押したり、そんな大層なことはしないが、なおかつまぎれもない契約
 だ。そいつは承知しているね」
  わかっている、と私は言った。
 「そしてもうひとつ。あんたはこれから〈夢読み〉になるわけだから、
 〈夢読み〉の眼を与えられることになる。これも決まりだ。眼の具合
 が落ち着くまで、いくらか不便な思いをするかもしれない。それもわ
 かっているね」
  そうして私は街の門をくぐった。自分の影を棄て、〈夢読み〉の
 傷ついた眼を与えられ、二度とその門をくぐらないという暗黙の「契
 約」を結んで。 
  その街では(かつて私の暮らしていた街では)、誰もが影を引きず
 って生きていたよ、と私は君に説明する。影は光のあるところでは人
 (本体)と行動を共にし、光のないところではそっと姿を隠す。そし
 て真っ暗な時間がくれば、共に眠りに就く。しかし人と影が引き離さ
 れることはない。目に見えるにせよ見えないにせよ、影は常にそこに
 いる。
  「影は何か人の役に立っているのですか」と君は尋ねる。
  わからない、と私は言う。
 「なのに、どうしてみんなは影を棄てないの?」
 「棄て方を知らなかったということもある。でももし知っていたとし
 ても、たぶん誰も影を棄てたりはしないだろうね」
  「それはどうして?」
  「人々は影の存在に慣れていたから。現実に役に立つ立たないとは
 関わりなく」 もちろんそれがどういうことなのか、君には理解でき
 ない。中州にまばらに繁った川柳の▽不の幹には、古びた木製のボー
 トが一般ロープで繋がれ、流れがそのまわりで軽やかな音を立てていた。
  「私たちは物心がつく前に影を引き剥がされる。赤ん坊のへその緒
 が切られるみたいに、幼児の乳歯が生え替わるみたいに。そして切り
 取られた影たちは壁の外に出される」
  「影たちは外の世界で、自分だけで生きていくんだね?」
  「だいたいは里子に出されるの。なにも荒野の真ん中にぽいと棄て
 られるわけじゃありません」「君の影はどうなったのだろう?」
  「さあ、それはわかりません。
  でももうずっと前に死んでいるはずよ。本体から離された影は、根
 を持たない植物のようなもの。長くは生きられないから」
  「君はその影に会ったことはないんだね?」
  「私の影に?」
  「そう」
  君は不思議そうに私の顔を見る。そして言う。「暗い心はどこか遠
 いよそにやられて、やがては命を失っていきます」
  私と君は並んで川沿いの道を歩く。風が思いついたように川面を時
 折吹き抜け、君は両手でコートの襟を合わせる。
  「あなたの影も遠からず命を落とすでしょう。影が死ねば暗い思い
 もそこで消え、あとに静寂が訪れるの」
 君が□にすると、「静寂」という言葉は限りなくしんとしたものに聞
 こえる。
  「そして壁がそれを護ってくれるんだね?」
  彼女はまっすぐ私の顔を見る。「そのためにあなたはこの街にやっ
 て来たのでしょう。ずっと遠くのどこかから」
  「職工地区」は旧橋の北東に広がるさびれた地域だ。かつては美し
 い水をたたえていたという運いぶん長い年月が経つのに、そこにはま
 だ湿った空気の記憶が残っている。
  そんな人気のない暗い工場地域を抜けたところに、職工たちの共同
 住宅が建ち並ぶ一画がある。
 今にも崩れ落ちてしまいそうな外見の、二階建ての古い木造住宅だ。
 その住宅に住む人々はひとまとめに「職工」と呼ばれているが、実際
 に工場で働いているわけではない。それは今では実体を伴わない、た
 だの慣習的な呼称となっている。工場はとうの昔に操業を停止してい
 たし、建ち並ぶ高い煙突は煙を出すことをやめていた。
  建物の間を迷路のように巡る狭い舗道の敷石には、幾世代にもわた
 る人々の生活から発せられた様々な匂いや響きが浸み込んでいる。す
 り減って平たくなった石の上を歩きながら、私たちの靴底は足音さえ
 立てない。そんな迷路のある地点で君は急に歩みを止め、振り返って
 私に言う。
  「送ってくれてどうもありがとう。家までの帰り道はわかりますか
 ?」「たぶんわかると思う。いったん運河に出てしまえば、あとの道
 は簡単だから」
  君はマフラーを巻き直し、私に向かって短く肯く。そしてくるりと
 背中を向け、どれがどれか見分けのつかない暗い木造住宅のひとつの
 戸口に、素迷い足取りで吸い込まれていく。
  私は二つの屹立した感情の狭間を抜け、ゆっくり歩いてうちに帰る。
  この街で自分はもうひとりぼっちではないという思いと、それでも
 自分はどこまでもひとりぼっちなのだという思いとの間を。私の心は
 そのようにまっすぐ二つに裂かれている。川柳の抜が密かな音を立て
 て揺れる。

広大な砂漠の表面にかれた文字が形や色彩を帯び、2.5次元状に部分的に
分散的に物語が展開し始めたように、立ち上がっている予感に包まれてい
る。「これならもう少し読み続けてみよう。」と思う。
                          この項つづく                   


   



【再エネ革命渦論 180: アフターコロナ時代 181 】
● 技術的特異点でエンドレス・サーフィング-
   特異点真っ直中 ㊿



世界初! 水溶液中で有機半導体を精密ドーピング
10月18日、物質・材料研究機構(NIMS),東京大学,東京理科大学は,真
空や窒素雰囲気を扱う特別な設備を用いずに,有機半導体を水溶液中で精
密にドーピングする基盤技術を世界で初めて開発
【概要】
1.真空や窒素雰囲気を扱う特別な設備を用いずに、有機半導体を水溶液
 中で精密にドーピングする基盤技術を世界で初めて開発。この技術の極
 めて重要なブレークスルーは、これまで見過ごされてきた「水」を利用
 するというパラダイムシフト。
2.半導体デバイスの製造にはドーピング処理が不可欠。有機半導体の化
 学ドーピングには酸化還元試薬が使われている。効果的な酸化還元試薬
 ほど水や酸素と反応しやすいため、真空中や窒素雰囲気で試薬を扱う特
 別な設備が必要。さらに、こうした設備を用いてもドーピング量の精度
 や再現性は低い。これらは有機半導体の産業応用に対して大きな障壁と
 なっていた。
3.大気下・水溶液中でのベンゾキノンとヒドロキノンの酸化還元反応を
 利用した化学ドーピング技術を開発。この反応の傾向は、pHで表される
 酸性度によって調節。これは光合成の電子伝達系などで活用されている
 機構です。有機半導体薄膜をベンゾキノン、ヒドロキノンと疎水性陰イ
 オンの水溶液に浸すと化学ドーピングが生じた。ドーピング・レベルは
 水溶液のpHによって変化し、電気伝導度は約5桁の広範囲にわたって正
  確かつ一貫して制御でぃた。
4.有機半導体は柔軟、軽量であり、インクジェットなどの低コスト印刷
  プロセスに適した材料です。本技術により、フィルム状のセンサーや電
  子回路、ディスプレイ、太陽電池といったフレキシブルデバイスの産業
  応用が促進されると期待。本技術を用いたフィルム型pHセンサ原理も実
  証り、ヘルスケアやバイオセンシングへの展開も期待される。
【掲載論文】
題目 : Doping of molecular semiconductors through proton-coupled electron
    transfer
著者 : Masaki Ishii, Yu Yamashita, Shun Watanabe, Katsuhiko Ariga, Jun Takeya
    雑誌 : Nature
掲載日時 : オンライン掲載 10月12日0時 (日本時間) / 紙面掲載 10月12日発行
号 (Vol. 622, Issue 7982) DOI : 10.1038/s41586-023-06504-8
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図1.PTMSP コーティングされたリチウム箔の SEM 特性評価。
すべての画像は、PTMSP (オレンジ) とリチウム (青/グレー) の間のコン
トラストをより明確に示すために疑似カラーで表示。
a) 低倍率および高倍率での PTMSP コーティングの上から見た画像。 コー
ティングは均一で、欠陥やピンホールはない。
b) 射出ブレードを使用して作製した PTMSP@Li の断面図。 コーティング
は薄く(約 1 μm)、均一であることが観察。
c) PTMSP@Li の 3 点曲げテスト。 コーティングはリチウムによく付着し
ており、破断や層間剥離は発生していないことが観察。
d) PTMSP@Li は、層間剥離や亀裂に抵抗しながら、Li の亀裂の上に伸び
ているのが観察されます。 これらの画像は、PTMSP コーティングの堅牢な
性質と親リチウム性を示す。

実用的な低N/P比リチウム金属電池用のナノ多孔質選択透過性ポリマー塗膜
A Nanoporous Permselective Polymer Coating for Practical Low N/P Ratio Lithium
Metal Batteries
First published: 04 September 2023
https://doi.org/10.1002/adsu.202300231
【要約】
リチウム金属電池、特にリチウムと硫黄の化学組成は、潜在的に重量貯蔵
密度が増加し、遷移金属依存度が低下する特徴があり、エネルギー貯蔵性
が注目(資源需要、単位コスト逓減)されている。  リチウムのコストの
上昇とリサイクル選択肢の欠如は、サイクル安定性の悪さが問題である。
この研究では、親液性超ガラス質ナノ多孔質PTMSPポリマーセパレー
タをリチウムアノード上への直接鋳造法について解説、PTMSP の二峰性
のサブオングストローム細孔径分布により、ポリスルフィド種が選択的に
除去。その一方で、その高い自由体積分率は、堆積されたリチウムの安定
化マトリックスとして機能し、8.8×10-4 Scm-1 の高いイオン伝導率を備え
ている。コーティングされたアノードは、対照に比べて 5.7倍高いリチウ
ム密度を示し、実用的な硫黄負荷での、容量保持率の向上と、低い (N/P
比でのリチウム利用率の向上によるサイクル寿命の延長 (> 250 サイクル)
による耐久性を向上。(4 mg cm-2)。 これらは、リチウム硫黄電池やその
他の金属リチウムシステムのより広範な用途の拡大を約束する。


図2.未処理の Celgard (黒) と PTMSP コーティングされた Celgard (オ
レンジ) の誘電率と時間をプロットしたグラフ。
LiPS は、PTMSP でコーティングされたセパレーターよりも 3.8 倍速く、
裸のセパレーターを通して拡散します。 ここでは、PTMSP のポリスルフ
ィド制御特性が実証されており、これにより副反応の発生が減少し、容量
保持率が向上する。
               - 中 略 -
2.5 フルセル
PTMSP@Li アノードは、高硫黄含有量 (4 mg cm-2 のカソードを 0.2C の
速度で 250 サイクルを超えるサイクルで使用を可能にする。 厚さ100μm
の Li 箔、カーボンコーティングされたガラス繊維中間層、PPセパレータ
ー、複合カーボン陰極、および 80 μLの電解液を使用してセルを構築し、
E/S 比 20、N/P 3 を実現。 PTMSP@Li セルは、275 サイクルにわたり容量
保持率が向上。 両方のセルの初期容量は約 950 mAh g-1 で同等だが、250
サイクル後、対照セルの容量は 426 mAh g-1 減少。対照的に、PTMSP@Li
セルは 666 mAh g-1 の容量を示。2つのセルの充電曲線と放電曲線を比較
すると、PTMSP の容量損失防止メカニズムが推測できる。図 5b、cは、サ
イクル 200 での PTMSP@Li セルとコントロール セルの充放電曲線の比較
を示す。放電中、次の反応経路に従って元素 S8 が Li2S4 に還元され、
初期プラトー (2.4 ~ 2.3 V) が発生する。


図5.サイクリング後の PTMSP@Li (a、c、e、g) とコントロール (b、d、
f、h) の両方のアノードの SEM 複合画像。 アノードの光学画像では、b)
に鋼製集電体が観察される裸のパッチが明らかになり、完全なリチウムの
消費/損失が示す。 複合 SEM 画像をつなぎ合わせて高解像度マップを作成
した (c、d)。 後方散乱電子 (BSE) 検出器を使用して、相の相対密度をア
ノードの組成に関連付けた。 対照 (h) の場合、BSE で見える高コントラ
ストの領域は、リチウムが完全に消費されたアノードの領域を示す。 より
明るく密度の高い相は、鋼製集電体であると推測される。苔状の高表面積
リチウム堆積物と組み合わせると、対照アノードが大幅に劣化しているこ
とは明らかです。 PTMSP@Li アノード (b) は、比較すると劣化が少なく、
かなり多くのリチウムはまだ無傷。 各サンプルの析出リチウムの形態も異
なる。パネル (c) と (f) は、異なる位相が異なる色で識別された疑似カ
ラー画像。 オレンジ = スチール集電体、緑 = 高表面積リチウム、紫 =
コンパクト リチウム、黄色 = PTMSP。 偽色のない画像 (e) と (f) は、
図 S9 (サポート情報) で確認できる。



図6.a) PTMSP によるリチウム成長に対する物理的閉じ込め効果の説明
上: PTMSP@Li の場合、
1) ナノ多孔質で曲がりくねった PTMSP により、リチウムが剥離およびメ
ッキされるサイトの数が増加し 2) 多数のリチウム樹枝状結晶が、ナノ多
孔性により利用可能なより低いインピーダンス経路に沿って PTMSP 層を
通って均一に伝播します。 リチウムの成長は成長中に物理的に閉じ込め
られ、浮き上がりをが防止。 3) 多くのリチウム樹枝状結晶が PTMSP の
表面を破壊しますが、PTMSP マトリックスの物理的閉じ込め効果により壊
れません。 4) 豊富な低インピーダンスのメッキ部位により集電体に固定
された PTMSP の上に高密度で均質なリチウム層が形成される。

下: コントロール
) の場合、不均一な剥離によりピットと低インピーダンスの核生成サイト
が形成されます。 2)では、リチウムが低インピーダンス部位に優先的に
めっきされ、デンドライトが形成されます。 3) 脆弱性はデンドライトの
長さに沿って先細りになり、4) リチウムがバルクから分離し、電子的に
孤立した「失活」リチウムが形成される。 b) 電池のサイクル寿命に対す
る閉じ込め効果の反復効果が強調されており、対照電池ではサイクル数が
増加するにつれてより多くの死んだリチウムが発生。対照的に、ナノ多孔
性によってもたらされる多数の核形成サイトにより PTMSP@Li で起こる高
密度のリチウム析出は、セル内の電気活性リチウムの量を増加させ、時間
の経過とともに相対的な曲がりを減少させます。サイクル数の増加は、「
失活」リチウムの体積の増加による電気活性リチウムの量の減少を伴い、
その結果、供給可能な総アノード容量が減少する。 PTMSP の場合、メッキ
されたリチウムはバルクに固定され、電気活性を維持し、アノード容量を
より長く保持する。



図7.コイン電池の同様のアノード処理 (BTB = 3,5-ビス(トリフルオロメ
チル)チオフェノール、PDMS = ポリジメチルシロキサン、Li-Nafion = リ
チウム化ナフィオン、PVDF = ポリフッ化ビニリデン) と比較した PTMSP@Li
の性能測定基準。a) 過剰なリチウムの割合。 b) 報告されたサイクル数。
c) カソードの硫黄負荷。 d) 最終サイクルの容量。
                              以上


Ru複核錯体を光触媒にCO2をCOへ還元 
10月19日、筑波大学の研究グループは,Ru複核錯体を,自己光増感能を有
する光触媒として用い,高選択的に燃料や化学品の原料となる一酸化炭素
(CO)を与える高効率な光触媒的CO2還元反応を開発した。 光触媒として
Ru複核錯体を含むジメチルアセトアミド/H2O混合溶媒に犠牲還元剤を加え,
1気圧のCO2雰囲気下,中心波長450nmの光を10時間照射した結果,加えた犠
牲還元剤と基質であるCO2がすべて消費され,COが99%以上の選択性で生成し
ていることが確認された。 また450nmにおける量子収率は,最大で19.7%と
決定できた。気相中の初期CO2濃度を1.5%まで下げても,このRu複核錯体に
よる光触媒的CO2還元反応は高効率に進行し,加えたCO2をほぼすべてCOに
変換できることが示された。 今回の実験条件で最も低いCO2濃度は1.5%だ
ったが,今後は,Ru複核錯体の分子設計をより精密に最適化して触媒活性
を高め,大気中のCO2濃度レベル(およそ420ppm)でも,高効率に触媒的
CO2還元反応が進行する反応系を創出する予定だという。

【掲載論文】
Self-Photosensitizing Dinuclear Ruthenium Catalyst for CO2 Reduction to CO
CO2をCOに還元するための自己光楠言能を有するルテニウム快技錯体触媒
JoumaloftheAmerican Chemical Society
DOI:10.1021/jacs.3c07685




プロトン伝導セラミック燃料電池の発電性能が飛躍的向上

10月13日、横浜国立大学・産総研・宮崎大学の研究グループは、ロトン伝
導セラミック燃料電池(PCFC)の内部短絡を抑えることで、発電性能を大
幅に向上させ、また、実験データを再現できる計算モデルも構築する。
家庭用発電機として普及が進む固体酸化物形燃料電池(SOFC)などに比べ
PCFCは理論的に高い発電効率が得られるというが、電解質がプロトンだけ
でなく、正孔を伝導して内部短絡をするため、発電効率が低下するなどの
課題もあった。こうした影響を計算によって正確に評価することもこれま
では難しい。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が進める「燃
料電池等利用の飛躍的拡大に向けた共通課題解決型産学官連携研究開発事
業」の委託を受け、内部短絡を抑制できるPCFCの開発や、計算モデルの構
築に取り組む。
【要点】
1.高性能で化学的に安定したCeフリーPCFCを製造
2.欠陥濃度分布と 反応過電位を考慮したモデル
3.デルは、さまざまな条件で測定された i-V 曲線によって十分に検証
4.穴の漏れと電極の損失が体系的かつ正確に評価する。
5.検証済みモデル .0 W・cm-2電力、70%のエネルギー効率が達成可能
   である。


【掲載論文】
掲載誌:Energy Conversion and Management
論文タイトル:Ultra-elevated power density and high energy efficiency of proto-
nic ceramic fuel cells: numerical and experimental results
著者:李 坤朋、島田 寛之、奥山勇治、水谷 安伸、荒木 拓人
DOI: 10.1016/j.enconman.2023.117678

半導体デバイスの製造にはドーピング処理が不可欠。有機半導体の化学ドーピ
ングには酸化還元試薬が使われる。 効果的な酸化還元試薬ほど水や酸素と反
応しやすいため,真空中や窒素雰囲気で試薬を扱う特別な設備が必要だった。
さらに、こうした設備を用いてもドーピング量の精度や再現性は低い状況にあっ
たが、これらは有機半導体の産業応用に対し大きな障壁となっていた。 今回研
究グループは、水溶液中で有機半導体を精密ドーピングする世界初の技術を開
発し,重要なマイルストーンを達成。これは、ベンゾキノン(BQ)とヒドロキノン(H
Q)のプロトン共役電子移動(PCET)反応を利用することで達成。


図1. (左) 開発した化学ドーピング手法のメカニズム。(i) PCET 試薬BQ/HQ と
疎水性陰イオンTFSI−  の水溶液に高分子半導体PBTTT 薄膜を浸します。(ii)
PCET による酸化還元反応とTFSI−の導入が生じます。  (iii) ホールとTFSI−が
PBTTT 薄膜に導入された状態になります。  (右) PBTTT 薄膜の色と電気伝導
度のドーピング水溶液pH に対する依存性。

まず、.この技術ではまず、BQ,HQと疎水性陰イオン(TFSI−)の水溶液を用意、
そのHを調整する。続いて、この水溶液に有機半導体薄膜を浸す。有機半導体
としてはインクから簡単に製膜できる高分子半導体PBTTTを用いた。 BQは2つ
の電子をPBTTTから,2つの水素イオンを水溶液から受け取ることで,HQへと変
化する。
この反応はpHが低い,すなわち水素イオン濃度が高いほど促進される。 BQとの
反応によってPBTTTには電気伝導を担う正電荷のホールが注入され,また,TF
SI−も水溶液中から電気的に引き付けられて導入される。これによって化学ドーピ
ングが完了する。 この方法では,水溶液のpHを調整することにより,薄膜の電
気特性を正確に制御することができた。pHが1から4までの水溶液では,PBTTT
薄膜の色はpHに依存して変化し,電気伝導度は約5桁にわたって制御された。


【展望】
この結果は,この技術が電子デバイスの製造に十分なドーピング制御を提供で
きることを強調る。 有機半導体は柔軟,軽量であり,インクジェットなどの低コス
ト印刷プロセスに適した材料。研究グループは,この技術により、フィルム状の
センサーや電子回路,ディスプレー,太陽電池といったフレキシブルデバイスの
産業応用が促進されるとする。 また,この技術を用いたフィルム型pHセンサー
の原理も実証しており、ヘルスケアやバイオセンシングへの展開も期待されると
している。 


大面積ペロブスカイト-シリコンタンデム型太陽電池で効率 25.1% 達成
24 cm2 のペロブスカイト - シリコン タンデム太陽電池を作成。正孔輸送層とペロ
ブスカイト吸収体の間にフッ化リチウム中間層を配置し、シャント損失を低減。 ノ
ースカロライナ大学の研究者らは、大面積ペロブスカイトシリコンタンデム型太陽
電池で25.1% 効率達成。
ペロブスカイト太陽電池技術を小面積のセルから大面積のデバイスにスケール
アップ時のシャント克服をめざす。 シャントは、太陽光で生成された充電の代替
経路作成し電力損失となる。 シャント抵抗低下は、ホットスポットや電位による劣
化など、さまざまな形のモジュールの劣化や故障に関連。
ポリトリアリールアミン(PTAA)でできた正孔輸送層(HTL)とワイドバンドギャップ
(WBG)ペロブスカイト吸収体の界面にフッ化リチウム(LF)中間層を配置した24
cm2のタンデムセルを構築。 この中間層は、埋め込み界面での物理的接触を改
善し、シャントを軽減する重要な要素である。 ブレード コーティングで、 PTAA お
よび WBG ペロブスカイト層を堆積。 「実質的空隙との次善界面接触は分路機能
する可能性がある。「LiF中間層は界面ボイドの形成を回避することがわかった
が、LiF中間層とのエッチングされたタンデムのシャントを減少させる理由の1つ
であると考えられいる。



タンデムセルの他の層をスパッタリング、熱蒸着、原子層堆積(ALD)によって堆
積させた。 また、ボトムセルの3 つの異なる構成をテストし、以下を使用すること
を選択した。 標準照明条件下でテストした 24 cm2 タンデムセルは、効率 25.2%、
開放電圧 1.89 V、短絡電流密度 18.1 mA/cm2、曲線因子 0.736 を示した。
文献報告されている面積が10cm2を超える最も効率的な2端子タンデムデバイス
の1つである。最新の「Cell Reports Physical Science 」に掲載された「効率的な大
面積ペロブスカイト - シリコン タンデム太陽電池に向けたシャント緩和」でタンデ
ム セル技術を紹介。
via pv magazine International October 13, 2023

✔  材料・材質のナノテク技術の著しい進展は言うぬ及ばずである。


眼に装着する究極のディスプレー ホログラムが可能性
現在,表示部や光源,バッテリーなどをさらに小型化し、普通の眼鏡と大
きさや外観が変わらないようなスマートグラスの研究開発が進められてい
るが、究極的には眼鏡に頼らず、眼球に直接装着できるスマートコンタク
トレンズが実現できれば、こうした問題は解決できる。
コンタクトレンズディスプレーの開発は2011年,ワシントン大学がコンタ
クトレンズの中に1個のLEDとアンテナを配置し,無線給電で光らせるとい
う論文を発表しました。恐らくこれが最初の研究です。その後,写真だけ
ですがLEDの数を8×8にしたり,ウサギの目に入れたりした報告もある。
この研究者はGoogleに移って開発を続けたが、ディスプレーにするのは難
しかったようでヘルスモニタリングに舵を切り,コンタクトレンズにグル
コースセンサーを取り付ける。
2013年にはベルギーのゲント大学から液晶素子を入れたコンタクトレンズが発表
され、マトリクス電極ではなく,実はドル型の1ピクセルなので映像と言えるか微
妙。開発した人はその後IMECに移り,やはりディスプレーは難しいということで、
スマートコンタクトレンズとして人工虹彩や多焦点レンズを搭載する方向に向って
いる。
このように,コンタクトレンズディスプレーの実現は難しいと思われてい
たが、2020年アメリカのベンチャーMojoが,「Mojo vision」いうコンタクト
レンズディスプレーをCESで発表して大きな話題となる。14,000 dpi,解像度約
256×256のマイクロLEDディスプレーは0.5 mm角の六角形と小さく、目の前にあ
っても気にならないという。画像も小さいが,目の動きに合わせて画を切り
替えて大きな画像の表示を実現するという。回路をディスプレーの周囲に
丸く作りこむ必要があるが,これは共同開発するメニコンの強膜コンタク
トレンズという厚さが5 mmくらいある特殊なコンタクトレンズの中に入れ込む。

風蕭々と碧い時












John Lennon Imagine  



 ● 今夜の寸評: 阪神勝ちそう(CS)

自在行動概論 ①
仏教では、あらゆる束縛から解き放された境地を「自由」 といい、また
「悟りの境地」ともいう。他の人やものに影響や支配を受けることなく、
安らかな境地をいう。自由であれば、自分の思うままになれるので、これ
を「自在」 という。仏や菩薩はそのような力を具えているので、仏のこ
とを自在人といい、観世音菩薩のことを観自在菩薩という。その自在の力
には、世の中を見抜く自在、説法、教化をなしうる自在、自由に種々の国
土に生まれ、国土を清浄にする自在、寿命を伸縮できる自在など、種々の
自在が説かれているという。自由自在とは、何ものにもとらわれることの
ない、のびのびとした安らかな心身の境地と、そこから現れる、とらわれ
のないはたらきをいう。
尚、観自在菩薩は、別名観世音菩薩ともいい、観音様の名で親しまれてい
る。仏教では慈悲をつかさどり、さまざまな現世利益をかなえてくれると
いうので、もっとも信仰を集める菩薩とされる。
ところで、観音菩薩の起源や性別には定説がない。友松圓諦は『般若心経
講話』(1956年)の中で、「どこか、観自在菩薩の信仰のつよい地方、ま
た、密教の呪文が珍重されていた地方」に起源を求めた。 岩本裕はイン
ド土着の女神が仏教に取り入れられた可能性を示唆しており[3]、エロー
ラ石窟群、サールナートなどインドの仏教遺跡においても観音菩薩像と思
しき仏像が発掘されている。 ゾロアスター教においてアフラ・マズダーの
娘とされる女神アナーヒターやスプンタ・アールマティとの関連も指摘さ
れている。 
さて、こんなことを書き出した切っ掛けは、「エルサレム」に周辺で起こ
争いごとを書きたかったからだが、それについては、後日からにする。


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