● 大阪都構想派にエールを その2
ところで、都構想のはしまりはいつだろう。1953年12月の大阪府議会「大阪産業都建設に関する決議」
が始まりとされ、大阪府・市を廃止して大阪都を設置し、市内に都市区を設置するとされる。ところが
2000年に、太田房江大阪府知事(当時)が大阪府と大阪市の統合を掲げた大阪新都構想を唱えるまで、
議論は市民レベルになかったもののわたし周りにも東京に転出する学童がでてき、東京オリンピック開
催をさかいとして、金融会社などの本社が東京に集中していく(寧ろ、京都本社は残っていく)。2001
年には「大阪府行財政計画」に「大阪都」という言葉が表現されているが、この発言に対し磯村隆文大
阪市長(当時)が大阪府を初めとする都道府県から独立した「スーパー指定都市」、「特別市」を主張
し対立している。
それから、しばらくして、橋下知事(当時)を代表とする「大阪維新の会」が大阪府全域を「大阪都」
とし、大阪市・堺市の政令指定都市を解消させ大阪府と一体化させる構想を2015年までに実現を目指す
ものとして提案される。特別区については、東京都23区をモデルとしつつ、東京23区よりも独立性が高
く、一般市よりも権限範囲の広い中核市レベルの自治体を想定し、20区内の水道・消防・公営交通など
の大規模事業は、区内の固定資産税・法人税の税金などを収入を財源として都が行い、住民サービスや
その他の事業は20区の独自性に任せる提案を行うが、以降今日に至るといのがその経緯である。
さて、「大阪都構想」の賛否を決める大阪市民対象の住民投票が、27日告示された。焦点は、大阪市
民の住民参加、府と市の二重行政の2点。特に後者は、インフラ整備の遅れをはじめとする巨大な経済
損失をもたらしている」と高橋洋一株式会社政策工房 代表取締役会長が(「大阪都構想」を逃せば大阪
の衰退はさらに進む」(『高橋 洋一の俗論を撃つ!』2015.05.01 ダイヤモンド・オンライン))を寄
稿している.
・まず第一に人口 270万人の大阪市に1人の公選市長より5人の公選区長を住民が選ぶという住民
参加の方が、よりきめ細かい行政ができる。270万都市を1人の公選市長、公選議会でマネージメ
ントしている先進国都市はない。ニューヨークでもロンドンでも、基礎自治は小さな単位で自治
権を有する特別区とし、住民が参加している。今の大阪市の「区」は24もある。しかし、これ
は、役人区長の行政区というもので、公選区長の東京都の特別区とはまったく違う。大阪都構想
が実現すれば、大阪市に今は1つしかない、教育委員会が5つ、児童相談所が5つ、保健所も5
つになる。さらに、予算編成権も5つになって、より細かなエリアに対応できる。
これは、地方政府内で権限を分権化することによって、住民サービスを向上させるものだ。基
礎的自治体として必要な教育委員会、児童相談所、保健所が人口270万人で1つではきめ細かい
行政はできないはずだ。
大阪都構想の反対派は、最初に600億円ものお金がかかると言うが、試算では17年間で2700億
円ほど浮くからたいした問題でない。これは、後述する二重行政の問題を見れば、初期コストが
かかるとしても、改善のための長期投資とも言える。
・第二に、大阪都構想は、大阪市と大阪府の役割分担を見直して二重行政を排除する目的がある。
東京都と東京23特別区を見れば、23特別区は福祉や義務教育など身近なサービス、東京都は
交通網整備や都市計画等広域行政サービスと役割分担がなされており、二重行政の声はない。と
ころが、大阪市と大阪府は、「ふ(府)し(市)合わせ」というくらいに、府と市の行政が二重
になっている。
この点、大阪市長の橋下徹氏の言葉によれば、「大阪市民は広域行政を府税で負担しています。
さらに大阪市で広域行政をやってきたから市民は二重の負担を負わされてきたのです」となる。
「大阪都構想」を逃せば大阪の衰退はさらに進む」(『高橋洋一
の俗論を撃つ!』2015.05.01 ダイヤモンド・オンライン)
具体例として、広域行政の目玉である交通インフラが酷く、大阪全体の計画がなく、実行者不在が問
題と指摘し、これを明らかにするために、まず、高速道路について、大阪を東京と比較してみせる(指
摘された該当者や団体にとっては冷や汗ものだが)。
①阪神高速、首都高速ともに、国の出資は50%だが、実額で見れば、首都高速は、関西高速に
比べて30%以上多く国の出資は、無利子融資と同じで、国は補助金を与えている。財務省の
政策コスト分析では、2005年当時において、将来の36年間で、阪神高速は2083億円、首都高速
は3199億円の国からの財政支援を得るといる。 ②両社ともに、主要役員は44名だが、その出身を見ると、阪神高速は、鉄道会社1、国交省2、
プロパー1に対し、首都高速は東京都2、国交省1、プロパー1である。阪神高速においては
大阪府と大阪市がともに出資して、どちらも1人の役人を送り込めず、首都高速は、東京都出
資が集約されているため2人も役人を送り込んでりるに大阪府と大阪市は関与できず、国から
の天下りが跋扈する一方で、首都高速は、国からカネをうまく引き出し、役員も送り込み東京
都が運営の主導権を持っている。 ③東京の中央環状線は、今年3月7日に全線開通した。筆者の家は東京区部の北にあるが、ドア
ツードア30分で田空港に着くが、一方、大阪では大阪都市再生環状道路がまだできていない。
淀川左岸線延伸部がミッシングリンクになっている上に、二重行政(ふ(府)し(市)合わせ)
で淀川左岸線延伸部ができず、大阪都市再生環状道路は実現できずにいるが、これは東京では
ありえず、東京都だけ行っている。
「大阪都構想」を逃せば大阪の衰退はさらに進む」(『高橋洋一
の俗論を撃つ!』2015.05.01 ダイヤモンド・オンライン)
以上のように、国土交通省近畿整備局の資料では、阪神高速道路放射線(都心方向)と環状線との合
流部では1日当たり4時間以上の渋滞が発生しているし、大阪市内の交通渋滞で年間約2700億円の損失
が発生させており、こうしたムダをなくすためには、大阪都構想の初期コスト600億円という批判とは
とるにたらない、つまり「角を矯めて牛を殺す」「針小棒大」「木をみて森をみず」の類だとし反証し
大阪における社会インフラの遅れ――高速道路淀川左岸線延伸部、関空アクセス鉄道、今里筋線井高野
北伸など――が見られるがこの解決策が大阪都構想であり、大阪都構想をきっかけとして、大阪が、二
極の一つになれば首都のバックアップ機能が整備できると指摘した上で、大阪市は政令市の中で人口減
少し衰退している希有な存在だが大阪都を逃せばその傾向はさらに拍車がかると警告し結んでいるが。
完全なバックアップできるかを別に、これは傾聴に値するものだろう。
ところで、高橋洋一は「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」(『高橋洋一の俗論を撃つ!』2015.
04.16 ダイヤモンド・オンライン)で、消費税は地方税とすべき地方分権との関係で考えよと述べてい
る。
こう考えると、消費税は、国の社会保障目的税ではなく、地方税とすべきという結論になる。消
費税は一般財源だが、国が取るか地方が取るかという問題になる。地方分権が進んだ国では、国で
なく地方の税源と見なせることも多い。
これは、国と地方の税金について、国は応能税(各人の能力に応じて払う税)地方は応益税(各
人の便益に応じて払う税)という税理論にも合致する。というわけで、日本を含めて給付と負担の
関係が明確な社会保険方式で運営されている国が多い。もっとも保険料を払えない低所得者に対し
ては、税が投入されている。ただし、日本のように社会保険方式と言いながら、税金が半分近く投
入されている国はあまり聞かない。
「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」(『高橋洋一
の俗論を撃つ!』2015.04.16 ダイヤモンド・オンライン)
この項つづく
● 太陽光エネルギーを水素へ高効率に変換 : 安価で簡便なシステムにより実現
太陽光エネルギーから水素への変換効率を15.3%まで高めることに成功
通常の水分解電気化学セルの「電流-電圧特性」は。理論的には、1.23Vの電圧印加で、水の電気分解が
起こり、電流が流れ始めるるが、実際には、1.48Vの電圧が必要(1.238÷1.48×100=83.6%)。理由は
電気化学セルの内部電気抵抗で、エネルギーロスする(下図参照)。
※ Hydrogen Generation Using Electrochemical Water Splitting via Electricity Generated by Nature Energy
Journal of the Japan Institute of Energy,vol94,No.1,2015
最も一般的なシリコン太陽電池は、電池1つの最大出力電圧が0.6~0.7Vで1つの太陽電池で水の電気
分解を行うには、エネルギー不足。そこで、理化学研究所の研究グループは、太陽電池の直列接続を行
い、水の電気分解可能な電圧まで電圧を高めるとともに、もっともエネルギーロスの少ない接続方法に
ついて検討。
まず初めに、研究チームは、シリコン太陽電池と電気化学セルを使った場合の光エネルギーから水素
エネルギーへの変換効率を求めました。シリコン太陽電池を3個直列に接続した場合は2.0%、4個直列
に接続した場合は、6.1%であり、いずれも変換効率が良くないことが分かったが、これはシリコン太
陽電池自体の光電変換効率が悪いことによる。
そこで、フレネルレンズを用いて太陽の位置に合わせ効率よく集光できるタンデム型太陽電池を使用し、
エネルギー変換効率の向上を試みる。その結果、光エネルギーから水素エネルギーへの変換効率が12.
2%と非常に高い変換効率が得られた(下/左図)。しかし、太陽電池の最大出力点(最大出力電圧
2.12V、最大出力電流95.9 mA)と電気化学セルの動作点(動作電圧1.55 V、動作電流999.
8 mA)の間に大きな差が存在している。そこで、タンデム型太陽電池を2個直列、電気化学セルを3個
直列に並べることで太陽電池の最大出力電圧と電気化学セルの動作電圧が近づくようにすると、エネル
ギー変換効率が15.3%まで向上した(下/右図)。
Nepal earthquake: Teenager pulled alive from rubble on Day 6