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地方分権の税制考

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● 大阪都構想にエールを その3

                                           特別区の魅力は多くある

さて、いま東京だけで使われている特別区制度は、昭和50年の区長公選復活までは東
京都の内部団体とされていたが、現在は一般の市町村と同じ基礎自治体で、人口が高
度に集中し日々変化し続ける大都市東京において、区民が安心して豊かな生活ができ
るまちを創るために機能している。特別区は独自に、また相互に連携して新たな課題
にチャレンジし続けている。公選区長、公選議会を有する一般市以上にダイナミズム
に富む活動をする特別区だが、意外に知られていないのが、大阪市など政令市の行政
区と何が違うのか。同じ「区」という呼び名でも、実は全く違う。下記に、住民投票
で特別区を選ぶか、いまのままの行政区を選ぶかの分かれ目になるポイント一覧した。 

つまり、行政区は政令市の出張所として自治権は一切ない。特別区は自治体なので法
人格もあり、公選の長、議会がおかれ、立法権に当たる条例制定権も課税権も有する。
大阪市の行政区と今度、創設を予定している特別区は全く違う。東京でいえば、特別
区がある区域は、880万の人々が暮らし、1千万人を超える人々が活動する巨大な大都
市地域。このため、他の大都市のようにひとつの基礎自治体がこの地域全体を受け持
つのではなく、それぞれの特別区が基礎自治の役割を担い、広域自治体である東京都
が広域政策、広域行政を担う役割分担の下に、相互に連携しながら東京大都市地域の
行政に責任を持つ、独特の大都市制度となっている。

また、上下水や地下鉄、バス、消防、港湾、病院などを都が受け持つ一方、都と23区
間の財政調整のしくみがあり、特別区に住む880万住民は23区間の財政力の差はあって
も、ほぼ均等のサービスを享受できる。住んでいる人々にとって、セフティネットの
張られた、安心、安全、生き生きと暮らせる制度となっている(佐々木信夫中央大学
教授の「大阪都構想:住民投票と「特別区」の創成は何を生むか」(下) 現代ビジ
ネス 2015.05.02)。

 

                                                                      東京都制度の 魅力

そして、同上で都制度の魅力をつぎのように説明する。

都制度(都区制度)の 魅力は、50万単位で基礎自治を担う特別区を設置し、広域行政
広域政策は都に一本化するという点にあり、特別区の住民にとっては「自治の原則」
と 「均衡の原則」を同時に実現できる一方、広域自治体である都にとっては、都政と
して大都市の一体性を確保した戦略的な都市経営ができるという点にある。東京の特
別区、いわゆる23区では、880万の人々が暮し、昼間は1,200万人もの人々が活動して
いるが、この巨大な大都市地域に集まる人口や産業を対象とする大都市行政は、各特
別区が個性を発揮しながらも、全体として円滑に行われる必要がある。

このため特別区は、相互に連携・協力しながら、様々な行政課題に取り組んでいる。
特別区は、区民に最も身近な基礎自治体であるが、地方分権が推進され、地方自治体はこ
れまで以上に自らの判断で、地域ニーズに応じた個性的な施策を展開することが可能となっ
ている。特別区も、互いに競い合いながら地域特性を生かした様々な行政活動をし、他の区
よりより優れた低い コストのサービスを実現しようと競い合っている。公選制のよさが遺憾な
く発揮されているのが、特別区制度である。

大阪が都制度(都区制度)になれば、これまで大阪市に1つしかなかった教育委員会
が5つできるし、府の機関であった児童相談所が5つでき、保健所も5つになる。府費
負担教員(市の公立学 校教員)の人事権も特別区に移る。何よりもより細かなエリア
に予算編成権が来るのである。条例制定権と予算編成権が5つの特別区ができることで
生まれる。

大規模地域計画は大阪都の権限となるが、それをやるやらないは、これまでの府市の
争いではなく、都知事選挙でやるやらないを決めた方がはっきりする。それを可能と
するのが都制度である。さらに進めることだけなく、やらないことをスピーディに決
めるのも重要ではないか。特別区に限らず、いまや各自治体は創意工夫しながら、住
民福祉の向上を競う時代である。その中で、福祉や医療をはじめ、子育て・教育・災
害対策など大都市地域特有 の課題に挑戦していかなければならない。

東京をみると、その課題解決に向けて、特別区は互いに連携・協力をしつつも、時に
はよきライバルとして競い合いながら、時代を先取りした施策に果敢に取り組み、区
民の期待に応えようと頑張っている。そこで働く公務員も、わが区を他の区に負けな
いまちにしようと、前例 や待ち受ける困難な状況を打ち破り、新たなものをつくろう
と張り切って仕事に打ち込んでいる。この姿を見たとき、大市役所の出先である区に
配置された職員と全く違う顔を見ることができる。人間、権限と責任を負ったとき真
剣勝負をする。と、佐々木信夫は指摘するが概ね賛同できるものであるが、東京との
比較において、財政基盤の後背に関する税制改革の考察が抜けている。



高橋洋一が「財政再建には順序がある 増税は最後の手段」(『高橋洋一の俗論を撃つ
!』2015.04.16 ダイヤモンド・オンライン)で、(1)消費税は、国の社会保障目
的税ではなく、国の社会保障目的税ではなく、地方は応益税(各人の便益に応じて払
う税)という税理論と合致する地方税にすべきという理由からと、(2)東京一極集
中による行政的経済リスク回避策――これには、規制緩和・民営化等により地方の権
限の拡大を図る「小さな政府」を標榜するという「新自由主義的分権」と住民方自治
を伸張させる「民主主義的分権」という2つのイデオロギーの潮流ある――と(3)
デジタル革命渦論に象徴される第5次産業革命と英米粒金融資本主義によるデフレと
格差拡大には、応能税への課税シフトとわたし(たち)が提案する地域別逆格差法人
税制などの是正政策が不可欠であり、これらを包括し「大阪都構想」をして賛同した
糸考えている。

                                この項了

※「国と地方の税財政関係の再構築の方向性―税源移譲のあり方、意義及び効果の検
 討を中心として ―」 松田直樹税務大学校 研究部教授 国税庁 2005.03.11

 

 

 

  

【新弥生時代 植物工場論 17】


 「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を
  施設内で人工的に制御し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場所に
 とらわれず、安全な野菜を効率的に生産できることから多方面で注目を集めてい
 ます。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設備投資・生産
 コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や図解を用い
 て様々な角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技術革新などに
 よってもたらされるであろう将来像についても、アグリビジネス的な視点や現状
 もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわかる一書となっています。

           古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」
  

  【目次】  

    巻 頭 町にとけ込む植物工場
  第1章 植物工場とはどういうものか
  第2章 人工光型植物工場とは
  第3章 太陽光型植物工場とは
  第4章 植物生理の基本を知る
  第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
  第6章 CO2/空調管理
  第7章 培養液の管理
  第8章 植物工場の魅力と可能性
  第9章 植物工場ビジネスの先進例
  第10章 都市型農業への新展開
  第11章 植物工場は定着するか

 
  植物工場が病院の癒し空間に

                  「街中植物工場」の新展開

  植物工場の大きな可能性のひとつに「街中植物工場」という考え方がある。ス
 ーパーやコンビニに植物工場が併設されれば、一般市民が植物工場を通して農に
 親しむ機会が増える。
  小型の植物工場を売り出す企業も増え、レストランや商業施設への導入事例は
 増加傾向にある。屋外に設置できる小型植物工場もあり、駐車場に設置し、交通
 整理の人員の片手間の作業として運営する例もある。
  さまざまな小型植物工場設置の取り組みのなかでも、病院に設置した例は注目
 に値する。病院だからこその効果と可能性を探り、いろいろな試みがなされてい
 る。

                    榊原記念病院の取り組み

  東京都府中市にある榊原記念病院では、病院に入って真っ直ぐすすむと、ディ
 スプレイとしても機能する植物工場に行き着く。1階ロビーのいちばん目立つ場
 所に置いてあるので、来院者、入院患者の見舞い者など、皆が足を止めるという。
  榊原記念病院は循環器系を専門とする病院で、来院者には重篤な患者も多く、
 専門性が高い医療が展開されている。そんななかでも、統合医療という考えを大
 事にしていて、西洋医学に加えて人間の心身全体を診る代替医療にも注力してい
 る。その取り組みの一環が、植物工場の導入だった。

  2012(平成24)年4月にロビーに植物工場を設置。来院者の目を楽しませ
 る癒しの空間を目指し、木質で覆われたディスプレイのデザインを採用した。工
 場内では、レタス各種、小松菜、バジルなどのほか、地方品種であるカツオ菜な
 ど、多様な植物を育てることに挑戦。職員が毎日世話をしいるので、生育管理も
 きめ細かくできている。管理作業時には、直接来院者から植物工場について尋ね
 られたり、収穫した野菜を食べてみたいという要望を伝えられることがあるそう
 だ。
  収穫した野菜は職員に配布しており、2013年度には植物工場産野菜が試験
 的に職員食堂でも採用された。今後は、院内で収穫した植物工場の野菜を来院者
 用レストランで提供することを目標のひとつにしている。


                        来院者や地域住民に親しんでもらう

  衛生管理をはじめとした壁もあるが、来院者が主体的に植物に関わる素地は次
 第に育まれている。今後は、来院者や地域住民の直接的な意見に耳を傾ける機会
 や、収穫した野菜を試食してもらう機会をつくることも視野に入れている。

 


  福祉型植物工場

                      雇用創出の新機軸

  24頁で述べたように、植物工場が注目されるのにはさまざまな社会的背景があ
 る。そのなかには、植物工場が創出する雇用への期待が含まれる。
  植物工場内は植物の成長に適した環境を一年を通して保っているので、人間の
 作業環境としても快適である。
  さらに軽作業が多いので、高齢者、障がい者などの働く場としての適性が充分
 にある。また、植物を扱う作業なので働きながら一定の癒し効果が得られると考
 えられている。
  早くは2000年代初頭から、障がい者の就労施設としての植物工場が設立さ
 れてきた。設置から10年余りを経て、利益を上げ、増設、増産を果たしている工
 場が出てきている。

                        社会福祉法人が運営する植物工場

  たとえば、2013年に佐賀県武雄市に設立された「やさい工房・あんスリー
 武雄」は、NPO法人緑風会が運営する障がい者就労支援施設であり、人工光型
 植物工場である。この植物工場が設立された理由は、食の安定供給、安心・安全
 農業の課題解決などの社会問題を憂いてのこと。
  そしてもうひとつは、障がい者の就労施設がとても少ないという現状を変えた
 いとする強い想いがあったからだ。
  稼働中の野菜工場部分の面積は889平方メートルで、一日当たりレタスを
 1850株、年間最大で67万株を出荷することが町能な施設で、光源は蛍光灯を
 利用している。
  現在主力として生産しているのは、フリル・アイスというグリーンリーフの一
 種で、葉先がフリルのように縮れていので、ボリューム感が出るのがもち昧であ
 る。植物工場野菜の利点である、洗わなくても食べられるクリーンさを活かし、
 サラダやレタスのように肉を巻いたり、手巻き寿司の海苔代わりといった食べ方
 が適している。出荷先は大手コンビニや市内宿泊施設だが、さらに販路を開拓し、
 工場をフル稼働させることが今後の課題である。

                   癒し効果のある植物工場
 
  障がい者が働く場としての植物工場では、作業を単純にする、軽作業にするな
 どの工夫がなされている。あんスリー武雄でも、13名のさまざまな障がいをもつ
 方が働いており、その作業はいろいろと工夫がされている。
  植物に接していると次第に作業者の表情が明るくなっていくなどの効果があり、
 植物に触れる職業としての農業の福祉面での可能性を感じさせる事例である。

  空き工場・空き店舗の活用

                                   地域資源活用のための植物工場

  生育環境を人工的にコントロールする植物工場では、植物を生産するにあたり、
 その地の自然環境に左右されることがない。これは遊休地や荒れ地、日陰など露
 地での野菜生産がむずかしい場所でも、生産活動ができるという利点となる。
  とくに人工光型植物工場については、密閉空間ですべての生育環境を制御する
 ため、空き工場や空き倉庫などがあれば撤去することなく利用できる。

  光源をはじめとした植物工場を運営するためのコストは、年々減少していて、
 大企業ならずとも新規参入する機会が増えてきている。建物の再利用や雇用の創
 出が課題になっている地域が多く、植物工場は、地方創成のアイデアのひとつに
 位置づけられるだろう。 

                  「ウベモクファーム」の挑戦

  山口県宇部市に本社を構える株式会社ウベモクは、1928年に創業した建材
 メーカーだ。この老舗会社が、新規事業として植物工場事業に乗り出し、「ウベ
 モクファーム」を開設。商店街の空き店舗を利用した人工光型植物工場を運営し
 ている。このプロジェクトには、ウベモク以外にも山口大学発のベンチャー企業
 宇部市雇用創造協議会など6つの山□県内の企業や団体が参加している。野菜の
 生産はもちろん、商店街の活性化や高齢者の雇用といった地域的な課題解決への
 意気込みを感じる。
 
  改装前の工場は、どこにでもある商店街の一店舗だったが、建築業で培った実
 績と協力企業などのスキルを駆使し、小さいながらも充分機能的な工場が完成し
 た。野菜販売の店舗営業も同地で行い、客が工場内の見学をすることが容易だと
 いうのも、この工場の特徴だろう。小規模だからこそ、さまざまな植物工場の可
 能性にチャレンジしている。

    空き店舗が次第に植物工場になっていく様子を、ブログでいきいきと伝えてい
 る。経過報告の閑話休題として、入居する商店街の紹介なども適宜挟み込まれ、
 植物工場が商店街活性化のためにあることがうかがえる。


             ウベモクファームのベビーリーフ販売

  ウベモクファームは、2014年4月から稼働を開始し、9月に店舗をオープ
 ンした。商品は、午前と午後の1時間、工場に併設する店舗で販売している。ま
 だはじまったばかりの事業だが、街に聞かれた植物工場としての展開が注目され
 る。

 

  植物工場の市場規模予測

                  植物工場市場が活況な理由

  植物工場の数は、2009年の農地法改正や経済産業省、農林水産省による事
 業をきっかけとした、製造業などの異業種からの新規参入などにより、増加の一
 途をたどっている。具体的にみると、人工光型植物工場は201年現在、165
 工場が稼働しており、そのうちの乍分か2010年以降に稼働したものである。
  栽培技術の進歩、生産管理手法の確立、光熱費ゃ人件費、物流コストの削減な
 どの理由から、異業種参入のハードルが下がったのだ。また、栽培品目も多様化
 している。人工光型植物工場では、相変わらずリーフレタスが栽培の主力ではあ
 るが、結球レタスのほか、機能性野菜や健康食品の原料植物、イチゴなどの栽培
 も行われている。

                        異業種からの新規参入

  異業種による新規参入の例をみてみよう。ある自動車会社では、太陽光型植物
 工場でパプリカ栽培を開始した。パプリカは消費者に人気だが、9割を輸入に頼
 っていることに着目。施設や栽培に関してはオランダの技術を取り入れた。自社
 の自動車工場の廃熱を利用するなどして、既存の設備を活かしている点が特徴で
 ある。将来は自社の販売網を利用した輸出も視野に入れており、堅実な道筋を立
 てている。

  また、今後成長産業になる、機能性野菜の生産を担うことで、大学などの研究
 機関や地域振興事業のバックアップを受け、新規参入を果たした企業もある。こ
 れまでの支援が強かった植物工場のプロジェクトが、ビジネスとして本格的に育
 ってきたことがうかがえる。

                         予想される市場規模 

  このように植物工場での栽培の可能性も広がり、参入も容易になると、今後は
 市場規模の拡大が予想される。矢野経済研究所の調査では、人工光型植物工場の
 市場規模(野菜の生産額)は、2015年から2025年の10年間で3倍になる
 と予想されている。予想ではやはり、機能性野菜として低カリウムレタスの増産
 が著しいことや、医薬品としての野菜の栽培が伸びることが示唆されている。

  一方、国内の太陽光型植物工場も、2025年の市場規模は1057億円にも
 なり、10年間で3倍以上に連すると予想される(次頁)。工場の建設をはじめと
 した植物工場関連市場に目を向ければ、植物工場ビジネスはさらに拡大の余地が
 ある。

                              この項つづく

 

 

  ● 今夜の1つのプロジェクト

ILC(国際リニアコライダー; International Linear Collider)計画は、全長約30キロメ
ートルの直線状の加速器をつくり、現在達成しうる最高エネルギーで電子と陽電子の
衝突実験を行う計画。宇宙初期に迫る高エネルギーの反応を作り出すことにより、宇
宙創成の謎、時間と空間の謎、質量の謎に迫る。ILC計画は、現在欧州CERN研究所で
稼動しているLHCの次に実現するべき有力な大型基幹計画として、世界中の素粒子物
理学者の意見が一致している計画。ILC計画を進めるために、アジア・欧州・米国の
3極の素粒子物理学者による国際共同研究チームが作られ、日本の研究者も世界中の
研究者と密接に協力しながら研究を進めているもの。

※「ILC 計画に関する技術的波及効果等調査分析」

 


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