彦根藩二代当主である井伊直孝公をお寺の門前で手招き雷雨から救ったと
伝えられる招と、井伊軍団のシンボルとも言える赤備え(戦国時代の井伊
軍団編成の一種、あらゆる武具を朱りにした部隊編成のこと)と兜(かぶ
と)を合体させて生まれたキャラクタ-。
【季語と短歌:11月12日】
【今日の短歌研究:】
⬛ ナトリウムイオンを機械学習
次世代電池開発の高速化、低コスト化の実現に大きく貢献
【要点】
⓵これまでの実験データを用いて機械学習(ML)モデルをトレーニング
し、ナトリウムイオン電池(SIB)用正極材料の組成と電気化学特性を予
測した。
②MLの結果に基づき、Na[Mn0.36Ni0.44Ti0.15Fe0.05]O2 (MNTF)を合成し、
549 Wh/kgという高いエネルギー密度を示すことを実証した。
⓷本研究で確立した手法により、SIBの材料開発が効率化され、コスト削
減につながるとともに、今後の電池開発の進展に寄与することが期待され
ている。
【概要】
東京理科大学、名古屋工業大学 らの研究グループは、これまでに蓄積した
実験データを用いて機械学習(ML)モデルをトレーニングし、高エネルギ
ー密度を有するナトリウムイオン電池(SIB)用の遷移金属層状酸化物の
材料探索と電気化学特性の予測。また、MLで得られた結果に基づき、有
望な組成であるNa[Mn0.36Ni0.44Ti0.15Fe0.05]O2 (MNTF)を合成し、実際
の初期放電容量が169 mAh/g、平均放電電圧が3.22 V、エネルギー密度が
549 Wh/kgという優れた性能することを実証。これらの値がMLによる予
測値とほぼ一致していることも確認され、MLモデルの精度が裏付けられ
た。再生可能エネルギーの普及に伴い、リチウムイオン電池(LIB)に代
わる次世代の蓄電技術として、豊富な資源を活用できるSIBが注目されて
いる。SIBの正極材料であるナトリウム含有遷移金属層状酸化物は、結晶
構造や組成によって性能が大きく変わり、特にO3型と呼ばれる構造が優れ
た性能を示すことが知られています。現在、SIBの性能向上に向けた組成
最適化や特性評価に関する研究が広く進められている。本研究グループは、
長年にわたり蓄積されてきたSIB用層状酸化物100サンプルのデータベース
を構築し、これを基にSIB用正極材料の組成、初期放電容量、平均放電電圧、
容量維持率を予測するMLモデルを開発した。材料中の遷移金属が電気化
学特性に与える影響を解明し、MLによって提案された有望な組成であるNa[Mn0.36Ni0.44Ti0.15Fe0.05]O2(MNTF)を実際に合成。MNTF電極の定電
流充放電試験(2.0 ~ 4.2 V)により、初期放電容量169 mAh/g、平均放
電電圧3.22 V、エネルギー密度549 Wh/kgという結果が得られ、MLの予
測値とほぼ一致することが実証されました。一方で、20サイクル後の容量
維持率は83.0%と、予測値の92.3%と比較して低い結果が得られた。
この容量維持率の低下は、⓵充放電反応中に生じるMNTFの結晶構造の変
化や⓶粒子の亀裂が原因であると考えられ、測定の電圧範囲を調整すると、
これらの問題を改善できることがわかった。今後は、これらの現象を考慮
したMLモデルを確立することで、容量維持率の予測精度のさらなる向上が
期待され、本研究で確立した手法は、幅広い候補材料から有望な組成を効
率的に特定できるため、SIB電池開発の迅速化と低コスト化に大きく貢献
する成果となる。
【掲載論文】
・Na[Mn0.36Ni0.44Ti0.15Fe0.05]O2 predicted via machine learning for highe-
nergy Na-ion batteries
・Journal of Materials Chemistry A
・10.1039/D4TA04809A
【脚注】
*1 シンクロトロンXRD(SXRD):シンクロトロン光を用いた粉末X線
回折法。高輝度かつ高エネルギーのX線を用いることで、通常のX線回折で
は難しい詳細な結晶構造の解析や微小なサンプルの高精度な構造解析が可
能。
*2 ICP-AES:誘導結合プラズマ発光分光分析法。試料をプラズマに導入
したときに得られる各元素固有の発光を検出し、定性分析や定量分析を行
う方法。
*3 SEM:走査電子顕微鏡。真空中で電子線を試料表面に当てることで、
試料表面を高倍率で観察する方法。
⬛「隙間だらけのナノワイヤ」がLiイオン電池の劣化防止に効くのか?
11月8日、東京科学大学は、高感度の水素ガスセンサーを開発した。従来に
比べ1桁低い濃度の水素を検出することが可能となるため、リチウムイオ
ン電池の劣化防止などに応用できるとみている。
図1. 図は空隙を含む酸化銅ナノワイヤナノギャップガスセンサーの構成
要素とその構造。下図は大気中での電流の流れと水素検出時の電流の流れ[
◾空隙を含む酸化銅ナノワイヤをナノギャップ電極間に配置
東京科学大学総合研究院フロンティア材料研究所の真島豊教授らによる
研究グループは2024年11月、高感度の水素ガスセンサーを開発したと発
表した。従来に比べ1桁低い濃度の水素を検出できるようになるので、リ
チウムイオン電池の劣化防止などに応用できるとみている。水素ガスセン
サは、金属酸化物半導体型や接触燃焼型、気体熱伝導型などが開発され、
ガス警報器などに搭載されている。中でも金属酸化物半導体型は、反応に
よってキャリア濃度が変化すると、ガス検出材料の電気抵抗も変わる。こ
の抵抗値を測定してガス濃度を検出する。今回は、ガス検出材料として「
空隙を含むナノワイヤ構造」を検討した。研究グループはこれまで、電子
線リソグラフィ(EBL)を用いて、ギャップ長が33nmの白金ナノギャップ
電極を作製する技術を確立してきた。そして今回、この技術を活用しナノ
ギャップ間を跨ぐように銅ナノワイヤを形成。その後、2段階の加熱処理
を行って銅を酸化させ、酸化銅ナノワイヤに空隙を形成した。
z
図2. 上図は極めて低濃度の水素ガスにおける検出応答、下図は5ppbのガ
ス導入時の抵抗変化
図3.センサー機能における応答速度および、回復速度のギャップ長および
印加電圧依存性
研究グループは、検出したいガスに適した材料を用いてナノギャップガス
センサーを開発すれば、さまざまなガスセンサーを高速化、高機能化する
ことが可能とみている。
⬛ 直流kV・kAの電力を高速遮断 小型軽量の電力機器
10月10日、埼玉大学や名古屋大学、東京工業大学、東京大学および、金
沢大学の研究グループは、直流kV・kAの電力を小型軽量の機器で高速遮
断できる、新方式の電力機器「限流遮断器」を開発した。
カーボンニュートラルの実現に必須となる電力システムや電化機器のイメ
ージ 出所:埼玉大学他
◾ヒューズ・半導体・メカトロニクス制御の協調動作を強化
再生可能エネルギーの大量導入や電力化率を向上させて、カーボンニュー
トラルを実現するためには、新しい電力システムや電化機器が必要となる。
これらのシステムや機器は、「直流」で運用されることが多い。このため、
経年劣化などによりシステムが異常状態になると、通常運用時に比べ数十
倍以上の大電力が発生し、大規模故障や火災の原因になるという。
こうした事態を避け、電力を安全に運用するためには、異常な大電力を速
やかに遮断する必要がある。ところが交流の遮断に比べ、直流を遮断する
のは極めて難しく、これまで汎用的な遮断器はなかったという。研究グル
ープはこれまで、ヒューズと半導体が連係した新遮断方式の基礎原理を実
証してきた。その上で、メカトロニクス制御と組み合わせ、高速ヒューズ
転換による再閉路を実現してきた。ところが、この技術を適用できるのは
数百ボルト・数百アンペアという小電力に限定されていた。そこで今回、
ヒューズ・半導体・メカトロニクス制御の協調動作を強化した。この結果、
直流kV・kAの電力を約10ミリ秒で高速遮断することに成功した。しかも、
開発した限流遮断器の外形寸法は最大0.4×0.5×0.3mで、重さは最大10kg
である。現行機器(外形寸法は最大1×1×1m、重さは最大100kg)に比べ
大幅に小型軽量を実現した。
左はヒューズ・半導体・メカ制御が協創した限流遮断の原理と機器構成例。
右は約10ミリ秒で直流kV・kAの電力を高速遮断したことを示す波形例
出所:埼玉大学他
左は現行機器、右は開発した限流遮断器の形状および重さ比較
⬛ 失速「EV」相次ぐ火災事故で広がる不信の連鎖②
1.特開2024-155214 二次電池 日産自動車株式会社
【要約】下図4のごとく、本発明は、負極活物質層13、固体電解質層17、
正極活物質層15が順に積層され、かつ平面視した際に固体電解質層が負
極活物質層よりも面方向外方に突出している発電要素21と、負極活物質
層が表面に形成された負極集電体11aと、正極活物質層が表面に形成さ
れた正極集電体11bと、平面視において負極活物質層の外周を囲うよう
に配置される絶縁層12と、を備える単電池層19と、単電池層を格納す
る外装体29と、を有し、絶縁層は、負極活物質層、固体電解質層、およ
び負極集電体のいずれとも接着されずに絶縁層の内側の少なくとも一部が
負極集電体と固体電解質層の外側部分によって形成される間隙p1に配置
されることで、充放電の際等における二次電池の構成部材の破損を抑制す
る。
図4、図2における絶縁層と隣接する部材との関係について示す断面図
【符号の説明】10a 二次電池、11a 負極集電体(第1集電体)、
11b 正極集電体(第2集電体)、12 絶縁層、13 負極活物質層(
第1電極層)、15 正極活物質層(第2電極層)、15a 非電子伝導部
(集電体とともに間隙を形成する部材)、17 固体電解質層(集電体とと
もに間隙を形成する部材)、19 単電池層(電池部)、21 発電要素、
29 外装体、p1、p2、p3 間隙。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層型電池の外観を表した斜視図であ
る。図2は、図1に示す2-2線に沿う断面図である。積層型とすること
で、電池をコンパクトにかつ高容量化することができる。
図1に示すように、積層型の二次電池10aは、長方形状の扁平な形状を
有しており、その両側部からは電力を取り出すための正極集電板27、負
極集電板25が引き出されている。発電要素21は、積層型の二次電池10a
の外装体29(ラミネートフィルム)によって包まれ、その周囲は熱融着
されており、発電要素21は、正極集電板27および負極集電板25を外
部に引き出した状態で密封されている。
図1.実施形態に係る二次電池を示す斜視図
図2 図1の2-2線に沿う断面図
ここで、現在一般に普及しているリチウムイオン二次電池は、電解質に可
燃性の有機電解液を用いている。このような液系リチウムイオン二次電池
では、液漏れ、短絡、過充電などに対する安全対策が他の電池よりも厳し
く求められる。
そこで近年、電解質に酸化物系や硫化物系の固体電解質を用いた全固体リ
チウム二次電池等の全固体電池に関する研究開発が盛んに行われている。
固体電解質は、固体中でイオン伝導が可能なイオン伝導体を主体として構
成される材料である。このため、全固体リチウム二次電池においては、従
来の液系リチウムイオン二次電池のように可燃性の有機電解液に起因する
各種問題が原理的に発生しない。また一般に、高電位・大容量の正極材料、
大容量の負極材料を用いると電池の出力密度およびエネルギー密度の大幅
な向上が図れる。
【0006】
全固体電池に関する従来の技術には絶縁性の材料を含む枠体が積層方向
において隣接する集電体と集電体の間であって電池素子の外方を包囲する
ように配置する事項が記載されている( 特開2015-076178号)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】 本発明者は、特許文献1の枠体のような絶縁性部材等の配
置の仕方によっては全固体電池等の二次電池の充放電の際などに二次電池
の構成部材が破損し得る事項に着目し、このような破損を抑制し得る事項
について鋭意研究している。
【0009】 本発明は、充放電の際等における二次電池の構成部材の破
損を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】上記目的を達成する本発明の一態様は、発電要素、第1集電
体、第2集電体および絶縁層を備える電池部と、外装体と、を有する二次
電池である。発電要素は、第1電極層、固定電解質層、第2電極層が順に
積層され、かつ、平面視した際に固体電解質層が第1電極層よりも面方向
外方に突出している。第1集電体は、第1電極層を表面に形成している。
第2集電体は、第2電極層を表面に形成している。絶縁層は、平面視にお
いて第1電極層または第2電極層の外周を囲うように配置している。外装
体は、電池部を格納するように構成している。絶縁層は、第1電極層、固
体電解質層および第1集電体、または、第2電極層、固体電解質層および
第2集電体のいずれとも接着されずに、絶縁層の内側の少なくとも一部が
、第1集電体または第2集電体と、第1集電体または第2集電体以外の積
層方向に積層されるいずれかの部材の外側部分によって形成される間隙に
配置される。
【発明の効果】【0011】 本発明における二次電池によれば、二次電池
の充放電等の際に二次電池の構成部材が破損することを抑制できる。
今日の楽曲 『FSO 2016 Oficial | The Great Escape』
『大脱走マーチ ミッチ・ミラー合唱団 スティーブ・マックイーン』
● 今日の言葉: