とにかく、新しい毎日なんだ. / ヘミングウェイ『老人と海』
だが、と老人は考えた、おれは大丈夫だ。ただ、どうやらおれは運に見はなされたらしい。
いや、そんなことわかるものか。きっときょうこそは。とにかく、毎日が新しい日なんだ。
運がつくに越したことはない。でも、おれはなにより手堅くいきたいんだ。それで、運が
向いてくれば、用意はできてるっていうものさ。(福田恆存訳)
“What kind of a hand is that,” he said. “Cramp then if you want. Make yourself into a claw. It will do
you no good.”
Come on, he thought and looked down into the dark water at the slant of the line. Eat it now and it
will strengthen the hand. It is not the hand’s fault and you have been many hours with the fish. But
you can stay with him forever. Eat the bonito now.
"The Old Man and the Sea", pp. 58
『デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。
目 次
序 章 なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
第 1 章 3・11前から観測されていた前兆現象
第 2 章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
第 3 章 「予知」は無理でも「予測」はできる
おわりに
第 2 章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
浅い断層図だけでは分からない地下の動き
JESEAの経営を軌道に乗せる際、メディアの効果が大きかったことは私も認めるし、
有難かったと思う。払の記嘔の取り扱い方もセンセーショナルなものであったが、それが受
けるのは、それだけ人々の危機意識が高いということでもあろ。
週刊誌だけでなく、東日本大震災の後は、今後、巨大地震がいつ来るかという可能性につ
いて、地震学の専門家をゲストに呼んで解説を聞くというニュース番組や特集番組も増えて
いる。
彼らは地震学者だから、当然、地震の起きる仕組みを理学的アプローチから説明する。も
ちろん私も、地震の発生メカニズムを理学的に解明することは重要な研究だと思っている。
第一章で、地震を病気にたとえて、体の表面に出た発疹やくしやみなどの症状から内部に
隠れている病巣を探る方法だと説明した,このたとえでいえば、地震学者のアプローチは、
肝臓などの内臓にどのような理由で異変が起こり、病県が形成されるに至ったか、病気の根
本を追求する作業である。これを追求するには、患者の解剖をしてその組織を調べることが
最大の近道である。
地震でいえば、体内の病巣を確認するには、地表の何十キロメートルもドにあるプレート
や断層がどうなっているか「解剖」してみればいいわけである。
ところが現実に使える観測機械は、地表の揺れを測る地震計と、地下に埋めてあるひずみ
計である。この装置のみでは、地球の複雑な構造を解明することは難しい。
たとえば関東平野はローム層で、火山灰や堆積物で埋まっているため、ボーリングをして
地下の構造を調べるといっても、せいぜい深くても3千メートル程度であろう。
地上から2.3キロメートルというのは、地球喫模でいえばほとんど地表である,浅い地
震でも震源が地下10キロメートルくらいだ,深い地震は、震源が80キロメートル、百キ
ロメートルというような、とても人間の手の及ばない深いところで起きているのだ。201
3(平成25)年にカムチャッカで起きた地震は、オホーツク海大陸棚の609キロメート
ルという深さの地点で発生している,こんな深いところで起きている地震を、地表に現れて
いる断層や地震計だけで予測するのはほぼ不可能といっていい。
その意味で、地震学者がよく言う「プレート理論]を信用しすぎるのも私は危険だと思っ
ている。「地震の起きる仕組み」といって、教科書などにプレート図が載っており、海のプ
レートが陸のプレートの下に滑り込むことでエネルギーがたまり、ある日、プレートの境界
でそれが跳ね返り巨大地震を発生させる……。こんな図や解説を見たことがある人は多いと
思う,地震学の権威という人がそれを説明するのだから、日本人の多くが地震はプレートの
動きで起きる、それが地震の起きる仕組みだと信じていると思う。
しかし、この仮説は、あくまで想像にすぎないのである。地球はこれまでのあいだ、隆起・
沈降や火山噴火、大陸移動などの地殻変動を何度も繰り返してきたと思われる。そんな地球
の内部を、浅い断層図や、プレートの動きの単純なモデルだけで説明するのは、とても無理
なことだと私は考えてきた。
地震の確率論は当てになるか?
もう一つ、私がずっと疑問に思ってきたことがある。それはすでにいろいろなところで公
になり、週刊誌やテレビの特集でも取り上げられてきた、首都直下地震や東海地震の確率論
である。どちらの地震予測も「この先●年以内に起きる確率は●パーセント」という、人々
の恐怖をあおるような数字をはじき出し、タイトルに大きく記されていた。
この地震の起きる確率がどうして出されるのか、私にはずっと分からなかった。そこで、
この確率論がどうやって導き出されたのか調べてみた。私自身も驚いたのだが、その中身は
意外なものであった。
この確率●パーセントという数字に根拠がないかといえば、そうではなかった。「グーテ
ンベルグ・リヒター則」という法則に基づいて計算されたものだったのだ。
これは、ドイツの地震学者ベノー・グーテンベルグとアメリカの地震学者チャールズ・リ
ヒターが1950年代に見出した、地震の発生頻度と規模の関係を表す法則で、「小さな地
震が起きる確率と、大きな地震が起きる確率との比は常に一定だ」というもの。横軸にマグ
ニチュード、縦軸に地震の頻度を取って、対数目盛で計算すると、右肩下がりの直線になっ
ていく。当たり前といえば当たり前なのだが、大きい地震ほど頻度が少なく、小さい地震ほ
ど頻度が多い。つまり、大きい地震はめったに起きないということを言っているにすぎない
のである。
さらにいえば、小さい地震がどんどん起きると、右肩下がりの直線の値も上がっていく。
その数値が上がれば、大きい地震の数値も底ヒげされる。その確率が何パーセントと彼らは
言っているのだ。
理論だけでは分かりにくいので例を挙げてみよう。たとえば1923(大正21)年の関
東大震災であれば、同じような震源、深さの地震を過去にさかのぼって小さなものから大き
なものまですべて数え上げるわけである,関東大震災はマグニチュード7・9で、多くの死
傷粁が出たが、その前後には、近隣で起きたマグニチュード4や5ほどの中小の地震が何千
とある。こうした小さな地震がたまると、大きな地震が一定の期間内に起きるというのが、
グーテンベルグ・リヒター則の確率論なのだ。「首都直下地震が何年以内に起きるという予
測は、そんな統計確率論から導き出されたものであった,
そういった実態を知って、私は少々落胆してしまった。地球の地下の構造やメカニズムか
ら導き出された予測ではなく、確率論をベースに出された数宇だったのである。それがまこ
としやかに公表され、人々がそれを本気で信じて右往左往しているとしたら、これはじつに
無意味なことだ,
大体、この確率論は、過去に起きた大きい地震だけを基準に出しているもので、それがな
いと計算ができないというのも最大の弱点である。
いまや、週刊誌や新聞で、首都直下地震の確率が高まったと騒いでいるが、何のことはな
い。2011年3月以来、東日本大震災の余震が中小含めてたくさん起きていることで、確
率が上がったと言っているだけなのである。
千人以上死者の出る地震が13年に1度起きている
世界にはいくつか地震の多発地帯がある。スマトラ、ソロモン、チリ。日本もその一つで
ある。いまの地震の予知・予測の主流は、こうした多発地帯ですでに起きた地震を唯一の手
がかりにした統計学、確率論なのである。
しかし、過去に起きた大地震を手がかりにして、これから起きる地震の予測が本当にでき
るのだろうか。過去に起きなかったところはどうなのかといえば、まったく分からないのが
この統計学の泣きどころなのだ。いい例が1995(平成7)年に起きた阪神・淡路大震災
である。千年も大きな地震などまったくなかった神戸に突然起きた。これだけでも、何年説
などというのは当てにならないことが分かるだろう。
この阪神・淡路大震災も含め、日本で千人以上が亡くなった大地震は、過去4百年に30
回起きている,その間隔はじつにランダムで何年説という法則はまるであてはまらない(図
12「過去400年の大地震」)。
たとえば、1943(昭和18)年から46年までの4年続けて、鳥取地震(1943)、
東南海地震(1944)、三河地震(1945)、南海地震(1946)と、千人以上が亡
くなる巨大地震が起きている,さらにその2年後の1948(昭和23)年の福井地震では、
約3800人もの人が亡くなっているのだ,ところが、その隆は1995年の阪神・淡路大
震災まで50年近く空白があり、その問は千人以上の犠牲者が出るような大地震は起きてい
ない。
この時期はちょうど日本の高度成長明で、高速道路をはじめ、さまざまなインフラが超特
急で整備され始めた時期である。この大地震空白の時明にそれができたというのは非常にラ
ッキーであった、
それに比べて日本史上最悪だったのは、1700年代に起きた元禄地震と宝永地震だろう。
元禄地震(1703)は、モデルでいえば相模トラフで起きた関東大震災に少し近い,その
4年後に南海トラフ3連動による宝永地震(1707)が起きたのだ。宝永地震の閲49日
後には富士山の大噴火が起きて、せっかく復興した東京、当時の江戸にも数センチの火山灰
が降り注ぎ、再び大打撃を受けることになった。連続するときはこれでもかというほど、最
悪の事態を呼び込むのである。
阪神・淡路大震災が起きてから16年後に、東日本大震災が起きた。どうだろうか。昭和
以降の地震を見ただけでも、統計的な確率計算や、間隔の法則にあてはまっていないのがお
分かりいただけるだろう。
「これから●年以内に首都を八二ックに陥れる巨大地震がやってくる!」などと公言するの
は、我々から見れば、いたずらに人々の恐怖心をあおっているようにしか見えない。いまだ
地震が起きていない場所に起きる可能性はいくらでもあるのだ。
断層のない場所でも大地震は起きる
もう1ついえば、よく地震学者のいう「断層」のあるなしも、あまり当てにならないと私
は考えている。、
1943(昭和18)年に起きた鳥取地震で千人人以上の方が亡くなっているのだが、こ
こには断層がないのである。首都圏もローム層に覆われて断層が発見されにくいので、直下
型の地震が来るとすれば鳥取地震がモデルになるといわれている。
私は土木で力学もやっていたので、断層の力学はある程度は理解しているつもりだ。一枚
の大きな岩盤があるとすれば、断層というのは、岩盤が壊れた後のひび割れである。確かに
地震のときは断層のそばはたくさん動くので、被害は大きくなる。地震というのは弾性体の
破壊なので、塊がばきっと折れたり、あるいは地滑りのように崩れ落ちたりする。であるか
ら、断層がなくても、ある岩盤が割れれば地震は起きるし、大きな塊が落ち込んでも大地震
につながる。今回の東日本大震災は、東北地方の大きい塊がドスンと海のほうに動いたとい
うのが、電子基準点の動きから見た私の見解である。
さて、このように見てくると、統計論や確率諭、さらに断層からの地震予測も、これから
起きる地震の予測には、あまり役に立たないのではないか。それならば、いまや驚質的な精
度を誇る衛星測位システムから得られるデータを利用し、毎日、地殻や地表の異常変動を見
ながら診断する我々の工学学的アプローチのほうがずっと科学的ではないか。そう自負する
のだが、皆さんはどう思われるだろうか。
日本で千人以上死者の出た大地震は、400年間で30回起きているわけなので、確率論
などではなく、県純計算すれば平均13年に1回ということになる。とすれば、いつ、どこ
に起きるかは分からないが、目安として今匯紀中にあと六~ハ回、大きな地震が来ると考え
られる。
JESEAを立ち上げるとき、「グズグズしていられない」と私が思ったのは、いつそん
な大地震の前兆が観測されるか分からないからだ。1年後かもしれないし、すぐ明日のこと
かもしれない。
以前のように数10年の空白の後、連続して巨大地震や噴火が重なるかもしれない。その
前兆を見逃すまいと、我々は日々、診断の精度を上げようと試行錯誤を重ねているのである。
工学の「工」は、天(自然の真理)と地(人類)を切り結ぶものと理解している。つまり、「ど
うしたら、(望ましくて)未だ存在しない状態やモノを実現できるか」の追及、或いは「どうし
たら目指す成果に結び付けられるか」という、人間・社会で利用されること、という合目的性を
追求することと心得るが、ここではそのリアルな実体験として語られている。実に面白い。、
この項つづく
● 海ハムの畜養工学
1905年、天然マグロを使った「海の生ハム」は、南勝浦漁港発祥のマグロの生ハムで、あっ
さりとした味わいに生ハム独特の熟成風味が相まった上品な食材が和歌山の株式会社ヤマサ脇口
水産で開発され、販売されていることを最近知り、今夜ネット検索するも、結構な値段で通販で
取り寄せることだけはしなかった。
とこれで、同社は当初、マグロの取引をしているユーザの、高級料亭やホテルに販売し、料理長
や食した顧客の支持を得て一般市場へ出回る。マグロの生ハムの販売当初は、地元の料理屋で試
しに置いていたが、思った以上に反響があったという。生ハム料理事例では、(1)マグロの生
ハムサラダ――イタリアンドレッシングや、わさびマヨネーズを加える。(2)マグロの生ハム
サラダ巻き寿司、(3)バルサミコ酢やオリーブオイルでカルパッチョのオードブルなどがお勧
め。勿論、白ワインや日本酒ともベストマッチする南紀勝浦港産の海の生ハム。
※ 特開2006-061096 生ハム様クロカワカジキ加工食品およびその製造法
※ 特開2005-341812 生ハム様ビンナガマグロ加工食品およびその製造法
● 今夜の一品
【特許開発の概要】
従来から種々の魚肉加工食品として、(1)魚臭を低減に、マグロのような魚肉を、土壌菌を含
有する調味液に浸漬し、乾燥後、燻煙処理する方法。(2)マグロを包含する種々の魚介を、燻
抹調味料を用いて生ハム様にする方法。(3)サケ・マス肉と結着剤を用いて高圧処理した生ハ
ム様の魚肉加工食品の製造法などがあり、ビンナガマグロが最初につづいて、クロカワカジキの
肉質の特性を利用した、生ハムに非常に似た外観、風味、食感を有する魚肉加工食品として開発
される。その製法特徴はつぎのようになる。
尚、( )ないの数字はクロカワカジキ。
(1)生肉塊の塩水浸漬、非加熱乾燥物の少なくとも周縁部に冷燻処理を施してなることを特徴
とする生ハム様クロカワカジキ加工食品。
(2)0~15(5)℃で25~35重量%の塩水に浸漬し、0~20(5)℃で冷風乾燥した
ビンナガマグロの肉塊の少なくとも周縁部に0~40(5)℃の燻煙で燻煙処理を施してな
る(1)記載の生ハム様ビンナガマグロ加工食品。
(3) ビンナガ(クロカワカジキ)マグロの生肉塊を、塩水に浸漬し、非加熱乾燥後、少なくと
も肉塊の周縁部に煙処理を施すことを特徴とする(1)記載の生ハム様ビンナガマグロ(ク
ロカワスカジキ)加工食品の製造法。
(4)0~15(5)℃で1~2(5)時間、25~35重量%の塩水に浸漬し、0~20(5)
℃の冷風で12(60)~60(168)時間乾燥し、0~40(5)℃の燻煙で2(24)
~90(60時間)分間燻煙処理する(3)記載の製造法。
ということになるが、乱獲による漁獲量逓減するなか、資源保護方法、人工孵化・畜養法の開発
が急がれるほどこの事業は魅力的である。もう、ヘミングウェイの『老人と海』に描かれた世界
はなくなるが、その変わり、美味で、健康的な食品が世界に提供できる日もそう遠くないだろう。、