そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ。
石川哲朗社長/雪印食中毒事件
● 日中食品汚染 16 中国の食品汚染地図
【目次】
第1章 見えない食品の恐怖
第2章 中国の食品汚染
第3章 食品汚染のヒトへの影響
第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
第5章 重金属汚染という新たな難題
第6章 日本の食品は安全といえるか
第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
”健土康食”を実現できるか
食品汚染は構造的な問題であるがゆえに、なくすことは容易ではない。特に中国ではそうで
ある。農業・農民・農村それぞれが解決しえない問題に直面している。この「三農問題」は、
深刻化しこそすれ好転する糸口さえ見えていない,低収益、過疎化、高齢化、所得格差拡大、
都市化による農地収用、農業投資の低迷、農地の疲弊。本来の農林畜水産物を取り戻すために
は、これらが改善されることが必要だ。
中国の農村へ行くと、揮毫を頼まれることがある。そのときわたしが書くことばが「健土康
食」だ。健やかな土壌にこそ丈夫な食品がある、というつもりで自分でつくったことばだ,土
壌がしっかりしていれば、化学肥料も農薬も最小限で済み本来の農産物ができる。しかし、中
国の土壌の大部分は死に瀕しているので、まずは上づくりからやりなおすべきだ。
土をいたわる気持ちの減少は、「悪土病食]しか生まない。
上づくりとは牛糞、鶏糞などからつくった堆肥を土に混ぜ、そこに空気と水分が宿りやすく
することだ,中国の土はもともとアルカリが強すぎて農産物が育ちにくい傾向がある。だから
こそ恒常的に土づくりを欠かさないことが農業生産のための必要条件なのだ。
中国の大地にをつと、牛、鶏、豚、羊などの糞の匂いがしてくることがよくある,わたしは
新潟県の純農民の家系に生まれ、農村調査40年以上の経歴がある。日本の農村はもちろん、
中国 のさまざまな地域、アメリカ、欧州、アジアの農村で嗅覚を磨いてきた。糞の匂いがど
の家畜のものか、間単に嗅ぎ分けることができる。
あるとき、畑で野菜の出来具合や土壌を見回しながら、同行してくれた中国の農業専門家に
「あっちの方角に牛舎があるはずだ」といったら、「そんなことがH本の学者にわかるのか」
と返された。「わたしには見えずとも、牛や豚がいる場所がどこかわかるのだ。日本の農業専
門家を過小評価するものではないよ」とやり返したことがある,
わたしが子供の頃、村びとはまだ牛や馬を耕耘や牽引に使っていた。牛分は「ベチャ」とい
う音とともに地面に落ちるが、丸い馬糞は「ポトッ」と落ちる。馬糞はきれいに消化されてい
るのであまり匂いはしない。稲わらにまぜて堆肥にしないことはないが、牛糞にかなわない。
牛糞の堆肥転化率は自然に湯気を上げて熟成していく。牛糞に比べたら豚の糞尿の匂いはきつ
く、都会育ちの学者は豚舎に入ることさえいやがる。なぜなら、匂いが着ている服装に沈着し
て洗うまで落ちないほどだからだ。
しかし、匂いの強さにかけては鶏糞にかなうものはなかろう。鶏糞は尿と一緒に出てくるの
で柔らかく、鶏舎のケージの下は一面泥を塗ったようになる。鶏糞は堆肥にすることはほとん
どなく、今ではそれ自体を発酵させる。そして、肥料としてよく効く。鶏、豚、牛の糞は発酵
させると80℃くらいの熱を出しながら熟していく。3ヵ月ほど寝かすと極上有機肥料の出来
上がりだ。こうして作った肥料は匂いも味もしなくなる。わたしは何度も、それを嗅いでなめ
たことがある。
中国に必要な肥料は、これらの完全に熟した有機肥料だ。人の糞尿は糞と尿を分けて回収し、
尿だけを畑の畝にかけると肥効がいい。間違っても菓や茎にかけてはいけない。
人の糞尿は、ご存じのとおり鶏糞にも劣らないほどの匂いで、とくに固形物の方は胃腸内で
の消化率が低いまま排泄されるからだ,これをそのまま畑にまいたらどうなるか? 人糞を発
酵させるには高度の技術がいるが、農民は経験的にその方法を知っている。だが、中国の農民
はあまり発酵しないうちに畑にまくことが多いので、問題となることは既述した,
実際の中国農業は、耕種農業と畜産経営が分離されてきたので、化学肥料依存、人糞肥料依
存、その結果としての農薬依存農法が広がる結果となった.
図4は中国で農業に適合する土地(斜線部分)を示したものだ。このように、農業に適する
地域はそれほど広くない,比較的適しているところは東北地方の黒屯江省、古林省、遼寧省、
山東省、河北省、内モンゴル自治区、江蘇省、河南省、安徽省、江西省、湖南省、四川省、貴
州省、広東省、新疆ウイグル自治区の各々一部などである。そもそも農業に向いていない土壌
が多い中国で農産物を作るには、堆肥を基礎とする土壌作りが必要で、それをたゆまずに実践
してこそ、健土康食が実現されるはずである。
農薬の知識が乏しい
農薬は人がコントロールしてはじめて、有効で安全な使い方ができる。しかし中国の農民に
は農薬の危険性への自覚が不足している。ほとんどの劇薬農薬は甑や袋を開けてそのまま散布
するものはなく、何倍かの水に薄めて噴霧器で使うものだし、粒状の場合は面積当たりの散布
量が厳格に決められている。
農民は販売店で何倍の水に薄めるかを示す希釈率や使い方を教えてもらうこともできるが、
同じ日にたくさんの種類の農薬を使うことがあるため、混乱しやすい。収獲物は農薬を散布し
てから数日たたないと出荷してはならない決まりがあるが、守る農民も皆無だ。
第一.なで述べたように中国では化学肥料だけではなく、「農家肥」という有機肥料、つま
り人糞を土に混ぜたもの、家畜の糞尿肥料などが今でも使われている。しかし、中には生に近
い農家肥もあって、土壌中の線虫や雑菌の繁殖を促すものもある。そうなると土壌は臭い、そ
れが農産物にも影響を与えるので今度は農薬をまく。しかも中国では薬剤耐性が進んでいるの
で許可農薬ではなく効き方の強い禁止農薬を使う。それが、残留農薬の危険性を高める一因と
なっている。
農薬の種類
食品汚染の最大の元凶は、許可農薬のみでなく禁止農薬のまきすぎによる食品残留農薬であ
る。日本でも片は、今では禁止となったDDTやBHCといった発ガン性が認められる農薬を
農家はマスクもせず素手で散布したものだ。
DDTやBHCなどの禁止農薬(日本では1969年水田散布散布禁止、1971年世界に
さきがけて販売禁止になった)の代わりに使われるようになったのが有機リン系殺虫剤だが、
これも高い危険性が指摘されている。
農薬はそのほとんどが化学物質からできているが、その化学物質を有効成分という。農薬製
造・販売は国の許可制になっていて、勝手に何でも使っていいというものではない。つまり、
お上は農薬の成分を規制し、許可した化学物質以外使えないということにしているが、その数
は日本の場合500哺と多い。農薬には3通りの数え方がある。農薬に含まれる有効成分(化
学物質)を単位にするものと、銘柄の数、種類である。銘柄はいろいろな有効成分を組み合わ
せて作るため膨大な数になる。ほぼ毎年のように新しいものが加わり、薬剤耐性による効き目
の低下、環境への配慮などの理由から消えていくものもある,
中国でも農薬の用途別種類を、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、成長促進剤と大きく分類している
が、種類ごとの消費量は公表されていない。公表されている許可農薬使用鼠の推移を示したの
が表7だ。したがって、この図には禁止農薬の消費量は含まれていない。国が定めている残留
農薬検査基準に記載されている禁止農薬の残留基準値や各地の販売事例などから推測すると、
この図が示す数値のほぼ30%増が年間の農薬消費量ではないかと思う。
このデータをたどっていくと、2002年から2011年までの10年間に、中国の農薬消費
量は50万トン増えて179万トンになっている,10年間で約1・4倍に増えたことになる。し
かも毎年のように増え続け、今後もさらに増える見通しだ。総量も問題だが、実は耕地1ヘク
タール当たりの消費鼠も、2002年には85キログラムだったのが、2011年には110キ
ログラムに増えている,
中国でも有機農業が叫ばれる中、このような増え方は異常で、日本などとは比較にならない
数字なのだ。日本の2012年の1ヘクタール当たり農薬消費吼は約43キログラム(農薬工業
会や農水省のデータから計算)なので、2・5倍以上もの農薬をまいていることになる。欧米
に比べるとさらに数倍多いほなのだ。
化学肥料も増えている
同じく表7から見た化学肥料の消費砥も、農薬ほどではないが増え方は小さくない。200
2年は化学肥料全体(1粒に3要素が混合した合成肥料1袋に粒状3要素が梱包された複合肥
料含む)で4339万トン、2011年は5704万トンで、31%の増加だった。うち窒素肥
料は同じ期間に2157万トンから2381万トンヘ、燐酸肥料は712万トンから819万
トンヘ、カリ肥料は422万トンから605万トンヘ、それぞれ10・4%、15・O%、4
3・4%増えている。
中でもこの10年間で、とくに大きな増え方をしたのがカリ肥料だ,塩化カリウムを成分とす
るこの肥料は、収穫を増やすにはとても効果的で、中国の野菜、穀物の生産屋が増えたのは、
品種改良や温暖化の影響で黒竜江省やむ目林省など北部地方の生産量が増えたためばかりでな
く、カリ肥料の使い方を増やしたことが大きな原因で、丹念に土づくりをしたせいではない。
ちなみに、2013年、中国の穀物生産量は、史上初めて6億トンを超えたという。
農薬や化学肥料のまきすぎが水田や畑の土壌構造を破壊することは、専門家の間では周知の
事実だ。農地の上壌構造が破壊されると、植物が根を張り、養分を吸い上げる耕土は水分・酸
素・肥料養分を保持しにくくなり、各種バクテリアなど土壌内徹生物の生息環境の破壊、地中
内ガス等の排出機構破壊といった植物の生育環境の悪化をもたらす。
化学肥料の多い土壌での栽培は、人間がサプリメントや健康補助剤だけでは健康を損なうこ
とと同じで、農作物一般にとっても好ましくない環境だ,また農薬のまきすぎが農産物の自然
成長力を弱め、残留農薬問題を引き起こす原因であることはいうまでもない,
基準は守られているか
中国にはあらゆるものに国家が定めたGB規格という基準値がある。当然のことながら農薬
にも、「食品安全国家基準、食品中農薬最大残留限度賦」(最新版は2012年H月、GB2
763-2012)という規格がある。ここには、現を許可されている農薬銘柄約3万のうち、
禁止農薬のアルドリン、DDT、エンドリン、BHCなどH種類の農薬を含め、全部で307
随順(3万の銘柄数や600の有効成分数ではないので注意)の農薬が掲載されている。
なぜ、使用禁止になった農薬までGB規格に含まれているかというと、過去にまいていた禁
止農薬が今なお土壌や地下水に残留し、通常の農薬と同じように農産物に作用し、残留するか
らだ。
通常の許可農薬、たとえば殺虫剤に使われている倍硫リンの場合、コメ1キログラム当たり
0・05ミリグラムが「最大残留限度量」として表示されているが、1983年に使用禁止な
ったDDTの場合は、「再残留限度ほ」として0・1ミリグラムと定められている。しかし、
再残留限度蹴は他の許可農薬に比べても決して低くはない。DDTが禁止されてすでに30年近
く経っているが、それだけ土壌や地下水残留期間の長さを示すものといってよい,DDTに限
らずBHCやアルドリン(殺虫剤、中国名蓬氏剤)なども同じ「再残留限度量]扱いとなって
いる。
こうやって国が最大残留限度ほや再残留限度量を定めていても、問題は、これら禁止農薬が
現在もまかれ、自然に負荷を与え続けていることだ。今も使われているということは、少なく
とも今後30年以上、残留限度規制や監督をし続けなければならない※。裏を返せば、それだ
け消費者の身体への負担が消えないことでもある。国内で食べる人はもちろん、そのコメを輸
入して食べる国の消費者も同様だ。
※ 原発廃炉と同じ程度?
農薬は世界をめぐる
最後に指摘したいのは、DDTの残留農薬限度基準が中国と日本で異なる点だ。コメの場合
中国ではO・05ミリグラムだが、日本はO・2ミリグラムだ。危険性に関する日中両国の認
識に4倍のひらきがあることを意味している。守れるかどうかはともかく、中国の管理基準は
日本よりも厳しい,
中国には600以上の農薬(有効成分)があることになっている。しかし、この数は中国に
流通している食品に残留している可能性のあるすべての随順ではない点が重要だ。
日本の農業工業会によると、世界には約700種類の農薬があるから、中国には600種類
ではなく、最大で700種類の残留農薬が入った食品がある可能性がある。いまや中国も食品
の輸入大国となり、あらゆる国から食品を輸入している可能性があるからだ。もちろん日本も
そのうちのひとつだ。
さらに付け加えると、中国の国家知識産権局によれば、中国が開発してその特許権登録をし
た農薬はすでに975種類に達している。この中から仮に闇に流通しているものがあるとすれ
ば、残留農薬検査から外れている恐れもある。遺伝子組換え農産物が違法に商業化されている
現状をみれば、かならずしも非現実的なこととはいえない,
ということは、財界中の農薬が付いてくる可能性があるということだから、中国では600
種類ではなく700種類の残留農薬検査をしなければ、本当の安全は保障できないのではない
か。その検査をすり抜けた食品は、今度は日本に入ってくる可能性がある。100種類(70
0種類マイナス600種類)の新しい種類の農薬が中国で加わって、700随順となった農薬
が日本に入ってくる可能性を意味している。食品のグローバル化と「食品モジュール化」の急
速な進展によって、国境は農薬を遮断する役目を緊たさなくなっているのが現実だ。
ここで、著者が信奉する?"健土康食”に理があるものの、農業の高度化進展している日本では 水
耕栽培のように脱土壌化が進み 場生産のようの「1→N」生産方式(この時の"1" は栽培対象
の種子・苗が年間当たりの栽培数、あるいは収穫数)に移りつつある。勿論、新しい品質の作物の
開発にあたっては自然農法の環境条件を再現する必要はある。したがって、ティースプーン1杯の
土壌含まれる●億個レベルもの微生物もその解析対象になる。その気の遠くなる開発を『オール人
工型植物育種システム』で効率的に解析し、人工栽培生産の量産化プランを提案できるようになる
と考えているから、いささか古風で農本主義遺制のにおいを感じる。そうであれば、この問題も半
世紀後には、この手の汚染問題は中国でも聞かれなくなっているだろう。ともあれ、中国産の農産
物とその加工品の輸入については要細心である。
この項つづく
一般需要者への電源インフラが充分に整っていない新興国等の国々や地域等を対象に、リチウムイ
オン電池やニッケル水素電池等の2次電池の電池モジュールを用い、太陽光発電等の再生可能エネ
ルギを利用して電源インフラを構築する電力供給システムが考えられている。このような様々な場
所で充放電可能な電池モジュールを使用して電力供給や課金を行う場合、電池モジュールの使用履
歴情報――電池モジュールの充放電状態、残存寿命、所在、使用環境等を推定し、最適充放電制御、
寿命管理、回収、リサイクル、故障原因推定等を行うために――が必要となる。特に、リチウムイ
オン電池のような高電力密度の2次電池では、充放電制御が電池の性能を引き出し、寿命延長や安
全確保や、資源確保や安全に回収やリサイクルに、さらに、電力の提供や使用料の課金などに電力
量を充放電したのかを把握する必要がある(上/下図参照)。
そこで、電気通信大学が九州大学やNECなど民間企業と協力し、地球規模でエネルギー問題の解
決を目指す研究プロジェクトに乗り出すことを公表(日刊工業新聞 2015.07.24)。送配電網が不要
な仮想電力網(バーチャルグリッド)システムを構築し、IoT(ものイン多ネット)技術を使い、
蓄電池をネットワークで制御。市川晴久電通大教授の主導するプロジェクト(i―パワードエネル
ギー・システム研究センター)を開設し、17年にもバングラデシュで、再生可能エネルギー発電
システムで充電した全ての蓄電池をIoT技術で管理するバーチャルグリッドシステムの実証実験
を行う予定。さらに、18年以降、世界共通のプラットフォームとして確立し、国際標準化し、日
本の産業競争力の向上、およびグローバル人材の育成につなげるとのこと。
なお、この実証実験の成果でスムーズに商用化できれば、発展途上国の生産水準向上が飛躍的に加速、
いままでにないような「成長と環境調和モデル」がバングラデシュで実現でする(下図/下ダブルクリック)。
猛暑は本当に堪える。とうことで、こんな日は三色素麺で涼しくと思ったが、切れてなかったので
普段通りの単色素麺をランチに頂く。今年は猛暑だから茗荷が痩せていると彼女が見せる。なぁ~
んだ、それもかと言いつつ口に運ぶ。やはり涼がも味わえるコールド・ソーメン(ヌードル)は世
界一だね。
それにしても、東芝の粉飾決算は酷いね。三菱、日立の三者は官僚的な社風だったから好感はもて
なかったが、そこにファンドマネージャーの短期利益至上のネオ・リベラリズムだから結果は見え
ている。いろいろ思うところあるが今夜はこの辺で。