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Channel: 極東極楽 ごくとうごくらく
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最新量子ドットソーラー工学

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  デザインとは、単なる視覚や感覚のことではない。
        デザインとは、どうやって動くかだ。
                                                   
                    スティーブ・ジョブズ  



 

【タフな女神:進化するリチウム空気電池】

電気自動車や電力安定化の大容量蓄電池開発が進められている。このような、次世代のリ
チウムイオン電池のリチウム空気電池の理論的なエネルギー密度は現存する蓄電池に比べ
遥かに大きい。リチウム空気電池は、酸素正極とリチウム負極との組み合わせにより、正
極反応:2Li++O2+2e-→Li2O2、負極反応:2Li→2Li++2e-、トータルでは、反応2Li+O2
→Li2O2に従い、3600Wh/kgのエネルギー密度(=容量1200Ah/kg×操作電圧3.0V)を理論的に
供給できる。このエネルギー密度は、従来の炭素/LiMn2O4(または炭素/LiCoO2、炭素/
LiFePO4)系統の充電可能なリチウムイオン電池の6倍以上である。

ここで、当該理論エネルギー密度(3600Wh/kg)は、必要とするリチウムおよび酸素の全質量
に基づいて算出されたものであり、もしも空気から供給される無尽蔵の酸素が直接利用で
きるならば、リチウム-空気電池はより高いエネルギー密度をもつ。この理論エネルギー
密度(3600Wh/kg)は、必要とするリチウムと酸素の全質量で算出した。もしも空気から供給
される無尽蔵の酸素を直接利用できれば、リチウム空気電池はより高いエネルギー密度を
もつことになる。 

このような研究途上のリチウム空気電池は、電解質の有機電解液が一般に用いられるのは
商業用リチウムイオン電池の対電圧特性(対酸化性・対還元性)が優れ、リチウムイオン伝
導性も高いため、電解質として採用されている従来の有機電解液を、リチウム空気電池に
転用するが、リチウム空気電池は、リチウムイオン電池とは電気化学反応が異なる。

また、リチウム空気電池は、正極の空気極が酸素ガスを取り入れるために、リチウムイオ
ン電池とは異なる、開放系の構造が採用される(上図参照)。このような相違により、従
来の有機電解液は、リチウム空気電池においては、(1)充放電に伴い、酸素と反応して、
分解する(非特許文献、(2)空気極を介して空気中に揮発する、(3)空気極を介して空気中
の水分を溶解する、(4)空気極の細孔に容易に浸透することにより、空気極に必要とされ
る電子電導通路、イオン電導通路とガス拡散通路の、3つの通路全部を確保することが難
しい。有機電解液の浸透は、リチウムイオンを空気極内に供給に必要であるが、一方、空
気極の細孔が液体電解質で完全に満たされた後は、酸素の空気極内への拡散が阻害される
大きな問題をもつ。

これらの問題に起因し、従来の有機電解液を用いたリチウム空気電池は、(1)により、有
機電解液が消耗されるとともに、放電反応の生成物としてLi2O2のみならず、有機電解液と
の反応によりLi2CO3などが生成する複雑なメカニズムとなること、(2)により、長時間の
充放電および電池の長時間の保存ができないこと、(3)に対処するためには、空気に代え
て、酸素ボンベからのドライ酸素を使用することになり、実用には向かないこと、(4)に
より、空気極内の電気化学反応は、有機電解液中に溶存する酸素ガスのみに基づくことに
なること等の難点を有し、これらによって、電池の容量が小さく、サイクル特性が悪く、
レート特性が良くないなどの結果が生じることとなる。このため、従来の有機電解液に代
わり、より電気化学的に安定であり、かつ、不揮発性、水の不溶性を有する電解質が求め
られ、また、電子電導通路、イオン電導通路、及びガス拡散通路が確保される構造をもつ
空気極が求められている(出典:特開2014-022281「電解質としてイオン性液体、空気極と
してカーボンを分散したイオン性ゲルを用いたリチウム-空気二次電池
」)。

ところで、リチウム-空気電池は空気中の酸素(O2)を電気化学反応に利用している。放電
する場合には、外部回路からの電子と、電解液中のリチウムイオン(Li+)が、空気極中に
拡散してきた酸素と還元反応を起こして、過酸化リチウム(Li2O2)になり、充電する場合
には、逆にLi2O2が酸素発生反応を伴って分解し、リチウムイオンと酸素になるのが理想的
な反応である。ところが、空気極でのLi2O2酸素発生反応の過電圧が1.0 V以上の大きな値
になり、その高い過電圧で空気極に用いられているカーボンや触媒なども腐食されてしま
うそのため、(1)腐食対策として、カーボンフリーの空気極、(2)過電圧対策として、
ヨウ素イオンなどの利用が研究されている。


図 開発したリチウム-空気電池用空気極のレート特性(左)と電流密度500 mA/g(=
0.25 mA/cm2)での200回の放電サイクル特性(右)

先月24日、産業技術総合研究所らの研究グループは、有機電解液に約100 ppmの水を加え、
空気極に炭素・ルテニウム・二酸化マンガンを使用――これまで非水系リチウム-空気電
池では、避けられていた水に注目し、空気極の過電圧を評価するために、負極にリン酸鉄
リチウム(LiFePO4)を用い、DMSO(ジメチルスルホキシド :Dimethyl sulfoxide)に
わずかな水(約100 ppm)を加え有機電解液とし、空気極の触媒に、炭素とルテニウム(Ru
)と二酸化マンガン(MnO2)を用いた。この構成の電池では、空気極の上に放電で生成し
たLi2O2がH2Oと反応し、固体状の水酸化リチウム(LiOH)と過酸化水素(H2O2)になり(Li
2O2 + 2H2O = 2LiOH + H2O2)、LiOHは低い電位で、酸素発生反応により分解され、Li+、
O2とH2Oになった。

また、H2O2もMnO2触媒による酸化還元反応で、O2とH2Oになる。これらの反応で H2Oは、中
間体LiOHを経由して消耗せずに循環し、触媒の役割を果たし、空気極により、空気極のカ
ーボン+Ru+MnO2の重さを基準にした電流密度250 mA/gで、充電と放電の過電圧がそれ
ぞれ、0.21 Vと0.11 Vに低減され放電時に得られる電圧と充電に必要な電圧の差が
わずか0.32 Vとなった上に、電流密度が600 mA/gと1000 mA/gの場合も、充電の
過電圧が大幅に削減され、さらに、放電容量1000 mAh/gに規定した充放電サイクル試
験では、安定した200回の充放電サイクル特性が得られた――することで、空気極の充
電曲線の過電圧を大幅に低減に成功する。次世代自動車は、(1)超高効率固体酸化物型
燃料電池(水素)か、はたまた(2)リチウム(あるいは亜鉛)-空気電池(電気)のど
ちらが選ばれるか?面白くなってきた。




【最新量子ドットソーラー工学Ⅰ】

● アップバージョン量子ドット太陽電池 

シリコン系の太陽電池は、分光感度が高い波長領域が限られ、太陽光が十分活用されない。
この問題解決の1つとして、長い波長の光を吸収して、より短い波長の光を発光すること
によって光の波長を変換するアップコンヴァージョンが研究されている。さまざまな種類
のアップコンヴァージョン機能がある。現在のところ十分な量子効率が得られていない。

例えば、三重項-三重項消滅過程を示す組み合わせの有機光増感分子と有機発光分子をイ
オン液体中に溶解、分散させて光変換要素や光変換要素を用いたアップコンヴァージョン
膜層を配置した太陽電池が開示されている(特開2015-122470「液体アップコンヴァージョ
ンマイクロカプセルの製造方法、液体アップコンヴァージョンマイクロカプセルを用いた
アップコンヴァージョン層を有する太陽電池モジュールおよび表示装置 」参照)。

この特許例の液体アップアップコンヴァージョンマイクロカプセルの形成方法は、(1)
液体アップコンヴァージョン混合物を形成する工程と、(2)溶媒に液体アップコンヴァ
ージョン液体とを混合し撹拌する撹拌工程で製造し、(3)また、太陽電池モジュールは、
受光面側から、受光面側保護層と太陽電池セルと裏面側封止層と裏面保護層の順で構成し、
セルの裏面側に液体アップコンヴァージョンマイクロカプセルを用いた層を配置している
のが特徴と、これにより、液体状のアップコンヴァージョン混合物を低コストで用いるこ
とが可能となるという新規考案である。

 

 



● 異種のサイズ違いの量子ドット太陽電池

半導体材料を主成分とする母体粒子1A中に複数個の量子ドット1a、1b、1cを含む
量子ドット複合体1の構造で、この量子ドット複合体が集積されて量子ドット膜7となり、
これを半導体層11上に積層して太陽電池をつくる。この場合、量子ドット1a、1b、
1cがそれぞれ単結晶であり、各量子ドット1a、1b、1cの周囲にある母相3を中間
層として孤立した状態で、母体粒子1A中でそれぞれ量子ドット1abcとしての特性を
発揮でき、このことでキャリアの輸送効率が高まり、光電変換効率の高い太陽電池をえら
れる、サイズが大きくても光電変換効率の高い量子ドット複合体と、これを集積した量子
ドット膜とそれを適用した太陽電池が提案されている(下図参照)。

 
尚、この実施形態の量子ドット複合体1は、外見上1個に見える母体粒子1Aの中に微細な
単結晶が母相3を介し存在、微細な単結晶は個々に量子ドット1abcとしての性質を示
すものになる。この場合、単結晶のサイズ(最大径は1~9nmであることが望ましい。
量子ドット1abcがこのようなサイズであれば、半導体材料がシリコンで、多結晶タイ
プのシリコンのサイズ(通常、100nm以上)のエネルギーギャップ(1.1eV)よ
りも高くすることができる。エネルギーギャップが1.1eVよりも高く、1.3~2.0
eVになると、多結晶タイプのシリコンとは異なる波長の光を吸収でき、p型半導体層や
n型半導体層と組み合わせた場合には、多結晶タイプのシリコンだけで構成された太陽電
池の吸収波長帯とは異なる波長領域までカバーすることができる。

具体的な数値はでてこないが、着々と超高変換効率太陽電池技術が整いつつ(整頓)ある
とうだ。ガンバロウ!日の丸量子ドット太陽電池。



  ● 今夜の一品

おかずとご飯が同時に調理できる優れもの。ポータブルタイプの野外料理の調理器として
も、マイクロウェーブ&グリルの2つあれば、防災&アウトドアークッキングで力を発揮
しそうだ。


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