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最新水素燃料船工学

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  ただ、バッターに集中しただけ。記録が達成できて、うれしい。

                                        岩隈 久志     
                                           

 



● メジャーでの初完投、初完封

 

【オールソーラシステム: 最新水素燃料電池船工学】

今月5日、椛島で、低炭素型の小型船舶(燃料電池船)の完成式典が行われ。この船は、環
境省が五島市椛島沖で実証事業を実施している浮体式洋上風力発電の余剰電力で生成した水
素を活用した燃料電池で走る水素船。環境省による「二酸化炭素排出削減対策強化誘導型技
術開発・実証事業(小型船舶低炭素化の技術開発・実証事業)」でつくられた。この事業は、
環境省浮体式洋上風力発電と連結し、余剰電力の水素生成活用した実証実験。小型船舶をモ
デルに、燃料電池を利用し外洋での運航が可能な低炭素型小型船舶を製作→小型船舶の低炭
素化を促進→漁船等への水平展開を図ること、海洋再生可能エネルギーの普及促進を図る。

この低炭素型の小型船舶は、戸田建設株式会社、日本海事協会、長崎総合科学大学が製作。
船名は「長吉丸」(英名:Ever fortune)。五島市では、漁船の名前に男性の名前を用いる慣
習しているが、五島ふくえ漁業協同組合長の名前からとった。

このニュースに触れ、未来の漁港や海上運輸港に配置した水素ステーション(ソーラーパネ
ル風力発電、バイオアマスなどの再エネ由来水素)から船出するイメージとこれらの水素ス
テーションに水素を供給する水素コンテナー船が往来するイメージが浮かんだ。

 ● ナノスケールで燃料に炎を点す:燃料電池電極の性能アップに成功!

沖縄科学技術大学院大学(OIST)などのナノ粒子技術研究グループは、ナノ粒子をそれぞれ
金属酸化物でカプセル化させ貴金属ナノ粒子の凝集を防ぐ方法を開発。この成果により高性
能な燃料電池開発に応用可能となる。

これまで、燃料電池で起こるエネルギー転換促進に、貴金属のナノ粒子を電極の表面に分散
させ、マクロスケール化することで化学反応性を高くするが、ナノスケールでは、その原子
の反応性が増す。このような金属のナノ粒子の触媒機能で、燃料から電子発生させる際に必
要な化学反応速度を加速する一方、ナノ粒子を電極上に吐出する際、粒子同士がパテのよう
につぶれ、より大きなクラスターを形成(このナノ粒子が凝集す現象を焼結と呼ぶ)。燃料
分子がナノ粒子触媒と相互作用を起こすとき、利用できる触媒全体の表面積の逓減させ、そ
の結果、燃料電池では燃料分子の最大ポテンシャルを阻害する。

そこで、(1)まずパラジウムのナノ粒子を酸化マグネシウムのシェルに閉じ込めカプセル
化する。(2)次に、このコア-シェル構造のナノ粒子を電極上に分散し、(3)ナノ粒子
で覆われた電極がメタノール燃料電池中の電気化学反応速度が向上するかどうか測定。この
結果、パラジウムナノ粒子のみを用いた場合に比べ、パラジウムナノ粒子をカプセル化した
ものは、著しき性能向上がみられた。

つまり、下写真のように、マグネシウムとパラジウムのナノ粒子を個別に調べて、酸化マグ
ネシウムナノ粒子が貴金属ナノ粒子のまわりに多孔性シェル形成できることを突き止めた。
このシェルター機能を果たす酸化マグネシウムシェルが多孔性であることで、燃料分子がカ
プセル化したパラジウム(貴金属)への到達を阻まず、酸化マグネシウムシェルがパラジウ
ムのコアとコア間のスペーサーとして機能することで、パラジウム粒子同士が互いに結合す
るとことなく、最大反応ポテンシャルを達成できることを確認した。

Engineering high-performance Pd core-MgO porous shell nanocatalysts via heterogenous gas-phase synthesis 
V. Singh, C. Cassidy, F. A.-Pedersen, J. -H. Kim, K. Aranishi, S. Kumar, C. Lal, C. Gspan, W. Grogger, and M. Sowwan      Nanoscale 7 (2015) 13387-13392.

● 生物進化工学: タコのゲノム解析に成功

骨が無く、3つの心臓をもち、約5億個の神経細胞のほとんどが8本の長い腕(触腕)に局
在している生き物。ギリシャ神話に登場する怪物ヒドラのように腕を再生でき、それぞれの
腕は独立して動く。また腕の筋肉を硬直させると、一時的に肘や肩に変化でき、さらに、変
幻自在な擬態能力と自分の巣を獲物の残骸で装飾する習性を持つのがタコ(蛸)。ヒトが脊
椎動物の進化の頂点だとすれば、無脊椎動物の中でその対極にあたり、最も高い知能を持つ。
タコはイカなどとともに頭足類に分類され、その祖先は巻貝に似た動きが遅い体の軟らかい
生き物。活発で巧みな捕食動物でもある。現代の巻貝やカキ、その他の軟体動物も同じ祖先
を持つが、並外れた能力を持つ生き物に進化してきた。 

前述した触媒電極の研究と同じ、沖縄科学技術大学院大学らの研究グループは、そのタコの
全ゲノム解読に成功――世界で初めての頭足類のゲノム解読――となる究成果は、15年8
月13日付け英科学誌ネイチャーに掲載された。タコのゲノムは多くの点で他の海洋無脊椎
動物のゲノムと似通り、そのユニークな神経系についてその起源と機能を理解する鍵となる
思いがけない特徴も明らかにする。頭足類の脳は無脊椎動物の基本的な脳を精巧にしたもの
で、ヒトや他の脊椎動物の脳とは全く異なる組織をもつ。

頭足類は、3億年以上前、古代の海の捕食動物として出現。頭足類は、地球上で最初の知的
な生物だった。タコのゲノム解析プロジェクトを開始し、複雑なタコのゲノムの解析は、大
きな挑戦を行う。タコのゲノムは、幾つかの大きな遺伝子群があり、いかに複雑な神経のネ
ットワークをもつののかを知る鍵となる。この遺伝子群は、他の動物においても脳の発達制
御に関わっていて、非常に大きな広がりがあるが、詳細は依然と不明なまま。頭足類では、
他の動物は知られていない遺伝子が大量発見されている。一部の遺伝子は、頭足類の見事な
カモフラージュ能力を可能にする皮膚の動きに関係する。

今回のゲノム解析の分析は未解決部分を残すが、人間が鳥の持つ機能を模倣して飛行機を発
明したように、将来、タコの多様な能力を真似たロボットが開発され、人間が海底まで到達
できる日もくるかもしれない。また、タコが科学者を魅了してやまない理由には、脊椎動物
の脳の組織的なプロセスを必要とせずタコの脳が組織化されていることだ。タコの神経系を
構成する基本的要素が、陸上生活者の人間のようなものとは根本的に異なるかどうかに関し
ても、今後明らかになっていくとる期待されている。

 

 

● 水処理用微生物固定担体工学: スポンジ「Yキューブ」

雪ヶ谷化学工業は、汚水処理を効率化するスポンジ「Yキューブ」を追加発売。下水などの
有機排水に投入すると、スポンジ内に微生物がすみつき、処理槽内の微生物の数が増加、効
率が上がる。ただし、価格は処理層の規模や用途により個別見積もるという。また、同社は
知財は保有しておらず、企業技術(know-how)のみ。

Y-CUBEは、スポンジ内は壁を大小の気泡でつないだような構造で、微生物が定着しや
すくし、ポリビニールでアルコールを担体とし、水に入れると水に近い性質となり微生物を
引き寄せる――ウレタンスポンジ比で10倍の微生物繁殖、処理槽に送る空気を減らし省エ
できる。用途として、下水処理場をはじめ、有機性の排水処理が必要な製紙工場や食品工場
に販売。設備を変えず浄水能力が上る。また有機排水以外の汚水に投入後かき混ぜ取り出す
ことで、微生物のかたまりをろ過するフィルターとしても利用できる。海水内の微生物ろ過
に使用し、ビブリオ菌の数を10万から100まで減らせた実績がある。

 

 
 【縮原発論 13: 核ごみ廃棄処理のススメ】   

  目次   

  第1章 日本人の体内でおそるべきことが進行している!
  第2章 なぜ、本当の事実が、次々と闇に葬り去られるのか?
  第3章 自然界の地形がどのように被害をもたらすか
  第4章 世界的なウラン産業の誕生
  第5章 原爆で巨大な富を独占した地下人脈
  第6章 産業界のおぞましい人体実験
  第7章 国連がソ連を取りこみはじめた
  第8章 巨悪の本丸「IAEA」の正体
  第9章 日本の原発からどうやって全世界へ原爆材料が流れ出ているのか 


  第4章 世界的なウラン産業の誕生

      放射線・放射能の危険性は、どのようにして明らかになったか?

  これほどの核実験の大被害が、そして原発事故の大被害が、今日までどうして放置さ
 れたのか、なぜ人類に対して放射能の危険性が隠されるようになったのか、そもそも核
 実験はなぜおこなわれたのであろうか?しかしその問題を議論する前に、放射能の危険
 性は、どのようにして明らかになったのだろうか、まずそれを知るほうが先である。

  なぜなら、フクシマ事故の大被害を隠し続けてきた人間たち――ICRP(国際放射
 線防護委員会)やIAEA(国際原子力機関)――が、あるいはまた日本の長瀧重信や
 山下俊一や原子力宮僚たちが、これから述べる歴史のなかに潜んで、陰湿で国際的な活
 動を展関してきたからである。それを知らない限り、日本に住む人間は、過去の悲しい
 大被害者と同じ運命をたどる。これからの章で、読者が予期しない、壮大な歴史を語ろ
 う。

  この悪魔たちの誕生物語は、童話と同じように、それはそれは、遠い曾の話であった
  ・・・・・・・ パリ市民がバスティーユの監獄を襲って、フランス革命が勃発していた頃、
 ちょうどその1789年夏のことだったが、ドイツ人の化学者マルティン・クラブロー
 トが、ピッチブレンドという鉱石から柚出した酸化物を”奇妙な半金属”と呼び、17
 89年9月24日にべルリン科学アカデミーに論文を提出した。彼は、この新元素の名
 前を、当時発見されたばかりの天王星ウラナス(Uranas)にちなんで、ウラン(Uran)
  と名付けた。
   このピッチブレンドが、今日、「渥青ウラン鉱」として知られるウランの主要な鉱石
 であった。

  それから半世紀後の1841年には、フランス人の化学者ウジェーヌ・ベリゴが、四
 塩化ウランを金属カリウムによって還元し、この反応によって、化合物ではない、金属
 のウランを初めてつくることに成功し、やがて1870年には、このウランという金属
 が地球上に存在する最も重い元素であることが分った。
  ではこの古い時代に、人類が何のためにウランを調べたり、利用したのだろうか?そ
 れは勿論、今日の「核兵器」や「原子力」ではなかった。その鉱物の利用価値は、ウラ
 ンの酸化物と塩化物が生み出す鮮やかな色の効果にあった。つまり緑色の蛍光を発する
 黄色のガラフスや、陶磁器の釉薬として、オレンジ色、黄色から、赤や、緑などを生み
 出す染めつけ材料の一種として使われたのである。そして、ウランを使ったそのような
 ガーラスや陶磁器の色つけ技術は、長いあいだ、現在のチェコの西郷地方であるボヘミ
 アの独占的な秘術として伝承されるようになった。それが、ハプスブルク帝国のもとで
 育った有名なボヘミア・グラスであった。

  さらに1839年にフランスで写真術が生まれると、のちにウランの化合物が、写真
 の着色剤として使用されるようになった。こうしてウランは、19世紀の1800年代
 から採掘されることになったのである。だが、そのためヨーロッパでは、鉱夫が4割か
 ら5割というすさまじい割合で癌のために死亡しはじめたのである。それに気づいた近
 代医学の父ルイ・パストゥールがウランの危険性について警告を与えた。こうして、ウ
 ラン鉱物の危険性が初めて知られるようになったのは、実に、今か性一世紀以上も前だ
 ったのである。



  しかし、その原因が「放射能」のためであるということは、バストウールも、いかな
 る科学者もまだ知らなかった。

  さて一方、ちょうどそのころ、新大陸のアメリカでは、ジョン・D・ロックフラーと
 いう男が、1870年に「スタンダード石油」という会社を設立して自ら社長の椅子に
 収まり、弟のウィリアムが副社長に就くと、この兄弟で万全の態勢で新会社をスタート
 させ、原油を輸送する鉄道とパイプラインを次から次へと支配したのである。そして早
 くも10年後の1880年には、このスタンダード石油が全米の95%の石油を独占し、
  もはや楯つく敵の姿が見当たらなくなっていた。



  驚くべきことに95%を独占した世界最大のロックフェラー石油財閥が誕生したのが、
 この時代であった。さらに1880年代には、ガソリン自動車が登場して、石油は一層
 華やかな産業となり、いよいよ20世紀へ突入する時代を迎えた。
  こうして19世紀末、まだ未知だった「ウランの原子力」と、「石油」というふたつ
 のエネルギー源が、同時に、世界中を疾走する運命にあった。現在から見れば競合する
 エネルギー源の「石油」と「原子力」だが、のちにアメリカとヨーロッパで”同じ人間”
 がこの両者を組み合わせ、1970年代にはじまったオイルショックを逆手にとって、
 巨大な金融資本を投下し、最大の問題である「放射能安全論」を強力に推進することに
 なったのである。

                X線の発見と知られざるエジソンの素顔

  そうした19世紀末のことだったが、1895年12月28日に、ドイツの物理学者
 ヴィルヘルム・レントゲンが、実験装置から目に見えない光が放射されていることに気
 づいた。そして、それが多くの物体を透過する能力を持った光(放射線)であることを
 発見し、未知なるもの”X”の意をこめて「X線」と名づけた。そしてX線を使って、
 人体の骨を撮影できることを明らかにしたのが、翌年の1896年1月23日であった。
  この驚くべき発見を伝え聞いたのが、アメリカのトマス・エジソンであった。彼は、
 蓄音機を発明し、白熱電球(電灯)を発明し、発電機も製造し、1882年には、ニュ
 ーヨーク中央発電所の大規模発電にも成功して、1913年にはトーキー映画の映写機
 を発明して、発明王と呼ぱれていた。しかし「天才は1%のインスピレーションに頼り、
 99%の発汗に泣く」と自ら語っていた。”発明王エジソン”は、偉人伝に書かれてい
 るこの言葉とは、かなり違う性格の人物であった。

  その本性を知る人のあいだでは、東部ニュージャージー州にある彼の本拠地の名を借
 りて”メンロー・パークの魔法使い”と呼ばれていた男で、発明品は「金の卵を産むガ
 チョウ」であると心得ていた。他人が何かを発明すると、直ちにエジソンのお使いが飛
 んでゆき、「エジソンの名前をつければ売れる。世界はエジソンの発明を待っているの
 だ」、このひと言で名誉を奪い去り、特許を取り、「エジソンの新発明」を売り出して
 いた。

  実際には、”ロール・フィルム”を開発して映画を成功に導いたのはジョージ・イー
 ストマンであり、映画に必要な連続写真の高速度撮影機を可能にしたカメラ”写真銃”
 の発明者はフランス人のエティエンヌ・ジュール・マレーだった。暗箱をのぞくと秘め
 やかなシーンが見られるエジソン写真機”キネトスコープ”、エジソンの助手ローリー・
 ディクソンの発明品で、これをスクリーンに映写したのはフランス人のリュミエール兄
 弟だった。エジソン名義のもうひとつの映写機”ヴァイタスコープ”は、トマス・アー
 マットとC・フランシス・ジェンキンの発明を盗んだものであった。1902年、19
 06年と立て続けに特許権の裁判を起こしたエジソンだったが、その度に発明王の化け
 の皮が剥がされてゆき、敗北に次ぐ敗北を記録した。

            モルガン財閥がエジソンを育て、GEを生み出す

  それでも彼には、全米最大の「金融と鉄道の財閥」であるジョン・ピアポント・モル
 ガンという人物が、この発明王エジソンの製品を事業化する後備としてついていた。当
 時の最大の産業は、ロックフェラーが支配した石油と共に、華やかな鉄道と、その鉄の
 レールを敷設するための鉄鋼であった。金融王モルガン財閥がそれを支配していた。
  やがて、電信から電話、発電所まで支配したモルガン商会が、白熱電球を発明した発
 明王のために「エジゾン電灯」という会社を設立してやり、その後、この会社を基盤に
 して、1890年には”エジソン電気何でも会社”(エジソン・ゼネラル・エレクトリ
 ック社)が設立された。さらに2年後には、これを別の競争会社と合併させて、189
 2年に「ゼネラル・エレクトリック(GE)」が股立されたのである。のちに、全世界
 の”原子力の定刻”を築き、同時に核兵器を握る原水爆の”総本山”となる巨大企業の
 誕生であった。

  このエジソンが1896六年に、レントゲン博士のX線の発見に触発されて、X線画
 像を見ることができるX線透視装置を発明し、その実験台に助手のクーフレンス・ダリ
 ーを使った。
  ところがダリーはかわいそうに、この実験のために、両手、両足に何度もX線を浴び
 た結果、皮膚癌に冒され、両手も両足も手術で切断されてしまった。ついには癌が原因
 で死亡してしまったのである。このときエジソンは、初めてX線の危険性に気づいて、
 一切のX線の研究をやめることになった。

         ヨーロッパでキュリー夫人をロスチャイルド家が育てる

   さて再びヨーロッパに戻ると X線によるレントゲン写真が発表されたと同じ189
 6年に、フランス人のアンリ・ベクレルが、偶然にも、写真の乾板のかたわらに鉱石を
 置いていたところ、この乾板が強く感光していることに気づいて、おやっと首をかしげ
  た。その鉱石を黒い紙で包み、光を通さないようにしていたのに、写真の乾板が感光す
  るのは不思議なことだった。この鉱石は一体、何だろう。

  その鉱石が、ウランというものであった。ベクレル家は、代々の物理学者で、特に鉱
 物や金属について深い結びつきを持ち、当人も土木技師として鉱物に興味を抱いていた。
 そのため、こうして彼が、プラスの電気を帯びている未知の光線(アルファ線)が出て
 いることを発見し、自然界にあるこの放射線を「放射能」と命名した。

  そうした時代に、ポーランド人女性のマリア・スクロドフスカがパリにやって来ると、
 彼女はピエール・キュリーと結婚し、キユリー夫人となった。このキュリー夫妻にとっ
 て重要なパートナーとなったのが、今述べた「人類として初めて自然界のウランの放射
 能を発見した科学者]アンリ・ベクレルであった。こうして放射能についてキュリー夫
 妻が研究しはじめ、1898年には夫妻が新しい放射性元素を発見して、キュリー夫人
 の故国ボーランドに因んでポロニウムと名付けた。次にキュリー夫妻が発見したのは、
 やはり放射線を出す物質で、今度はラジウム(radium)と名付けた。 

  のちにベクレルとキュリー夫妻の3人が1903年度のノーベル物理学賞を受けたの
 である。
  誰でも、どこかでこの名前を聞いたことがあるだろう。2011年のフクシマ原発事
 故のあと、わが国での食品汚染の基準は、食品1キログラムあたり500ベクレルとい
 うとてつもなく高い基準を設定してしまい、翌年からこれが100ベクレルに引き下げ
 られて、現在に至っている。また、1986年にソ連のチヱルノブイリ原発で大事故が
 起こったあと、危険地帯に指定されたのは、1平方キロメートルあたりセシウム137
 の濃度が1キュリー以上の地域であった。このように大きな量を測る場合にキュリーを
 使い食品などに含まれる小さな量を測る場合にベクレルを使っており、1キュリー=3
 70億ベクレルで換算される単位である。

  これでお分りの通り、こうして現代人のわれわれが使っている「放射能のベクレルと
 キュリー」が、1世紀前にノーベル賞を受けていたわけである。
  さてキュリー夫人が活躍した当時、ヨーロッパ随一のユダヤ人金融王ネイサン・ロス
 チャイルドのひ孫にあたる大富豪のアンリ・ロスチャイルドが、パリにあってキュリー
 夫人の発は、殺菌や衛生についての雑誌を創刊し、病院を建てた医者、ドクトル・アン
 リ・ロスチャイルドだったのである、その一方では、あり余る大金を使っ”エロス号”
 と名付けた豪華ヨットに女優たちを招き、人生を愉しむ道楽男であり、ボルドーの葡萄
 園を経営して最高級ワインのムトン・ロチルドを製造していたというのだから、これは
 大変な男であった。

  こうして「世界一のロスチャイルド金融財閥」が、ラジウムに手を出し、のちに原子
 力産業を取り仕切るようになったのである。というのは、ロスチャイルド家は、そもそ
 もが貨幣の交換によって財を成し、その後も金銀ダイヤ・宝石の支配者となった一族だ
 ったので、彼らは鉱物で世界一の王者であった。そしてキュリー夫人を支援した遊び人
 ドクトル・アンの妻が、幸いにもこのロスチャイルド財閥の鉱山利権を握る「リオ・チ
 ント・ジンク」という大会社を経営する一族であった。

  さらにのちに、そのリオ・チント・ジンク社が、南アフリカのウラン鉱山の利権を一
 手に握ったからである。こうしてキュリー夫人のいたフランスが、現在、”世界一の原
 子力帝国”を築く濫崩となったのである。かくて西側世界では、ロスチャイルド家が全
 世界のウラン鉱山を支配して、今日まで人類史上最大のカルテルを形成することになっ
 た。
  だが、キュリー夫人の夫ピエール・キユリーは、ノーベル賞を受賞してわずか3年後、
 大学からの帰途に荷馬車に瞭かれて即死するという悲運に見舞われた。そして、遺され
 たキュリー夫人の一家にも、次々と病魔が襲いかかろうとしていた。というのも、今か
 ら30年ほど前の1984年にバリで競売に出されたキュリー夫人のノートは、使用さ
 れた当時から80年も経っていながら、いまだに強い放射綿を出し続けていた。したが
 って80年前にそのノートに文字を記していた本人は、強烈な放射能に取り囲まれてい
 たはずであった。かくしてラジウムを精製し、それが放射能の発生源であることを発見
 したキュリー夫人は、1934年7月4日に放射線被曝による白血病で死去したのだっ
 た。

  キュリー夫妻には、ふたりの娘イレーヌとエーヴがいたが、エーヴは物言きとなって、
  イレーヌは母と共に放射能の研究に入っていった。その夫フレデリック・ジョリオがの
 ちにジョリオ=キュリーと姓を変え、フーフンス原子力庁の初代長官となった。一家6
 人でノーベル賞受賞が合計6回という大層な放射能ファミリーを生み出した。しかし、
 キュリー夫人に続いて、イレーヌ・キュリーと、その夫フレデリック・ジョリオ=キュ
 リーの3人が白血病で死亡した。放射能を扱いながら白血病で死ななかったのは、荷馬
 車に轢かれたビエール・キュリーだけであった(放射能に手を染めなかったエーヴは、
 10 2歳まで生きた)。


                                 この項つづく

 


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