● 鳶色の瞳の誘惑
朝窓を開けると、いい香りだ。なんだろうと、ルージュピエールドゥロンサールに目をやれど、それ
ではない。むしろ金木犀の香りだ、もう咲いているのだろうかと不思議に思い、裏庭から玄関に周り
込むと、有楽斉窓を横にしたような粗末な葦のシェードの横に今朝咲きの "鳶色の瞳の誘惑の香り"
を放っていた。
● 電気配線接点工学
自動車用のコネクター端子にはスズメッキした銅板が用いられているが、スズ表面にはスズ酸化膜が
形成される。スズ酸化膜は絶縁体であり、その厚さは 10 nm程度と非常に薄いことから、スズ酸化膜
がコネクターの金属接触や電気抵抗にどのような影響を及ぼしているかを詳細に把握することはこれ
まで非常に困難であった。コネクターを小型化するため、スズ酸化膜表面の金属接触と接触電気抵抗
との関連を詳細に解析する必要性が増していて、そのための新しい評価装置の実現が強く求められて
いたが、このほど産総研と矢崎総業が、電子顕微鏡中でコネクターの接触を観察しながら、接触荷重
と電気抵抗を同時に計測し、酸化スズ膜の割れ目にスズが入り込んで良好な電気接点が作られること
――電気接点で電気が流れるメカニズムを解明――を発見し、この成果から、銅板にスズメッキを施
して製品化されている自動車ワイヤーハーネス用コネクターの小型・軽量化のための評価装置を開
発した。「小さなことからコツコツと」を地でいく発明だ。
【遺伝子組み換え作物論 35】
解説
TPPに破壊される「遺伝子組み換え表示」
こうした例外だらけの表示ルールだからこそ、日本ではほとんどの食品に遺伝子組み換え原料が
使用されているにも関わらず、表示されていない。それに対してEUでは、遺伝子組み換え原料を
0・9%以上含んでいるすべての食品・飼料について、表示が義務づけられている(遺伝子組み換
え飼料を給餌された食肉などの畜産物は表示の対象外)。日本でもEUでも[遺伝子組み換え」と
表示された食品を見かけることは、ほとんどない。しかしその理由は大きく違っている。EUでは、
消費者の抵抗感を配慮して食品メーカーが遺伝子組み換え原料を使用しないからであり、日本では
大豆に使用されていても、制度が。ザルであるため表示されないだけなのである。
そのため日本では 2011年12月に、安全性審査を経ていない未承認の遺伝子組み換え食品
添加物が長年に渡って輸入され、国内で大量に流通していた事件が発覚した。日本において「遺伝
子組み換え食品添加物」は、次の16品目が承認されている。α−アミラーゼ(6品目)、キモシ
ン(2品目)、プルラナーゼ(2品目)、リパーゼ(2品目)、リボフラビン(1品目)、グルコ
アミラーゼ(2品目)、α−グルコシルトランスフエラーゼ(2品目)。(上記のうち「リボフラ
ビン」はビタミンB2、その池は酵素)。
2011年11月5日に厚生労働省が発表した「未承認添加物」は、「5−グアニル酸ニナトリ
ウム」「5'−イノシン酸ニナトリウム」で、これらは7年近くもの間、年間600〜700トンも
輸入されていたといううまみ調味料の原材料として、だしやスープ、かまぼこなどの水産加品、ハ
ム、ソーセージなどの食肉製品など、約180〜200万トン程度の加工食品に使用されたと推計
されている。
さらに同年12月22日には「リボフラビン」「キシラナーゼ」か輸入されていたことが判明し
た。「リボフラビン」は医薬品原料として過去3年間に約82トン(うち約36トンを添加物とし
て使用)、「キシラナーゼ」はパンをつくる際の酵素として、過去3年間に0・6トン輸入されて
いた。
驚くのは第1に、長年にわたって検疫所の検査をすり抜けてきたことである。日本の場合、「遺
伝子組み換え微生物由来の添加物」は、検出検査が技術的に不可能であるという理由から、。製品
のトレーサビリティ情報(遺伝f組み換え出来に関する記載)ヽを義務化していなかったために、
ノーチエツクで輸入されていたのである(EUでは、製品に遺伝子組み換え由来であることを記載
することか義務化されている)。
そして第2に、「リボフラビン」「キシラナーゼ」を輸入していたのがドイツのバイテク企業「
BASF杜」の日本法人「BASFジャパン」であったことだ。同グループは、遺伝子組み換え技
術の研究開発を専門的に行なっている企業であり、遺伝子組み換えの承認手続きについては十分な
知見を有している。それにも関わらず、「未承認添加物の輸入・販売]と「医薬品原材料の食品添
加物への転用」という二重の食品衛生法違反を犯したのである。
そして第3に、厚生労働省は違法状態を認識しながら、これらの添加物の輸入・販売の取りやめ
を指示しただけで、「キシラナーゼ」を除いて、それらを使用した食品の版売中止を求めなかった
ことである。その他の添加物については、事件の発覚後も放置したまま、食品安全委員会において
安全性審査の手続きを開始し、事後承認したのである。
しかし日本がTPPに参加すれば、こうした "ザル法" に近い表示制度でさえ、米国が許さない
可能性が高いことは、カリフォルニアの事例を見ればわかる。事実、米国政府はTPPの構成国で
あるニュージーランドに対して、遺伝子組み換え食品の表示撤廃に向けて圧力をかけている。日本
においても、「遺伝子組み換え原料不使用」といった表示を許さず、食品添加物や農薬の承認数の
拡大、食品への放射線照射の認可、農薬の残留基準の大幅引き上げなどを強要することが予測され
る。「自由貿易の障害となる」というアメリカ流の「正義」は、"食の安全゜の分野でも強要される
のである。
日本の食料生産に終止符を打つTPP
TPPの本質は、アメリカ主導で徹底的な規制緩和を断行することであり、その重要な武器が「
例外なき関税撤廃」にある、TPP参加によって日本の食料自給率は2011年の39%から13
%にまで低下すると試算されている。
現在の自給率39%とはどの程度の状況だろうか。日本は年間1600万トンのトウモロコシを
輸入している。主食のコメは、ほぼ、百%自給しているが生産量が800万トンだから、その2倍
の量に相当するトウモロコシを輸入しているのだ(穀物としてのトウモロコシの自給率はゼロ%に
近いスイートコーンなどの生野菜は国内自給されているが、冷凍トウモロコシも米国等から大量に
に輸入されている)。大豆の自給率も5%程度で、約300〜400万トンが輸入されている。輸
入先の米国、ブラジルで生産されている大豆のほとんどは遺伝子組み換え大豆になった。小麦の自
給率は12%である。
ちなみに牛・豚・鶏など家畜に与える濃厚飼料(トウモロコシや大豆粕など、牧草を除く飼料)
の自給率は約10%しかない(輸入されるトウモロコシの七割は阿用なのだ)。結局、輸入が医ま
れば肉や牛乳などの畜産物はもとより、食用油、味噌、醤油などもたちまち欠乏することになる。
2009年に読売新聞が行なった試算によれば、現在の日本の自給力で縁日の食事をまかなおうと
しても、米、さつまいも、野菜が中心、たまに魚で、996キロカロリーしか摂取できないという
(出典:『食ショック』、読売新聞社「食ショック」取材班、中火公論新杜.2009年)。千キ
ロカロリーとは1〜2歳の幼児が一日に必要なエネルギーであり、一般的な成人の摂取カロリーは
1800〜2200キロカロリーである。しかもカロリーだけでなく、タンパク質や油など多くの
栄養素が不足して、飢餓状態になる。
それでもいまだに日本では「海外から安い食料を輸入すればよい」という楽観論が蔓延している
が、すでに世界の食料在庫は底をつき始めている。その大きな要因は2つある。1つめは、新興国
で肉類・食油の需要が急増していることである。2つめは、世界的な異常気象だ。すでに中国は食
料輸入国に転じている。
20012年8月には、アメリカ中西部の穀倉地帯を中心とする歴史的な干ばつ被害により、シ
カゴ商品取引所における大豆、トウモロコシの価格がついに史上最高値にはねヒかっか。しかも米
国内の需要のうち、半分はエタノール燃料のために使用され、期末在庫率は5・55%しかない。
そのうえ、深刻な毀常気象が毎年、世界的な現象になっている。2012年はオーストラリア、
ロシア、ウクライナ、インド、タイ、東アフリカなどでも干ばつが広がった。米国に次ぐ世界第2
位の小麦輸出国オーストラリアでは、全体の3分の1以上の小麦を生産している西オーストラリア
州で降雨量が記録的な低水準になり、2012年の小麦生産高は前年の2割誠に落ちこむと予測さ
れた。
穀物の主要輸出国であるロシアとウクライナでも、トぱつのために小麦、トウモロコシなどの収
穫が2割程度落ちこみ、両国が輸出規制に乗り出すとの観測が出た。インドでも深刻な干ばつが、
広がり、過去四〇年間で最悪の干ばつを記録した2009年より状況は悪いと.言われて、農作物
輸出を制限する可能性がある。ちなみに2011年、世界的な食料不足が発生した際、「農産物の
輸出禁止」を実施したのはロシア(小麦、大麦)、インド(小麦)、インドネシア(米)、ハング
ラデシユ(米Jなどで12ヵ国。「輸出税の賦課や輸出枠設定」を行なったのは、フィリピン(米)、
台湾(米)、アルゼンチン(小麦、トウモロコシ、大.腿、牛肉)、ミャンマー(米)、ウクライ
ナ(小麦トウモロコシ)など8ヵ国もあった。
リーズ、アンディ 著 『遺伝子組み換え食品の真実』
この項つづく
● 史上最強の力士登場
破竹の逸ノ城だ。白鵬もすごいがそれを越えてしまうほどの史上最強の横綱の誕生を予感させる。