行ないは服にあらず / 墨子
● 行ないは服に在らず
公孟子が、冠をかぶり、笏を帯にはさみ、儒者の服装で現われた。そして墨子に向かって、「君
子は、まず 服装をととのえて行動すべきでしょうか。それとも、服装などは、末のことでしょう
か」
「君子の行ないは、服装とは関係がない」
「どうしてですか」
「斉の桓公は、山高の冠をかぶり、幅の広い帯をしめ、金の剣を帯び木の盾を手にしていた。
晋の文公は、粗衣をまとい、羊皮の上衣を着け、なめし皮で剣をつるしていた。
楚の荘王は、冠に五色の飾りを垂らし、襟幅の広い、ゆったりとした服を着ていた。
越王勾践は、髪を短くきりつめ、身体に入れ墨していた。
この四人の君主は、髪かたちも服装もまちまちであったが、よく国を洽めた点では一致している。
したがって、君子の行ないは服装とは関係がない」
「なるほど、おっしゃる通りです。それでは善はいそげ、わたしもさっそく、笏をしまい冠を脱い
で、出直してまいります」
「いや、そのままでいてくれ。ここであなたが服装をかえたのでは、服装と行ないが関係あること
になるではないか」
※ 形式主義の弊害
「礼・楽」を重んじた儒家は、当然、服装にも気をくばった。当時の社会では、服装によって、人間の
価値がきまったのである。だが、労働を重視した墨子は、これに反撥 励した。服装をととのえたから
といって君子の中身がよくなるわけではない。そういう形式主義は、何ものをも産み出しばしない、と
かれは考えたのである。この章では、墨子の形式主義者に対する批判が、ユーモラスに描かれている。
出典:数字で読み解く23歳からの経済学 日本生命保険
【軽減税率は誰のため Ⅱ】
消費税を10%に引き上げる際に導入する予定の軽減税率をめぐり、税率を8%にとどめる対象範囲を
広げたい公明党が「財源の壁」にぶつかっている。医療や介護などの自己負担を軽くする「総合合算」
という制度を導入する際に使う予定だった4千億円を財源として、「コメ」や「生鮮食品」などを税率
8%に抑える対象とする方向で検討。一方、公明党は1.3兆円が必要となる「酒を除く飲料・食料品」
を全て対象としたい考えで、新たな財源がないか財務省に説明を求めた。つまり、 財務省は「4千億
円を超えると、予定していた社会保障の一部が実施できなくなる」との回答で、今後、公明党が社会保
障に影響を及ぼさない新たな財源を見つけられるかが焦点となるとしいるが、30日午前、国会内で公
明党は税制調査会の総会を開き生活必需品の税率を低く抑える軽減税率の具体策について議論。出席者
からは税収減を穴埋めする財源として、(1)たばこ税増税や(2)高所得者層の所得税引き上げなど
による捻出も検討すべきだとの意見が出されたが、会合では、税調幹部がこれまでの与党協議について
説明。出席者から「低所得者に現金を配る『簡素な給付措置』をやめることで、財源が生まれるのでは
ないか」などと指摘。公明税調のこれまでの対応方針を支持する意見が相次いだという。(時事通信:
2015.10.30)。ここで、(2)の直接税へのシフト→所得税(累進課税引き上げ)に言及されているこ
とであるが、これは当然の流れであり、そして、消費税段階的引き上げの停止(見直し)とまでいけば、
リフレ派のわたし(たち)と合流する。
このように、税制議論でわけのわからない議論が続いているが、その事例の1つがビール税制。ビール
の税金が高いため、節税に的を絞った「ビールもどき」が次々と生まれる。メーカーは麦芽を抜いたり
添加物に頼る「色水つくり」に熱心で、日本のビールはカラバゴス化するが、「今年こそ歪んだ税制の
是正を」という動きが業界や自民党から上がり、年末の税制改革で「すっきり税制」になるはずが、マ
イナンバーカードによる消費税還付が頓挫したどさくさに紛れ、ビール税制の改訂議論が頓挫する。節
税ビールは、飲料の技術革新を促す。だが、その成果が低価格の「もどき飲料」の跋扈し、「悪酒が良
酒を駆逐する」といういう悲しい状況になっている(山田厚史「ビール税制改正見送りで本当に得をし
たのは誰か」ダイヤモンド・オンライン 2015.10.29)。なんとも、煩瑣で不毛な理論が続く。
のか?
同額制?同率制?アルコール度数課料制?
【時代は太陽道を渡る 21】
● フランス環境エネルギー管理庁 再エネ比80~100%可能と報告
フランスで今年7月採択された「グリーン成長のためのエネルギー移行法」は30年までに再生可能エ
ネルギー(=再エネ)由来電力の目標40%に設定。このことにより、気候変動抑制とグリーン成長(
=持続可能な社会の経済成長)とに挑戦。同庁は再生可能エネルギー電力の拡大のための制約に関し"再
エネ"ミックスとその影響を調査研究を実施。その結果、高度なエネルギー需要量管理ツールや蓄電設備
で再生可能エネルギー源間をグリッド補完することで――80%~100%の再生可能エネルギーで、
年間を通し需供バランスを安定的に技術的にも経済的にも可能だった。
● 調査要約 6のメッセージ
(1)最適な技術の組み合わせ
(2)高度なフレキシブルな電源システム
(3)気象変動に強い電源ミックス
(4)情報ネットワーク開発が鍵
(5)期待される経済的メリット
(6)機動的な需給バランス管理
しかし、正直驚く。フランスといえば地下岩盤も安定し、地震も少ない、しかも原発先進国だ。その国
の環境・エネルギー管理庁が百パーセントの再生可能エネルギー源ミックスで電力供給が可能だという。
それに比べ、何とお粗末な日本の電力政策だろうと。どこまで税金を溝に捨て、国民生活を危険に曝せ
ば気が済むのか。