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● 広島カープとデミオの快進劇
マツダの小型車「デミオ」の受注が好調だ。9月9日の予約開始から半月足らずで販売目標の月5千台
を上回る7千台以上の注文が舞い込んでいる。好調な受注は新開発の環境と燃費性能に優れた1500
ccの小排気量ディーゼルエンジンを搭載したモデルを設定したことが大きく、全受注の7割近くに達
しているもようだという。ガソリンに比べて安価な軽油が使え、しかも燃費は1リットル当たり30キ
ロメートル。国内で200万円を切る唯一のディーゼル車に、マツダはハイブリッド車(HV)、電気
自動車(EV)、軽自動車に続く「第4のエコカー」として期待を一身に担っている(産経新聞 2014.
10.12)。
マツダはこれまで小型化、低価格が難しかったディーゼル車にどう立ち向かったのかその秘密を探る。
通常のディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べて大きく、大気汚染の原因になる排ガス中の窒
素酸化物(NOx)を処理する高価な装置を装着する必要があり、小型車への搭載が難しく、価格も高
額になる――マツダが開発した小型のディーゼルエンジンは、この処理装置部分をなくした――ガソリ
ンエンジンに比べて圧縮比の高いディーゼルエンジンは、空気と燃料が混ざり合う前に局所的に不均一
な燃焼が始まってしまうため、NOxが生成されたり、酸素不足の燃焼によってPM(スス)などの有
害物質が発生するが、一般的なディーゼルエンジンの圧縮比は16~18程度。マツダは独自技術「ス
カイアクティブ」で14という低圧縮比のディーゼルエンジンをすでに開発。今回のデミオも14.8
と小型車で最も低い数値を達成。つまり、低圧縮化によって燃焼室内の温度が下がるので、空気と燃料
がきれいに混ざり合う時間を確保でき、均一な燃焼により有害物質の発生量を抑制に成功する(下図参
照)。↓
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【解説】軽油を主体とした燃料が気筒内に供給され、その燃料が圧縮自己着火により燃焼するディーゼ
ルエンジンでは、NOx排出量の低減を目的の1つとして、その幾何学的圧縮比を、例えば15以下と
いった比較的低い圧縮比にすることが行われている。つまり、低い圧縮比は気筒内の燃焼を緩慢にし、
NOxの生成を抑制する。また、エンジンの低圧縮比化は機械抵抗損失を低減させるため、エンジンの
熱効率を向上させる点でも有利である。ところが、ディーゼルエンジンの幾何学的圧縮比を低く設定し
た場合には、圧縮端温度がその分、低くなってしまうため、例えばエンジンの低負荷かつ低回転の運転
領域においては自着火条件を満足し難くなってしまう。また特に、ディーゼルエンジンにおいては、供
給される燃料の性状によって、セタン価が低いほど着火性能が低くなってしまうため、運転条件及び燃
料の性状に係る要因が組み合わさったときには、自着火条件がさらに成立し難くなってしまう。
このため、エンジン1は、少なくとも相対的に低負荷かつ低回転である特定運転状態にあるときに、既
燃ガスの一部を気筒11a内に存在させるEGR手段を備える。EGR手段は、少なくともその一部が
エンジン1内に形成されかつ、通路長が所定長さ以下のEGR通路51とEGR制御弁51aと制御器
10とを含んで構成される。特定運転状態にあるときには、エンジン1は、気筒11a内の全ガス重量
Gと燃料の重量Fとの関係が、30≦G/F≦60を満足するように運転され、制御器10は、EGR
率が、エンジン1の幾何学的圧縮比εに対して、
(10-α)×(15-ε)+20-α≦EGR率≦60[%]
(但しα=0.2×外気温度[℃])を満たすように、EGR制御弁の開度を制御することで、自動車
搭載用の、特に低圧縮比(12~15)のディーゼルエンジン1において、燃料の着火性を確実に確保
する。
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→これを実現したコア技術は、圧縮比を低くすると、環境により着火しない場合がある。これを使用環
境に応じ適切に燃料を噴射することで低温時でも確実に着火――1回の燃焼の間に最大8回の燃料噴射
が可能――できるようにし解決した。つまり、高価な排ガス浄化装置がなくとも、世界でも厳しい排ガ
ス規制のポスト新長期(国内)、EURO6(欧州)に対応。ガソリン車との価格差を大きく縮小し、
価格の安い小型車への搭載を実現したというわけだが、課題はこれだけではない。小型化すれば表面積
が大きくなり熱損失(冷却損失)が大きくなるが――これを、ピストン上面が段形状をしたエッグシェ
イプと呼ばれる燃焼室(下図参照)を採用することで、ピストンが下がる際に発生する冷たい空気の流
入と温かい空気の流出を抑制する。
さらに、従来は噴射する燃料が燃焼室の壁に当たり、その壁面付近で燃焼するため熱が逃げやすくなっ
ていたが、燃料を噴射する距離を短くすることで、燃焼室の中心で燃料が燃えるよう工夫し、燃焼室の
外壁から熱が漏れる冷却損失を低減する(下図参照)。
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【要約】ディーゼルエンジンのインジェクタ4は、燃焼室3の中心Pを挟んで相対向する位置に配置さ
れた第1噴射弁4Aおよび第2噴射弁4Bを有する。第1噴射弁4Aおよび第2噴射弁4Bの双方を通
る直線を対称軸SL、当該対称軸SLで燃焼室3の平面領域を二分した場合の一側を第1領域D1、他
側を第2領域D2としたとき、第1噴射弁4Aは第1領域D1に向けて燃料を噴射し、第2噴射弁4B
は第2領域D2に向けて燃料を噴射する。第1噴射弁4Aおよび第2噴射弁4Bから噴射される噴霧に
は、対称軸SLに対し7°以上15°以下の角度r1をもって噴射される噴霧が含まれることで、燃焼
室内の空気の利用率を高めてスート(煤煙)の発生量を低減する。
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日本ではこれまで、ディーゼル車は二酸化炭素の排出量がガソリン車に比べ少ないものの、黒煙をまき
散らすイメージが強いため敬遠されてきたため、「HV、EV、軽自動車が「エコカー御三家」であっ
たが、マツダのクリーンディーゼル車が普及価格帯の小型車にも入ってきたことで、ディーゼルが第4
のエコカーとして公認されるか注目を浴びることとなった。こういった環境技術開発を早く着手し、ト
ラックなどの産業用ディーゼル・エンジンの改良がなされなったのかについては、このブログでも掲載
指摘したが、ここにきてやっと実現したので、ホットした気持ちになった。さすが、マツダ!このよう
にマツダの躍進を考えながら、クライマックスシリーズで阪神タイガースに敗れたとはいえ、広島カー
プの躍進とダブルところがあるように思えたが、これは無理っぽいか?!
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