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建国記念日の読書三昧

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       むしろ鶏口となるとも牛後となるなかれ    / 合従策 『戦国策』

     西隣りの秦が次第に強大となり、韓はその侵賠におののいていた。韓の宜恵王が
         即位した年(前332年)、名だたる論客・蘇秦が乗りこんできた。趙王の内意
         を受け、秦に対抗する同盟(合従)を結ぼうと説得にくる。「一戦も交えずに秦
     を抑えることができる」合従策は集団安全保障の考え。

                                                                    

         ※ 蘇秦は、中国、戦国時代の政治家、縦横家、前5~4世紀頃活躍。洛陽の人、
             秦の恵王に仕えようとして失敗。燕に行き合従を説き、趙、韓、魏、斉、楚
       の6国同盟を成功させ秦に対抗したが,張儀の連衡策に敗れた。 


 


● 折々の読書  『China 2049』Ⅶ


              秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」     

                                マイケル・ピルズベリー 著
                                野中香方子 訳   

ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者
マイケル・ピルズベリーが、自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきた
と認めたうえで、中国の知られざる秘密戦略「100年マラソン(The Hundred-Year Marath-
on) 」の全貌を描いたもの。日本に関する言及も随所にあり、これからの数十年先の
世界情勢、日中関係、そして、ビジネスや日常生活を見通すうえで、職種や年齢を問わ
ず興味をそそる内容となっている。

  序 章 希望的観測
 第1章 中国の夢
 第2章 争う国々
 第3章 アプローチしたのは中国
 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
 第5章 アメリカという巨大な悪魔
 第6章 中国のメッセージポリス
 第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
 第8章 資本主義者の欺瞞
 第9章 2049年の中国の世界秩序
 第10章 威嚇射撃
 第11章 戦国としてのアメリカ
 謝 辞
 解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
     森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣)     

  第2章 争う国々

  中国のタカ派は、アメリカと中国についてよく比喩を用いる。戦国時代の有名な話
 の一つは、楚(勃興の一途にある国)と周(凋落しつつある国)という隣り合う二国
 にまつわるものだ,周王朝の鋭敏な使者、王孫満の訪問を受けた楚の王、荘王は、歴
 代の王家に継承され、今は周王室が所有する鼎(訳注*古代中国で使われていた金属
  製 のきの大きさと重さを尋ねた。すると、王孫満は荘王をたしなめた。

 「王朝が天命を失うと、九鼎(訳注*王権の象徴)はよそへ運ばれます。今、鼎は周
 王のもとにあります。周王の祖先は30匯代、700年にわたって、天命を担うことを
 望みました。周の力は凋落しましたが、天命はいまだ変わりません。あなたにとって、
 鼎の軽重を問うのは時期尚早と言えるでしょう(注9)」
  荘王にとってこの会談の目的は、周への忠誠を誓い、大下を狙う意図などまったく
 ないと誓うことだったが、つい本音が出て、周に挑む意図を漏らしてしまったのだ。

注9. Yang Bosun, Chungin Zuozhuanzhu, 2nd ed., Zhongguo Gudin Mingzhu Yizhu Congshu (
           Beijing: Zhonghua Press, 1990). 以下ではいくぶん異なって翻訳されている。 Waiyee Li, 
           The Readability of the Past in Early Chinese Hisoriography, Harvard Tast Asian Monogr-
           aphs, 253 and 300 (Cambridge,MA,2007); David Schaberg,A Patterned Post: Form 
           and  Thought in Early Chinese Historiography,. Harvard East Asian Monographs 205 (Ca-
           mbridge, MA,2001),60: and Jamcs Legge, "The Ch'un Ts'ew with the Tso Chuen,"in
           The Chinese Classics, 2nd ed. (Oxford: Clarendon,1895).V.293.

  「鼎の軽重を問うな」という教えは、中国ではよく知られる。これはつまり、十分な
 力を備え、敵に対峙できるようになるまでは、自分が敵であることを悟られてはいけ
 ない、ということだ。国際レベルで言えば、力をつけつつある国は、覇権国にそれを
 悟られないようにしなければならない、ということになる。鼎の大小、軽重を尋ねた
 のは、楚王にとって、戦略上の迂閉な過ちだった。
  戦国時代を通じて、力をつけた挑戦者が強国を倒してきた。いずれのケースでも、
 挑戦者は、野望を隠して、皇帝を自己満足に浸らせた。挑戦者にとって最悪の間違い
 は、好機が訪れる前に、覇権を握る強国と対立することだ。皇帝がカを失い、同盟国
 に見捨てられた段階になって初めて、挑戦者はその真の目的をむき出しにした,

  「戦国策』が詳述するように、賢明な挑戦者の中には、古い覇権国の皇帝を操って、
 そうと気づかれないようにしながら、自らの成長を後押しさせた者もいた。そうした
 ケースでは、しばしば皇帝を促して、挑戦者の野心を疑う側近(タカ派)を処罰させ、
 一方、挑戦者が仲間に引き入れ、利用できそうな側近(ハト派)を重用させた。
 「戦国策』は、頂点に支配者を持たない体制は一時的なものにすぎず、世界の自然な
 秩序は階層構造をなすと説く。それは今日、中国政府が公式に表明しているものとは、
 もちろん矛盾している。中国の指導者たちは、望ましいのはアメリカを代表とする強
 国が並ぶ多極世界だと言う。言い換えれば、中国の指導者たちは、鼎の軽重を問うの
 を避けているにすぎない。

  そして本音のところでは、多極世界は、中国をトップとする新たな階層が築かれる
 までの中間段階にすぎない、と考えている。中国語でこの新たな秩序は「大同」と呼
 ばれる。西側の学者はそれを「commonwcalth(連邦、共和国)」とか、「an cra of
  harmony(調和の時代)」と訳しているが、それは間違いだ。むしろ、「an car of unip-
  olar dominance(一支配の時代ごと訳すべきだろう。2005年以来、中国の指導者は、
 国連など公式の討論の場で、この「大同」という調和世界について語ってきた。

  中国の壮大な戦略の、重要な要素の一つは、西洋の「重商主義一から派生したもの
 だ。それは、高い関税、国による天然資源の管理、国内製造の保護を軸とし、国連を
 豊かにすることを目的としている。中国は重商主義を奉じており、自由主義市場や自
 由貿易の成功によって重商主義は時代遅れになったという西洋の主張を否定する(注
 10)。
  このように重商主義を奉じる中国は、貿易と市場が必要とする資源の確保を何より
 重んじ、地域的あるいは世界的規模で資源が枯渇することを、偏執的なまでに恐れて
 いる。その結果、西洋の重商主義君主が16世紀から17世紀にかけて新世界を植民地化
 しようとしたように、海外の貴重な天然資源の独占、あるいは直接支配を狙っている。
 これも「戦国策』の教えに従ってのことだ。

  戦国時代から得られるもう一つの教訓は、成功するには限りない忍耐が求められる
 ということだ。アメリカでは、企業は四半期決算で活動し、政治家は短い選挙サイク
 ルで動き、株式市場戦略は1日の売買に注目する。しかし戦国時代の挑戦者は、1日、
 1週間、1年、あるいは10年くらいでは、勝利は達成されず、百年単位の長期計画だ
 けが勝利をもたらすことを身をもって示した。ゆえに現代の、10年の任期を二度務
 める中国の指導者が、数世代にわたる計画を立て、半世紀先でなければ達成できない
 目標を設定するのは珍しいことではない。

注10.中国で民間部門の規模が拡大したのは事実だが、その役割は縮小した。また中国
   の指導者は、戦略的経済分野と対外貿易を国が管理することで合意している。
   中国の学者と官僚は、通貨の支配に特別な注意を払っているが、その理由の一つ
   に戦国時代の諸国が独自の通貨を持ち、それを用いて他国に経済戦争をしかけた
   という事実がある。


  また、戦国時代の文学や、文化的偉人にまつわる物語は、敵の理念や技術を盗むこ
 とをよしとする。今日、中国の情報局は当たり前のように外国の技術や競合情報を盗
 み、それを中国企業の幹部に届けている(注11)、近年増える一方の中国の略奪的な
 経済行動、たとえば、企業スパイや知的所有権の侵害などを、アメリカの高官の多く
 は、一時的なことと見なしているが、とんでもない思い違いだ。それは戦国時代の兵
 法に触発された、より大規模な兵法の一部なのだ。

  中国の諜報活動は、アメリカのそれとははっきり異なる。アメリカでは国の経済を
 成長させるために政府が企業に機密情報を提供するのは倫理に反するとされ、そもそ
 も違法である。わたしは40年にわたって政府機関に勤めたが、GDPを成長させるた
 めに情報コミュニティがそのようなことをした例は聞いたことがない。各国のアメリ
 カ大使は、その国でアメリカ企業が恵まれた契約を結べるように支援できるし、実際、
 支援している。だがそれは、政府直属のスパイが外国の技術や機密情報を盗んで自国
 の企業に提供するのとは大違いだ。

  最適と考える軍事力の規模も、アメリカと中国では異なる。アメリカの軍事的勝利
 の多くは、大規模な軍隊によって達成された。北軍のグラント将軍は、南軍のリー将
 軍を、より多くの兵士と銃で攻めた。1944年6月6日にドワイト・アイゼンハワ
 ーは、史上級大規模の部隊をノルマンディーに送り込んだ。近年でも、パウエル・ド
 クトリンは、敵よりはるかに大規模な軍隊の必要性を主張した。
  それとは対照的に、戦国時代には軍事費はかさまなかった。数十年におよぷ非暴力
 の戦いが、戦いの主要な形だったからだ。よく知られている戦略は、敵の財源を軍備
 につぎ込ませて枯渇させることであった。それから2000年がたち、ソ連が崩壊し
 た時、アメリカは膨大な軍事費を支出させてソ連を破産させた、と中国は解釈した。

注11.中国の情報コミュニティが経済成長を最優先事項にするよう命じられたというの
   は事実だ。William C. Hannas,James Mulvcnon,and Anna B.Puglisi,Chinene Indu-
            strial Espionage; Technology Acquisition and Military Mode。jsαΓi。,1(New York: Rout-
            ledge,2013). 中国の諜報活動の背景については次を参照。Jcffrcy T,Richclson,Forei
            gn Intelligence Organizations (Camblige, MA; Ballinger 1988),chaptcr 9; Patrick E. Tyl-
            er,“Cloak and Dragon: Thcrc ls NO Chincsc Jamcs Bond. So Far,” New York Times, Ma-
            rch 23, 1997,http://www,nytimcs.corn/1997/03/23/wcckinrcvicw/there-is-no-chinese-jam
            mes-bond-so-far.html;  Lo Ping. “Secrcts About CPC Spics-Tcnsof Thousands of Thcm Sa-
            cattered ovcr 170-Odd Cities Worldwide,” Cheng Ming, January 1, 1997 (U.S Foreign Bro-
            adcast Information Service [FBIS]Daily Reports, CHI-97-016,January l, 1997);Tan Po,
           “Spy Headquarters Behind the Shrubs―Supplcmcnt to ‘Secrcts About CPC Spies,’”Cheng
            Ming, March 1, 1997 (FBIS Daily Reports, CHI-97-047,March l, 1997);Peter Mattis,
           “China’s Misundcrstood Spics,”Diplomat,0ctober 31,2011,http://thcdiPlomat.com/20H/
           10/chinas-misundcrstood-spies/
; and David Wisc,Tiger  Trap; America's Secret Spy War w
           ith China(Boston: Houghton Mimin Harcourt, 2011).

                                                                                                                                       この項つづく

 

           まだ散らぬうち

 
   濃きうすき日のあり人とひと言も話さざる日は花を友とす 

   照り映える水の面(おもて)にたましひの渡れるごとくさざ波の立つ 

   声もてることは罪なり山法師見るときくらゐ瞑想をせよ 

   土地勘のなきわれはゆくうすら氷(ひ)を踏むやうにして有漏路(うろぢ)の果てを 

   沈黙は金なりといふ人ふえて鬆入(すい)りのやうな平成をのこ

                          『まだ散らぬうち』 外塚 喬




   明 日


   居間には煙草の煙が帳のように

   垂れている。海上の船の明かりが

      遠くににじんでいる。星は空に穴を

      焼きつけている。そう、灰になるまで。

      でもそれはかまわない。星はもともとそういうもの。

      それらの光を僕らは星と呼ぶのだ。

      光れるだけ光って、そして死ぬ。

      僕はがむしゃらな男。早くはやく明日に

      なればいいと願うような人間だ。

      昔お母さん――神の恵みあれ――が、こう

   言っていた。明日を願ったりしちゃいけないよ、

     そんなことしたら人生そのものを逃しちゃうことになる。

 

          Cigarette smoke haning on

          In the living room The ship's lights

          put on me water, dlmming The stars

          purning holes in the sky. Become ash, yes.

          But it's all  right, they'er supposed to do that.

          Those light we can stars.

           Burn for a time and then die.

           Me hell-bent、Wishing

           I twere tomorrow already.

           I remember my mother, God love her.

           saying, Don't wish for tomorrow.
           
           You 're wishing your life away.

            Never theless,I wish

            For tomorrow,. In all its finery.
 
            I want sleep toc ome and go, smoothly.

            Like passing out of the door of one car

            lnto another And then to wake up!

            Find tomorrow in my bedroom.

            I'm more tired now than I can say.

            My bowl is empty. But it's my bowl, you see,

           and I love it.

                                                                         Tomorrow

 

  ● 今夜の一曲

恋の片道切符

今日は建国記念日だということもあったが、マイピーシーがいきなり不調に、加え家庭
内ネットワーク不調――といっても、ルータの故障なのだが、息子がNTT西日本に修
理を依頼していると言うし、デアゴスティーニのマイ3Dプリンタの不調も加わり正午
すぎに2回目の室内ウォーキングをすませると、もう無理をせずに休もうと心に決め、
午前中の高性能太陽電池の日米特許の最新情報の収集など行い、早々とデジタル囲碁で
遊んで夕食をすませる。そんなことでブログは中国文学、政治評論、短歌、詩に目を通
し掲載するが、今日もあっという間に時間が過ぎた。

しばらくする彼女がテレビみていたら、ロマン・ローランがこんなことを言っていたが、
わかる?とメモ書きをみせる。「いつまでも続く不幸というものはない。じっと我慢す
るか、勇気を出して・・・」の後がわからないのよというので調べておくから明日にして
くれないかと返事しておく。


   いつまでも続く不幸というものはない。じっと我慢するか、
            勇気を出して追い払うかのいずれかである。


彼はこんなことも言っている。「人生は往復切符を発行していません。ひとたび出発した
ら、再び帰ってきません」と、「恋の片道切符」と「涙の乗車券」を連想してしまったの
で、早速、ユーチューブしてみる。

 



PS.ニールセダカ記念日みたになってしまった今夜でした。

 

 


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