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傲慢な未経験物体

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    重要なことは、積み重ねによって着々と勝利した、ふりをすることではなく、
    敗北につぐ敗北を、底まで押し押して、そこから何ものかを体得することである。

                                                                   吉本明  
              

                                                     

                         Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924-16 Mar, 2012     

 

  

● 地球接近物体に備えよう!

NASA は、小惑星「2013 TX68」が米国時間で3月5日に地球をフライバイ(接近通過)すると
発表。推定されている最接近時の距離は、静止軌道衛星の高度の約半分である1万7千キロから
月までの距離の35倍ほどの1400万キロと大きな幅がある。 これは、米アリゾナ州で実施
中の地球近傍天体観測プロジェクト「カタリナ・スカイサーベイ」が、13年に初めて見つけ
た時の一度だけ 「2013 TX68」が観測――当時、この小惑星についてのデータをわずか3日間し
か収集できず、3日後に惑星は太陽の前を通過し太陽の光に遮られて見えなくなった――軌道
予測データ不十分なため。

現在、惑星は太陽の方向から地球へ向かっており、太陽光に遮られて姿が見えないため、最接
近時の距離を正確に予測するのは難しくフライバイの日には太陽の方向から外れるため、小惑
星は急に明るくなって、どこかの観測プログラムがその姿を捉えてくれるでしょう。新たな観
測結果が得られれば、その軌道はより明確となり、地球へどの程度接近したのかがはっきりす
るとの専門家の予想である(ナショナルグラフィック日本版 2016.02.19)。



今のところ、この惑星の大きさは直径30メートルと推定され、13年にロシアのチェリャビ
ンスクで爆発した隕石の1.5倍であり、この爆発による衝撃波で、付近では窓ガラスが割れる
などして約千人が負傷した。TX68 級の小惑星が同じように空中で爆発すれば、その2倍のエネ
ルギーを発すると見られている。直径数十メートルの地球近傍小惑星は、百万個はあると考え
られ、発見されている1万個程度。そうれでは衝突しない?というと、地球に衝突しないとされ
ているが、計算によると次にこの惑星が地球へ接近する17年9月28日には、2億5千万分
の1と小さな確率で地球に衝突する恐れがあるとのこと。このような地球接近物体をNEO(
Near Earth Object)と呼称されるが、軌道計算の誤差によれば最悪の事態が予測される、予知能
力を高めリスク管理(制御)を重質することが喫緊の課題だろう。



● 傲慢な未経験物体 ?

今秋の米大統領選でもし共和党の実業家、ドナルド・トランプ氏が勝利したら、国外へ脱出し
たい米国人を歓迎すると、カナダ東海岸のケープ・ブレトン島が、ユニークな「移住の勧め」
を――島の観光組合は、ウェブサイト上で、トランプ氏があなたの国の大統領になるかもしれ
ません。実際にそうなって国外へ逃れたいと思ったら、ケープ・ブレトン島への移住はいかが
でしょう――呼びかけたという(CNNMoney 2016.2..19)。サイトの文言もふるっている――
同島なら、女性は人工妊娠中絶を受けられ、イスラム教徒は自由に歩き回ることができる、ト
ランプ氏が国境に壁を築こうと主張していることを引き合いに出し、ここにある壁といえば、
とても手頃な住宅の屋根を支える壁だけ、医療は無料、拳銃を持っている人はだれもいない―
と売り込む。この御仁父親がニューヨーク市の不動産開発会社の(エリダベス・トランプ・ア
ンド・ソンの御曹司で71年には譲り受けた社名をトランプ・オーガネイションに変更。移民
に反対するポピュリズムで保守反動な主張は、共和党方針相反、労働者階層有権者の支持を得
る。わたしの見立てでは、米国の「住宅資本主義×英米流金融主義」の潮流の尻馬に乗り、の
し上がった独り善がりな傲慢な成金として映る。このような人物が大統領候補として話題にな
るのはある意味時代の寵児、鬼子―喩えとしてのイスラム過激派とメダルの裏表――なのかも
しれない。

カリフォルニア州サンディエゴ市の低所得賃貸住宅(全92世帯)に設置された太陽光発電システム。合計出力202kW

● 低所得世帯にも太陽光発電を!

ここ数年、太陽光発電システムの価格が大幅に低下(「デジタル革命渦論」)、米国ではいま
だに太陽光発電は「お金に余裕のある家庭用のもの」とされている。そんなイメージがカリフ
ォルニア州で変わろうとしているという(「誰にでも太陽光の恩恵を!米加州が貧困層向けに
300MWを設置支援] 日経テクノロジーオンライン」2016.02.14)。昨年10月、カリフォルニア
州の Jerry Brown 知事 は低所得世帯に太陽光発電(PV)導入を促進する米国最大規模の法律案
(低所得者向け賃貸集合住宅用にソーラープログラム)に署名し、同法を成立させた。このプ
ログラムの年間予算は1億米ドルで、10年間の実施が予定。この法律のインパクトは大きい―
賃貸を含めた全ての電力消費者が、汚染を出さない太陽光発電の恩恵を、住んでいる場所、ま
たは働いている場所で得られるようになる――ためで、このプログラムを通し、同州は、少な
くとも300メガワットの太陽光発電システムを低所得者向け賃貸集合住宅に導入する目標を
掲げる。

・環境面と経済面の両方にメリット

カリフォルニア州公益事業委員会(California Public Utilities Commission:CPUC)は08年に「Mu-
ltifamily Affordable Solar Housing (MASH)」と呼ばれる、低所得者向け賃貸集合住宅に太陽光発
電システムの設置を促す補助金プログラムを開始。当時MASHは約1億8百万米ドルの予算を
割り当てられた。全ての予算はすぐに申し込みで一杯になり、13年に新しい法案が可決され
MASH用に新たに5400万米ドルの予算が割り当てられている。


低所得世帯にとって、収入に占める電気料金支払い額の割合は、高所得世帯に比べると高い。
太陽光発電システムの設置により月々の電気料金を削減できると、食費、医療費など、もっと
重要な支出にお金を回すことができ、このプログラムは低所得世帯に環境的利点のみならず、
多くの経済的利点ももたらす。また、MASHプログラムの原資は、日本の固定価格買取制度の
ように全ての電力消費者から電気料金の一部として徴収される。しかし、新しいプログラムは
同州のキャップ&トレード方式の排出量取引制度からの収益が割り当てられ、納税者など、誰
にも余分な支払いが発生しないという。

排出量取引制度は、カリフォルニア州の掲げた、20年までに温室効果ガスの排出量を90年
レベルに削減する目標」を達成するため制度である。大規模な燃料燃焼施設や電力の一次供給
者など、二酸化炭素排出量の多い企業が規制の対象となり、一定量の二酸化炭素を排出する枠
が割り当てられる。この枠は「一定の排出量を排出してもよいパーミッションであり、毎年、
州全体の排出枠総量が定められる。州は目標に向かって徐々に排出枠総量を減らし、各企業へ
の枠の割り当ても少なくする。企業は、排出量を枠内に収めるため、最も費用対効果がよく、
効率的な手法を見つけ出すことを求められ、余った「排出枠」は取引可能であり、企業は排出
量取引市場に売却できるもの。

・低所得者だけでなく全需要家に利点

実は、このプログラムは太陽光発電システム設置に補助金が出る賃貸集合住宅に住む低所得層
のみならず、すべての経済的階級に所属する電力消費者にメリットがある。カリフォルニア州
は、電力会社に対し、低所得層向け電気料金割引プログラムを提供することを義務つけている。
このプログラムは「California Alternate Rates for Energy(CARE)と呼ばれ、連邦貧困所得基準の
二百%未満の世帯が、冷暖房、照明、調理など最小限の電力需要を満たせるように設けられた
支援制度である。カリフォルニア州公益事業委員会のデータによると、現在450万の世帯が
「CAREプログラム」に参加しており、これは同州で同プログラムに参加できる世帯の84%
を占め、同プログラムに参加した世帯は、30~35%の電気料金の割引が受けられる。因み
に、14年にこの支援プログラムに要した費用は12億米ドル。この金額は、全電力消費者か
ら集められたものに相当。太陽光発電システムの設置により、低所得世帯は電力会社からの電
気購入量を減らすことができることで、CAREプログラム予算対象ベースが小さくなり、他の
電力消費量の負担額も自動的に下げることができる。



・米国全土に広がる「歴史的なプログラム」

所得世帯向け太陽光発電支援制度がカルフォルニア州以外の州にも広がろうとしている。昨年
7月にオバマ大統領は、連邦政府主導の「気候変動対策案」の1つとして、連邦政府支援の低
所得世帯に太陽光発電システム300メガワットを20年までに導入、そして、それらの世帯
がシステム購入をより簡単にできるファイナンスシステムの提供を宣言。カリフォルニア州の
この新しいプログラムは、低所得世帯向け太陽光発電システムの普及を促すための最も大きい
投資を意味する。このプログラムが効果的に導入されれば、他の州へのモデルとなり、さらに
全ての人々が太陽光発電にアクセスできる、歴史的なプログラムだと評価されているという。
尚、にわかに信じにくいのでこれは要観察ですね。

● スカートサクション工法の威力 ?!

株式会社大林組は洋上風車の基礎およびアンカーに適用する海洋構造物「スカートサクション」
を開発(「洋上風車の基礎およびアンカーに適用する「カートサクションを開発」2016.02.17)。
もともと、基礎頂版から下方に伸びた円筒形の壁(スカート)を海底地盤中に貫入して安定性
を確保する、新形式の海上基礎工法の応用展開したもの。スカートの貫入には、自重とバラス
ト(重し)を活用するほか、スカートと海底地盤面で囲まれた密閉空間(コンパートメント)
の水をポンプで排水し、水圧の低減(サクション)によって得られる荷重を有効活用する。メ
リットはつぎの通り(海洋橋梁工事の場合の例)。

1.供用中の沈下対策が不要――施工中に、供用時よりも大きな荷重をサクションで事前載荷
 できるため、供用中の沈下を最小限に抑える。
2。基礎のコンパクト化が可能――根入れし、密閉された基礎では、急激な引き抜き荷重に抵
 抗する逆サクション(引き抜き抵抗)が生じるとともに、前面地盤の受働抵抗が生じる。
3.周囲の環境を保全――サクションに用いるのはポンプと周囲の海水だけ、騒音を伴う打撃
 や振動がない。スカートは安定上必要な支持地盤まで貫入、表層地盤が軟弱でも改良や浚渫
 は不要。
4.短時間で基礎が完成――基礎は陸上ヤードやドックなどで構築し、現地まで運搬される。
 基礎の据付作業はスカート貫入だけなので、例えば防衝工の据え付けが2日間で完了するな
 ど、船舶の航行に及ぼす影響もわずか。

 

代表的な建設方法のうち、海底に杭を打設する「モノパイル」や「ジャケット」と呼ぶ構造に
応用すると、従来のように大型の機械を使って海底面に杭を打ち込む必要がなくなる。これに
より基礎工事のコストを約20%、工期を約40%削減できる見込み。なるほど知恵が効いて
いますね。こういうことは日本は得意なのだと感心。



● 人工光合成の実現に向けた酸素発生触媒の開発に成功

分子科学研究所らの研究グループは、植物の光合成よりも高い効率で水から酸素を発生する鉄
錯体(酸素発生触媒)の開発に成功(2016.02.12)。人工光合成の実現には、水を分解して酸
素発生する反応効率を高める必要があるが、植物の光合成にヒントを得て、高効率で酸素を発
生する鉄の触媒分子を開発、人工光合成技術の実現の大きな一歩となり、エネルギーや環境問
題の解決に貢献できる。

作用原理は、上図のごとく、鉄錯体は5つの鉄イオンと6つの有機分子により構築されている
。5つの鉄イオンによる多核構造を持つことで多電子移動反応を、分子の中心部分に存在する
隣接配位不飽和サイトにより結合生成反応を促進――その特徴は(1)酸化還元能を持つ多核
構造。酸化還元能を持つ多核構造は、植物の光合成での酸素発生触媒など天然の酵素にも数、多
く存在し、多電子移動反応の高効率化に貢献。(2)また、隣接する2つの配位不飽和サイト
配位不飽和サイトに水分子が結合することで、酸素-酸素結合生成が分子内で進行し、結合生
成反応の高効率に貢献――することができる。そして、触媒の処理能力を示す触媒回転頻度が、
毎秒1900回という高い酸素発生速度と、触媒の耐久性を示す触媒回転数も100万回以上
と、耐久性も十分に高いことが明らかになり、さらに、迅速な多電子移動反応と効率的な結合
生成反応という2つの要素が、高効率な酸素発生反応の達成に重要な役割を果たしていること
が分かった。

● 地方創成というが、安土安土城跡前、トイレ有料化 ?

近江八幡市は、安土城跡ふもとの公衆トイレを有料化する条例改正案を市議会に提案した。市
の有料駐車場向かいに無料駐車場ができ、維持費を駐車場収入から捻出できなくなったのが主
な理由だという。改正を目指すのは「特別史跡安土城跡前駐車場及びガイダンス施設条例」。
トイレは、城跡入り口そばにある案内所や休憩所を兼ねた市の施設内にある。トイレ清掃など
の維持管理は、11年から安土町商工会に委託。そばにある市の駐車場収入(乗用車510円、
150台収容)から年560万円の指定管理料を支払っている。しかし14年夏ごろ、安土城
跡を所有する見寺が、市駐車場そばの寺所有地に数十台分の無料駐車場を整備。市の駐車場
利用者が減り、14年9月以降、月の収入が前年の3分の1~10分の1程度に落ち込む。
15年は12月までで309万円で、駐車場収入から管理料を支払えない見通し。道路・橋・
トイレ・登山と地方は維持経費の財源が縮小する一方。「楽市楽座」の織田信長はこれでは泣
く。見寺の自治体の話し合い、最適無料駐車台数を決定すれば解決する。

ここまで拗れるのは、(1)「共生」の知恵がない、(2)背景として、ロスト・スコアー(
失われた20年)・見えない脱デフレ出口・格差拡大と少子化・高齢化社会と大きなテーマ横
たわるが、その処方箋として次の2つ税制の改正である。二義的には民営→民間化の促進であ
る。

1.消費税(応益税)の地方自治体への完全移譲。
2.法人税の逆累進制の導入(財政弱小自治体へ軽減化)

※ 見寺は、本来は安土山の頂上付近にあった。今そこには、仁王門と三重の塔が現存する
  のみで、本堂や庫裡などは1854年に焼失してしまった。したがって、今の見寺は、明治
  以後に建てられたもの。戦国期には家康邸であった跡地で、数年前に現住職:加藤耕文師
  が管理(所有?)。

 

  今夜のアラカルト

● トリッパの煮込み ジュブリルタン風

忙中閑あり、ランチははじめて口にする「トリッパの煮込み」に感激。クラブハリエで近江牛
のモツをトマトベースで煮込み、すりおろした山芋をかけて仕上げ。パン、キンカンのマーマ
レード添えカブラサラダ・オリーブオイル付きをささっつと頂くことに。帰れ道は名残雪が吹
雪く。まぁ~こんな日も仕合わせ哉。

  


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