貪に備粟(びぞく)なければ、もって凶饑を待つべからず。
庫に備兵なければ、義ありといえども、義なきを征する能わず。
墨子『七患』
※ この編では「備えを忘れて宮殿づくりに熱中する」ことを筆頭に七つの誤りを
あげ、ついで「節約」を強調する。人民に、ではない。節約は上から、でなけ
ればならぬ。不時に備えよ。と、説く。
【中国の思想: 墨子Ⅵ】
公輸――墨子と戦争技術者
尚賢――人の能力を正当に評価せよ
兼愛――ひとを差別するな
非攻――非戦論
節葬――葬儀を簡略にせよ
非楽――音楽の害悪
非命――宿命論に反対する
非儒――儒家批判
親士――人材尊重
所染――何に染まるか
七患――君子の誤り七つ
耕柱――弟子たちとの対話
貴義――義を貴しとなす
公孟――儒者との対話
魯問――迷妄を解く
【太陽光地産地消の条件:ZEH市場の伸長】
新築住宅に関して、エネルギー基本計画(12年)の中で、20年に向けてZEH(ゼロエネルギー
ハウス)化の方向が打ち出されている。ZEH化の基幹技術である太陽光発電の導入拡大が引き続き
期待できる。ZEH化のためには、大容量の太陽光発電が必要で、容量拡大の技術開発への注目も高
まっている10キロワット未満の住宅用市場は、国がゼロエネルギー住宅、省エネ住宅の普及施策の
推進にあわせ、電力小売自由化も追い風となり、30年まで順調に安定的に増加していく予測する(
『FIT制度改革に先手を打つ! 太陽光自家消費にシフト』環境ビジネス2016年春季号)。
14年度の新設住宅着工戸数は、880,470戸。持家278,221戸、貸家358,340戸、分譲住宅は236,042戸
(国土交通省総合政策局建設経済統計調査室公表資料)で、このうち太陽電池搭載住宅は5.9%。今
後数年間は、90万戸前後で推移すると予測(野村総研資料より)。住宅分野では、ネットゼロエネル
ギーハウス(ZEH)の普及がある程度進み、需要側との一体化やHEMS(ホーム エネルギー マネジメン
トシステム)によるスマート化などが実現され、自由化される電力市場で、グリーン価値意識の高揚など
が進展する。
スマートハウス関連市場は、8,000億円を規模、プレハブ建築協会のレポートでは、新築戸建住宅の太
陽光発電搭載率は約62%と過半数を超え、工業化住宅においては太陽光発電搭載が主流となっきて
いる。今後この傾向は一般住宅へと拡大し新築戸建住宅の太陽光発電設置比率が増加。新築住宅の搭
載率が約60%で、微増状態になると推定すると、スマートメーターやHESM/BEMS/FEM
Sを搭載したスマートハウスの普及拡大すると予想。また、戸建既築も太陽光発電の設置が進み、戸
建既築も、新築ZEHに呼応するような省エネルギー政策で一定量の市場が形成され安定状態になる。
既築戸建用太陽光発電市場は、2500万戸といわれる戸建住宅ストックの中から比較的条件(屋根形状、
方位、予算等)の良いものから太陽光発電の設置が進む。市場拡大には製品やサービスの進化の継続
が重要となる。既築住宅の場合は、現存する屋根にモジュールを合わせて設置するため、新築用より
高い応用力が必要とする。古い家屋の耐震性能も考慮すれば、モジュールの軽量化も普及の要素にな
システムとしては、今まで以上に、長期の信頼性と品質保証体制が重要と指摘している。
ポストFIT(電力買取制度)期に突入し、太陽光発電システムの導入の動きが鈍るが、電力自由化
の動きなどの中で、自家消費型太陽光発電に注目が集まる。地球温暖化対策や政府のZEH普及対策
なども普及を後押しもあるが、買取価格の低下や系統接続問題の顕在化、大規模発電施設の適地の減
少などの要因から、太陽光発電モジュールの出荷量の減少、15年度第3四半期の国内向け出荷量は
住宅用が前年度に比べ12%減、非住宅用が24%減で、出荷量合計は21%減の176万5000kW(太陽
光発電協会調べ)。ただし、前期に比べると住宅用と500キロワット未満の非住宅用は伸びている。
2月22日に、16年度のFIT買取価格の最終案がまとまり、再生可能エネルギー普及の先導役を
担ってきた非住宅用太陽光発電は27円から24円に引き下げられ、買取価格の算定にかかわるシス
テム費用の想定植は15年度の29万円/kWから大きく25.1万円/kWまで下げられた。システ
ム費用を除く他の土地造成費、接続費用、運転維持費、設備利用率の算定指標はほぼ横ばい。
一方、住宅用太陽光発電のシステム費用は15年度の36.4万円/kWから35.3万円/kW、買取
価格も33~35円から31~33円に引き下げられ、住宅用では設備利用率の指標が12%から
13%へ引き上げられ、余剰売電比率も60%から70%へとアップしている。こうした縮小傾向が
続くなか、自家消費型の発電市場が注目が集まる。経済産業省によると全国の自治体・事業者による
自家消費型再生可能エネルギー発電設備は1万1431件。うち1MW未満の設備は1万189件で
全体は、年間2GWを超え、市場は順調に成長していくとみている。また、地球温暖化対策の観点か
らも、今後、住宅用太陽光発電の拡充が期待されている。国内の温室効果ガス削減の指針となる「地
球温暖化対策計画」の原案では、家庭や店舗、オフィスが高効率の照明や太陽光発電を利用し、30
年までに4割の排出削減を目指すことが盛り込まれている。
すでにプレハブ建築協会のレポートによれば、新築戸建住宅の太陽光発電搭載率は63.2%と過半数
を超えている(13年)。また太陽電池の大手専業メーカーであるソーラーフロンティアでは、既築住
宅と中小ビルダーによる新築住宅に年間約1千万戸(16~18年)の潜在顧客があると想定。太陽光
発電+蓄電池でのシステムコスト30万円/kWを目指しつつ、太陽光発電の実物に触れられる「プロ
ショップ」を全国展開し、潜在需要を掘り起こしていくと予測する。
● 日本と海外における太陽光発電の導入コストの比較
市場拡大に効果をあげたFIT制度だが、様々な課題も浮上し、再エネ電力の調達に関する特別措置
法(再エネ特措法)の改正案が審議される。12年7月から固定価格買取制度が開始され、太陽光発電
市場が成長する。15年10月に発刊した世界の太陽光発電市場を総括する報告書「Trends Report 2015」
によると、系統連系形太陽光発電システムの導入コストは継続して低下している。システムの価格低
減幅は、太陽電池モジュール価格の低減幅よりも大きく、システムの導入コストの低減は、主にコン
ポーネント以外のコストのソフトコストの低下及び利幅の低下が要因と指摘されている。同レポートで報
告された14年の導入コスト及び導入直近のコストを比較すると、上表に示すように日本の太陽光発電
システムの導入コストが比較的高額となっている。
日本の場合は、現行制度において、「コストの実績+適正な利潤」により買取価格を算出することが
定められている。しかしこの方式では、買取価格は実態より高くなりがちである。住宅用システムにつ
いては、流通構造の違いが主な要因で海外と比較して高額となっている。大規模発電所については、高
い買取額の案件は導入コストも高額になる傾向があることや、最近の工事コストの上昇などが原因と
してあげられる。国内市場では制約を機会にシステム導入コストの差異は、支援のレベル(例:買取額
のレベル)、導入の方式(入札制度の実施)などの様々な要因で生まれている。
FIT制度から卒業しつつある欧州諸国や、この制度なしで導入が進展している米国やオーストラリ
アの事例をみれば、日本においても太陽光発電システムの導入コストの低減はまだまだ可能である。
単純に考えると「導入コストの低下=売上の減少」となるわけだが、流通構造、コスト構造の徹底的
な合理化、ビジネス転換、例えば、キロワット・ビジネスからキロワット時ビジネスヘの展開の機会
を狙うことで、ポストFIT時代を乗り切るこす可能性がある。また、系統の制約が顕在化している
諸外国においては、系統の安定化にも寄与できるインパークのスマート化や分散型蓄電池の活用など、
太陽光発電の周辺機器にも新たな機会が訪れつつある。
海外市場への展開
日本の太陽光発電関連企業は、これまで国内市場に焦点が当ててきたが、今後の海外展開を期待した
い。PV Market Alliance(PVMA)による分析では、15年の世界市場全体の太陽光発電新規導入量は、
少なくとも51ギガワットである。日本市場は安定化する方向にあるが、世界市場は、太陽光発電の
競争力の向上に伴い、今後大きく拡大する見込mれている。16年の市場は60ギガワットレベルと
なる可能性もある。COP21での地球温暖化に対する新たな法的枠組みに関する歴史的な合意により、
地球温暖化対策は、これまで経済成長を阻害するものではなく、事業機会として認識をされ、再生可能
エネルギーの導入拡大の流れが世界中に広がり加速している。CCP21に関連する取り組みの中で太
陽光発電の普及が加連される取り組みも始まっている。
先進諸国では、既存エネルギーを代替することを目的に導入が進んできたがた、新興国においては、
電力需要の急増に対応し、化石燃料の使用量を低減するための発電技術として太陽光発電の導入が進
み始めている。新興国における太陽光発電システムによる電力供給システムビジネスは、これからま
すます本格化していくとともの、新興市場には、FIT制度を卒業した欧米諸国の企業や新興国の企
業が競って参入している。こうした市場での競争力を確保したうえで日本の企業が、固定価格買取制
度の下で培ったノウハウを活かして、「太陽光発電システムを利用したエネルギーインフラ」の輸出
に取り組んでいこうとする動きが本格化していくだろう。
A new spin on community solar
● オールソーラーシステム時代への適応能力
ここでは、非家庭向け太規模太陽光発電事業とEZHのような家庭向け太陽光発電事業の2つのポス
トFIT時代の太陽光発電の展望が特集されていて、前者の「非家庭向け」は、”キロワット・ビジ
ネスからキロワット時ビジネスヘの展開”が提案されている。この分野では、国策の違いで、原子力
発電一辺倒の日本の企業は大きく欧米・中国の企業より遅れをとる。この差異の現状事例として、米
国のカルフォルニア州の「地域太陽光百パーセント」――今年度の初め、Pacific Gas & Electric(PG&E)
が、「Solar Choice(ソーラーチョイス)プログラム」という電気料金プランを開始。購入する電気の
百パーセントを地元の太陽光発電まかなう。同社は電力で540万軒、ガスで4300万軒の契約数を
持つサービスエリアが、カリフォルニア州の北部と中部地域の地域大手電力会社。これに対し、導入
システムのコストの削減及び保全管理サービス(O&M)の経費節減、効率化と付加価値化などで競
合できること(国内では雇用確保)が自由であるが、導入システムでの技術面では「マイクロインバ
ーター技術」(パネル毎に自動定圧-調流)で先行されてしまっている。また、国内のように平野部
の少ない国土では山間部の有効利用や北面パネルの活用するシステム技術(もの情報システム=Io
T)あるいは拡散光の電力化という技術的改良が重要になる。
初電量を最大化する「パワーオプティマイザー」日本に上陸
最新ナノグラフェン電子工学
さて、ZEHなどの家庭向き太陽光発電も前者事業とおなじ課題をもつが、定置型パネルでの高変換
効率化――次世代形太陽電池の開発の促進が最優先課題となる。ここでその有力な技術はナノ電子工
学であり、単純に言えば、マイクロとナノの重量・体積で百万分の一の差が生まれ、量子ドット太陽
電池、グラフェン太陽電池(ペブストカイト太陽電池や有機太陽電池は長寿命・堅牢性の課題が最後
まで残る→短期交換市場との棲み分け)。もっとも、量子ドット、グラフェンもまだ評価方法・検査
方法も未確立で、実証実験情報はこれからの分野ではあるが、そこは、『デジタル革命渦論』で早期
実現できると確信する。逆に言えば、『ZEHシステム工学』は日本のお家芸、これれエネルギーフ
リーを実現し、人為的な地球温暖化を制御でき、日本初の『ZEHシステム工学』は世界を席巻する
であろう。そのためならわたし(たち)は努力を惜しまない。