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トレッキングと修景 Ⅲ

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       わが国の当面している問題は、まったく欧州共同体と逆だといっていい。本来の経済的な規模からいえば、
       とうにちちこまとした国家主義や民族主義を越えて国家を開くべき段階にあるのに、逆流は農産物や文化
        の鎖国現象にあらわれて悩まされているのではないだろうか。

                            「国際問題の一年:情況との対話」サンサーラー 1994

     

                                                                    

                                  Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 

 

 

   竜王山/滋賀の山々Ⅰ

【トレッキングと修景 Ⅲ】

 

 

 7日予定通り。眼底頭痛ひどいなか午前10時に家をでる。天候は微風で曇天である。湖岸を南下し、先日、砂づり藤を
鑑賞した志那町の三体神社(「ピスタチェリーと砂ずり藤」2016.05.02)の葉山川沿いに県道31号線をまっすぐ一路南
下、栗東市手原町に向い、国道8号線交差し県道55線号を経て県道12号線に入り、一旦、道の駅「こんぜの里」でト
イレ休憩。




ここで気になるのは、太郎坊宮駅から竜王までのトレッキングであり、(1)中山道の「愛知川」→「武佐」→「守山」
→「草津」をウォーキングあるいは周辺の遊歩道を組み込み「鏡山」→「三上山」をトレッキングのオプションコースに
を考えてみた、これは琵琶湖一周をひと筆書き周回のためであるが、(2)車との関係――自家用車の排気ガスは規制の
遵守とハイブリッド車などの普及で問題はないのだが、トラックは野放しで、この日もルーフーレス運転をしたが前方を
走る二トントラックの排気ガスすさまじさ(ドイツのような厳しい規制やクリーンジーゼルの普及からはほど遠い現状)
を体験、健康被害を考慮すると積極的に推奨したくはない。

 

 

 


 

   

道の駅から12号線を信楽(「紫香楽宮跡駅」)に向けさらに南下する。途中、新名神高速道路が高架する大鳥居交差点
で、下写真のように、「これぞ!修景?」ではないか感心しシャッタを切り、一旦、紫香楽に向かい、ユータウンし16
号線を桐生辻(瀬戸ヶ滝登山口だが大戸川ダム建設工事で通行止め)で通り、平野交差点で右に折れ県道108号に入る。
桐生橋で右折れ草津川を渡り右折れ南下すると老人ホーム桐生園前の上桐生バス停に到着する。ここまで、JR草津駅か
ら所要時間30分である。ここを竜王山トレッキングの登山口のコース起点とする。当日はここから登らず、車で北上し
県道113号線にでて、栗東トレーニングセンター南、大野神社付近をなんかし「黒橋」→「十九道橋」を渡り、「走井
林道」から「十九道ダム」「白糸の滝」横を併走し「馬頭観音堂」に到着し駐車場(10台まで可、及び簡易トイレ在り)
から、竜王山山頂を徒歩で往復30分する。

 
奥は県道12号で道の駅に至る/手前 県道16号と交差る 

 

 

下写真は「黒橋」→「十九道橋」を渡り、「走井林道」から「十九道ダム」「白糸の滝」横を併走し「馬頭観音堂」に到
着し駐車場までの写真であるが、舗装された林道の環境整備に地元の「オムロン株式会社」と「オムロン労働組合」賛助
支援などで実現していることがうかがえる。



下の写真、左/上は「馬頭観音堂」:馬頭観音(ばとうかんのん)は、仏教信仰対象の菩薩の一尊。観音菩薩の変化身(
へんげしん)の1つで「六観音」の一尊にも数えられる。柔和相と憤怒相の二つの相をもち、日本では柔和相の姿はあま
り知られておらず作例も少ない。そのため、観音としては珍しい忿怒の姿をとるとも言われ、通例として憤怒相の姿に対
しても観音と呼ぶことが多いが、密教では、憤怒相の姿を区別して馬頭明王とも呼び、『大妙金剛経』に説かれる「八大
明王」の一尊にも数えるといつから、複雑な思いが去来する。右/上は「竜王山頂の標識」:大津市、草津市、栗東市に
またがる花詞岩からできた山々で、湖南アルプスといわれる。中でも鶏冠山、竜王山からなる変化に富んだコースのある
金勝山(こんぜやま)は全勝アルプスとも呼ばれる。花陶岩の巨岩、奇岩からなる山々を縫うように多くのコースがあり、
標高は最も高いところでも600メートル余りだが、初心者からベテランまで楽しむことができる。また、金勝山には古
くから湖南地域の仏教の中心寺院として栄えた金勝寺(こんしょうじ)があり、今も登山道には石仏が見られまる。近江
を度々訪れた白洲正子もこの地を訪問し、「かくれ里」で全勝寺、天狗岩、狛坂磨生仏を紹介しています。ここでは、ダ
イナミックで荒々しい巨岩の中で山登りを体感することができますが、一方で白洲正子が訪ねた路傍の石仏などを眺めな
がらゆっくり歩くこともできると紹介されている(滋賀県)。左/下は同じく山頂にある社殿(由来不詳)。右/下は、
山頂からの北側の遠望、栗東トレーニングセンターグラウンド。

下写真の左/上・下は、霞んでよくわからないが、御在所山だと思われる。右は馬頭観音堂駐車場から竜王山山頂コース
登り口。ところで、湖南や蒲生野には竜王(龍王)冠する山が多い。例えば、この地方は古くから田園地帯として、農耕
が盛んで。、河川の氾濫などが大きく、日本中大きな川のある周辺には龍神信仰が残っている。これはインドのナーガと
いう蛇の神様も同様に仏教に取り込まれ八大竜王信仰とし日本各地の水神や、記紀神話の代表的な海上神神の仏習合し、
神社の祭神として祀られ変容してきたことに由来する。蒲生野には日野川ほか善光寺川、祖父川、惣四郎川が流れ。河川
の氾濫を龍の怒りと恐れられた。鏡山と雪野山という2つの山もそれぞれ西の竜王山、東の竜王山と呼ばれ、どちらも龍
王の住処だと畏怖される。昭和30年代に苗村・鏡山村の2つの村が合併する際に村にあった山の共通した呼称からとっ
て竜王村と名付けられている。

 

下写真の左は金勝山(こんぜやま)の金勝寺(きんしょうじ)は参道の仁王門。天平七年(733)聖武天皇の勅命で、
奈良の都(平城京)の東北鬼門を守る国家鎮護の祈願かとして、東大寺の初代別当の良弁僧正が開基し、八世紀の中頃ま
でに近江の二十五別院を総括する全勝山犬菩提寺として法相宗興福寺の仏教道場であった(興福か官務牒疏)。弘仁六年
(815)嵯峨天皇の勅願をうけ、興福寺の高増額安が、伽藍を整備し、天長十年(833)仁明天皇により、鎮護国家
の僧侶を育成する官寺である「定額寺」に列せられ、金光明最勝王経の全勝陀羅尼晶の「金時」が勅願の題字であり、金
勝山金勝寺となる(続日本書記)。

寛平九年(897)宇多天皇により、国費支給による学袁僧である年分度者二人を、全勝寺で六年開山を降りず、専修す
ることを認可する(大政官符)。六年間の山専修、さらに六年間、全勝寺の四所名神である甲賀郡飯道名神・坂田郡山岸
照名神に一人、野洲郡良主名神・野洲郡三上名神に一人派遣し、国家鎮護を祈願する神宮寺的性洛をそなえたか寺院でも
あった。文治元年(1185)11月15日、全勝寺は失火し、時の住職正心上人が再興し、大講堂・常行堂・法華堂・
二月堂が建立されたと「全勝寺大菩提寺流記」に記されいる。平安時代後期には天台宗に転宗していたと考えられている。

その後、江戸時代に至る問、金勝寺は歴代の天皇、武家将車から、論旨、下知状、朱印状を賜り、保護され仏供田30石
を領絹している。天分十八(1549)大火により、講堂悉く焼失のため、後奈良天皇は再建の論旨を下し、慶長十四年
(1599)住職心正院清賢法印は、徳川家康に請願したが、再建までに至らず、現住の本学は約四百年前の仮堂であり、
排水を考えた山型配石の参道の石垣は、延宝二年(1674)に修復されたものであり、大講堂跡、三重塔跡は左高台に
残っているという。

 

写真左は仁王門(本坊)、右は里坊金勝寺の鑑賞(入場料5百円)を終え、もう一度道の駅「こんぜの里」に立ち寄り
「番茶」を買う。ここから、林道心行路線に沿って「阿星山」は山頂をめざし、さらに、林道阿星支線を下り、「長寿
寺(東寺
)」を経由し「美松山」(平松のウツクシマツ自生地)を鑑賞した後、終着地のJR甲西駅に向いコースアウ
トするコースを想定する。もう少し足を伸ばし野洲川を越え、「十二坊温泉」で疲れを癒すのも一興。さて5月14日(
土)は綿向山のコース下調べ予定。


標高227.6mの美松山(びしょうざん)に自生するアカマツの変種で、山の南西斜面一帯に約200本の大小の美松が群
生。主幹がなく、1本の根から枝が地表近くで放射状に分かれ、樹形は傘を逆さにしたような特異な形態をしている。
このような松は日本でもここだけで、国の天然記念物に指定。

● ワン・ビューポイント



手入れがよく届いているコースロードではあるが、上の写真は、折角の階段盛り土が雨―――花崗岩質のため保水されず
――で流出。石版をはめ込むか、通水(透水性)と保水性と堅牢性を兼ね備えた人工石材填め込むか盛土加工するよいな
工夫がいる。



帰りの湖岸を走っていると、対岸の山に絹傘がかかったように、淡くしっとりとした光景が目にとまり、車を止めシャッ
ターを切る。

 


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