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帝國のロングマーチ Ⅴ

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   若さの主張というのは、一番深く考えていると思っていても、そうじゃないことがわかります。

              
                  「吉本隆明氏ロングインタビュー:持続する思考、生きた言葉」
                        
                                                                       週刊読書人2011.12.09

 

                                                                     

                                 Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

● 庄堺公園の薔薇と躑躅 2016


【帝國のロングマーチ Ⅴ】

 

● 折々の読書  『China 2049』26    


                                  秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」     

                                                    マイケル・ピルズベリー 著
                                                    野中香方子 訳   

ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケル・ピルズベリーが
自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえで、中国の知られざる秘密戦略「100年マ
ラソン( The Hundred-Year Marathon )」の全貌を描いたもの。日本に関する言及も随所にあり、これからの数十
年先の世界情勢、日中関係そして、ビジネスや日常生活を見通すうえで、職種や年齢を問わず興味をそそる内容と
なっている。   

 【目次】

  序 章 希望的観測
 第1章 中国の夢
 第2章 争う国々
 第3章 アプローチしたのは中国
 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
 第5章 アメリカという巨大な悪魔
 第6章 中国のメッセージポリス
 第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
 第8章 資本主義者の欺瞞
 第9章 2049年の中国の世界秩序
 第10章 威嚇射撃
 第11章 戦国としてのアメリカ
 謝 辞
 解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか
     森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣)    

    第5章 アメリカという巨大な悪魔   

                                   夢中生有――夢中に有を生ず

                                     『兵法三十六計』第七計  

 USCCによれば、

  中国は伝統的に、強い敵対関係にある外国勢力を覇権と見なしてきた……中国の指導者は、アメリカの根本
 的な動機は、厚顔無恥な「パワー・ポリティクス(武力外交)」によって世界の覇権を維持しようとするとこ
 ろにあり、その行動はしばしば民主主義の拡大を隠れ蓑にする、と信じている……中国によるアメリカの評価
 は戦略上のものも、一般的なものも、アメリカ式の民主的な自由主義とアジアにおける存在と強い立場が共産
 党の独裁を脅かす、という見方によって形づくられている(注20)。

  中国は、アメリカによる諸外国への干渉のほぼすべてをその証拠として挙げる。それらがいかに利他的なも
 のであろうと、おかまいなしだ。USCCが観察するように、「中国政府はベオグラードの中国大使館を誤爆
 したアメリカをナチス・ドイツになぞらえる。また、アメリカがポスニアとコソボに投資するのは、ヨーロッ
 パでの優位を保つためだと言う。さらにNATOの拡大は中国を包囲し取り込むための試みであり、アメリカ
 が構築した弾道ミサイル防御システムが、大量破壊兵器の拡散をもたら したと批判する(注21)」。

  つまり中国の指導者は、アメリカが150年以上にわたって中国を支配しようとしてきたと信じており、何
 としてもそれを阻止して、逆にアメリカを支配しようと考えている。中国の指導者は、世界の状況は基本的に
 ゼロサム(全員の利得の総和が常に ゼロになること)だと見ている。そのため、ジョン・タイラーの時代か
 らずっと中国に無慈悲な仕打ちをしてきたアメリカに、等しく無慈悲な仕返しをして、損得の帳尻を合わせよ
 うとしているという。

  もっとも、中国がそのようにアメリカを見ていても、中国の指導者がその思い違いに従ってふるまうのでな
 ければ、心配する必要はない。しかし、中国にアメリカと争う用意があるようには見えないものの、厳然たる
 事実として、中国の指導者はアメリカを打倒すべき敵と見なしている。米中がそういう関係にあることがわか
 れば、なぜ中国が、特にテロとの戦いにおいて、何度となくアメリカの敵を支援し、アメリカのカを削ごうと
 してきたのかが理解できる,たとえば、9・11の後、中国政府は「交戦中のペンタゴン』というビデオを
 作成したが、それはサダム・フセインを分別ある聡明な発言者として描き、USCCによれば、「アメリカ政
 府を、武力による無闇な報復に取りつかれた、覇権が危ぶまれ自尊心が傷ついた暴漢として描こうとしている
 (注22)」。
 
  中国タカ派の進言を受けて鄭小平が行った、アメリカに対するネガティブ・キャンペーンは、かなり成功し
 た。郵は、中国に深く根づいた、古代の覇権国に対する見方をうまく利用した。

  男は国内の勢と国際的な勢の両方に目配りした。アメリカと友好関係にあった1969年から89年までの20
 年間をなかったことにしたが、アメリカを警戒させるような態度はとらなかった。しかし、国境に配備された
 100万のソ連兵に対抗するための同盟国を、郵はもはや必要としていなかった。一方、アメリカの情報機関
 関係者のなかに、中国の指導者によるアメリカに関する発言は本気だと考える人は、ほとんどいなかった。ワ
 シントンでは誰ひとりとして、肢らの反アメリカの長広舌をまともに受け取らなかった。とはいえ、西洋の指
 導者が公の場でそれについて言及することは稀で、そもそもほとんどの人は、中国側のそのような発言に気づ
 いていなかった。そのため、アメリカを悪魔呼ばわりする主張が論駁されることはなかった。問題視した人も
 わずかにいたが、少数の過激なタカ派の主張にすぎない、となだめられた。

  数十年にわたって中国の指導者は、国内でも海外でも、自国の政治に関する議論をコントロールしようとし
 てきた。彼らはそれをさらに進めて、中国と中国政府のイメージに影響するメッセージを発信するシステムを
 構築し、主にアメリカを編して中国を支援させ、それを糧に成長し、やがてはアメリカを凌駕しようとたくら
 んだ。1995年以来、中国の指導者は、100年マラソンの勝敗は、中国のイメージを形づくるプロパガン
 ダが外国のメディアを利用してうまくいくかどうかにかかっていることを理解していた。それは莫大な費用を
 要する大いなる賭けだった。

  中国の指導者はアメリカだけではなく、アメリカのメディアも信用していない。2013年末までに、中国
 は20名以上のアメリカ人ジャーナリストを国外へ退去させる(注23)。その多くは、中国の体制の怒りを買う
 ようなことはしていなかったが、雇い主であるニューヨークータイムズとブルームバーグ・ニュースが「罪」
 を犯したために、彼らも罰せられた。2012年6月、ブルームバーグは、習近平総書記(当時)の親類の蓄
 財に関する記事を公表した(注24)。同年10月、タイムズは現職の首相である温家宝の親類の蓄財について報
 告し、それに続いて、タイムズが所有するオンラインの中国語で書かれた生活雑誌が、JPモルガンから温の
 娘に支払われた秘密のコンサルタント料に関する同様の話を報じた(注25)。それを受けて中国は、自国のイ
 ンターネットユーザーがブルームバーグとタイムズが運営するウェブサイトにアクセスできないようにした(
 注26)。中国政府は、アメリカのジャーナリストを、何代にもわたって中国人の間に喧嘩の種をまき、中国のし
 かるべき繁栄を妨害してきたアメリカ人の最新のメンバーと見なしているようだ。

  中国のエリート層の間で標準的なこの種の考えは、アメリカでは異様に極端なものと見なされている。影響
 力のある兵法家で、中国防衛大学の教授を務める戴旭大佐は、アメリカが主導する陰謀に関する中国語の記事
 を頻繁に書いている(少なくとも暗黙のうちに中国政府が認めているので、そのようなことができる)。たと
 えば2013年には、アメリカは上海でH7N9型鳥インフルエンザウイルスの大流行を計画し、「生身体心
 理学的」戦争を仕掛けた、と彼は告発した。また、アメリカは世界人口を20パーセント削減しようとしており、
 中国の産業を密かにコントロールし、中国をいくつかの国に分割しようとしている、としばしば警告する(注
 27)。

  しかしアメリカ政府は、中国が現在も過去の歴史を通じても、アメリカを悪役と見なしているということに
 一向に気づいていない。USCCは、2004年にメリーランド大学が行った「長明にわたる中国のアメリカ
 に関する報告書のメッセージと口調に関する経験的証拠を提供する」ための大規模な研究を要約した(注28)。
 その結論は「アメリカ政府は、不十分なリソースから中国の著書や発表を収集し、翻訳し、分析しようとして
 いる。したがって、中国の指導者と一般市民のアメリカに対する見方については、限られたことしかわかって
 いない」というものだった(注29)。



  中国の影響力のあるタカ派はおそらく観ていないだろうが、アメリカ映画『ユージュアル・サスペクツ』で
 は、ケヴィン・スペイシー演じる邪悪な天才が、肉体的なハンディキャップのある、物腰のやわらかなまぬけ
 のふりをすることによって、全員の裏をかく。中国のタカ派は、その編しを象徴するある台詞を気に入ること
 だろう。それは、「悪魔の最大の策略は、この世に悪魔はいないと人々に信じさせたことだ]というものだ
 (注30)。最高の編しは、一しがあったことさえ隠す、という意味である。中国のタカ派は、中国が関与した
 中傷キャンペーンを隠そうとする。中国は今も、アメリカの投資、貿易、教育がもたらすメリットを求めつつ、
 アメリカ政府は中国の台頭に寛大な姿勢のままでいてほしいと思っている。そのためには、アメリカに対して
 友好的な態度をとる必要がある。


 
  しかし中国タカ派の戦略上のもう一つの目標は、次世代の中国の市民、軍人、政治指導者に、アメリカ型の
 政治には何ら魅力はないと教え込み、アメリカ政府を悪魔のように思わせることのようだ。タカ派は、自由市
 場経済と選挙という、アメリカの「破壊的」モデルが広まることを恐れている。しかし、アメリカの学校で科
 学、ビジネス経営、その他の政治的に安全な学科を学ぶことは問題視されず、現在、24万人の中国人学生がア
 メリカで学んでいる。
  中国のタカ派は、国内でアメリカ式の政治モデルの魅力を弱める方法を見つけた。しかも、ハト派に中傷ブ
 ログラムの存在を否定させておけば、アメリカはそれを決して問題視しないだろうと考えているのである,

以上、次回は「第6章  中国のメッセージポリス」に移る。

※ 脚注

注20.Same the cf. 19th.
注22.Do ↑
注23.Mark Landlcr and David E. Sangcr,“China Prossures U.S.Journalists,Prompting Waming from Biden,” New York Times,
           December 4, 2013,以下のサイトで人手可能。
           http://www.nytimes.com/2013/12/06/world/asia/biden-faults-china-on-foreign-Presscrackdown.html?_r=2&
注24.Do ↑
注25.Do ↑
注26.Do ↑
注27.Milcs Yu, “lnsidc China: PLA Strategist Rcnects Militarvls Mainstream,”Wasuinton Times, April1,2013,以下のサイトで
           入手可能。
    http://wxnv.washingtontimes.com/news/2013/aPr/H/inside-china-Pla-strategist-renects-militarys-mai/?Page=all#Pagebreak.
注28.“U.S.-China Economic and Securitv Review Commission Annual Report. 2002.”
注29.Do ↑
注30.Kevin Spacey,The Usual Suspects, direcred by Bryan Singer.Los Angeles:  Spelling Films lntcmational, Gramercy Pictures,
    and PoluGram Filmed Entertainment. 1995. "The greatest trick the Devil ever pulled was convincing the world he didn't exist. "

                                                                      この項つづく

 

国道8号線を走っているカーステレオから川井郁子のヴァイオリンが流れだしたのでラムダムボタンを消し
しばらく、アルバムを流しぱなしにする。川井 郁子(かわい いくこ、1968年1月19日、日本のヴァイオリニ
スト・作曲家・大阪芸術大学芸術学部教授。香川県木田郡牟礼町(現・高松市)生まれ)。2001年4月より大
阪芸術大学芸術学部音楽学科教授。2005年より教授。ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団、ニューヨ
ーク・シンフォニックアンサンブル、サレー・アンタル・ジプシー楽団、ブルガリアン・シンフォニー・オ
ーケストラ、読売日本交響楽団、NHK交響楽団、新日本フィルハーモニー交響楽団など、国内外のオーケス
トラと多数共演・レコーディングを行う。2005年11月結婚。2006年6月20日、第1子(長女)を出産。産休後、
同年9月より演奏活動に復帰。2013年3月離婚。音楽活動だけでなく、女優としても活動。1998年の映画『絆
-きずな-』(役所広司主演)では批評家大賞新人賞を受賞。1999年放送の連続テレビ小説『すずらん』(遠
野凪子主演)に出演。2013年、『北のカナリアたち』の音楽で第36回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。
2007年3月16日、初のベストアルバム『The Violin Muse 〜The Best Of Ikuko Kawai』を発売。2008年7月23
日、オリジナルアルバム『新世界』発売。10月には、日本全国ツアーを行い、ニューヨークカーネギーホー
ルでアメリカデビュー。2009年1月21日、『川井郁子 at カーネギーホール 2008 〜新世界〜』発売。近年
大阪芸術大学所蔵アントニオ・ストラディバリウス(1715年「ストラディバリの絶頂期」)を貸与される。

※ 「川井郁子 Mother Hand 基金」を設立し、基金主催のチャリティーコンサートを開いたり、日本UNHCR
  協会評議員として難民キャンプを訪れたりするなど、社会奉仕活動にも積極的に参加。

 


Vieja milonga que en mi horas de tristeza,
 traes a mi mente tu recuerdo cariñoso
 y, encadenandome a tus notas dulcemente,
 siento que el alma se me encoje poco a poco;
 recuerdo triste de un pasado que en mi vida
 dejo una pagina de sangre escrita a mano
 y que se he llevado como cruz de mi martirio
 aunque mi carga infame me llene de dolor.

Hoy que los años han blanqueado ya mis sienes,
 que en mi pecho solo anida la tristeza
 como una luz que ilumina en el sendero
 llegan tus notas de melodica belleza.
 Tango querido, viejo tango que me embargas
 con la cadencia de tu musica sentida
 quiero morir bajo el arrullo de tus quejas,
 cantando mi querellas, llorando mi dolor
 recuerdo aquella epoca, tan linda que se fue.

※ 英語訳

Old milonga that on my hours of sadness
 brings to my mind an affectionate reminiscence
 and chaining me to your notes sweetly,
 I feel my soul shrinking little by little.
 sad memory of a past that in my life
 I leave a page of handwritten blood
 and that I have carried my cross of martyrdom as
 but my burden infamous fill me with pain.

 

Now that the years have whitened and my temples,
 that nest in my chest just sadness
 as a light that illuminates the path
 your notes arrive melodic beauty.
 Tango dear, old tango that overwhelms me
 with the rhythm of your music felt
 I want to die under the cooing of your moaning,
 singing my complaints, crying my pain
 I remember that time, so nice that has gone.


                                   MUSIC : Angel Villoldo
                            Word :Juan Carlos Marambio Catan (1930)

 

エル・チョクロ(El choclo)はタンゴ。1903年にアンヘル・ビジョルド(Ángel Villoldo)が作曲したとされ、
1905年11月3日にブエノスアイレスの高級レストラン「レストラン・アメリカ」で初演。「エル・チョクロ」
とはスペイン語で「とうもろこし」という意味であり、由来には諸説あるが、不明である。アンヘル・ビジ
ョルド自身も歌詞をつけ、マランビオ・カタン(Marambio Catán)も歌詞をつけている。しかし、一番よく
聴かれるのは、1946年にエンリケ・サントス・ディセポロ(Enrique Santos Discépolo)によって作られた歌詞
である。

この歌詞は、メキシコの喜劇映画『グラン・カジノ』のために、この映画に出演するリベルタ・ラマルケの
申し出により、急遽作られた。アメリカでは、ジョージア・ギプスやトニー・マーティン、フランキー・レ
イン、ルイ・アームストロングが、「キッス・オブ・ファイヤー」(Kiss of Fire)として英語でカヴァーし
た。日本では岩崎宏之による編曲で、カミニートとメドレーにした楽曲(志賀清とモデルノス演奏)が名曲ア
ルバムで流されたことがある。タンゴの中でも知名度が非常に高く、世界中の様々なタンゴの楽団によって、
色々な解釈のもと、インストゥルメンタル演奏も広く行われる。

さっと、訳してみたが、贖罪をテーマとした歌詞だととったが、隠語(あるいは比喩:"トウモロコシ"は生
殖器として、あるいは売春婦のヘア・スタイルという風な意味?)が多用されているが,"ありし日の性的衝
動と蹉跌の懺悔" を川井郁子のヴァイオリンに柿本人麻呂の「我が宿の/軒にしだ草/生ひたれど/恋忘れ
草見れどいまだ生ひず」を重ねる。 


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