日本も第三次産業と科学の発達だけは西欧並みだが、それで安心するのでは
米国のグローバル化をそのまま受け入れているにすぎない。
「私の3作:評論家・吉本隆明さん/下 『悲劇の解読』」
毎日新聞 2007.12.24
Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012
【トレッキングと修景 Ⅳ】
山躑躅 雨乞い鳥 谷空木 四手震わせる 大嵩の神
谷空木
天候も良く予定通り、綿向山に向かう。先ずは表参道登山口の駐車場(トイレ在り)に到着し午前8時45分登
山。コースインするには近江鉄道の「日野駅」から近江バス北畑口行きに乗車し、約20分で終点の北畑口から
コースインとなる。しばらく行くと、「綿向山麓の接触変質地帯」(1942年指定:蒲生郡日野町音羽綿向山麓)
があり、ジュラ紀に美濃・丹波帯の石灰岩に花崗岩が貫入し,それによりスカルン鉱物(珪灰石、透輝石、ベ
スブ石、ザクロ石)が形成されといことである。山麓から中腹にかけてスギ、ヒノキの手入れされた植林の中を
行くが、落石跡な小規模な崩落跡が見かけられ、集中豪雨などの環境悪化による影響が滋賀の山々と同じように
目立ち、初心者は天候が悪い日の登山は控えるべきだろう。携帯電話は送受信の高感度ものであれば山中、山頂
でも通話やワンセグ放送など受信できる。また、避難小屋も2箇所あり、コールポイントの代用(五合目はウエ
ルカムベル?がある)になる。このコースで「トレイルランニング」する人たちがいるようで、大嵩(おおだけ)
神社(氏子総代)から注意書きが掲示されている。
また、7合目から頂上付近にかけては、県内では少なくなった「ブナ」の原生林が群生、さらに、ワタムキアザ
ミも生育、ブナ、ミズナラのほか、アカシデ、イヌシデ、クマシデやサワシバが混生し、山頂から雨乞岳に向か
う尾根筋には、ブナ、ミズナラ、オオイタヤメイゲツ、コナラ、シロモジ、リョウブなどの亜高木林がある。頂
上付近は、イブキササ(クマササ)の風衝植生地である。このように、綿向山は、標高1110メートル、鈴鹿
山系の一峰で、鈴鹿国定公園内にあり、歴史に古い神を祀る大衆の山。「おおだけさん」 と崇め親しまれ、四季
おりおりに美しい景色の移り変わりを見せ、日野川の最源流に位置する。場合によれば、天然記念物である日本
カモシカを見ることができる。
2時間半を掛けて、今年4月23日に遷宮された真新しい馬見岡綿向神社の「奥宮」、大嵩(おおだけ)神社の
社(やしろ)が"鎮座するトリプルワンオー" の山頂にたどり着き、早速、財布にあった小勢660円を取り出し
おえ参拝し自然の恵みと先人の恩を感謝する。少し霞みはしているが西には白州正子の『近江山河抄』にあるよ
うに蒲生野の全景が展開する見事さを想像し、返す東方の仙ケ岳(961)、入道岳(906)、鎌ケ岳(1161)、雨
乞岳(1238)、釈迦ケ岳(1092)、雨乞岳で遮られる御在所山(1212)の鈴鹿連山――秋、冬の澄んだ日には遠く
北アルプス穂高岳、木曽御嶽山、恵那山・南アルプスの塩見岳など―――が眺望できる。
道路は整備されているが、登るにしたがって急坂となる。西明寺に近づくにつれ、蒲生野の全景が現われ、遠くの方
に三上山が見え、比叡山が霞んでいる。
白州正子 『近江山河抄』
14時30分に表参道登山口の駐車場に下山到着し、「白州正子が愛した近江」の西明寺を経て、野洲川ダムに
向かい、鈴鹿スカイラインから湯の山温泉に向かう。綿向山から雨乞岳を経て御在所岳を西から東へ横走(上図
のケースでは、JR近江八幡駅から近江バス:午前7時43発→北畑口バス停:8時38分着で登山開始し、雨
乞岳:14時30分で野営(幕営)、翌朝6時25分横走リスタート、雨乞岳頂上登頂:7時53分、国見峠を
経て、13時御在所岳登頂、ロープウエイを利用せず中登山道口に15時48分、そこから、三交(三重交通)
湯の山温泉バス停:16時20分乗車、近鉄湯の山温泉駅バス停16時30着のコースアウト)である。近畿鉄
道「四日市駅」でJR関西本線「四日市駅」に乗り換え「柘植駅」で草津線に乗り換え、草津駅駅方面に向かう
ことになる。
別ルートとなると、「綿向山」から「雨乞岳」を経由し「武平トンネル西登山口」に抜ける日帰りコースがあり、
「御幸橋駐車場」←→「雨乞岳」/「武平トンネル西登山口」←→「雨乞岳」ないしは、「武平トンネル西登山
口」←→「御在所岳」(ロープウエイ利用)のピストン登山で分割しコースインする方法が考えられるが、やは
り、鈴鹿縦(横)走は「テント」か「山小屋」で宿泊するしかないのか考えたりしている。
当日、鈴鹿スカイラインを抜け三重県にでて北上、藤原岳付近から鞍掛峠にでて、多賀神社に入る予定が、崖崩
れなどが酷く、鞍掛トンネルが通行止めで引き返し、養老→関ヶ原→国道24号線経由で帰宅することになるが、
スカイラインのそれどれの駐車場は観光客ツーリングあるいは登山者で溢れていた反面、、ロープウエイの料金
や駐車料金の値嵩を考えると無理からぬことかもしれない。もう少し、"ナショナルトレッキング"の付加価値を
高めるための知恵が必要がある。
● エピソードそして柑橘栽培記
5時間にも亘る綿向山の下見にさすが下山三合目を過ぎるころはすっかり飽きてしまった。そんな風に山歩きし
ていると、家族ずれの一行とすれ違うことになる。小学三、四年生ぐらいと思しき可憐な少女が、「よく頑張り
ました!」とわたしの顔みつめそう挨拶をかわす。彼女の後には母親と思しき女性が微笑みながら軽く会釈する。
どうも教育に関わりのあるご家族だと見受けられた。余りにも唐突で不思議でたまらなかったので、そのことを
彼女に話すと「お年寄りにみえたからよ」とさっぱりした返事が返ってくるので、「そうだなぁ...」と白い金麦
を飲み干し、その夜は終わる。
今朝は、NHKのEテレ錦織圭の準決勝を観戦していたが、彼女がこれを観てと、ブラッドオレンジの蕾に白い
卵を産み付けそれを取り除くために爪楊枝を使うのだが蕾が簡単に落下するのだというので、デジカメするが如
何せんカメラとわたしの眼の不調で肝心なところが惚ける。そうこうしていると、揚羽蝶が二匹は次々と飛んで
きて蕾を抱きかかえ密を吸っているかの動作を繰り返す。しばらくすると離れどこかに飛んでいきまた戻ってく
る。近くには、レモンの花も咲き薄桃色の蕾を付け柑橘類の独特の匂いが漂い、さらに、離れたところにではジ
ャスミン様の白い花をさかせた花柚子が咲き匂い、三つの柑橘の木がの協奏している。そんな、朝を迎える。
夕暮れ近く、小崎祐一(故人)さんの奥様がお見えになり、家庭菜園の薄紅色のシャクナゲの花束を頂く。玄関
先にて家内と三人で立ち話をする。お元気そうでなにより。5年前の福島震災と熊本震災のことが頭を過ぎるが
が口にだすことを制す。
※ 次回からの"ナショトレ調査"にビデオカメラを常携する。