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パウダー水素エネルギー工学

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● こんなものあったら欲しい ?

 

 

 

 



● たまには熟っくりと本を読もう

高橋洋一著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』

一週間ほど前に『成長戦略・規制緩和は経済成長に寄与するか 』(ダイヤモンド・オンラ
イン 高橋洋一の「俗論を撃つ 」No.104 2014.10.16)を目を通してみていたが、景況回復
には遠く及ばない――「第一の矢」の金融政策は功を奏しているが、「第二の矢」は相変わ
らず緊縮財政で、「第三の矢」は官僚主導である限り成功しない――と主張している。つま
り、金融政策は、経済成長するとマネーの需要が増えるという逆方向の因果関係があり、マ
ネーはすべての財・サービス交換の裏側にあり、マネーの増減は経済活動に重要な説明因子
であり、「人口減少が経済成長を妨げている」という説は、世界を見る限りまったく説得力
がない――下図表4のグラフが示すように、人口減少でも成長している国は多いし、一人当
たりGDPの成長率は人口増減率と相関はないとも指摘している。

141027


アベノミクスの三番目の矢である成長戦略は、官僚=霞が関主導の〝産業政策〟なので、期
待できないということだ(→現実にビジネス経験もない官僚が、戦略を描けるはずがないこ
とにつきる。だから、世界中で〝産業政策〟なるものは〝日本独自の〟と形容詞が付けられ
るのがおちだ。と、言い切る反面、規制緩和や民営化であれば、世界中に実例があり、百に
3つ当たればいいくらいの確率で効果がでるものの、成果が出るまでに数年を要する――だ
からこそ、長期的な成長には重要で、下手な〝矢〟でも打ち続けなければいけないと述べて
いる。下の4つの図表は参考になったので掲載しておく。因みに、彼は 「実質GDP成長
率」(実質GDP成長率 =資本分配率*(資本ストック伸び率+稼働率変動) +(1-資
本分配率)*(労働力人口伸び率+就業変動+労働時間変動) +技術進歩率)を重要指標
とし掲載していた。



これはこれで理解はできるものの、彼と私とに横たわる「差異の此岸」がイマイチ明確でな
く、ここは熟っくりと彼の近著(『成長戦略の罠』)を取り寄せ、「まえがき」より読み始
める。

 

                          「3本目の矢」が放たれた。

  日本政府は2014年6月24日、産業競争力会議による「成長戦略」改訂版を
 「骨太の方針」(経済財政運営の基本方針)と同時に閣議決定。これでアベノミクス
 「3本の矢」、すなわち①金融政策(大胆な金融政策)、②財政政策(機動的な財政
 政策)、③成長戦略(民間投資を喚起する成長戦略)がすべて出そろったことになる。
  私は①の金融政策を高く評価しつつ、②の財政政策については消費増税の悪影響を
 予測し、その効果のほどに疑問符をつけた。この2本の矢は抽象度が高く、一般には
 難解なマクロ経済政策なのだが、実施後1年ないし2年で効果が検証できる性質のも
  のだ。はたして私の予測と分析どおりの結果がデータに現われはじめている。本文で
  詳述してゆく。
  そこで3本目の矢、③の成長戦略を見てみると、こちらのほうはミクロ経済政策で
 素人目にも分かりやすい。しかしマクロ経済政策である2本の矢に比べ、成果の検証
 に時間がかかるうえ、「効果に疑問符がつく」どころか、実行効果はほとんど期待で
 きないと言ってよい。そこには大いなる欠陥と落とし穴が潜んでいる。理由はただひ
 とつ、官僚=霞が間主導のよ戦略゛であるからだ。
  もともとアベノミクスの「成長戦略」は、すでに放たれた2本の矢に対し、大幅な
 後れをとっていた。今回の閣議決定は、2013年6月に「日本再興戦略」として一
 度、閣議決定していた政策群に、さらに改訂を施したものである。この間、部分的に
 関連法も成立している。安倍音三内閣(第二次)発足と時を同じくして立ち上げた成
 長戦略だが、本格的に「矢を放つ」までに1年半も要した格好だ。
  やや強引な喩えをお許し願おう。W 杯の日本代表は残念な結果に終わったが、
 成長戦略(今回の改訂版。2013年の「日本再興戦略」を踏まえ「新成長戦略」と
 するマスコミもある)は、サッカーの戦術で言えば3枚目のカード、3入ある交代枠
 を監督が使い切ったようなものだ。
  劣勢のゲーム展開(デフレで低迷する日本経済)を打開すべく、2人の攻撃的な選
 手(金融政策と財政政策)を早めに投入した。その甲斐あってチームは持ち直し、つ
 いに最後の交代選手(成長戦略)がピッチに入る。この選手はウオームアップする時
 間が長かった(改訂版ができた)せいか、運動量が豊富でサポーターを沸かせた(分
 かりやすい政策)。ところがドリブル突破も効果的なクロスを上げることもできず、
 かえってパスミスでチームの足を引っ張る始末。なぜなら、彼を送り出したベンチス
 タッフに、ピッチに立った経験のある者が誰一人いなかったから……。
  私は前著『官愚の国』(2011年3月刊。現在は祥伝社黄金文庫)で、かつて
 「産業政策」と呼ばれていた官僚主導のよ成長戦略゛は過去の遺物であり、無用の長
 物であることを論証した。実技経験がなければサッカーの指導もできないように、ビ
 ジネスの現場に身を置いたことのない官僚に産業を成長させることはできない。しか
 し産業政策の悪しきDNAは「成長戦略」と名を変えて生き残り、現在に至っている。
 本書は『官愚の国』の続編として、日本の官僚ならびに官僚制の不備を指摘し、彼ら
 霞が関が主導する成長戦略の欠陥を衝くものである。
  あえて言おう。これはW杯ではないので、成長戦略の選手交代はまだできる。民営
 化・規制緩和という世界でも通用する選手を入れて、世界で通じない霞が関主導を変
 えるべきだ。


          高橋洋一 著 『「成長戦略」の罠―「失われた20年」は、さらに続く』

                                この項つづく

 

 
【オールソーラーシステム完結論 26】 

● パウダー水素エネルギー工学


東京理科大学理工学部電気電子情報工学科 星研究室のグループは、水素を燃料として発電し、水のみを排出して走行す
る燃料電池自動車(FCV)を研究開発している。 次世代エコカーの大本命として期待されている。 FCVの水素積載法の主流
は70MPaの高圧水素タンクであり、2015年末を皮切りに各自動車会社が市販を開始するが、FCV普及のためには大きな壁―
(1) まず、水素タンクに水素を充填するための「水素ステーション」に巨額投資が必要(2)また、気体水素のエネル
ギー密度は非常に低く、輸送・貯蔵においても高圧化・液体化した特殊インフラが必要で、運営維持費にも莫大なコスト
がかかる――これらの要因がFCV普及の足かせとなると言われている。特に普及初期段階は、FCV販売に先立ち水素インフ
ラの先行整備が不可欠だが、普及初期段階で広く消費者に受け入れられなければ、普及政策自体が断念されるリスクがあ
る。 そこで星研究室では、加水分解により水素を生成する粉末状の水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4、Sodium Tetrahydro-
borate)に着目。 この粉は"高エネルギー密度"、"取扱い容易性"、"リサイクル可能"といった長所を持ち、これを燃料電池
車の水素源とすることでFCV普及に貢献出来るというもの。 

 

もつとも、この技術―NaBH4燃料のFCVは、米国の自動車会社(ダイムラー・クライスラー)等が研究していたが、当時
の開発コンセプトは"水溶液方式"であったため体積エネルギー密度は低く、水素生成 に高価な触媒と大掛かりな装置が必
要であり、強アルカリ性であったため取扱い安全性にも問題があった。その結果、実用化には至らなかったという過去が
あり、基本的な技術知財は出そろっていた。ここで少しお復習いすると、燃料電池は、反応の化学エネルギを直接に電気
エネルギに変換する電気化学デバイス。燃料電池の物理的構造は、多孔質アノード及び多孔質カソードに接触する電解質
層から構成される。一般的な燃料電池において、燃料は、アノード(負極)に連続的に給送され、酸化剤(酸素/空気)
は、カソード(正極)に連続的に給送される。燃料電池は、ポリマー電解質膜型燃料電池(PEM)、直接型メタノール
燃料電池(DMFC)、アルカリ型燃料電池(AFC)、リン酸型燃料電池(PAFC)、溶融炭酸塩型燃料電池(MC
FC)、及び固体酸化物型燃料電池(SOFC)のような6グループに分類される。

燃料電池は、携帯式電子機器、車両、電力/熱生成プラント、並びに軍用及び民間施設のような様々な用途をもつ。この
点で、水素貯蔵が重要な問題であることを強調すべきで、前出の星研究室の研究グループは「タンクレス」と呼んでいる
――この目的のために、ホウ素鉱物から製造される水素化ホウ素ナトリウムが、最も重要な水素貯蔵薬剤の1つとして公
知である。(1)水素化ホウ素ナトリウムのアルカリ性水溶液は、接触的に分解して貯蔵された水素を放出する。(2)
水素化ホウ素ナトリウムは、水素20%(重量で)までを貯蔵することができ、(3)また易燃性あるいは爆発性ではな
い。(4)水素発生速度は、容易に制御することができる。(5)出現水素の半分は水素化物に由来し、他の半分は水に
由来する。(6)触媒とメタホウ酸ナトリウムは、回収されて再使用することができる。燃料電池においては、水素が最
初に原位置で生成されてそれ自体が使用されるか、また水素化ホウ素ナトリウムを燃料として直接に使用することができ
るかのいずれかである。

特に、携帯式燃料電池用途においては、(A)直接型水素化ホウ素ナトリウム燃料電池(DSBHC)は、(B)直接型メ
タノール燃料電池(DMFC)の良好な代替物である。(A)直接型メタノール燃料電池と直接型水素化ホウ素ナトリウム
燃料電池とが比較された時に、電圧、理論比容量、及びエネルギ密度は、直接型メタノール燃料電池に対しては、それぞ
れ1.24V、5030アンペア時/kg、及び6200ワット時/kgであるが、(B)他方、直接型水素化ホウ素ナト
リウム燃料電池に対しては、これらの値は1.64V、5667アンペア時/kg、及び9285ワット時/kgである。
さらに、DMFCは、低いアノード反応速度、メタノールの有毒効果、及びアノードからカソードへのクロスオーバーの
ために幾らかの欠点を有する。(A)トルコは、最高品質の世界の確定ホウ素埋蔵量の殆ど70%を有する。直接型水素化
ホウ素ナトリウム燃料電池は、電極触媒層(アノード及びカソード)、電解質(膜)(膜と電極の組合せはMEAと呼ば
れる)、バイポーラ板、集電板、ガスケット、及び他の接合要素から構成される。燃料電池スタックは、電力要件を満足
させるための十分な数のセルを結合することで製造されている。

 

この研究グループでは、NaBH4を「粉体で車載」することで、NaBH4が持つ高いエネルギー密度を最大限生かしつつ、さ
らに高効率に水素を生成する" STEPシステム"(Sodium TEtrahydroborate Power system)を開発し、前述した長所の創出が可
能にした。 下図に示すように、水素リアクターで加水分解することにより高密度な水素を発生さる。 この時にNaBH4だ
けでなく、水からも純水素を取り出すことができる。 また燃料電池から出た水を加水分解に再利用できるので、水の補給
が必要なく、システムをコンパクトに設計可能で、STEPシステムを車載したFCV(=STEP-FCV)の試験走行に、2012年末、
世界で初めて成功する。 現状は、システムにおける水素生成速度は毎分100L、発電量は最大5kW、車両走行性能は最大
20km/hを達成している。2015年からは、STEPシステムの高性能化・小型化を目標に取り組んでいきたいとのこと。

 

また、システムの将来像として、下図に示すように、自動車以外にもあらゆる電源用途への適用を考えられている。 例え
ば、今日、東日本大震災を機に、巨大発電所への依存はリスクが顕著化するため、「分散型電源」を増やすべきとの考え
が広がっているが、STEPシステムによる発電は、粉体NaBH4がハンドリング・長期貯蓄に優れるため、 家庭用定置型電源
などの分散電源や非常用電源用途として非常に有効となる。そこで星研究室では自動車への使用だけでなく、スマートハ
ウスの定置型電源としての使用も応用の一例として研究しているのだ。





また、それと同時に工業化に耐える低コストな水素化ホウ素ナトリウムの製造方法(実用化)も着々と準備(下図参照)さ
れつつある。このように考えていけば、安定化させた水素化ホウ素ナトリウムの粉体(個体)利用技術でコスト逓減と高
効率に、「ダウンサイジング」(第2則)が工学的課題として俎上する。

  JP 2014-181174 A 2014.9.29

【符号の説明】

1 高温高圧反応容器 2 メタホウ酸ナトリウム 3 乾燥器 4 無水メタホウ酸ナトリウム 5 アルミ微粉末 6 高
圧水素 7 副生物 8 サンプル

 

 

 


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