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帝國のロングマーチ17

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      親鸞が意識的に僧侶の戒律を破り、ふつうの人たちと同じ「非僧」の生活をした
      ことは、「僧的人間」から「ただの人間」に戻す親鸞の本懐だったと思います。
     
                                週刊仏教新発見 2007.12.23
 

                                            
                             Takaaki Yoshimoto 25 Nov, 1924 - 16 Mar, 2012 

 

    

【帝國のロングマーチ 17】          

      

● 折々の読書  『China 2049』37     

                                          秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」  

ニクソン政権からオバマ政権にいたるまで、米国の対中政策の中心的な立場にいた著者マイケル・ピル
ズベリーが自分も今まで中国の巧みな情報戦略に騙されつづけてきたと認めたうえで、中国の知られざ
る秘密戦略「100年マラソン( The Hundred-Year Marathon )」の全貌を描いたもの。日本に関する言及
も随所にあり、これからの数十年先の世界情勢、日中関係そして、ビジネスや日常生活を見通すうえで、
職種や年齢を問わず興味をそそる内容となっている。      

 【目次】 

   序  章  希望的観測
 第1章 中国の夢
 第2章 争う国々
 第3章 アプローチしたのは中国
 第4章 ミスター・ホワイトとミズ・グリーン
 第5章 アメリカという巨大な悪魔
 第6章 中国のメッセージポリス
 第7章 殺手鍋(シャショウジィエン)
 第8章 資本主義者の欺瞞
 第9章 2049年の中国の世界秩序
 第10章 威嚇射撃
 第11章 戦国としてのアメリカ
 謝 辞
 解 説 ピルズベリー博士の警告を日本はどう受け止めるべきか

            森本敏(拓殖大学特任教授・元防衛大臣)   

 

   第7章 殺手鐗(シャショウジィエン)  

                   難知如陰、動如雷震
                   ――知り難きこと陰の如く、動くこと雷の震うが如し  

                                    『孫子』軍争篇 


  21世紀の最初の年、これらのスパイ部門(および、その他のサイバー戦士たち)は、そのとて
 つもない力を見せつけた。アメリカ国防総省のコンピューター・ネットワークから「中国が10~
 20テラバイトのデータをダウンロードしていた」ことに、米空軍のウィリアム・ロード少将が気
 づいたのだ,少将は中国の行動を「国民国家の脅威」と呼んだ(注55)。2013年、ワシントン・
 ポスト紙は、国防科学評議委員会による機密扱いの調査により、サイバー侵入者が24以上のアメ
 リカの兵器システム設計にアクセスしていたことが明らかになった、と報じたが、侵入されたシス
 テムには「パトリオット・ミサイル・システム、イージスミサイル防衛システム、F/A‐18戦
 闘機、V‐22オスブレイ、沿海域戦闘艦」が含まれていた(注56)。ワシントン・ポストは、次
 のようにつけ加えている。

  「事情に通じた米軍の高官や産業関係の役人は、侵入の大多数は、中国が幅広く繰り広げている
 アメリカの防衛関係の請負業者と政府機関に対するスパイ活動の一環だった、と語った(注57)」
 もっと大胆なサイバー攻撃の一つは2003年から2005年にかけて発生したもので、狙われた
 のはアメリカの軍、政府、政府と取引のある企業のウェブサイトだった。「タイタン・レイン」と
 総称されるその侵入は、数百にのぼる政府のコンピューターを攻撃した。タイム誌は、その侵入を
 遡ると、広東省の三つのルーターに接続するローカル・ネットワークに至ると報じたが、この攻撃
 に関する報道についてアメリカ政府の当局者は、差し障りのないコメントしか述べていない(注58)。
 タイタン・レイン以降、ウォーツェルによれば、人民解放軍のある部隊(61398部隊)が「企
 業、国際組織、外国政府を含む、少なくとも141の組織のネットワークに侵入している(注59)」。
 
  さらに、中国を本拠地とするハッカー集団、「ヒドゥン・リンクス(訳注*隠れた山猫という意
 味)」は、中国発の最も悪名高いサイバー攻撃のいくつかに関わっている。ヒドゥン・リンクスは、
 グーグルやアドビなどのテクノロジー企業、金融サーピスプロバイダー、防衛請負事業者、政府機
 関を攻撃している(注60)。アメリカのサイバー警備会社は、ハッカーは「機密情報を狙うハンタ
 ーの粘り強さ、辛抱強さ」を持ち、「『水飲み場型攻撃』技術のパイオニア」だという。「水飲み
 場聖攻撃」とは、「攻撃対象のユーザーが利用する事業者のコンピューターを感染させ、感染した
 ソフトウェアが攻撃対象にインストールされるのを待つ」というものだ(注61)。さらに、アメリ
 カの情報セキュリティーの上級担当者だったポール・ストラスマンによれば、73万超のアメリカの
 コンピューターが中国の悪質なソフトウェア「ゾンビ」に寄生されているそうだ。ハッカーはゾン
 ビを利用してコンピューターを奴隷にし、その奴隷を使って、ネットワークやウェプサイトに圧倒
 的な量のデータを送りつけ停・比させる(注62)。

  中国軍事科学院のスン・バイリン少将は、アメリカはあまりにも「情報スーパーハイウェイ」に
 頼りすぎているため、「電気無力化システム」による攻撃に対して脆弱で、電カシステム、民間航
 空システム、輸送ネットワーク、海港、テレピ放送局気通信システム、コンピューターセンター、
 工場、ビジネスが妨害あるいは破壊される恐れが高いと書いている(注63),北京系統行程研究所
 の元エンジニア、チャン・メンションは、「21世紀の兵器」と題した論文において、「宇宙衛星
 への攻撃と防御に際しては、早期警戒管制機、電子戦機{訳注*一子戦を眼擬して設計された航空
 機)地上の指令地点が重要になるだろう」と記した(注64)。
 
  殺手鐗の開発は、監視システム、地上配備の電子インフラ、あるいは合衆国の航空母艦を無力化
 する兵器の開発から始まる。それらの中には電磁パルス(EMP)兵器が含まれるが、それは核爆
 発で生じる電磁パルスを増幅させることによって、広範囲のあらゆる電子装置を動作不能にする。
 近年、中国はマウス、ラット、ウサギ、イヌ、サルでEMP兵器の威力を調べている。また、高出
 力マイクロ波兵器の研究も行っており、それはチャン・メンションによれば、「敵の電子機器を破
 壊する」ためのものだ(注65)。仮に第三次世界大戦が起きれば、コンピューターウイルスとEM
  Pとマイクロ波を放つ兵器が、アメリカ本土でコンピューター、携帯電話、航空交通管制センター
 を無力化し、戦場では兵士に対する指揮統制メカニズムとスマート爆弾を無力化するだろう。そう
 なった時、アメリカはどんな戦いを強いられるだろうか。

  Jan 13, 2013 The Korea Herralo

  人民解放軍機関紙の以下の主張について考えてみよう。
 「真珠湾事件一のようなものは情報化時代には起こり得ないと考える人もいるだろう。しかし、敵
 の重要な指揮と統制のための情報システムが急襲されたら、それは21世紀の「玖珠湾事件」にな
 るだろう。{中略)例えば電磁パルスなどは、そのような急襲を可能にする。核ミサイルや強力な
 軍隊を持つアメリカのような超大国でさえ、それを免れるという保証はない。(中略)アメリカ人
 自身、高度にコンピューター化された聞かれた自国の社会は、あらゆる角度からの電子攻撃に対し
 てあまりにも脆弱だと認めている。これはアメリカ経済が、銀行から電話システム、発電所、鉄工
 所にいたるまで、完全にコンピューター・ネットワークに依存しているからだ。{中略)ある国は、
 経済的、技術的に強くなるにつれて、近代的な情報システムにますます依存するようになる。(中
 略)したがってアメリカは世界のどの国よりも電子攻撃に対して脆弱なのだ(注66)。

  中国人は、アメリカのもう一つの深刻な弱点は、宇宙衛星への依存だと考えている。人工衛星は、
 敵の位置を撮影し、無線電信と通話を監視し、情報を集める。また、無人のドローン、巡航ミサイ
 ル、そのほかの誘導兵Sにも利用される。それら衛星のおかげで、アメリカ中央軍はフロリダ州タ
 ンパの司令部から、中東における自軍の活動を統括でき、アメリカ太平洋軍はホノルルの司令部か
 ら、1万500平方マイルの領域にわたって艦隊やその他の軍と交信できる。2004年、アメリ
 カは12隻の空母のうちの7隻を中国周辺の海域に送り、その圧倒的な力を見せつけたが、それら
 ははるか上空の宇宙を飛ぷ通信・情報衛星がなければ、通信不能になるだろう。

  20年にわたって中国は、それらの衛星を破壊したり、無力化したりするための殺手鐗兵器をい
 くつか作ってきた。そこには、アメリカの人工衛星を機能不全にしたり吹き飛ばしたりする地上配
 備レーザーも含まれる。また中国は、「寄生型マイクロ衛星」を作りはじめている,その名が示す
 ように、これらの超小型装置は、アメリカの人工衛星にくっついて、それを使えなくしたり、収集
 した情報を乗っ取ったりする。別の中国の超小型人工衛星は、電子妨害、EMP生成、あるいは軌
 道の外へ押し出すことによって、アメリカの人工衛星を無力化できる(注67)。

  中国はさらに、地上配備の対衛星ミサイルも開発した。人工衛星に打ち込んで爆破するためのも
 のだ。2007年の実験では、役に立たなくなった自国の気象衛星をみごとに爆破した。アメリカ
 国防総省の報告によると、「多くの国に懸念を引き起こし、結果として生じた残骸は、宇宙開発を
 進めるすべての国の資産を危険にさらし、人類の宇宙飛行にも危険をもたらした(注68)」。アメ
  リカのネイバル・ウオー大学のジョアン・ジョンソンフリーズの観察によれば、この実験は「無責
  任にも、3000片を超える破片を作り出し、それは今後何十年にもわたって低い軌道上を密集し
  た状態で周回するだろう(注69)」。

  中国の人工衛星破壊実験の最も厄介な点は、透明性の欠如である。「中国はこの実験の意図を説
 明していない」と、アメリカ国家安全保障会議のスポークスマンは述べ、「将来の実験計画の有無
 についても明言しない」と批判した。さらに、その実験が「宇宙空間の軍事化に反対する中国の公
 的な立場に矛盾しないものであったか」について何の説明もしていない、と断じた(注70)。

  おそらく、この実験に関してアメリカの当局者が最も困惑したのは、アメジカの情報コミュニテ
 ィがそれを予測できなかったことだ。国防総省が議会に提出する、中国の軍事力に関する三つの年
 次報告において、国防長官は、中国は「核兵器によってのみ」人工衛星を破壊できる、と報告して
 いた(注71)。ワシントン・タイムズは、この実験は、「戦略上の重大な脆弱性」を露わにするこ
 とによって「警鐘を鳴らした」と報じ、アメリカの防衛担当官の言葉を紹介した。日く、「アメリ
 カの人工衛星はあらゆる軍の通信のおよそ90パーセントを統御し、情報とミサイル誘導について
 も同様であるが、それを無力化あるいは使用不可能にする宇宙兵器や能力を、中国がどのくらい持
 っているか、あるいは開発中かについて、アメリカの情報には、事実との大きな隔たりがある(注
 72)]。

  2007年の実験の後も、中国はいくつか実験を行った。2013年の地上発射式の対人工衛星
 ミサイル実験もその一つだ。アメリカの当局者によると、この実験は、宇宙探査用ロケットの打ち
 上げと称して行われたそうだ(注73)。同じ年の後半、中国軍はアメリカの人工衛星を攻撃する能
 力を持つ三つの人工衛星を打ち上げたが、アメリカの当局者はそれを「中国の「スター・ウォーズ
 計画』の一部」と呼び、「アメリカの国防上、重大な関心事」と見なしている(注74)。人民解放
 軍は、人工衛星からの通信を乱したり消したりする他の兵器や妨害器の開発も進めており、おそら
 くレーザー、マイクロ波兵器、粒子ビーム兵器、EMP兵器が含まれる(注75)。

   人工衛星への依存度の高さに加えて、米軍のもう一つの弱点は、戦争をするために必要な弾薬、
  燃料、その他の資源を、長距離の供給ラインに頼っていることだ。第一次湾岸戦争で、アメリカ海
 軍は1日あたり1900万ガロンの石油と、朝鮮戦争時の20倍以上の弾薬を使用した。いずれも
 聞かれたシーレーンがなければ調達は不可能だが、シーレーンは潜水艦、機雷、魚雷、対艦巡航ミ
 サイルといった非対称攻撃に対して脆弱であり、そのすべてを中国はすでに武器庫に備えている。
 潜水艦はアメリカのシーレーンにとって脅威になるということもあって、中国海軍研究所はそれを
 21世紀で最も重要な船と見なしている。(中略)

  Nove 16, 2015 White Hourse

  つまりアメリカ国防総省が報告するように、中国の「作戦の本質」は、陸・海・空どの戦いにお
 いても、「敵の指揮システムを破壊し、敵の情報システムを無力化し、敵の最新の兵器システムを
 破壊し、敵の兵箔システムを無力化し、敵の技術的優位性から生じる相乗効果を否定すること」な
 のだ(注80)。中国流の隠喩で言えば、中国政府の戦略は、人体の構造に関する知識を利用して、
 自分より大きい敵をノックアウトするボクサーのようだ。アメリカ人にとっては、ギリシャ神話の
 英雄の話が馴染み深いだろう。すなわち、この20年にわたって中国は、敵の唯一の弱点、すなわち
 アメリカのアキレス腱を射るための矢を作ってきたのだ。

  北京の数名のタカ派が2013年にわたしに話したところによると、オバマ大統領の「リバラン
 ス政策」(世界政策の重心をアジア太平洋地域に移す)や「ピボット政策」(軍事外交の軸足をア
 ジア太平洋地域に移す)に関して、アメリカがどこまで真剣なのかを、彼らは測りかねたそうだ(
 注81)。彼らは、中国が誤った考えに陥っているではないか、アメリカが殺手綱計画に過剰反応し
 て、中国を標的とするより強力な軍隊を作るのではないか、と心配しているようだった。もしアメ
 リカが現在の計画どおり、今後10年で防衛費を1兆ドル削減するのであれば、「リバランス」に
 使う資金はないだろう、とその中国人は言った,わたしは正直に答えることにした。アメリカが中
 国への対応のために防衛費を増やすかどうか、予測は難しい、と。


できるだけ詳細に読み込んできたつもりだったが、「軍事戦術論」の展開となり、これ以上は無駄と判
断。つまり、果てしない疑心暗鬼・過剰連鎖の「合わせ鏡」のハレーション――写真の像で、特に強い
光の当たった部分の周りが白くぼやける現象――をいくら論じて無駄であり、思惑通り「アメリカにリ
バランスを担保する資金ショート」しても、中国の「帝國のロングマーチ」は止まらないとわたし(た
ち)は考える。奇しくも、マイケル・ピルズベリーは「アメリカが中国への対応のために防衛費を増や
すかどうか、予測は難しい」と中国政府のタカ派にこう返事し、この章は結ばれる。さて、次回は第8
章の「資本主義者の欺瞞」。


                                       この項つづく

 



【男の野外料理レシピ:パスタ入りカキのクリームスープ】

プリッとした身には、ビタミンB1、B2、ミネラルが豊富。とろみのあるスープには、ショートタイプ
のパスタの方かソースのからみかいい。もし、これがスパゲッティなら、モソモソしこうはいかない。

● 材料(4人分):カキ(生食用)300グラム、玉ねぎ30グラム、ベーコン15グラム、牛乳70
          0ミリリットル、生クリーム100ミリリットル、バター大さじ3、小麦粉30
          グラム、パスタ(フジィリ)少々、パセリ少々

● 作り方:①小さな鍋に牛乳と塩少々を入れて、人肌程度に温めておく。②鍋にバターを入れ、溶け
      はじめたらみじん切りの玉ねぎを入れて、中火で焦がさないぶうに十分炒め、甘みを出す
      みじん切りのベーコンを加え、さらに炒め香りを出す。この中に小麦粉を加えて(A)、ル
      ーを作る要領で、3分間位炒める。③この中に温めておいた牛乳を入れてよく混ぜる(B)。
      中火を保ちながら煮ていると、自然にとろみが出てくる。④苑でておいたパスタを入れ(C)、
      生クリームを足し、昧をみて最後にカキを加え(D)、ふたをして2分間位蒸し、みじん切
      りのパセリをふる。 



● アウトドアークッキングの思い出

建てたばかりの南堀江の三階はまだ借り手のつかぬ部屋が2つあり、そこで、ビニール製のテントを膨
らませて、京町堀の従兄弟と二人でキャンプごっこを楽しんだ。彼の家は駄菓子屋をやっていたので、
持ち込まれたお菓子やインスタント食品は豊富にあった。コーラー(粉末のコーラー)や渡辺のジュー
ス素(色素が有害に指定され後に廃品)、日清食品のチキンラーメン、あるいは登山用の干し米やスー
ぷー、コーン・ビーフなどなど中学生にしてはリッチな食べ物を試食。バーナー、ランプなどのキャン
プ備品も一揃え準備し、一夜を明かし(火事になりかけたこともあったが)楽しんだものだ。面白い体
験を1つ話そう。当時、大日本製薬の『オールP』の眠気覚ましを飲み、寝ることを惜しんだのだが、
実は、このドリンク剤に含まれる覚醒剤が問題となり販売禁止になっている。安全や健康意識は低調な
高度成長期の最中で「知らぬが仏」状態だった。また、クラブは地学部に所属、化石採取などの野外活
動はお手のもので、一人で飯ごう炊飯していたから、登山やBQなどの野外活動はなれている。しかし、
本格的な野外料理の経験はない。だから、百名山踏破、トレッキング、カヤッキングでそれを実現しよ
うというのだ。ブログ掲載してきた『イタリアン・アウトドアクッキング』。教本は、45年前の本格
シェフの手になるもの(旧旭屋梅田店で購入)。ここでも夢を一つ叶えることになる。長生きはするも
んだ。


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