バーディを30個取れなくて残念ですけど、優勝できてうれしい
松山 英樹
- Feb. 25, 1992
Oct. 25, 2016
【現代の錬金術:籾殻からシリコン】
テトラアルコキシシランは、セラミックスや電子デバイス用の保護膜・絶縁膜の原料として利用され、
また幅広い産業分野で使用されているシリコーンをはじめとするさまざまな有機ケイ素材料の原料と
しても有用。現在、テトラアルコキシシランの製造では中間原料として金属ケイ素を経由しつくる。
これには大量の電気エネルギーを用いて高温でケイ石(シリカが主成分)の還元反応を行う必要があ
るため、エネルギーを多く消費し、高コストのため、安価なシリカ原料から直接合成する技術開発が
課題となっていたものの、その技術的難易度の高さから、半世紀以上に渡って、金属ケイ素を経由し
たプロセスで工業的な生産が行われてきた。
産総研は、有機ケイ素機能性化学品製造プロセスの研究開発の技術知財を保有しているが、その一環
で非金属ケイ素経由有機ケイ素化学品の製造方法の研究を行ってきた。これまでにシリカとアルコー
ルを原料とし、有機脱水剤、二酸化炭素、少量の触媒を共存させるテトラアルコキシシランの合成法
を開発(14年5月20日 産総研プレス発表)。今回、産総研とコルコート社は共同で、従来より
も短時間に高効率でテトラアルコキシシランを合成できる技術の開発に取り組む。
※ 奥谷猛“籾殻中のSiO2の利用”、Material Analysis and Characterization Science, 6, No.1, 24(1993),
pp.24-50
※ 中川雅直、“籾殻を原料とする太陽電池用シリコン製造法の提案”,工業材料,45(7) 82 '97,
日刊工業新聞社
※ L. P. Hunt et. al., “Rice Hulls as a Raw Material for Producing Silicon”, J. Electrochem. Soc.: SOLID-STA-
TE SCIENCE AND TECHNOLOGY, Vol.131, No.7, July 1984, pp.1683-1686
シリカから直接テトラアルコキシシランを収率良く合成するためには、アルコールとの反応によって
副生する水を反応系から除去する必要がある(下図)。砂や灰などの反応性の低いさまざまなケイ素
源を活用するためには、高い効率で反応系から水を除去できる脱水剤が必要であり、さらに製造プロ
セスの低コスト化のためには、脱水剤は反応終了後に目的物であるテトラアルコキシシランから容易
に分離でき、回収・再利用が可能が前提となる。
図1 さまざまなケイ素源とアルコールからテトラアルコキシシランを合成する反応式
今回、シリカを含有する原料とエタノールに、触媒として少量の水酸化カリウム、脱水剤として固体
状無機物質であるモレキュラーシーブを加えて加熱し反応させた。触媒として加えた水酸化カリウム
は、シリカの分解すなわちケイ素-酸素結合の切断を促進する働きがある。また無機脱水剤であるモ
レキュラーシーブは、反応によって生成した水を吸着して反応系から取り除き、反応が逆方向に戻っ
てしまうことを防いでおり、従来の技術の有機脱水剤よりも水を取り除く効率が高く、ケイ素源に含
まれる不純物の影響も受けにくいため、砂や灰などの反応性が低く、シリカ純度の高くない天然のケ
イ素源を用いても高収率にテトラアルコキシシランを合成することが可能になった。さらにモレキュ
ラーシーブは固体状であるため、反応後には容易に回収して、加熱や減圧で再生して繰り返し使用で
きるため、製造プロセスの低コスト化に対しても有利である。この結果、高い収率のテトラエトキシ
シランが反応時間3時間で得られている(下図)。
珪質頁岩を粉砕した砂では、含有するシリカに対して51%の収率でテトラエトキシシランが生成し
た。またシリカを多く含む植物燃焼灰として、もみ殻の灰を原料とした反応では収率は78 %であった。
合成石英製造時の産業副生成物を原料とすると収率は72%であった。
図2 さまざまなケイ素源からのテトラエトキシシランの合成
図3 今回開発した技術と従来技術との反応効率の比較
この記事をみて、特開2011-006316「金属シリコンの製造方法」 国立大学法人横浜国立大学」を思いだ
す(上図参照)。
シリカから金属シリコンを製造する方法としては、ケイ石(SiO2純度99.5%以上)を木
炭やコークスと一緒にアーク炉中で還元し、純度98%以上の金属シリコンを製造する方法が知
られている。 前述したアーク炉を用いる方法では、一般に3000~6000Kの高温になるが、
シリカの炭素還元は2000K付近で生じる。金属シリコンの融点は1410℃であり、アーク
炉を用いる方法で得られる金属シリコンは融解、凝固した塊として得られる。
結晶シリコン太陽電池や半導体として利用するには、このアーク炉を用いたシリカの炭素還元に
よって得られる純度98%以上の金属シリコンの高純度化が必要である。このアーク炉を用いた
シリカの炭素還元によって得られる純度98%以上の金属シリコンを、結晶シリコン太陽電池や
半導体として利用するには、高純度化が必要である。その方法は、得られた塊状の金属シリコン
を細かく粉砕し、銅系触媒と混合し、300~350℃で塩化水素(HCl)と反応させ、トリ
クロロシラン(SiHCl3)を製造する。このトリクロロシランは、沸点が31.8℃であり、
蒸留操作によって高純度化され、得られた高純度トリクロロシランから水素還元又は不均化反応
により高純度シリコンを製造する。
シリカから金属シリコンを製造する別の方法として、ケイ石に替えてイネ、ムギ、トウモロコシ、
サトウキビ、トクサなどのケイ酸植物、例えば籾殻をシリカ原料として用い、これを焼成してシ
リカ灰を作製し、このシリカ灰から金属シリコンを製造する方法が提案されている。
ケイ酸植物、例えば籾殻をシリカ原料として用いる金属シリコン製造方法において、籾殻を焼成
して得られるシリカは、ケイ石よりも表面積が大きく、活性が高いため、籾殻シリカと炭素とが
1100℃以上で反応し、一酸化ケイ素(SiO)が生成する。このSiOは融点が1730℃
付近であるが、1100℃付近では昇華し、ガス状になる。ガス状SiOは、反応系中の炭素(
C)と反応し、炭化ケイ素(SiC)になる。従って、高活性なシリカをアーク炉で炭素還元す
ることにより金属シリコンを製造することは難しく、シリカのほとんどが炭化ケイ素になってし
まう。そして、炭化ケイ素の生成で炭素が消費され、シリカから金属シリコンへの反応は停止し
てしまう。
と、前置きし、「籾殻などのケイ酸植物をシリカ原料として用い、効率よく金属シリコンを製造し得
る方法の提供」を目的とし、「ケイ酸植物を焼成してシリカを主体として含むシリカ灰を形成する工
程、次いで、得られたシリカ灰に、アルミニウム、アルカリ土類金属、アルカリ金属からなる群から
選択されるいずれかの金属を加え不活性ガス雰囲気中で加熱し、金属シリコンを得る工程とを有する
ことを特徴とする金属シリコンの製造方法」を提案している。
これらの方法で半導体原料の再資源化の実用開発が始まるというのだ。これは楽しみである。
【世界でもっとセクシーな男 松山英樹】
Oct. 30, 2016
30日、世界ゴルフ選手権◇WGC HSBCチャンピオンズで松山英樹が世界が驚く圧勝で成し遂げた。2位
に3打差の17アンダー単独首位から出た松山は6バーディ「66」をマークし、通算23アンダー。
後続との差を大会史上最多となる7ストロークに広げ、丸山茂樹に並ぶ日本人史上最多の米ツアー通
算3勝目、日本勢として初めて世界選手権シリーズ(WGC)を制覇した。「バーディを30個取れな
くて残念ですけど、優勝できてうれしい」。米ツアーでの過去2勝は、最終日に追いついてプレーオ
フで勝った。単独首位で最終日を迎えたのは初めての経験。松山はただいま、24歳。
米スポーツ専門サイトの「SBネーション」は「松山英樹が厚いフィールドを圧倒」「彼はツイッター
でカルト的な人気を誇る。ボールを放つ姿が、芝の上の世界では最もセクシーに見えるからだ」と分
析でたたえ、また、米4大ネットワークの「CBSスポーツ」は「松山が歴史を作った」「ロリー・マ
キロイ(15アンダー)とヘンリック・ステンソン(16アンダー)がトップ5に終わった」という書き、
最終日を「66」でプレーして通算23アンダーとした松山英樹が2人のスコアを打ち砕いた(destroy)
と表現し、また、香港の英字紙「ザ・スタンダード」(電子版)は「松山の視線はメジャーへ」との
タイトルで、笑顔で優勝カップを掲げる松山の写真を掲載し、ロイター通信の記事を引用。アジア人
で初めてWGCを制したとし、「次の目標はメジャーで勝つこと。そのためにあらゆる準備をする」と
いう松山の言葉を引用――日本人として初めて世界ゴルフ選手権を制した松山英樹を海外のメディア
はこう報じている。ゴルフは興味はないわたしだが、うれしい話だ