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大満月に吠える

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            詩は神秘でも象徴でも鬼でもない。
            詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめである。

                                           萩原 朔太郎  『月に吠える』

 

      私は詩を思ふと、烈しい人間のなやみとそのよろこびとをかんずる。
      詩は神秘でも象徴でも鬼でもない。詩はただ、病める魂の所有者と孤独者との寂しいなぐさめである。
           詩を思ふとき、私は人情のいぢらしさに自然と涙ぐましくなる。


                                                                                                               
                                                                                                                  萩原朔太郎
                                                                                                         Nov. 1, 1886 - May 11, 1942






 

 

この季節になとかならずオリーブと柿の話となる。ところで、原産地が鹿児島県長島のみかんは江戸
時代には紀州みかんとよばれ、その温州ミカンは、米国ではクリスマス・オレンジとして広まり、い
までは「TVオレンジ」(炬燵みかんに由来)として親しまれているが、柿は海外でどの程度食べら
れているのだろうか。FAO(国際連合食糧農業機関)の統計では、生産量の第1位は中国、次いで
韓国で、日本は第3位、日本に次いで第4位はブラジル、第6位がイタリア。ヨーロッパでは熟した
柿をスプーンですくって食べるというスタイルが多いという話がよく聞かれます。フランスの市場に
おいて、パーシモンではなく「KAKI」として流通していたという話もあるから日本が原産と考え
られている。 欧州やアジアで伝統的に柿が食されている地域では、熟した柿をスプーンで救って食べ
るスタイルが多くみられ、米国では、先住民が在来種のアメリカガキの干し柿を保存食として食べて
いたとされており、パーシモン(persimmon)という名前も米国先住民の言葉だといわれている。 柿は
沢庵漬けに柿の皮を入れたり、なますの材料に使われたりするように、ダイコンとの相性がよく、大
根おろしに柿を使っている。


ところで、彼女は柿は値段が高いという(果物全体、他の食品と比べ高いとも)。柿、イチヂク、ビ
ワは世界的にマイナーな作物だったり、日本人しか生食しなかったりで、輸入されず――リンゴの自
給率は60%程度、40%は輸入。柑橘類も、ミカンや柚子は国産が多いが、オレンジ、レモン、グ
レープフルーツ等は輸入が多く、輸入が多い作物は連動し価格は下がらないというメカニズムが働き
も手伝って下がらない。それでは、沢山流通するようにすれば良いのでは?そのために、加工技術を
磨き、用途を広めれば良いのでは?それだけではなく、無駄のできないようにすれば良いのではない
か?とそんなことを考えていると、柿を1000種類ほどがある中、〝会津みしらず柿”――福島県
会津若松市では400年以上前から栽培されてきた―――が、たまたま、NHKの「うまいッそ」と
いう番組で今朝、紹介放送されていた。この〝会津みしらず柿”は 実は渋柿。その渋抜き法に見入
った。渋消し方法やレシピについては番組の紹介の公式HPを参照(下図ダブクリ)してもらうこと
として、番組で紹介された「渋消し法」「渋戻り防止法」の食品工学に焦点をあてる。


その種類と産地によって様々なものがあるが、大きく分けて甘柿と渋柿とに分けられている。甘柿は
成熟した実の段階で既に柿渋である柿タンニンが不溶性の化合物に変化していることで渋味はないが
渋柿は柿タンニンが水溶性のまま存在するために渋味が強くそのままでは食用にはならない。甘柿も
未成熟のものは渋味が残るが、渋味を持つ柿は渋抜きと呼ばれる処理をして食される。

渋抜きには古来より様々な方法がとられてきた。(1)焼酎などのアルコールを吹きかけ一定期間密
封することで渋を抜く方法や、(2)収穫の前の柿に袋を被せて、この中の固形アルコールを封入す
る方法、あるいは二酸化炭素を使う方法、(3)皮をむいて長期間、天日や遠赤外線にさらす方法な
どがあり、いずれも柿渋の分子構造を変化させて不溶化し不活性にするものである。

しかし、(1)これらの方法は渋抜きに数日から数ヶ月と長期間を要することと、(2)渋を抜いて
から加工する段階で、特にジャムやプリンを製造する場合に加熱を伴うと、渋戻りという渋味が戻っ
てしまうという現象が頻繁に起こることから、食材としての加工性に少なからぬ障害がある。

(3)また粉砕した果肉に、ゼラチンや牛乳、卵白、大豆蛋白などの蛋白質を加えて加熱攪拌する方
法も提案されているが、この方法はゲル化する性質があり、粘性が強いなど性状的に良好に混合でき
ない。添加剤としては大量に加える必要があることなどが原因となり、本来の柿の味が大幅に損なわ
れたり、新たに悪味を生じ、そのままでは渋味を無くす添加剤として実用には至っていない。さらに、
(4)アルコールに酢酸、アミノカルボン酸やオキシカルボン酸を加えた溶液で処理する方法も提案
されているが、この方法も加熱により渋味が戻り、後味が悪くなる問題がある(下表参照)。



表1の結果からアミノ酸や、ミルクカゼインは、悪味があり食品としては不適、またゼラチンを10
重量%添加したものは、渋味は少ないが粘性が高く混合不良。またアルコールで脱渋した渋柿を加熱
した場合に、渋戻りする現象に対して、タンパク質などを添加しておいて、渋戻り防止した場合の、
残留する柿タンニンの量と官能評価の結果は表2となる。 

表2の結果からアルコールで脱渋した渋柿の柿タンニンの量は1.4(mg/g)であるが、これを
加熱すると2.1(mg/g)に増加して渋戻りする。卵白タンパク質、アミノ酸、大豆タンパク質
、大豆粉末を脱渋剤とし添加して加熱したものは柿タンニンの量が1.6~2.6(mg/g)で何
れも程度の差こそあれ、渋味を感じるまでに渋戻りしている。

 


というわけで、上記問題を改善し、少量の添加で、柿の風味を損ねずに短時間で簡単な操作により渋
味を無くし、さらに 脱渋後の加熱による渋戻りの現象を防止した柿の脱渋方法が「特開2010-227068 
柿の脱渋方法」を提供されている。表2の結果からアルコールで脱渋した渋柿の柿タンニンの量は、
1.4(mg/g)であるが、これを加熱すると2.1(mg/g)に増加して渋戻りする。卵白タ
ンパク質、アミノ酸、大豆タンパク質、大豆粉末を脱渋剤とし添加して加熱したものは柿タンニンの
量が1.6~2.6(mg/g)で何れも程度の差こそあれ、渋味を感じるまでに渋戻りしている。
問題を改善し、少量の添加で、柿の風味を損ねずに、短時間で簡単な操作により渋味を無くし、さら
に脱渋後の加熱による渋戻りの現象を防止した柿の脱渋方法を提供するものである。

 特開2010-227068

【図2】実施例で説明したコラーゲンペプチドの添加量と、残留する柿タンニン量との関係を示すグラフ

【概要】

柿渋である柿タンニンを含む柿に、平均分子量が3000~5000のコラーゲンペプチドを加え、
粉砕・混合して水溶化している柿タンニンを1.2mg/g以下に調整することで、少量の添加で柿
の風味を損ねずに短時間で簡単な操作により渋味を無くし、さらに脱渋後の加熱による渋戻りの現象
を防止した柿の脱渋方法を提供する。

ここで、添加剤として使用するコラーゲンペプチドは、摂取された場合に人体に必要なコラーゲンの
原料となるアミノ酸やペプチドを効率的に補給することができるため皮膚の状態を改善する効果があ
るとされており、多く摂取したり例え未反応なものを摂取したりしても人体に安全でむしろ有益であ
る。柿の脱渋方法は、コラーゲンペプチドの平均分子量を3000~5000に規定することにより
水に溶けやすく、ゲル化せず、極めて高い安定性と保水力を有すると共に、悪味の発生を防止するこ
とができる(例えば、コラーゲン原料として豚皮などがある)。

柿渋は一般にタンニンと呼ばれる化合物の1つであり、図1のような分子構造を持っている。このタ
ンニンの性質の1つでタンパク質と良好に反応するという特徴がある。その反応機構は、タンニンと
加えるタンパク質の組み合わせにより様々であると考えられているが、その1つとしてタンニンのフ
ェノール性水酸基とタンパク質のアミノ基との間で静電的に強固な結合が生じて分子同士が絡み合う
というものがある。すなわち、図1の水酸基(-OH)が-O-となり、タンパク質のアミノ基が-
NH3+となり結合を形成するというものである。一般にタンニンの渋味はフェノール性水酸基に由
来するものとされているため、この反応により脱渋ができることとなる。 渋味を持つ柿への添加剤
として、食用となる化合物で、アミノ基を有した反応に有効な分子構造を持つコラーゲンペプチドを
用いることにより、加熱後も渋戻りせず、柿の風味を保持することができる。また、コラーゲンペプチ
ドは、近年になり酵素分解、酸分解や発酵によりタンパク質を低分子化する技術が開発され、コラーゲン、ゼ
ラチンを原料として低分子化し、余分な成分が取り除かれたものである。


柿タンニンの主成分であるShibuolの分子構造である。


般的にコラーゲンペプチドといっても様々なものがあるが、本発明で使用できるものは、タンパク質
の構成化合物であるアミノ酸が50残基以下でつながったものを指し、平均分子量が3000~50
00のものに限られる。このコラーゲンを分解して作るコラーゲンペプチドは、水に溶けやすく、ゲ
ル化せず、極めて高い安定性と保水力を有する。コラーゲンペプチドの平均分子量が3000以上と
したのは、添加剤が食用となるタンパク質由来であっても、反応に有効な分子構造を多く持ち、味に
変化を生じない程度の分子量を持つもので、アミノ酸をはじめとして分子量が小さすぎるものは化学
反応自体には優位であるが、添加剤自体が悪味となり味覚に悪影響を及ぼすからである。また分子量
が5000を超える大きいものは柿との混合操作に影響するため、化学反応に不均一が生じる上、製造
過程での操作に負担がかかり添加量も多くなるので、この範囲が好ましい。渋味を持つ柿に対するコ
ラーゲンペプチドの添加量は、その柿が含有する柿タンニンの量に応じて決められる。処理後の柿に
残留する水溶性の柿タンニンの量が1.2mg/g以下になるようにコラーゲンペプチドで過不足無
く反応させることにより、渋味が残らず、加熱による渋戻りを防止することができる。なお、処理後
の柿に残留する水溶性の柿タンニンの量が1.2mg/gを超えると、強い渋味が残るのでこの範囲
に規定した。   

処理する柿は、収穫したままの渋柿でも、アルコールで渋抜きした柿を用いても良い。この原料とな
る柿に、コラーゲンペプチドを柿の重量に対して0.5~3.0%程度の少量を添加して、粉砕・混
合することにより、短時間で渋抜きすることができる。さらに、使用するコラーゲンペプチドは、摂
取された場合に人体に必要なコラーゲンの原料となるアミノ酸やペプチドを効率的に補給することが
できるため皮膚の状態を改善する効果があるとされており、多く摂取したり、例え未反応なものを摂
取したりしても人体に安全でむしろ有益である。

【実施例】

脱渋していない渋味を持つ柿に対してコラーゲンペプチドを加えることで脱渋をする試験を行った。
コラーゲンペプチドは平均分子量3000のものを用い、柿の重量に対して0.2~2.5%まで添
加し、残留する柿タンニンの量を測定し、分析の数値では補えない微妙な渋味の判定については官能
評価を併せて行ない、その結果を表3および図2に示した。柿タンニンの定量はFolin-Denis法により
行なっている。

表3の結果からは、当初、柿タンニンを10.1mg/g含む渋味を持つ柿に対してコラーゲンペプ
チドを0.7%以上添加することにより残留する柿タンニンの残留量が1.2mg/g以下となり、
やや渋味が残るが、アルコールで脱渋した渋柿の1.4mg/gに比べれば渋味が少なく、柿の風味
もほとんど変化がなかった。特にコラーゲンペプチドを1.7%以上添加したものは、ほとんど渋味
は感じられなかった。コラーゲンペプチドを0.5%以下添加した比較例のものは、残留する柿タン
ニンの量が1.5mg/g以上で、渋かった。また図2のグラフからコラーゲンペプチドを1.5%
以上添加しても柿タンニン残留量が1.1mg/g程度でほとんど効果は変わらず、本発明では柿タ
ンニンの残留量が1.2mg/g以下のものに規定する。


次に渋戻りを防止する効果についての試験をした。アルコールで脱渋した渋柿にコラーゲンペプチド
を0.5%、0.7%、1.0%添加して、粉砕した後、沸騰水中に浸漬して、中心温度が85℃に
達してから30分間保持する加熱処理を行なった。この加熱後に柿に残留する柿タンニンの量を測定
し、その結果を表4および図3に示す。

表4の結果からは、アルコール脱渋した渋味を持つ柿を加熱すると、比較例のように柿タンニンの量
が2.1mg/gに増加するが、コラーゲンペプチドを加えることにより、加熱によっても残留する
柿タンニンの量が1.2mg/g以下で渋戻りしないことが確認された。

 

柿渋対策が完了すれば、次は、調理法・保存法などの加工法を確立し新たな商品開発・販売を完成す
れば、量産効果とともに価格逓減も輸出も可能となる。安定的に生産したければ各種の植物工場方式
を導入すればよいことである。そう考えている。巷で流布される「資源がない?!」とのそれは「知
恵がない?!」の裏返しであると常々考えるひとりである。

で、短期間であるがわたしも豚皮コラーゲン(残り物を有効活用)で感光材の基材開発に従事した経
験――例えば、写真フィルムメーカの富士フィルムが現在どの分野で活躍しているか想像してもらえ
ればわかりやすい――があるが、食品加工産業に廃棄するところ原理的にはない。

   ● 柿のグラタン

 

     

【我が家の焚書顛末記 18:中国思想 管子】      

  軽 重    ――管仲の経済政策――  

 「経済政策」といっても、もらろん二千数百年前のことである。ここに集録されているエピソー
 ドは一見、たわいない。だが、武力侵略と掠奪による富国策しか念頭になかった当時の背景を考
 えると、管仲の発想はなみなみならぬものがある。「まず物質的な基礎をつくる」ために、かれ
 が、人間、 心埋、権力、客観情勢など一切のものを運用した点をくみとることができよう。

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  ことぱ

 「楚の黄金あるは、斉に菑石(しせき)あるに中るなり。いやしくもこれを操(と)りて工(た
 くみ)ならず、これを用いて、善ならざるあれば、天下、倪(げい)して是(み)んのみ」
 「国、塩なければ腫る、守圉の国は塩を用ること独り甚だし」
 「粟重ければ、万物軽し。粟軽ければ、万物重し。両者衡立せず]
 「下はすなわちその囷京実し、上はもって上に給し君のためにす。一挙して名実ともに在るなり。
 民なんぞなさざらんや」

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   重農軽商

  桓公が管子にたずねた。
 「大商人のもうけをへらして農民のふところをうるおしてやりたい。よい策はないか」
 「穀物の価格があがれば諸物価はさがります。逆に諸物価があがれば穀物の価格はさがります。
 この二つは両立しません。ですから、大商人のもうけをへらして農民のふところをうるおすには
 穀物の価格を一釜三百円にあげてやることです。そうすれば農民はきっと耕作にはげむようにな
 ると思います」穀物の価格をあげるにはどうするか」
 「まず諸侯、大臣、上大夫に命じて穀倉をつくらせるのです。そのあとで諸侯や重臣には千鍾、
 上大夫には五百鍾、中大夫には百鍾、豪商には五十鍾ずつ段物を貯蔵させます。こうすれば、国
 原の貯蔵をふやすことにもなりますし、農民のふところをうるおすこともできましょう」
 「なるほど」
  桓公はすぐさま、諸侯、大臣、上大夫に命じて穀倉をつくらせた。買い手が多くなったために
 農民は手持の穀物を高く売ることができ、価格は三倍にはねあがった。その結果、大商人は打撃
 を受け農民は莫大な利益をあげることができた。


  《穀物の価格があがれば・・・》重要物資や生活必需品の価格が騰貴すれば、諸物価も高騰するは
 ずである。ここは、咬物の値上りの帽にくらべて他の物価はさほど値上げになっていない、とい
 う意味である。

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 桓公曰:「吾欲殺正商賈之利,而益農夫之事,為此有道乎?」管子對曰:「粟重而萬物輕,粟輕
 而萬物重,兩者不衡立,故殺正商賈之利,而益農夫之事,則請重粟之價金三百,若是,則田野大
 辟,而農夫勸其事矣。」桓公曰:「重之有道乎?」管子對曰:「請以令與大夫城藏,使卿、諸侯
 藏千鍾,令大夫藏五百鍾,列大夫藏百鍾,富商蓄賈藏五十鍾。內可以為國委,外可以益農夫之事
 。」桓公曰:「善。」下令卿諸侯、令大夫城藏;農夫辟其五穀,三倍其賈,則正商失其事,而農
 夫有百倍之利矣。

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  玉造りの計(石壁謀略)

  桓公が管子にたずねた。
 「都へのぼって局の天子に拝謁したいが、どうも献上する品物が少ないようだ。なにかよい策は
 なか」
 「こうしてはどうでしょう。まず人民に命じて陰里に新しい城を築かせるのです。その際、城壁
 は三重、城門は九重にして外部へ秘密がもれないようにします。城ができ上ったら、城内に玉造
 りの職人を住まわせて石の玉をつくらせます。直径一尺の玉は一万円、八寸の玉は八千円、七寸
 の玉は七千円それに珪玉は四千円、親玉は五百円とそれぞれ値段をきめておきます」

  こうして石の玉を十分につくらせてから、管子は都にのぽって天子に拝謁した。
 「わが君桓公は諸侯をひきつれてご先帝の廟に詣で、周室に朝貢したいと望んでおります。つき
 ましては、諸侯に『ご先帝の廟に詣で、周室に朝貢しようとする者は、必ず彤弓と石の玉を献納
 せよ。しからざる者は朝貢を許さない」と、ご命令をだしていただけませんか」

  天子はもっともだと思い、その旨を天下に布告した。
  天子の命令をうけとった諸侯は、黄金、真珠、穀物、鎔縮、貨幣を器もたせた使いを斉に出し、
 これらのものと交換に石の玉を買いとった。
  かくして、陰里特産の石の玉が諸国に輸出されるにつれて、斉には天玉下の財宝が集まった。
  おかげで斉の財政は豊かになり、八年ものあいだ人民から税金をとりたてる必要がなかった。
 それというのも、管子の考えた、陰里城の「玉造り」の政策によるものである。

 《邦》当時、周の天子は洛陽にいた。斉の国は周よりずっと東よりである。原文は「西のかた天
 子に則せん」となっている。
 《陰里》斉国の地名。
 《円》原文は「泉」。泉は銭の古字。一説にはお金は泉から湧き出る水のように瓜く流通するの
 で、銭を泉と同意義に使ったという。
 《珪玉》上が尖って下の四角な玉。祭祀や褒賞用に天子がよく便った。
 《瑗玉》辺は環、輪状をなしている玉。輪の太さと穴の径と同じくらいである。
 《彤弓》宋塗万の弓で飾りがついている。諸侯への褒賞品として彤弓と彤矢が使われていた。形
 弓は斉の特産ではない。他国の産物も献納物とさせたところに管仲の心づかいの細かさがある。
 権威の物質化今日の目からみれば。素朴なアイディアにすぎないともいえるが、時代的背景を考
 えると、興味深い。当時、すでに周王室の威信は衰え、諸侯の朝貢も形式的なものになっていた。
 諸侯のなかでも、"覇者"である最有力者・斉の桓公が、心から局王室に敬意を表わしていたわけ
  ではない。つまり、管仲は、衰えたりとはいえ天子の権威と、斉の"覇者"としての強い発言力と
 を利用して、特産品の輸出市場拡大をはかったわけである。力を、むだしの武力として行使せず、
 貿易に転化したところが、いかにも管仲らしい。政策の遂行は、客観情勢の活用によってのみ有
 効となることを教えてくれる。

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 桓公曰:「寡人欲西朝天子,而賀獻不足,為此有數乎」?管子對曰:「請以令城陰里。使其牆三
 重而門九襲。」因使玉人刻石而為璧。尺者萬泉,八寸者八千,七寸者七千,珪中四千,瑗中五百
 。璧之數已具,管子西見天子曰:「弊邑之君,欲率諸侯而朝先王之朝,觀於周室,請以令使天下
 諸侯,朝先王之廟,觀於周室者,不得不以彤弓石璧;不以彤弓石璧者,不得入朝。」天子許之曰
 『諾』。號令於天下,天下諸侯載黃金珠玉五穀文采布泉輸齊,以收石璧。石璧流而之天下,天下
 財物流而之齊,故國八歲而無籍,陰里之謀也。

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                                                                        この項つづく

 

 ● 今夜の一枚

Supermoon science: November 2016 moon biggest and brightest in 60 years

theguardian Nov.10,  2016

さあ、今宵は大満月(60年ぶりのスーパームーン)に吠えることにするが、きみはどうする。


 


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