運は動より生ず / 『易経』(えききょう)
※ 易経の「易」という字は、トカゲを側面から見た象形文字で、
上部の「日」はトカゲの頭部、下部「勿」は足と尾であると
いう(『説文解く字』)。ある種のトカゲは十二時虫とも呼
ばれ、体色を一日に12回も変えることから、易という字は
「変化する」という意味を持つようになった。
【RE100倶楽部:太陽光利用革新的イチゴ栽培】
● 山口県で実証、暖房費80%削減:先ずは太陽光型植物工場で
昨年12月14~16日都内で開かれた展示会・アグリビジネス創出フェア2016(農林水
産省主催)で、山口県農林総合技術センターは、「太陽光エネルギーを蓄熱利用するイチゴ省
ネ栽培システム」の実証成果を報告。同システムは、日中のハウス内の余剰熱を蓄熱槽に蓄え
ておき、温度低下時の加温に活用する。隣接する未利用ハウスの屋根に1.62キロワットの
フィルム型太陽電池を設置し、蓄電池(450アンペアアワー)と組み合わせ独立電源とし、
送風ファンなどを稼働させるもの。イチゴ栽培は、腰ほどの高さの台上で育成する高設型を採
用した。台の下にグリ石(岩石を割った小石)による蓄熱槽を配置し、イチゴ苗を下から加温
する仕組み。ハウス内の温度が、グリ石の温度より高くなった場合、送風ファンを稼働して蓄
熱する。
ハウス表面には布団状保温資材を装着し、日中は巻き上げて、太陽光を取り入れた。布団資材
と太陽光蓄熱利用システムの相乗効果により、栽培期間中、ハウス内の温度を4℃以上に維持
が可能とし、15年12月から16年3月まで実証、暖房用の燃料使用量ゼロを実現。化石燃
料を使用せず、暖房費を80%削減し、基準単収4トン/10アールを確保できた。このシス
テムの特徴は次の通り。
ラック(栽培槽)を左右に移動させることにより、同じ面積のハウス内により多くの株
を植栽できるようにする。 2重アーチ構造によるパイプハウスのリノベーション技術:既存のパイプハウスを利用
し、より強度や採光性に優れるように作り変える。 高保温性内張り資材(布団資材)による保温と暑熱対策:布団資材とは、布の間にポリ
エステル綿を挟んだ布団のような資材を使うことにより、従来のフィルム資材より断熱
性を高めたもの。この布団資材をハウスの内張りに使用して、ハウス内の気温を植物の
生育適温に保つ。 局所加温用テープヒータシステムによる省エネ技術::スポット加温が可能なテープを、
イチゴの株元に沿わせて設置し、株元部分のみを加温することで、暖房コストを削減す
る。 太陽光エネルギーの蓄熱利用省エネシステム:日中ハウス内暖気を栽培槽下の蓄熱槽(
ぐり石)に蓄えておき、夜間放熱して栽培槽を暖めることで暖房コストを削減する。
● テスラ「ギガファクトリー」でリチウムイオン蓄電池量産開始
【電気自動車と家庭用太陽電池で先行】
1月4日、テスラは、米ネバダ州リノ(Reno)の東方約35kmに建設していた工場「ギガファク
トリー(Gigafactory)」で、パナソニックと共同でリチウムイオン蓄電池の量産を開始したと
発表。年間35ギガワットアワーの生産を見込む。 2170セル」(21mm×70mm)と呼ぶ円筒形
のセル(単電池)を量産する。同社がこれまで採用していた汎用品のセル「18650」(18mm×
65mm)より一回り大きい寸法となる。テスラとパナソニックが共同開発したもので、電気自
動車(EV)や定置型蓄電池など向け製品で、最高の性能を最低の製造コストで量産することを
目指す。
昨年12月、2170セルの品質検査のための製造を開始していた。当面、ギガファクトリーでは、
定置型蓄電池である「パワーウォール2(Powerwall 2)」と「パワーパック2(Powerpack 2)」
向けの2170セルを量産する計画。定置型蓄電池は、住宅用の太陽光発電システムや産業用のメ
ガソーラー(大規模太陽光発電所)、マイクログリッドなどでの利用が見込まれている。 また、
EV「モデル3(Model 3)」向けの2170セルの量産は、17年第2四半期に開始予定とする。18
年までに同工場では年間35ギガワットアワーの蓄電池を量産を見込む。この量産規模は、世
界中で現在、生産されているリチウムイオン蓄電池をすべて合計した量匹敵する。
Jan. 5, 2017
テスラは、いくつかのフェーズに分けてギガファクトリーの建設を進める。フェーズごとに運
用で、完成した部分から同社とパナソニック、他のパートナー企業が迅速に量産フェーズに入
り、その後も漸次、生産規模を拡張できる。フェーズごとの運用により、工場建設や運用スキ
ルの継続的な改善や、セルの製造コスト低下といったメリットも得られるとする
テスラによると、現在利用している施設内の建築面積は190万平方フィート(約17万65
00平方メートル)で、複数階にまたがる延べ床面積は490平方フィート(約45万520
0平方メートル)である。これは、まだギガファクトリー総面積の30%未満に過ぎないとい。
完成時に同工場は世界最大の建築物になると同社は見込む。ギガファクトリーの稼働で量産が
進めば、セルの製造コストは大幅に下がると見込む。これは単に規模の経済だけでなく、自動
化率の向上、歩留まりを改善するプロセス設計、製造原単位(ワットアワー)当たりの設備投
資の削減、製造プロセスの集約・最適化など、いくつかの要因が効果を上げると目論む。
テスラは、米国内でリチウムイオン蓄電池を量産で数千人単位で雇用を創出し、同社とパナソ
ニックは、17年だけで数千人を地元から雇用すると見込む。生産量のピーク時では、ギガフ
ァクトリーは直接雇用で6500人、間接的に2万人から3万人の雇用創出を計画している。
● 浮体式洋上風力の発電コストを20円/キロワットアワーに低減
昨年12月21日新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は、浮体式洋上風力発電シ
ステムの発電コストを20円/キロワットアワーに低減する要素技術の開発に着手することを
発表。風車・浮体・タワーを一体化した方式による軽量化、台風時の風荷重の低減などを実現
するシステムの概念設計、小型のモデル装置を使った水槽試験やシステムの安全性・信頼性・
事業性の評価などに取り組む。
洋上風力発電で先行している欧州などと比べて、日本の海には、遠浅の沿岸域が少なく、かつ、
海底も急峻な地形が多い。このため、欧州などで使われている風力発電システムをそのまま持
ち込むことが難しい。これらは、着床式の洋上風力発電だけでなく、より深い海域に対応でき
る浮体式の洋上風力発電システムについても言え、それぞれの方式で日本の海に対応できるシ
ステムを開発することで、導入できる海域を広げる狙いがある。
また、浮体式洋上風力発電では、出力2~5メガワット規模の実証研究が国内外で始まってい
る。この中で、技術の検証に加え、コストを低減できるような取り組みが盛り込まれる。今回
は、1点係留技術による風車ヨーシステム(風車の回転面を風向きの変動に追尾させる制御シ
ステム)の省略、2枚ブレード風車の採用による台風時の風荷重の低減、一体化した風車・浮
体・タワー方式による軽量化などを実現する発電システムの概念設計、部品の試作、水槽試験
などに取り組む方針という。
【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 Ⅲ】
1.風車ロータの最適化
1-2-7 風車ロータ周りの流れ
Fig.1-13 に示す測定断面 M0~M3 上の流れを自作の5孔ピトー管を用いて定常的に測定した。
単段風車ロータ(Front blade G)、Tandem Wind Rotors GE, GG の 各最高効率点における流れ
を Fig.1-14,1-15,1-16 に示される。ここに,R は風車ロータ半径で除した無次元半径(=2
r / dF)、①αは流れの測定結果から算出した迎え角、②VMtm,VRtm,VΘtm,は、M0 断面での
風速で除した、軸方向、半径方向(半径外向きを正)、および旋回(前段風車ロータの回転方
向を正)速度成分である。単段風車ロータの場合(Fig. 1-14)、風車ブレードを出た後の流れ
(M2断面)はロータの全域で旋回方向速度成分が発生し、特にハブ付近で顕著に現れている。
軸方向速度成分は、ティップに近づくにつれ減速が著しくなる。また、風車ロータに流入する
直前(M1 断面)から既に半径外向きの速度成分を持ち、前述の軸間距離が出力に対する影響
を持つものと考えられる。
次に、Tandem Wind Rotors GEとした場合(Fig. 1-15)、最適なブレード取付け角度が βF=10deg、
βR=16deg. (図略)であり、βF は単段として最適な値よりも大きな値を示しているため、前
段風車ロータの後流 (M2 断面)での軸方向速度成分の減速、旋回速度成分の発生が抑制さ
れている反面、後段風車ロータへの流入状態が改善されていることがわかる。しかし、Tandem
Wind Rotors GE では後段風車ブレードに二次元対称翼を使用しているため、ハブ側からティッ
プ側にかけて迎え角が減少、R=0.6 を超えた付近 で迎え角は負の値を示す。このため、後段
風車ロータは効果的な風車運転ができず、後段風車ロータの存在による一種の流れの閉塞によ
って前段風車ロータへの流入状態も悪化し、性能は期待できない。
そこで、後段風車ロータに Rear blade G を使用している(Tandem Wind Rotors GG,Fig. 1-16)。
Tandem Wind Rotors GEと比較すると、前段風車ロータに流入する 流れ(M1 断面)での軸方
向速度成分の減速は免れな いものの幾分は改善され、半径方向速度の増速が抑 えられている.
また、後段風車ロータを出た流れにおいて旋回方向速度成分の増速が顕著に現れていることを
確認。これは,後段風車ロータが十分 に仕事をしていることを物語る。前後段風車ロータは
設計よりも幾分大きい迎え角で、運転されている(設計点:前段α=8deg、 後段α=11deg.)。
MEL002 翼型の揚抗比が最大となるのがα=10 deg. 付近、失速点がα= 21deg.付近である。
Tandem Wind Rotors GG, GE 双方とも、前段風車ロータは失速点付近で運転されており、所望
の性能を得られなかった可能性がある。これは,風車ロータ設計時に前後段 風車ロータの互
いの干渉を考慮していなかったためであり、前段風車ロータの設計段階において、後段 風車
ロータの存在を考慮する必要ある。
1-2-8 空力騒音
このインテリジェント風力発電ユニットは基本的に、増速機構や回転速度制御機構等の削除を
前提としているため、ナセル内部の機械音による騒音は考えなくてよいが、前後二段の風車ロ
ータを持つため、風車ロータ間の干渉による干渉騒音の発生、前後段風車ロータから放出され
る渦、前段風車ロータで発生した乱流成分が主流とともに後段風車ロータに流入する際の主流
乱れに起因する乱流騒音の発生が考えられる。
以上のことを踏まえ、タンデム風車ロータの空力騒音を把握し、前後段風車ロータ形状の違い
による騒音への影響について調べるとともに、ブレード周りの流れを計測し、騒音と流動状態
との関係を調べ、次のようなことを明らかにした。ここでの実験条件は、反回転時(NF=1800
rpm,NR=‐1800rpm)、周方向から測った前後段ブレード取付け角は βF=βR=11.3deg.、風速
は V=10.7m/s、前後段風車ロータ径比 は DRF=0.53、0.70、1.13、前後段風車ロータ間の軸間距
離は L=0.15,0.23,0.30 である。風車ロータ間距離の影響:等価騒音レベルは風車ロータ間距
離が狭いほど高くなる.これは風車ロー タ間距離を広くすることにより前段風車ロータで発生
した乱れが拡散され、後段風車ロータに流入する主流の乱れの影響が弱められたためと考える。
性能は風車ロータ間距離が狭いほど高出力となり、性能と騒音で妥協点を見つける必要性があ
る。後段風車ロータ径の影響:等価騒音レベルは前後段風車ロータ径比が大きくなるほど高く
なる。これは、後段風車ロータ径が大きくなれば、前段風車ロータで発生した渦や乱れの影響
を受けやすくなるためと考えられる.この風力発電ユニットは、前段に大径風車ロータと後段
に小径風車ロータをもち、前後段風車ロータ径比は DRF=0.84 と決定されているので、騒音レ
ベルが高い、後段に大径風車ロータを持つ場合については議しなくてよい。
1-2-9 結言
大小二段の風車ロータと固定子を持たない新たな発電機によって構成される、タンデムロータ
型インテリジェント風力発電ユニットの実用化を目指し、前後段風車ロータの好適化を対する
指針を得た。
1-2-10 参考文献
(1)芽 陽一,新エネルギー辞典,(2002),P.365 (2)大屋裕二ほか,高出力つば付きディフューザ風車の
開発,日本風工学研究会誌 No.99, pp. 121-122 (3)前川博,揚力線理論に基づく水平軸風車の最適設
計,機論,52-474,B(1986),pp. 602-608
(4)奥林豊保ほか,ダリウス風車の変動トルクに関する研究,日本機械学会九州支部論文集,(2000),
pp. 103-104
(5)竹内一喜ほか,クロスフロー風車の高性能化に関する研究,日本機械学会 2003 年度年次大会,
(2003),pp. 67-68 (6)Kanemoto, T. et al, Almighty high output intelligent wind turbine generator with
tandem wind rotors, (2007), Proceedings of the 5th ASME/JSME Joint Fluid Engineering Conference,
CD-ROM FEDSM 2007-37541 (7)Kubo, K. et al, Development of Intelligent Wind Turbine Unit
with Tandem Wind Rotors and Double Rotational Armatures (2nd Report, Characteristics of Tandem
Wind Rotors), (2008), Journal of Fluid Science and Technology, Vol.3, No.3, Special Issue on Utilization
of Renewable Fluid Energy, pp.370-378
(8)Kubo, K. et al, Intelligent Wind Turbine Generator with Tandem Wind Rotors Applicable to Offshore
Wind Farm (Profiles and Performances as Tandem Wind Rotors), (2008), Proceedings of the 18th Intern-
ational Offshore and Polar Engineering Conference, pp.441-446(9)金元ほか,機論,66-644, B(2000), p.
1140
(10)http://riodb.ibase.aist.go.jp/db060/index.html
(11)牛山 泉,風力エネルギーの基礎,(2005)
(12)牛山 泉,風車工学入門 ~基礎理論から風力発電技術まで~ ,(2002)
(13)西山哲夫,翼型学,(1992)
(14)Erich Hau,Wind Turbines (Fundamentals, Technologies, Application, Economics),(2006)
1-3 今後の課題と取組
定格風速以下の風速域における最高効率運転を目指して風車ロータの開発を進めてきたが、こ
の風力発電ユニットでは定格風速以上の風速における後段風車ロータの回転挙動が重要となる。
今後、風速の増加とともに後段風車ロータが停止を経て前段風車ロータと同方向に回転するた
めの形状を探究する。
以上、コメントなしで掲載。
この項つづく