※ 「否」は前項の「泰」と全く逆の卦である。天は上へとへと行き、
地はあくまでも下ヘ行く。なにもかもが行き違い、背きあい、しっ
くり行かない。まわりがすべて白い眼を向け、八方塞がりの状態だ。
民意は政治に反映しない。貧富の格差はひろがる。卦の形も、脆弱
な基盤の上に剛強が乗っており、いつくずれるとも知れぬ白砂上の
楼閣を表わす。いまあなたは危機に直面している。一刻も猶予はな
らない。閉塞状態を打開するために、真剣に現実に立ちむかわねば
ならない。各爻の辞はそのためのヒントを提示する。
【オデッサ・ファイル】
25日、ひょんなことでプレミアムシネマで『オデッサファイル』を観る。それが記憶に残り今夜、
まとめたくなった。『オデッサ・ファイル』(The Odessa File )は、英国の作家フレデリック・フォ
ーサイスの手になるサスペンス・スリラー小説である。若いドイツ人記者と元ナチのための秘密組織
「オデッサ」との間の暗闘を描く。処女作『ジャッカルの日』と並ぶフォーサイスの代表作。タイト
ルは、西ドイツ司法省宛に1964年2月末、匿名の人物によって郵送で引き渡された、「オデッサ」の
支援を受け海外逃亡した元親衛隊達の、顔写真や詳細な所在などを記録したファイルの通称にちなむ。
そして、1974年(国内上映は翌年3月)に映画化されているが、記憶にないからそれまで観てい
ないのだろう。
さて、ストーリーというと、ナチス政権下でユダヤ人の絶滅政策を遂行してきた親衛隊(SS)の幹部
たちは降伏直前、連合国軍の追及を逃れ新生ドイツ社会への浸透を支援し、名誉回復のプロパガンダ
をするなど庇護を行なう秘密組織、「オデッサ」を立ち上げていた。西ドイツのルポライター、ペー
ター・ミラーは、ケネディ大統領暗殺事件と同時期に自殺した、一人の老ユダヤ人が遺していた日記
をきっかけに、老人がオストラントの強制収容所から解放された一人であること、所長エドゥアルト・
ロシュマンは司法の追及を逃れて国内で堂々と生活している事を知る。しかもロシュマンは、ドイツ
国防軍大尉だった自分の父・エルウィンを自身に逆らったとして殺し、戦死に仕立て上げた人物だ
った(父が戦死した日付・場所と、日記に記された大尉が射殺された場所、しかも柏葉・剣付騎士鉄
十字章受章者であったことまで一致)。
その所在を掴もうと試みるが、“過去の克服”を続ける一部の関係者以外、周囲の全てが“ナチの亡
霊”から目を背けていることを知らされ、ついには同志を庇おうとするオデッサの妨害が、ペーター
を命の危険に曝すようになる。ついにペーターは、情報を得て帰国直後、滞在中に知り合った元被収
容者で作るユダヤ人グループの力を借り、居場所を突き止めたら彼らを通じて、モサッドに知らせる
条件で、特訓を受けて“元SS曹長ロルフ・コルプ”になりすまし、組織に潜り込む。モサッドの目的
は、この元所長を中心としてナチ残党がエジプトのナーセル政権と組んで計画したイスラエル壊滅作
戦の阻止である。オデッサのドイツ国内での組織長と接触するも正体が発覚、オデッサの差し向けた
殺し屋・マッケンゼンに追われるが、偶然にも追われながら訪れた先々でオデッサ関係者を一人ずつ
葬ることになる。
調査の過程で面識のある金庫破りに盗ませて入手した「オデッサ・ファイル」で元所長の身元を所在
とともに確認し、ファイルを司法省に引き渡す手筈を整える。オデッサのイスラエル消滅計画は失敗
するとともに、ファイルが当局に渡ったことでドイツ国内のオデッサも大打撃を被る。ペーターが持
ち歩いてきた老ユダヤ人の日記は、シャウルが母国へ持ち帰り、結びに記された遺言のとおりにヤド・
バシェムでその老ユダヤ人を慰霊する。
尚、登場人物の元強制収容所長ロシュマンは、実在の人物。リガにあったカイザーヴァルト強制収容所の歴
代所長の一人で、“リガの屠殺人”と呼ばれた。1977年8月、パラグアイで死亡が確認されている。原作者フ
ォーサイスはロシュマンをはじめ、実在のナチス関係者や組織についてかなり詳細な情報を入手して
作品を執筆。後年、ロシュマンの検死の関係者が「フォーサイスの小説では、ロシュマンは逃亡中に
足の指を数本欠損したとあるが、それは事実である」と述べている。また、この作品の出版に当たっ
ては、フォーサイスの元に沢山の脅迫状が届いている。
大雪の除雪や作業中でもあり流したところもあったが、ナチズムの台頭とその戦犯、その残党の組織
の陰謀などが理解でき歴史上の事実の重みを感じることとなり、憤慨と陰鬱さがない交ぜになり、考
えること多し。尚、原作者のフレデリック・フォーサイス、主演のジョン・ヴォイトは健在だが、ジ
ギーを演じたメアリータイムは2012年5月に没、享年62。
【RE100倶楽部:スマート風力タービンの開発 16】
風況を選ばない高出力インテリジェント風力発電機
● 電気系と風車ロータの最適マッチング:実証試験
6-1 プロジェクト全体における本研究開発部分の位置づけ
風車ロータ(前段ロータ径4m)、実験室段階で最適マッチングを行った発電機の試作2号機(定格出力
3kW)と制御系、従来技術を応用したタワー、方向制御からなる実証試験用風力発電機モデルを構築
してフィールドで実験を行う。系統連系するアップウィンド型中・大容量機(10kW以上)を対象とす
るが、ダウンウィンド型小容量機(10kW以下)についてもフィールド実験を行う。風車ロータと既存
の相反転方式同期発電機(九州工業大学が水車用として所有)で構成し、本風力発電機の特徴である
風車ロータと発電機の連携プレー能力の実証を目的とする。研究開発目標の達成とは直接関係しない
が、これを遂行することにより、実用化に向けたシリーズ化が強力になる。小型機の場合、独立電源
への適用も考えられるから、同期発電機による実証にも意義がある。
6-2 アップウィンド型の実証試験
系統連系を想定した本格的なアップダウンウィンド型インテリジェント風力発電ユニットの実証試験
として、基盤課題A の成果を踏まえ、後段風車ブレードに風のエネルギーを効果的に送る直径4mの
前段風車ロータを設計製作。また、相反転方式3相10極3kW 二重巻線形誘導発電機(図2-3、5-7)
および、制御サーキットを準備。今後、外部資金を得て、既に形状が固まりつつある独特な後段風車
ロータとタワーを新たに設計製作し、フィールド実証試験を開始予定である。
6-3-1 目的
3kW 以下の小容量機の実用化を目的とし、独立電源用を想定した簡易ダウンウィンド型インテリジ
ェント風力発電ユニットの実証試験も新たに追加。当初の計画になかったので、車載実験に用いた風
車ロータと発電機を流用。
6-3-2 実験装置と方法
上述のように、実証試験機は車載試験で使用したフィールド試験用タンデム風車ロータと二重回転電
機子方式同期発電機(極数:4P、定格回転速度:内外回転電機子とも750 min-1、定格起電圧:100 V、
定格周波数:50 Hz、,定格出力:1.0 kW)によって構成されている。本機は㈱志磨テック本社ビル3
階の屋上(付近にこれより高い建物はなく、川沿いに立地)に設けた風車ロータ中心高さ3.3mのタワ
ーに搭載した(図6-1、地上高約13.3m)。このため,天候にかかわらず常設となるので、強風時の過
回転による破損等の危険を避けるため、前後段風車ロータ軸に無励磁作動ブレーキ(電源オンでブレ
ーキ解除、電源オフでブレーキが作動)を設け(図6-2)、また発電機を風雨にさらさないためナセル
を設けた。なお、ダウンウィンド型なので、風向変化に対しては自己追従する(ヨーコントロール機
構は不要)。
試験装置の全体図を図6-3 に示す。前段風車ロータの回転方向を正転とすると、後段風車ロータは正
転、反転するので、後段風車ロータの回転検出器にはロータリエンコーダを採用。実験は前後段ブレ
ード取付け角βF、βRとランプ負荷Pbulb をパラメータとし、風速V、風向、前後段風車ロータ回転速
度NF、NR、発電機の起電圧E、起電流I、出力PGをデータロガーに1 秒毎に蓄積し(図6-4) その評価
は10分間平均を用いた。このとき、発電機からの出力は電力計を介してランプ負荷に接続されており,
ランプ負荷の大きさはスイッチにより段階的に変更できる(図6-5)なお、安全性と夜間は風況が悪い
ことを考慮し、夜間はブレーキをかけ、昼間のみ実験を行う。
6-3-3 風況
図6-6に2008年4月21日から2008年8月12日までの風速出現率分布を示す。間隔1m/sごとの風速の出
現率である。風速3 m/s が最も出現率が高く、高風速側の出現率が低いことがわかる。風速には季節
変化があり、冬に風速が高くなり、夏では風速が低くなる傾向があることを物語っている。以降に示
す実験結果は、ちょうど風速が遅くなる時期にえられたものであり、その風向分布(風配図:は各方
位別の風向の出現率を放射状のグラフに表したもの)を図6-7 に示す。
6-3-4 実験結果
ブレードティップの翼弦と周方向とがなす前段ブレード取付け角度βF=30deg.、後段ブレード取付け
角度βR=30 deg.、ランプ負荷Pblub=300Wにおける、前後段風車ロータの回転速度NF、NR および出
力P の一例を図6-8 に示す。平均風速が同じであっても、前後段風車ロータの回転速度、出力ともに
ばらつきがあることがわかる。自然風況下では急激な風速の変化や風向の変化が起こるため、このよ
うなばらつきが出たと考えられ。このことは周知の事実である。また、低風速域に着目すると、前段
風車ロータは風速2 m/sで回転を始めているが、後段風車ロータは風速が5 m/s に達しないと回転しな
い。このことは既に確認されたことである。その時に議論したように、本モデルに供した二重回転電
機子方式同期発電機は相反転方式水力発電の発電機を流用、本風車ロータとの適合は考えられていな
いこととが主因である。また、ここでの実験では回転挙動の把握を主目的としているため、ランプ負
荷を低くしているので出力も低い。
図6-9 はある一期間において得られた。1秒ごとの時系列順のデータである。風速が速くなると当然、
前後段風車ロータともに回転を始め、風速が遅くなってもある程度の風速があれば前段風車ロータは
回転し続ける。しかし、後段風車ロータはすぐに停止する。再び風速が速くなると、前段風車ロータ
の回転速度は上昇するのに反し、後段風車ロータは依然停止したままである。もともと回転しづらい
ことに加え、前段風車ロータが回転している状態であるため、後段風車ロータに流入する風の流れが
遮られていたことも一因であろう。
6-4 評価と今後の展望
自然風況下での実証試験により、定常風速下での車載試験等では得られなかった微風速での回転挙動
や乱流、突風などが発電特性に与える影響を把握しつつある。引き続き、遅れている第2章の実証実
験をできるだけ早く開始できるように努力するとともに、第3章に二重回転電機子方式二重巻線形誘
導発電機と制御系を導入した実証実験を行う予定である。この場合、後段風車ロータの採用も視野に
入れる。
以上、掲載し参考してきたが、これを参考により高性能、高品質(安全・安心を含む)でコンパクト
で廉価なスマート風力発電タービンの実用展開に繋げる。
【参考情報】
for publication on 22th July 2014
● 今夜の一曲
ベートーベン:弦楽四重奏曲 String Quartet No.11 「セリオーン」, in f, Op.95
弦楽四重奏曲第11番ヘ短調「セリオーソ」Op.95はルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンが1810年に
作曲した弦楽四重奏曲である。原題は "Quartetto serioso"であり、セリオーソの名は作曲者自身によっ
て付けられたものである。名前の通り「真剣」な曲であり、作曲者のカンタービレ期特有の短く、集
約された形式を持つ。しかし、歌謡的な要素は少なく、あくまでも純器楽的に音楽は進行する。音楽
は短く、きわめて有機的に無駄を省いた構成をとるが、時に無意味ともいえる断片が挿入されたりし
て、それがかえって曲の真剣さを高めており、そこに他の要素を挿入したり、緊張感の弛緩する余地
を与えない(出典:Wikipedia)。
【楽曲の構成】
転じ、3連符を元にした旋律がヴィオラに歌われるが、長く続かず、再び荒々しい打激に変わ
り、断片的な旋律と、それを打ち消すような無意味な音階進行によって、安らぐ暇を与えない。
これがセリオーソと名づけられた所以とされる。提示部の反復はなく、展開部も短く、再現部
の後、コーダで盛り上がりをみせるが、楽章は静かに閉じられる。 第1主題が変ト長調で反復
されることや、変ニ長調に対するニ長調の激しい走句など、全体的にナポリの和音が多用され
るが、これはベートーヴェンの多くの短調作品の特徴。その調的関係から月光と熱情の両ピア
ノソナタを連想させる。 第2楽章 Allegretto ma non troppo:ニ長調という遠い調で書かれている。時計を刻むような無
機質なチェロの進行で開始、その後の第1バイオリンに歌われる旋律はまったく関連性がなく、ベートーヴェンが追求してきた「人間的な」緩徐楽章に対する一種の皮肉を感じさせる。 第3楽章 Allegro assai vivace ma serioso:スケルツォに相当、5部分による。発想に「セリオーソ」と
指示されている。減七の和音を多用した付点リズムによる労作的な主部と、コラール的なトリオからな
る。 第4楽章 Larghetto espressivo-Allegro agitato:緩やかな短い序奏に始まる。主部はロンド形式。
情熱的な主題が歌われ、ただならぬ雰囲気を漂わせるが、突如コーダにおいて曲はAllegro ヘ長
調に転じ、諧謔的ともいえる音階進行とそれに対応するパッセージが演奏され、明るく軽快に
閉じる。第2楽章でも見られた、無意味なものの羅列や無機質な機械的進行により、人間的な
ものに対する一種の皮肉を表現しているとされる。