僖公二十三年:晋の文公、亡命十九年 / 晋の文公制覇の時代
※ 前七世紀末、天下の覇者となった晋の文公(重耳:ちょう
じ)には、即位するまえ、長い雌伏の時代があった。すな
わち、父献公の寵愛する驪姫の姦計(驪姫の禍)により出
奔を余儀なくされたかれは、諸国を流浪する。父に追われ、
異母兄弟にねらわれての逃避行のすえ、本国に帰って即位
したのは、嬉公二十四年のことである。その間の人間模様
がここに一括して記されている。この条、経文はない。
※ 宋の襄公、馬を贈る:一行は宋に着いた。宋の襄公は馬八
十頭を重耳に贈った。
★ このとき宋は泓(おう)の戦い(前節)に敗れて困窮して
おり、垂耳をもてなす余裕がなかった。それでもさすがは
襄公、垂耳の大器であることを見込み、贈物だけはしたの
である。
※ 天の啓(ひら)くところ、人及ばず:一行は鄭国に着いた。
鄭の文公もかれらを礼遇しなかった。大夫の叔詹(しゅく
せん)が文公を諌めた。「"天の意志"は、人智のばかり知
るところではない"という言葉がございますが、垂耳には、
人智をもってしては解釈できない点が三つあります。おそ
らくは天があの方の将来を保証しているのではないでしょ
うか。手厚くもてなさなければいけません。その三つとは
同姓の男女が結婚すれば、その子孫は跡絶えて当り前なの
に、垂耳は父君も母君も姫姓でありながら、げんに今日ま
であのとおり元気でいます。これが第一です。
次にかれは迫害を受けて国外を流浪していますが、一方、
天はかれのいない回国に内紛を起こさせています。これは
公子を本国に導き入れようとの天の凪召しではないでしょ
うか。これが第二です。また、かれには、一国の宰相たる
器量の持ち主が三人まで付き従っています。これが第三で
す。そうでなくとも、もともと回国とわが鄭国とは同等(
同じく侯爵)の国、当然、わが国に立ち寄った晋国の子弟
は、手厚くもてなしてしかるべきです。まして、かれには
天が味方しているのですから、冷遇などもってのほかです」
だが、文公は聞き入れなかった。
★ 三人:『国語』によると、狐偃、趙衰、賈佗(かだ)の
三人を指す。
【RE100倶楽部:太陽光発電篇】
May 25, 2017
● 高層ビル外壁の太陽発電化
今回は、5月30日で第27回の「ガラス壁からの太陽エネルギーを利用する」で掲載した、高層ビルな
どの建築物外壁(窓を含む)の太陽光発電化――ゼロエネルギービルの外壁の事業プラットフォーム
構築――をさらに考えを進めてみよう。高層ビルといっても屋根(5月27日の第25回で掲載した「フ
ォワードラボ社のソーラールーフ」参照)を含めると様々なタイプとなるが、ここでは典型的な高層
ビル(下図:新横浜市庁舎)を参考にすると、床面積:8,080平方メートル、周長:65×4=260メー
トル×高さ150メートル)が外形寸法とすると、屋根除く延外壁面積は、39,000平方メートルとなる。
因みに、日照時間を3.5時間/日として、平均変換効率を10%、20%、30%、被覆係数を0.75とし発
電量を求めると、それぞれ、10,238kWh/d、20,475238kWh/d、30,713kWh/dの発電量を得ることができ
る。但し、この被覆係数には窓ガラス部分を含めるものとして、太陽電池は、化合物半導体、ペロブ
スカイト、結晶シリコンによるモノリシックあるいはタンデムの構造の太陽電池とする。また、色彩
マント、エンボス加工による質感の意匠性、強化ガラス層による保護、各パネルにはマイクロインバ
ーター回路など組み込み、陰や断線などの保護に配慮設計を前提とする。また、発電した電力の貯蔵
は、リチウムイオン電池などの蓄電池方式や電気分解水素製造貯蔵方式に2通りを想定している。、
Dec. 12 ,2016
このような、高層/超高層ビルディングの外壁(窓)の太陽電池化の課題はやはり、パネルの据え付
け/収納/交換作業などの保全修理の配慮、強風、火災、地震の防災配慮するための工夫を必要とし、
ほとんどが新規考案になることであが、ここではそれには触れない(残件扱い)。
● 高効率なモノリシックタンデム型(一枚体・多段型)太陽電池の事例
・US 9627576 B2 Monolithic tandem chalcopyrite-perovskite photovoltaic device
ーティングするステップと、第1の吸収体層の形成時に、第1の吸収体層のバンドギャッ
プを約1.0から同程度に調整するステップと、第1の吸収体層の上に第2の吸収体層を
形成するステップと、 eV~約1.9eV;前記第1の吸収体層の前記導電性材料とは反対側にバ
ッファ層を形成する工程と、バッファ層の第1の吸収体層とは反対側の面に透明なフロン
トコンタクトを形成する工程と、前記透明前面コンタクトの前記バッファ層に対向する側
に正孔輸送層を形成するステップと、第2の吸収体層の形成中に、第2の吸収体層のバン
ドギャップを調整して、第2の吸収体層を形成する工程と、約1.5eV~3eV;前記第2の吸収
体層の前記正孔輸送層と反対側に電子輸送層を形成する工程と、電子輸送層の第2の吸収
層とは反対側に透明な上部電極を形成する工程とを含む。 前記カルコパイライト材料が銅、インジウム及びセレンを含み、前記カルコパイライト材
料がガリウムフリーである、請求項1に記載の方法。 前記第2の吸収層は、約60℃~約150℃の温度で形成されることを特徴とする請求項1に記
載の方法。 前記被覆するステップが、モリブデン、タングステン、ニッケル、モリブデン、モリブデ
ン、モリブデン、モリブデン、モリブデン、モリブデン、モリブデン、タンタル、アルミ
ニウム、プラチナ、窒化チタン、窒化ケイ素、およびそれらの組み合わせが挙げられる。 前記黄銅鉱材料が硫黄を含まない、請求項1に記載の方法。 前記透明上部電極が、約5ナノメートル?約50ナノメートルの厚さを有する金属の層から形
成される、請求項1に記載の方法。 前記第1の吸収体層のバンドギャップのチューニングが、前記カルコパイライト材料の組
成を変化させるステップを含む、請求項1に記載の方法。 前記第2の吸収層の前記バンドギャップの同調が、前記ペロブスカイト材料中の金属ハロ
ゲン化物組成を変化させるステップを含む、請求項1に記載の方法。
異なるバンドギャップを有する少なくとも2つの吸収体からなるタンデム型太陽電池は、単一接合型
太陽電池と比較してより広いスペクトル光収穫および優れた光電変換効率を可能にする。タンデム型
太陽電池は、多くの場合、1つの太陽電池を別の太陽電池の上に置きます。最適な性能を得るために
は、上部ソーラーセル内の吸収体のバンドギャップは、下部ソーラーセル内の吸収体のバンドギャッ
プよりも高くなければならない。2つの一般的に使用されるタイプのタンデム装置は、2端子装置と
4端子装置である。
Apr. 18, 2017
❶?2端子タンデムデバイスは、上部に1つの電極を、下部に1つの電極を含み、デバイスの上部/下
部の太陽電池間にトンネル接合部を有する。❷4端子タンデムデバイスは、互いに独立したデバイス
を含み、各独立したデバイスはそれ自身の上部および下部電極を有する。❸2端子タンデムデバイス
は、トップソーラーセルとボトムソーラーセルとの間の電流整合を必要とするので、2端子タンデム
デバイスは、4端子タンデムデバイスより製造するのが難しい。❹さらに、トップソーラーセルの処
理中にボトムソーラーセルを損傷しないように、2端子タンデムデバイスの製造中に注意を払わなけ
ればならない。❺それにもかかわらず、4端子デバイスは、複数の透明な導電性コンタクトおよび追
加の基板および層に関連する反射損失の必要性のために、かなりの抵抗および光学損失を被る。
CuInSe2(略称:CIS)、Cu(In、Ga)(S、Se)(略称:CIGS)、Cu2ZnSn(S、Se)などのカルコゲナ
イド系太陽電池(略称「CZT(S、Se)」)は、比較的低いバンドギャップ(約1.15電子ボルト(eV))
で最高の効率を達成している。しかしながら、タンデムデバイス構造におけるカルコゲナイドベース
の太陽電池の使用は、注目すべきいくつかの課題を提示する。例えば、最大限の性能を得るためには、
カルコゲナイドベースの太陽電池は、❶吸収体層の非常に高い処理温度(摂氏450度(摂氏)以上)
を必要とする。したがって、カルコゲナイドベースの太陽電池は、タンデムデバイスにおいて上部太
陽電池として使用できないことが多い。これらの高温は、下部太陽電池を劣化させる。❷さらに、カ
ルコゲナイド吸収体の低バンドギャップは、カルコゲナイド太陽電池をトップセルでの使用に適さな
いものにする。いったん形成されると、カルコゲナイドベースの太陽電池は、約200℃を超える温度
で著しく劣化するpn接合を使用する。したがって、カルコゲナイドベースの太陽電池をボトムセルと
して使用する場合、トップセルの処理温度は約200℃以下に保たなければならない。底部セル内のp-n
接合を維持するために、この要件は、トップソーラーセルに従来のソーラーデバイスを使用する際の
課題になる可能性がある。したがって、カルコゲナイドベースの太陽電池設計をタンデム型光起電力
デバイス構造に統合する技術が望ましい。
【図面の簡単な説明】
装置を示す図 本発明の一実施形態による、2端子、2太陽電池モノリシックタンデム光起電力装置を形
成する例示的な方法を示す図 本発明の一実施形態による、本技術によって形成された2太陽電池モノリシックタンデム
光起電力装置の断面走査型電子顕微鏡(SEM)画像を示す図 図1の光起電力装置の性能を示す図である。 本発明の一実施形態による図3のシステム
のブロック図 図4の光起電力装置の電流電圧(J-V)曲線を示す図である。 本発明の一実施形態による
図3のシステムを示す図
この事例のように、ペロブスカイト(トップ)とカルコパイライト(ボトム)の組み合わせで、耐久
性(望ましくは10年以上)があり、耐熱性(望ましくは100℃以上)があり、この様な直射光を吸収
するシリコン系太陽電池と異なり、曇天の散乱光を効率よく吸収する、ハイブリット型ペロブスカイ
トが赤外光周辺をを光電変換変換し、残りの可視光/紫外光の波長帯を化合物半導体カルコパイライ
トで光電変化変換し、変換効率が20%超(望ましくは30%程度)であれば、理想の薄膜タンデム太
陽電池が実現できる(様々な技術的なハードルが残件するにしても)。
● 壁面形成可能な太陽電池モジュールの事例
・特開2016-058697 太陽電池モジュール及び壁面形成部材
【特許請求範囲】
絶縁基板に挟まれた光電変換素子を備える太陽電池モジュールにおいて、前記光電変換
素子は、第1透光性絶縁基板側から、第1透明電極層、光電変換層、第2透明電極層の
順に積層されたものであり、前記光電変換層は、光を照射したときに光エネルギーを電
気エネルギーに変換可能であって、かつ、光の一部を透過するものであり、前記光電変
換素子は、第1透光性絶縁基板を平面視したときに、少なくとも光電変換層が除去され
た開口部を有し、第1透光性絶縁基板側から光を照射したときに、前記開口部の内部を
経由して通過し、第2透光性絶縁基板に至る光路を備えていることを特徴とする太陽電
池モジュール。 前記光電変換素子を複数の小片に分割する素子分離溝を有し、前記素子分離溝は、前記
開口部の少なくとも一部を形成するものであり、前記複数の小片は、それぞれ電気的に
直列接続又は並列接続されており、第1透光性絶縁基板側から光を照射したときに、前
記素子分離溝の内部を経由して通過し、第2透光性絶縁基板に至る光路を備えているこ
とを特徴とする請求項1に記載の太陽電池モジュール。 前記光電変換素子を複数の小片に分割する素子分離溝と、前記光電変換層を部分的に除
去した電極接続溝を有し、前記電極接続溝は、前記開口部の少なくとも一部を形成する
ものであり、前記光電変換素子は、一の小片の第2透明電極層の一部が前記電極接続溝
に進入して、他の小片の第1透明電極層に接することによって、前記一の小片と他の小
片が電気的に直列接続されており、第1透光性絶縁基板側から光を照射したときに、前
記電極接続溝の内部を経由して通過し、第2透光性絶縁基板に至る光路を備えているこ
とを特徴とする請求項1又は2に記載の太陽電池モジュール。 第1透光性絶縁基板を平面視したときに、前記開口部の開口面積は、第1透光性絶縁基
板の面積の20パーセント以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載
の太陽電池モジュール。 フィルム状の封止部材を有し、前記封止部材は、光電変換素子を封止するものであって、
かつ、弾性を有し、前記封止部材は、その大部分が光電変換素子と第2透光性絶縁基板
との間に配されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の太陽電池モジ
ュール。 光電変換素子を基準として前記第1透光性絶縁基板の外側の主面には、凹凸が形成され
ており、前記外側の主面の算術平均粗さは、0.25μm以上1.25μm以下であり、
JIS Z 8741に準ずる60度鏡面光沢度が8パーセント以下であることを特徴と
する請求項1~5のいずれかに記載の太陽電池モジュール。 請求項1~6のいずれかに記載の太陽電池モジュールを使用する壁面形成部材であって、
建物の外壁面を形成する壁面形成部材において、前記太陽電池モジュールは、建物の内
外の空間を区切るように配されており、建物の内部空間側に第2透光性絶縁基板が配さ
れ、建物の外部空間側に第1透光性絶縁基板が配されており、前記光電変換層は、分光
感度が異なる2つの光電変換ユニットを有し、前記2つの光電変換ユニットの内、吸収
波長のピークが550nmに近い光電変換ユニットが第2透光性絶縁基板側に位置して
いることを特徴とする壁面形成部材。
Apr. 21, 2016
屋根以外に窓への設置を目的として考案された株式会社カネカの事例は壁面にも設置、そのまま窓面
にも設置できシームレスに展開できるものとしてここに掲載する。そこで、従来型の太陽電池では、
❶裏面電極層として透明電極を使用し、発電部位でも、室内空間に太陽光を取り込む構造で、❷発電
部分から光として取り出すこができるものの、❸建物の窓に使用した場合に、遮光――光電変換層で
で使用され、通常の窓に比べ光の取り込み量が小さく差し障りが生じることもも。❹また、通常の窓
の採光量に近づけには、太陽光をできる限り建物内部に採光できることが好ましい。このため、従来
に比べて発電面積の急激な低下を抑えつつ、高い採光性が得られる太陽電池モジュール及び壁面形成
部材が提案される。この課題解決の請求項1に記載の発明は、第1透光性絶縁基板と、第2透光性絶
縁基板と、前記第1透光性絶縁基板と第2透光性絶縁基板に挟まれた光電変換素子を備える太陽電池
モジュールにおいて、前記光電変換素子は、第1透光性絶縁基板側から、第1透明電極層、光電変換
層、第2透明電極層の順に積層し、この光電変換層は、光を照射したときに光エネルギーを電気エネ
ルギーに変換/透過させ、第1透光性絶縁基板を平面視したときに、少なくとも光電変換層が除去さ
れた開口部を有し、第1透光性絶縁基板側から光を照射したときに、この開口部の内部を経由して通
過し、第2透光性絶縁基板に至る光路を備える太陽電池モジュールである(上/下図参照)。
【符号の説明】
1 太陽電池モジュール(壁面形成部材) 10 第1透光性絶縁基板 11 第2透光性絶縁基板
12 光電変換素子 13 封止部材 15 凹凸 20 第1透明電極層 21 光電変換層
22 第2透明電極層 25 結晶系光電変換ユニット(光電変換ユニット) 26 非結晶系光電
変換ユニット(光電変換ユニット) 41 電極接続溝(開口部) 42 第1素子分離溝(開口部)
43 第1素子分離溝(開口部) 51 室内空間(内部空間) 52 外部空間
【図面の簡単な説明】
図1 本発明の第1実施形態の太陽電池モジュールの設置状態を模式的に表す斜視図
図2 図1の太陽電池モジュール近傍を抜き出した概念図
図3 図2の太陽電池モジュールの分解斜視図
図4 図3の太陽電池モジュールの要部の平面図
図5 図4の太陽電池モジュールのA-A断面図
図6 図4の太陽電池モジュールのB-B断面図
図7 図5の太陽電池モジュールの要部を表す説明図であり、電流の流れを矢印で示している。
図8 図5及び図6において太陽光の光路を表す説明図であり、(a)は図5に対応し、(b)は
図6に対応する。
ここで、わたしの提案は、窓部周辺の太陽電池/モジュール回路パターンを変え、採光面積を広くす
ることにある。
● 電流整合を改善したシリコン系を含むタンデム型太陽電池
・特開2016-122755 太陽電池モジュール
このように、タンデム型太陽電池は、複数の太陽電池がそれぞれ、そのバンドギャップに対応する波
長範囲の光を光電変換し、連続的スペクトルを示す光を効率よく光電変換するので、高い変換効率を
示す太陽電池として期待されているが、結晶シリコン基板を使用した太陽電池は、シリコンの吸収波
長の長波長端である1150nm以上の赤外線を透過する。そこで、シリコン結晶の太陽電池の受光
面とは反対側の裏面に、赤外線を吸収して発電するゲルマニウム太陽電池を配置し、それらを直列に
接続したタンデム構造の太陽電池が知られている。
この場合、180μmのSi単結晶基板を透過する近赤外線は、太陽光全体のエネルギーの1/4程
度で、シリコン太陽電池セルとゲルマニウム太陽電池を直列に接続した、いわゆるタンデム構造にし
た場合、太陽電池JSC(短絡電流密度)は、シリコン基板を透過した近赤外線のエネルギーに依存
するため、シリコン基板のみを用いた太陽電池の1/4程度のJSCとなり、電流整合が不十分であ
り、発電効率が小さかった。そこで、シリコン太陽電池セルの裏面にゲルマニウム太陽電池を2つ直
列に接続したものを配置し、シリコン太陽電池セルと、ゲルマニウム太陽電池セルを2つ直列に接続
したものを並列接続した多接合型セルが知られている。
しかしながら、一般的に、シリコン太陽電池のセルVoc(開放電圧)は、ゲルマニウム太陽電池Voc
の丁度2倍というわけではないので、シリコン太陽電池とゲルマニウム太陽電池を2つ直列に接続し
たもののVocは一致しない。このため、シリコン太陽電池と2つ直列に接続したゲルマニウム太陽電
池とを並列に接続した多接合型セルを用いた太陽電池モジュールは、多接合型セル毎にロスがあり発
電効率が低くなる恐れがありこの理由から発電効率の高い太陽電池モジュールを、下図1の太陽電池
セルを複数枚接続した第1の太陽電池群と、第1の太陽電池群の受光面と反対側の面側に絶縁材料を
介し設置され、第1の太陽電池セルよりも吸収波長が長波長側にある第2の太陽電池セルを複数枚接
続した第2の太陽電池群を備えることで発電効率の高い太陽電池モジュールを実現する提案がシャー
プ株式会社より提供されている。ここで特に注目したのは請求項5の量子ドットとの組み合わせ。
【特許請求の範囲】
対側の面側に絶縁材料を介して設置され、前記第1の太陽電池セルよりも吸収波長が長波長側
にある第2の太陽電池セルを複数枚接続した第2の太陽電池群を備えた太陽電池モジュール。 前記第1の太陽電池群を構成する複数枚の前記第1の太陽電池セルは直列に接続されるととも
に前記第2の太陽電池群を構成する複数枚の前記第2の太陽電池セルは直列に接続され、前記
第1の太陽電池群と前記第2の太陽電池群は並列に接続された太陽電池モジュール。 前記第1の太陽電池群の開放電圧と、前記第2の太陽電池群の開放電圧が略等しい請求項1ま
たは2に記載の太陽電池モジュール 前記第1の太陽電池群は、シリコン太陽電池からなり、前記第2の太陽電池群はゲルマニウム
太陽電池からなる請求項1から3のいずれかに記載の太陽電池モジュール。 前記第2の太陽電池群は、量子ドットを使用した太陽電池からなる請求項1から3のいずれか
に記載の太陽電池モジュール。
【符号の説明】
10太陽電池モジュール 11太陽電池セル 12インターコネクタ 13カバーガラス 14E
VA樹脂 15絶縁シート 16EVA樹脂 17EVA樹脂 18バックシート 19太陽電池セ
ル 20インターコネクタ 21正極端子 22負極端子 23第1の太陽電池群 24第2の太陽
電池群 25ガラス基板 26透明導電層 27発電層 28裏面電極層 29太陽電池セル 30
EVA樹脂 31バックシート 40量子ドットペロブスカイト太陽電池 41ガラス基板 42
透明電極 43ホール輸送層 44ペロブスカイト層 44'アクリル樹脂 45、45'InNナ
ノ粒子 46…電子輸送層 47金属電極 48,48'発電層 50ペロブスカイト太陽電池
51ガラス基板 52透明導電層 53p型ペロブスカイト層 54n型ペロブスカイト層 55
アルミ電極
【図1】本発明の太陽電池モジュールを示す模式的断面図
【図2】本発明の太陽電池モジュールを示す模式的断面図
【図3】本発明の太陽電池モジュールに使用される量子ドットペロブスカイト太陽電池を示す模式図
【図4】本発明の太陽電池モジュールに使用される量子ドット太陽電池を示す模式図。
【図5】本発明の太陽電池モジュールに使用されるペロブスカイト太陽電池を示す模式図
【実施形態3】
(実施の形態2の)太陽電池セル29において、薄膜ゲルマニウム太陽電池に代えて、CH3NH3
IとPbCl2をモル比において3:1で混合して形成されるペロブスカイトに、量子ドットとして直径
3nm~50nmのInNナノ粒子を離散的に分散した薄膜を用いた量子ドットペロブスカイト太陽電池
を用いることができる。量子ドットとして、近赤外における吸光度の高いInNナノ粒子を用いるこ
とで、量子ドットペロブスカイト太陽電池を使用して第2の太陽電池群を構成することができる。図
3は、本発明の太陽電池モジュールに使用されるペロブスカイト太陽電池の模式図。量子ドットペロ
ブスカイト太陽電池40は、ガラス基板41上に、透明電極42、ホール輸送層43、ペロブスカイト
層44、電子輸送層46、金属電極47を順に積層した構造である。ペロブスカイト層44には、
InNナノ粒子45が分散されている。InNナノ粒子45の間隔は2nm程度である。InNナノ
粒子同士を2nm程度の間隔に配置することによって、InNナノ粒子同士がトンネル結合するよう
になり、吸光度の高い、狭バンドギャップのペロブスカイト層44形成することが可能になる。ホー
ル輸送層43、ペロブスカイト層44、および電子輸送層46で発電層48を構成している。
ペロブスカイト太陽電池を使用した太陽電池モジュールは、図2に示される太陽電池モジュールと同
様の構造をとることができる。すなわち、図2における発電層27をペロブスカイト太陽電池の発電
層48に置き換えた構造をとる。 ペロブスカイト太陽電池は以下のように作成することができる。
まず、ガラス基板41上に厚さ100nmITOをスパッタリングで形成し、透明電極42を形成する。
次に、透明電極42上に、PEDOT:PSSをスピンコートで50nm塗布してホール輸送層43を形成する。
次に、ペロブスカイト溶液に、ペロブスカイト成分に対して50wt%の、量子サイズ効果が発生しない
ド・ブロイ波長以上である直径10nmのInNナノ粒子を添加したものを、ホール輸送層43上にスピ
ンコートで、厚さ1μm程度塗布することにより、InNナノ粒子45を分散したペロブスカイト層
44を形成する。
次に、ペロブスカイト層44上に、PCBMをスピンコートして、電子輸送層46を形成する。電子輸
送層46の厚みは100nm程度である。電子輸送層46を積層した後、100℃程度で焼成する。真空蒸着
で形成し量子ドットペロブスカイト太陽電池40を形成する。電子輸送層46として酸化チタン微粒
子を使用しても良い。この場合、ITOの上に酸化チタン微粒子を2μm塗布し、酸化チタン粒子の
上にペロブスカイト層、PEDOT:PSS層、アルミ電極を順に形成する。このようにして、近赤外の太陽
電池を形成することができる。発電層48がスピンコートやスクリーン印刷などの非真空工程で形成
できる。
図4は、本発明の太陽電池モジュールに使用される量子ドット太陽電池の模式図である。InNナ
ノ粒子45'はコアシェル型のナノ粒子であり、アクリル樹脂44'の絶縁材料に分散している。コ
アシェル型のInNナノ粒子45'は、直径10nmのInN粒子45a'を厚さ1nm程度のGa
N45b'でコーティングした粒子である。InNナノ粒子をコアシェル型にすると、発電特性が改
善する。また、InNナノ粒子45'同士が接触してトンネル接合するので、InNナノ粒子を離
散的に分散する必要がなくなる。また、InNナノ粒子45'を分散するアクリル樹脂44'は必ず
しも必要はなく、InNナノ粒子45'焼結したものであってもよい。
コアシェル型のナノ粒子が接触している場合、コアの半径を2倍にした距離aとシェルの厚さを2
倍にした距離bを周期ポテンシャルと見なし、ブロッホ関数を作る。ブロッホ関数の解から求めら
れる許容されたエネルギーバンドが中間バンドとなる。中間バンドを電子は移動することができる。
InNナノ粒子45'を含有する発電層48'をホール輸送層43、電子輸送層46で挟むことによ
って、太陽光を電気エネルギーとして取り出すことができる。量子ドット太陽電池を使用した太陽
電池モジュールは、図2に示される太陽電池モジュールと同様の構造をとることができる。すなわ
ち、図2における発電層27を量子ドット太陽電池の発電層48'に置き換えた構造をとる。実施
の形態3、実施の形態4に示した上述の実施の形態1または2に示した第1の太陽電池セル11は
シリコン太陽電池であるが、シリコン太陽電池に代えて、可視光を吸収して発電するペロブスカイ
トを使用した薄膜太陽電池を用いることができる。
【実施形態5】
上述の実施の形態1または2に示した第1の太陽電池セル11はシリコン太陽電池であるが、シリ
コン太陽電池に代えて、可視光の波長に吸収領域を持つペロブスカイトを使用した薄膜太陽電池を
用いることができるペロブスカイト太陽電池は、輸送層と電子輸送層の間にペロブスカイトを真性
半導体として使用して、ホール輸送層と電子輸送層を挟んだものであり、ホール輸送層としては、
PEDOT:PSS電子輸送層としてはPCBMなどの有機材料を使用することができる。ホール輸送層と
電子輸送層はそれぞれ電極に接続される。さらに、n型ペロブスカイト層、p型ペロブスカイト層
を作成することで、上述のPEDOT:PSSのホール輸送層やPCBMの電子輸送層が要らない安価な太
陽電池を提供することができる。 図5は、本発明の太陽電池モジュールに使用されるペロブスカ
イト太陽電池を示す模式図である。ガラス基板51上に厚さ100nmの透明導電層52をスパッタで
形成する。次に、200nmのp型ペロブスカイト層53、および、200nmのn型ペロブスカイト層54
を順次形成する。最後に厚さ100nmのアルミ電極55を真空蒸着で形成しペロブスカイト太陽電池
50を形成できる。詳細は、上図ダブクリ願参照 。