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再エネが一番安い時代

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●  デフレ基調に増税の愚

単年度会計と財務官僚の厭離(えんり)的権威主義や英米流金融資本主義(あるいは
ネオ・リベラリズム)の蹉跌により、1997年以降、デフレ不況下に多くの日本国民が
凄惨な?状態に放置されてきた。なぜ放置され続けてきたのか?を高橋洋一は次のよ
うに例示し解説している。


 財務省官僚は、「リカードの中立命題」といわれる考え方を都合良く使うのだ。
 例えば、財務省が国債発行で景気刺激を求められる場合、国債発行は将来の増税
 につなり消費を減少させるはずで、景気刺激効果はなくなるから、景気刺激は意
 味がないという具合に使うのだ。このリカーディアンの前提には、人々は、経済
 合理性によって行動することがある。実際には、人々は必ずしも合理的に 行動
 するとは限らず、「リカードの中立命題」は理論的な話で、実際には妥当しない
 という考え方が有力だ。ノーベル賞経済学者であるクルーグマン・プリンストン
 大教授も、リカーディアンの考え方に疑問を持っている。実証研究でも否定的な
 ものが多い。しかし、黒田日銀総裁は財務官僚のように都合よく、リカーディア
 ンの考え方を利用しているようだ。例えば、消費増税はいつかはやらなければな
 らないと国民も分かっているので、増税のタイミングは消費には影響しないと考
 えている。増税派は、消費増税の影響は軽微と言い切ったが、その背景にはやは
 りリカーディアンの考え方がある。今回の消費増税は、前回、前々回と異なって
 緩和措置なしで行ったから、そのように判断せざるを得ない。

 かつては、財務省でさえ、リカーディアンの考え方には慎重だった。例えば、19
 89年の消費税創設では、同時に物品税を廃止したので、消費増税は物品税廃止と
 見合っており、消費増税の影響は中和されている。後日、こうした話は、「今日
 と明日の違いは、明日と明後日の違いより大きい」という行動経済学の双曲割引
 だと後で知ったが、実務では当たり前の話である。ちなみに、先行所得税減税し
 ていると。ある程度消費向上効果が持続し、消費増税になってもすぐには消費減
 退せずに、半年くらい遅れて消費減退になる。このように、1997年の消費行動を
 説明することもできる。たまたま、1997年秋にアジア危機があり、そのために景
 気が後退したというのが、財務省や経済学者の見解であるが、筆者はかねてより
 疑問を持っている。2012年4月19日付け本コラムに書いたように、アジア危機の
 震源地韓国より日本の経済パフォーマンスが悪いことが説明できない。消費増税
 が原因であろう。今回の消費増税では、財務省や黒田日銀総裁のほか主流派経済
 学者がそろって増税の影響を見誤ったのは、みんな、リカーディアンだったから
 だ。しかし、97年も含めて、今回もリカーディアンの考え方は成立しなかったこ
 とが明白になった。

    第107回 高橋洋一の俗論を撃つ!「『リカードの中立命題』が大好きな黒
    田総裁らの増税論者は否定された」ダイヤモンドオンライン 2014.11.27

   The Great Ricardian Equivalence Throwdown!


難しい話はさておき、反対論者がいう副作用とは、財政ファイナンスになること、大
量の資産購入での市場機能の低下、金利低下による金融機関への悪影響を心配するが、
財政ファイナンスという「禁じ手」を忌み嫌うが(条件反射的に)、英語でいえば、
マネーファイナンスとかマネタイゼーション(貨幣化)といわれるもので、禁じ手でも何でもな
い。バーナンキ・前FRB議長は、デフレなら活用すればいいと主張していた(上図
クリック)ほどだが、それで悪性のインフレが起こる心配はなく、日銀を含め先進国
の中央銀行ではインフレ目標が調整機能となり財政ファイナンスされない――現状は
物価の上昇せず、インフレ目標を一気に超えて、財政ファイナンスに伴う悪性インフレ発生し
ないと主張する。また、金利が低いから短資会社の手数料収入が減るとか、国債とい
う資本市場のコメのようなものを日銀が買いすぎて金融機関が商売できないという一
業界内の些細なことに注意をとられて、日本経済が見えないことが問題で、日銀は、
一業界のミクロ経済ではなく、もっと大きい(あるいは高い)立場からマクロ経済を
論ずるべきだという。量的緩和はリーマンショック以降、先進国で採用され、もはや
医薬品でいえばジェネリック薬品のようなもので、先例のある国では目立った副作用
も報告されていないと結ぶ。それにしても、このような、馬鹿馬鹿しい心理戦を強い
るより、さっさと『未来国債(百年債)』を発行し国内需要を高揚させるべきだろう。 

  ● 成長戦略『双頭の狗鷲』

 

 

【オールソーラーシステム完結論 35】  

 

 

● 原油安でも再生エネの方が安いって本当?


再生可能エネルギー(以下再エネ)の発電コストの方が、石油や石炭よりも安いとい
う。これは、米国やヨーロッパ諸国でしきりに指摘され始め、発電分野での新常識に
なりつつあるという(日本ビジネスプレス「原油安でも再生エネの方が安い、が世界
の新常識 本来は先を行くべき日本が周回遅れになる危険性も」2014.11.28)。それじ
ゃということで目を通す。

 これまで、特に日本では、再エネは火力発電に比べると1キロワット時当たりのコ
 ストがほぼ2倍近いと言われてきた。だが時代は確実に動いている。複数の報告
 書や専門家にあたると、新しい時代に突入したと言わざるを得ない。米国に限る
 と、過去5年で再エネの発電コストは下がっている。福島第一原力発電所の事故
 以前から、再エネのコストは下落傾向を辿っているのだ。(中略)米ニューヨー
 クに本社を置く投資銀行ラザードが11月に公表したエネルギーのコスト分析によ
 ると、太陽光発電は1キロワット時当たり5.6セント(約6.5円)という価格
 ま で落ちている。風力に至っては1.4セント(約1.3円)である。それに比
 べて、これまで安いと言われていた天然ガスは6.1セント(約7.1円)、石炭
 は6.6セント(約7.7円)で、ラザードの数字だけを見る限り、コストの逆転
 現象が起きている(下図参照)。



再エネの市この調査結果について、同社の分析担当者は、再エネの技術の進歩が目覚
すでに化石燃料によるエネルギーと競争できるレベルになってきた、ましいく、市場
競争力は本物であり、今後はさらに価格が下がるだろうと推察しているが、ただ、太
陽光にしても風力にしても自然が相手であるため、コスト低下が実現できても、曇天
が多く、風が吹かない日が続くと発電はできない。そのため、再エネだけに頼ること
困難だと話してる。しかし、傍線の再エネ依存のポートフォリオに関しては思考停止
指向している。つまり、「蓄電・供給電力最適化システム」が完備されれば問題は解
決可能であり、それは既知知財もすでに担保されている――勿論、革新的な蓄電シス
テムの継続的な研究開発なども含めて――ことを忘れているだけの話だろう。それは、
そうだとして、米国では、安定した電力を確保するためには火力や水力などとの併用
が必要になる。それでも米国の電力会社はすでに再エネを中心にした発電へと移行し
はじめていると次のようにレポートしている。


 風力発電のコストはすでに石油や石炭、原子力発電よりも安くなっていると指摘
 されている。コストの中には発電や送電の費用だけでなく、大気汚染や動植物へ
 の影響なども換算されており、総費用で風力がもっとも安いとの位置づけだ。陸
 上での風力発電はメガワット時当たり105ユーロ(約1万5000円)だが、天然ガス
 は164ユーロ(約2万4000円)、石炭に至っては233ユーロ(約3万4000円)という
 数字で、風力のほぼ2倍のコストである。

 同報告書によると、原子力と太陽光は1メガワット時当たり125ユーロ(約1万8千
 円)で同額。コストの上で差がないとしている。こうした数字を見るときに注意
 しなくてはいけないのは、公表する政府機関や企業・団体によってバラツキがあ
 ることだ。算出方法も違う。今でも石炭が最も安価との数字を出しているところ
 もある。例えば日本政府が2011年に公表した火力発電のコストは、石炭で1キロワ
 ット時当たりが9.5円、天然ガスは10.7円という数字だが、2014年度の再エネ固定
 価格買い取り価格を見ると、太陽光は1キロワット時当たり32円で、風力は22円。
 石炭が安いという数字である。


つまり、日本政府がこうした数字を出す限り、日本ではいまだに再エネはコスト高と
いう 古い常識が幅を利かせる。再エネの電力網の整備などにはコストがかかるが、
太 陽電池メーカーが故意にコストを下落させない「よからぬ力」を使っているとの
声もあり、再エネへの抵抗も知っておく必要がある、ラザードの報告書の数字とEUの
分析が、これからの世界的な再エネのコストであり流れと考えていいだろう。むしろ
技術革新が進み、再エネのコストがさらに下落していくと捉えておくべきである。と、
指摘質疑のように結ぶ。


 しかも世界での太陽光の市場規模は増え続けている。米コンサルティング会社フ
 ロスト&サリバンの調査によると、2013年は600億ドル(約7兆円)だったが、20
 年には1370億ドル(16兆円)市場へと、2倍以上に成長すると予測されている。太
 陽光、風力を始めとする再エネ(水力を除く)が生み出す総電力は2013年、いま
 だに世界の総電力の8.5%に過ぎないが、シェアは確実に増えている。

 これが世界的な動きであるとすれば、日本も同じ道を辿るであろうし、本来なら
 ば辿るだけでなく、世界の一歩先に出て再エネ業界をリードしてもいいくらいで
 ある。最後にエネルギーについて語る時の留意点を記したい。世界のエネルギー
 分野には、絶えず賛否両論が飛び交っている。再エネ推進の動きが半年後には反
 転したり、火力発電が原油価格の下落によって見直されたり、動きは活発である。

 原油価格は11月に入り、過去5年で最低レベルにまで落ちている。1バレル75ドル
 (約8700円)という価格は今夏と比較すると25%減だ。来年1月には70ドルを下回
 るとの予測もある。理由はいくつもある。原油の世界的な需要が低迷していると
 同時に、生産量が上昇しているのだ。米国のシェール革命も大きな要因である。

 米国の原油生産量は6年前、1日500万バレルだったが、いまでは900万バレルに達
 している。それは再エネ分野への投資額の減少をもたらしている。それでは世界
 の発電業者が再び火力や原子力に重心を移すかと言えば答えはノーである。2013
 年、世界の太陽光による総発電量は前年比で26%増を記録した。紆余曲折を経な
 がらも、再エネが今後のエネルギー分野の支柱になっていく現実は見えている。
 すでに多くの国で再エネの方が安いのだから。


このように、わたし(たち)が主張してきたように、太陽光発電を中心とした再生可
能エネルギー(再エネ)コストの逓減が、全量固定価格買取制などの政府産助がなく
ても価格下落し続けていることが欧米を中心として実証されてきている。そう、わた
し(たち)は間違っていなかった。

  

 


● 光合成の水分解反応機構解明で エネルギー・食糧・環境問題を解消

岡山大学大学らのグループは、光合成反応の中で水を分解する機構の一端を解明。X
線自由電子レーザー施設「SACLA」で構造を解析。光合成生物が持つたんぱく質
で、水を分解し酸素や電子を発生させる「光化学系Ⅱ(PSⅡ)」の構造を0.195
ナノメートルの解像度で明らかにしたことで、太陽光エネルギーを高効率で電気に変
える人工光合成の研究がまた一歩の進展したという。

それによると、藍藻から取り出したPSⅡの結晶を作り構造を解析し、0.01ピコ秒
だけ物質に照射できるパルスX線で回折写真を撮像し、放射線損傷が起き構造変化す
るX線照射後数ピコ秒より前に撮像することでPSⅡの正確な構造を決めた。その中
でマンガンやカルシウムなどで構成される水分解触媒の構造で、触媒内の酸素原子付
近の空間で水を分解している可能性があることという。光エネルギーを利用できる触
媒のモデル化合物になるのではないかと期待しているとのこと。

 

● 見込まれる効果

光化学系IIの触媒中心である Mn4CaO5クラスターは 周りのアミノ酸が協調的に構造変
化することにより周期的な5つの中間状態を経て極めて効率の高い水分解反応が行わ
れているが、その動的メカニズムの詳細は不明だったが、光化学系IIの反応周期の第
一状態について反応性を維持したままの本来のMn4CaO5クラスターと周辺の構造を明
らかにできた。太陽の可視光エネルギーを利用した水分解反応を人工的に実現するた
めの触媒の構造基盤の提供に資す。この反応を模倣した「人工光合成」が実現すれば、
光エネルギーを高効率で電気エネルギーや化学エネルギーに変換でき、夢の「人工光
合成」は太陽からのクリーンで再生可能な、無尽蔵な光エネルギーを高効率で利用す
ることは可能となり、直面するエネルギー問題、環境問題、食糧問題の解決にもつな
がるものと期待されている。

 

 

図 研究結果から考えられる水分解の反応機構

 

● 「重ね塗り」で有機薄膜太陽電池を高性能化

奈良先端科学技術大学らのグループは、軽量で柔軟性などに優れた次世代の太陽電池と
して研究されている有機薄膜太陽電池の新しい材料を開発し、太陽電池として動作す
ることを実証。溶媒に溶かした材料を基板に塗布して薄膜を作製するタイプの半導体
で、光を当てると常温で不溶化して固まるため、材料を変えて重ね塗りしても混じら
ず、半導体の積層構造ができ、この方法で光から電気への変換効率を2倍以上に向上で
きた上、今後、材料の組み合わせを自由に変えて高効率の半導体を設計し、プラスチ
ックフィルム上に作製することも可能となるという。

 

従来の塗布型有機薄膜太陽電池では、バルクヘテロ構造(注2)と呼ばれるp型(電子
を受け入れる側)とn型(電子を供給する側)の半導体を混合した層を一層だけ成膜す
る方法が主流。材料が溶媒に溶けるため、重ね塗りによる積層構造を作製することが
困難。そこで本研究グループでは、溶媒に溶かして基板上に塗布した後に、光を当て
ることで不溶化する有機半導体材料を開発し、室温条件下、溶液プロセスでp-i-n積層
構造の太陽電池を作製することに成功する。積層構造が可能なので、p層とi層(中間
層)にそれぞれの役割に適した構造の化合物を使うことができるようになり、テイラ
ーメイドの化合物を利用することが可能となる。その結果、同一材料のバルクへテロ
型太陽電池に比べて、変換効率で2倍以上の向上を確認。また、本手法は光を使った
不溶化であるため、室温または穏やかな条件で結晶性の薄膜を作製することが可能で。
また光照射の条件や材料の構造をうまく調整することで薄膜の構造を制御でき、各層
に適した異なる材料を組み合わせられることから、従来のバルクヘテロ構造よりもデ
バイスの設計自由度が増し、将来的な高効率化が見込まれるとのこと。


よく考えてみると、有機合成工学の専門知識があれば、すぐに思いつく手法であるが
以外とそういった考案が、ブレークスルーに繋がっていくのだろうと感心した事例で
ある。参考までに下に関連新規考案事例を掲載する。

 

 


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