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最新の熱電変換素子工学

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【オールソーラーシステム完結論 37】  


● 最新の熱電変換素子工学

先日、ヒートポンプ技術を応用した積水化学工業株式会社の下水熱利用システム「エ
スロヒート下水熱-管底設置型」を掲載したが(『温度差エネルギー変換工学』)、
今回はコンパクトにダウンサイジングでき、地熱発電に最適の熱電変換素子の最新技
術をネット検索する。まず、下図の新規考案は、高温側電極を加熱する加熱流体は、
上流側から下流側に向かうにしたがい熱交換が進むことで温度が低下し、上流側との
温度差が生じ→熱電変換モジュール内には加熱流体の上流側から下流側にわたり熱膨
張差が生じ、熱応力による割れや破損を招く場合があるため→加熱流体により発生す
る温度差に起因の熱膨張差を低減し熱応力による高温側電極の破損を効果的に抑える
――平面状に配列した熱電変換素子41の両側にそれぞれ複数の長方形状の低温側電
極42aと高温側電極42bとが接合され、高温側電極42bが加熱流体Hで加熱さ
れる形式の熱電変換式発電装置の熱電変換モジュールに、全ての高温側電極42bを、
その長手方向が加熱流体Hの流れ方向と平行に配列された状態とし、加熱流体Hの上
流側と下流側との温度差で生じる熱膨張差を少なくする――熱電変換式発電装置の構
造が提案されている。

尚、熱電変換素子の熱電変換性能を評価する指標の1つとして、無次元性能指数ZT
(以下、単に性能指数ZTということがある)がある。この性能指数ZTは、下記式
(A)で示され、熱電変換性能の向上には、絶対温度1K当りの熱起電力(以下、熱
起電力ということがある)Sおよび導電率σの向上、熱伝導率κの低減が重要である。

性能指数ZT=S2・σ・T/κ

(A) 式(A)において、S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック
係数) σ(S/m):導電率 κ(W/mK):熱伝導率 T(K):絶対温度

つぎに、熱電変換素子の一つとして、スピンゼーベック効果を用いたものが知られて
いるが、スピンゼーベック効果を用いた熱電変換素子は発電効率が低いという欠点を
をもつ。効率を上げるために、下図のように基板と非磁性金属層の間に、磁化を一方
向に固定した絶縁強磁性層と金属強磁性層とで構成し高い発電効率の熱電変換素子を
提供する新規考案。ただし、実施データの掲載がないく理論考察のみの開示となって
いる。

 
上/左上の図は、熱電変換素子100を示す図。熱電変換素子100は、基板10上
に絶縁強磁性層20、金属強磁性層30、非磁性金属層40がこの順で設けられてい
る。これらを積層体と定義しても良い。更に非磁性金属層40上には端子50、60
が設けられている。熱電変換素子100の動作原理について説明する。熱電変換素子
100はスピンゼーベック効果を利用し発電する。基板と非磁性金属層との間で絶縁
強磁性層および金属強磁性層に温度勾配ΔTを付与すると、絶縁強磁性層と金属強磁
性層内のアップスピン電子の分布とダウンスピン電子の分布に差が生じる。この現象
をスピンゼーベック効果といい、このとき生じるアップスピン電子の分布とダウンス
ピン電子の分布の差はスピン圧と呼ばれる。

ここで、金属強磁性に隣接して非磁性金属層が存在する。このため、絶縁強磁性層と
金属強磁性層内で生じたスピン圧がスピン流として金属強磁性層を介して非磁性金属
層に伝搬する。スピン流はアップスピン電子の分布とダウンスピン電子の分布との差
によって生じる流れであり、電荷の流れではない。スピン流が非磁性金属層内に伝搬
すると、逆スピンホール効果によって、スピン流及び絶縁強磁性層の磁化と直交する
方向に電荷の流れである電流が流れ起電力が生じる。これにより、熱電変換素子は発
電する。絶縁強磁性層、金属強磁性層、及び非磁性金属層はそれぞれが接しているこ
とが好ましいが、それぞれの層が接していることで、スピン流を漏れなく非磁性金属
層に伝搬できる。


● 有機熱電変換素子

熱電変換材料には良好な熱電変換性能が要求され、現在主に実用化されているのは無
機材料であがし、無機材料は、熱電変換素子への加工工程が複雑であり、高価で、有
害物質を含む場合がある。一方、有機熱電変換素子は、比較的廉価に製造でき、成膜
等の加工も容易であること等から、有機熱電変換材料やそれを用いた熱電変換素子が
報告されるに至っている。熱電変換の性能指数ZTを高めるためには、ゼーベック係数と導
電率が高く、熱伝導率が低い有機素材が求められる。

下図はその1つの新規考案で、基材上に、第1の電極13、熱電変換層14と第2の
電極15を有する熱電変換素子1であって、熱電変換層14に、ナノ導電性材料と下
記一般式(1a)~(1b)で表される化合物から選択され、1種の化合物を含有す
る熱電変換素子1と下記一般式(1a)~(1b)で表される化合物から選択する1
種の化合物を含有する熱電変換材料で構成することで、高い熱電変換性能を備え、電
極との密着性に優れた熱電変換材料の熱電変換層をもつ熱電変換素子の提供である。

● 蛍光体による高変換効率光電変換素子

今回は1つだけ光電変換素子の最新技術動向事例を掲載しておこう。太陽電池は、一
般に短波長領域において感度特性が低く、太陽光に含まれる紫外線などの短波長領域
の光を有効に利用できていない。この課題を解決する手段として、従来からこの短波
長領域の光を吸収し、長波長領域の蛍光を発する蛍光体(波長変換材料)を利用し、
感度特性の高い長波長領域の光量を増加させ、太陽電池の変換効率を向上させる取組
みが行われてきたが、一般に蛍光体を一つの層に多く配置しようとすると、層内で蛍
光体の濃度が高くなり、蛍光体同士の相互作用による濃度消光や、あるいは飽和濃度
を超え配合された蛍光体が透明樹脂表面に析出するなどして、入射光を遮り効率の低
下する問題があったが、蛍光体が配合された層を厚く塗布するには、スピンコートや
ダイコートなどの方法では均一に厚く、塗布することが難しく、厚みや表面形状が製
品ロットによってばらつくき安定しない。

このため、下図のように光電変換素子、電極極、第1の透明樹脂、樹脂の裏面に位置
するバックシート、第1の透明樹脂の表面に位置する保護ガラス、第1の透明樹脂が
位置する面と異なる、保護ガラスの面に密着して形成され蛍光体を有する第2の透明
樹脂とを備えた太陽電池モジュール(第2の透明樹脂が、複数の透明樹脂層の積層に
より形成し、複数の透明樹脂層中で、保護ガラスと最も近接した層の端面と保護ガラ
スの面との角度が、30度より大きく70度より小さいことを特徴する構造の太陽電
池モジュールを用いることで、太陽光の有効利用波長範囲が広い、変換効率に優れた
太陽電池モジュールとその製造方法を提案されている。

尚、この考案も具体的な実施データが添付されていない。






昼前、敏満寺のおかきやを探し、その足で、胡宮神社から多賀大社に立ち寄る。胡宮神社
では、偶然に外海夫婦とお会いする。元気そうだった。ディープ・オータムには11
22がよく似合う。

 


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