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3つの最新表面科学技術

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● 3つの最新表面科学技術

1.2マイクロメートル水素貯蔵合金粒からの水素放出を可視化

水素は、燃焼しても二酸化炭素を発生しないことから、重要なエネルギー源として。また、電力エネ
ルギーの貯蔵媒体としても注目されているが、例えば、水素燃料電池自動車の普及のため、安全で安
価に水素を供給する水素ステーション設置が急務の課題で、水素貯蔵には高圧ガスとしてボンベに貯
蔵する方法や金属に水素を吸蔵させる(水素吸蔵合金)方法などがある。その中でも水素吸蔵合金を
使用する方法は、水素を固体の水素化物として貯蔵するため比較的低い圧力での貯蔵が可能であるこ
となど安全面での長所があります。そのなかで水素貯蔵合金は、吸収した水素を内部に貯蔵し必要に
応じ放出することが可能な材料で、水素ガスの体積を千分の1まで小さくして貯蔵でき実用的には、
室温付近で、大量、コンパクト及び迅速に、繰り返し水素の吸収及び放出が可能なことが条件になり、
代表的な水素貯蔵合金として、Mg、Mg2Ni、LaNi5、及びTiFeが知られている。

しかし、上述の各種の水素貯蔵合金にはそれぞれ問題点があり(1)MgやMg2Niは、水素の吸
脱温度が室温よりもかなり高い。(2)次に、LaNi5は、Laがレアアース(レアメタル)であ
るため、非常に高価格であるる。(3)また、TiFeは、水素貯蔵合金として用いる際に活性化処
理が必要で、この活性化処理とは、H2雰囲気下で、高温(400℃以上)、高圧(数十気圧以上)
状態を1~2時間維持する処理でまた、一度大気中に曝して水素を放出した後は、再度の活性化処理
が必要である。


※ Titol : Evidence of the hydrogen release mechanism in bulk MgH2

こんかいの九州大学の松村晶教授らのグループは水素ステーションで用いられる水素貯蔵マグネシウ
ム合金の水素放出過程の直接可視化は世界初めての成功。現在まで、金属の水素吸放出のメカニズム
とプロセスを解明し、安全で効率的に水素ステーションのシステムを制御、運転するためには必須で
あるにもかかわらず、測定方法の難しさからそのメカニズムは未だに解明されずにいたが、議論とし
ては(1)水素化物の結晶粒の内部からの核形成、成長による水素の放出と、(2)水素化物の結晶
粒の外周表面からの水素の放出の相反する2つのメカニズムがなされていた。

 

つまり、工業的に使用されているマイクロメートル程度の大きさの粒子の水素化物では、予め内部に
残存している水素化されていないマグネシウムの領域が水素放出過程で重要な役割を担い、水素化物
の内部から水素放出が進行することが明らかになった。こんかいの成果から例えば、温度上昇の速度
や一定温度保持での水素放出過程の測定することで水素放出過程の速度制御できるため、実際に水素
ステーションの水素貯蔵システムの制御、運転に生すことができる。

2. 単純構造の安定なぺロブスカイト太陽電池の作製に成功

物質・材料研究機構(NIMS)の研究グループが、安価で高効率な次世代太陽電池として期待されるペ
ロブスカイト太陽電池について、再現性や安定性が良く、理想的な半導体特性同太陽電池の構築に成
功した。これまでペロブスカイト太陽電池は高い変換効率を示すものの、再現性が低く、また電流-
電圧曲線の電圧掃引方向によって電流が変わるヒステリシスが観測され、安定性に足りる太陽電池が
できていなかったが、(1)雰囲気制御が厳格な有機薄膜太陽電池の作製手法をペロブスカイト太陽
電池の作製工程に導入、水分や酸素濃度を除くと共に、太陽電池構造をできるだけ単純化したペロブ
スカイト太陽電池を作製。(2)作製したペロブスカイト太陽電池の電流—電圧曲線のヒステリシスが
なく、安定性にも問題が無く理想的なダイオード特性を示したという。鉛フリーという側面を除いて
廉価で、変換効率20%以上の可撓性をもったソーラーセルの出現で移動携帯電子デバイス市場の急速な
拡大を担保する研究成果である。

 



※ Simple characterization of electronic processes in perovskite photovoltaic cells

 



● 赤外線レーザー照射による層状物質の構造制御が可能に

産業技術総合研究所の研究グループは、層状物質である六方窒化ホウ素(hBN)の層間距離を赤外線レー
ザー照射により縮められることを第一原理計算によるシミュレーションで理論的に示したことで(1)
強度をコントロールした赤外線レーザーで層状物質の構造を制御でき、(2)物質の格子振動を赤外
線レーザーで誘起することにより層間引力を増大させ、(3)原子同士の層の隙間を利用した化学反
応による新たな材料開発が可能になる――格子振動による層間引力を生み出す仕組みをシミュレーシ
ョン解明に成功。

原子1個分の厚みしかないグラフェンなどの層状物質は、電子物性の特異さ(高いキャリア移動度や波
長によらない光吸収など)や層間への物質の取り込みなどを利用し、低消費電力で動作するトランジス
タ、高効率の光・電気信号変換デバイスや高感度センサーなどの幅広い用途が期待されており、層間
距離に依存した電子物性の研究が進められてきたが、これまで層間距離を任意に制御する技術はなか
った。今回の成果で赤外線レーザーは市販の装置で発生させることができ、その照射により層を一層
ずつ剥がすことと複数層を同時に蒸発させるなど、層状物質をさらに細かく分解する応用が顕著であ
った。この提案は、ホウ素原子と窒素原子が交互に並んで六員環を成した蜂の巣状の構造をもつ方窒
化ホウ素
(hBN)の格子振動と共鳴する波長の赤外線レーザー照射によって、巨大な振幅でそれぞれ正
と負の電荷をもつホウ素原子と窒素原子が反対方向に変位する振動を生じ、この振動により層間に、
クーロン力が発生し、層間距離を元の距離の10%以上も縮められるというシミュレーション結果を
得たことで、層間距離を制御しながら層状物質の隙間に取り込んだ化学物質の反応を起こすなど、新
規材料開発に貢献する。

今後は実験的研究によりこの理論を裏付けるとともに、原子層材料の層間に取り込まれた化学物質の
新規反応が赤外線レーザーによる層間距離の圧縮で誘起される可能性を研究開発し、従来では得られ
ない新材料の開発を目指す。また、従来は主に熱的な効果のみが注目されていた赤外領域のレーザー
の応用範囲を格子振動の誘起に伴う新たな化学反応の開発へと拡大が期待される。なお、この技術は
「ネオコンバーテック」対象市場に寄与する「デジタル革命渦論」をさらに強固に拡大させていくこ
とになるだろう。以上3つの最新技術を俯瞰してみた。ますます、面白い ^^;。 

 

●『吉本隆明の経済学』論 30 

 吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!       

  吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異
 なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思
 考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。
 資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。
  

   はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 生産と消費
 第5章 現代都市論
 第6章 農業問題
 第7章 贈与価値論
 第8章 超資本主義 
 第2部 経済の詩的構造
 あとがき     

 

                                                         第1部 吉本隆明の経済学    

 
 第5章 現代都市論

    解説

   吉本隆明は現代都市の問題を考えるときも、アフリカ的段階からハイパー都市まで包摂
  できる大きな射程から、ものごとの全体を見渡すやり方をとる。そこで東京・浅草のアサ
  ヒビールのビルの屋上に乗っているうんこ型の巨大オブジェを見ても、そこに第一次産業
  的要素へ肥料)が第二次産業(ビール製造)と第三次産業(ビアホール)と結合した「ク
  レオール化(稚拙化)の現象を起こしているのだという独創的な見方をしてみせる。

   ここには第一次産業と第二次産業と第三次産業を結合した第六次産業(1+2+3=6)
  こそが、農業が前向きに打って出て生き残る道であるという、最近の官民を巻き込んでの
  運動などの本質にあるものが、思想によって解き明かされているともいえるし、現代都市
  の進化の最前線で起きている建築哲学の向かおうとしている方向を説明するものともなっ
  ている。資本主義が消費資本主義の段階に入り始めている。それによって産業構造全体が
  本質的な変化を起こし、それを反映して都市設計にクレオール化現象が発生している。吉
  本隆明の都市論は、そのような本質的な場所から考えられていく。その意味では、吉本の
  都市論はもっとも広い意味での経済論に包摂されていると言える。

   吉本隆明は都市論の鍵は「視線」にあると考える。都市を視線の構造によって四つの系
  列に分ける。
   第一系列:低い住宅が並ぶ下町の市街地。この町並みは自然に見渡すことができる。こ
  のとき人は身長の高さの水平な視線と、真上からくる視線とを同時に用いて都市の自立像
  を得ている。
   第二系列:ビルとビルの谷間につくられた人工的な広場。ここでは水平な視線に、下か
  ら上を見上げるしかない垂直な視線が交わっている。
   第三系列:異化領域とも呼ばれる。ここではサービス業のために建てられたビルの屋上
  に畑や林が設けられ、壁面に線が植え付けられ、そこにハイテクエ業が同居していたりす
  る。そうすると巨大オブジェを頭にのせた浅草のアサヒビールのビルのように、見上げた
  屋上から自然的(第一次産業的、排泄的)な要素が下に向かって落ちてくるような、ねじ
  れた視線構造が生まれる。
   第四系列:ビルの密集地帯で、高層階から別のビルを見たとき、いくつもの視野が上空
  で重なり合っている感覚が生まれる。上空にある視線同士が重なり合っている構造である。
  高層化する都市が生み出す新しいイメージ群。

   これらの中で、吉本は第三系列の都市構造にいちばん興味をもっているように感じられ
  る。それが彼の考える超資本主義の段階に深く関わっているからである。


 1 像としての都市――四つの都市イメージをめぐって 

   都市論と国家論、社会論はパラレル


  いま紹介をいただきました吉本です。
  自分が都市論に関心を持って、像、イメージとしての都市ということで都市論をやり始めたと
 きは、ちょうど、現在の国家、社会がいったいどういうことになっているのか、どういう方向に
 行くのか、どういうふうに行けば理想なのかというのが僕自身の中でもなかなかわかりにくくな
 ってきたぞという時だったと思います。都市が現在どうなっていて、これからどうなるか、どう
 なるのが理想なのかということは、僕の考え方では、国家、社会が現状はどうなっていて、これ
 からどうなっていくのか、どうなっていけば理想なのかということのわからなさと、そのわから
 ない部分というのは共通だというふうに都市論をやってきました。
 
  もう少し申し上げますと、都市の中における建物・街区、あるいは建物という概念、つまり具
 体的な建築物、ビルディングだけではなくて、建築・建物というのはどういうふうになっていて、
 どういうのが理想なのか、どういうふうに行くのだろうかということもパラレルに対応すると僕
 自身は考えています。

  ですから小さくいえば、この日本鋼管のビルでもいいんですが、一つのビルの中、あるいはビ
 ルの外郭がどうなっているのかを追求することと、都市がいったいどうなっているのか、どうい
 うふうに行くのかを追求することと、国家、社会がどうなっていくのかを追求することとは全部
 パラレルで対応する。そういうところで都市というものをつかまえようとした場合、どういうつ
 かまえ方をするかということから、「像としての都市」という考え方を僕はやってきました。


  消費社会――未知の部分

  それでは都市論あるいは国家、社会の問題でどういうところが一番わかりにくいかというと、
 アメリカと西欧と日本、その三つだけが現在、消費社会というところに入っていると思います。
 消費社会というのは皆さんがいろんな考え方でいろんな定義のされ方をするかもしれませんが、
 僕は僕なりの定義を持っていて、消費社会というのは二つのことによって定義されると思います。
 これは法人をとってきても個人をとってきてもいいんですが、一応わかりやすいから個人の所得
 とすると、日本の平均人の個人所得の中で50%以上が消費に使われているということが消費社会
 と呼ぶ場合の第一の条件です。もう一つ条件があります。それは選択消費、つまり光熱費とか家
 賃とかの毎月必要だという消費ではなくて、今月旅行へ行こうかとか予算がないから行かないで
 おこうというふうに、それぞれが選んで使える分を選択的消費あるいは選択消費というと、それ
 が全消費額の50%以上を占めている。その二つの条件があれば、僕の考え方では、消費社会とい 
 う定義ができます。

  いまそういう段階に確実にあるといえるのは、アメリカと日本と西欧です。西欧をフランスな
 らフランスに象徴させれば、そういうところがまず消費社会の段階に入っていると考えます。
  消費社会に入っている段階の資本主義は、いままでの分析の仕方では分析できないところが出
 てきたわけです。そこが未知の部分だろうと思いますが、未知の部分が出てきたということで、
 国家、社会が現在どうなっているのか、これからどう行くのだろうか、どう行けば理想なのかが
 犬変わかりにくくなっている一番根本の理由は、世界の先進的な社会、国家が消費社会、あるい
 は消費資本主義といってもいいんですが、そういう段階に入ったということが問題を難しくさせ
 ているのです。つまり、かつての分析法が通用しない部分が出てきたということと、いまだかつ
 てこれを完全に全体的に分析し尽くす方法はどなたもできていないで模索中だということです。

  そこが一番の難しさです。

  それと対応するように、都市論の難しさというのも同じところにあります。消費社会の主たる
 指標はどこに求めてもいいわけですが、僕の求め方では、産業の次元、段階によって決めるのが
 一番よかろうと考えると、消費社会に入った先進地域ではだいたいにおいて第三次産業といわれ
 ているもの、サービス業とか娯楽業、医療とか教育、その手の産業が生産額としても就業人口と
 しても半分以上を占めている。そういう社会が消費社会の一番わかりやすい指標だと思います。

  日本鋼皆さんは第二次産業の素材をつくるというイメージから出発していると思いますが、現
 在は第三次産業のほうに手を伸ばしているのか足を伸ばしているのか、そういうふうになってい
 るんじやないか。それほど日本の産業というのは、製造工業・建設業といった第二次産業と第一
 次産業、天然自然を相手にする農業とか漁業∴杯業との主たる対立割合によって社会ができてい
 るというイメージを持つと、それは間違ってしまうわけで、現在では第三次産業に従事している
 生産人口は働く人の半分以上を占めていますから、第三次産業を主体にして日本の産業構造を考
 えなければいけないのです。

  それと同じように、現在においては第三次産業、あるいは第三次段階・第三次層が主体になり
 つつあるということが都市というものの考え方を大変難しくしています。情報社会とか情報都市
 とかいろんな言い方がありますが、僕はそういうふうにつかまえます。つまり、第三次産業ある
 いは第三次層が都市の主体になってきたということが都市を変貌させているし、都市とは何だと
 いうことを考えるのを大変難しくさせている要素だと思います。

  僕の問題意識はそういうところから出発して、自分なりにのろのろと考えを進めてきたわけで
 すが、その考えの筋道を今日お話しできたらいいと思ってやってきました。


  都市の四系列

  まず僕の都市論はどういうふうに出発していったかというと、都市というものを四系列に分け
 れば都市というのは考え尽くせると考えたわけです。 
  一番簡単な系列を系列一(第一系列)とすると、系列一のイメージというのは東京でいえば下
 町の住宅街とか商店街がそうですが、一階家ないし二階家の低い住宅が地べたに追っている。こ
 れは人間の座高とか身長の高さで地面に水平の視線を働かせれば、ちゃんと事実見えるわけで、
 視覚的な自立像ということになります。イメージをつくろうとするにはどうすればいいかという
 と、そういうところに目と同じ高さの地面に水平な視線と真上、天上からやってくる視線とを同
 時に行使しているという自分を想定すると、事実上の下町の住宅街の住宅は自立像、視覚像から、
 あるイメージ像と考えて転化することができます。ですからつり合い上そう考えると、事実、見
 ればわかるじゃないかということになりますが、見ている視線と真上から来ている視線を同時に
 行使しているというイメージを想定すれば、第一系列の場所は尽くすことができると考えます。

  第二系列というのは何かというと、たとえばビルとビルの聞か人工的に広場として休み場所み
 たいにつくられているところが日比谷にもありますし、赤坂、六本木、新宿のあたりにもありま
 す。そういうところが第二系列に属すると考えます。これも行って見ればすぐにわかってしまい
 ますが、イメージとしていう場合には第一系列と区別するために、目の高さの具体的な人間の視
 線というのを、目の高さであるかどうかは別として、地面に水平な視線と、上のほうからといい
 たいところですが、そうすると第一系列と同じになってしまいますから、符号をつけて、マイナ
 スに下の地面のほうから上のほうに行っている垂直の視線とが同時に重なる場所というふうにイ
 メージをつくれば、ビルとビルの問につくられている人工的な広場みたいなものは尽くせるので
 はないでしょうか。

  人工的な広場というのは、たとえば新宿あたりでは駅と駅ビルの間の空閑地につくられていて
 そこに休む椅子とテーブルが置いてあるとか、商店が両端に並んでいるみたいになっています。
 六本本あたりでもそうです。つまり憩いの場所であって、ちょっと休むという場所であったり、
 店をのぞいてみるみたいな場所であったりというふうに人工的につくられていますし、ここらへ
 んだったら多少は本も植えたりベンチを置いたりしてつくってあると思います。

  それを第二番目の系列と考えるとします。ビルとビルとの間につくられている広場的な空間は
 全部そこに含めて大ざっぱに考えてくがさればよろしいと思いますが、それで第二番目の系列は
 尽くせます。
  この系列は、わかったということで、素早く取り除いておきます。本当はここでも問題はある
 と思います。たとえば、つくばの学園都市に行くと、原っぱの中に校舎、ビルディングを建てた
 というふうになっていて、喫茶店とか集会所みたいなものもあるんですが、ちょっと不気味な感
 じになっています。つまり、学園の中とか集会所にいるときには雰囲気が結構ちゃんとあるんで
 すが、いったん学園から外に出たら真っ暗な野っ原の中に入っていったみたいになってくる。こ
 ういう感じというのは非常に問題です。一時、学校でも助手とかあまり特権的でない先生たちが 
 自殺したり、高島平でもそうですが、そういう場所でも自殺者がたくさん出たりして、問題はあ
 るんです。しかし、やりようによってはいかようにも変えられるということで、それは素早く取
 り除いておくとします。

                                 第一部 吉本隆明の経済学                      
                                                   
                                                                     (この項続く)  

 
● 新弥生時代 植物栽培のボーダレス化

今年は、胡椒を温室試験栽培する計画で動き始めているのだが、メリーチョコレートと連携し、東大
カカオ、初の商品化へむけ動き出すという。静岡県南伊豆町の研究所で、温泉熱を利用して栽培する
「東大カカオ」豆を使ったチョコレートを、今秋にも初めて商品化するが、ロッテグループのメリー
チョコレートカムパニーと組み、数量限定で販売する計画。東大は約40年前からカカオ豆を栽培し、
近年になって一定の収穫量が見込めるようになったことから、商品化に挑戦する。高級チョコレート
などを製造、販売するメリーは希少な国産豆を使うことで、話題作りになると判断。樹木の生育環境
や栽培方法を研究する施設として、1943年に東大樹芸研究所を設立。カカオ豆の研究を進めてきたというか
らこちらは年期が入っている。農作物栽培方法激変は避けられないと考えているので、「黒胡椒の試験栽培」
に成功して、ゆくゆくは特産物として育っていけばと夢みている。




 

   


JR石巻線が全線開通

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●『吉本隆明の経済学』論 31 

 吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!      

  吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異
 なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思
 考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。
 資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。 

   はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 生産と消費
 第5章 現代都市論
 第6章 農業問題
 第7章 贈与価値論
 第8章 超資本主義 
 第2部 経済の詩的構造
 あとがき   

                                                          第1部 吉本隆明の経済学    

 
 第5章 現代都市論

 1 像としての都市――四つの都市イメージをめぐって 

  第三系列と第四系列

  そうすると、都市の中であと二つ問題になる重要な系列があります。その第三番目の系列を
 「異化領域」と考えました。これは何かというと、具体的にいえば簡単なことで、ビルの中に日
 本庭園や茶室、プールをつくったり、ビルの屋上に教会やゴルフの練習場をつくったりというと
 ころが皆さんご承知のようにあります。それが異化領域です。これは第三の系列をなします。

  これはどういうことを意味するかというと、先ほどの都市論の問題でいくと、ビルの中に第一   
 次産業と第二次産業と第三次産業を包括してしまう、あるいはビルの中の第三次産業的なものが
 第二次産業的なものを包括しているとか、ビルの中に組立工業やハイテクエ業、あるいは本来地
 べたにあるべきはずの天然自然のものを包括していると考えると、第一次産業層と第二次産業層
 と第三次産業層が雑居していると考えたら一番考えやすいわけです。

  この種の領域は一見するとばかばかしいのです。つまり大げさなことをいわなくても、ビルの
 中で飲み屋さんに行くと噴水があったり金魚が泳いでいたりというところがよくあって、ばかば
 かしいといえばばかばかしいわけですが、このイメージを普遍化していくとかなり重大なことに
 なってきて、流通とかサービス業といった第三次産業的なものの中に第二次産業的なものを包括
 しているというイメージになります。あるいは組立工業とかハイテク工業を小規模で包括してい
 る、規模を大きくすれば、都市の中で第一次産業、第二次産業、第三次産業の割合がどうなって
 いるかという問題とまったくパラレル、あるいは対応するものになります。 

  たとえば東京の第一次産業、農業なら廃業を考えると、東京の農業というのはO.2%、人口
 にしても生産高にしてもその程度のものだと思います。それはどういうモデルになるかというと、
 ビルディング、建物の問題とすれば、ビルの中にちょっとした植え込みを入れてあるというイメ
 ージになります。

  その問題をもっと重要なことでいえば、国家、社会はやがてどうなっていくのか、特に先進的
 な国家、社会はどういう方向にどうなっていくだろうかと考えると、第一次産業がO.2%であ
 るというところまでは行くと考えたらよろしいと思います。つまり行く可能性はあるんだよ、東
 京という都市はそのモデルだよとお考えになったら、かなり重要な国家、社会の問題になってき
 ます。

  そして、農業あるいは第一次産業がO・2%になるということは国家、社会の理想かどうかを
 問うことになります。理想であろうがなかろうが、必然的にそうなっていく、それは防ぎようが
 ないよとお考えになるか、あるいはエコロジストみたいに、緑を犬切にすれば変わると思う人も
 いる。しかし本当はどうなのかということもありますし、どれが理想なんだという問題は直ちに
 問われてしまいます。

  どれが理想の国家、社会なんだと問われるように、どれが理想の都市なんだということは同じ
 ように問われてきます。東京は理想の都市なのか。農業、第一次産業がO・2%、それで都市と
 いうのはいいのかということになります。しかし、これが一種の究極都市のイメージに近いとい
 うのは間違いないことで、理論上、原理上は東京の農業はゼロになってしまうかもしれません。 

  そうしたら第二次産業と第三次産業の問題になって、緑はどうしてくれるんだということが問
 題になります。緑というのはその場合には、つくる以外にないんだということになってくると僕
 は思います。そんな都市は嫌らしい、とんでもない都市だからぶっ壊してしまえというエコロジ
 ストたちの主張もあります。しかし、これは直ちに重要な問題で、近未来のうちに問われるだろ
 うと僕は想定します。

  たとえば僕の暗記しているデータが間違いでないとすれば、イギリスは農業が2%ぐらい、ア
 メリカは7%ぐらい、日本は9%ぐらいです。これが減っていくということはもうどうしようも
 ない。モデルがすでにあるわけです。それはいったい国家、社会の理想なのか。農業が2%とい
 うイギリスは理想の社会なのか。皆さんがいやこれは理想じゃないと思われるなら、何を理想と
 考えるのか、どうすれば理想になるのかという問題にすぐにぶつかります。

  この第三系列の異化領域は一見すると、ビルの中に日本料理屋があって、一杯お燗をつけて飲
 んできたよとか、そこに茶室があって、お茶会のまねごとをしてきたよといえば、僕らのちょっ
 とした仕事が終わってからの飲み代になるわけですが、この問題はそんなに簡単ではなくて、い
 かようにも重要な問題に数行することができるように僕は都市論をつくってきました。それは重
 要な問題です。だからいつでもどういうのが理想なんだということを問われています。ビルディ
 ングも、都市も、国家、社会もそれを問われているというのが現状だと僕には思えます。

  差し当たって東京という都市がモデルであるように、第一次産業、つまり農業みたいなものが
 O・2%ぐらいになってしまうのは避けがたいことだとお考えになるのが、怖いことだけれども、
 常識的だと考えたらよろしいと思います。国家、社会の問題としてもそうじやないでしょうか。
 先進国からどんどん第一次産業がゼロに近いところに行くだろう。あるいはそれをやらないなら
 第一次産業を天然、自然を相手にする産業からハイテク産業に変えるというやり方をするか、ど
 ちらかだと思います。

  そうしたら不衡はどのように生じるかといったら、東京と地方との不均衡から類推すればわ
 かるように、第三世界、アフリカとかアジアのある部分が農産物あるいは第一次産業担当地域に
 なって、先進国からだんだん第一次産業がなくなっていくというタイプの社会が、黙っておけば
 近未来のうちにできあがります。そのとき、その不均衡をどうするか。

  何か不均衡なのかというと、所得が第一に不均衡です。天然、自然を相手にする産業に従事し
 ている限り貧困から逃れられないということは、経済学上というと、僕は経済学者ではないのに
 生意気だといわれるからそういわないで経済工学と称していますが、経済工学上の定理ないし公
 理です、だから農業、農産物担当地域と漁業担当地域が世界中で貧困を背負うことになり、先進
 国から高次な社会が出現することになり、この不均衡はどうするかということになります。

  そうすると、贈与ということが経済工学上問題になってきます。つまり、交換価値ないし価値
 を主体とする経済学というのはそこでアウトになるだろう。贈与価値を主体とする経済工学上の
 考え方をしていかないと、不均衡は世界的な規模で是正できない。それは割合に近い時期になっ
 てくるでしょうと僕自身は考えています。

  そこのところで国家、社会というのはどうなったら理想なんだという問題に対する解答をいつ
 でも問われていると考えられたらいいと思います。この問題を小なる領域、小なる地域、あるい
 はビルディング内部でもいいんですが、そういうところで提起しているのが第三の系列に属する
 異化領域という場所だと僕には思われます。

  もう一つの系列の領域があります。これは皆さんがこのビルの窓から外を眺めればすぐに見ら
 れる風景がそうなんですが、隣のビルの人影を見ると事務をやっている。ここはそうでもありま
 せんが、そのビルの窓越しにJR線の電車か新幹線の列車が走っていたら、その中にまた乗客が
 立っているのが見えたというふうに、かつては一視野の中ではとうてい収まりがつかないような
 風景、何視野もなければそれだけの風景は見られないという風景が一視野の中に重なって見えて
 しまいます。もっと簡単なことをいえば、ビルの密集地域みたいなものがあります。これを第四
 の系列と考えると、これもとても重要な問題をはらんでいるんじゃないかと僕は考えました。

  およそ僕の分け方では、この四つの系列をつくると、イメージとしての都市というものを尽く
 せる。そのうち、異化領域と、視野が重なり合って過密しているイメージ、つまり過密したイメ
 ージがいつでもつくれる、いくつもの視野を想定しないとこれだけのものは見られない、そうい
 う二つの領域が、いまも重要でしょうが、これからも重要な領域になる。そしてそれだけを考え
 ればだいたい現在の都市の持っているイメージというのは尽くせると僕自身は考えて、四つの系
 列を選びました。




  異化領域と過密領域

  いま申し上げた重要だと思われる二つの系列について僕が考えたところ、もう少しぐらいは考
 えることができたので、そこのもう少しというところを申し上げてみます。第一に、どういう都
 市が平均的な都市かを想定するとします。そうすると日本の場合、都市も農村も含めて平均する
 とどうなっているか、第一次産業、つまり農業・漁業・林業のパーセンテージが人口でいくと8
 %ぐらいです。

  農業についていってみると、その8%ぐらいのうちの14%が専業の農家です。ですからかなり
 少ない農業人口になってしまいます。あとは兼業の農家です。兼業農家というのは二つあって、
 主たる働き手が正規の会社勤めをしている農家が第一種です。第二種は主たる働き手でも従たる
 働き手でもいいんですがパート、アルバイトで働いている農家です。現在の日本の農業の大部分
 は兼業農家で、専業農家は8%X14%、つまり8%のうちの14%に過ぎない人口が農業をやって
 います。

  よくよく考えると大変心細いということになりますから、論理としてだけいえば、農業の自給
 自足とか農業の自由化を阻止するといういい方はまったくナンセンス、成り立たないわけです。
 だいたい専業農家は8%の14%だけしかいないわけで、それで日本国なら日本国の食料を自給し
 ようというのは夢のまた夢、架空の論議であるということがわかります。これはだんだん減って
 いく一方であり、その種の論議というのは原理的にいえば問題にも何にもならない論議になって
 きます。僕の基準はちっとも保守党的ではないんですが、その手の論議をやっているのはうんざ
 りなんだと僕には思えます。つまり原理的にはもうそうなっているのです。

  第二次産業、つまり製造業とか建設業などが人口でいって33%ぐらいです。第三次産業、つま
 りサービス業とか流通業・娯楽業・教育などの産業が人口でいって57%、生産額でいえば60%ち
 ょっととなっています。
  だからいってみると、異化領域という場合、もし一つのビルの中に自然的な地べたに元来ある
 べきものと製造業・組立業的なものとサービス業・流通業的なものが、8%、33%、57%という
 割合で含まれているとすれば、それが日本の平均的なビルのあり方だということになります。ま
 たそれと対応するように、都市においてもそういう割合であったならば、それは日本における平
 均的な都市のあり方だということになると思います。

  その平均的ということは中性点、中立な点であり、よくもないし悪くもない点だということに
 なります。しかし別な意味から言えば、平均的な点というのが一番正常な判断力が存在できる点
 だということもできます。一つのビルの中の構成割合が平均的なパーセンテージから偏っている
 とすれば、そのビルはいいビルかもしれないし悪いビルかもしれません。それを判断するのは違
 う分析をしなければいけませんが、それが平均的から偏っているのは間違いないことだといえる
 と思います。ですから平均というのはよくも悪くもないということですが、逆にいうと、これが
 基準ですよ、常識ですよということになります。

  そして大なり小なり現実の都市というのは平均からずれるようにできあがっているし、マイナ
 スのずれが平均のほうに近づきつつあるか、そのどちらかのかたちが現在の日本の全体の社会で
 占めている感じ方、状態ではないかと思われます。それが現在の都市の領域だと思います。 
  ですから異化領域を考える場合、ビル=都市という一つの外枠、モダンな言い方をすればパラ
 ダイムをつくって考えれば、都市における異化領域の問題というのは考えやすくなります。都市 
 の枠組みもまったく同じように存在すると思います。それが現在の平均的な都市からのずれの問
 題です。

  ビルの将来がどうなるかについて極端にいえば、第三次産業層、第三次段階が100%近くを
 占めてしまうビルになっていくかもしれませんし、そうではなくて第一次産業だけがなくなって
 しまうビル、現在の構成が割にそれに近いと思いますが、そうなってしまうかもしれませんし、
 さまざまな形態が考えられます。

  現在、第三次産業あるいは第三次段階が100%を占めているビルというのは少しはあります
 たとえば東京タワーはそうだと思います。もう少しましな一つのビルが一つの観光会社であると
 か、同時に一つの都市の作用で、そこに二四時間ではないけれども人口が5万とか10万いるとい
 う都市ができあがっていって、近い将来その数は増えていくだろう。それをとどめる力はまず存
 在しないのです。

  たとえばナチス・ドイツならナチス・ドイツで、ヒトラーが国家権力を握ったとき、一般法律
 のほかに、総統合みたいな臨時法令をつくって、この都市はこうでなければどうとか、こうすべ
 しという人工的なことをやって、都市のあり方とかビルディングのつくり方に対して統制を加え
 た事実があります。あまり望ましくない政府ができて、そうやれば強制はできるでしょうが、そ
 れとてそんなに長続きするものではありません。文明の一種の自然の方向性というものを変える
 ことはできないので、多少遅くするか早くするかという違いがあるくらいで、僕はそういう勢い
 は止められないと思っています。

  第三次段階あるいは第三次層だけでできあがったビルそのものが一個の都市をなします。たと
 えばプランだけなら現在でも二つか三つ出ていると思いますが、超超高層ビルみたいなものをぶ
 っ建てて、そこで一つのビルが二、三〇万の人口を持った都市としてつくってしまう。上から下
 へ、下から上へ行くにはリニア装置がついたエレベーターで行くとか、プランだけはあると思い
 ますが、その手のワンビル・ワン都市、そういうビルがつくられ、そういうふうになっていく可
 能性も割合に近い将来に多くなると僕には思われます。[一部欠]それは追々増えていくだろう
 しいかようなこともできるだろうと思っています。

  もう一つはビルだけではなくて、都市自体を人工都市としてつくってしまうというかたちもで
 きあかつていくだろう。そこでもどういうのが理想的な人工都市なのかということが直ちにいろ
 んなところから問われると思いますが、一番わかりやすいのは第一次段階の産業と第二次段階の
 産業と第三次段階の産業を人工都市の中でどう案配し、どういう割合でつくるかです。

  現在でも人工都市に類似したものが存在しないわけではありません。その場合には、現在ある
 のは全部が消費都市だと考えたほうがいいようなものです。たとえば東京ディズニーランドであ
 ったり、大阪の西武がやっているつかしんであったり、全部が消費都市というかたちで、人工都
 市のモデルをつくっています。しかし、もしも郊外とか山を切り開いて、そこで理想的な人工都
 市をつくれということになったとした場合、どういう割合でどうつくればいいかということは直
 ちに問われると僕には思われます。

  そういうふうに考えて人工都市が設計されつくられたということは現在までのところ、日本で
 は存在しません。日本ではせいぜい建築家というのがいて、建築家の良心に訴えて、緑が大切だ
 と思う建築家はこういう設計をしてというかたちでつくられている都市とかいわゆるニュータウ
 ンといったものはありますが、それは必ずしも理想的につくられているわけではなくて、設計者
 とか施工者の良心でもってつくられています。

  たとえば現在みたいに縁が大切と社会的に言われていると、建築設計家もそういうことを考え
 たり、建築家としての理論的な問題というのももちろんあるわけで、その理論的な問題に照らし
 て自分の理念にかなう建物を設計してつくるとか、それに伴って街区や都市をつくるというもの
 はありますが、本当に理想的な人工都市とはどういう都市を指していうのかという問題について
 きちっと考えられてつくられた都市というのは存在しません。存在しないから理想的なものとは
 何なんだということは決めるのがなかなか難しいけれども、これは専門家の衆知を選りすぐって
 というふうに持っていけば、割合に簡単に弾き出すことはできるでしょう。つまり弾き出した設
 計をして、かつそれを実行するということがなされていないというだけで、弾き出すことは容易
 にできると僕には思われます。

  どんな国家社会が理想的な社会かというのも弾き出すことだけならば、専門家が寄り集まれば
 できると思います。理想的な国家、社会はこうだとわかっているつもりのやつが寄り集まって変
 な国家をつくって失敗したりしていますから、主観的に、知識人的に、あるいは知的にこれが理
 想なんだと言っても、そんなことはちっとも当てにならないので、理想の設計という場合、他者 
 というのがいるわけです。


  理想の設計には他者=一般大衆が必要

  どこに他者を想定するか。僕の場合には非常に単純です。つまり平均人、川崎徽さんの言葉を
 使えば、一般大衆です。理想の国家、社会をどうつくるかという場合の他者としては、一般大衆、
 それが唯一、他者になりうると僕は考えています。その他者を絶えずにらまえて知的な理想を弾
 き出さないと、要するにソ連とか東欧みたいに失敗します。あれは主観的な善意とかインテリの
 うぬぼれだけでやってしまったから、一般的な他者あるいはいうことを聞く大衆だけを目当てに
 してつくるからああいうことになるので、そうじゃない、いうことを聞くか聞かないかわからな
 い一般大衆、つまり平均人、そういう人を他者として照らし出さなければ、仮に弾き出しても失
 敗すると僕には思われます。国家、社会はどういうのが理想なのかという場合、一酢難しいのは
 そういうことのような気がします。

  それから現実的な条件としては、かつては一般大衆というのを想定しても、もしかすると明日
 お米を食べられないかもしれないぜという意昧合いの貧困が想定できたわけですが、現在の日本
 もアメリカも欧州も一般大衆というのは、お前の生活程度はどのくらいだと思うかというアンケ
 ートをすると、80~90%近くの人が自分は中流だと主観的にいうわけです。具体的にいえば、僕
 もビーピーしていますし、ピーピーしている人は多いと思うんだけど、僕がピーピーしているか
 ら俺は下層だといったら怒られてしまうと思うんです(笑)。ですからそういうこととは少し違
 います。

  しかし、自分は中層で中流だといっている人が日本国民の80~90%いるというのは恐るべき社
 会であって、これで平均人といってはかにすると、相当大変な人たちの固まりだということにな
 って、これを他者として想定しない限り、理想の国家、社会というのはどうなんだというその理
 想というイメージがつくれないし、理想の都市とは何だというのをもし人工的につくってみせろ
 といわれた場合でも、よくよくそのことを考えなければつくれない。つまり本当の難しさはそこ
 にあると思いますが、一通りの理論でいえば、平均人、平均都市というものを他者として理想の
 都市の設計を考えれば、それはだいたいにおいて大過ないというデータが出てくると僕には思わ
 れます。それはつくられていませんが、つくろうと思えばつくれるんじゃないでしょうか。

  つくれる場所は日本だって二つあります。一つは日本では都市、街というのはだいたい後ろが
 山で、前が海で、平地の真ん中に川が流れて海に注いでいて、山間というか山と河岸壁のところ
 に平地が広がっている所です。そうでなければ、かなりの標高のある低い山に囲まれた一種の盆
 地、海抜の割に高い盆地ですが、日本の街ができる地勢というのは犬ざっぱにいえばその二つし
 かありません。

  森林を伐採するのはけしからんというけど、日本の場合、山岳地帯というのはべらぽうに多い
 んです、だから森林を伐採して平地にしてということは、僕はそれ自体が悪だとちっとも思って
 いません。日本というのは山と海とに囲まれた狭い地域とか山の中の盆地というところに街がつ
 くられていて、その面積は、皆さんがデータをお調べになればすぐにわかりますが、非常に少な
 い領域です。

  ですから人工の都市をつくる可能性はたくさんあります。もちろん海のほうに広げるというの
 は安直ですから、東京でもやられているし、一番見事にやられているのは福岡だと思います。そ
 ういう意味合いで都市として発展すると思えるのは千葉ですが、そういうところは現にやられて
 います。しかし、そうではなくて、人工的な都市をつくれという場合には、内陸部で山を削ると
 いうことになっていくのではないでしょうか。

  それくらい日本の街というのは全体領域としていえば挟いし、森林が伐採されているといいま
 すが、森林の伐採されている度合いはきわめて少ないことが皆さんがデータを広げてご覧になれ
 ばすぐにわかります。それほどイメージが違ってしまうんです。社会的通念としていわれている
 イメージと、皆さんが本当に目をさらしてデータを調べてというふうにされたら、まるでイメー
 ジは違ってしまうと思います。異化領域の問題としてそれをもっと広げていくと、その問題とい
 うのは存在すると僕には思われます。


  過密領域

  それから視野が重なっていく過密領域、重畳領域ということになりますが、これには過密重畳
 現象のあまり、イメージのいくつかの特色が表れます。それをいくつか挙げておきましたが、一
 つは重畳現象があまりにひどくて極端で、視野を行使すれば十人分の視野ぐらいはすぐに集まっ
 て重なって見えてしまうというかたちになってくると、イメージと現実とが同一化して、溶け合
 ってしまうという現象が起こります。錯覚としてなら皆さんも体験されたことがあるでしょうし、
 僕も体験したことがあります。おやっと思って、これは現実のビルの窓から見ている光景とは思
 えないよとあるときある瞬間に感じたということは誰にでもあるでしょうが、現実とイメージと
 の溶け合いが起こってしまうというのが一つ重要なことです。

  僕が唯一こういうのを具体的な視野で見だのは、後楽園の遊園地で観覧車に乗って、ジェット
 コースターが走っているそっちのほうを見たときの視野が典型的にそうです。後楽園内部の建物
 とか、ジェットコースターのレールもそうですが、そういう設備と、その周りを取り巻いている
 三、四階の低いビル、その向こうの後景に見える割合に高いビル、そういうものとの区別がまっ
 たくつかなくなることがとてもよくわかります。

  つまり、人工的な一種のキンダーランド、子ども子どもした稚拙な場所が町中にあるとすると、
 それはある視覚から見ると、町中のほうが遊園地の続きなのか、それとも遊園地のほうが町中の
 続きなのかは区別がつかないというふうに、景観を体験することができます。僕は少なくとも観
 覧単に乗ったその視覚から見た後楽園の遊園地というのはそういうふうに見えて、大変興味深い
 場所だと思っています。

  その手のことはある瞬間あるとき誰も体験するということはもちろんそうなんですが、重畳領
 域における作用、あるいはそれに視覚あるいは視覚的イメージが慣れていく作用というのは、イ
 メージと現実のものとの区別がだんだん溶け合ってしまう体験だと思われます。これは現在では
 技術的にもっと高次な体験を機械的にすることができる装置ができていると思いますが、機械的
 な装置ではなくて、具体的に現実の都市の中の場面として重畳した領域というのは、イメージと
 具体的あるいは現実的な街との境界が溶け合ってしまう、わからなくなって同一化するというこ
 とが起こります。

  もう一つ起こることがあります。この都心でもある場所からある視覚であれば必ず、境界が溶
 け合ってしまって、映画でも見ているようだなという感じを体験することはできるのではないか
 と思います。




  感心した長島温泉

  僕が境界の溶出ということでもう一つ体験しだのは、名古屋から三十分ぐらい行ったところに、
 長島温泉という俗悪無類のといわれている温泉場があるんですが、そこはびっくりしたところで
 す。たとえば旅館がビルになっていて、もちろん温泉が中に引いてありますし、共同浴場もあり
 ますというふうにできている。そして共同浴場から手ぬぐいを引っかけて部屋まで帰る途中の両
 側にスタンドやバー、飲み屋があったりして、そこでお湯に入った帰りがけに一杯ビールを飲ん
 でということが通路からすぐにできる。また朝は朝市がビルの中に立って、海産物とか干物とか
 第一次産業の産物をそこのビルの中で買うこともできるし、もちろん見ることもできるというふ
 うになっていました。

  それからド駄を突っ掛けたら怒られてしまうから靴を履いて庭からドりると、庭の続きが後楽
 園遊園地みたいなキンダーランド、遊園地になっていて、ジェットコースターもあれば観覧車も
 あり、子どもと大人が遊ぶ何でもあります。おまけにヘリコプターの基地まであって、一人二千
 百白円か三千円を出せばヘリコプターでそこから飛び立って、あたりを三、四分見せて戻ってく
 る。それがちゃんと庭続きにそういうふうになっているということで、そこでも境界が溶けてな
 くなっているわけです。

  僕はそれに大変感心しました。温泉場といえば深山幽谷の山の中の湯、お風呂場で人里離れて
 たまにはゆっくりしたいなとも思いますが、長島温泉的にあそこまでやれば、これはどうしよう
 もないよというくらい、すごいものだなと思いました。金は取られるわけですが(笑)、うまく
 できていて、サービスから何から、不愉快とか不便に思うことは何一つない。深山幽谷の温泉場
 もいいけれども、その場合には多少何とかが不便だなとか、ここで一杯飲めたらな、でもそれは
 ちょっとできないなとか、ここで何々を食べたいんだけど、それは無理だなとか、いろいろ制約
 がある。つまり第二次産業、第三次産業を犠牲にして深山幽谷で休むわけですが、こっちのほう
 はそういう意味合いでは至れり尽くせりです。とにかく文句をつけさせるところは、金だけです
 ね(笑)。全が高すぎるよと文句をつければ別ですが、それ以外には何もない。

  これは一つの極限の見事さで、ここまでやるなら感心する以外ないよ、一種の未来都市、未来
 像だよという感じです。そういうことばかりいってよくこのごろは怒られるわけですが、歌詠み
 の会があって、おしゃべりするので名古屋に行ったんです。今日はこれからどうされるんですか
 と言うから、ほかは一杯でそこしかなかったんだとか言いながら、長島温泉に行くんだといった
 てくれば似ている言葉を突き出すこともできますし、似ているといえばいえそうなところもある
 でしょうということだと思います。

  かくのごとくクレオール化か起こると、どちらにも似ていない第三の言葉ができるわけです。
 その第三の言葉ができた場合には、言語学者にいわせれば、一種の稚拙化か起こるそうです。こ
 れは日常体験することができます。たとえば韓国人でも中国人でも日本語を使うと、「私、中国
 人」とか「私、韓国人」というでしょう。また日本人が韓国人や中国人に日本語を説明するとき、
 ちゃんと日本語でいえばいいんだけど、ときどき「私、日本人」というふうに、助詞とか助動詞、
 動詞を抜かしていいたくなるということがある。それは稚拙化の一種で、二つの違った言語が境
 界面でぶつかってきたところに起こる一つの現象です。


  稚拙化の表れ

  僕の理解の仕方では、これらの先鋭的、前衛的な建築設計家たちが設計して実現しているもの、
 それから部分的にいえば入王都心、人工地域みたいなもので現在やられているモダンあるいは超
 モダンなプランというのは、一般的に概していえば稚拙化の表れだ。段階の違う境路面にぶつか
 らざるをえなくなって、ぶつかったあげく稚拙化か起こっていると理解するのが一番いいと思い
 ます。

  現在の建築というのは、名だたる建築家たちが設計したと称せられているもの、稚拙化といっ
 てしまえばいいきれてしまうみたいなものが多いんです。それは問題意識を煮詰めていくと、段
 階の違う、産業でいえば第一次、第二次、第三次というように、つまり第一段階、第二段階、あ
 るいは第一層、第二層、第三層というふうに、レイヤーの違うものの境界面にぶつからざるをえ
 なくなっているから、その種の設計とかプランができてしまうということがあります。つまり、
 高度だと思っていて、たしかにある面は高度なんですが、別な面から見ると、一種の稚拙化か起
 こっているといっていい。

  ですから一人の人はシュルレアリスムの方法が有効だと思うみたいなことをいっていますが、
 シュルレアリスムみたいに無意識を解放すれば稚拙化かそういう面から起こるのは当然だともい
 えます。しかしシュルレアリスムの問題ではなくて、イメージの問題としていえば、超シュルレ
 アリスム、ハイパーリアリズムという問題になっていく。つまり、現在およびこれからの無意識
 をつくるということの問題がイメージの先端的な問題なんだと僕には思えます。

  この先端的な問題と理想的な問題とは必ずしも一致しませんが、理想というのは先端的であれ
 ばいいか、新しければいいか、全部間違っているから間違っていないやつを選べばいいかといっ
 たらそんなことはないので、いつでも一般人的なもの、平均人的なもの、あるいはそのときの平
 均都市的なものを絶えず他者としてこっちに持っていなければ、どんな先端的な試みも危ういで
 しょうね、と僕自身は考えています。

  僕が自分なりの考え方で都市論をやってきて、いま自分なりにはわかってきたと思えていると
 ころはそこらへんまでで尽きてしまいます。だいたいお話しできたと思っていますから、一応こ
 れで終わらせていただきます。

                                 第一部 吉本隆明の経済学 
 

この項で吉本は重要なことを言っている。科学技術力あるいは産業の高度化により、第一次産業の相
対的な生産高の退潮により、所得格差拡大を指摘し――そうすると、贈与ということが経済工学上問
題になってきます。つまり、交換価値ないし価値を主体とする経済学というのはそこでアウトになる
だろう。贈与価値を主体とする経済工学上の 考え方をしていかないと、不均衡は世界的な規模で是
正できない。それは割合に近い時期になってくる――と。ところが農業をコアとした第一次産業の高
次化が加算的に起こるdだけでなく、相互浸潤的に多乗的に進行するゆえ、農業生産高の退潮は一定水
準で下げ止まり、従って、市場経済性が機能維持し交換価値機能が簡単にはなくならないとわたし(
たち)は考える。もうひとつ、「日本の場合、山岳地帯というのはべらぽうに多いんです、だから森
林を伐採して平地にしてということは、僕はそれ自体が悪だとちっとも思っていません」との彼のエ
コロジスト感を述べているが、人間の環境に与える影響力評価あるいは生態学的な見識には不満であ
った。                     
                                                   
                                                       
                                          (この項続く)  



● JR石巻線が全線開通


東日本大震災で被害を受けた宮城県のJR石巻線が、2015年3月21日に4年ぶりに全線開通した。不通
だった宮城県女川町の女川‐浦宿がつながり、朝6時12分に女川駅から一番列車が出発。津波で被害
を受けた女川駅も再建されたという朗報だ。

   

電気自動車再考論Ⅰ

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● 最先端人工衛星災害監視工学 「だいち2号」登場

東日本大震災の発生後、津波による浸水被害範囲や地震による地殻変動の確認に利用された宇宙航空研究開発
機構(JAXA)の陸域観測技術衛星「だいち」。後継機「だいち2号」はレーダーを使って同じ場所を2回
以上観測し、取得したデータの変化をみることで地形の動きをとらえる宇宙から地球の災害を監視する人工衛
星のパワーが発揮される。2014年5月に打ち上げから、機器の健全性を確認する初期チェックアウト、観測デ
ータの精度を確認の初期校正運用を行ってきました。観測画像は既にWeb上で発表(CIRCの初画像,CIRCによる
御嶽山の観測結果など) しているが、初期校正運用期間で、データが所定の精度確認を達成。

この観測衛星システムは夜間のほか、曇りや雨でも地表を詳しく観測可能。観測後約1時間で白黒画像を、同
2時間でカラー画像も提供できる体制を敷く。災害にはGPSも使われるが、「点」でしか測定できない。衛
星なら「面」でとらえられ、より正確に地殻変動の様子を把握できる。ただ緊急を要する災害時の利用では、
衛星の観測頻度の向上と画像データ提供の迅速化が残件する。そこで、雨雲を立体的に観測する「GPM主衛
星」、降水量、積雪量などを観測する「しずく」といった複数の衛星を連携させることで、災害リスクの軽減
にも挑んでいる。

すでに、このシステムは、東南アジアなどの衛星とも連携しているほか、欧米が中心となって世界規模でも活
用され、大規模災害を400回以上にわたって緊急観測し、データ提供の実績を残している。これは凄いこと
だ。

   

 



● 電気自動車再考論Ⅰ

水素ステーションや純水素燃料電池車が急速にクローズアップしているが、電気自動車の再評価した方が良いのじゃ
ないかという思いに憑かれる。その切っ掛けになったのが3つの情報。その1つが、水素自動車や、PHVなど、
新エネルギーを活用したクリーンな自動車に注目が集まる中、電気自動車のパイオニアである日産自動車のリ
ア充な電気自動車「スマートバーベキューカー」――スイッチ1つですぐにBBQを始められる電気グリル、冷
蔵庫、シンク付きキッチン、調理道具、生ゴミ処理機といったアイテムを搭載。さらに、遊び道具、ミュージ
ックプレイヤー等も収納され、いつでもどこでもすぐにゴミゼロ・手間ゼロのスマートBBQが実現できる機能
を始め、(1)超音波とアロマの効果で野外でも蚊をよせつけないための装置「Mosquito Barrier System (蚊
バリア)」や、(2)ドローンでセルフィーを空撮するFlying Selphie Camera (フライングセルフィー)など、
計5つのBBQを最上級に楽しむための"夢の機能"が備えたの提案――2500万円出資した人には、オリジナルで
開発、贈呈までしてくれるというもの。これは機能性(指示性)よりポジティブな表示性を全面に押し出した
アプローチで面白いこころみである。 

2つめは、発電・蓄電と断熱・換気、家電制御の3つの要素を備える。平均的な能力の太陽光発電システムを
導入するだけで、ゼロエネルギー化できるよう家全体の仕様を組み合わせた光熱費が負担にならない独自の
住宅仕様「ゼロエコ」を適用した戸建住宅の販売。メーカパナホームが、国が進める住宅のゼロエネルギー
(ZEH)化がある。2015年4月から同社の戸建住宅「カサート」や「エコ・コルディス2」にゼロエコを適用
し、販売数量の50%をゼロエコ仕様にする目標を打ち出している。

例えば2階建のカサート(延床面積120.04平方メートル)にゼロエコを適用した場合、価格は2930万円(税込)。
カサートの場合、一次エネルギー自給率は101%(ゼロエネルギーより1%多い)。太陽光発電の売電額は年
間約13.3万円、年間光熱費は約6.3万円のプラスとなる計算。エコ・コルディス2の場合は発電性能を強
化、一次エネルギー自給率は約300%。太陽光発電の売電額は年間約41.7万円、年間光熱費は約35.5
万円のプラス。尚、ゼロエコ仕様は大きく3つある。「発電・蓄電」と「断熱・換気」「家電制御」だ。発電・
蓄電ではHIT太陽電池(4.61kW)とリチウムイオン蓄電池(5kWh)を標準とした。太陽光発電で得た電力を売
電する他、蓄電池に蓄え、夜間電力や非常電源として生かす。

 

 

3つめは、ニチコン株式会社の世界初V2H(Vehicle to Home)――電気自動車の大容量バッテリーから電力
をとりだし分電盤を通して改訂の電力として使用できるシステム。割安な夜間料金電力やホーム太陽光発電の
電力を電気自動車に備えた電力を家庭へ給電することで家計の節電に繋げる。つまり、太陽光発電+充電装置
+電気自動車をつなげることで、無尽蔵の太陽光エネルギーを安定的に蓄電させながら、既存の送電網(グリ
ッド)への負荷あるいは依存を逓減させながら、環境負荷ゼロを実現できるシステムを世界に先駆け実現でき
る。しかしながら、電気自動車は走行距離が短いという技術的隘路がある。その解決の3方法の1つが、蓄電
装置の高性能化(軽量化×大容量化=低価格化)であり、2つめが道路の走行型給電システムの敷設で、これ
は情報・上下水道・電力・ガスなどのライフラインの地下埋設化と併行する公共事業への積極的な投資の決断
になり、3つめは分散化充電ステーションの急速充電化である。水素ステーションか充電ステーションあるい
はワイヤレス給電ラインの整備優先の二者択一になるが、結構、後者の方が現実的ではないか考えたわけであ
る。今後は、後者の新規事業の起業(=オールソーラーシステムの実践論)として考察を続けて行くことに。 

 

● 2つの生物工学の最先端研究

カリフォルニア大学バークレー校)の生物工学のグループは、人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使い、"鼓動を
打つ心臓”を半導体チップ上に作成することに成功を公表。同グループはチップ上で人間のあらゆる臓器を作
成し、それぞれをマイクロ流体で接続することによって、ウエハー上で完全な人間のシステムを実現すること
を目指す。山中伸弥教授が発見した手法と同じく、皮膚の幹細胞からあらゆる種類のヒト組織を取り出すため
の方法を開発に成功。まずは薬剤スクリーニングに適用することで、(マウスなどの)動物を使わず済ませる
ことが出来れば、患者の幹細胞を使い、チップ上に臓器を形成させ、遺伝的疾患の治療の道を拓くことができ
るし、マイクロ流路を使い各臓器を接続し、血液や生体液を運ぶことから、ウエハー上に人間のシステムを構築し、さ
まざまな臓器間における薬物の相互機能についても研究できる。例えば、心臓疾患を治療するための薬剤が、肝臓で
は毒素となる可能性もある。このようなことは、実際に患者に投与の事前評価システムに使える。さらに、生体あるいは
生物ロボットの作製にも繋がるが、これは倫理領域にも抵触するだろう。さらに、センサやアクチュエータの
基礎的な開発が――センサーについては容易に対応できるだろう――アクチュエータは、米マサチューセッツ
工科大学が現在、人工筋肉の開発に取り組んでいるという。

同チームは本物の心筋細胞を含む長さ約1インチ(2.5cm)の“人工心臓用ケース”をウエハー上に作成してい
るが、このケースに心臓の細胞を入れてから約24時間で、1分間に55~80回の速さで自発的に鼓動を打ち始め、
マイクロ流路で血液を送れる。また、鼓動の回数を増減することが実証されている薬剤に対しても、正常に反
応する。また、マイクロ流路は養素を運んでいるだけだが、いずれは老廃物も運ぶことが出来るかもしれない、
心臓の細胞は現在まで、数週間生き続けているから生存期間を外延できる。さまざまな種類の“チップ上の臓
器”をマイクロ流路で相互接続し、血液と生体液を流すこともできると期待されている。





さて、もう1つのセンタ生物工学。米国とシンガポールの研究チームは、昆虫のハナムグリ(ガよりも大きい)
の飛行の無線遠隔制御研究を行っているが、小さなバックパックのようなモジュールをハナムグリに背負わせ、
ハナムグリの飛翔筋をコントロールすることで、飛行を自在に操るというもの。なんとも惨たらしいとも思え
るほどだが、自然災害後の生存者を捜索することだが、ロボットと遠隔操作の昆虫には軍事用を含め、他にも
多くの用途が見込まれている。

ハナムグリの体重は約8グラム。モジュールの重さは1.5グラムだ。モジュールはマイコンと無線通信チッ
プ、3.9ボルトのリチウム電池の他、6個の電極を搭載している。これらの電極は、視葉(視覚情報を処理
する脳の一部)や飛翔筋に接続されている。モジュールとの無線通信は、千ヘルツの周波数で行われる。もと
もとは災害救援に小さな昆虫の群れを用いるというアイデア――昆虫にシンプルな温度センサーを搭載させて、
がれきの中を巡回・飛行させるといった方法だった。無線チップやプロセッサ、センサー、アクチュエータな
どを超小型/軽量のモジュールに集積できるようになった今、昆虫の飛行をコントロールする技術は、大きく
進歩。現在は、動物/昆虫をコントロールする目的は(監視ではなく)「人命救助」とされているが、資金は
相変わらず政府から拠出されているのが現状。

 

ハナムグリの飛行を遠隔からコントロールする際、鍵となったのは、細かい旋回を制御する筋肉を確認するこ
とだった。同チームは、ハナムグリの自然な飛行パターンと、旋回に使われる筋肉への電気刺激をモニタリン
グすべく、超小型モジュールを開発した。その過程で、筋肉は、飛翔した後に羽を折り畳むために使われると
いう、1800年代以降変わらなかった昆虫学の“常識”を覆すこととなった。研究チームは、ハナムグリの飛行
をモニタリングすることで、筋肉が羽の折り畳みだけでなく旋回もコントロールすることを突き止めている。
この研究も、倫理問題領域に抵触するものだろう。先端技術の開発とその応用には人類の倫理と環境問題が、
高速に"イタチごっこ"の問題になる領域でもある。

 


● 今夜の楽しい悩み事 

マツダのロードスターの先行商談を行うための予約受付を、同日正午から新型ロードスターのプレWebサイトで
開始した。この新型ロードスターについてはブログ掲載している(『ロードスターと大阪都構想』)。因みに
搭載を宣言していた運転支援システム「i-ACTIVSENCE」については、車載カメラを使う「車線逸脱警報システ
ム(LDWS)」と「ハイ・ビーム・コントロールシステム(HBC)」、ステアリング動作と連動する「アダプティ
ブ・フロント・ライティング・システム(AFS)」、車両後方に搭載する準ミリ波レーダーを使う「ブラインド・
スポット・モニタリング(BSM)」と「リア・クロス・トラフィック・アラート(RCTA)」を採用。ただし
、ミリ波レーダーを用いる、先行車両との衝突を防ぐ自動ブレーキ機能「前方衝突警報システム(FOW)」や
「スマートブレーキサポート(SBS)」自動追従走行機能の「マツダ レーダー クルーズコントロール(MRC
C)」については採用を見送る。また、スマートフォンとの連携機能を特徴とした車載情報機器「Mazda Connect
(マツダコネクト)」は、S Special PackageとS Leather Packageに搭載されているが、Sグレードは非搭載となって
いる。Sグレードの場合、オプションにCDプレーヤーはあるもののカーナビゲーションシステムを用意していな
い。市販品を組み込む1DIN/2DINポートもなく、カーナビゲーションを使いたい場合には、ポータブルタイプ
の製品をダッシュボード上に設置するなどして対応するとのことだ。

それはそうとして、現在乗っている車のダッシュボード中央部にある、カーオーディオの表示ディスプレイと操作パネルが
故障中だ。そろそろ直さなければならない。

黒田で好景気!

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●『吉本隆明の経済学』論 32

 吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!      

  吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異
 なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思
 考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。
 資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。 

   はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 生産と消費
 第5章 現代都市論
 第6章 農業問題
 第7章 贈与価値論
 第8章 超資本主義 
 第2部 経済の詩的構造
 あとがき   

                                                          第1部 吉本隆明の経済学    

 第6章 農業問題

    解説

   吉本隆明のファンには農業者もたくさんいた。彼らは米価問題やオレンジ輸入自由化問
  題などが起きて、日本の農業が危機の時代に突入していった頃、農業の問題についての吉
  本隆明の考えをどうしても聞きたいと思って、熱心に講演を依頼した。そういう申し出が
  くると、彼は遠いところにでも喜んで出かけて自分の考えをしやべった。

   食い入るように吉本の話に耳を傾ける農業者を前にして、しかし彼はけっして耳に心地
  よい話をしなかった。先進資本主義国において、農業人口は否応なく滅少していくことに
  なる,農村そのものがいずれ消滅に向かっていくだろう。これは資本主義の原理からする
  とどうしても避けることのできない、必然的な過程に属するのである。その理由は農業が
  天然自然を直接相手にする産業だからであり、交換価値を価値増殖の原則とする資本主義
  では、農業が貧困化していくのを、いかなる政策をもってしても押し留めることはできな
  い。

   こういう話を聞かされた農業者はさぞかしがっかりしたことと思われるが、たとえ相手
  の耳に痛いことでも、それが真実のことならば相手に語らなければならないという信念に
  もとづいて、吉本隆明は農業者に熱心に語り続けた。その語りの真摯さに、私たちはいま
  あらためて感動をおぽえる。

   エコロジストや有機農法家の考えにたいしても、吉本隆明は一貫して批判的だった。彼
  は「自然史過程」を一つの重要な判断基準としていた。大きな目で見たときそちらの方向
  に進んでいくことが、まるで自然史の過程のように必然的であるものにたいしては、それ
  を受け入れたヒで、出てきた問題についての対処を考えなければならないはずなのに、た
  とえ自然史過程に逆行していても「オルタナティブ」なものがすぐさま可能であるかのよ
  うに言う主張には、古本はいつでも突っかかっていった。たとえ緑のイデオロギーでもし
  ょせんは幻想領域に属するもので、自然史過程の中でいずれ消えていくものだからである。

   私は吉本隆明がこれは自然史過程であると見なしたもののすべてが、ほんとうにそうで
  あるのかということについては、いくつかの疑問を抱いている。しかし彼が農業について
  語ったことのほとんどが、今では明白な現実となっていることは確かである。そこからの
  脱出を探ろうとするとき、吉本隆明がこの問題について得た認識はすべての出発点となる。


  1 農村の終焉――〈高度〉資本主義の課題

   農業の構造と変化

  吉本です。ここへ来るのは四回目です。前三回は良寛の話をしにやってきました。
 今回は農業問題ということで、もちろん私は農業経済の専門家でも何でもなく、素人ですけれ
 ども、「修羅」の同人の方は勉強家の集まりで、おれたちも勉強したんだからおまえも勉強しろ
 ということだろうと考えまして、ぼくなりに本を漁ったり、さまざまな人たちの論議を読んだり
 してきました、

  まず本屋さんに行ってみますと、農業問題の専門書ははなはだ少ないことがわかります、ほと
 んどコーナーすらない。お医者さんでいえば結核専門医になる人がもういなくなったのと同じよ
 うに、農業経済専門の領域は、たぶんもうすたれた領域になっているんたろうと思います。本来
 ならば、現在みたいになぜか農業問題が素人の問で口角泡を飛ばしたり、あるいは殺しかねない
 勢いで論議されているときに、農業経済問題の専門家が、まず専門的な基礎から、農業問題はこ
 うなっているんだということをはっきりと発言され、意見を述べられて、そういう専門家の論議
 と実証との上で現在の素人論議――私も今日やるのですが――がなされるといいと思うんです。

 階の違う、産業でいえば第一次、第二次、第三次というように、つまり第一段階、第二段階、あ
 るいは第一層、第二層、第三層というふうに、レイヤーの違うものの境界面にぶつからざるをえ
 なくなっているから、その種の設計とかプランができてしまうということがあります。つまり、
 高度だと思っていて、たしかにある面は高度なんですが、別な面から見ると、一種の稚拙化か起
 こっているといっていい。

  ですから一人の人はシュルレアリスムの方法が有効だと思うみたいなことをいっていますが、
 シュルレアリスムみたいに無意識を解放すれば稚拙化かそういう面から起こるのは当然だともい
 えます。しかしシュルレアリスムの問題ではなくて、イメージの問題としていえば、超シュルレ
 アリスム、ハイパーリアリズムという問題になっていく。つまり、現在およびこれからの無意識
 をつくるということの問題がイメージの先端的な問題なんだと僕には思えます。

  この先端的な問題と理想的な問題とは必ずしも一致しませんが、理想というのは先端的であれ
 ばいいか、新しければいいか、全部間違っているから間違っていないやつを選べばいいかといっ
 たらそんなことはないので、いつでも一般人的なもの、平均人的なもの、あるいはそのときの平
 均都市的なものを絶えず他者としてこっちに持っていなければ、どんな先端的な試みも危ういで
 しょうね、と僕自身は考えています。

  僕が自分なりの考え方で都市論をやってきて、いま自分なりにはわかってきたと思えていると
 ころはそこらへんまでで尽きてしまいます・だいたいお話しできたと思っていますから、一応こ
 れで終わらせていただきます。しかし、現在やかましく論議されている農業問題とか、農業問題
 に円高がどういう影響を与えるかとか、米の自由化の問題とかについて、専門家で発言されてい
 るのは、ほとんど皆無だと思います。皆、専門家ではないのです。

  日本は現在、高度資本主義社会ですけど、そのなかで農業あるいは農村がどうなっていくのか
 という歴史的な推移の問題があります。それからもうひとつ、農業問題はまた都市問題とからま
 っています。
  農業に問題が生じたのはなぜかといいますと、一般に農家は農業耕作と兼業で織物を織るとか
 養蚕をするとか、あるいは手工業的に細工物をつくるとかいう兼業でやっていました。その規模
 と需要がだんだん多くなってきて、一家あるいは農村だけでは賄いきれなくなって分業が起こり、
 農業を専門にやるものと織物や紡績を専門にやるものとが分化してきました。その分化した人た
 ちが、便利な立地条件のところにかたまりで移っていきます。そして手工業からだんだん機械工
 業へ発達していって、それが都市になったのです。

  つまり手工業と農業を同一の人が同一場面でやれたときには、農業問題はなかったのです。問
 題が起きたのは、分業が起きて、農村と都市とが利害相反するようになったからです。専門が分
 化されてしまって、農業をやる人が機械工業に従事することはできないし、機械工業に従事して
 いる人は農業に今さら従事することはできない。そのくらい、専門が分化してしまったことが、
 農村問題を歴史的に発生させたもとです。

  つまり、農村と都市との対立、それから工業と農業との対立が農業問題を発生せしめたもので
 すから、農業問題は都市問題と切り離すことができないのです。遂にいいますと、都市問題の論
 議をやるんなら、農業問題を切り離すことができないという歴史的な関係にあります。
  これも専門家が専門上のことをはっきりさせ、そして現在の段階がどういうところにあるか、
 全体の歴史的な段階がどういうところにあるかということを基礎に据えて論議がされるべきです。
 つまり切実な現在の問題とか、そのときどきの円高ドル安が起こってから急にクローズアップさ
 れてきた問題とか、歴史的な推移、文明の推移、あるいは人類の歴史の推移とかの大きな流れの
 中で、現状に起こる切実な問題を論議されるべきです。それで対立が起こるなら起こるというあ
 り方ならば、とても論議がしやすいし、通じやすいのです。

  しかし、現在日本でなされている論議は、ぼくが読んだかぎりでは、専門家の発言はほとんど
 ゼロです。とくに専門の研究者の発言はゼロに近いとおもいます。発言しているのはたいてい素
 人です。素人は宙に浮いた論議になるか、専門的な基礎がないところでの論議になるか、そうじ
 ゃなければ、あまりに切実過ぎている問題を全体の問題に広げてしまう、両方がそういう論議で
 対立してしまいます。その対立の中には、冷静で学問的に文明の推移、歴史的な推移を考える姿
 勢はありません。都市との対立の問題や、つぶれるかつぶれないかという切実な利害の問題とか
 を、ぜんぶいっしょくたに論議するのが素人の論議――ぼくもそうですけど――の特徴です。

  ある面では、殺しかねないくらいきわどい言葉で論議が飛び交わされるんですけど、本当は両
 方とも全体のことは何も見てないとか、具体的な現地のことも見てないのが現状だとぽくは考え
 ます。 
  ぼくも素人としての反省があるものですから、本当なら、専門家の論議しないことを素人が口
 をだすのはよくないことなんで、しないほうがいいのですけど、素人であるにもかかわらず、割
 合に切実に考えています。「修羅」同人の方が非常に切実にそういうことに関心をもって、自分
 たちが勉強しておられる。そしておまえだって都市論みたいなことをやってるんだから、まんざ
 ら農村の問題も関係なくはないだろう。本来ならば一緒に論ぜられるべき農村の問題についても、
 勉強不足では話にならないから、おまえも勉強しろ、勉強した成果をしゃべろということで、素
 人だけどしゃべることになったのです。

  ただぼくは、割に内省する素人ですから、多少ほかの素人の方の論議と違うだろうと考えてい
 ます。それ以上のことは、ぼくは専門家に及ぶはずがないのです。それから、個々の切実な現場
 におられる方にこちらが学ばなければならないほどの素人ですから、切実さがそこに触れること
 は、あまりできかねるかもしれません。しかし、唯一のとりえは割合に広い視野をもっていると
 いうことでしょう。それから割に内省的ですから、もしかすると皆さんがいかに切実であり、い
 かに現場におられようと、あるいは専門家の方がおられるかもしれないけど、何か少しくらいは
 得るところがあることを、お話できるかもしれないと考えてやってきました。もしかするとでき
 ないかもしれませんが、それは了解を願うということをあらかじめお断りしておきます。

  まず、ぼくなりにできるだけ冷静に、現在起こっている農業問題をみてみます。口角泡を飛ば
 して論議がされ、対立がある場所に、あらゆる進歩的勢力が入るかとおもうと、保守的な勢力が
 そこに流れ込み、それからエコロジストがなだれ込んで、余計なことをいうものですから、もう
 むちゃくちゃで、てんやわんやになって、あんちくしょう殺しちゃえというくらいの論議になっ
 ている局面もあります。それから、さきほどぼくの前に話された方のように、現場におられて切
 実なところでやっておられても、きわめて冷静に抑制的にお話になられる方もいます。

  ぽくも本を読んでびっくりしたんですけど、もう殺しかねまじき発言をする人がいます、それ
 がみんな素人とか、ほかからなだれ込んだ政治運動家くずれとか、市民運動くずれとか、エコロ
 シストくずれとか、全部がそこに入ってきて、本当の農家の人とか、本当の都市サラリーマンは
 どこにいるんだというふうに、どちらもどうしようもない感じです。しかし、対立だけは鮮やか
 に浮かび上がってきて、その論議たるやちょっとあほじゃないかという論議しかない、そういう
 現状です。

  そこでぼくなりに、現代の農村、あるいは農業の問題はどうなっているか、勉強した範囲で入
 っていきたいとおもいます。都市論から入ってもいいんですけど、遠回りになりますから、農業
 の具体的な問題をできるだけ冷静に話して、もし時間が許すならば、最後に、現在、目角泡を飛
 ばしてやられている農村対都市、農村チャンピオン対都市チャンピオンの対立の仕方に触れて、
 その問題点をぼくなりの観点から批判してごらんにいれようとおもいます、


  農家の経済

  まず、ぼくが依ったデータは、『農業白書』の昭和六一年度胆です。そこから、適当に重要だ
 とおもうところだけ、ぼくなりにピックアッブして、アレンジしてもってきました。ぼくが一生
 懸命現場をあたって調査して出したデータでも何でもありません。書店に行かれれば、どこでも
 売ってますから、それをご覧になれば、冷静なデータが出ています。そのなかで、ご自分の切実
 だとおもうデータをよくご覧になれば、問題の所在はわかるんじやないかと思います。ぼくは専
 門家ではないし、また別にそういうことを隠す立場ではないので、何に依ったかというのをはっ
 きり申しあげます。いろんなものを読みましたけど、結局、『農業白書』のデータが割合に高度
 で妥当性があるとぼくには思われました。そこから入っていこうとおもいます。

  皆さんのほうで、そんなことはおめえがいうまでもなく、切実な問題だというのはみんな知っ
 ているんだという場合は、ここでもう一回復習するという感じで、そうじゃなければ、あいつは
 間違ったことをいってるとか、そういう感じで聞いてくがさればよろしいとおもいます。
 
  どこから入ってもよろしいんですけど、まずはじめに、現在の農業の構造と農家の経済はどう
 いうふうになっているかという問題から申しあげてみましょう。
 『白書』のデータはどういうふうにとってあるかというと、前の年の同期に比べて増犬している
 か減っているかという率を、昭和58年度から六一年度までピックアップしています。どういう
 ことをいっているかといいますと、まず①の「農業就業入口」(図15参照)です。昭和58年度
 の農業就業人口はマイナス4%です。これは、57年度に比べて就業人口が4%減ったという意
 味です。



 その次は、「農家の戸数」です。58年度の農家の戸数は前の年より約1%減っています。「排
 地面積」は前の年よりO・何%か減っています。それから「農業所得」――これは総所得だとお
  もいます―総所得は前の年に比べて4%増えました。それから「農外所得」――農家で農業以外
 のことで得られた収入――は前の年に比べて3%ぐらい増え、いちばん増えたのは、出稼ぎとか
 年金とか年金扶助とかその他の雑収入で、それは一戸当たり前の年に比べて8%ぐらい増えてい
 ます。

  これを金部ひっくるめた一戸当たりの総所得は、だいたい4%ちょっと増えています。59年
 度は、「就業人口」は前年度から2%滅って、合わせるとどんどん減っているという意味になり
 ます。
  みんなマイナス点になっていますから、現在に近づくほど減っていることを意味します。「農
 家の総所得」もだんだん減りつつあります。前の年に比べて増えているんですけど、率としては
 減りつつあるというのがこのグラフからわかります。
  つまり、農家の所得は概して前の年に比べて年々増えていっ・ています、しかし、よくよく考
 てみると、これをそのまま延長すれば、来年はまたもっと減るかもしれません。再来年はもっと
 減るかもしれませんよ、ということを意味しているかもしれません。何か特別な異変が起これば
 別ですけど。それでも前の年に比べてマイナスにはなっていない。増えていることは確実に増え
 ている。増える率も減りつつありますけど、現在、依然として農家の総所得は増えつつあります。
 しかし年々、現在に近づくほど、あるいは未来に近づくほどかもしれませんけど、減りつつあり
 ますよというデータになっています。

  これはとても切実なんじゃないかという気がします。つまり、一面では農家の所得は増えてい
 ます。対立する都市のサラリーマンから、農家の所得は増えているじゃないかといわれている理
 由だと思いますけど、農家の人から見れば、いや、増えてる増えてるというけど、だんだん心細
 くなっているんだ、増え方が少なくなっているんだぞという問題だとおもいます。このことは、
 現在のさまざまな論議の中で、感情論を抜きにしてみれば、相当切実な問題なんじゃないかとお
 もいます。

  これは『白書』に書いてあることで、目新しいことじゃないんですけど、よくよくグラフを読
 んでご覧になると、切実なことがいろいろわかります。感情論ではごちゃまぜにしていることが、
 本当は分けて考えなきやいけないのです。
  農業人口は減りつつあるし、農業就業人口も減りつつあります。それから農家の戸数も減りつ
 つあります。年々増えた兆候はないですから、とても重要なことを暗示しています。もっと未来
 になったら、なおさら減っていくんじゃないかということが、このグラフの自然の推移からいえ
 るのです。

  これは論議の問題でもなく、こうなるのが理想だという問題でもなく、現状および過去とこれ
 からの問題として、自然の推移をとれば、農家の戸数はだんだん減っていくだろうし、人目も減
 っていくだろうということです。収入は依然として増えつつあるけど、収入の増え率は減りつつ
 ある、といえます。これは具体的な推移の事実の問題です。ここには、どんな感情論も入る余地
 がないのです。このデータが正確であるかぎり、感情論は入る余地がなく、そういう趨勢は、ち
 ゃんと頭に入れておかないといけないのです。そのうえで、所得をもっと増やさなければいけな
 いとか、農家の人目を増やさなきやいけないという論議とか、農家の所得は多過ぎるから減らせ
 という論議とか(竹村健一さんの論議にはそういうとこがあります)、こうあったらいいという
 目標とか見解が起こるのです。起こり方はさまざまでもいいけど、まず一般的な推移から推察で
 きることは、はっきりさせておいたほうがいいので、そのうえで論議がなされるといいとおもい
 ます。



  その意味で、これは重要なものだと考えます。
  その次に取りあげたのは、労働者と比較した「農家の家計費」はどうなっているかということ
 です。農業以外の一般労働者、工場労働者とか製造業の労働者とかの家計費を100として、農
 家の家計費を45年度から60年度まで掲げてあります(図16参照)。45年度を除いて、農家
 の家計費のほうが都市労働者の家計費より多いということがわかります。個々の方々が、いやお
 れのとこは少ないとか、おれのところはもっと多いという人もおられるでしょうけど、これは総
 所得の平均ですから、平均では農家の総家計費のほうが多くなっているのが現状です。だけど、
  内訳をいいますと、専業農家の家計費は、本当は工場労働者とか製造業の労働者より少ないので
  す。100に対して、90くらいです。

  それから、第一種兼業農家というのがあるでしょう。第一種兼業農家というのは、皆さんのほ
 うがよく知っているわけで、いうのが恥ずかしい気がしてしようがないけど、ときどき内職に近
 所の工場に働きに行くとか、事務所に働きに行っているのが第一種です。第一種兼業農家の家計
 費も工場労働者の家計費の平均より少なくなっています。第二種兼業農家というのは、うちは農
 家で農業もやるけど、定期的にちやんとした全日制の勤めに行っている農家です。第一種兼業農
 家の家計費は、都市労働者の家計費より多くなっています。

  ここのところが竹村健一さんの論議を見ると、非常に癇にさわっているところ、感情論になっ
 ているところだという気がします。
  しかし、よくよく内訳を見てみれば、本当に専業に農業をやっている人の家計費は少なくなっ
 ています。これも論議の事実的な基礎をはっきりさせる場合に、非常に鮮やかなイメージを与え
 るものだとぼくには思われます。これはおもしろいのです。反竹村健一とか、反大前研一という
 人たちの中で、家計費が多いということと生活が豊かであるということは別じゃないかという論
 議をする人もいます。いろいろですけど、現在みたいな素人論議と感情論と、変な政治運動家崩
 れみたいなのが入ってきて、やたらに都市と農村の対立をあおっているのがありますけど、そう
 いうとてつもないやつの論議を聞く前に、まずちゃんと事実としてこういうことがいえますよと
 いうことをはっきり押さえておいたうえで論議されたほうがよろしいんじゃないでしょうか。

  それから、そういう問題に付随して、現在、食生活はどういうふうに変わりつつあるかという
 ことをちょっと申しあげたいとおもいます(図16参照)。これはぼくがいわなくても、皆さんが
 実感でおわかりですし、『白書』にもとってもよく書いてあります。現在の食生活は、まず年齢
 によって多様化しています。もし食生活の消費に対応するように農業をするほうが経済的に有利
 だとしたら、とくに都市なんかそうですけど、年齢層によってずいぶん主食と副食の食生活は多
 様化しているといえます。

  ここらへんは、ぼく自身、実感でとてもよくわかるのです。自分のうちでも、子供は一食ぐら
 いはどうしてもパンあるいは洋食の主食じゃないとだめだみたいになっています。そこらへんは
 妥協できるのです。子供のほうも妥協して、こちらの年代用の主食とおかずに合わせることもで
 きるから、まず争いは起こらない。しかし別々にします。時間も別だし、食べるのも一食ぐらい
 は別だ、みたいなことは起こっています。

  それから、ぼくのところでも切実になるだろうなと思えるのは、ソースの好みがまるで違うの
 です。ぼくらはソースというと黒い色をしててダボダボという、おしょうゆみたいな色をしてい
 るものしか思い浮かばないけど、子供たちが作ったり食ったりしているのは、洋食からくるソー
 スで、実に多様なソースです。ぼくらはちょっと嫌だなというか、こいつはどうも口に合わない
 なという、何となく全部お酢が入っているみたいな感じと外観が気持ち悪くてしょうがねえなと
 か、あまり妥協できないところがあって、違うものをかけて食べたりします。だけど、こっちが
 年とって足腰立たなくなって、子供が食事を作る場合、ソースというのは、もう決裂だなという
 感じです。将来を考えると、暗流としてくるので、ソースの多様性ということでは、もう若い世
 代とわれわれとは全然違っている。年齢・階級によって食品の多様性と、それから格差が連うと
 いうことが、現在起こりつつあります。

  それから、みんな関連しているのですけど、さまざまな食料・加工品が出回っています。これ
 は農業の問題でいえば、農産物加工の問題と対応する気がします。
  また、家計費と関係しますけど、加工食品を買っておかずにする、あるいはもとから作ること 
 はしないということが、都市では多くなりつつあります。これらの変化を消費の変化に対応させ
 て農業の構造を考えるなら、こういう点が都市サラリーマン、都市の一般大衆の消費の形と対応
 がつくといえそうな気がします。そんなことはいうまでもなく、日本の農業がやりつつあること
 には違いないんですけど、このへんまでいわれてしまえば、非常に明瞭に農業のやり方とか構造
 は、どう変わったら対応できるかという問題が出てきそうな気がします。
 
  それから、消費者の要求の変化や消費の仕方が多様化している、つまり食べ方がいろいろにな
 っているし、加工の仕方、あるいは加工製品の要求の仕方がいろいろになっているということ。
  もうひとつは、有機農法と関連するんでしょうけど、食品による健康に注意するようになった
 ということが、都市の生活者でもいえます。これは栄養のバランスの面からも添加薬品について
 も注意するようになったということです。これも農業の問題と関連します。健康・保健に気をつ
 けた農産物、あるいは農産物加工品の製造は、一種のモダンな問題です。

  つまり、昔の農業はよかったという観点、エコロジカルな観点からだけではなくて、現代的な
 要求として健康・保健に注意するということに対応する健康食品といいますか、原始農業の問題
 じゃなくて、現代的な問題としてあるとおもいます。だから、一種の食品加工業と同じ意味で、
 健康食品、あるいは健康農産物の生産とか製造とかが問題になると思います。エコロジストがい
 うような意味あいだけではなくて、非常にモダンな農業問題としてあるといえそうです。

  もうひとつあります。それは、ふるさと食品とか世界中のグルメ食品とかに対する要求とか嗜
 好が増加しつつあるということです。これも感情論でいうと、ふるさと食品は郷土の産物であり、
 エコロジストが強調するように、濯日ながらの」ということにウエイトがあることになります。
 しかしそれだけじゃなくて、非常に現代的でモダンな問題として、都市の一般大衆の消費の中で
 要求が出てきつつあるという問題です。これも両面から考えることが必要です。
 
  世界グルメ食品みたいなのを好んで輸入して食べるということは、食品輸入が国内の農業経済
 を撹乱するだけではないのです。世界のグルメ食品に対する嗜好が、都市の一般大衆の消費の中
 で起こりつつあるというモダンな問題として、切実な問題として起こりつつあるということです,
 これもそういう両方の基礎から考える余地があります。
 これらの食生活の変貌は、都市ほど著しいでしょうし、都市の中でも、大都市ほど著しいでしょ
 しう。

  これらの消費に見あうように農業構造を変えることが、農業問題として切実であるならば、こ
 ういう問題に対して、充分に対応する方向を探る余地があり得るんじゃないかと思われます。そ
 の場合、ふるさと食品が対立の▽万に属し、世界グルメ食品は対応の一方の側に属するというよ
 うな対立の仕方は、あほの対応の仕方だとぼくはおもいます。そうじゃないのです。これらは両
 義性があるのです。非常にモダンな問題であるとともに、非常に昔からの問題です。

  食品輸入ということでは、国内の経済に影響を与えるでしょう。しかし、その食品を日本の国
 内の農業および付随産業がそれとおなじかそれよりいいものを作れるようになったらいいので、
 これもやはり切実な問題としてかんがえる余地があると理解します。


  農業の生産構造の変化

  農業の生産構造の変化はどうなっているかという問題を申しあげます。要するに『白書』が指
 摘するところそのままなので、皆さんの実感にも合うのじゃないかとおもいますし、ぼくらの理
 論的な推定にも合います。 
 
  ひとつは、農業生産が、家畜の飼育みたいな施設型の部門と、稲作のような土地利用部門の農
 業とふたつに分化することが非常に著しくなった。
  これが現在の大きな趨向だといえます。そしてこれは特に日本が西欧並みの高度成長を遂げて、
 西欧並みの社会に突入したといわれかけたころから、施設型の農業と土地利用型の農業の分化、
 分業の傾向が著しくなったのです。これらもよくよく考えれば、別段だれがいおうとそうなって
 いるという常識的なことで、ちっとも目新しい問題じやないといえそうです。

  それからもうひとつは、稲作みたいな土地利用型の部門で、大多数の零細兼業農家と大規模農
 家との分化が非常に進んできました。これは『白書』が指摘していますし、ぼくらも常識的にそ
 うかんがえます。これは非常に切実で重要な問題でしょうけど、ある意味では資本主義社会で農
 業が資本主義経済、あるいは資本主義経営の型に大なり小なり影響を受けていかざるを得なくな
  ったとき、製造業の労働生産性と農業の労働生産性を枯抗させようとすると、大規模化と機械化
 とを、だれでも考えていくわけです。そうすると、大規模化・機械化が可能な地域と、それが可
 能でない地域、農家との分化が著しくなってきます。

 これらは農業政策、つまり政府とか国家の問題として、とても重要な問題なんだとおもいます。
 ただはくらからいわせれば、これはある意味で資本主義経済をとっているかぎり、どうしてもこ
 ういうふうになるよなという問題だとおもいます。これをどこまで公正化するかという問題は、
 政治家とか政府とか、つまり国家の問題だとおもいます。国家はよくよくこういうことをかんが
 えなきやいけないという問題に当面しているんだとおもわれます。



  今申しあげたことを、地域差的に申しあげてみます。こういうブロックの分け方がいいかどう
 かわかりませんが、北海道では畜産と野菜の割合が多く、比較的上地が広いから、大規模な農家・
 農業という趨向になりつつあるといえます。東北地区では、米作・稲作を主軸にして、畜産・野
 菜・果物の割合が多い、そういう趨向に向かいつつあるし、またそうするのが有利だろうといえ
 ます。北陸地区、新潟県とか石川県では、稲作が主体で、この規模を拡大するという課題と趨向
 とをもちつつあるんじゃないかといえます。中国・四国地区では、稲作を少なくして、野菜とか
 果物の割合を多くするという課題を控えているといえそうです。中国・四国地方の農家は一戸当
 たりの耕地が割合に零細なところが多いので、地域的な特徴を生かしてどうやっていくかという
 問題があります。

  高度経済成長でどうなったかという大ざっぱな特徴はつかめますけど、それぞれの地域で抱え
  込んでいる課題は、それぞれ異なっているということが、まずいえそうです。地域、ブロックで
  異なっているといえます。これは昔からの、弥生時代からの伝統的な地域差、天候差もあります
  から、ひとりでにできてしまった規模とやり方があるのです。それでも、こういう地域ブロック
  でそれぞれの課題は違っているといえますし、もっと微細に、詳細にいえば、それぞれの中の小
  地域でまた違う。もちろん個々の農家によって、抱えている課題はそれぞれ微妙に違っている、
 そういうこともいえそうです。

  本当は、そういう問題も全部人ってこなければ論議にならないのでしょうけど、残念ですが、
 ぼくらみたいな素人では、想像力でしか、農家のここら辺につっかえている本音とか、どうした
 いとおもっているかということを把まえることができないのです。これは外からの視線、上から
 の視線というか、世界視線というか、そういう見方からすると、地域差もあり、地域の中でも抱
 えている課題には微恙があり、個々の農家ではまた微差がある。そのことは想像力の中でちゃん
 と論議に入っていなければいけない気がします。

  そうしますと、農業生産構造の変化ということから、特別な点を挙げられるのかということを
 改めていってみます。まず一点は、農業の労働生産性という問題です。農業の生産性は、都市の
 労働者とか製造業の労働者の労働生産性とか、先進資本主義国の労働生産性とほぼ匹敵するよう
 になってきています。まだ及ばないのですけど、おおよそ匹敵する。つまり国内の農業の労働生
 産性が、先進国の農業の労働生産性に追いつきつつあり、だんだん同じような伸びになってきて
 いるといえます。

 
                                 第一部 吉本隆明の経済学 

全産業に農業生産高の占める割合が相対的に逓減するのは自然過程であり、それを「貧困化」と規定
するかどうかわたし(たち)にとってどうでもよい(=従属価値)ことっだし、農業生産高の分配を
めぐる内紛あるいはその外化(転化)――所得補償など税金による補填制度や輸入関税問題など――
は極めて政治的課題にすぎない。また、農業従事者人口の逓減などは極めて社会的課題であり、さら
には、限界集落の増加による農地の荒廃面積の逓増などは、極めて国土保全や環境問題に影響するも
のだと考えているし、その対策および費用捻出問題も高度な政治問題と考えているが、しかし、農産
業が魅力のないものかと聞かれれば「わたし(たち)が考える営農法に変えれば?魅了的な富かな産
業に変貌するだろう」と。これは歳がえのない過信のような話ではあるがそのように答える。


                                          (この項続く)  

 

 

● 黒田で好景気!

Boom in Hiroki Kuroda of the Hiroshima Carp!

  

大阪場所の相撲は後味悪かったけれど、広島カープは黒田フィーバーだ。


  

デクサマニー降臨 Ⅲ

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● 大型二次電池の世界市場動向

総合マーケティングビジネスの株式会社富士経済が、次世代環境自動車分野、電力貯蔵分野、動力分
野を対象とし大型二次電池搭載製品と大型二次電池市場、その構成部材について調査。併せて家電分
野の二次電池搭載製品や二次電池の市場動向をまとめた。それによると「大型二次電池市場 8兆5,2
69億円(6.2倍) 次世代環境自動車分野がけん引 電力貯蔵システム向け二次電池 8,192億円(13.8
倍) リチウムイオン電池を中心に伸長 次世代環境自動車向け二次電池 6兆6,141億円(10.8倍) P
HV、EV向けが大幅拡大」すると予測する。ただし、伸長比は、2013年に対するものである。下表は
調査対象概要表。

 

さて、この調査結果(1)上表(下)の「大型二次電池の世界市場」では、次世代環境自動車分野、
電力貯蔵分野、動力分野の製品に搭載される大型二次電池の市場は、今後各分野で大幅な伸びが予想
されている。2013年時点では鉛電池やリチウムイオン電池の市場が大きい。2025年には次世代環境自
動車分野や電力貯蔵分野で採用されるリチウムイオン電池が大幅に伸びるとみる。次世代環境自動車
分野向けでは、2013年時点では市場の45%を占めるが、2025年には2013年比10倍以上の伸びが予
想、78%を占めるとみる。

(2)また、正極活物質が全体の36%を占める(2014年見込)。需要増加が期待される次世代環境
自動車向けでは、三元系(コバルト、マンガン、ニッケル)と、マンガン酸リチウムにその他材料を
混合するタイプが中心になるとみる。他の部材では、負極活物質やセパレータの市場が大きい。部材
市場でも、次世代環境自動車に搭載されるリチウムイオン電池向けがけん引し、2025年には2013年比
10倍以上の市場に拡大するとみる。部材別シェアには今後も大きな変化がみられず、各部材で低コ
スト化(原料買い付けや製品製造プロセスを解析しなければ詳細は分からないだろう)が進むと予想
する。

● 住宅用蓄電システム

次に、下表(上)の電力貯蔵システム向け二次電池の市場動向に注目し、(3)住宅用蓄電システム
は、非常用電源用途、ピークシフト用途(系統電力・太陽光発電電力)の導入を中心とし、非常用電
源用途は、鉛電池が米国の一部の州やアジアなどを中心に多く採用されているが、今後はリチウムイオン電
池採用が増え、逆にに鉛電池の需要が縮小するとみる。ピークシフト用途や独立電源用途でも、リチ
ウムイオン電池の採用増加するが、系統電力や太陽光発電電力のピークシフト用途の需要増加に伴い
今後伸びと期待している。2020年以降は電池パックの価格低下、またHEMSやスマートメーターの普
及、家庭向け電気料金型DR(デマンド・レスポンス)の導入拡大する。拡大量×単価原価額により予
想を下回ることもあるが、それよりも、再生エネの占める割合の数値により大きく依存する。寧ろ、
ドイツのような脱原発を掲げ積極的な投資を持続し、先進で安定的した国家建設の成功事例により、
この市場は、同社の予測を大きく上回ることもあり得ると考えている。つまり、"デクサマニー降臨"
(『デクサマニー降臨 Ⅱ』2014.10.20)が実現しているだろう。

 

● 需要家用電力貯蔵

同様に、(4)商業施設・産業施設・公共施設などに併設される定置型の需要家用電力貯蔵は、現時
点では、a)グリーンニューディール基金を背景に導入が進んだ日本の公共施設の非常用電源用途、
b)ドイツでのピークシフト/ピークカット用途が中心、c)鉛電池とリチウムイオン電池が多く、日
本ではリチウムイオン電池が主流。d)今後はピークシフト/ピークカット用途でリチウムイオン電池
電力貯蔵システムの導入が進むと予想。e)米国では補助金制度や可変ピーク帯・リアルタイム料金
制度、EMS(エネルギーマネジメントサービス)ベンチャーなどの参入により、2016年以降に大幅な
需要増加が見込める。f)日本でも、電力事業改革の進展や、可変ピーク帯・リアルタイム料金制度
の導入拡大が進む2020年以降、大幅な市場拡大を見込む。なお、アンシラリーサービスやネガワット
取引、メガワット級の大規模需要家のピークシフト/ピークカット用途は、大型化に適したNAS電池
やNaNiCl2電池が採用されるとみている。また、ここには記載されていないが、電気自動車用走行型
非接触給電システムが道路管理施設分野(『電気自動車再考論Ⅰ』2015.03.24)で拡大していけばその要
所要所に再エネとのコンビネーションの電力貯蔵システムによる市場増も見込まれるだろう。

 

 ● 大規模貯蔵(系統設置)

(5)電力貯蔵システム(系統設置)、太陽光発電システム、風力発電システムを対象とする再生可
能エネルギーの系統接続増加に伴う系統安定化用に、大型の電力貯蔵システムの導入が進んでいるが、
電力貯蔵システム(系統設置)用は、開発が先行している鉛電池、NAS電池の導入実績が多いが、近
年はa)高出力・短時間放電であればリチウムイオン電池、b)長時間放電が必要であればレドック
スフロー電池が採用される。c)太陽光発電システムでは、出力される電力を安定させ、系統設備へ
の影響を軽減させる出力安定化用途(出力平滑化、余剰電力対策、タイムシフト、計画的運転)で採
用。短時間の 出力平滑化用途では、入出力特性に優れるリチウムイオン電池の採用が多く、ニッケル
水素電池の採用も予想される一方、比較的長時間の出力平滑化が求められる場合、鉛電池、NaNiCl2
電池が採用されやすい。長時間の放電が求められる余剰電力対策、タイムシフト、太陽光発電システ
ムの計画的運転用途には鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池、NaNiCl2電池が選定されやすい。
d)風力発電システムでは、 出力安定化用途(出力平滑化、下げ代不足対策、タイムシフト)、ブレ
ードの向きを調整するピッチ制御システムの非常電源用途で採用。 出力平滑化用途では、導入実績が
豊富で信頼性が高い鉛電池、入出力特性に優れたリチウムイオン電池、ニッケル水素電池が採用され
る傾向にある。長時間の出力平滑化が求められる場合、NaNiCl2電池の採用も想定される。電力の需
要と供給のバランスを調整する下げ代不足対策、風力発電システムの計画的運転用途では大容量が必
要で、鉛電池、NAS電池、レドックスフロー電池、NaNiCl2電池が採用されやすく、ピッチ制御システ
ムの非常用電源用途では、鉛電池が主流であるが、メンテナンス性が重視されるシステムを中心に電
気二重層キャパシタの採用が増えているという。 

● 次世代環境自動車向け二次電池 

2013年時点では、a)大容量のリチウムイオン電池を搭載するEV向けの比率が高い。2025年には、市
場拡大が予想されるPHV向けも大幅に伸び、EVとPHV向けのリチウムイオン電池が市場をけん引する
とみる。b)また、鉛電池は、アイドリングストップ自動車/マイクロHV向けが中心である。c)エ
リア別ではアメリカ、日本、欧州が需要の中心である。d)アメリカはEV向けのリチウムイオン電池
の市場が大きく、e)日本ではHV向けのニッケル水素電池が中心である。欧州はアイドリングストッ
プ自動車/マイクロHV向けの鉛電池の市場も大きい。 f)今後は中国において次世代環境自動車の生
産が拡大するとみられ、日本を抜いて欧州、アメリカに次ぐ規模へ拡大すると予想するが参考になっ
た。 

 

 

 

●『吉本隆明の経済学』論 33 

 吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!       

  吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異
 なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思
 考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。
 資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。 

   はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 生産と消費
 第5章 現代都市論
 第6章 農業問題
 第7章 贈与価値論
 第8章 超資本主義 
 第2部 経済の詩的構造
 あとがき   

                                                         第1部 吉本隆明の経済学    

 第6章 農業問題

   農家の経済

   労働生産性は、どうして追いつくようになったのでしょうか。ふたつ理由があります。ひとつ
 は農業就業人口、農業人口が滅ってきたということです。それから一方では、固定資本の増加と
 いいますか、機械とか農機具とかの増加と、質の上昇でもって労働生産性が上がっています。就
 業人口が少なければ、割る率が少なくなるから、労働生産性はLがるわけです。だから一概には、
 いいぞ、いいぞといえないのです。農業の就業人口がものすごく減ったからそうなったという面
 があるのです。そのことはよくかんがえないといけない気がします。

  資本生産性は、逆に低下していて、製造業との格差も大きくなっている。つまりある単位資本
 でできる生産物の生産量は、低下しています。また労働生産性は高くなっている。それは農業人
 目が少なくなっていることが加味されているから、そういえるのです。だから、喜ぶわけにはい
 かないので、単位資本・投下資本に対しての生産性はそんなに七がっていません。
  逆に見ますと、農業以外の製造業とかエ業とかとの格差は、資本生産的にも非常に大きくなり
 つつあるといえるのが特徽です。

  円高ということが今さかんにいわれて、円高による効果があります。円高によって輸入する農
 機具とか機械類が安くなりますから、生産費が低くなります。そうすると、農産物の価格の引き
 下げが超こります。それは一面では有利なことですけど、農産物の価格引き下げは、同時に農産
 物による収益の低下を意味しますから、そういう面から見たら、あまりよくないのです。
  ここはまた竹村さんがI生懸命拡大して問題にしているところです。内外の価格差が、生産者
 段階で国際流通価格と比較して5.6倍ぐらい、消費者価格だと2.0倍ぐらい、日本と国際的な
 農産物価格の違いがある。それはデータとしてあります。この点は、農業の生産構造が社会全体
 の高度化につれて、どう変化したかの主な眼目になります。

  とくに日本の農業生産構造でどこが問題かといいますと、今の農業就業人口は労働生産性を高
 めるというデータ、労働生産性は先進国並みになりましたし、製造業の労働者と同じくらいな労
 働生産性を持つようになってきてますが、資本生産性は低い。
  それから、現在起こっている円高効果が、生産性の向上には役立っている面もありますが、生
 産費が低く、農産物農家の所得の額が減ることを意味しています。同時に、労働生産性ばかり高
 くなって、労働者並みになったということは、別な見方からすると、要するに一生懸命働かされ
 ているけど、その割にはあまり収益がない。そういう実感になってはね返ってくるところもあり
 ます。そういうことを特徴として踏まえておくことが、とても重要だという気がします。


  農業とエコロジー

  次に、機械化といいますか、農業の仕方の多少モダンなやり方ですけど、労働時間の短縮がど
 のくらいできるようになったか、データで申しあげてみます。これも一農業白書』に明晰にある
 のを、ぼくが適当にピックアップしてきたのです。
 まず農地を耕すとか、整備する時間です。これは10アール単位でとっています、昭和40年
 ごろには一六時間ぐらいかかっていたのが、現在では八時聞か9時間ぐらいになっています.こ
 れは乗用トラクターの普及と大型化によります。平均でいって、それだけ労働時間も短縮化して
 います。
 
  それから、田植えについては田植え機の使用体系が整ってきたので、昭和40年では10アー
 ル耕すのに25時間くらいかかっていたのが、現在では9時問ぐらいで田植えができます。使用
 体系が整ったところではそうなっています。
  除草も除草剤使用体系ができて、昭和40年には30時間かかっていたのが、現在では6時問
 ぐらいでできるようになっています。

  ここは、エコロジストが大規模に拡大して問題にしているところです。つまり、農作物の農薬・
 薬品公害の問題です。ここで起こる可能性は、いつでもあるのです。ここを拡大すれば、エコロ
 ジストの主張になります。これを労働時間だけでいえば、30時間のものが大体6時間か7時間
 ぐらいになっています。除草剤・処理剤といっても、なかなか難しいので、いつでも公害になり
 得る可能性があります。

  ぼくは失業中に特許事務所に動めたことがあり、除草剤の特許関係を扱ったことがあります。
 化学的にいいますと、除草剤というのは、使用闇値、使用の限界値があるのです。ある限界内
 で除草剤を使用していれば、このデータのとおり、30時間のものが6時間ぐらいで除草できる。
 ぼくは、戦争中に農村動員で、除草をやったことがあります。これはものすごくくたびれるんで
 す。くたびれて、しかも目に見えた成果がない。つまり、おれがこうやったからこれだけ何かが
 できたということはない仕事で、ものすごくいやなんです。これが、30時間が6時間に減ると
 いうのは、大変いいことです。

  しかし、除草剤は使い方が難しいのです。純化学的にいっても、限界値があって、限界値内だ
 ったら有効性があるけど、限界値をこえると、システマティックという言葉を使いますけど、組
 織内にあまった薬品が入ることが、除草剤の種類によってはあり得るのです。つまり組織内に除
 草剤が入ってなかなか出てこないことがあります。実験室か実験田んぼでやる同値は、そのまま
 本当の田んぼとかに通用しないのです。ちょっと違っちゃうんです。

  ぼくがなぜそんなことを知っているかというと、そういう特許を扱ったときに、特許の範囲が
 問題になって、争いになったのです。片一方の主張は、ここまでの範囲はおれたちの特許範囲だ
 というし、片一方は、いやおまえのは実験田んぼでやったからそういう結果になったけど、実際
 にやったら公害になっちゃうとか、遂に雨がざっと降ってきたら全部流れ出して無効になるとか
 いうことがあるから、おまえが決めたこの範囲は無効だといいます。そういうことを扱ったこと
 があるので、よく知っているのです。

  除草剤とか成長促進剤というのも同じです。ある闇値の中で使うと成長促進に役立つんですけ
 ど、その闇値を決めるのが大変難しいし、本当の田んぼでやったのと実験田んぼでやったのでは
 まるで遂っちゃうし、野原でやるといつ雨が降るかわからないのです。そうしたら、無効になっ
 たり、逆に多過ぎて植物の成長どころか、枯らしちゃったり、余計な分か植物の中に入ってきた
 りして、限界がものすごく難しい問題なのです。

  だから、エコロジストがいうのももっともなんです。この除草剤をどれだけ使うかという範囲
 を決めるのはものすごく難しいのです。ただ労働時間短縮という観点から見たら、30時間だっ
 たものが6、7時間でできるというふうに短縮されます。
  それから、収穫の問題です。バインダーが普及して、収穫が50時問かかっていたのが現在で
 は10時間ぐらいに短縮されている。それ以外の作業でも、30何時間のものが20何時間かに
 減っています。合計でいいますと、昭和40年では141時間くらいかかっていたのが、現在で
 は55時間でできるというくらい、労働時間が機械化で短縮されています。労働時間短縮という
 ことは、いいかえれば労働の生産性の上昇を意味します。だけど、除草剤を使った場合の公害問 
 題もあります。また、柄に合わないトラクターとかコンバインを質ったら、もてあましちゃうと
 いうこともありえます。

  それから、皆さんのほうが切実にご存じで、ぼくはあまり切実には知らないのですが、適正閾
 値は個々の地域とか、個々の農家のやり方で違うはずです。それは皆さんのほうで、具体的なイ
 メージで考えるべき問題だとおもいます。そこはぼくらの力の及ばないところです。
  次に、農業の新技術はどういうふうに現になされているかということです。ぼくは外側からし
 かわかりません。『白書』が記載していますので、ピックアップして申しあげてみます。

  第一は、「代かき」ということですが、ぼくには何だかぜんぜんわかりません。代かき浚、水                  
 田の土中に直接種まきをする。それを「水稲湛水L壌直まき」というんだそうですけど、これが
 地域によってどのくらい行われているかというデータがあります。たぶん有効だからやられてい
 るのでしょう。                                 
  第二に、田植え作業と同時に肥料を土中に施すという、「水稲鴻巣施肥一というのがあるそう
 です。これも地域によってどのくらいやられているかというデータがあります。これは新農法で、
 農業の総合生産性を高めるという意味合いを持つのが大部分だとおもいます,要するに、少ない
 時間で安くていい作物をとるという問題です。
  第三に、組織培養技術によるウイルスフリー苗を増殖する技術です,これもどの地域でどのく
 らい使っているかというデータが出ています。ぼくは外側からしかわかりませんから、さきに降
 参しておきます。

  また、優良な雌牛から移植する、受精卵移植技術の発達によって、いい牛がたくさんとれるよ
 うになっている。これもやられているところはとこか、どこでどのくらいやられているかという
 データがあります。
  あとは機械の問題です。高性能な汎用コンバインみたいなものが出てきて、高性能・高速な田 
 植機が実用化してきたと『白書』でいわれています。
  これらはいずれもぼくらのいちばんだめなところです。つまり外側からいっているだけで、外
 側からしかいえないんだったら、農業問題をやるべきじゃない、いうべきじゃないとおもうので
 す。だけど、今日は研究会とか、読書会とか、読書報告会という、ぼくが『白書』を読んで報告
 しているようなものだと考えられて、そこは勘弁していただきたいのです、これは皆さんのほう
 がよくご存じの問題だとおもいます。

 

  農業人口と戸数

  次に取りあげるのは、農業の人口と戸数の変化です。61年1月現在を申しあげますと、全農
 家を単位2000戸戸数で4331だとして、それは全農家ですから、構成比を100とします
 と、一種兼業は660で15.2%です。それから二種兼業、つまりサラリーマンとして働いても
 いるし、うちで農業もやっているという農家が69.9%。専業農家は14.5%だというデータ
 が出ております。

  そして51年から61年の減少年率です。年にどれだけ減少していったかというと、だいたい
 1%から順繰りで1.6%ぐらいずつ減少していっています。それは最初に申しあげましたから、
 それでだいたいよろしいんじやないかとおもいます。
  今度は逆に、第二種兼業が半分以上を占めていて、専業農家が14.5%ぐらいしかないという
 のに、助成金を与えるのはけしからんというのが竹村さんの主張の大きな柱になっています。竹
 村さんは、たとえばドイツは専業農家が大部分を占めるように、農家の育成をやりながら農業の
 新しい時代に対応させようとしているといっています。日本の農政は兼業農家、しかも二種兼業
 農家のほうが大部分を占めているのに、まだ助成金がどうだ、農産物価格がどうだとかやってい
 るし、食管法がまだ通用している。これは農政の失敗なんだというのが竹村さんの論議の大きな
 柱です。

  それから、農家の就業人口です。これは57年度483万、それがずっと減ってきて、61年
 度は平均して計算しますと、136万くらいになり、これは60年度に比べて少し減っています。
 だから、年々減りつつあるのが現状だということがわかります。これもまた竹村さんが非常に対
 立型の論議がどうしてだめかというと、歴史の必然がだんだん対立型の限界を示しつつあるとい
 うこと。歴史の必然、文明の必然が示しつつあります。ぽくの理解の仕方では、ほっとけば竹村
 さん型の論議が勝利するとおもいます。これは自民党の政府だから勝利して、共産党の政府にな
 ったら勝利しないということではないのです。文明史の必然によって、竹村さん型の論議はほう
 っておけばだんだんそうなってくるとぼくは思っています。それは、文明史の推移的必然をひと
 つ勘定に入れなければいけないという問題です。

  現在の一見軽薄な素人論議の対立みたいなものの中、あるいはへんてこりんな政治運動家の入
 りまじった論議の根抵のどこかには、文明史の必然というものがちゃんと入っているということ。
 そのことを加味しなければ論議にならないということ。それから、都市が栄えるためには農村を
 ぶち壊せとか、農村を保持するためには都市の横暴をぶち壊せという、この種の論議は、たぶん
 終焉に向かいつつあるとぼくは思っています。
  それは現にそういうふうに起こりつつあります。なりつつあるとはいいませんけど、そういう
 兆候が見えているとおもいますし、またいちばん先端的なところで想像力を働かせば、そうなっ
 ていく必然をだれも止めることができないとおもいます。

  ぼくはマルクスの徒です。マルクスは経済史は自然史の廷長なんだ、だから経済史は、人為的
 には動かせないんだといっています。動かせるのは、たかだかそれを遅くするか早くするか、そ
 れだけのことだ。それだけが人為的にできることで、自然史の流れとしての経済史は、必然的に
 しか推移しない。これを遅くするか早くするかという問題だけが人為的な問題、つまり政策の問
 題だったり、やり方作問題がっかりというのが、マルクスの基本的な観占です。ぼくらは概算し
 ておおよそその考え方は正しいと思っています。

  都市と農村の対立がぎりぎりで都市が発生し、そして農村の対立がぎりぎりになり、都市が農
 村の人口を吸収して、産業革命で産業を拡大していって、あらゆる弊害があらわれたという時期
 がありました。その現状がマルクスの理論的な基礎になったのです。マルクスは、経済史が自然
 史の延長だということ、そして人為的に勤かせるのはせいぜいそれを遅くするか早くするかとい
 う問題だけだ、つまりそれが革命の問題なんだといっています。そして、マルクスは構造改革論
 者ではなく、政治革命優先論者ですから、政治革命としては、支配的な階級を一挙に打倒して、
 労働者が権力を握って、さまざまな施策をやらなきやだめなんだといっています。革命だったら、
 政治を一挙に変えるということでしょう。

                                 第一部 吉本隆明の経済学 

わたし(たち)は、植物工場のように環境を制御し、無農薬で栽培するこは可能だと考えているから
除草剤の使用範囲の規定の難しさは承知しているが、その解決方法も提案できるだろう考えている。
さて、先を読み進めよう。

                                                          (この項続く)  
  

最新デジタルグリッド技術

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                                                    神々は詩人と同じに商人を愛した
                                     地の幸を均等に配り、遠くと近くを一つにした彼を。
 


                                           へルダーリン『エーゲ海』川村二郎訳

 

  

●『吉本隆明の経済学』論 34 

   吉本思想に存在する、独自の「経済学」とは何か。
 資本主義の先を透視する!       

   吉本隆明の思考には、独自の「経済学」の体系が存在する。それはマルクスともケインズとも異
 なる、類例のない経済学である。本書は、これまでまとったかたちで取り出されなかったその思
 考の宇宙を、ひとつの「絵」として完成させる試みである。経済における詩的構造とは何か。
 資本主義の現在と未来をどう見通すか。吉本隆明の残していった、豊饒な思想の核心に迫る。  

   はじめに
 第1部 吉本隆明の経済学
 第1章 言語論と経済学
 第2章 原生的疎外と経済
 第3章 近代経済学の「うた・ものがたり・ドラマ」
 第4章 生産と消費
 第5章 現代都市論
 第6章 農業問題
 第7章 贈与価値論
 第8章 超資本主義 
 第2部 経済の詩的構造
 あとがき    

 

                                                         第1部 吉本隆明の経済学     

 第6章 農業問題

     農業人口と戸数

  それから、徐々に、あるいは一挙に変えられるのは、政治とか制度とか、ぼくの言葉でいえば、
 共同幻想に属するものだけは、やり方によっては一挙に変えることもできる。しかし、自然史の
 延長としての経済史、経済の進展は、一挙に変えることはできない。これは自然に変わる以外に
 ないのです。そして自然に変わる必然に対して、人間がもっといいことをもっと早くさせようと
 するなら、それを促進したり、遅くしたりということは、もちろん人為的に可能ですけど、自然
 史全体の流れとしての経済史を動かすことはできないのです。ぼくだったら、そのことを根抵に
 踏まえたうえで論議を進めるとおもいます。

  だから、貯蓄額だけを拡大してとってきて、都市より農村が富んでいる、それにもかかわらず
 都市の一般大衆、一般労働者は、こういうふうに苦しんでいる、住宅で苦しんでいるし、税金は
 取られるだけだ。竹村さんが丹念に挙げるこういう論議は、一見するといいようだけど、ぼくは
 古いタイプの論議の気がします。もし時間があったら、後でそういう問題にもちょっと触れたい
 とおもいます,こういう問題が、農家の経済問題の中でかんがえなければならない問題だとぼく
 はおもっています、

 (後略)


※ ここでも、「後略」されている箇所を読みたいと思うが無理だ。これで、「あとがき」を残しこ
  の項は終了する。




 あとがき

  この仕事に着手したのは、いまから六年前のことであり、そのときにはまだ吉本隆明さんはご
 存命だった。そのため収録する論文や講演やインタビューの選択にあたっても、吉本さんご本人
 と相談しながら作業を進めることができた。その作業の進行途中で吉本さんが突然に、経済学に
 ついての仕事は自分にとってとても大切なものだからその本は自分で書きたいと言い出されたり、
 東日本大震災と福島第一原発の事故が発生して私の身辺があわただしくなったりと、とかくして
 いるうちに、吉本さんはしだいに弱られて、ついに不帰の人となってしまった。いまこうして
 『吉本隆明の経済学』を書き上げたとき、私の心にはさまざまな思いが去来する。

  ご本人の言葉どおり、経済学は吉本さんの思考にとってきわめて重要な領域をかたちづくって
 いた、日本の敗戦によって自分の思想のよって立つ場所が完全に崩壊してしまったことを深く自
 覚した吉本さんは、戦後の混乱の中で、日本人に決定的に欠如していた「世界認識の方法一を獲
 得するための思想的格闘を孤独に進めた、そのときに吉本さんにもっとも確実な足場を与えてく
 れたのが、経済学の研究であった。
 
  マルクスが打ち立てた雄大な世界認識の方法に圧倒された吉本さんは、その方法の基礎となっ
 ている経済学を、体系的に勉強しなくてはならないと考えた。そのためにマルクスにいたるまで
 の古典派経済学の思想的展開を、数年間かけて徹底的に勉強することを自分に課した。その勉強
 をとおして吉本さんは、自分の考えうるところもっとも確実な世界認識の方法と思えるものを、
 独自のやり方で取り出してくることができた。それからのちに吉本さんが文学論、詩論、政治論、
 国家論などの形をとおして展開する思想の礎は、このときの経済学の研究によって打ち固められ
 た、と言っても過言ではない。

  吉本さんの思想の中では、詩の科学と経済の科学は最初から密接に結びついていた。初期詩集
 にはじまり『言語にとって美とはなにか』で一つの頂点を迎える吉本さんの思考の本質は、ハイ
 デッガーの言う「詩人性」の本質の解明にあったが、その詩人性の本質を維持したまま、吉本さ
 んは経済の領域での探求をおこなった。言語と経済を通底する深層の「原―交換」にまで降り立
 つことによって、言語芸術と資本主義の本質を同時に究めていこうという戦略と言える。そこか
 ら資本主義の現在形の理解とその未来についての見通しを得るために、吉本さんは「詩人性の経
 済学」の能力を最大限に生かした、ユニークな思考を展開した。

  しかし吉本さんは、それを一つの体系にまとめあげることには、あまり関心を持だなかった、
 そのため、吉本隆明の思想の世界に統一性のある経済学思考が存在するという事実に、いままで
 あまり注目がなされなかったのも事実である。私が本書の第二部「経済の詩的構造」という論文
 を書かなければならないと考えたのは、そのためであった。

  私はこの論文において、「詩人性」なるものを一つの明確な構造として思考の土台に据えたと
 きに、ごく自然な形で生まれてくることになる未知の経済学を素推してみようとした ケネーか
 らスラッフアにいたる経済学思考の系譜を吉本さんはあまり重視していなかったが、私の考えで
 は、『言語にとって美とはなにか』の思考を徹底すると、自然とそこにはこの系譜の経済学思想
 が浮上してこなければならないのである。そしてそこまでくれば、吉本さんの超資本主義をめぐ
 る予言的思考が、さらなる一貫性と確実性を獲得するようになる、というのが私の考えである。

  私は言語と経済の領域における吉本隆明の思考を受け継ぎ、拡張することによって、それを新
 しい可能性のなかに間いていこうと思う。スペースの関係で本書に収録することのできなかった
 論考や講演は、まだまだたくさんあって、そのなかには私のまだ気がついていない可能性を秘め
 た着想が隠されているにちがいない。その意味では、本書はけっして到達を示しているのではな
 く、むしろ始まりを示しているにすぎない。それほどに、吉本隆明の残していった思想の世界は、
 豊饒なのである。

  本書のプロジェクトははじめ、筑摩書房の四緑詠子さんを協力者として始められた。吉本さん
 との打ち合わせのほとんどは、彼女を介しておこなわれた。四緑さんが出産と育児のための長期
 休暇に入ってからは、同じ編集部の小船井健一郎さんにバトンタッチされて作業が進められた。
  とくに吉本さんが已くなられた後は、ご長女のハルノ宵子さんとの連絡などは、小船井さんが
 担当してくれた。ご両人とも長い間ほんとうにお世話になりました。また私たちの作業が暗礁に
 乗り上げそうになったとき、陰からそおっと力強い助けをあたえてくれた間宮幹彦さんにも、こ
 の場を借りてお礼申し上げます。
 
  本書を吉本隆明さんの御霊に捧げたいと思う。吉本さんはいまも、人類が「霊」などと言って
 きたちの が、ほんとうのところは何であるのかを探求されていることてあろう。その探求の精
 神は、私を含めて多くの人に確実に受け継がれている。だからそれは死なないのだ その死ぬこ
 とのかいものをかりに御霊と呼んで、本書をそれに向かって棒けようと思う。

  2014年7月5日 奈良にて
                                       中沢新一

 引用文献一覧

 (底本は以下のものを使用しました)

 第一章 1 幻想論の根柢――言葉という思想
       『言葉という思想』(弓立礼、1981年/中公文庫、1995年)所収
     2 言語と経済をめぐる価値増殖・価値表現の転移
       『吉本隆明の文化学――プレ・アジア的ということ』(三交社、1996年)所収
 第二章 1 三木成夫の方法と前古代言語論
       『新・死の位相学』(春秋礼、1997年)所収
 第三章 1 経済の記述と立場――スミス・リカード・マルクス
       『超西欧的まで』(弓立礼、1987年)所収
 第四章 1 エコノミー論
     2 消費論
       共に『ハイ・イメージ論Ⅲ』(福武書店、1994年/ちくま学芸文庫、2003
       年)所収
 第五章 1 像としての都市――4四つの都市イメージをめぐって
       1992年1月21日、日本鋼管主催の講演。『吉本隆明全講演ライブ集』第11巻
       (発行=吉本隆明全講演CD化計画、編集=弓立社、2005年)所収
 第六章 1 農村の終焉――〈高度〉資本主義の課題
       1989年7月9日、「修羅」同人主催、長岡市で行われた講演。『吉本隆明全講
       演ライブ集』第5巻(発行=吉本隆明全講演CD化計画、編集=弓立社、2002
       年)所収
 第七章 1 贈与論
       『母型論』(学習研究社、1995年/思潮社、2004年)所収
     2 消費資本主義の終焉から贈与価値論へ
       『マルクス――読みかえの方法』(深夜叢書社、1995年)所収
 第八章 1 超資本主義の行方
       『超資本主義』(徳間書店、1995年/徳間文庫、1998年)所収
     2 世界認識の臨界へ
       『世界認識の臨界へ』(深夜叢書社、1993年)所収

 
今夜で読了となる。経済学ということで特異な経済思想に触れ大変な驚きをもってここまで読み進め
てきたが、大きな枠組みの考え方に異論がないが、具体的な政策論としてはその原理的な考えに違和
感も抱いたが、そんなものだろうと自然体で受け止めてきた。具体的には原子力発電政策であり、産
業政策である。それは、地下化石燃料本位制→先端技術本位制→環境リスク本位制という世界的な政
治経済の潮流を40年前に想定していたわたし(たち)にはむしろ、こちらがぶれることなくここま
できている。大きく変わったのは、第5次産業革命のデジタル革命(これを後に、わたしは「デジタ
ル革命渦論」と呼称する)がもたらす激しい時代変化であった。産業交易で例えば、産業システムを
機械工学的なとすれば、このが移転され、それを用いた生産環境が整備されていれば即
座に、後進国であろうともコピーされ大量生産できてしまう――もっとも、"仏彫って魂入れずに喩え
られるような「マクドのチキンナゲット問題」も後をたたないが――そして、大きく異なるのは労務
費だけということになる。このやこのを用いた生産システム(あるいは消費システム)
のデジタル技術の依存度が高ければ高いほどその効果は絶大なものとなる。その6つの基本特性の1
つであるデフレーション(第4則)の典型例として、例えば、下図のごとくわずか12年間で、遺伝
子解析費用は2万分の1にまで逓減している、と。いうふうにだ。

  

しかし、そのような、金融をはじめとする産業構造の大変動に対応できずに、失敗を重ねてきたので
ある。その意味では、マルクス経済学やケインズ経済学あるいはそこから派生した新自由主義を全否
定してみても、そこからはなにも得られないとうのがわたし(たち)の立場であり、『ケインズをデ
ジタル蘇生』(2013.03.23)として展開させてきた。また、トマ・ピケティの『21世紀の資本』の
出版に先立ち、消費税の見直し、所得税の累進性強化などの政策変更においては、マルクス経済学的
政策(併行してポスト・ケインズ主義政策も)などをこのブログで掲載している。




それはさておき、さて中沢新一はこの項で、「吉本さんの思考の本質は、ハイデッガーの言う「詩人
性」の本質の解明にあったが、その詩人性の本質を維持したまま、吉本さんは経済の領域での探求を
おこなった。言語と経済を通底する深層の「原―交換」にまで降り立つことによって、言語芸術と資
本主義の本質を同時に究めていこうという戦略といえる。」とあとがきしているが、ハイデッガーの
言う「詩人性」の本質の解明――という件にとまどってしまった。そして、ネット検索で下記の一節
に目が留まった。まずは、ハイデッカーと仲正昌樹を理解しなければと考えるに至る。これを実行す
るのは桜の盛り過ぎる頃となるだろう。

 「しかし、一つの詩(ein Gedicht)を知るということは、たとえそれが最も背後の細部に至るまで
 なされようと、それはまだ詩作の威力圏......(Machtbereich)の中に立つ.....こと
 を意味しない。つまり、我々は単に手前にある読み物としての詩を克服しなければならない。詩
 は変容し、詩作として開示されねばねらない」(GA39, 19)。詩作の威力圏に参入するというこ
 とは、日常性に絡め取られている我々の「現存在」からいったん離れるということでもある。ハ
 イデガーは、日常性を離れて、ヘルダリンが(存在を)「詩作」した根源的瞬間に立ち会うよう
 に呼びかける。「詩人自身が闘い..を通して詩作の主かつ僕になるように、もっぱらそのよう
 にすることによってのみ我々も手前にある詩を超えて詩作の空間に到達することができるのであ
 る。詩の中での詩作をめぐる闘いは、我々自身に対する闘いである。我々が現存在の日常性の中
 にあって、詩作から放逐されている〔…〕限りでは」(GA39, 22)。こうしたハイデガーの呼び
 かけは、見方によっては、超越的な体験のためのイニシエーションの呼びかけのようにも見える。


                 (仲正昌樹「哲学にとっての母語の問題――ハイデガーの
                        ヘルダリン解釈をめぐる政治哲学的考察」)

                                                        この項了  



● デクサマニーとアンシラリー

 

英語でアンシラリー(Ancillary)とは、「補助的な」「付属の」という意味である。電力用語のアン
シラリーサービスは、電力品質(周波数や電圧)を維持するために電力系統運用者が日々行っている、
周波数制御などの系統運用サービスのことであり、電力ビジネスにとって非常に重要なサービスのこ
と。アンシラリーサービスをおろそかにすると、周波数や電圧が変動し、家庭の照明が明滅したり、
モーターを使う工場では製品の品質にムラが発生するなど、様々な悪影響が発生する。極端なケース
では大停電になることもある。かつては、電気エネルギーの供給機能とアンシラリーサービス機能は
一体不可分のものとされ、垂直統合型の電力会社がアンシラリーサービスを独占的に担うのが一般的
だったが、発送電分離を進めてきた海外では、アンシラリーサービス機能を細かく分類し、取引市場
を通じて売買する仕組みが発達した。これがアンシラリーサービス市場である。


 

しかし、すべてのアンシラリーサービスが市場取引に適している訳ではないし、すべての発電所がア
ンシラリーサービス市場に参加できる訳でもない。例えば、周波数制御市場に参加できるのは、系統
運用者からの制御信号に応じて自動的に出力増減できる機能(AFC:Auto Frequency Control)などの特
別な能力を持つ発電所だけである。瞬動予備力市場に参加できるのは、短時間で出力を増減できる発
電所だけである。加えて、米国では最近、デマンドレスポンス(ネガワット)のアグリゲーターが、
負荷削減の応答性が良い需要家を集めてアンシラリーサービス市場に参入するようになっている。ほ
かに、バッテリーをアンシラリー市場に参加させる動きもある。ちなみに、米国東部のISOであるPJM
が公表したアンシラリーサービスの取引価格(2010年の平均価格)は、周波数制御市場が約1.8セント
/kWh、瞬動予備力市場が約111セント/kWh程度。日本では現在のところアンシラリーサービス市場と呼
べるものは存在しない。一般電気事業者のみがアンシラリーサービスを提供し、そのコストは電気料
金や託送料金の形で広く需要家から回収されている。

ところで、アンシラリーサービス市場がないということは、一般電気事業者以外の市場参加者にとっ
て、発電設備にアンシラリー機能を装備させようというインセンティブが存在しないことを意味する。
(1)例えば、迅速に出力を変動できる発電所は、そうではない発電所に比べて価値が高いが、電力
スポット市場では、kWh単位で計測される電力量だけが取引されるため、価格にはまったく差がつかな
い。これでは、市場で販売する発電者にとっては、わざわざ高価なアンシラリー機能を付ける気にな
らない。(2)また、高速な負荷制御ができる需要家が存在したとしても、その能力を発揮する舞台
がないことを意味する。

 


 
● デジタルグリッド技術時代

アンシラリーサービス市場が脚光を浴びるポイントは、(1)地球温暖化や資源枯渇を背景とした、
再生エネ(再生可能エネルギー)と、(2)スマートグリッド、(3)電力の自由化の拡大普及の時
代背景があり、それを担保する、多端子型電力変換装置、自励式双方向電力変換器、デジタルグリッ
ドルータをはじめとしたデジタルグリッド技術の進化がある。くどいが、ここでデジタルグリッドと
は、電力系統内において情報により指定された複数のインバータ等を同時に動作させて電力を非同期
に制御することによで、制御した電力を識別可能とし、情報と電力の融合したインターネットライク
な電力インフラストラクチャーを意味し、その効用は、(1)デジタルグリッドルーター(DGR)で
区分された、分散形電源・貯蔵装置・負荷を持つ自立運転可能な最小グリッド単位(家庭・商業施設・
ビル・ゲートタウン・村・町・市・県・地方等)を意味するセルの自然エネルギー変動を内部でとど
め、停電連鎖を起きにくくする。(2)セルは基幹配電・変電・送電系統にピークカット・周波数垂
下特性・電圧維持などのアンシラリーサービスが提供される。(3)セル内部に無停電とハイパワー
が供給できる。(4)系統側から見ると、自前でユニバーサルサービス設備を調達してくれ、必要な
時にはグリッドサポートしてくれる需要家として機能するなどが挙げられる。



● 今夜のイチ押し情報

最新の 03/17日版で量子ドット系PbS太陽電池がη=9.9%で記録更新。




キャプテン!何をするのですか。

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● 2つの世界の医療トップランナーの記録 

エボラ出血熱に有効な新たなワクチンの開発に、東京大医科学研究所や米ウィスコンシン大などの
研究チームが成功した。米国内で実施したサルを使った実験で有効性が確認され、現在臨床試験が
進められているワクチンよりも安全性が高いという。論文は26日、米科学誌サイエンス電子版に掲
載された。東大医科研の河岡義裕教授らの研究チームは、エボラウイルスが増殖するのに必要なた
んぱく質を欠損させた変異ウイルスを作成。このウイルスはエボラウイルスが持つほぼ全てのたん
ぱく質を含むため、従来のワクチンより高い効果が期待できる一方、特殊な人工細胞を使わないと
増殖できないため、安全性も高いという。

この研究チームは、人への接種を想定し、ワクチンから毒性を取り除く「不活化」※の手法を検
討。過酸化水素水で不活化したワクチンをサルに接種後にエボラウイルスに感染させる実験を行っ
たところ、すべてのサルが生き残り、エボラ出血熱の症状も示さなかったという。

※エボラウイルスの遺伝子の一部を欠損した変異エボラウイルスを作製しました。この変異ウイル
スは、特定の細胞においては増殖できるが、普通の細胞では増えることはできない。開発したエボ
ラウイルスワクチンの安全性をさらに高めるため、この変異エボラウイルスを過酸化水素水で不活
化しワクチンをサルに接種してその効果を評価しました。その結果、このエボラウイルスワクチン
を接種したサルは、その後、致死量のエボラウイルスを接種されても、エボラウイルスに感染しな
いことが明らかとなりました(詳細は上写真上をクリック)。

 

東京大学医科学研究所らのグループが、4種類の蛍光たんぱく質を発現するインフルエンザウイル
ス「Color-flu(カラフル)」の作製に成功。Color-fluは、蛍光たんぱく質を
利用して感染細胞を光らせるので、インフルエンザウイルスの感染によって起こる炎症など、生
体内でウイルス感染が広がる様子をさまざまな手法で画像分析することが可能になる。この研究で
は、ウイルス本来の病原性を保ち、挿入した蛍光たんぱく質の発現をほぼ完全に維持できるウイル
ス株を樹立することに成功し、「Color-flu」と名付る。インフルエンザウイルスの存在
を示すレポーターとして、蛍光波長の異なる4種類の蛍光たんぱく質eCFP(青緑)、eGFP
(緑)、Venus(黄)、mCherry(深赤)注1)を用いていた。Color-fluが
さまざまな画像解析手法に応用できることを実証。深部の組織が観察できる2光子レーザー顕微鏡
を用いて、マウスの肺組織のウイルス感染細胞とマクロファージのタイムラプス撮影に初めて成功、
インフルエンザウイルスの感染により炎症が生じる様子を詳細に確認できたという。さらに、Ve
nusを発現する高病原性鳥インフルエンザウイルスを作製し、肺での感染の広がり方を高病原性
ウイルスとインフルエンザウイルス(PR8株とで比較できた。作製した病原性を維持したまま蛍
光たんぱく質を発現するインフルエンザウイルスは、ウイルスに対する生体防御や気道炎症のメカ
ニズム解明ができ、新薬開発に役立つ。なお、この研究は、東京大学、米国ウィスコンシン大学、
鹿児島大学との共同研究による。

● iPS細胞などを用いた臓器再生に関する基本特許が日本で成立

 

 

 

 

● キャプテン!何をするのですか。

ドイツのジャーマンウイングス機が24日墜落し乗客と乗員合わせて150人が犠牲となった事故では、
副操縦士が機長を操縦室から締め出し、同機を意図的に山中に墜落させたとの見方が強まっている。
航空史ではこれまでにも、パイロットが航空機の急降下や目的地以外への運航を選択したとみられ
る事例がまれながらある(Bloomberg 2015.03.27)。同社の報道によると、過去記事と航空事故に関
する情報を集めたウェブサイト「航空安全ネットワーク」のデータに基づいて集計した、パイロッ
トの自殺または不正行為との関連が指摘される事故のリストをまとめている。

◎マレーシア航空370便、2014年3月:370便は予定されていた航路を外れてレーダーから消
え、消息を絶った。乗客・乗員239人が死亡したとされる。捜索活動が続けられたが、残骸は見つか
っていない。パイロットの意図的な行動が一つの仮説として挙がっているものの、原因究明には至
っていない。

◎LAMモザンビーク航空、2013年:AFP通信がフライトレコーダーのデータに基づく予備調査
の結果として報じたところによれば、パイロットが旅客機エンブラエル190を「意図的に墜落さ
せ乗客27人、乗員6人が死亡した。

◎エジプト航空990便、1999年:副操縦士が、同機を米ニューイングランド沖に墜落させ217人が
死亡した。事故調査で関係者の証言から副操縦士が以前に性的不品行を非難されていたことが判明。
それに対する「腹いせ」が動機とされている。

ボツワナ航空、1999年:健康上の理由でフライトを禁止されていたパイロットが旅客機ATR4
2を離陸させ無線でさまざまな要求をした後、別の2機に衝突し、1人が死亡した。

◎シルクエアー185便、1997年:パイロットが、ジャカルタからシンガポールに向かっていた同
便を意図的に墜落させたとみられている。104人が死亡。事故原因は公式には確認されていない。

◎日本航空350便墜落事故 1982年:日本航空、福岡発東京行350便、DC-8-61型機(機体番号JA8061)
が羽田空港沖に墜落した事故羽田沖事故、日航逆噴射事故と呼ばれる。機長は業務上過失致死罪に
より逮捕となったが、精神鑑定により妄想性精神分裂病と診断され、心神喪失の状態にあったとし
て検察により不起訴処分(「キャプテン、何をするのですか!」は当時の流行語となっている)。

  副操縦士は鬱病だった?!
  

情報は、ドイツの調査報告を待つばかり恰好になっているが、毎日新聞(2015.03.27)は、150人
の犠牲者を出した独ジャーマンウイングス機の墜落は、副操縦士が意図的に行った可能性が高いこ
とが捜査当局の調べで明らかになった。仏独当局はテロの可能性を否定。焦点は副操縦士の動機に
絞られた。副操縦士は27歳の若者。長年夢見たパイロットになり、2年前から操縦かんを握り始
めたばかり。控えめな性格で、周囲は衝撃を受けている。一方、副操縦士が独りで閉じこもった操
縦室の扉は、外から開けることができなかった。2001年の米同時多発テロを教訓に導入された
安全対策が裏目に出たと報じている。AFP(同上)は、ドイツ格安航空会社ジャーマンウイング
ス(Germanwings)4U9525便は機長を操縦室から閉め出した副操縦士によって「意図的に」墜落さ
せられた疑いがあるとした仏当局の発表は、世界を震撼させ、航空各社は相次いで操縦室規則の見
直しを表明したと報じている。また、産経新聞(同上)は、ドイツ格安航空会社「ジャーマンウイ
ングス」のエアバスA320機墜落を受け、欧米の航空業界が26日、安全性向上に向けた対応に
動き始めた。墜落は操縦室内に1人残った副操縦士が故意に引き起こした可能性が強まっているこ
とから、同様の事態を防ぐため、操縦室内に常に2人の人員がいる体制を義務づける方向に是正さ
れると報じている、因みに日本では「操縦室2名常駐ルール」なし。朝日新聞デジタル(同上)は、
見出しで"コックピットで何があった 操縦士が閉め出し「想定外」"と伝え、図解絵を掲載してい
る。

こんかいの事故で、操縦士の健康管理など就労ルールが是正されそうだ。格安航空社の登場でコス
ト・カット競争に晒され安全が疎かにされないようにとの警鐘かもしれない。日本では、福知山線
脱線事故(自動列車停止装置)、福島第一原発事故(非常用電源)はその事例である。

 

 

● 有田に負けていられぬ信楽?

有田といえば、ネットコンベヤー搬送式超音波洗浄装置の開発でお世話になった経験があるが、その佐賀
の有田焼きをスリーディープリンタで陶磁器を造ることに成功したという。これは同じ滋賀は信楽
焼きも負けていられないぞ!というわけで掲載。陶磁器業界は、従来、職人の持つ伝統的な技術や
経験に依るところが大きい産業。今日、コンピュータや3DプリンタといったICT(情報通信技術→
「デジタル革命渦論」と呼んで欲しいところだが)による生産方式の導入が急ピッチで進んでおり、
「型を用いない製造」で直接造形を可能にする「C3DPO技術」は、これからの陶磁器の製造と流通に
変革を及ぼす可能性を秘めていると開発者の佐賀県窯業技術センタと報じている。その製法は、粉
末状の陶磁器原料と有機系バインダーを交互に塗布、3Dデータを基に3Dプリンタで、細かい等高線
状に固めて造形したものを焼成することで陶磁器にする。


C3DPO(Ceramic 3D-Direct Print-Out)

ただ今回の「C3DPO技術」を使った直接造形生地は、完全に磁器化しておらず、強度不足で、技術開
発には実用段階でなく、寸法精度や密度・強度の向上、造形の自由度を高めるため周辺技術等の残
件をクリアする必要があるという。出来てしまえば「コロンブス卵」。挑戦と細心をもって砕身と
いうことになる。頑張ろう!佐賀。


旬を科学する時代

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● ブラックペッパー家庭内菜園記 Ⅰ

さて、簡易温室とヒーターの性能をチェック――野外置きの場合加熱保温が追いつかず、南側の書斎の掃き出し戸
側に置き変更――した後、ナチュラル・ハーベスト有限会社(下図)が販売する4粒の黒胡椒の種をポットに捲きし
終えた。尚、種まき条件は、3~6月捲きで、収獲は6~9月、日当たり、水はけが良い土に、約6~10ミリメ
ートルの深さに丁寧に種まきする。培養土は、ポットに軽石を底に敷き、腐葉土と木炭、市販の「ミカンの土」を
混ぜたものを使用し、キッチン用ラップフィルムでポットを覆蓋し輪ゴムで止める。ここからこれからの課題――
発芽までは土が乾燥しないようしっかりと水やり、梅雨の初め頃に定植する。定植条件は、半日陰の場所の方が比
較的よく育つ。木が大きくなるため5メートルの間隔を空けて植える。水のやり過ぎは根ぐされをおこすが、湿度
の高い場所を好む。肥料は特に気にする必要はなくまた、虫も付きにくい植物だと言われている。植え付けてから
実がなるまでに約3年かかる(室温は23から30℃の範囲で管理)。

さてさて、どうなるか?中期計画で行くわけだがこれから楽しみだ。


※ツル性の宿根草で熱帯植物で、夏期以外の栽培は温室や室内で行う。ハート型の葉で白い花を咲かせ、小さな実
がぎっしりと4~14センチメートルの長さの房状に付く。実は若いうちはグリーンで熱すと赤くなるが、まだ熱
さない緑色の実を収穫し、乾燥させ、挽いたものがブラックペッパー。熱帯雨林のような環境を好み湿気もある程
度必要。                        :

※生産地イタリア、内容量 0.5グラム、約3~55粒、有効期限2017年12月、発芽率75%、種子の薬品消毒はし
ていない。ナチュラル・ハーベスト有限会社――〒160-0023東京都新宿区西新宿4-14-7-1305/03-6912-6330 http:
//natura
l-harvest.ocnk.net/



 

 

● 窮地のシャープの救世主? ヘルシオお茶プレッソ

シャープのお茶メーカー「ヘルシオ お茶プレッソ」は、茶葉を粉末状に砕き、栄養豊富なお茶を家庭で手軽に楽
しめる家電製品。「茶葉をひく」「湯を沸かす」「お茶をたてる」の3つの工程を1台でこなす便利さが注目され
昨年、4月の発売時から人気が殺到。9月末までの販売目標を当初予定の5倍以上の11万台に引き上げて達成し
た。10月に入っても好調な売れ行きをみせ、「ヘルシオ お茶プレッソ」は、茶葉を粉末にして使うため、「面
倒な茶殻が出ない」のが利点で、エコで経済的で機能食品としてお茶の力を百パーセント生かせる。これが消費者
に受け入れられこれまでにない商品でユニークで、目新しさが受けているとのこと。

さて、この装置の特徴は、小型の臼で茶葉を直径20ミクロンの粉末にし、本体背面のタンクで沸騰させたお湯を
むらなく混ぜてお茶を作る機器。臼は毎分100回転でゆっくり動いて茶葉をすりつぶし、栄養分が壊れるのを防
ぐ。お茶プレッソを使うと、抗酸化作用のあるカテキンの含有量は急須の1.9倍となる。本体のカラーは白系、
黒系、赤系の3色。大きさは幅22センチ、奥行き20.7センチ、高さ27.7センチ。重さは2.6キロ。店
頭想定価格は2万6000円前後。

それじゃ、どのようなものができるか、緑茶ラテの作り方を追ってみよう。あたためた牛乳と粉末緑茶を準備し、
お茶容器に沸騰しない程度にあたためた牛乳、粉末茶の順に入れ、フタをしてこの装置にセットし、給茶レバーを
下げて、カップにラテを注げば完成するという説明だ(上図)。新規考案的側面かみると、殆ど見あたらない。あ
るとすれば、下図特許の63のこね羽根の位置関係で、改訂速度の制御は条件をマイクロプロセッサに書き込んで
おけばよい話だから、それを開示すれば良いわけだが、諸刃の刃というか、後発メーカに模倣されてしまう(ブラ
ック・ボックスにしておけばよいわけだが、それも解読される可能性も高い)。わたしが注目するのは、小型の臼
で茶葉を直径20ミクロンの粉末の根拠である。10ミクロンならどのようになるのか?平均粒径は?そのレンジ
とバラツキは?ということである。もう1つの疑問は、粉末と暖かい牛乳があれば茶筅のような器具で手で攪拌す
れば簡単につくれるのじゃないかということだ。それでも2万数千円をだしても埋めることのできない魅力がある
のだろうかと。

 

 

   

 Flavor of halfbeak enhanced by power of kelp

● 春を告げる魚 針魚賛歌  

春を告げる魚、サヨリ(針魚)のにぎりを初めて食したのは、故田中豊一の旧友が経営、ジェイアール彦根駅前の
寿司割烹「銀水」で彼にさそわれ食事した時、旬のものを握ってくださいと言うと、針魚が出されて以来ヒカリも
のと呼ばれる針魚が好物となった。その時の客はわたしたちの二人だけだったとぼんやり記憶している。ただし、
江戸前寿司の小鰭(コノシロ:ニシン目)は好物というほどではない。さて、サヨリはダツ目・サヨリ科の海産魚。
日本全国の沿岸部、内湾、河口の汽水域などに分布し、主に動物性のプランクトンを食べ約2年で成魚となる。堤
防や磯周りを回遊する1~3月がサヨリ釣りのシーズン。早春の産卵前と晩秋が旬の魚で、脂がのって美味しい。
サヨリは鮮度落ちが速いので、手早く三枚におろしたほうがよいといわれ、淡泊な白身で、「結びサヨリ」は椀だ
ねに最高のものとされる、大型は糸造りにしてもうまいし、にぎり寿しのネタにも使われ、そのほか酢の物、昆布
締め、天ぷらなどの食べ方がある。

 

● 針魚は雨を釣れ

ところが、サヨリやキスに腹の内側が薄い黒膜で覆われているところから、腹黒い人を指す代名詞に使われ。「さ
より野郎」「さより女」と呼ばれ、見掛けは美しくても、腹黒い人として使われるから面白い。またサヨリは大き
な群れを作り磯(岸)近くを回遊するが、警戒心が強く臆病な魚。人・船影を見るとサッと逃げてしまう。晴れた
凪の日よりも曇天か雨の日で、潮の濁っているときが釣り時。そこで、「針魚は一人で釣れ」「針魚はコマセて釣
れ」ともいわれ、釣り人が大勢いるとサヨリは警戒して寄って来ない。またコマセて釣る魚ではあるが、大勢では
コマセが効き過ぎてサヨリはコマセで腹一杯。釣り人の餌は食べなくなる。 

● 旬を科学する時代  

野菜、魚介類、あるいは家畜、狩猟肉でも「旬」があるわけで、脂がのっている(時期)などと喩えられるわけだが。よく耳目さ
れるのは「脂」、魚では腹腔内脂肪組織が最大になるころということになる(下図参照)。

  

このように、魚の肉質は一年を通じて変化する。それぞれの魚種の肉質が最適なときに、かまぼこのようにすりみ
を作る工夫を凝らし品質を維持し付加価値を高める方法として、下図のような急速冷凍製法を採用――生の魚肉か
らすぐにかまぼこに仕上げるという作り方のほかに、一度生の魚からすりみという状態にして冷凍保管する場合も
あり、魚のすりみの弾力がきちんと残るように冷凍――している。

 

さて、このように旬の条件を明らかにすることで、旬な時期でなくても旬な食用品を適用できる科学技術力を手に
先進国を中心として持つこととになったことを意味する。大好物の針魚料理も、魚工場で再現され、季節の移ろい
を、モーダル・リスクも気にせず、安心して堪能できる時代の幕開けを、この針魚話は告げているというわけで、
お後は宜しいようで、^^;。


桐生祥秀 9.87秒で優勝

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WonderCube: 8 mobile essentials in One Cubic Inch

 

● アスリート立国ジャパン 2つの話題

 

陸上のテキサス・リレーが28日、米テキサス州オースティンで行われ、男子百メートル決勝で、桐生祥秀
が追い風3・3メートルの参考記録ながら、9秒87(速報タイム)の好記録をマークして優勝した。これ
には米国人も驚きつつ、"限定的だ"と付け加えることも忘れていなようだ。凄いぞ!桐生。

 Kiryu clocks wind-assisted 9.87 in 100m at Texas Relays 

 

日本代表は27日、キリンチャレンジ杯でチュニジア代表と対戦し、2-Oで勝利。前半をスコアレスで折り
返した日本だが、ベンチスタートとなっていたMF本田圭佑、MF香川真司、FW岡崎慎司の欧州組を途中出場さ
せた後半に2得点を奪った。バヒド・ハリルホジッチ監督の初陣を白星で飾った。生憎、この日はプロ野球
のオープン戦とダブル。途中切り替えチラ見しながらのテレビ観戦。それでも、後半15分は通して観戦す
る。それにしても、バヒド・ハリルホジッチ監督の名前は、エセサッカーファンには憶えられないでいる。

それはさておき、待望の宇佐見がサムライブルーデビューを果たした。ベンチスタートだったFW宇佐美貴史
が後半27分FW武藤嘉紀と交代で入ると、本田や香川ら海外組と融合し、ゴールに迫った。本田のダメ押し
弾の起点となるプレーを見せた宇佐美だが、一番の見せ場は後半44分。香川のスルーパスに反応。GKと1
対1になり、ゴール右隅へと蹴り込むが、敵チームのゴールキーパーの手に触れ無情にもポストに嫌わる。 
これも時の運というものかと、強烈な印象となった。

 

● 三瀬村のソーラーシュアリング実証開始

スマートジャパンがスマートアグリシリーズとして、農業と太陽光発電を同時に実施するソーラーシェアリ
ングの全国的な広がりを取り上げ、佐賀県の事例を取り上げている。それによると、佐賀県は水田の上部に
太陽光パネルを並べる新しい施工方法の実証――架台の位置は最高3メートルで、上下移動でき、稲作時や
休耕期に高さを変えながら、収穫量と発電量の最適化を図るというもの。場所は、佐賀県と福岡県の県境に
ある山間部の三瀬村。5月上旬に始まる田植えを前に水田の上に設置した58枚の太陽光パネルが3月27
日に発電開始予定。その特徴は、水田の両端に立てた2本のタワーのあいだをワイヤーでつなぎ、その上に
架台を設けて太陽光パネルを並べる方法。架台の高さは3メートルまで可能で、ワイヤーを調節し、上下に
移動することができる。通常は強風を受けても支障が出ないように、太陽光パネルの位置を2メートル程度
まで下げた状態で発電する。

 

稲の高さは伸びても1メートル以下に収まるが、農作業に必要なトラクターや田植え機が架台の下を通れる
ように高さ調節可能にしてあるという(下ず2)。三瀬村では稲の刈取に高さが2.7メートルもある大型の
コンバインを使うため、その時には架台を3メートルまで引き上げる。こうして架台を上下に移動できる営
農型の太陽光発電は日本で初めての試み。基本設計は、(1)農地面積:約2千平方メートル、(2)区画:
3区画――2つの区画で太陽光発電を実施する一方、残る1つの区画では稲作だけを続けて収穫量や品質の
違いを比較。(3)太陽光パネル:3社×250ワットタイプ、(4)パネル間隔:1.8メートルの間隔
―水田の各部分にパネルの影が1日のうち3時間以上かからないようにするというもの。実証事業:NEDO
(新エネルギー・産業技術総合開発機構)、期間:3年間。目標:発電コストは電気料金と同等の1キロワ
ットアワーあたり22~24円、稲の生育は、太陽光パネルを設置しない区画と比べて収穫量を800%以
上に維持。

同紙(スマートジャパン)は、農地を所有する農家は通常どおり稲作に取り組みながらソーラーシェアリン
グに協力する。収穫量が減少する代わりに、農地の貸付料を受け取る契約を結んだ。三瀬村では農家の後継
ぎが減っていく問題を解消するために、太陽光発電で収益を拡大できる期待は大きい。各農家がソーラーシ
ェアリングを実施して「三瀬村発電所」を実現する将来構想もあると掲載している。

  

架台の設置状況(高さ3メートルに上げた状態)/出典:福永博建築研究所


● キッド向け新サービス「ドコッチサービス」の提供を開始 

株式会社NTTドコモは、ご家族の方が子供の日頃の活動を見守り、家族の安心と子供の自立や安全をサポー
トするサービス「ドコッチサービスTM」を来月4日から開始する。また、「ドコッチサービス」の提供にあ
わせ、専用端末として、3G通信機能やGPS、Bluetooth®、各種センサーを搭載したお子さま向けの腕時計型
ウェアラブル端末「ドコッチ 01(ホワイト)」を同日に、「ドコッチ 01(ライトブルー)」を同月上旬に
発売するという。なお、「ドコッチサービス」は、各種センサー及び通信機能を搭載した「ドコッチ 01」を
装着することで、元気に運動中、活動中、安静状態、非装着の4つの状態や周囲の温度・湿度を、最大6台の
スマートフォンやパソコンから、いつでも確認できるサービスだとか。家族などあらかじめ設定された方と
はメール(SMS)の送受信ができ、簡単なコミュニケーションツールとしてもご利用いただけるほか、子供
と一緒にお出掛けの際には専用アプリ「ドコッチおでかけアプリ」を用いて、遠くはぐれてしまう前に通報
を受け取ることできるので、迷子予防にも役立ち、万が一のときは、SOSボタンを長押しするだけで家族に
メール通知が届き、安心だということだ。また「イマドコサーチ®」との連携により、お子さまがワンボタン
で自分の位置情報をお知らせしたり、家族の方が居場所を検索したりすることも可能だという。 

 

びっくりするとともに、首をかしげて「本当に、こんなもの必要?」と考え込んでしまった。「子は宝」だからこそ、複雑か
つ高度になった社会の必需品だと言われれば、息子達が大きくなった現在では、ピントこない。このシステムの販売
から社会実験が始まるり、その経過観察から、新しいアイデアや社会的ノウハウが生まれるかも知れない(たぶん、
そうだろうが)、その逆に、足枷、いや手枷になるかもしれない。

 

    ● 今夜の一品 鯖の一口へしこ

へしこが好物なわたしには是非とも試食していただきたい。なんだったら知人や親戚に、勝手に進呈しようかとも、マ
ジで考えているほどだが、母の初盆明けぐらいを目途に実行してみようと考える今夜である。

 

 

最新スリーディープリンタ事情

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● 最新スリーディープリンタ事情 

3Dプリンターで造形される物の一つに、アクセサリーがある。アクセサリーだと、材質は金属の物を
イメージするが、現状の家庭用3Dプリンターでは金属の出力は困難で、ABSやPLAのプラスチック素
材が主な物となっている。もし金属でアクセサリーなどを出力したいのなら、ShapewaysやDMM等の出
力代行サービスを使うしかなかった。しかし、金属を材料にして造型できる家庭用の3Dプリンター0が
Indie GoGoに登場。金属出力が可能で価格は75,000円と衝撃的な値段。もう「装置産業のジェネコン」
(10数年前私が造後)は傍流になりそうな変化だ。また、下図/右の数センチ四方程度の大きさの物
を作る非常に小さな折り畳み式の3Dプリンターが登場。その3Dプリンターは「LumiFold」。大きさは90
×90×90ミリというち小ささで、UV感光樹脂をの造形方式により、かなりのクオリティのオブジェク
トを造形できる。このプロジェクトもIndieGoGoで出資をつのっており、1500ドル程度の資金を調達し
て、429ドルでプリンターを売ろうとしている。15万円の資金調達で、4万円の商品を売ろうとしてい
るが、安価な資金調達で実現可能なのだろうか?

   

「金属3Dプリンター、国内製造業で導入ブーム-量産適用へノウハウ育成」(日刊工業新聞 2015.
03.30)では、国内製造業で金属3Dプリンターの導入が進んでいることを解説。それによると 欧州
主要メーカーの日本向け販売は過去を大きく上回る実績を記録。何度目かの金属プリンターブームと
もいえる状況で、過去のブームと違うのは(1)造形技術が格段に向上していること。(2)積層造
形に対する評価が高まり、(3)金型製造など量産への適用を検討する企業が増えてきた。(4)た
だ、量産で装置を使いこなすには高度なノウハウが必要。(5)国内メーカーによる参入も増え市場
拡大が期待される中、ユーザーの育成が求められているという。また、金属プリンターでトップシェ
アの独EOSが、NTTデータエンジニアリングシステムズを通じ、2014年度に日本で10台近くを販
売。13年度にも同等数を販売したが、それ以前は累計でも計20台程度でここ数年の伸びは顕著だとい
う。

 

   

 

 

 



● マイクロバーバーポールでスマートグリッド

昨年7月11日(上カット図)に掲載した辻本浩章教授大阪市大らが2月に設立した大学発ベンチャー
のSIRC(サーク区)を通じ、1円玉程度の大きさの超小型薄膜センサを市場投入する計画――省
エネルギー化に役立つデバイスとして、幅広い用途を見込んでいる――が前述した日刊工業新聞が取
り挙げている。材料は、パーマロイ(鉄とニッケルの合金)。パーマロイ磁性体薄膜の持つ磁気抵抗
効果で、電流と電圧を計測し電力値を瞬時に算出できる。機器に組み込めば、消費電力の精密な管理
が可能になるという。東日本大震災による電力不足や2016年度に始まる電力の自由化など、電力
需給を取り巻く環境が変わりつつある。こうした状況を踏まえて、省エネ化や電力の有効利用を促進
するデバイスとして売り出す。価格は1個100―200円程度を想定している。従来の電力量計は、
電流センサーや電圧センサーなど多くのデバイスを必要で大型だったものだった。これは、スマート・
グリッドの必需品になるだろう。

 

● 居住者向けカーシュアリング検証開始

日産自動車は23日、横浜市郊外の大規模住宅団地に向けて、小型の電気自動車を利用したカーシェア
リングサービスを試行導入。同社が都市再生機構東日本賃貸住宅本部(UR)と共同で実施し、フル
タイムシステムがカーシェアリング事業者として2016年3月31日まで検証する。利用する車は「日産
ニューモビリティコンセプト」と公表。同車はリチウムイオン蓄電池を搭載した前後2人乗りの車。
航続距離は約百キロメートル、最高時速は80キロメートル。約4時間でフル充電が可能。車長は、
2340ミリメートル、車幅は1230ミリメートル、車高は1450ミリメートル。検証内容は、(1)最寄り
駅までのバス便を補完する新たな交通手段として導入可能の是非――山団地(横浜市旭区左近山は、
相鉄線二俣川駅からバスで13分、横須賀線東戸塚駅からバスで20分の位置し、専用団地。百以上の建
物(総戸数2104戸)の「街」。(2)地域の活性化に資するさまざまな団体・個人の活動への活用の
是非を調べる。NPO法人であるオールさこんやまの生活支援等ふれあい助け合い活動を助ける。同NPO
は高齢居住者に対する見守りや、学童に対する交通安全・連れ去り防止を目的とする。(3)団地居
住者の利便性の向上と入居希望者への訴求性の検証。

 「チョイモビ ヨコハマ」の使い方

カーシェアリングの特徴:カーシェアリング用の超小型モビリティは5台。左近山団地内に2か所の
貸し出し、返却拠点を設け、7時30分から19時30分まで利用できるようにした。利用料金は最初の20
分間は無料、以後、20分ごとに200円。カーシェアリングでは、フルタイムシステムの24時間無人鍵貸
出機(F-rents)を利用する。同システムはマンションカーシェアリングシステムとして既に60棟に
導入された実績がある。24時間、問い合わせが可能。

●今夜の一品 噛合チェーン/株式会社椿本チエイン

2本のチェーンがジッパー(=チャック)のように噛み合って、1本の強固な柱状になる特殊なチェー
ンをさすジップチェーンはユニット内に渦巻状に収納されるため、機器のコンパクト化が可能。ジッ
プチェーンリフタの歴史は始まったばかり。エコという観点からみても画期的な製品。ジップチェー
ンには、長い歴史の中で椿本チエインが積み上げてきたノウハウが数多く活かされているという。ジ
ップチェーンの原理は米国生まれだが、同社の1/1000ミリメートルの超加工技術により実用化され
る。また、2009年には四国化工機株式会社との共同で「高速垂直搬送機「SKY ZiP(スカイジップ)」
を開発している。

個人的な関係では、25年前ごろ(正確なことは思い出せなくなっているが、京大卒の元自衛隊ジェ
ット機のパイロット経験の技術者と出会っている)、ネット搬送方法の開発調査で同社の工場で打ち
合わせを数回行っているが、この噛合チェーンモジュールの映像を見て大変驚いたわけで、早速、ネ
ット検索油圧・空圧でなくいわばデジタルで位置合わせ出来るというメリットが大きい("デジタルチ
ェーン"とこれから呼称しよう)。何が凄いか?独占生産しているところだ。



※平成21年度優秀省エネルギー機器「経済産業大臣賞」受賞・2009年超モノづくり部品大賞「機械部
品大賞」受賞)

 

 



 

 

日々更新で忙殺。

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● 減り続ける関西の電力事情

スマートジャパン(「電力の需要が減り続ける関西、前年比40万kWの節電効果」2015.03.30)が目に留まる。
それによると、関西電力が今冬の電力需給状況をまとめた結果、最大電力を記録したのは12月17日(水)の
17時台だったが、大阪では最低気温が0度近くまで下がり、管内全域で暖房需要が増加したが、それでも昨
冬の2,523万キロワットと比べると39万キロワットも少なく、12月~3月までの平均気温は平年と比べ0.2℃
低かったという。これは、関西電力の予測 2,535万キロワット、需要率に換算すると97%まで高まると考
えていたという。これは、東日本大震災の後の企業と家庭の双方で節電効果で、電力の需要は年々減り続け、
関西電力の分析結果によると、冬の需要がピークになる夕方の18時台には、震災前の2010年と比べて 200万
キロワット少なくなっている。

同紙は、この減少量を昨冬と比較すると約 40万キロワット多い。朝の9時台でも同様で、気温や時間帯に関
係なく定着した節電効果とみなすことができ、用途別に見ても家庭用・業務用・産業用のすべてで節電効果
が高まっている。2015年度も関西電力が電気料金の再値上げを実施すれば、気温が平年を下回らない限り、
需要が減ることが確実だと指摘している。


これはどういうことか?「電力会社の過剰見積もり」(ある意味で「政治的=過剰的」の等式が乗っかった
のか、あるいは、単に予測の上ブレのであったのか?までは分からないが)であった上に「濡れ雑巾はいく
らでも絞れるのか?」ということが問われることにもなる。震災以降の元菅直人首相、孫正義ソフトバンク
会長などの再生可能エネルギーへシフトへの決断により様相は大きくかわっている。新エネルギー産業技術
総合開発機構(NEDO)の報告ではグリッドパリティは達成され、さらに、1キロワットアワー当たり23
円から7円までの見通しが示されている(下図)が、個人的には技術的(勿論、初期投資促進政策の固定価
格買取制:FITなどの産所制度との併用を前提としてだが)に可能だと考えている。

あとは(1)送電分離(電力自由化)、(2)原発政策――東京電力の法的整理ということになるが、政策
的には、製造責任論や技術論やロードマップでの差異はあるものの、下表を作成した高橋洋一(「東電の法
的整理、電力自由化、そして原発ゼロの現実性――各党の原発政策を徹底比較する」 現代ビジネス 2012.
12.03)の政策見通しに近い。

 

※ ただし、2012年度時点のマニフェスト

 

 

● 日の丸ソーラーの雄は諦めない!? 

経営再建中のシャープは、不振の太陽光パネル事業をてこ入れするため、堺工場の製造ラインを増強する方
針を固めたという(「シャープ、パナに抜かれた?太陽光パネル増強へ」読売新聞」2015.03.30)。ただし、
日本で需要が落ち込んでいるメガソーラー(大規模な太陽光発電所)向けのパネル)が、中国、台湾など他
社に圧倒され売れないため、需要が底堅い住宅向けへの転換を進め、事業の立て直しを急ぐというもの。新
ラインで量産するのは、メガソーラー用より効率よく発電でき、住宅向けで主流となっているパネル。発電
効率を高めた製品を商品化する。太陽光パネルを含むエネルギー関連事業はシャープの中核事業の一つで、
同事業の営業利益は2014年3月期の324億円から、15年3月期には50億円の赤字になる見通。経営悪
化の要因となっており、撤退するとの観測も出ていたが、住宅用に力を入れることで、事業の継続を目指す。
シャープは太陽光パネルの国内市場で長年、シェア(占有率)首位だったが、最近は住宅向けに注力するパナソニッ
クに追い抜かれたといわれていた。太陽電池は製品の性格上、15年以上などの長期保証が付くが、同社事業
は縮小・撤退検討中との報道を受け、先行きを不安視する取引先や一般消費者が続出。受注は激減している。
主力支援銀行からは太陽電池事業も含めた赤字事業の聖域無き改革を求められ選択と集中が迫られるものの
なかなか『選択』の方がでてこないとの指摘もある。同社の住宅用太陽電池は堺工場で内製。産業用は中国
企業などから調達しているが、材料の長期買い入れ契約金額が現在の市価を大きく上回ることも足かせとな
っている。

● 世界初の百%バイオマスジェット燃料開発に着手

 

 

航空機からの二酸化炭素排出量は2012年には6億9千万トンに達し、旅客数やLCCの増加により今後もさ
らに増える予測。航空機から排出量削減は機体の軽量化やルート変更などの対策に加え、バイオジェット燃
料の利用に期待されているが、地球環境産業技術研究機構(RITE)は、世界初の百%バイオマスを活用
したジェット燃料の生産技術の研究開発に着手したと公表。現在は石油系ジェット燃料に体積比で最大50
%までしか、バイオマス燃料をブレンドして利用できないが、これを2年後をめどに生産技術を確立し、量
産化への道筋をつけるとのこと。

 

● 超臨界二酸化炭素サイクル火力発電、試用段階に!

東芝は発電と二酸化炭素分離・回収が同時にできる火力発電設備の基礎技術にめどを付けたことを公表。こ
の「超臨界二酸化炭素サイクル火力発電システム」は(1)天然ガスと酸素、二酸化炭素を燃焼器に投入し、
高温高圧の燃焼ガスを発生させタービンを回し発電、(2)タービンから排出された超臨界圧状態の二酸化
炭素は再び燃焼器に循環させ、燃料や酸素とともに燃焼させる仕組み(上図参照)。すでに東芝は試験用燃
焼器で実証を終了させた。これを受けこんかい、出力2万5000キロワット級の試験プラントの建設に向
けガスタービンの製作に着手したほか、燃焼器も製作し2016年8月に出荷予定。同発電システムは燃焼器で
1150℃、300気圧の二酸化炭素を取り出しタービンを回す。タービンから排出された二酸化炭素は、
700℃に降下、熱交換器を通じて約8割の熱を取り込んで再利用。熱の多くを外部に捨てず、ガスタービ
ン・コンバインドサイクル(GTCC)と同等の効率を出せる。天然ガスを使うからには二酸化炭素の回収
は大前提となるが、ここまでこぎ着けられたかと思うと、部外者としても感無量 ^^;。

尚、発電設備に二酸化炭素分離・回収設備を付けると発電効率が1割程度低下するが、同設備を付けずに高
圧の二酸化炭素が取り出せるのが最大の特徴。回収した二酸化炭素は油田の採掘量を増やすガスとして販売。
また発電効率はガスタービン・コンバインドサイクル(GTCC)発電設備と同等の59%が見込める。

※ 超臨界CO2サイクル火力発電システムの燃焼器実圧燃焼試験に成功 東芝 2013.08.01
※ 特許5637809号 二酸化炭素回収方法及び二酸化炭素回収型汽力発電システム

● 日々更新で忙殺

二週間前、歯磨きしている時に手元がハズレ、歯茎にダメージを与え少し出血したが、暫くするとものが噛めなくなる
ほどの状態に、様子をみていが直らず歯医者に。レントゲンでも問題なく、抗生物質をもらって帰るが、主治医は疲れ
ているのではないかという。思い当たる節が他にもある。ここ数日早く寝ることにしているが、それでも午後9~11時
だが、眼精疲労対策にはが、朝起きして、パジャマ姿でホームページの更新をし、朝食を取り、ルームランニングをこ
なし、11時前までは忙殺状態だ。そんな毎日が一週間ほど続いているが、そんななか、心地よい鶯の鳴き声を聴き
ながら起床している。 

                                                                                

 

進撃のヘーリオス Ⅰ

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● 独立自尊再考 アジアインフラ投資銀行(AIIB)問題

中国が主導する国際金融機関「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」構想が国際社会を揺らし、旺盛なア
ジアのインフラ需要に応える枠組みと歓迎する向きもあるもののその先には人民元の国際化を狙う中国の野
望もちらつくという。先進7カ国(G7)を始め欧州勢の参加表明も相次ぐ中、日本は激しさを増す米中の
覇権争いの米国に配慮して不参加を表明している。そんななか、上海の大学教授が、「(日米に対抗する)
21世紀の『孫子の兵法』だ」と評したことを伝えた(「インフラ銀「戦わずして日米に勝つ」総裁は中国
元財政次官か」産経新聞、2015.04.01)。

このニュースの前先月6日、「日立に完敗した中国鉄道ビジネス メキシコ、タイ…海外各地でつまずき」
(産経新聞、2015.03.06)で、国を挙げて海外での鉄道事業に力を入れている中国の“惨敗”――イタリア
の防衛・航空大手フィンメカニカの鉄道関連子会社2社の買収合戦に中国IT企業が名乗りを上げ、日立製
作所と一騎打ちになり、先月下旬にあえなく日立に敗北。昨年11月には、中国の企業連合が約5000億
円で落札したメキシコ初の高速鉄道の建設契約が取り消されたうえ、プロジェクト自体が棚上げされるとい
う不運にも見舞われた。また、中国が受注を狙っているインド高速鉄道についても、インドの閣外相が先月
末に日本の新幹線採用の可能性に言及するなど、逆風が吹いている格好。低コストを売りに世界各国の鉄道
事業への参画を目指している中国のつまずきを報じているが、そんなことも関係しているだろうか・・・。

TPPには積極的だが、AIIBには不参加。沖縄辺野古の埋め立てには積極的など・・・。そこで頭に浮
かんだのは福沢諭吉の「独立自尊」という言葉。この国の外交政策には自前の頭で考える政治家が皆無なの
か(政治家という官僚ばかり?)と改めて呆れる。それはさておき、常々掲載してきているが、「戦略思考」
というのには懐疑的である。誰のためにインフラ整備があるのか?答えは、それを待ちわびている各国の勤
労国民である、と。何のための囲い込みか?その答えは「覇権」という国家権力である。とそれぞれシンプ
ルだ。中国の覇権を打ち破るにどうすればよいか?それは、第7章 贈与価値論(「吉本隆明の経済学」)
を政策に応用すればよいのではないか?例えば、インフラ整備への要求が切実な関係の課題(例えば、上下
水道の整備)を絞り込み、日本のインフラ整備産業のプランニングの承認を条件に「無償融資」するのであ
る。つまり「贈与経済」であることを日本政府が担保するのである。そんなことを考えてみた。



● 滑走するメイドインジャパン モーター・ドリヴン・ローラ 

 MDR(モーター・ドリヴン・ローラ)はユニット・ハンドリング・コンベヤ業界には比較的新しい方式で、
そのコンセプトは従来のコンベヤにある大型モーターで長距離駆動する方式とことなる。MDR方式はローラ
ー内部にt―ターを内蔵させ他のローラとともにゾーンと呼ばれるセクションを駆動する方式。ゾーンはコ
ンベヤを構成するブロックとなり、その組み合わせでコンベヤが構成。各ゾーンは個別に制御され、MDR用
コントローラやセンサー、コントロール・ロジックにより平面のみならず、傾斜やカーブラインでのアキュ
ームを行う。MDRシステムのほとんどは1ゾーンにつき1個の物を搬送し、それぞれが非接触(ゼロ・プレ
ッシヤー)で搬送するよう設計。MDRは本来、安全で経済的に設計。各ゾーンヘの通電は物を運ぶときのみ
となる。それによりエネルギー消費、騒音発生、メカ磨耗が軽減する。ローラ自身は低電圧で比較的に低ト
ルクで稼動し、手で止められるくらいのトルクで、巻き込まれ事故のリスクも軽減される。(中略)MDRの
付加価値はその柔軟性とシンプルさにあり、モジュール式で、大型モーターを使用せず、省スペースの限ら
れた場所での使用でき、制御は単純搬送から、オプションによってはトラッキング機能付きのアキュームな
ど可能で用途は多岐に渡る。MDRシステムはシンプルなメカ設計のために、施工が簡単でメンテナンス費も
軽減できる。

Cf. Permission to repr(xjuce this copyrighted material for use on this web site was granted by CEMA

国内のMDRシステムを製造販売会社として、1975年にACモータローラ(パワーモーラ)を開発・販売し、
1988年にDCモータローラ(MDR)を開発した伊東電機株式会社が挙げられる。MDR開発のきっか
けは、省エネ・安全・環境(低騒音化、クリーン化)を設計に組み込んだ設計思想で開発。発売当初、AC
電源が定着している日本市場より欧米市場のニーズにマッチし、海外で大ブレイクするが、特に米国コンベ
ヤや工業会(CEMA)ではMDR規格を制定し、米国のモータローラ市場の90%以上がMDRとなってい
るが2004年には 米国郵便公社(USPS)がATHS, AFSM-aiプロジェクトにパワーモーラ24を大量採用され
ている。売上高は45億円ながらオンリーワン企業の典型だ。その特徴が同社のHPで下図(上)のように
紹介されている。なお、下図(下)は特許事例を参考までに掲載。

 

● 減り続ける電力事情 進撃のヘーリオス Ⅰ

昨夜のつづきなるが、北海道の販売電力量が2月に5.9% も減少、また全国8地域で前年を下回ったとい
う(スマートジャパン 2015.03.31)。それによると (1)ある程度は予想できたものの、北海道の落ち込
みは大きかった――2015年2月の販売電力量は1月から3億4,000万キロワットアワー減。(2)家庭向けの
「電灯」が6.1%減、商店などが利用する「(低圧)電力」は15.8%減。(3)11月に電気料金を再
値上げしたことで、小規模の需要家を中心に節電対策によるものであるという。以上のことから(1)2016
年4月に小売全面自由化が始まると、さらに販売電力量の減少は加速する。(2)一方で企業向けの販売電
力量は3%弱の減少にとどまり、北海道では新電力への移行がさほど進んでいないのではと指摘している。

北海道以外のエリアでは、東北が4.5%減、関西が3.4%減、東京が3.1% 減と、市場規模の大きい地
域で軒並み3%以上の落ち込み。一方、2月は地域によって例年以上に気温が低下したところもある。北陸
では家庭向けの需要が伸びたほか、沖縄では家庭向け・企業向けともに前年を上回っているという。

電力の需要者はコストに敏感に反応し節電する。それは、生活や企業活動で耐乏、節電――(1)電気機器
の使用を控える、(2)電気機器の代替機器に切り替える、(3)発熱照明を発光ダイオード照明に切り替
える。(4)節電電気機器に切り替える。(5)保温力の優れた住居や工場に改造するなどの対策を行う。
今後も「省エネ」「再エネ」の波及の勢いが衰えることはないだろうと考える。

 

同紙は、そのほかに「蓄電・発電機器:太陽光発電の導入場所は増やせる、薄膜タイプの太陽電池を急斜面にも」と
「自然エネルギー:地下鉄の駅上に展開するメガソーラー、連続する8駅で1.1メガワットが稼働」も同
日(昨日)に特集掲載。前者は、鉄道の法面や工場の屋根に可撓性薄膜太陽電池をを設置するというもので
神奈川県が新たなプロジェクトを開始したという。その特徴は(1)大規模な造成工事が不要(2)頑丈な
架台が不要(3)防水兼用(4)軽量化(5)遮光・遮熱するというもの。課題はこのシート型太陽光発電
の価格ということ。これは行政による産所政策bによる量産化で実現可能だろうと考えられる。



後者は、都心を走る東京メトロが2012年から導入を進めてきた「東西線ソーラー発電所」が完成した。地下
鉄の路線のうち地上にある8つの駅の屋根に太陽光パネルを設置して、メガソーラー並みの発電能力を発揮
する。発電した電力は駅の構内で利用するほか、余剰分は隣接する駅にも融通できる。東京都と千葉県を結
ぶ地下鉄・東西線には地上駅が9カ所ある。このうち連続する8つの駅に太陽光発電設備を導入して「東西
線ソーラー発電所」を構成する(下図)。最後の8カ所目の駅で3月28日に発電を開始したことで、約3年
間に及ぶ導入プロジェクトが完結。 それぞれの駅の発電能力は93~253キロワットの範囲で、合計すると
1.1メガワット。複数の駅を組み合わせた発電設備だが、駅の屋根を利用してメガソーラーを実現した例は
初めて。年間の発電量は109万キロワットアワーになり、一般家庭の使用量に換算して3百世帯分に相当する。

 

 

   ● 今夜の一品


木製シャッターのように巻けるデスクトップ

Nathalie Dackelid's "wooden tablecloth"folds out to form table extensions

 

 

免震ゴムの何が不正か Ⅱ

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● 免震ゴムの何が不正か Ⅱ

 

 『反ボード利ヤールの経済学』(2015.03.20)の残件。東洋ゴム工業による免震ゴムの性能偽装問題で、
国土交通省は先月26日、不良品が使われた全国55棟すべてで「震度5強程度の地震でも十分な耐震性
があり、倒壊の恐れはない」とする見解を発表している(55棟「震度5強でも耐震性十分」 免震ゴム
巡り国交省/朝日デジタル 2015.03.26)。これによると、緊急調査結果で示した「免震層の変形」割合
は、地震が起きた際に免震ゴムが変形する幅を、隣の建物との距離で割った数値。建築基準法はこれが、
「100%未満」となるよう求めている。


       免震ゴムが変形する幅 ÷ 隣の建物との距離 × 100 ≦ 100%


緊急調査をもとに国交省が修正した数値は、最大の高知東警察署でも31・7%だった。これは隣の建物
との間の距離が100センチならば、ゴムが動くのは31・7センチにとどまることを意味し、国交省は
「隣の建物にぶつかることはなく安全」としている。震度6強~7程度の地震を想定して検証し、物件名
を示した3施設の免震層の変形割合は、50・5~63・2%だったとし、東洋ゴム工業は55棟以外に
設置した製品の中にも不良品がある疑いが浮上。国交省は26日、全容解明と報告を同社に指示したとの
こと。早速「JIS K 6410-1 建築免震用積層ゴム支承-第1部:仕様」「JIS K 6410-2 建築免震用積層ゴ
ム支承-第2部:試験方法」を俯瞰し、東洋ゴム工業の「当社が製造した建築用免震積層ゴムの用免震積
層ゴムの国土交通大臣認定不適合 等について」 (2013.03.13)の報道報告、『「性善説で免震偽装見逃
し」国交省が、東洋ゴム工業事件の幕引き急ぐウラ事情』( ライブドアーニュース 2015.04.02)、「
震防振積層ゴムの開発」(昭和電線レビュー Vol. 58, No.1 2008
 下図参照)、『時論公論「免震装置
問題なぜ見過ごされたのか』(NHK 2015.03.25
)などを参考に調べてみた。数値改ざんした試験項目
は、同社の報告によると「製造ばらつき値」 がはずれていたという。個人的な感想では、{製造工程で
の作り込み不足」ではないかと思われるが、その主原因が購入資材にあるのか、製造プロセスの不安定―
―試作から量産に入るプロセス上の不安定さ(採算割れしているのでは?)――によるものではないかと
推測してみた。ということで、残件は処理されたが、ネット上にでの無難な見識を一部紹介してこの項を了
とする。


●東洋ゴム工業の報告資料(下図クリック)





● 免震防振積層ゴムの開発 昭和電線レビュー Vol. 58, No.1 2008

 

 

前記した、『「性善説で免震偽装見逃し」国交省が、東洋ゴム工業事件の幕引き急ぐウラ事情 』(ライ
ブドアーニュース 2015.04.02
)によると、現行の「性善説の制度設計」が崩壊したとして、(1)メーカ
ーは製品出荷前に大臣認定の“お墨付き”を得ないと販売できない。製品は民間の性能評価機関が審査し、
クリアすると評価書をもらい、それを国交省に提出して通過すれば、大臣認定を受けられる。二重チェッ
クのように見えるが、それは形式上のことであり、実際は、チェックらしいチェックはしていない。実物
の性能確認試験のようなものはなく、書面のみの審査。従って、今回のようにメーカー側が性能基準内の
数値を提示すれば、不正は見抜けない。つまり、データ改ざんなどの不正を疑わない性善説の制度設計だ
と指摘。(2)つまり、行政の不作為犯である、あるいは、それを恐れ、前記のように「安全宣言?」を
国交省が折衷策を公表する必要――データ改ざんを行い、不正に大臣認定を受けたのは東洋ゴムだが、国
交省は書類審査等の不備をつかれる危険性を、どこかで認識していたハズである。「不作為の作為」とい
う名の「知らんぷり」であり、官僚が犯しやすい罪であると指摘している。これは至極、正論で、付和雷
同したマスコミは、「現場の問題点」を抉り出すことなくバッシングしたことの軽率さ?の誹りは拭えな
いのではと、またここは、未来思考で克服すべきだろうと考えるが如何に。甘すぎるってか?^^;。

 

● 今夜の一品 電子レンジの必需品 上手な落とし蓋|株式会社メイダイ

ど!ストライクの一品が、昨日 NHKまちかど情報室にてテレビ放送された。テーマは「
上手にカット!料理の“油”」 油をおいしくとって元気に過ごすためのアイテム。周知
の通り、節電対策に電子レンジで調理する工夫を考えてきたが。落とし蓋があれば、電子
レンジでの調理法が広がると――たとえば、キッチンペーパーを容器の開口サイズにカッ
トし、真ん中にせん孔を開け、落とし蓋にすれば、肉ジャガがこしらえることができるし
そのほかに、ある程度の吹きこぼれも防止できるはず。孔がたくさん開けてあるが、アク
アパッツタやココットのような煮込みも電子レンジで可能だろう。下皿に水を適当量入れ
この調理板を乗せれば、蒸し器でせいろ蒸し、小籠包や蒸し野菜や湯豆腐も調理できそう
だ。また、総菜として買ってきた天麩羅も、再度、加熱すれば、パリッとした食感を再現
でき、本格的な天麩羅うどん・蕎麦に早変わり、余分な油を落としヘルシーに変身。さあ!
省エネ・省タイム・倹約の実践記は続くぞ。

   ● 今夜の一曲

 

   今はこんなに悲しくて

   涙も枯れはててもう二度と笑顔には

   なれそうもないけど

   そんな時代もあったねと

   いつか話せる日が来るわ

   あんな時代もあったねと

   きっと笑って話せるわ

   だから今日はくよくよしないで

   今日の風に吹かれましよう

   
   ※

   まわるまわるよ時代はまわる

   喜び悲しみくり返し

   今日は別れた恋人たちも

   生まれかわってめぐりあうよ

   

   旅を続ける人々は

   いつか故郷に出会う日を

   たとえ今夜は倒れても

   きっと信じてドアを出る

   たとえ今日は果てしもなく

   冷たい雨が降っていても

   めぐるめぐるよ時代はめぐる

   別れと出会いをくり返し

    今日は倒れた旅人たちも
    
     生まれかわって歩き出すよ

     ※ Refrain

                                                 『時 代』
                       
                         作詞/作曲/唄   中島  みゆき
                                                           編曲    西崎     進

「時代」は、中島みゆきが作詞・作曲した歌。1975年に中島自身によって発表され、同年
に中島の2作目のシングルとしてキャニオン・レコードからリリースされた。その後も別
バージョンがたびたび作られ、アルバムやシングルに収録されている。また、他の多くの
歌手によってもカバーされている。シングル盤20万枚のヒットを記録。卒業式で歌われた
り、音楽の教科書に掲載され。2007年に「日本の歌百選」にも選ばれた。

涙もろくなっている僕には怖いほど、  唇をぎゅっと噛みしめる。

 

   ● 今夜は蝶ロボットが舞う。

eMotionButterflies – ultralight flying objects with collective behaviour

 

進撃のヘーリオス Ⅱ

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● 古賀の乱ってなんだ "I am not ABE"

さて、3月27日夜22時に放送されたテレビ朝日の報道ステーションで、元官僚の古賀茂明が
「I am not ABE」というフリップを出し安倍政権批判たことが話題となっていることを今夜
知る(遅すぎるって?)。だから、ここではことの成り行きは割愛して、ことの本質的なこ
を考えてみる。古賀茂明の3つの政権目標批判視点は(1)原発輸出大国(2)武器輸出大
国(3)ギャンブル大国である。(3)はコア政策なのかどうかわからないが、(1)(2)
に関してはそのように感じているので、対案も概ね同意できるものである。さて、彼の経歴
――2008年内閣官房に設置された国家公務員制度改革推進本部事務局審議官に就任。渡辺喜
美行政改革担当相の下で「年功序列人事の廃止」「天下り規制の強化」「事務次官廃止」な
ど急進的な公務員制度改革に取り組み、仙谷由人行政刷新大臣が公務員改革補佐官に就かせ
ようとしたが財務官僚に阻まれる――というのも興味を惹くところであるが、「古賀の乱」
(DMMニュース 2015.03.31)とかの見出しのごとく、腹を括った情況発言のようにみ受け
られる。「アベノミクス」の正念場もこれからであり、現政権にはこれからボディーブロー
のように効いてくるだろう。

※ わたし(たち)の立場は、(1)産業技術論から縮原発派、(2)創憲・自立民主派か
  ら積極的平和主義(≠現政権の軍拡主義)、(3)新産業創成論から是々非々派である。
    



※ 『注目の人 直撃インタビュー 古賀茂明氏が語る「I am not Abe」発言の真意』、日刊現
  代 2015.02.02
※ 『窪田順生の時事日想:なぜ元経産官僚の古賀さんは「報ステ」降板に腹をたてたのか』  
  ITmediaビジネスオンライン 2015.03.31
※ 放送法第4条:(国内放送等の放送番組の編集等)

   第四条  放送事業者は、国内放送及び内外放送(以下「国内放送等」という。)の放送番組の
   編集に当たつては、次の各号の定めるところによらなければならない。
   
   四  意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること。 

   出展:『報ステ』古賀茂明氏告発に対する公正中立な評価(植草一秀の『知られざる真
    実』2015.03.29

 

 

※ ただし、2012年度時点のマニフェスト

● 進撃のヘーリオス Ⅱ



          原発のフェイドアウトがさらに2069年の15年先送り

今月1日、スマートジャパンは、「政府の委員会で進むにつれて、原子力発電の実態を示す
データが続々と出てきた。安全性を前提に原子力の重要性を訴えるものの、多くの発電所で
は使用済み燃料の貯蔵容量が限界に近づいている。不確定な要素の多い原子力によって先行
きは見通しにくくなる。」と指摘する。その概要は以下のようになる。

 

政府が将来のエネルギーミックス(電源構成)を決めるために新たに設置した「長期エネル
ギー需給見通し小委員会」は2カ月間で5回の会合を開いた。その中で火力・原子力・再生可
能エネルギーの3種類の電源の特性を見極めることに力点が置かれている。特に原子力に関し
て最新のデータや政府の方針が徐々に明らかになってきたが、エネルギーミックスを決める
にあたり、原子力の比率をどの程度に設定するか最大の焦点となり、原子力発電所は運転開
始から40年で終了することが原則で本来ならば2049年に原子力発電はゼロになる(上図)。

ところが、資源エネルギー庁が委員会に提出した資料では、さらに15年先の2064年に
先送りされる。建設途上の3基(電源開発・大間、中国電力・島根3号機、東京電力・東通)
の運転開始を前提にしているためである。経済産業大臣は「現時点で原子力発電所の新設・
増設は想定していない」との立場を貫いているが、政策を担当する資源エネルギー庁は新設
分までエネルギーミックスに織り込む方針だという。 

一旦計画したものはヤメることができないという言い分だ。まてよ、これって、太平洋戦争
に突入していった体質と同じではないのか。

 

【新再エネ立国九州論 Ⅲ】


● 九州最大のメガソーラー着工、発電能力96メガワット2018年に稼働

宮崎市にあるゴルフ場の建設予定地が巨大なメガソーラーに生まれ変わる。140万平方メート
ルの広大な用地に30万枚の太陽光パネルを設置して、発電能力が96メガワットに達する
メガソーラーを建設する計画。2018年の春に運転を開始する予定で、3万3千世帯分の電力
を供給することができる。

このプロジェクトは米国系の発電事業者2社が共同で実施する。GE(ゼネラルエレクトリッ
ク)グループのGEエナジー・ファイナンシャル・サービスとバージニア・ソーラー・グルー
プのパシフィコ・エナジーが事業者。すでに3月30日に建設工事を開始して、2018年の春に
運転開始を予定。年間の想定発電量は公表していないが、太陽光発電の設備利用率(発電能
力に対する実際の発電量)の最新の標準値14%で計算すると1億1800万kWhになる。一般家庭
の使用量に換算し、3万3千世帯分に相当する。2012年度に固定価格買取制度の認定を受け
ていることから、1キロワットアワーあたり40円(税抜き)の買取価格を適用でき、年間の
売電収入は47億円にのぼる見込み。

また、太陽光パネルは約30万枚を設置する。中国系の大手パネル・メーカーであるトリナ・
ソーラー社の製品を採用した。発電した電力を直流から交流に変換するパワーコンディショ
ナーには、GE製の「ブリリアンス・ソーラー・インバータ」を使う。1台で1.26メガワット
の出力がある機種50台を配置して、最大63MWの電力を送配電ネットワークに供給すること
ができる。 



出典:宮崎森林発電所くにうみアセットマネジメント


● 35億円を投じた木質バイオマス発電所が宮崎県で完成 

宮崎県の中部に位置する川南町は農業と林業で発展してきた。戦後に全国各地から多くの人
が集まって開拓したことから「川南合衆国」とも呼ばれている。豊かな自然に恵まれた田園
地帯の一角に「宮崎森林発電所」が3月31日に完成した。地域で発生する間伐材や林地残材
などの未利用木材を年間に7万2千トンも使って発電する。発電能力は5.75メガワットで、
年間の発電量は4,550万キロワットアワーを見込む。一般家庭で1万2,600 世帯分の使用量に
相当する。川南町の総世帯数(約6100世帯)の2倍強に匹敵する規模。
 

 

● 英国の初夏より暖かい南極 17.5℃

 It was warmer there than in the UK, where British Summer Time has just begun.

 

最新技術籠もれ話 Ⅰ

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● 糸を引かない納豆を市場投入 

変わり種の納豆が話題となっている。15年前、納豆については、味付け海苔のように薄膜(フィル
ム)化の事業開発構想していたこともあり(ブログ掲載済み)興味を惹かれネット検索する。ことの
発端は、納豆メーカーから依頼を受けた茨城県工業技術センタではじまる。昨年、通常の納豆菌から
自然変異した菌株を、培地に植え継ぐ方法で、糸引きのもととなる「ポリグルタミン酸」の生成能力
が低い菌の培養に成功したというが、よく調べていくと、粘りのある香りのよい納豆の開発を進める
うちに、偶然?に「納豆菌ファージに感染耐性を有する納豆菌及びチロシン結晶の析出低減化納豆菌
に関する研究」(2014.05.12)を進めるなかでの発見によるもの。納豆を試作しては糸引きを確認す
る「ひたすら地味で孤独な作業」を百回以上繰り返したという担当技官(久保雄司氏)は糸を引かな
い納豆の反響に驚いてという。この菌を使い、いち早く商品開発に着手した常陸太田市の納豆メーカ
ー金砂郷食品社は「『糸を引いてこそ納豆』に対する要望は業界でも非常に根強く、1月にフランス・
リヨンで開かれた見本市では、豆乃香(mame no kaori)を使ったバターや煮込み料理なども提案し、
食材としての可能性をアピール、多くのの引き合いがあったが、今、海外で日本食が受け入れられて
いるのも、『豆腐』や『しょうゆ』を売り込んできた先人の努力があったからこそだという。

それでは、もう少し詳しくみてみよう。「納豆菌ファージに感染耐性を有する納豆菌及びチロシン結
晶の析出低減化納豆菌に関する研究」(茨城県工業技術センター研究報告 第42号 2014.05.12)のイ
ントロは次のように解説されている。




  茨城県は、納豆の産地として全国的に有名であり、水戸市の平成25年の1世帯あたりの納豆購入
 額が全国で1位となるなど消費も盛んである。このように,茨城県民には馴染み深い納豆であるが、
 製造現場においては以前より指摘されてきた問題がいくつかある。

  一つ目は納豆菌ファージ(以降,ファージと記載)の問題である。ファージは、人間には無害
 だが納豆菌に感染し,納豆菌を死滅させてしまう。更に,ファージが生産する酵素により納豆の
 粘り成分であるガンマポリグルタミン酸(γ-PGA)が分解されて糸引きがなくなり、クレームの原
 因になる等,メーカーにとっては重大な問題となっている。

  もう一つ、チロシンが析出するという問題がある。日配品である納豆の賞味期限は製造から10
 日程度が一般的だが,日が経つに連れ、納豆の表面に白い粒が生じてくることがある。チロシン
 が主成分の固体であるため食べて害は無いが、生じる前に比べて著しく食味が劣化する。チロシ
 ンの結晶が生じることなく熟成が進めば、賞味期限の延長が可能になるだけでなく、納豆の旨み
 そのものが向上することが期待できる。

  上記2点に関する相談は茨城県工業技術センターにも毎年寄せられており、抜本的解決が望ま
 れる課題であった。




このように、糸を引かなくなる品質劣化から「ファージ感染耐性納豆菌株の開発」がはじめているが、
研究結果は、(1)納豆菌の持つコンピテンスを利用し、納豆菌と同種で、納豆製造能はないがファ
ージ耐性を持つ菌株のG. DNAを取り込ませることで、ファージ耐性納豆菌株の開発を行い (2)プ
レート上で確認した限りにおいてファージの感染が起こらない株を5株育種し、全ての株で納豆の製
造が可能であることを確認した。(3)チロシン析出低減化納豆菌株の開発について、プロテアーゼ
がチロシンの蓄積と析出に与える影響を検証すべく,納豆菌のaprE破壊株作成に取り組み、aprEをKm
Rマーカーで破壊し、pBluescriptⅡに組み込みベクターを構築することを試みたが、ライゲーションが
上手く行かず本年度中の完了には至らなかった、として、(1)育種した5株のファージ耐性納豆菌
株は当初の予想通りであれば、ファージの感染に関与する遺伝子が、性質の変換に利用したG. DNAと
入れ替わった可能性が高い。しかし,それがどの領域か分かっておらず,また,場合によっては予想
とは違った機構でファージ耐性を獲得した可能性がある。今後、遺伝子の変異箇所の解析を進め、フ
ァージ耐性を獲得した要因を明らかにし、(2)aprE 破壊納豆菌株の作成が完了しなかったため再挑
戦するか、別な方法でaprE破壊納豆菌株を作成し、プロテアーゼがチロシンの蓄積と析出に与える影
響、検証する。最終的に、組み換えに依らない方法で、既存納豆菌株よりもチロシン析出が起こりに
くい納豆菌株を育種すると展望するが、その結果、遺伝子組み換え法を採用せず、育種法を採用し「
糸ひきのない納豆」を開発に移っている。

   


下図は関連特許の概説図だが、遺伝質組み替え法という"毒"を含めなかったのは、上策でないにしも
中策であろう。しかし、薄膜納豆事業を考えていたことをころを思い出し、次から次とアイデアを考
えたいあの頃が懐かしが、この「ガンマポリグルタミン酸(γ-PGA)」をベースに、野菜パウダーや穀
物パウダー、香辛料、調味料を配合し製麺技術を応用し「カラフル・ベジタブルペーパー事業」を創
成できないかとも考える。フードレスで、おにぎり、巻きずし、サンドウィツチ、味付け海苔ならぬ
味付けベジタブルペーパーなどへ応用できそうだ。また、牛乳、チーズ、挽肉などの酪農作物のつな
ぎに使うことで、また増量剤として大豆蛋白や野菜パウダーと練り合わせれば「ヘルシーハンバーグ」
を開発できるのではないだろうか。これは面白そうだ。

  

 

  

● 香りをリアルタイムで“見える化” 

バイオクロマト社は、香りをリアルタイムで“見える化”する分析機「ボラタイムシップ」を開発。揮発性物質ごと
に香りの強弱をグラフ化できる。エスビー食品と共同開発で、価格は250万円から(消費税抜き)で顧客の用
途によりカスタマイズできる。ボラタイムシップは、市販する直接質量分析装置(DART―MS)の拡
張デバイスとして取り付ける機器。同装置は約200℃の熱で香りの基になる分子同士のつながりを
分け、計測器に誘導する機構が特徴。食品メーカーなどでの検査は従来、人間の鼻でかぎ分ける「感
応試験」が主流だが、人間の鼻では結果に差異があったが、開発段階で後ろ盾となる「数値化」と「
香りの変化を知りたい」という要求を実現したという。もうすぐ、口臭で健康検診する時代がくるね。
きっと!

ところで、質量分析装置ときけば、測定精度により幅があるが30年前ごろは数千万円のレベルだっ
たが、この装置250万円というから、1桁安くなっている。当時は、主にトリハロメタンなど水溶
液中の極微量の検出に使用していたが、大きさなどを考えると、考えられないようなダウンサイジン
グを遂げている。振り返ると、日々新た、日々徒手空拳でここまできたが、驚くね、本当!

 

 

 

● 微細気泡含有・脈動節水ノズルの威力

業務用に使う水の量は、一般家庭よりもはるかに多くなる。株式会社 DGTAKANOのノズルは違う。
節水ノズルをしのぐ「Bubble90」シリーズは、内部で水道水に空気を効率よく含ませる泡沫水を振動
させ高圧で放出させる蛇口ノズルで、蛇口に設置するだけで、普通の水道から水泡が次々と勢いよく
流れ出し、空気を多く含んだ水の玉を波のようにリズミカルに放出させることで、従来のわずか5%
の水量でも確実に洗浄物の汚れを落とす。「洗浄力をキープしながら節水率をあげる」という相反す
る機能を両立するをうたい文句に売り上げ伸ばしているという。この種のノズルの開発はすでに、株
式会社 いけうちなどの協力を得ながら経験済。そこで、早速ネットで検索してみたが特許申請して
いないようで、似通った特許を検索する。 下図の特許概説図はパナソニック社のもので、基本構造
は変わらなく、吐出口が3カ所以上の複数あることが特徴である。世界展開できる優れものだ。これ
はお勧めだ!

 

 

 

 

 

● カセットボンベを燃料とする簡単操作の非常用電源

ヤマハモーターパワープロダクツ株式会社が、非常用電源や趣味、レジャーなど幅広い用途に使用で
きるカセットボンベを燃料としヤマハインバーター発電機「EF900iSGB」を、2015年4月1日より発売
するという。販売は、ホームセンターやヤマハ発電機販売店などで行う。ホンダが2月に販売したの
につづく恰好となる。この「EF900iSGB」は、当社初のカセットボンベを燃料とした発電機で、ガソリ
ン燃料の発電機と比較して、(1)カセットボンベをソケットにセットするだけの簡単な燃料補給、
(2)シンプルな始動・運転操作、(3)劣化の少ないガス燃料により本体・燃料の長期保管が可能
(4)長期保管後のスムーズな再始動、といったガス燃料発電機ならではの特徴を備える。(5)さ
らに、インバーター方式を採用して正弦波に近い出力電圧波形を実現し、家電や工具類に加え、スマ
ートフォンやパソコンといった精密機器に使用できる家庭用電源と同等の良質な電気の供給に使える。

乾燥重量22kgの小型・軽量設計、全閉型構造による高い静粛性など、高性能・高品質を達成。非常時
には迅速に、レジャーなどでは気軽に使用可能。メーカ希望価格は、14万円(消費税込み)。

 

 

 

 ・今夜のアラカルト シュラカップ野菜のオムレツ


● イタリアン・アウトドアクッキング

今夜は、中途半端に残った野菜をどんどん使っうエコで、卵は誰にでも喜ばれる料理になる「シュラ
カップ野菜のオムレツ」。法要開けは、山が待ってる。アウトドアが待っている。ところで、前記し
たように、そのうちにアウトドアクッキング用(あるいは防災グッズ用)の電子レンジグリルが販売
されるね。

1.材料(4人分)

パスタ(フジィリ)60g、トマト30g、ニンジン30g、カリフラワー30g、ブロッコリ30g、ズッキーニ30g
黒オリーウ6個、粉チーズ 大さじ2、卵6個、バター 少々2 

2.作り方

(1)パスタは、やや柔らかめに茫でておく。(2)小角切りにしたニンジンと、小房に切り、(3)
分けたカリフラワー、プロッコリを塩を加えた湯で茹でておく。ズッ牛一二は輪切りにしておく。黒
オリーヴはスライスする。(4)ボールに卵を割り入れ、塩、コショウ、(5)粉チーズを入れて、
野菜を入れる(A)。(6)パスタを混ぜる(B)。(7)シェラカップの内側にバターを少量塗っておき、
(4)を入れ、オーヴンヘ。 

※バリエーション:フライパンに流し込んで作るとジャンボオムレツになる。この時の火加減は中火
  で、しかも底全体に火が回るようにしないと、1ヵ所だけが焦げてしようので注意すること。また、
  卵は膨張するので詰めすぎないように。

  出展:

 

 


春雨前の花日和

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          雨をさけいまが好機と連れいでる 菩提の寺の垂れ桜ぞ 
   
  

  

 
          春空の水面に映すいろは松 露と消えにし大攘夷かな

     




         行き過ぎたきみに手を振る石垣で さくらを重ね町並みを撮る






           この場所で喉を潤しひとやすみ 桜の下で面影を写す 






                ここと決め行動するから花日和 二度帰らぬ花日和 

 

 

            冬枯の柳は人の心をも 春待てこそ結ひ留むらめ



※ 美丈夫重成の一首:首塚は菩提寺の宗安寺にある。






    あふみの海 磯うつ波の幾く度か 御世にこころを くたきぬるかな


※ いろは松の歌碑に残る井伊直弼の一首
 

 


             櫓なき石垣覆い生い茂る 花は盛りて水面に映える    
     

 

       ゆびをさし あれを(欅)撮せと言うきみに 素直にシャッター切っている  

 
二人で城郭を花見し散策していると、濠の水のにおいに気づき、臭いねと彼女が騒ぐ。においに
は人一倍敏感なわたしでもアレルギー性鼻炎が原因か気づかずにいた。そういえば鹿野昭三県会
議員(故人)が、流域下水道の処理水を流し込めば浄化に役立つのではという提案をしていたこ
とを伝える。記憶はあやふやだが、市役所や県庁の関係者は、石垣が崩れるリスクなどで消極的
だということだった。そういえば浄化試験などやっていないようだ。透き通るような水が流れ、
梅花藻が水棲するような美濠になれば、観光資源の付加価値を高めることができるはずだが、彦
にゃんはどう考えているのだろうか。

 

 

 

 

進撃のヘーリオス Ⅲ

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● エネルギーハーベスティング "水道発電"

エネルギーハーベスティング技術とは、周りの環境から微小なエネルギーを収穫(ハーベスト)して、電力に
変換する技術のこと。「環境発電技術」と呼ばれているもの。光・熱(温度差)・振動・電波など様々な形態
で環境中に存在するエネルギーを電力に変換するエネルギーハーベスティング技術は、充電・取り替え・燃料
補給なしで長期間エネルギー供給が可能な電源として、「いつでも、どこでも、誰でも、何でも」ネットワーク
につながるユビキタスネット社会や、モノのインターネットには必須技術。

たとえば、発電方法がクリーンなだけでなく、低炭素社会の実現に向けて、スマートグリッドや物流管理など
各種環境情報の計測・可視化や省エネ制御のための環境埋め込み型センサーネットの電源への適用。また、自
動車の安全性や燃費向上のためのタイヤ空気圧センサー用電源やウェアラブル機器の電源、医療用途の機器や
コンタクトレンズ型センサーの電源など様々な応用展開が考えられている。

いま、中野製作所(上写真)が開発した『流体モーター(仮)』を利用すると、家庭の水道を使い電気を生み
出すことができると話題になっているので、今夜もネットサーフィング。さて、使い方は、水道の蛇口に取り
付け放水し、その流体圧力を利用し発電――お風呂一杯(約200リットル)の量で発光ダイオードライトを10
分程度点灯することができるという。このような小型流体圧力発電機は20年前からも提案――例えば、圧電
素子や小型タービン方式があるが、(1)水道の圧力程度の低い圧力では発電できない、(2)できても起電
力が小さい、(3)構造が複雑などの理由から実用化できていなかったが、それに比べ、回転翼(フィン)が
がなく、内部構造が非常にシンプルで分解が簡単でメンテナンスがしやすい構造となっている。

 

この小型マグネット式流体圧力発電機の構成と原理(上図)は、 樹脂製のハウジングにネオジム磁石(右)を入れ
固定。そこにもう1つのネオジム磁石(左)を入れ、相互が反発する状態にして配置。磁石(左)を水道水の
流体圧力によって磁石(右)に接近させると、磁石(左)が回転運動を始め、この回転エネルギーを出力軸で
受けとめ、水道水の流体圧力は最小でも0.2MPa、受けとめた回転エネルギー(回転数2000rpm)を直接ダイナ
モに伝えて発電する。

2つの磁石は、近づけば近づくほど回転数が上がるが、限界を超えると磁石が相互に吸着するので、微妙な限
界点まで接近させ、流体を逃がす許容間隔をつくる。この距離が1~2ミリメートル。試作品は、長さが手の
ひらサイズで、重量は百グラム以下と軽く、主要部品もわずか10点。これは面白!

※ 比較参考特許 

・圧電素子型  特開1995-269456  流体管系内の圧力変動を電気エネルギーに変換する装置
・小型回転翼型 特開2003-065203  流体回転機および流体発電機

 

【新再エネ立国論 奥州編Ⅰ】 

● 東北最大級のバイオマス発電が2016年7月に開始

秋田県秋田市の向浜で、東北地方最大級となるバイオマス発電計画が進められている。最大出力は20メガワ
ットで、年間の発電量は約3万8千世帯分を見込む。秋田県の豊富な森林資源や未利用材を活用し、地域雇用
の創出にも貢献。投資会社のくにうみアセットマネジメントは、ユナイテッド計画が計画する木質バイオマス
発電事業に4億円を出資。同事業は秋田県秋田市向浜で計画される最大出力約20MW(メガワット)の発電事業
で発電所としては東北地方最大級のもの、総事業費は約125億円。2016年7月の運転開始を予定。宮崎森林発電
所(宮崎県川南町 宮崎県川南町 宮崎県川南町 )に次ぎ22件目となる(「新再エネ立国九州論 Ⅲ」,『
撃のヘーリオス Ⅱ
』2015.04.04)。

秋田県はスギ人工林の保有資源量が全国第1位であり、豊富な森林資源を有し、また県南部では、積雪の影響
を受けた曲がり材などが多く、間伐などによる林地残材も未利用のままのものが大量にある。これらの地元の
未利用材をバイオマス発電事業に活用することで、適正な森林管理にもつながる。さらに発電所で25人の新
規雇用があるだけでなく、関連するチップ工場での新規雇用など、幅広い範囲で地域経済の活性化効果も見込
まれているという。

 
今回のバイオマス発電事業への出資は、事業を主体に進めるユナイテッドリニューアブルエナジー(SPC)に対
し、ユナイテッド計画が5億円、くにうみアセットマネジメントが4億円、レノバ(東京都千代田区)が4億円
を出資。さらに環境省管轄であり「地域低炭素化出資事業」の基金法人であるグリーンファイナンス推進機構
が7億円を出資する(優先株)。融資に関しては、地元金融機関を中心に複数の金融機関から約74億円、秋
田県のふるさと融資から31億円を受ける予定。また、発電所には住友重機械工業のボイラーが使用され、稼
働後はSPCが中心となり発電設備の運転・維持管理・保守を行う予定。発電した電力は特定規模電気事業者)や
東北電力へ売電される。なお、この事業による二酸化炭素削減効果は年間7万7,088トンを想定している。

九州だけでなく奥州を今夜は紹介することとなったが、大切なことは、実積をコツコツと積み上げていくこと
だろう。そうして普及すればコスト削減も量産効果で自然と逓減していくはずだと確信している。頑張ろう!
秋田。

 

● 進撃のヘーリオス Ⅲ  最新量子ドット光電変換素子技術

 
グリッドパリーティが達成し、デジタル革命渦論のロジック通りの展開となって来ているが、第2目標の1キ
ロワット当たり7年を早期達成すべく、高効率変換型太陽電池である量子ドット系光電変換素子の最新技術を
米国特許庁でネット検索してみた。まず、「リンインジウム強制ドーピングによる高密度量子ドット太陽電池
の製造方法」(下図クリック)が提案されている。なお、理論上の変換効率で43%の高い出力が見込まれる
事案である。

下図の事案では、量子井戸構造をもった従来の薄膜太陽電池では、入射光の透過時に経路中で光子吸収が阻害
される。面内光トラップを介し光電流を発生増大させる横への導波散乱させる物理的機構が提案されているる。
デバイス構造に低エネルギーギャップの高屈折率材料の障壁をを挿入すると多くの場合低電圧動作となり変換
効率が低下する。ヘテロ接合のエミッタ拡張ワイドバンドギャップのⅢ-Ⅴ族材料のインジウムガリウムヒ素
の量子井戸導波路の採用で電圧出力を高める。Ⅳ族の光特性解析からダイオード暗電流となる再結合成分の減
少がわかった。発光再結合成分を取りのぞき単接合セルで30%以上の変換効率を実現する経路について提供
されている。

 



※ 出展:米国特許庁 

US 8865513|High-density P-doped quantum dot solar cell obtained by the active doping of InP and a production method therefor US 8921687|High efficiency quantum well waveguide solar cells and methods for constructing the same US 8981207|High efficiency quantum dot sensitized thin film solar cell with absorber layer US 8936830|Apparatus and method for continuous powder coating US 8994005|Vertically correlated clusters of charged quantum dots for optoelectronic devices, and methods of making same

一日の作業で斜め読みしたものを参考に上のように掲載しておく。また、 「US 8936830|Apparatus and method for co-
ntinuous powder coating 
」は量子ドット太陽電池とは直接には関係しないが、検索上、製造プロセスでたまたま、引っか
かったものだが、8年前?に静岡大学で知ったパウダー噴霧塗工技術であるが興味を惹き掲載する。



 

   ● 今夜の一品 スマートLED照明

フィリップスが、スマートフォンで操作可能なスマート照明「Hue」のモバイルバージョン「Hue Go」を発表。
バッテリーを内蔵し、フル充電には約1.5時間必要だ。フル充電した後に、約3時間ぐらい連続使用可能。
スマートフォンからの操作のほか、本体にボタンも搭載しているので、スマートフォンがなくても 開閉した
り光の色を切り替えたりすることができる。

  

 

 

日本周回新幹線構想 Ⅱ

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● 日本周回新幹線構想 Ⅱ

兵庫県の井戸敏三知事が7日、北陸新幹線でルートが決まっていない敦賀(福井県敦賀市)-大阪間に関し「金沢や福井
から関西を見ると、大阪や京都が視野に入ってくる。米原(経由のルート)なんかでは駄目だなという感じがする」と述
べ、福井県知事選の応援のため訪れた福井市での演説で触れた。同区間は小浜、湖西、米原の三つのルート案がある。井
戸氏が連合長を務める関西広域連合は費用対効果が優位だとして東海道新幹線の米原駅へつながる米原ルートを推してい
る。 福井県は、若狭湾沿いから京都府亀岡市を経て大阪に至る小浜ルートを求めている。湖西ルートは琵琶湖西岸を通
り、京都を経て大阪へつながる。

大きく見れば、金沢-敦賀-舞-鳥取-松江-萩-下関とつなぐ「山陰新幹線整備」は必要として、北九州-敦賀-新
潟-小樽の港湾の再整備を結ぶ「環日本海経済圏構想」と国内経済圏の強化できる「日本周回新幹線構想」を乗せた上、
「敦賀-大阪」と「敦賀-名古屋」を45分で開通できる「敦賀-米原縦断ルート」は魅力的で、先回掲載した、フリー
ゲージトレイン(軌間可変電車)を前提とすれば、東海道新幹線および東海道本線の双方にも乗り入れ可能な「敦賀-米
原-名古屋・大阪ルート」は大変魅力的なものになるだろう。また、ロシア極東部、朝鮮半島、中国河北部との経済継体
強化は「極東アジア経済構想」にも魅力的だろう。
だ。 

 

【進撃のヘーリオス Ⅳ】

● 高変換効率太陽電池用色素シート 変換効率従来法より10倍 ?

近年、「ナノシート」が注目を集めている。2010年のノーベル物理学賞の対象となったグラフェン法を含め
現在主流のナノシートは結晶性層状化合物から層を剥離する方法で作製する「トップダウン型」ナノシート。
一方で、分子・イオンから二次元構造を直接紡ぎ上げることで合成する「ボトムアップ型」ナノシートに関
しては、「トップダウン型」に比べ、構造・組成・バリエーションの高い自由度という利点があるものの、
これまで構造構築手法の開発に主眼が置かれ、機能創出は達成されていなかった。東大の西原寛教授らのグ
ループは、有機分子(ジピリン)と亜鉛イオンからボトムアップ的に組み上げられるジピリン亜鉛錯体ナノ
シートを創製し、その光電変換材料としての応用可能性を実証したことを公表。

 

図   (a) ジピリン亜鉛錯体ナノシートの構成要素と構造、 (b) 液液界面合成法、 (c) 気液界面合成法.
(d) 光電流応答。緑色光(500ナノメートル)照射時のみ電流が観測される。

同上の研究グループは、2種類の「界面合成法」を用いて「ジピリン亜鉛錯体ナノシート」(図1a)を作製
し、その光電変換材料としての応用可能性を 実証。ひとつは、「液液界面合成法」という手法を用いる。
まず、水と油(有機溶媒)それぞれに酢酸亜鉛、ジピリン配位子を溶解させ、両者を重ねると油と水の分離
が起こり二層となる。これを数日放置すると二層が接している面(界面)にてナノシートが成長する(図1b)。
ジピリン配位子の濃度を調整することで自在に厚みが制御できる(6−800ナノメートル、5−670 層に相当)。
なお、髪の毛の直径は100 マイクロメートル程度。一方で、究極的に薄い単原子層ナノシートを得るために
は、「気液界面合成法」を用いる。この手法で は酢酸亜鉛の水溶液の表面にジピリン配位子の有機溶液を
ごく微小量散布。有機溶媒はただちに揮散し、今度は気液界面にて反応が進行し、単原子層ナノ シートが生
成される(厚さ1.2ナノメートル、図1c)。界面合成法は室温・大気下で行うことができるため、簡便で低コ
ストかつ環境にやさしい手法が特徴。これらのナノシートは透明電極に貼り付けることができ、この修飾電
極が光電変換特性を示すことを見出す(図1d)。具体的には、色素増感太陽電池の陽極と同等の機能を発現
することを実証した。

具体的には、オレンジ色の色素を含んだ原子配列からなる極薄のシートで、従来の10倍以上の効率を達成し
た。色素増感型はシリコンを使わず、色素が光を吸収し電子を放出することで発電する。材料が安く、製造
も容易で、低コストの電池として期待されるが、発電効率が10%程度と低いのが課題。開発したシート状素
材はオレンジ色で亜鉛や窒素を含み、厚みは原子1個分。波長500ナノメートルの光を当てると従来の10
倍以上の効率で電子を放出することを確認。窒素を合む有機化合物や、亜鉛のイオンか溶けた2つの溶液を
混ぜるだけで同単に合成できる。

 

 


新素材は色素同士が互いに離れているため、効率よく電子を放出できるとみられる。従来は酸化チタンなど
の粒子に色素を貼り付けており、色素が密集して効率が低下していた。他の色素もシート状にすれば効率を
高められる可能性かある。研究チームは今後、色素だけでなく電極や電解液などに相当する電池部品も極薄
の高分子シートで作り、簡単に製造できて自在に曲げられる色素増感型太陽電池の開発を目指す。同グルー
プの坂本助教は「10年後に20~30%の効率の電池を実現したい」と話す。

  

 

● 米 退役軍人の太陽光発電業界就職を後押し

バラク・オバマ大統領が誕生したとき、オバマは手強いと感じていた。理想主義と実際主義が混在した政権
であると。そして、米ソの核軍縮、パキスタン・イラクからの撤退、地球温暖化対策、景気回復を優先し着
々と手を打ってきた。それは支持率の低下とは別に、二丁拳銃のカーボーイ、新自由主義を信奉するティー
パーティを象徴とするねじれを生みながらも負の連鎖を断ち切り、失業率は3.5%までにこぎ着け、格差是
正に着手している。

今月3日、オバマはユタ州のヒル空軍基地で演説を行い、退役軍人の太陽光発電産業への就職を後押しするための
職業訓練プログラムを開始すると公表した。大統領は「国家安全保障の最も重要な側面の1つが強固な経済安全
保障である」と述べ、「経済が好調でなければ、米国は史上最高の軍隊を維持することはできない」と強調。
さらに、成長産業である太陽光発電産業が退役軍人の社会復帰を手助けできると述べ、太陽光発電産業では
他の業界に比べて10倍の速さで雇用が増えており、賃金も高いと話し、エネルギー省は2020年までに同業
界で働ける技能を持つ労働者を最大7万5千人養成する計画を推進しており、退役軍人向けの職業訓練プロ
グラムはその一環として実施される。昨年、5万人を養成すると発表したが、これを拡大修正する恰好とな
っている。


 Israel's Knesset hosts 450kW solar roof

● イスラエルの国会議事堂屋根で太陽光発電

今月7日、イスラエルの首都エルサレムにある国会議事堂の屋根上に設置された、出力450キロワットの太陽
光発電システムに、中国の大手太陽光パネルメーカーのJAがソーラーが太陽光パネルを納入したと発表。
イスラエルの国会議事堂の屋根のうち、4,650平方メートルに設置。国会議事堂に導入済みの太陽光発電シス
テムは世界最大規模。先月29日より発電を開始。間発電量は、国会議事堂の消費電力の10%に相当量を見
込む。国会議事堂の省エネルギー化と合わせて、2015年末までに電力購入量を従来に比べて3分の1減らす
という。中東の紛争が見通せないなか、イスラエル原子力発電所が攻撃されれば、大惨事になるほか、戦禍
拡大になりかねないが、変換効率が低いことや品質についての不安が残るものの、原発と全面切り替えでき
ればその懸念は払拭される。



● 20メガワットで連系点共有 荒尾市と大牟田市のメガソーラー

SBエナジーと三井物産は、熊本県荒尾市と福岡県大牟田市にまたがる地域にメガソーラーを建設。2015年
2月に出力約22.4メガワットの「ソフトバンク熊本荒尾ソーラーパーク」(上図)を、同年3月に19.6メガ
ワット「ソフトバンク大牟田三池港ソーラーパーク」(下図)の稼働を開始。いずれも、旧・三井鉱山の石
炭産出地域にあり、日本コークス工業社が所有する土地を賃借。海沿いの約2キロメートルしか離れていな
い場所に立地する。20メガワット規模の二つのメガソーラーが、一つの連系点と連系設備の一部を共有す
る珍しい運用事例となる。


● 再生可能エネルギーの投資額、2014年度世界で17%増加


過去2年間は減少を続けていた再生可能エネルギーに対する世界全体の投資額が2014年に再び増加に転じた。
年間の投資額は2700億ドル(約32兆円)にのぼり、前年から17%の高い伸び率になった。国別では中
国、米国、日本の順に多く、種別に見ると太陽光と風力で全体の9割以上を占める。

再生可能エネルギーの種別に見た投資額では、太陽光が1500億ドル(約18兆円)で全体の半分強を占めた
(上図/下)。2013年と比べて25%も伸びている。次いで風力が990億ドル(約112兆円)で、前年から
11%増加。そのほかのバイオマスや小水力、地熱や海洋エネルギーは圧倒的に少なく、現在のところ太陽
光と風力が世界の再生可能エネルギーの主流になっている。



【新弥生時代 植物工場論】


ここ数年新しい農業について考えてきたことを、独自に事業化の基本イメージを確定させておきたいという
思いに駆られ、上記の本をそのたたき台として、時宜、読み進めたい掲載を開始した。独自の事業化イメー
ジはできあがっているだが、この本にも事例紹介されているので、時々の気付いた点を添え書きとしてここ
に記載していくので通読された方に理解できるだろうと考えている。それでは読み進めることに。
 

 「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を施設内で人工的に制御
 し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場所にとらわれず、安全な野菜を効率的に生産でき
 ることから多方面で注目を集めています。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設
 備投資・生産コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や図解を用いて様々な
 角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技術革新などによってもたらされるであろう将
 来像についても、アグリビジネス的な視点や現状もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわ
 かる一書となっています。

                             古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」より

 【目次】

  巻 頭 町にとけ込む植物工場
  第1章 植物工場とはどういうものか
  第2章 人工光型植物工場とは
  第3章 太陽光型植物工場とは
  第4章 植物生理の基本を知る
  第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
  第6章 CO2/空調管理
  第7章 培養液の管理
  第8章 植物工場の魅力と可能性
  第9章 植物工場ビジネスの先進例
  第10章 都市型農業への新展開
  第11章 植物工場は定着するか

   巻 頭 町にとけ込む植物工場

  環境・健康・交流をテーマにしたスマートタウン構想がすすむ千葉県柏市「柏の葉」地区。このまち
 づくりで重要な位置を占めるのが植物工場だ。さまざまな研究や、それらを活かした身近な生活にかか
 わる店づくりの実践など、未来に果たす植物工場の役割までをも見据えた取り組みが、ここではじまっ
 ている。

                                                              命を育み、食文化を大切にする農耕文化都市

 柏の葉が目指すもの

  柏の葉エリアは、2000(平成12)年に、柏通信所跡土地区画整理事業にもとづき開発された、新
 しいまちだ。273hという広大な土地が区画整理された。2005年には、柏の葉キャンパス駅もで
 き、利便性が増した。2008年、千葉県・柏市・東京大学・千葉大学による「柏の葉国際キャンパス
 タウン構想」が発表され、以後、研究機関とまちが併存する立地ならではの構想に、注目が集まってい
 る。柏の葉が目指すものとは何か。まずは、NPO法人植物工場研究会理事長の古在豊樹さんにうかが
  った。

  「柏の葉が目指すべきは、農耕文化歳です。都市と農村の文化基盤を共有し、自らが命を育み、食文
 化を大切にするようなまちづくりが、今後の豊かな社会のカギ。植物工場が重要な役割を果たすと思い
 ますよ」。

                                                         植物工場の基地、千葉大学

  柏の葉スマートシティの拠点のひとつに、千葉大学環境健康フィールド科学センターがある。環境健
 康総合科学と都心環境園芸学を融合した、環境健康フィールド科学の創成を目指し、研究施設や農場、
 加工所などを備えている。なかでも、大きな面積を占めるのが植物工場部門である。

  2003年の開設以来、広く一般にも門戸を開き植物工場の見学会や勉強会を行ってきた。2011
 年には年間1万人が来所。「小学生から大学生、近所の人から研究者まで、数多くの人が訪れています。
 「誰にでもオープンに植物工場をみてもらうことが目的ですから」と、古在さん。

  海外からも、これまでに1000人以上の視察者が訪れた。
  もちろん、企業や研究者にとっての拠点でもあり、60杜以上の企業が千葉大学における植物工場研究
 に携わっている。また植物工場では、約50大が管理や収穫の作業に従事している。

                     古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」


                                        この項つづく

 

 

最新アレルギー制御工学

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● 最新アレルギー制御工学

Tレグ(Treg:制御性T細胞)は、(1)免疫恒常性と(2)自己免疫寛容維持に不可欠な機能性細胞である。
そしてこれを、転写因子のCD4、CD25とFOXP3により発現することができる。nTレグに加え、Tr、Th
を含む制御性T細胞部分集合が存在するが、いかに免疫を制御するその多様な相互作用について明らかにされて
いないが、自己免疫疾患の予防(アレルギー疾患)、臓器移植を容易にし、癌細胞に対する免疫活性向上(癌治
療)への応用に期待が寄せられている。

昨夜、NHKスペシャル「新アレルギー治療 鍵を握る免疫細胞」(2015.04.05)のビデオ録画しておいたのを
みて、へぇ~、坂口志文阪大教授って長浜市生まれなのか、ガードナー国際賞を受賞しているから滋賀県からノ
ーベル賞受賞者がでるかもしれない。これは面白いと、そんことを考え鑑賞していた。

「免疫細胞」は本来、外から侵入する病原体と戦う一方、自分自身の体を攻撃することはない。自己と侵略者を
いかに見分けるのか。「哲学的で面白い」と、免疫の研究に取り組んで三十余年。山中伸弥さんらも受けた「ガ
ードナー国際賞」の受賞が決まった。文学書を読みあさった。精神科医を目指して京都大医学部へ進んだが、次
第に免疫学に引かれたという。1977年に大学院を中退し、愛知県がんセンターへ。免疫が異常に働きすぎて自分
の体も傷つけてしまうリウマチや1型糖尿病などの「自己免疫疾患」の研究を始める(中日新聞 2015.03.26)。

そこで「免疫細胞の過剰な働きを抑える細胞があるはず」という手応えを得た。過去に東京大のチームが発表し
た類似の研究は世界で疑問視されていた。研究資金が限られる中、自らマウスを世話し、仲間数人と手づくりの
学会で情報を交換。95年、ついに免疫を抑えるその細胞の存在を完全証明し、「制御性T細胞」と名付けた。
研究成果は前述したように、がん治療や臓器移植など幅広い応用が期待されている。

ビデオでは、1960年をさかいにアレルギー疾患者数が急増していることを切り口に、Tレグ数の低下とアレルギ
ー発症の逆相関の疫学調査結果の紹介からその根本治療の道を探る展開となっている。ところで、1960年以降、
杉花粉のアレルギー患者の急増から現在は、先進国では3人に1人が何らかのアレルギーに苦しんでいるという。

Treg Pathways

Click on the image below to view a detailed interactive pathway map for Treg development and mechanisms of action.↑

これまで対症療法や多少の予防策はあっても、完治は不可能と言われてきたが、そこに、坂口志文教授が発見し
た“Tレグ(=制御性T細胞)”と呼ばれる免疫細胞の存在が、アレルギー根本治療の“鍵”として注目を集め
る。このTレグをコントロールすることで、アレルギーが完治する臨床例が発表されるようになる。従来、妊婦
や幼児はアレルギーの予防のため、アレルギー食品を避けることが常識とされてきたが、幼児がアレルギー食品
を食べた方が、アレルギーになりにくくなるという新事実が判明。それを実証する赤ちゃん実験の結果が公表さ
れ、母親や医師たちの間で戸惑いが生じる。そこで、「アレルギー食品を食べて、腸から吸収することで、食品
への攻撃を抑え込むTレグが作られる仕組みがある」という前提で、ある種のリスキーなショック療法が試みら
れてくる。

戦後の杉一辺倒の営林政策の悪弊(予見不可?)や、自動車の排気ガス排気物質の除外政策の遅れ(予見不可?)
さらには、加工食品の添加剤や農作物への除草剤などの新規化学物質の種類×量の急増(予見不可?)、あるい
はホルモン誘因剤や遺伝子組み換え食物の種類×量の逓増(予見不可?)などによる複合汚染などのの環境リス
クの増大(予見不可?)とした上での(1)根本治療法。(2)対処治療法の現状の全景を見通そうとした場合
大変難しいそうに思える。まずは、「原因物質の削減」(法整備)を優先した上で、対処療法の選択(指針整備)
ということになるだろうか(上写真の屈曲点は、総起因物質の生産力量(濃度)と正相関していることを示して
いる?)。

これでは、すっきりしない。それでは、アトピー克服の近道は?

(1)免疫を制御しない。
(2)制御性T細胞のはたらきにより免疫寛容を獲得する。
(3)免疫に関係のない遺伝子を元に戻す。

となるが、個別課題をこなせるようなフォースはわたしにはないのでこの件は上がりとする。、


● 免疫系における恒常性の維持と制御性T細胞

 

※ アトピーという名前は 「場所が不特定」 という意味のギリシャ語 「アトポス」 (atopos - a=不特定、
   topos=場所) から由来し、1923年 コカ(coca) という学者が 「遺伝的素因を持った人に現れる即時型アレ
  ルギーに基づく病気」 に対して名づけた。「アトピー性皮膚炎」 という言葉が医学用語として登場するの
  は、1933年である。米国のザルツバーガー皮膚科医が、皮膚炎と結びつけて 「アトピー性皮膚炎(Atopic
  Dermatitis)」 という病名を初めて使用。医学用語としては気管支喘息、鼻炎などの他のアレルギー疾患に
  も冠されるが、日本では慣用的に「アトピー」のみで皮膚炎のことを指すことが多い。

  ● 今夜の一曲

シャランQのつんくん♂が声帯を失ったという。印象的な曲といえば、ドラマ『Age,35 恋しくて』の主題歌の
「いいわけ」。同様に、カップリング「こんなにあなたを愛しているのに」は同ドラマの挿入歌。「こんなにあ
なたを愛しているのに」と全く同じメロディで歌詞だけ変更した楽曲「不偏愛」も同ドラマの挿入歌となってい
る。「不偏愛」はアルバム『ベストアルバム おまけつき '96〜'99』に収録されている。映画『シャ乱Qの演歌
の花道』では「いいわけ」の演歌バージョンが製作され、尾藤イサオが歌っているという。この曲とともにの思
いだしたのは、詩吟の師範で――わたしの上司でもあったT氏で現在、彼も悲運な境遇にある――とにかく、声
量がありハスキーな声が印象深く残っている。

蓋し、長生きは哀れまし、うち捨つることの重きを知りしかな。


 

 


 

「まる」と「十勝」

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【新弥生時代 植物工場論】

 

ここ数年新しい農業について考えてきたことを、独自に事業化の基本イメージを確定させておきたいという
思いに駆られ、上記の本をそのたたき台として、時宜、読み進めたいと掲載を開始した。独自の事業化イメ
ージはできあがっている。この本にもすこし紹介されている。時々の気付いた点を添え書きとしてここに記
載していく。通読された方に理解できるだろう。それでは読み進めることに。
 

 「植物工場」とは、光、温度、湿度、二酸化炭素濃度、培養液などの環境条件を施設内で人工的に制御
 し、作物を連続生産するシステムのことで、季節や場所にとらわれず、安全な野菜を効率的に生産でき
 ることから多方面で注目を集めています。その「植物工場」そのものにスポットをあてた本書では、設
 備投資・生産コストから、養液栽培の技術、流通、販売、経営などを豊富な写真や図解を用いて様々な
 角度からわかりやすく解説。また、クリアすべき課題や技術革新などによってもたらされるであろう将
 来像についても、アグリビジネス的な視点や現状もふまえながら紹介、文字通り植物工場のすべてがわ
 かる一書となっています。

                  古在豊樹 監修「図解でよくわかる 植物工場のきほん」より

  【目次】

  巻 頭 町にとけ込む植物工場
  第1章 植物工場とはどういうものか
  第2章 人工光型植物工場とは
  第3章 太陽光型植物工場とは
  第4章 植物生理の基本を知る
  第5章 植物工場の環境制御(光(照明)
  第6章 CO2/空調管理
  第7章 培養液の管理
  第8章 植物工場の魅力と可能性
  第9章 植物工場ビジネスの先進例
  第10章 都市型農業への新展開
  第11章 植物工場は定着するか

 

   巻 頭 町にとけ込む植物工場

  都市のなかでの地産地消

                                    「コメ・スタ」で植物工場をみながら食事

    柏の菜では、植物工場をもつレストランもふたつある。そのひとつが三井ガーデンホテル柏の葉内に
  ある「Comesta (コメ・スタ)」。コメ・スタのランチブッフエの目玉のひとつが、植物工場野菜を利
  用したサラダで、店内の植物工場と株式会杜みらいの柏の葉第2グリーンルームで栽培された野菜が食
  べられる。ロメインレタスとフリルレタスは、みずみずしく、新鮮でおいしいと好評。葉を小さくちぎ
  ったものより、まるごと1枚味わえるものが人気という。サラダ以外の野菜も近隣の農家のものを積極
 的に使っているコメ・スタ。植物 工場のディスプレイがあると、柏の野菜を食べるという店のコンセ
 プトも伝わりやすい。また、目に入るものの成長過程が一目瞭然なことが、客の満足度を高くしている
 ようだ。

 
                                                                                             身近に植物工場のある生活

   「江戸時代には、植物を育てて愛でる文化が当たり前にありました。朝顔、盆栽などの育種も、いま
  でいえばゲームに親しむような感覚でやっていたんです。それは、お年寄りの楽しみだけでなく、家族
  のコミュニケーションツールにもなっていたのです」(古在さん)。現代においてその役割を果たすの
 が家庭用の植物工場だと、古在さんは考える。
  2012年から2013年にかけて、パナソニック株式会社、三井不動産株式会社、株式会社みらい
 千葉大学が共同で、家庭用植物工場ネットワークの社会実験を行った。外見は小型冷蔵庫のようだが、
 栽培の楽しみはもちろん、利用者同士がSNSでつながるなど、双方向のコミュニケーションツールと
 なるのが特徴だ。



ここでは、「コミュニケーションツール」という言葉が「家庭用植物工場」に採用されている。別の角度か
ら、つまり、デジタル革命の基本特性の第2則のダウンサイジング、第3則のボーダレスに通ずるところが
ある。尚、産業論からは、第1則のシームレス(あるいは「融合」)が同時進行することも意味していると
いえる。


  実験では、一般家庭で実際に13種類程度の野菜を栽培。次々と栽培をすすめることで、3人家族で
 は食べきれないほどの野菜が収穫できた。実用化するにはまだ値段が高いのだが、売価を一定の水準に
 設定できれば、一般家庭への片及も現実的になるだろうと予想される。
  また柏の葉には、ららぽ1と柏の葉の屋上農園と、オークヴィレッジ柏の葉という2つのタイプの体
 験農園がある。
  屋上農園は、ショッピングセンター内という立地を活かし、イベントや収穫体験などを中心に、誰で
 も手軽に農娶に親しむことができる。一方のオークヴィレッジは、本格派。柏の葉キャンパス駅から1
 分の包地ながら、6000平方メートルの農地で、有機栽培を実践することができる。柏の葉ではこう
 して、農業に親しむ空間が少しずつ広がりつつある。
  さらに、ららぽ1と内には、みらいが管理する小型植物工場があり、日常の買いものをしながら植物
 の成長を目にする機会も用意されている。また食材売り場には、みらいの柏の菜第2グリーンルームで
 収穫された植物工場野菜のコーナーが設置されていて、毎日でも植物工場野菜を食べることができる。  

 

 

  さまざまなタイプの植物工場が集まる柏の葉



                  研究成果を結集した柏の葉第2グリーンルーム

  株式会社みらいが運営する柏の葉第2グリーンルームは、千葉大学柏の葉キャンパスから車で10分弱
 の場所にあり、2014年6月から本格稼働している。日産1万株もの野菜を生産できるのが最大の特
 徴。グリーンリーフ、ロメインレタス、フリルレタスなどを栽培している。
  見学窓からは、栽培棚ごとに野菜が次第に大きくなっていく様子や、作業をする様子をみることがで
 き、野菜の育つ環境が手に取るようにわかる。その情報を積極的に提供する姿勢は、野菜のパッケージ
 にもあらわれている。カラフルなパッケージには、「野菜工場で採れました!」の文字。ほかにも農薬
 不使用であること、洗わずに食べられること、さらには食べ万の提案など、中身を知ってもらう情報が
 しっかりと記されている。

 

                                                                                                          この項つづく 

 

● ルーフがスライドハウス

イギリスSuffoklに位置するスライドハウス。ソーラーパネルで充電可能な電気モーターを搭載し、屋根と外
壁をスライドすることで、おひさまや風を感じつつ過ごすことができるという。これに注目したのは、農産
物用の温室と住居の間をスライドさせ、昼間はルーフトップ型太陽光で発電させ、住居側の遮光の冷却効果
を利用し、温室側の採光行い温室機能を利用。夜間は、温室側の放熱を防ぎ、放熱を防ぎ保温機能を利用し。
住居側は断熱設計仕様で冬季は保温を、夏季は昼間の断熱効果を利用できるよう設計する。また上図のよう
に、スライドハウスは、テニスコートやプールなどの覆蓋(テラス)などにも使用できる。このアイデアは
未来の完全自給自足型住宅の基礎となるかも知れない。これは面白い。

 

● 「まる」と「十勝」

 

最近はまっていること。それはチーズを肴に日本酒を飲むこと。具体的には、明治の十勝と白鶴のまるを、
作業を終え、寝る前に呑むのが楽しみである。このチーズ食感と日本酒のコラボレーションに目覚めたとい
うわけだ。これはいける。
 

 

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