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デジタルアース工学立国

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    いまは思い立ったらすぐ実行できるスピードがないと勝てません。

                                                   高田 明

 

 


● いまこそ地震予知工学の確立

リモートセンシングのおかげで、スパイ衛星が民生化され、高分解能衛星画像が取得できるよ
うになり、40センチメートルの地上分解能の画像が宇宙から取得できる。雨天でも夜間でも
地上を探査できるレーダー技術も、1メートルの分解能の画像が得られる。たとえば、地震前
後のレーダー画像を利用すれば、センチメートルオーダーで地震による地盤の変動を検知でき
る干渉レーダー技術も確立されている。

地理情報システム(GIS)は、いまや政府や自治体の行政を効率的に行う上で必須になり、宅
配会社、運送業、配送会社では効率的な荷物の積み下ろしになくてはならない技術。GISとGNS
Sと組み合わせれば、バスやタクシーの運行情報をスマホに配信することも可能だ。災害時の
避難に役立つハザードマップは、GISなしでは描けない。

Digital Earth(電子地球)という構想は、1998年、当時の米国のゴア副大統領が提唱したもの。
地球上の地理空間データ・情報をデジタル化→データベースを広く国民に開放→「いつでも」
「誰でも」「どこでも」利用できる社会の構築をめざす。地理空間データや情報を流通させる
ためには、地理空間データの標準化が必要となり、国際標準機関(ISO)を中心に標準化が進
められた。地理空間データを高度に利用して豊かな社会を築くことを、「G空間社会の構築」
と呼ぶ。ここでGは地理空間情報(Geo-spatial Information)の略である。これを契機として、
様々な国でNational Spatial Data Infrastructure(国土空間基盤データ)を活用する法律(略称し
てNSDI法と呼ばれる)が制定され、日本では、9年後の2007年「地理空間情報活用推進基本法」
が議員立法で制定。

この「地理空間情報活用推進基本法」のおかげで、国土地理院は2万5千分の1の地図(基本
図と呼ばれる)をネット上で無料公開し「電子国土」を推進する。これを地震予知に生かせな
いかと、村井俊治東京大学名誉教授は考えた。国土交通省国土地理院は、1994年から現在までに、
全国で約1300ヵ所に「電子基準点」を有するこの「電子基準点」は、5メートルのタワー
に支えられたGNSS受信機を設置したもの。「電子基準点」は、配置の平均間隔は25キロメー
トルで、東海地方は15キロメートル。これだけの数と密度は世界一で、世界有数の地震国に
は、貴重なインフラ、つまり、「電子基準点」は地震予測の強力な切り札になると。

2002年には、公共測量に「電子基準点」データを公開することが決められ、その利用が広く進
んだ。測量には多くの場合、リアルタイムのデータが有効となる。その一方で、1週間程度を
要する精密歴を利用した正確な「電子基準点」データ(最終解の意味でF3データと呼ばれる)
も極めて有効だ。この正確な「電子基準点」データは、2週間ほどの遅れで公開されている。
ここでは、7日分のF3データが、毎週月曜日にホームページ上で公開され、無料でダウンロ
ードできる。この点で日本は、世界一サービスのよいシステムが完成している。このF3デー
タを地震予測に使う発想が誕生する。一見、無謀とも思われた地震予測への挑戦が始まった。 

  


特開2004-226388 地震・噴火予知方法

村井教授らは、これらをの既存技術を利用する。例えば、上図3はのA点、B点、C点はそれ
ぞれ、任意に選ばれた地表上の3つの観測点である。X軸、Y軸、Z軸はそれぞれ地心座標系
の3軸である。A点のXY投影面への投影点をAxy,同様にB点のXY投影面への投影点を
Bxy,C点のXY投影面への投影点をCxyとする。同じようにA点のXZ投影面への投影
点をAxz,同様にB点のXZ投影面への投影点をBxz,C点のXZ投影面への投影点を
Cxzとする。さらにA点のYZ投影面への投影点をAyz,同様にB点のYZ投影面への投
影点をByz,C点のYZ投影面への投影点をCyzとする。

ここでAxy、Bxy、Cxyの3点で構成される三角形の面積をSxyと定義し、Axz、
Bxz、Cxzの3点で構成される三角形の面積をSxzと定義する。同様に、Ayz、Byz
Cyzの3点で構成される三角形の面積をSyzと定義する。今、時刻tにおける面積Sxy
をSxy(t)、時刻tよりΔt時間経過した時の面積SxyをSxy(t+Δt)とすれば
時刻tからt+Δtの間の三角形面積変動率Rxyは、着目する観測時の三角形面積Sxy
(t+Δt)から前回観測時の三角形面積Sxy(t)を差し引き、前回観測時の三角形面積
Sxy(t)で割った値で算出される。即ちRxy=(Sxy(t+Δt)-Sxy(t))
/Sxy(t)で算出される。同様な方法でSxz、Syzに対して、Rxz、Ryzが算出
される。

従来の技術においては、平面は測地座標系、高さは標高を利用してきたが、本発明においては
衛星観測の直接出力である地心座標系を用いることで、座標変換に伴う誤差要因を排除した。
複数の衛星観測点における連続的あるいは定期的な観測を、同時期または略同時期、および同
位置地点で実施し、上記の三角形面積の観測時間間隔における変動率Rxy、Rxz、Ryz
を算出し、その変動を監視し、解析することで、地震・噴火の予知を行という数式を考案する。

 


特開2015-052578| 地震予知方法および地震予知システム


特開2010-203914| 地震予知方法および地震予知システム

いまの解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さ
らに、リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。
そのためにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の
変動解析が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に
位置変動データを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を
編集し利用できる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に
入ることができ、映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国
でのイエローストーンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界
的激震火山災害を回避できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情
報地震予知工学への投資は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!

                                      

  

   

【日本の政治史論 34:政体と中枢】    

 

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE  "」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で 触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。      

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)

                           古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』  

    目 次     

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策
  補 論  

 

   Sisyphos

 

  終章 起死回生の策

                                               中国人経営者の警句

  産業構造転換があまり進まない大きな理由の一つに、製造業偏重がある。戦後、日本は技
 術立国を日指し、モノ作りに精を出して未曾有の復興を遂げ、世界有数の経済大国になった。
 いまだにその幻影が日本を覆っており、産業政策も製造業偏重が続いている。 
 「労働者に生きかいを与えて一生懸命働かせるために、『汗水たらして働くことか尊い」と
 教えるのは当然だが、経営者が同じことをしていたら競争に負ける。労働者の生活も結局は
 良くならない。中国人と同じ給料で働けということになる」

 「日本人は何をするにもみんなで寄り集まって夜まで議論して結局決まらない。中国の経営
 者は即断即決。いかに効率的に儲けるかを考えている。これでは日本は勝負にならない。経
 営か悪いから、日本の労働者は、一生懸命働いてもどんどん生活を切り下げるしかなくなる
 のだ。ただ働くことが尊いという考えからいつ抜け出せるかが日本復活の鍵だ」

  中国は、いまは先進国モデルを追いかければ良い時代。ただモノマネをして働けば成長で
 きる段階にある。しかし、その中国人に、日本人は頭を使うことより足を勣かすこと、拘束
 されることを優先しているといわれている。
  日本人の勤労精神は笑徳であり、今後も大事にしていくべきだが、いま日本に求められて
 いるものは、なるべく無駄な労力を費やさず、頭を使って効率よく稼ぐという姿勢である。
 日本の労働力は年々減っているのだから、なおさら生産性を高めるために知恵を使わなけれ
 ばならない。

  13億の民がいる中国と、少子化で人口か年々減っている日本が労働力で戦おうとすれば、
 勝てるわけがない。裏を返せば、日本人がいまそこはかとなく、中国に抱いている恐怖は、
 勤勉であれば競争には負けないという神話が崩れつつあることに起因している。頭を使うこ
 とが すべてと発想を転換すれば、中国に対する不安や恐怖もなくなる。
  そして、リスクを恐れず、全面的に国際化に踏み切る。本来、自由貿易の発想は、お互い
 か得意な分野に特化して国際分業すれば、一国で完結するより最適化され、全体として効率
 が上がり、それぞれがメリットを享受できて、ウィン・ウィンの関係になるはずという前提
 に立つ。
  いまは産業単位ではなく、企業単位で考える時代だ。モノ作りだから尊いという考えをや
 めて、どれだけ知恵が集約されたサービスか、商商品か、企業か、という考え方に変えてい
 かなければならない。


ここにくると、何となく言いたいことは分かるが雑さは拭えない。例えば、ここで言う「モノ作
り」とは、ハードウエアに限定しているのか、プログラミングのようなソフトウエアやノウハウ
(企業技術)を含んでいるか明確ではない。また、「意志決定の遅さ」 といういうことであれ
ば、経営責任の話しだし、大きくいえば企業風土ということになるが、わたしの経験から言うと
問題を個別的に、多角的に考えていくしかないが、商品の国際競争コストというなら、為替レー
トや政府間の政策などが大きく関係すると考えるし、コスト削減に絞るなら、徹底的に考え、そ
の結果、中国との競合に勝てないなら降りたら良いことで、わたしならそうする。ここでの指摘
は極めて限定的なことだと考える。



                   「死亡時精算方式」と年金の失業保険化で

  経済を逞て直すには、もちろん、労働力の減少を食いとめる努力も必要だ。長期的には少
 子化対策が必要だが、これは短期間で解決できる問題ではない。労働力の減少を和らげる当
 面の策としては、外国人労働者の導入、もしくは女性・高齢者の活躍に期待するしかない。
  高齢者はどんどん増える。元気な高齢者も然りだ。外国人労働者を一挙に増やすのが嫌な
 ら、女性が働きやすい環境作りとともに、高齢者が働ける環境作りが鼓大のテーマになる。
 現在の高齢者は、収めた何倍もの額の年金をもらっている。日本人の資産の大半を持ってい
 るのも、65歳以上の人たちだ。高齢者の年余はもう少し削り、現役世代の負担を軽くして
 もいい。

  その代わり、高齢者が本気で働ける仕組みを作る。
  いまは、元気で働く意欲があっても働き口がないので、おぱちやんたちに嫌がられながら
 地域のボランティア活動に参加したり、映画館に行って暇を潰したりしている高齢者が少な
 くない。もちろん、それまで働きづめだった人たちが余暇を楽しむことは決して悪いことで
 はない。しかし、もう少し余裕のある暮らしをしたいとか、まだまだ仕事をしていたいと思
 っていても、ちょうど良い仕事がないという人も冬いだろう。

  働きたいのに、働けないのは、本人にとっても不幸せだし、国にとっても損失である。
  働いて社会に関われば、高齢者の生きがいにもつながる。精神的にも肉体的にも健康にな
 り、財政に重くのしかかっている医療費も少しは軽減されるし、所得税も国に入ってくる。
  平均寿命が男79歳、女86歳にまでなった。年金支給開始年齢は段階的に65歳に引き
 上げられることになっている。しかし、65歳から15年、20年と、働かないで生活を保
 障するというのが本当にいいことなのか。そして、少子化のなかで持続可能なのか。そうし
 た視点で、現在の年金制度の見直しをはかるべきだろう。

  年金は長生きしたときの備えではなく、長生きしても「働けない」人のための保険という
 考え方に変えてはどうか。つまり、何歳になっても勘こうとすることを前提にする。働けな
 い人、仕事がない人、働いても十分な給与まではもらえない人、これらの人に対する保険と
 い考え方にすべきではないか。

  つまり、失業保険と生活保護の合体型だ。失業保険の部分は保険、生活保護の部分は税金
 による分配という考え方。働けるけど働きたくない人には支給しないということにすれば良
 い。80歳を過ぎたら全員に支給するという妥協をしても良い。こうすれば、働こうという
 インセンティブにもなる。
  生活の安心という意味では、年を取ったら年金ではなく、働けなくなったら年金があると
 いうことで十分ではないか。働けるけど働かない人、ただ年金で楽をしようという人まで国
 は面倒を見なくてもいいだろう。

  年金財政が苦しくなるから支給額を減らそうとする考えもあるが、一律で支給額を下げる
 と、貧しい人でなくてもかなり不安になる。自分はもしかしたら百歳まで生きるかもしれな
 い、そう思うと一切お金を使いたくないということになり、資産を保有している高齢者まで
 ますます萎縮して、所得を貯蓄に回すようになり、消費に悪影響を及ぼし、日本経済を傷め
 る結果になる。

  そういうデメリットを考えれば、年金制度に「死亡時精算方式」を取り入れるのがいいの
 ではないか。たとえば高齢者が亡くなり、その人は生涯で1000万円の年金給付を受け、
 総額500万円を支払っていたとしよう。500万円は超過分だから、相続財産から優先的
 に国に返してもらう。
  年金などのもらいすぎで、その子供たちか豊かになるというのは、公平の観点からも問題
 がある.単純に相続税を上げるという議論もあるが、それでは真面目に働いて貯めた分も年
 金などで貯金した分も同じ扱いになり、公正とはいえないのではないか。

 それには、一日も早くく国民番号制を導入し、個々人の口座で年金、健康保険、介護保険の
 支払いと受給か管理されるようにすることだ。医療、介護も含めて、生涯を通してもらい過
 ぎた分は国に返納するという制度にしたほうかいい。
  65歳を過ぎて年金の受給が始まった、生活に困らないだけの額をもらっていろ受給者に
 とって、おカネを椋いで貯蓄に回すインセンティブは、子供に残すぐらいだ。もらい過ぎた
 分は国に返さなければならないとなると、子供たちに遺産を残したい人は、働こうかとなる。


ここも概ね賛同できるもの「森をみて、木をみず」ではないが、「年金などのもらいすぎで、そ
の子供たちか豊かになる・・・・・・」の件のように、親の年金があるからこそ、子供達が低賃金で苦
しんでいる勤労国民の家庭で、仕事がなく、つねに失職の恐怖に耐えている子女を家族的経済支
援を行っている現況とどうオーバーラップするのか疑問が残る。
                                    この項つづく 

 
● 今夜の一曲

  Don’t be love feat.

 

   揺れない 見せない 譲れない 心はきっと

   生きるあたしのルールだもの

   くだらない 要らない 感じない ありふれたメッセージ

   分かってるわ自分の車くらい

   ノラ猫は足下でダンス

   仮面を外せない

   そんなあたしが馬鹿なの?

   恋なんて もう似合わない

   愛なんて もう頼らない

   Don't be love  Don't be love Don't be love

   恋なんて そうまやかしよ
 
   愛なんて そう窮屈よ

   Don't be love  Don't be love  Don’t be love

 


                                     " Don't be love feat " (愛さないで)
                                                            唄          シシド・カフカ
                             作詞 斎藤和義  シシド・カフカ
                             作曲                    斎藤和義      

           

■        

かつて同僚の急な訃報が土曜に入り通夜に列席。退職前は、仙台の次世代大形液晶製造プロセス開
発と、長尺二流体ノズル開発のチームメイトであった彼だ。惜しい、誠に惜しい友だった。
蓋うに、企業にとって人は宝である。享年51。

                                                           合掌 

 

 

 


「まる」から「天」

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    日本の政治家は核廃絶を鮮明にすべきだ。 / 吉本隆明

                                                   

 


● ころんた日記: 開花 

「ころんだ」の1本が開花した(2015.06.14 6:45)。朝7時からの交配の季節が我が家にやって
くる。

 

 

 ● DIY日誌: シロアリ駆除準備

昨年は、我が庵の屋根の雨漏り工事を行ったが(『極楽蜻蛉が翔ぶ。』2015.08.22)、曲がりな
りにも――異常気象・大規模気候変動で今以上の風雨に持ちこたえられないことはわかっってい
るのだが――雨漏りは収まっている。今年は、DIYシロアリ駆除に撃って出る手はずを彼女と
鳩首し決定する-2015.06.17)。昨年もそうだが、今年も経験なく、予備知識のみで敢行―とい
っても前の仕事も常に「素人同然」からはじめているため、妙な自信だけあるのだが、カネを掛
けずどれほどの効果が上がるのか甚だ、クエスチョン・マークだ。

尚、使用駆除剤は2種類。


 

 

 実に、日本国憲法とは、一瞬の奇蹟であった。それは無邪気なまでに理想社会の具現を目指
 したアメリカ人と、敗戦からようやく立ち上がり二度と戦争を起こすまいと固く決意した日
 本人との、奇蹟の合作というべきものだったのだ。しかし今、日本国憲法、特に九条は次第
 にその輝きを奪われつつあるように見える。この奇蹟をいかにして遺すべきか、いかにして
 次世代に伝えていくべきか。お笑い芸人の意地にかけて、芸の中でそれを表現しようとする
 太田と、その方法論を歴史から引き出そうとする中沢の、稀に見る熱い対論。宮沢賢治を手
 がかりに交わされた二人の議論の行き着く先は……。



● 「憲法九条」を世界遺産に
 
中国、ロシアの領土拡張の動きにあわせて現政権が憲法改正の動きを強め、国会内外で激しい
与野党の論争と駆け引きが連日展開されている。と、いうことで、茂木健一郎著の『吉本隆明
―全てを引き受ける」という思想』から憲法改正問題の吉本の考えを読み返す。


  いま、情況論とおっしやいましたが、ぼくは歴史的現在に対する考察かいちばん重要で
 はないかと考えています。つまり歴史を考察して、こういうふうにきたからこうなってい
 るんだという意味合いで、情況と適合する歴史的な過程を十分に考えるべきだ、というの
 がぼくの基本的な考え方です。
  たしかに、情況論なんてどうでもいいじやないかという考え方は一方にあります,文学
 畑の人にはとくに多いわけですが、自分の専門のことをやっていれば情況なんてどうでも
 いいじやないかというわけです。反対に、これは日本のマルクス主義者や進歩派の人にと
 くに顕著ですか、専門か何であれ、情況に目をつふってボヤツとしていてはダメだぞとい
 う考え方がある。

  そうしたふたつの流れに対して、ぼくのまっさらな情況論といいますか、いまはどうい
 うご時世なんだということをいえば-まず、日本の進歩的な人たちは出場所がないほど
 退い詰められている、進歩的な人たちの考え方とかやっていることは全部ダメだというこ
 とになります。
  そういう情況利断のもとに、五年後にくるかもしれない憲法改正問題を考えてみると、
 ひとつは、憲法の前文は全部取っちやえと思っています。なぜ「取っちやえ」というかと
 いえぱ、あれはやっぱりナショナリズムだからです。どうせ憲法を改正するなら、世界的
 な意味合いというか国際的な意味合いをもつ前文に直すべきなのに、そういうふうに直さ
 ないなら取っちやえ、という意味です。

  ぼくは、もっぱら日本のことを考えるからナショナリズムになるわけではないと考えて
 います。日本列島にいる人間が日本国のことを考えるのは当たり前だし、日本国の国籍を
 もつ人なら日本のことを考えるのは当たり前だ。問題は、日本のことを考えるとき、その
 考え方か閉じられているか、聞かれているかにあると思っています。
  たとえぱ外国文学の専門家がいますが、その人たちはあまり日本国のことを考えていな
 い。フランス文学ならフランス文学の最新の情況はよく知っているけれども、日本の情況
  については何も知らない。歴史も知らない。これは失格じゃないかと思います。一方、
 「新しい歴史教科書をつくる会」のような会に属している人は日本のことを考えていると
 思いますが、しかし考えが開かれていないから、中国の「愛国無罪」のようなナシ″ナリ
 ズムになってしまう、だから、日本のことを主体にして考えながらも、それがちゃんと世
 界に通用するようなかたちになっていないといけないよ、というのがぽくの情況論の基本
 にあります。

  もうひとつは、前にもいいましたが、人開かおサルさんと分かれたときからの歴史をふ
 っ通しにわかってないとダメだという思いがあります。憲法をどうするか、安倍政権なら
 どうなのか、そういう問題についてもほんとうは人間がおサルさんと分かれたところから
 の歴史をふっ通しでわかりていないと正確なことはいえない。もっともそれはぼくの願望
 といえば願望であって、いまそこまではできていません。でも、できるだけ歴史をさかの
 ぼるようにしようじゃないかという思いはあります。
  こんなふうにいまは、日本のことを考えなからも、考え方か聞かれていること、また可
 能なかぎり歴史をさかのぼって知ること、このふたつをテーマにしています。

  さてそこで、いまおっしゃった憲法改正の問題をどう考えるべきかというと、ぼくは本
 のタイトルを拝見しただけですが、「憲法九条を『世界遺産』にしろ」というのはとても
 いいと思います。いかにも中沢さんらしいやり方です。現在の日本でもある程度受け入れ
 やすい言い方で、そこのところを真っ直ぐに「改憲を許すな」などといってしまうと、ち
 ょっと危ない。いまの日本では、憲法は改正すぺきだと考えている人のほうが多いように
 思いますから、直球で「改憲を許すな」といっていると、国民投票をしたとき改憲報に負 
 けてしまうと思います。ところが、「憲法九条を『世界遺産』にしろ」という言い方をし
 ていけば、ふつうの一般社会の人もわりあいによく理解できますから、ぼくは中沢さんた
 ちのような言い方のほうがいいと思います。

  非戦というのは、いうまでもなく戦争をしないということですから、何か国際的な紛争
 が起っても武力には訴えない。そうした非戦を貫くことは、中沢さんのいうとおり重要な
 ことだと思います。あとはそれを極端に押し進めると反戦になりますが、九条の問題に関
 しては非戦と反戦しかない。細かいことをいえば、ほかにもいろいろあるでしょうが、ひ
 と言でいってしまえば、非戦と反戦をふつける以外にない。
  どうやってふつけるか、それはどうでもいいと思います。文章を書こうが、大っぴらに
 非戦をいおうが、何でもいい。三人なら三人集まったら、仲間内でグチるのではなく、大
 っぴらに「おれは戦争に反対だ」とか、「おれはもう非戦だ」といえばいい。ただし、い
 かにも進歩政党がやりそうな、デモをしながら大きい声を張り上げて反戦を叫ふのはもう
 ダメだと思います。そんなのはただ景気のいいことを叫んでいるだけで意味がないからで
 す。

  いまは確実にそういう情況になっています。

 もちろん、「そんなことはおれには関係ないよ。おれの専門はフランス文学だ」という
 なら、それはそれでいいと思います。そういう人には、「おまえ、勉強しろ』といえばい
 いんです。中途半端なことをいうくらいなら、自分の専門の勉強をしてもらったほうかよ
 っぽどいい。
  たとえば、東大総長だった蓮賞重彦君はフローベールの研究者ですから、「だったらサ
 ルトルよりもいいフローペール論を書けよ、それ以外のことはしなくていいから」といヮ
 たほうがいいと思います。サルトルは『家の馬鹿息子」(人文書院)という浩一なフロー
 ベール論を書いていますが、フローベール学者なら中途半端ないい加減なことはいわない
 で、サルトル以上のフローベール論を書けばいい。それか非職につながるんだということ
 です。ぼくはそう考えています。
  
  戦前の左翼は、二、三人が内々で集まったときや喫茶店でお茶を飲んでいるとき、盛ん
 に反戦的な言辞を弄して、「面白くないな、戦争は一なんてグチっていたことがあります。
 しかし、そんなグチは無効だということはわかりきっているわけで、そんなことをぐだぐ
 だいうくらいなら勉強したほうがよほどいい。それが情況論の本質です。

  戦前と違って、いまは何をいっても咎める人はいません。言論は自由だからだれからも
 咎められない。ところが日本人は、戦前の特高(社会運動の取締りを行った特別高等警
 寮)の例があるせいか、大っぴらにいうのを遁避してしまうような傾向があります。何か
 を思りても口でいうのを遠慮する、そうした遠慮が日本人から離れない。国際場裏で日
 本人は、積極的に非戦や反戦を主張したことがありませんけれど、それも遠慮しているか
 らです。しかし少なくとも政治家だったら必ず非戦や反戦を国際的に主張しなければいけ
 ない。国連の会合があったら、そこへ出かけて行って、「非戦の憲法は数百万人の日本人
 の戦争死によってあがなわれた貴重な戦利品である」というぐらいの演説はしなくてはい
 けない。保守派だろうと進歩派だろうと、そんなことには構わず演脱すべきなのに一度も
 堂々と演説したことかないというのが現実です。

  ぼくは、一般社会の人にとっていちぱん切実なのは、日本の政治家が国際舞台で核廃絶
 を訴えることだと思っています。光ほどもいったように、アメリカは1万発、ロシアは1
 万6千発……という具合に、地球上に核が拡散していて、この現状はもう狂気の沙汰とい
 うしかないからです。
  だいたい、核拡散防止条約というのがインチキなんです。米ロの両核大国か大量の核兵
 器を捨てないでもっている。うかつに廃棄したら、もっと多くつくった国にやられるんじ
 やないかと思っているから捨てられない。ロシアとアメリカがそう思っているから、ほか
 の国だって、米ロのいうことを聞くわけかない。それどころか、次々に後退いしています。

 国民か飢えている北朝鮮まで後追いしようとしているし、いずれ日本も後退いしようとす
 るかもしれません。げんに中川昭一という自民党の政治家は「核武装論議が必要だ」とい
 っていたわけで、共産党が後追いしようと言い出すかもしれないし、保守党かそう言い出
 すかもしれない。日本も核兵器をもとうじやないかと言い出すのがどちらか、それはわか
 りませんが、ここがいちばん怖いところです。これが現状ですから、情況はますます悪く
 なる一方だというのがぼくの判断です。
 
  そうだとすれば、日本国の政治家がなすべきことは、核兵器は上のほうから捨てるよう
 にしようじやないかと、世界的に闡明(せんめい)することです。日本国はせっかくいい
 憲法をもっているのだから、きっぱりとそう闡明すれぱいいのに、ここでも遠慮していま
 す。なぜ遠慮しているか、といりても意味はありません。世界中、アメリカだってロシア
 だって日本に遠慮してくれなんていっていないからです。

  ぼくらは戦争に負けて社会的な大転換が起ったとき、一種の難民体験をしています。食
 糧もないしお金もないから、近隣の農村(ぼくの場合は千葉県でした)へ行って家財道具
 を売り払い、芋と取り讐えたりして、やっと食べていた。そんな経験がありますから、い
 ざとなったら国なんて責任はとってくれないということは痛いほど知っています。指導者
 なんか、いざとなったらいなくなってしまうことくらい目に見えている。そういう体験を
 していますから、何ごとであれ遠慮する必要はないと思っています。
  もっとも、戦争中のことを考えると、自分なりにいろいろ考えて戦争について判断して
 いると思っていましたけれども、いま考えると、ちょっと抜かりがあったなという思いは
 残ります。もう少し利ロなことかできたのではないかというか、やっぱり、全体の雰囲気
 に包まれてそこに同化されてしまったことが最大の抜かりです。

                   -中略- 

  ただし、そういったからといって、ぼくは当時の軍部の「この戦争はアジア解放の戦い
 だ」というスローガンに翰されて戦争に協力させられたというつもりはありません。そこ
 が、ぼくが進歩的な人たちと決定的に違う点だと思います。
  じっさいぽくは、インド以東における欧米列強の植民地を独立させたのは日本だと思っ
 ています。ぼくらが「アジア各国を独立させた」といわないと、欧米列強の国々から「お
 れたちは勝手に植民地を返してやったんだ」といわれてしまう。でも、それはそうじやな
 いんですね。やっぱり日本軍かビルマ(現・ミャンマー)やインドの国境まで押しかけて
 いって、そりゃあ悪いこともしたでしょうが、米英軍や中国の国民党軍と戦ったから欧米
 列強の植民地はなくなったんです。そう思わないとぼくらは立つ瀬がないから、ぼくはそ
 う思っています。   

 だいたい、アジアの解放は中国がやるべきことでした。ところが当時の中国は伺もしない
 どころか、ヨーロツパ諸国を受け入れて植民地を貨してやっていた。こんな面白くない国
 はないから、それじゃ、おれらが代わりにやってやろうじゃないか、ということで日本か
 立ち上がうた。ぼくをふくめた当時の若者の考えはそうでした。

  靖国神社の参拝をめぐる問題についても、ぼくの考えは進歩派の人たちと違います。あ
 まりにもテレビや新聞か騒ぐものだから、小泉首相(当時)の靖国参拝の弁を注意しなが
 ら聞いていたら、「内閣総理大臣・小泉純一郎個人としてお参りした」といっていました。
 それなら、ひとりの評論家・吉本隆明が参拝したのと同じことだから、まったく問題にな
 らない。本来、戦没者の慰霊など、他国がとやかくいう問題ではないのだから、中国や韓
 国がどういおうと、[関係ないよ」といえばそれで済む話なんです。また、そういったか
 らといって、前回の戦争をまるまる居直って肯定することにもなりません。

  ところか日本の進歩的な政党は、「中国や韓国か文句をいっているのだから、それをま
 げて参拝するのは許されない」などという。そんなのはいい加減なインテリの台詞にすぎ
 ないんであって、彼らかいかにいい加減かということは、アメリカや中国、ロシアからは
 じまって北朝鮮に至るまで、世界にはいま軍国主義がどんどん広まっているのに、それに
 対してはいっさい反対しないことからもわかります。そりやあないぜというべきです。

                「第4章 自己意識を社会化するとはどういうことか」
 

 

   

【日本の政治史論 35: 政体と中枢】    

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE  "」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で 触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。       

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)

                           古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』  

    目 次     

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策
  補 論   

 

   Sisyphos
 

  終章 起死回生の策

                   富裕層を対象とした高級病院があれば

  今後、大きく伸びる可能性を秘めている産業は、農業、医療、介護、観光ではないかと思
 っている。
  特に医療は、現時点でまだ産激化されていないので、やり方次第では急成長する可能性が
 ある。しかし現状では、日本の医療は産業として、大きく立ち遅れている。
  医療を受けるために海外に滞在する旅行は「医療観光」と呼ばれている。この医療観光の
 ビザを日本か出し始めたのはつい最近で、韓国やアジア諸国にも大きく水をあけられている。
  日本に医療観光にやってきた外国人は2年間で2000人余り、剣してタイには年間で1
 40万人、お隣り韓国には年間に6万人だ。

  日本の医療技術が韓国に比べて劣っているわけではない。産業として確立していないのが
 原因だ。韓国の仁川空港には医療観光専用のカウンターが設けられている。手術を受ける病
 院に行けば、日本語もちやんと伝わる。日本の病院に入院したのと変わらない。英語、フラ
 ンス語、ロシア語が分かるスタッフもいる。食事もスタッフの応対もホテル並み。
  さらに日本では5年待ち、6年待ちの手術でも、韓国の病院ならすぐに予約が収れる。最
 近は日本人の患者でも韓国に医療観光に行く人が増えている。

  もっとも、海外の客を呼ぶ工夫も大事だが、その前に日本人の富裕層向けのサービスが充
 実した病院が欲しい。
  お金持ちの高齢者であっても、いまは病院に行くと何時間も待たされる。サービスの悪い
 医療しか受けられない。富裕層向けの病院がないので、もっと払ってもいいから、サービス
 のいい病院に行きたいと思っている金持ちでも、一律のサービスしか受けられない。
  そこで料金は高いがサービスは充実している快適な病院を作る。待ち時間もほとんどない。
  たとえ待たされても、併設されたラウンジでお茶やコーヒーを飲みながら、専門知識のあ
 る担当看護師、カウンセラーの相談を受けられる。少々高くても、そういう病院に行きたい
 と思う高齢名は多いはずである。

  こういう政策をいうと必ず、医療に格差をつけるのか、人の命もカネ次第か、と食ってか
 かる人がいる。しかし、おカネがない人でも、いまと同じように最低限の医療が受けられる
 のであれば、誰も損はしないはずだ。
  腕のいい医者は全部給料のいい病院に行って、貧乏な人はやぶ医者にかかるしかなくなる
 のでは、と思う人もいるかもしれない。だが、いまでも実は医療に格差はある。たとえば、
 有名病院の一流の先生には誰でも診てもらえるわけではない.手術をしてもらおうと思えば、
 コネとカネを使う必要があるのだ。裏でおカネのやり取りがあるより、病院全体のサービス
 を向上させて、高い料金を取ったほうがはるかに健全だ。

  介護施設にしても、高級な施設もあれば、安い施設もある。介護施設が良くて、病院が悪
 いという理屈は良く分からない。世の中には格差がいやでも存在する。三ツ星レストランで
 毎日のように食事をしている大金持ちもいれば、一度もそんな高級料理を食べたことのない
 人もいる。これは仕方がない。サービスが一段上の病院があり、がんばって働いたら、医療
 はちょつといいところで受けられるというのであれば、日本人のがんぱりも違ってくる。

  格差を容認すれば、あまり裕福でない人にもメリットはある。高度医療では、1回受けれ
 ば10万円以上治療費かかかる検査や治療がある。なぜ、こんな高い価格設定なのかといえ
 ば、検査機械か高いうえに、はじめから利用者か多く見込めないこともあって、1回当たり
 の検査料が高くついているのだ。病院のほうでも割高の設定をせざるを得ない。そうなると
 機械も大量には売れないから、なかなか値段も上がらないという悪循環になる。

  現状では、一部だけ保険の利かない高度医療を受けた場合、本来保険が適用される医療に
 まで保険が利かなくなるため、高度医療を受けにくいという問題もある。そうなるとやはり
 単価は高くなり、いつまでも高額のまま。貧乏人に手が届く治療にはならないということに
 なる。
  であれば、混合診療禁止の制度はやめて、おカネのある人は保険外の高い診療でも受けや
 すくする。金持ちがどんどん利用するようになって、機械も薬も普及すれば、大量生産か可
 能になって、高価な治原費もいまよりずっと下がるがる。
  こうして、おカネがあまりない人でも手が届くようになるかもしれない。保険診療にして
 も国費の負担が少なくて済む。

  医療機器の単価か下がれば、有力な輸出品になる可能性も出てくる。日本では医療産業の
 需要はどんどん増える。これだけの高齢者を抱える先進国はない。だとすれば、医療・介護
 産業が発展しないのはおかしい。政策の問題だとしかいえない。
  いま世界中で医療産業の国際化が進んでいる。国境を越えた病院のM&Aが盛んだ。しか
 し、日本はこの動きから完全に取り残されている。

  2011年4月7日、三井物産がマレーシアのアジア最大手病院持ち株会社、インテグレ
 イテッド・ヘルスケア・ホールディングスに出資するという記事か新聞紙上を賑わした。日
 本の企業か、今後の有望産業分・野で国際的な活動をすることは本当にうれしいことだ。し
 かし、同じようなことは日本国内ではできない。
 なぜなら日本では、医療には株式会社は参入できないとされているからだ。今後FTAやT
 PPなどでこの点が問題にされる可能性もある.

  医療は金儲けではない、貧乏な人にもあまねくサービスが提供されなければならない、と
 いう。それでは電気や電話はどうか。日本人の主食の米はどうか。入の尊厳という点からい
 えば、葬式はどうか。どんな貧しい人にも提供しなければならない商品・サービスだ。だか
 ら金儲けの対象にしてはいけないということにはならない。
  より多くの企業が参入することによってより良いサービス、商品が提供される。医療も基
 本的には同じだ。日本の医療に大資本が参入して、世界の病院と合従連衡しなから、より良
 いサービスを提供し、かつ病院の経済基盤もより強固で安心なものとする。海外からもたく
 さんの患者を集めて利益を上げ、税金を納めてもらって、それか社会保障に回る。そういう
 好循環を目指すべきだ。  


この節ではまわりくどい言い方がされている。高度な医療を受けたい外国人の需要があれば、そ
のプラットフォームを作れば良いだけだ。勤労国民の中で高度な医療を受けたい人がいれば、事
前審査の上受ければ良いだけだ。潜在的な需要があるのにそれに応えられないのなら調査し是正
すれば良いだけだ。そのためのヒト・モノが足らないとなれば、これは潜在的なインフレ要因と
なるが、その短期的対策として、不足するモノは輸入し、医者は海外協力してもられば良い。長
期的には、医療関係従事者の教育養成をプログラミングし是正すればよい。カネがないというな
ら、政府か貨幣を発行すれば、潜在的供給力が顕在的需要にマッチングすれば、経済は良循環す
る。その逆だと、インフレ模様となる。顕在需要者百人に対し99人の勤労国民に適切な医療を
供給できればよいことで、なにも、富裕者1人に振り回されることはなく、仕事と所得は、後者
より99倍増えることになる。それが成熟した福祉国家の医療事業の精神だろう。些細な競争原
理に目を奪われて、"木を見て、森を見ない"仕儀となっているように見える。


                     観光は未来のリーディング産業

  観光業も高い将来性を秘めている産業だ。日本には石油や鉱石といった資源はないが、観
 光資源を見れば、世界に負けないものかある。まず、四季の彩りのある美しい自然、伝統的
 な寺社仏閣、豊富な山海の幸と巧みな調理技術、世界の人々が欲しがる電化製品、アニメや
 ゲームなどの新しい日本文化。そしてなによりも、日本人の真面目で親切で礼儀正しい国民
 性・・・・。控えめで奥ゆかしく、自己主張も苦手な草食系の典型ともいえる日本人は、海
 外のギスギスした社会では頭角を現すのはむずかしいか、本来、外国人から見ても愛すべき
 民族だ。明治維新後、文明開化をするため、イギリスから技師や学者を多く招聘したか、彼
 らは、日本の風景の美しさときめ細やかな人情に感動し、本国に帰って日本の素賄らしさを
 ロコミで広げた。

  その結果、イギリスでは日本観光ブームが起きた。当時、日本にもっとも多く訪れた外国
 人はイギリス人である。
  遠く離れたイギリスからも観光に来たいと思うほど、海外の人々にとって日本と日本人は
 魅力的だ。われわれは自分たちの国民性にもっと、誇りを持っても良い。
  しかし、戦後、日本人は、自分たちの良さをほとんど見せていない。世界の日本に対する
 イメージはソニーの電器製品やトヨタの車だった。さもなくば、団体でパリやローマに押し
 かけ、高級ブランド店に群がり、ブランド品を買い漁る姿……。

                                

                                                     この項つづく 

 

   ● 「まる」から「天」

 

半兵衛酵母は。長年の酒造りの歴史の中、宝酒造の酒蔵で育まれた酵母で、酒どころ伏見竹中町
は安土桃山時代に、軍師「竹中半兵衛」の一族の屋敷があったことに由来し、松竹梅の蔵付き酵
母は、この名軍師の名付けられた。また、HAP4遺伝子を発現する組換えベクターで形質転換
した酵母を用いた有機酸高含有酒類や食品の有機酸例のリンゴ酸やコハク酸に好ましい酵母:
Saccharomyces cerevisiae K701/pAUR 123-HAP4(FERM P-18933)の遺伝子組換え多酸性酵母を用
いることで、従来の酒類、食品に比べ、酸味が強く、その有機酸組成で嗜好的に好ましいリンゴ
酸や、あるいはコハク酸含有量を増加させた酒類や食品が製造できる。

※ 松竹梅 天 パック 900ミリリットルL 1本 670円
※ 特開2004-113004 有機酸高含有酒類及び食品の製造方法 独立行政法人酒類総合研究所 他

おかしな話なのだが、アルコールを切らしてしまい、台所にあった料理酒――いつもなら、白鶴
酒造の「まる」なのだが、なぜか宝酒造――の「松竹梅 てん」があったので飲んでみる。コク
と後味のよいキレが気に入り彼女に聞くと、本当?!これが一番安かったのよ、との返事。今夜
は、それだけれの話だけど、ビールも清酒も安くて美味い時代に入っている。

 

ミズムシと足湯

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   休憩を入れたほうが仕事の能率が上がる。 / マイケル・ゲルプ

 

 

● 今夜の一曲 夜空の星 

  The ALFEE

  Y.Kayama with the ALFEE

仕事で愛車をとばす。なぜか、ジ・アルフィーの演奏する『夜空の星』 が耳に残る。僕にとって
記念すべき、1965年の名曲だ。

■ おまけ


   ホームに一人煙早をくわえ

   家路へ向かう電車を待つ時

   アイビー姿の学生達見れば

   貴女と通ったキャンパス想い出す

   仕事に追われる今の僕に

   あどけない笑窪の貴女が恋しい

   初めて手にしたショートホープ

   涙でむせてた貴女に逢いたい

   滑り込む電車が思い出かき消す

     都会の日暮れ一人が寒い


   レノンに憧れ丸いメカネで

   成り切ったつもりで生きてたくせに
 
   あの頃すべてに自信や余裕がなく

   貴女との未来を振り切ってしまったよ・・・・・・

 

                  曲『まもなく2番線に…』

                                 作詞/作曲  高見沢俊彦     


  おごと温泉六角足湯


● ミズムシと足湯

   図解|生活百科辞典

気温が上昇したせいか、両脚の親指周辺にミズムシ(足白癬)を発症。薬もいいが清潔にする
ことね!と彼女が言うので、せっせと風呂場で足を洗い何とか収まったのだが、それじゃ、足
湯をコンパクトにして足を浸けておけばよのではというの、関連する情報をかき集めてみた。
つまり下図のようなイメージだがその設計条件は?ということで頭を悩ませた。

 
これは、水やお湯を使わない遠赤外線による脚温器(底部に足裏マッサージ回転棒付)だが、
足湯との血流量(皮膚)や血圧、脈拍などの有意差はなく、足湯は、気化熱で血流の上昇が早
く、遠赤外線式足温は長く上昇することが下図レポートで報告されている。


ところが、同じ温浴でも、クエン酸と重炭酸ソーダ(中性)を加えた方が、同じ温浴(38℃、
20分入浴)でも血液循環量が6倍ことなる(下図クリック)――新入浴剤のPHは 7.0で主成
分は重炭酸イオンで炭酸ガス成分は少なく、重炭酸イオン濃度は24時間安定して存在する。38
℃入浴時の組織血流量は入浴前に比べおよそ6倍も増加、その温浴効果の大きさが示されてい
る。つまり、中性重炭酸入浴剤は、大掛かりな機械や装置を必要とせず、家庭のお風呂で、自
然炭酸療養泉並みの温浴効果を発揮――ということだからこれには驚いたが、全身入浴で炭酸
泉(1,000ppm)35℃とさら湯35℃での比較実験では、皮膚血流上昇したものとしなかった
ものが発生したとの報告がなされているので、全身浴と足湯(局所浴)の差が何であるか突き
止める必要がある(要調査)。

ともあれ、入浴より足湯の入浴剤投入法が効果がありそうで、れいのバスボム(『バラとカモ
ミールのバスボム
』2015.06.11)の延長で、ミズムシを殺菌しそうなハーブを探してみると、
ガーリック、 ジンジャー、リコリス(カンゾウ)、ティーツリー、カモミール(ブタクサアレ
ルギー症のわたしには不向き、断念)、エキナケア、ゴールデンシール、レモングラスとなり、
総合的に判断し、ジンジャーを選択する。↓

※ 日温気物医誌第66巻3号2003年5月:The Concentration of Artificial CO2 Warm Water Bathing
   and the Skin Blood Flow/人工炭酸温水濃度と皮膚血流量

→ その用法は、みじん切りにしたジンジャーの根1オンス(約30グラム)をカップ一杯の
沸騰した湯に入れて濃く煎じ出します。20分ほどとろとろ煮て、冷ましたものを綿ボールか
清潔な布に浸けて一日2回患部に直接塗れば良いとの情報があり、それならば、足湯に入れて
20分間入浴すればよいことになる。今はスケジュールや体調の都合でできないので、後日ト
ライ、ブログ報告することに。成功すれば新規考案とまでは行かないだろうが、「ミズムシ治
療と健康促進」の開発商品の1つにストックしておこう。

 

    

【日本の政治史論 36: 政体と中枢】     

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE  "」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で 触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。 

   福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)

                           古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』  

    目 次     

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策
  補 論   

 

   Sisyphos

 

  終章 起死回生の策

                                 観光は未来のリーディング産業 

  日常の日本人の奥ゆかしさや心遣いを多くの外国人が知らない。いい換えれば、それだけ、
 まだ日本人の良さはアビールできていないといえる。
  最近、急増している中国人旅行者か感動するのも、いままで知らなかった日本人の素哨ら
 しさだ。日本製品のショッピングか目的で来日してみると、店員は中国とは比べものになら
 ないくらいマナーかいい。道を尋ねても、日本人は言葉の壁を越えて一生懸命教えてくれよ
 うとする。この親切さは、自分たらの国にはないと感激し、もう一度日本に来たいとなる。
 普段の日本人はあまり知られていないので、観光はまだまだ伸びシロが大きい。

  しかも、アジアの国々は人口が多いうえに、中国、インド、ベトナム、韓国と、経済的に
 も伸び盛りだ。富裕度は上がり、海外旅行を楽しみたいという人が増えている。政府か観光
 立国に一層力を注げば、観光業は日本のりIディング産業になり得る潜在力を持っている。
  そのために政府は様々な改革を進めている、中国人へのピザ発給の拡大などはすぐに効果
 を表した。やる気になれば、税金を使わずともできる良い例だ。
  大事なことは、この先口本に外国人が溢れるようになっていくこ
 とをわれわれは嫌がってはいけない、ということだ。中国人が嫌いだなどという声をよく耳
 にするが、日本に来る中国人は日本が好き、あるいは少なくとも興味を持ってくれている人
 たち。彼らに日本の良さを十分に知ってもらうこと、これがいかに重要なことか。日本か好 
 きな中国人、アジア入が増えれば、外交的にはどれだけの効果かあるか。

  いまは教育のせいもあって、多くの中国人が日本のことを誤解している。それが対日世論
 を悪化させ、二国間の問題の解決を困難にしている。そのことを考えれば、われわれを嫌い
 だと思っている人ほど□本に呼んで、日本を好きになってもらうことが大事なのだ。
  前にも書いた2010年秋の出張では北海道にも朽った。このとき、株式会社ニトリを訪
 れた.家具の話を間きに行ったのではない。ニトリが札幌近郊に中国人向けの別荘地を開発
 し.ヒ戸を完売したという話を聞いたので、行ってみたのだ。ネットLには、中国人に北海
 道を買い占められるといった書き込みもあったが、ニトリの担当のゐはそうした反応に困惑
 してお られた。

  この話は、ニトリが中国工場で取り引きのある企業の社長さんたちを北海道に招待したこ
 とから始まる.北海道の美しい風景を満喫した彼らは、誰からともなく、、こんなところに
 住みたい`「次回はもつとゆっくり滞在したい’といい出した。この辺りに家を買ったらい
 くらになるのか、という話になり、その場で20人近くが、もしニトリが世話をしてくれる
 のなら家を買うということになったのだ。

  ニトリは、いろいろと心配した。中国人が20人もまとめて家を買うといったら、いろい
 ろと反発かあるかもしれない、国内の商売に障害となるかもしれない。しかし、これだけ北
 海道の美しさを賛美してくれる中国人たち。その気持ちに応えて日本に何回も来てもらい、
 お互いに触れ含発、当初約束した全員に販売したのだ。

  おりしも、中国映画「非威勢擾」(邦題「狙った恋の落とし方」)が中国国内で人ヒット
 しその影響で北海道への中国人観光客の数が急拡人した。北海道の美しさは、ニトリの取引
 先だけではなく、広く中国人一般の心をつかんだのだ。えば、目本のこれからの発展にとっ
 て心益だ。そう思ってゼロから始めて別 荘地を開人口より多い観光客が訪れるフランスは
 もちろん、こうした話が小さなストーリーとして語られている間はt‐和だ。しかし、北海
 道だけでなく、目本のあちこちで中国資本の土地購入という話が聞かれる。中国だけではな
 い。
  ロシアあり、韓国あり、様々な国が目本に入ってきている。
  安全保障という而の話は別途考えなければならないが、駄本的には、われわれは、隣の家
 にアジアの人か住むという時代を想定しなければいけない。若い人たちはアジアの人たちと
 競争し、またHハ生しなければならない。好きとか嫌いとかいっている場合ではない。来て
 もらってありかたいと思うべきなのだ。

  日本が再生できるとすれば、そういう社会を厭わない、それを前提とした社会作りをしな
 ければならない。もし、それを嫌かっているようだ・八日本の将来はない、ということを覚
 悟すべきだろう。
  日本に海外から人が集まるということは、日本が魅力的な国であり続けるということだ。
  日本の経済がアジアの発展から切り離されてジリ貧になり、さぴれた街並みとぼろぼろの
 道路や廃屋が点在することになれば、日本は海外の人々を惹きつけることはできない。その
 とき、嫌いな中国人か来なくてI以かったと喜べるだろうか。日本人だけでひっそりと肩を
 寄せ合って暮らしていくことが幸せなのかどうか。よく考えなければならない。
 
  人口より多い年間約7千万人の観光客が海外から訪れるフランス人は、幸せそうに暮らし
 ているではないか。
  ところで2011年2月の震災で心配なことがある。それは東北地方の観光地に人が入ら
 なくなっていることだ。余震の危険性や放射能の風評被害もあって、内陸部で被災を免れた
 ところも閑古鳥が鳴いているという。東北といえば目本の代表的な観光地の.つである。有
 名な温泉があるが、このままでは歴史ある温泉旅館の経営がなち行かなくなる恐れもある。
  そこでこの温泉地に、いまだt万人以上といわれる避難所の被災者を、まとめて移転させ
 てはどうか。なるべく近いところに移ってもらうのだ。すでに一部の地域ではそうした支援
 をしているようだか、もっと大々的に行うのだ。がら空きにしておくよりも、一泊5千円で
 もいいから滞在してもらえれば、なんとか旅館の経営も続くだろう。

  旅館なら避難所と違い、トイレ、風呂、冷暖房、そしてなによりも食事の心配がいらない。
 避難民の支援を受け入れ自治体にやってもらえば、被災他の自治体は復旧事業に専念できる。
 日本の賢重な観光産業が守られ、避難民はつらい避難所生活から解放され、災害復旧も進む。
 このやり方には、もう一つのメリットがある。
  復旧が始まった頃、闇雲に仮設住宅が作られた。このままでは、仮設住宅用の土地が足り
 なくなる。本格復興の段階では、恒久的な公営住宅、病院、学校、介護施設などを作る場所
 がすべて仮設住宅で埋まっているという事態が生じるだろう。そうなれば、再び仮設住宅を
 移設することになる。
  温泉地にしぱらく滞在してもらえば、計画的に空き地に腺引きをし、仮設住宅を作り、そ
 の後に必要となる土地を確保するという時間的な余裕が生じることになる。
  いまからでも遅くはない、すぐに実施してほしい。


                 「壊す公共事業」と「作らない公共事業」

  観光というと日水の美しい風景を想い起こす。しかし、目本の田園地帯は本当に美しいか。
 地方の門前町、温泉街は本当に風情があるか。
  フランスの田園地帯、田舎の小さな忖を訪ねてみると、日本との違いが歴然とする。見渡
 す限り、緑の畑、黄金色の畑、といった風景が当たり前のように広がる。中世の趣を色濃く
 残した田舎町。そこには、畑の真ん中の無機質な工場、占びた街値みのなかの黄色やピンク
 の建物など絶対に存在しない,町全体が完全な調和のなかにある。
  
  日本の農地法が農地を守っていたはずだが、実際にはおざなりな運用で虫食い的に転用さ
 れ、醜い建物が田畑のなかにぽつぽつと建っている。観光資源としての美しい田園風景がふなしに
  ってしまったのだ。一つ十億円の被害といってもいいだろう。
   今後はこういうことは絶対に許さないようにすべきだ。仮に転用の手綺きに不備かあった場合など
  は、過去に遡って無効として、原状復帰の義務を課してもいいだろう。それくらい強い姿勢で臨まな
  ければ、景観は守れない。私の友人のフランス人を京都に案内したとき、彼女か最初に発した言葉。
  「これは犯罪だ」・・・・・・。 

  彼女の服に映ったのは、美しい社寺と並んで色とりどりのビルや看板が混在する光景。「
 こんなことが先進国で許されるのか。」「全部すぐに取り壊せ」と彼女は叫んだ。人類に対
 する犯罪だというのだ。確かにフランス人から見ればそうだろう。
  日本の規制は、いわゆるアリバイ作りになっていることが多い。ウナギの産地偽装も、汚
 染米もその典型だ。役人が責任を逃れるために規制を作って、あとは放置しておくというこ
 とがあまりにも多い。観光資源を本気で守るなら、各地域に、所存権に制約を加えられるか
 なり強い規制権限をりえるべきだろう。

  道路や箱モノを作るのにも同じ発想か必要だ。美しい田園地帯になぜかコンクリートの塊、
 それも工場ではなくて公共の建物という例も多い。最近ではかなり周囲に溶け込むように工
 夫を凝らすものも増えてほいろか、まだまたた。ましてや、故に建てられたものは相当醜悪
 なものが多い。こういうものは取り壊したほうが良い。それで景観か甦り、観光資源として
 価値か増すなら、公共事業だと考えても良いだろう。
  温泉街に残る汚い廃墟となったコンクリートの旅館。破綻して廃業したが、周囲に調和さ
 せて奇麗にするインセンティブはない。せっかくの温泉街の風情をぶち壊している。こうい
 うものも取り壊して広場にするとか、街植みの整備を行う。つまらなくて誰も訪れない郷土
 歴史館のような箱モノを作るより、はるかにましだろう。

  壊れかかった隋や道路。通行止めのまま放置されているものもあるか、崩落寸前になって
 いるものもある。.吏新投資の必要がない、あるいはその目処がなたないなら甲めに取り壊
 した放が良い。これらの「壊す公比ハ心″衷」をこれからの公共嘔業の柱にしていくことが
 必要ではないか。

  各地域では自然林を守る運動なども行われている。こうした運動を自治体が支援する。
 「作らない公共事業」だ。
  東日本震災後の復興でも、当面の緊急の復旧は別として、長期的にはいま述べたような批
 点をぜひ活かしてほしい。それだけでなく、この震災は、われわれの社会のをり方そのもの
 を見直すきっかけになる。少なくとも公共事業そのものが目的化しないように、従来の延長
 線上とは違った工夫か必要である。

  たとえば、もともと大赤字で存続に疑問符がついていた第三セクターによる鉄道。同様に
 赤字で、鉄道に並走するように運行していた路線バス。これらに二眼に赤字補填をするため
 自治体の財政は圧迫されていた。しかし、津波で鉄道が止まり、黒字になったバス会社もあ
 る、無理に鉄道を再建するのか、あるいは、それを止めるることによって浮く赤字補填分の
 財源を他の復興需要に回すのか、よく考えるべきだ。
  何をやるか、伺を造るかも重要だが、何をやってはいけないのか、何を造らないのか、最
 初にはっきりさせたほうが良い。昔のままの街並みを取り戻したいという住民の気持ちも痛
 いほど分かるが、ここは.呼吸入れて単なる復興計画ではなく、新たな日本創造を見据えた
 計画を作ることが重要だ。


ここでのコメントは1つだけだ。観光産業は天災、パンデミック、放射能などによる環境汚染や
環境劣化に脆い、つまり、風評被害に脆いということ。交通・情報インフラ整備だけでなく、総
合的な国力の質、バランスが重要であることを確認しておきたい。

                                    この項つづく

 

 

世界の希望 日本

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    覆水盆に返らず。  /  捨遺記

 

● 稲わらのバイオ燃料化 一歩前進

バイオ燃料生産原料の成分を初めて解明しました神戸大学と理化学研究所は、稲わらから取り出
したバイオ化成品や。今後は、デンプンを多く含む稲の栽培に応用することができるほか、バイオ化成品
やバイオ燃料生産の低コスト化、効率化が期待されます。この研究成果は、アメリカの科学雑誌
「PLOS ONE」に6月18日掲載。

今回の成果は、稲や麦をはじめとする再生可能資源(バイオマス)からバイオエタノール等の化成
品や燃料を生成するためには、希硫酸で不要な成分を除去する「前処理」、そこで得られた糖の
微生物による「発酵」のプロセスが必要。研究チームは、日本で最も廃棄性バイオマスとして期
待される稲わらに着目。神戸大学農学研究科で整備している13種類の稲わらを使用し、工学研究
科が推進するバイオリファイナリー研究による技術を利用した「前処理」前後の47種類の構成
物質の変化を理化学研究所の核磁気共鳴(NMR)技術により解析。さらに、「前処理」後に得られ
た糖や酸の濃度を分析し、47種類の構成物質と濃度との相関を見出しました。その結果、「前
処理」後の固体中にはセルロースが、液体中にはグルコースが含まれており、グルコース量がデ
ンプンに左右されることがわかったとのこと。

●  

    

【日本の政治史論 37: 政体と中枢】     

 

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE  "」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で 触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。  

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)

                          古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』  

    目 次     

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策
  補 論    

   Sisyphos 

  終章 起死回生の策 

                                 
                           日本を変えるのは総理のリーダーシップだけ

   
  これまで私が挙げた政策を政府にやってもらおうと思ったら、国民のみなさんも日本人特有
 の金持ちを妬む気持ちを捨てなければならない。日本人は櫛並び思想が強いためか、努力して
 いい暮らしをつかみ取った人に対しても、あいつだけ豪勢な生活をしやがって、きっと裏で悪
 いことをしているに違いないなどと妬む人か少なからずいる。
  金融テクノロジーを駆使して大儲けしている人かいると、汗水たらさず力冬を稼ぎやがって、
 ITで成功した起業家が六木木ヒルズに住んでいると聞くと、若いうちから贅沢するなんてろく
 なもんじやない。こんなふうに嫉妬し、足を引っ張る。

  東日本犬震災ではユニクロの柳井正氏が10億円、楽天の三木谷浩史氏も10億円、そして
  ソフトバンクの孫正義氏が百億円という巨額の義援金を寄付した。しかし、既存の大富豪とい
 われる人たちが、そうした巨額寄付をしたという話を聞かない。若手のベンチャー経営者者の
 なかには、現地に入って支援活動を行った人もいると聞く。
  「売名行為」などという人もいるが、そう批判する人たちは、自分ではいったい何をしたと
 いうのか。たくさん椋いでたくさん使う。それだけでも十分、所得税や消費税で貢献している。

  さらに個人で社会貢献をしてもらえれば、これほどすばらしいことはない。
  もう金持ちを妬んだり敵視したりするのを止めて、日本経済を引っ張ってくれる新たな産業
 の損い手たちにI切足かせをはめず、自由に活躍してもらおうではないか。妬みの文化では、
 国民全員がジリ貧の方向に行くしかなくなる。
  そうならないための鍵はリーダーの意思表示が握っている。リーダーが何をいうかによって
 国民のメンタリティは大きく左右されるからだ。
  これからの政治に一番重要なのはリーダーシップだとよくいわれる。私も総理のリーダーシ
 ップこそがこの国を変えると思っている。
  菅総理は[最小不幸社会」といった。「最小」と「不幸」。ネガティブな言葉を重ねたメッ
 セージが若者にどう響いたか。「元気を出してがんばろう」とはならない。「なんとか不幸に
 なるのを避けよう」「安全な道を選ぼう」となるだろう。「『できる人は損する』という感じ
 かな」とある若者は私につぶやいた。

  オバマ大統領が「Yes」と「Can」という肖定の言葉を重ねて「Yes We Can」といったとき、
 若者は「よし、挑戦しよう」と呼応したのではないか。
  リーダーシップと一ロにいっても、様々な要素があるが、とくに今後、国のトップに求めら
 れるのは、国民を説得する力だ。
  説得力の背景には、理屈でははかれないものがある。それは一種のカリスマ性だったり、あ
 るいは、その人間が獣し出す雰囲気や信頼感といったものが質素なのだろう。それがあって、
 国民はこの総理の話を真剣に聞いてみよう、この人がいうのだからいい、と思う。

  そのためには、まず、いっていることは終始一貫していなければだめだ。ただ理屈か通って
 いるだけでも人は説得できない。民主党にはその陽その腸でもっともらしい話をする人はたく
 さんいた。特に弁護士出身の人たちに多い。しかし、よく聞いていると、その賜しのぎの理屈
 が多かった。理屈か得意なだけではだめだ。ぶれない、一貫性かある、これらか重要だ。
  第二に公平であるという信頼感。組合だとか、郵便局だとか、農協だとかで医師会だとか、
 あるいは電力業界といった特定のグループに肩入れし、あるいは遠慮するということが国民に
 伝わった段階で、もうだめだ。
  三つ目に大事なのは、地位にこだわらないということ。私心がないということ。身を投げ出
 してやっていることが伝われば良し。逆に地位に恋々としているとなれば、国民は聞く耳を持
 たなくなる。

  2011年1月の内閣改造。菅総理はサプラィズ人事で経済財致政策担当人にに与謝野馨氏
 を任命した。菅総理は、税制や社会保障のような複雑な問題は苦手だと思ったのだろうか。国
 民に納得してもらうには与謝野氏の登用が最適だと判断したのだろう。しかし、そのこと自体
 が総理への信頼を傷つけた。
  与謝野氏は、「国会議員のなかでは」蕩か切れて理論的だといわれる。おカネにも清潔な政
 治家としてイメージは良い。しかし、私は与謝野氏が、国民を説得できるという感じを持てな
 い。

  与謝野氏は確かに公平そうだ。特定の利益グループのために動くようには見えない.しかし、
 まず、プレまくっている。自民党の幹部で、選挙では選挙区で負けたが、自民党候補として比
 例区で復活。それなのに、自民党を離党、たちあがれ日本を作った,民主党を倒すと叫んで鳩
 山総理を平成の脱税王と批判した。ところが、あっさりと、たちあがれ日本を脱退してよりに
 よって倒す相手だったはずの民主党政権の人臣になり、国会では統.会派を組んだ。
  これだけで国民は、この人のいうことは絶対に信じてはいけないと思うだろう。一部のマス
 コミか持ち上げたりしたが、彼らがいかに愚かで国民から遊離しているかの証左といえよう。
 
  本来は、身を捨てて国のためにというのであれば、議員辞職して、若い人臣を裏で支えると
 いうのが一番美しかつただろう。ところが、与謝野さんは議員バッジにこだわった。「私のモ
 チベーション維持」のために議員でいたいといった。国民はあきれ果てた。「あんたのモチベ
 ーションのために議員バッジがあるんじやないよ」「誰もやってくれなんていってない。モチ
 ペーションがiがったら辞めればいいだけだ」という声が上がった。
  対照的なのは小泉元総理だった。ときには「人生いろいろ」などと相手を茶化す乱暴な答弁
 をしたが、なぜか、国民は納得していた。それは、彼には私心がなく、特定のグループの利権
 に与せず、そして決してプレなかったからだ。少なくとも国民にはそう見えた。余力を残して
 退陣した妾に、やはり、地位にはこだわっていなかつたんだと国民は拍手を送った。何をした
 かについては議論があるか、少なくとも、小泉氏の言葉で国民は説得されていたことは確かだ。

 
                                 大連立は是か非か

  なぜ、これからの日本のトップに国民を説得する力が必要なのかというと、いまからやらな
 ければならない政策は、国民にとっては非常に緻しいことが多いからだ。
  特に「平成の開国」を実現し、財政再建のために聖域なき歳出カットを行わなければならな
 い。いままで補助金や規制などで守られていた特定のグループにとっては血を流す厳しい改革
 か待ったなしだ。一般の人も政府に頼ろうという考えでは生きていけない時代になる。それか
 ら逃げてはこの国は立ち直れない。いま日本が置かれた状況を、国民に理解、納得してもらう
 必要があるのだ。

  大震災後の新たな日本創造のためには、いままでの社会の在り方を根本から見直し、国民が
 一丸となってがんばらねばならない。そのためには、国を引っ張る政治家かまず、正直に現状
 を国民に訴えることが大事だ。そういう観点からは、民主党の事業仕分けはかなり疑問だ。
 2010年秋の事業仕分けで特別会計にメスを入れた民圭党は、『隠れ借金を見つけた」と声
 を張り上げていたが、特別会計のなかに借金があるのは、霞が関や永田町では周知の事実だっ
 た。それを事架仕分けにかこつけて、いまになってやっと見つけたかのようにマスコミに発表。

  まったく勉強していないマスコミはこれを仰々しく報道する。少し多情に詳しい人はみな、
 財務省にそそのかされて消費税を上げるための布石を打ったのだなと見透かした。
  姑息な手段を使わず、総理が堂々と、いまの財政はこれほどひどい状況になっていると、国
 民に正面から訴えて欲しかった。そして国民に選択肢を示し、自らの決断を問う。
  たとえば、「現在の厳しい財政状況下で歳出を維持し、増税だけで財政再建しようとすれば、
  すぐさま10パーセントの消費税増税をしても将来足りなくなります」と正直に打ち明け「し
 かし、それでは経済はポロポロになるので、私はいままでの手厚い産業保護政策を見直したい
 と考えている。日本が生き残り、日本・国民がもっとも幸せになる道はこちらだと、私は信じ
 ている」と考えを明らかにする。

  そのうえで、「しかし、それをやれば、こういう人たちは痛みを感じる。でも、みなさん考
 えてみてください。いまもっとかわいそうな人たちがたくさんいます。私たちはそういう人た
 ちに手を差し伸べたいが、財源がなくてできない。ぜひ、国民のみなさんに協力していただき
 たい。そして、この国を開いて、みんなで椋いで、なんとか税収を孔・げましょう。どうして
 も足りないところは増税をお願いします」と、是非を問うのだ。

  東日本大震災の後、もう一つ悪いパターンが見えてきた。震災対応を理由とした大連立構想
 だ。連立にあたっては艮体的政策の議論をまずしなければならないのに、菅総理は政局を優先
 し、中身のない迪茫を打診した。自民党も公共零業の配分に関与しようと、守旧派の長若たち
 が前のめりになった。
  しかし、国民はこれが政治家だけの都合による茶番であることを早々に見抜いていた。国民
 に難しい状況を説明し説得しようにも、政府は自信かないから安易なばら撒きをエサに連立を
 打診した。自分たちだけで大増税の責任を負いたくないから、協力してもらおうという民主党
 の魂胆は見え見えだった。
 
  かつて小泉氏は、国民の嫌がることも堂々といったので、国民はみな信頼し、リーダーシッ
 プを発揮できた。しかし、多くの政治家はこれができない。下手に厳しい現状を包み隠さず話
 すと、支持率が下がり、選挙に負けて政権が倒れると恐れ、リスクを取れないからだ。クピに
 なってもいい、これをやらなければこの国はだめになる、という信念と覚悟かあって、初めて
 救国の策を実行できるのだ。

   


そろそろまとめることにしよう。著者の「変革したい情念」は痛いように分かる。わかるが、わた
したちの「世界の全て引き受ける」というヘーゲル的思想をヒントに、ポスト・パックスアメリカ
ーナを踏まえ未来を見つめる視座とは、断念ながら部分的にも原理的にも異なる。「現在的デフレ」
やその「脱却方法」の1つをとっても差異はのこる。それでも良き心にそって未来をみつめること
ができれば、おのずと「連帯」できるものと信じたい。以下、残すところ今夜で「補論」のみとな
る。ともあれ、この著書に書かれてた日本の「政体と中枢」の批評作業を通して、世界に開かれた
社会に最も近い位置にあることを再認識する、裏返せばそれはまた、日本が「世界の希望」である
ことを再確認する作業でもある。

                                      この項つづく

 
 

   ● 今夜の一枚

柚希礼音 世界の舞台へ!



● 今夜の一曲

  カサリンチュ 『故郷(ふるさと)』



   線路沿いの角部屋 狭いベランダ

   窓からは電車の音 冷たい風

   夢を追いかけたどりついた場所

   都会とは思えないぼど静かな夜

   親を離れ島を離れ友と別れ

   さみしさと不安で胸がはりさけそうで

   何もない部屋枕を強く抱きしめる

   思いうかぶ故郷

   ビルの隙間から見える小さな夜空は

   あの満天の星空ときっとつながっている
   
   そう信じて明日を待とう
 
   忙し日々に追いかけられ人ごみにもまれ

   夢を見失いいいわけばかり考える

   何を求め何のためにここへ来たのだろう

   手にしたものは缶コーヒーの温もりだけ

   自分との戦いならいつまで続くのだろう・・・・・・


                                                『故郷』

                                              作詞/作曲 村山 辰浩

カサリンチュは、鹿児島県奄美市笠利町出身・在住の2人組音楽ユニット。中学・高校の同級生
だった二人は、同じバンドを組んでいた。高校卒業後、専門学校進学を機に上京。それぞれ東京
での生活を経て島に帰郷。友人の結婚式で二人で歌ったことがきっかけとなり、2005年ユニット
結成。ユニット名は「笠利の人」を意味する。インディーズでミニアルバムを2枚リリース後、
2010年にミニアルバム「感謝」でメジャーデビュー。メジャーデビュー後も奄美大島に在住し、
それぞれ仕事をしながら音楽活動を続けていたが、タツヒロが音楽活動に専念するため、2013年
3月末で製糖工場を退職したことが、2013年7月の「わん、脱いじゃいます!」重大発表しちゃ
います!とツアーの中で発表された。

 

 

 

国際的不買運動

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   ここにおいてぼくがふと思うのは、はたして“日本の墨子”を
        われわれは知っているのかということである。
                           
                              松岡 正剛

 

● 迷惑な軍拡大国  南シナ海の人工島に自走砲 ?!

米国防当局者は18日、中国が南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島のジョンソン南(中国
名・赤瓜)礁に造成した人工島に、自走砲を持ち込んだと改めて指摘した。当局者は自走砲につ
いて、人工衛星や航空機では確認できなくなっており、何らかの手段で隠匿されている恐れもあ
ると述べた。当局者によれば、自走砲は対地攻撃用。米国を含む各国の艦船・航空機を狙うこと
はできないが、ジョンソン南礁近くの岩礁を実効支配するベトナムにとっては、脅威になる可能
性があるという。中国は埋め立てを「近く完了する」と表明したが、シンクタンクの戦略国際問
題研究所(CSIS)は、ミスチーフとスービでは依然活発な埋め立て工事が進展中だと分析してい
る。(時事通信 2019.06.19)

このような流れを目耳するにつれ、そろそろ中国製品に対する国際的不買運動の準備にかかる必
要があるのかもしれない。

   AP Photo/Bullit Marquez

 Filipinos, Vietnamese join anti-China protest
 


 ● 今夜の一品

国内初 企業向けサイバーセキュリティ対策ソリューション販売

近年、政府機関や一般企業では機密情報を狙ったサイバー攻撃、マルウェアの急増など新たな脅
威に対するセキュリティ対策への迅速な対応が重要課題となっている。企業はAPT攻撃による
情報盗難対策のために様々なセキュリティ製品を駆使し、多層防御を試みるがが、最近のAPT
攻撃は非常に巧妙でファイアウォール、IPS/IDS、WAFなどでセキュリティ検知されず、また攻撃
の痕跡を消去して立ち去る場合も往々にして起きている。アクセスログが残らなければ知らない
間に情報が漏れてしまうことも起こり得まる。「検知して防御」という従来のセキュリティソリ
ューションでは防御の有効性に乏しく、マルウェアなどの脅威がネットワークに侵入しているか
どうかの判断ができなければ、情報漏えいなどの問題が発覚しても被害の範囲を迅速特定が難し
くなる。また、長期間(1年単位)にわたり、執拗に攻撃を仕掛けてくるのがAPT攻撃の特徴
である。 

※APT攻撃:アドバンスドパーシスタントスレット攻撃,アドバンスドパーシスタントスレッ
 ト:Advanced Persistent Threat, APT ;サイバー攻撃の一種で、特定のターゲットに対して持続
 的に攻撃・潜伏を行い、様々な手法を駆使して執拗なスパイ行為や妨害行為などを行うタイプ
 の攻撃の総称である。2010年春頃から海外で注目され始めた。

※マルウェア(Malware)とは、不正かつ有害な動作を行う意図で作成された悪意のあるソフトウェ
 アや悪質なコードの総称。

東京エレクトロン デバイス株式会社は 通信分析とネットワーク犯罪ソリューションのベンダー
のSS8, Inc の「コミュニケーション・インサイト」を6月18日から販売開始する。この商品は国
内初の企業向けのソリューションである。この商品の特徴は、サイバーセキュリティ対策として
企業にセキュリティコミュニケーションを視覚化して、ネットワーク管理者が迅速に効率よく事
態を把握するための仕組みを提供するプラットフォーム。ネットワーク上の不審な動きを監視し、
高度で執拗に繰り返し行われるサイバー攻撃、リモートアクセスツールなどを数ヶ月から数年間
にわたって追跡、記録し、これらの情報を分析するためにIPとボイスデータを抽出、収集、生
成して、ネットワーク管理者に最適な情報に加工し、セキュリティ関連の専門家がサイバー攻撃
をいち早く特定し、改善を図る。デバイス内のアプリケーションの詳細内容や身元が明白にされ、
効率的なサイバーセキュリティ調査を実行する。また、発生した事象の内容や状況、時間、不正
アクセスされた他のデバイスなどを時系列的に提示、既存の防御ソリューションを補完できる。

 

    

【日本の政治史論 38: 政体と中枢】    

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE  "」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で 触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。  

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)

                          古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』  

    目 次     

  序 章 福島原発事故の裏で
  第1章 暗転した官僚人生
  第2章 公務員制度改革の大逆流
  第3章 霞が関の過ちを知った出張
  第4章 役人たちが暴走する仕組み
  第5章 民主党政権が躓いた場所
  第6章 政治主導を実現する三つの組織
  第7章 役人―その困った生態
  第8章 官僚の政策が壊す日本
  終 章 起死回生の策
  補 論   投稿を止められた「東京電力の処理策」
   あとがき 改革を若者たちの手に委ねて 

  補 論 投稿を止められた「東京電力の処理策」

  序章で述べた通り、私は、「東京電力の国有化」や「政府が資本注入」などと騒かれ始め
 た4月上旬、東京電力の処理策として私案をまとめ、経済産業省官房幹部はじめ関係者に送
 付した。この試案を基礎にブラッシュアップした論文を『エコノミスト』誌に投稿する予定
 だった。
  しかし、直前に官房に止められた。理由はよく分からなかったが、「そんな売名行為を許
 したらみんなそれをやり始める」というようなものだった。
  その後、「注目度の高い本件について職昌が対外発信で今後の政府の議論や決定に外から
 圧力を加えようとするのは適当とは思えない」というメールも送られてきた。

  もちろん、逓減の内容はまだまだ荒削りだったが、とにかく東京電力や銀行などの脅しに
 負けて、政府がおかしなほうに行かないようにと思って作ったものだ。
  そのなかには、発送電分離をはじめとする長期的な電力規制緩和の問題から、一般によく
 知られた電力業界を取り巻く政官栗の癒着のみならず、学界、労働組合、そしてマスコミま
 で巻き込んだ電力分野の構造的癒着への対応などまで含まれている。

  その後、私が指摘した問題は概ね議論のテーブルに戟ってきたようにも見える。
  しかし一方で、銀行と電力業界が一体となった政官界への根回しか功を奏し、来電で金儲
 けをした株主や銀行の責任を問わず、また経産省や原子力安全・保安院の現・旧幹部の責任
 も不間にしたまま、原発事故による巨額の補償負担を、料余値上げや増税で国民に押しつけ
 ようという案も有力となっている。
  そんな理不尽なことは許ざれない。一職員が意見表明することは政腎に圧力をかけること
 になるというが、みなさんは、その判断をどうお考えになるだろうか。参考までにその資料
 (改訂版として四月中旬に送付したもの)を末尾に添付しておこう。ただ、私かこの紙を公
 にしたことは、経産省には内緒にしておいて欲しい。

 
                       東京電力の処理策(改訂版)
                    
                             2011年年4月18日

 1.今一番人事なこと
 ○正しい認識で2つのチキングームを回避すること
 
 A.頃電が夏の人停電に対する社会の懸念を利川して、「県電を破綻させると人混乱になる」
 と政府を脅しており、それを真に受けている向きも多いが、破綻=オベレーション停止では
 ないことを明らかにし、オペレーション確保及びそのための資金調達には政府保証を行うこ
 とを早急に明確化させることか重要(それがあれば時間をかけた処理が可能となる)。
  間違っても、債務超過だからまず国有化、政府出資という選択をしてはならない。国民に
 リスクを一気に転嫁することになりかねない。
 
  東電は、基本的にJALや一般の事業会計と巽なり、完全地域独占で顧客が短期で逃げる
 ことができず、安定的に料金収入が入るという特徴がある(電力料金値上げを真顔で語れる
 ことかこれを物語っている。つまり、再りの時に強調される″ア震価値の棄損を防ぐため早
 期に処理を終わらせなければならないということに強くこだわる必要はない)。

 B.東電が破綻すると金融不安が生じるとか社債に傷かつくと社債市場が崩壊するという脅
 しも使われているか、数兆円規模の不良債権化であればふ一分巾場で対応できるし、仮に貸
 し出し余力がなくなるなどという銀行があれば金融安定化スキームを活用してこちらに公的
 資金を注入すると言えばよい(銀行は絶対に嫌なので黙るしかなくなるはずである)。
  株式は元来リスク資産であり、そんなことは誰でも分かっている。高齢者の人嘔な老後の
 生活資金だという感情に訴える論調もあるが、そういう情緒論に乗ってはいけない。むしろ

 C.また、市電に対するベナルティのような感覚で「国有化」を唱える向きもあるが、これ
 は全く筋違いで、責任は市電だけでなく政府にもあることを忘れた感情論にjぎない.そう
 したメンタリティは政権内部から早く消去することが必要である。単純な国有比論で資本注
 入を真っ先に行うということは最悪の策であることを明確にすべき。


 2.課題のプライオリティ(概ねの順位) 

 ①福島原発事故の収束
 ②夏場を忿めた電力安定供給(突然死的大停電の回避)
 ③東電財務不安に起因する金融危機の回避
 ④福島原発被災者への補償の早急な実施
 ⑤国民負担の最小化
 ⑥関係者の公平な負担の実現と国民の納得感獲得(円滑な処理に不可欠)
 ⑦誘発地震対策、保安院経産省分離を含めた原発規制の抜本見直し
 ⑧発送電分離を含めた電力嘔粟規制の抜本的見直し
 ⑨東電の分割を含めた再生処理策の決定・実施

 3.二段階処理

  課題処理にはすぐ実施すべきものと時間をかけて行うべき(あるいはそうせざるを得ない
 )ものかある。概ね2段階での処理とすることが必要。
  これをせずに、行き当たりぱったりで拙速にやれば、後で大きな消費者・国民負担になっ
 たり、安易な方向に行くしかなくなり、本質的な改革が実施できなくなって将来に禍根を残
 すことを十分認・識する必要がある。

  第1段階では、電カオペレーシク/確保、すなわち停電回避のための資金需要への緊急対
 応(DIPファイナンス類似)を万全にするだけとして、国有叱などの名目による安易な出
 資で莫大な国民負担か生じることがないようにするべき。

 ①第一段階
 ○以下の措置を取るために必要な事項は法律を作って対応。5月中に成立を目指す(憲法問
  題なども生じ得るか、国家危機時の対応という点でこの程度の権利制限は合憲とされるは
  ず。慎重になり過ぎるより、リスクを取ってあとは最悪の場合後ロ訴訟で決着すればよい)。                          

 A.既に行われた束電との取引(金融取引を除く)及び今後福島.原発事故処理及び電力供
 給に必要な取引(簡単に言えば、通常の東電との取引と新たな設備投資に必要な取引)に関
 する債隆は将来的に全て保護する方針を政府が表明。これらの取引債権弁済のための東電に
 よる資金調達ができない場合は政府保証を行う。この保証債務を実行した結果生じる東電に
 対する求償権は最優先債権と位置付ける。なお、各種準備金、引当金、預託金等の取り崩し
 を認める(外部の積立金を活用すれば1兆円以上のキャッシュか出て来るはず)。
  これらの前提として日次のキャッシュフロー管理を融底する(Xデーの把握)。

 B.基準日を設け(例えば5月1日)、それ以降政府保証なしで行われた金融取引について
 も上記求償権並の最優先債権と位置付ける(実際にはそうい・っ融資は行われないだろうか)。

 C.福島原発被災者向け補償の一部仮払いの実施。当面の生活及び事業継続に最低限必要と
 考えられる金額を東電が仮払いする義務を課す。第一次仮払いは東電の自主的措置とするが、
 原子力損害賠償法による最終支払いまでさらに時間がかかる場合は、二次的な仮払いが必要
 になる可能性がある。東電は第.次仮払いで事実上補償責任を認めたともとれるが、潜在的
 には免責を主張する可能性もあり、また、株主や監査役から支払い拒否を要請される可能性
 も十分ある。

  このため、東電に仮払い義務を課し、後に原子力損害賠航法による補償断任の認定が終了 
 した段階で東電に責任がないことになった場合は国か弁償ることを法定することで、東電が
 迅速に支払える環境を整える。

 D.東電の経営を監視するための東電経営監視委臼会を設置。弁護士、企業経営経験者など
 を任命するとともに、六月の株主総会でその代表を取締役に選任することを義務付ける。東
 電に要請して拒否しない場合は自主的に行えば艮いが、そうでない場合に備えて吃法措置は
 必要。
  企業再生支援機構を監撹役として指定し、後の再生計画づくりまで任せるという規定を盛
 り込むことも一案。

 E.既存の金融債権(社債も含む)については、当面の間(2年程度を限度とする)東電の
 弁済を禁止し、担保権実行も禁止するへ私的再生では海外投資家の同意を得ることが難しい
 ので法的に担保)。

  以上、A~Eにより、会社更正手続き類似の状態に置くことになる。

 F、下記措置について、特に海外向けにぶ前に強力に広報する(燃料の輸出がiまることな
 どを回避)。

 G.東竃全役員の報酬・退職金百%返上または被災地への寄付。相談役・顧問等の非常勤ポ
 スト全廃。天下り役職員の全員退任(国民の理解を得て国会での審議を促進するために不可
 欠)。

 H.束電の広報原則禁止。必要な場合は監視委G会の許可制とする。お詫び広告は即時停止
 を経産相が要請。その代り、毎日社長が土下座会見をする(これまで見られるマスコミ、と
 りわけテレピ局への不tJな影響力の排除。他の電力会社も同じ問題)。
  無意味な節電広告も禁止してよいのではないか。

 I、東電による学者等への資分拠出・原稿料‘講演料などの支払いの公開(御用学者による
 東電寄り専門家情報の流布に歯止め。他の電力会社も同じ問題)。

 J.来電及び東電労組による政治家への献金、使宜供り、ロビー活動の禁止。

 ②第二段階
  東電の企業価値は原発被災者に対する補償額、原発の安全規制の具体的内容及び今後の電
 気事業行政の在り方が決まらないと算定できないので、これらの大前提か明確になるのを待
 って事業再生プランを策定する。プラン策定と実施は企業再生支援機構に任せるのも.案(
 そうする場合は法定)。

 A.原発補償範囲、国との責任分担の確定(これがないと市電の企業価値か算定できない)。

 B,今回の地震・津波被害を踏まえた原発規制の抜本的見直しを受けた来電による規制対応
 策の策定。これに伴い中期的設備投資等の必要額と償却負担が大きく変わる。

 C.発送電分離を前提とした発電所ごとの組織再編、独立採算を可能とする人員貼り付け(
 下記5.参照)。

 D.第1段階で設立『した脱電経営監視委員会(企業再生支援機構が担当?)が上記A、B、
 Cを踏まえた市電の再生ブランを策定。当該プランに基づくキャッシュフローを前提に財務
 
 処理案を.体的に策定。債務超過であれば(その可能性が極めて高いが)、百%減資、基準
 日以前の債務の公圧な削減、経営責任の明確化などを行う。

 E.社債についても削減対象とするか、社債市場への影響も勘案して特別な取り扱い(削減
 割合の緩和)も認め得ることとする(そこまで必要か要検討)。

 F.補償債務は、居命日以前に生じた原因に基づく債権であることから、その支払い資金調
 達のために行った政府の保証は実行した上で求債権はDIPファイナンスとは別に他の一般
 債権名と同等の扱いとする(結果的に国と東電と金融機関が分担することになる)。

 G.上記策定に当たっては、政府関係機関からのヒアリングを実施し、訓両案に政策的要請
 を合理的な範囲で反映する。最終案に対しても政府は意見を述べることができることとする
 か、最終決定権は委員会に与える(JALの時のような政治的な、バイアスをなくし、二次
 破綻を防止)。

 H.下記5.の規制見直しを前提とすれば、東電は、送電線会社(東京電線株式会社)、い
 くつかの発電会社及び福島原発の廃炉処理会社に分割される可能性が高い。送電会社は将来
 的には東北電力の発送電分離を受けた東北電線会社との統合が必要。さらには中部電力、関
 西電力の発送電分離後の電線会社との統合も可能。
  分割される発電会社は独立の発電事業者(卸・小売り)などに個別に売却されることにな
 ろう(5.A.~E.)。

 4.原発規制の見直し

 ○原発推進機関の経産省と原子力安全・保安院の事実トの一体化が杜撰な津波規制につなか
 った可能性が高い。
 ○原発関連情報の隠ぺい・改ざん事件にみられる過去の束電と経産省の天ドりを含む癒着の
 構造も事故原因となり、また、事故後の対応に失敗した原因となっている可能性か高い。
 ○原子力安全・保安院には実は高度な専門知識を持つ職員か殆どいないため事実上規制能力
 がなかったことも判明した、
 ○上記の構造に対して、国民及び海外の批判は極めて強く、現状のままでは既存の原発の隙
 備にさえ理解を得ることは極めて困難になっている。

 A、原子力安全規制は経産省から完全に切り離すことが必要。

 B.原子力安全・保安院は廃止し、原子力安全委員会を抜本的に改組・強化(人員も増強)
 して独立性の高い一条委員会とする、

 C.委員会の委員の独立性・公正性を確保するための措置を導入(電力会社やその関係組
 織・支援組織からの資金提供に関する情報公開など)。

 D.事務局には、外国人を含む民間人を大量に登用。専門知識が必要なポストにはそれにふ
 さわしい職員を配置する。必要に応じて給与体系も特別に作る。この分野は極めて専門性が
 高いが、日本のレベルは米・仏などに比べて官民とも極めてレベルが低いことが判明した。
 バブル崩壊で金融分野の人材のレベルが暴露されたのと同じ。官民の人材流動化が必要。こ
 れによりガラパゴス化した原発規制分野の人材の国際化と高度化を図る。山一、長銀破たん
 などが人材流動化の突破ロとなったのと同様、東電破綻がその突破口となる。

 5.電気ホ業規制の抜本的改革を前提とした制度整備とそれに合わせた虫篭の分割
 ○発送電分離を前提とした電力自由化の方向を明確化して乗り越・又るべき課題について早
 急に検討する。
 ○首都圏直F型等の地震発生可能性が高まっていることを前提とした、電源の分散設置のた
 めの方策を検討する。
 ○経済機能の首都圏集中を根本的に見直し、一〇年後に首都圏で供給される電力を現在より
 もかなり低めに設定し、大口需要者に対する電力使用制限を常用することなどを検討し、経
 済主体の地方分散を促進する。ただし、国外移転回避のための措置も必要。
 ○新エネルギー利用・自家発電などあらゆる分野における規制緩和を集中的に行う。消防法
 など関連規制を総合的に見直す。
 ○これまで電力会社の抵抗で進まなかったスマートグリッド推進策を根本的に見直し、強化
 する。

 A.第一弾として、東京電力を持株会社とし、その傘下に発電部門(眼京発電株式会社)と
 送電部門(東京電線株式会社)を別々の了会社として配置する組織再編を実施。

 B.次に発電部門を事業所単位で分割して持株会社の下に子会社として直接配置する。

 C.一年から二年程度の実績を見て各子会社間の連携上の課題への対応、持ち株会社を完全
 売却した場合の問題点の想定と対策案を策定。必要な法整備の検討を行う。

 D.福島第:原発の廃炉事業はこれらとは別会社とする。この切り離しの方法については別
 途検討が必要。

 E.これらの準備段階を経て、概ね三年から五年以内に、発電事業会社を順次売却する前提
 で特に送電会社に対する特別の規制のための法整備を行う。送電会社は上場により資金回収
 することを基本とする。

 F.電力事業の規制主体としては、独立の三条委貝合(「電力事業規制委員会」)を過渡的
 に設置し、電力全体の目由化か終了して安定した段階で、この委員会を公正取引委員会に統
 合する。
 
                                   この項つづく

 The Trans-Pacific Partnership and a President’s Legacy 
  

● 迷走するTPP

米下院は12日、通商交渉の権限を大統領に委ねる貿易促進権限(TPA)法案を採決し、219
対211の賛成多数で可決したが、自由貿易で不利益を被る労働者への支援策を定めた貿易調整支
援法案は126対302の反対多数で否決。TPA法案と貿易調整支援法案は一体として扱うこと
になっているため、オバマ大統領の署名を経てTPA法が成立する見通しはつかない状態となった。 

TPA法の成立は環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の合意に不可欠とされており、今回
の投票結果はTPP交渉の逆風となる。またTPP推進のためにTPA法案可決を後押しし、12
日の審議開始後に議会入りしてまで説得工作を続けてきたオバマ氏は「明確な拒絶を突きつけられ
た」(米紙ニューヨーク・タイムズ)かたち。TPA法案を推進してきた共和党のベイナー下院議
長は12日の採決直後、否決された貿易調整支援法案の再審議を求めているが、オバマ大統領は、
「下院は可及的すみやかに貿易調整支援法案を可決するよう求める」とする声明を発表。

ある程度予想していたことだけにに馬鹿馬鹿しい限りだが、どうするオバマ大統領? 

 

 ● DIY日誌: シロアリ駆除開始

木・金曜日に床下に、液体殺虫剤散布と木材開孔殺虫剤注入作業敢行。金曜はあいにくの小雨交じ
りの単独作業でも無事終了。様子をみて第2回目の散布作業を計画の予定。余裕がなかったのでデ
ジカメ撮影は中止。

                                        

 

馬鹿っかじゃないの。

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    九顕十密    /  弘法大師



※ 空海は『十住心論』において、九つの顕教と真言密教を説いた上で、「顕教も密教の観点か
  ら見れば密教である」という「九顕十密」の思想を打ち出す。『般若心経秘鍵』の中では、
  「顕が中の秘、秘が中の極秘あり」と、顕密の多重性を示し、顕蜜は二分されるものではな
  く、ものごとの深奥を見れば、その本質には秘があるとした。 

    

【日本の政治史論 39: 政体と中枢】    

「古賀の乱ってなんだ  "I am not ABE  "」(『進撃のヘーリオス Ⅱ』2015.04.04)で 触発され
るように、積んでおいた本を取り出し読みはじめた。そして、この国の政体を考えみよう。その
結果、どのようになろうとも未来志向できる手がかりを明らかにしたという動機から掲載してい
きたい。まずは第5章から読み進める。   

  福島のメルトダウンは必然だった…政府閉鎖すら起こる2013年の悪夢とは!?家族の
 生命を守るため、全日本人必読の書。「日本の裏支配者が誰か教えよう」。経産省の現役幹
 部が実名で証言。発電会社と送電会社を分離する発送電分離。このテーマについて本気で推
  進しようとした官僚が何人かいた。あるいは核燃料サイクルに反対しようとした若手官僚も
  いた。しかし、ことごとく厚い壁に跳ね返され、多くは経産省を去った。私も十数年前、発
 送電分離をパリのOECDで唱えたことがあるが、危うく日本に召喚されてクビになるとこ
 ろだった。その理由とは何だったのか――。(「序章」より)。改革が遅れ、経済成長を促す
 施策や産業政策が滞れば、税収の不足から、政府を動かす資金すらなくなる。そう、「政府
 閉鎖」すら起こりかねないのだ。いや、そうした危機感を煽って大増税が実施され、日本経
 済は奈落の底へと落ちていくだろう。タイムリミットは、ねじれ国会を解消するための参議
 院議員選挙がある2013年、私はそう踏んでいる。(「まえがき」より)

                          古賀 茂明 著『日本中枢の崩壊』  

  目 次     

  序 章  福島原発事故の裏で
  第1章  暗転した官僚人生
  第2章  公務員制度改革の大逆流
  第3章  霞が関の過ちを知った出張
  第4章  役人たちが暴走する仕組み
  第5章  民主党政権が躓いた場所
  第6章  政治主導を実現する三つの組織
  第7章  役人―その困った生態
  第8章  官僚の政策が壊す日本
  終 章  起死回生の策
  補 論     投稿を止められた「東京電力の処理策」
   あとがき  改革を若者たちの手に委ねて 


  あとがき 改革を若者たちの手に委ねて 

  2010年秋、インターネット放送の生番組に出演したとき、視聴者から「霞が関には、
 どれくらい占賀さんのような改革派の官僚かいるのですか一との質問が寄せられた。
  正直いって払にも見当がつかない。たとえ私を心のなかで応援してくれている人でも、私
 の部屋を訪ねてくるだけで、周囲から白い目で見られ、マイナス評価かつくので、誰も払に
 は近寄らなり。ただ、時折、中高年職員への手厚い政策に悲鳴を上げる若手からのメールが
 届く。誰もいないエレベーターのなかなどで.緒になると中堅以上の同僚は目をそらす人が
 多いか、周りを気にしながらではあるが、若予のなかには「どうされてますか?お元気です
 か」と気遣ってくれたり、「がんばってください」「今度ゆっくり話を聞かせてください」
 「古賀さんのいう油りなのに」と応援してくれる人も多い。経産省OBから激励の電話もか
 かってくる。
  幹部のなかにも、議諭していると、「君がいっていることも分かるんだが」と理解を示し
 てくれる人も実は少なくない。だが、幹部は行動を起こすまでには至らない。 

  霞か関は改革すべきだと考えていても、自分は将来、いまのシステムのなかでお世話にな
 らなければならないのに、批判をするのは潔くないので黙っているという、ある意味、生真
 面目な幹部職員もいる。
  私は、中堅以上になったら、若手を育てることが大きな職務の一つだと考えている。仕事
 のす分くらいはそれに費やしてもいいと思うくらいだ。だから、課長になって以来、なるべ
 く若手に活躍の機会を与えてきた。そうした私の経験からいっても、若い人たちは大なり小
 なり現在の霞が関の左り方に疑問を感じている。

  程度の差はあれ、若い人たちはみな改革派だと思う。旧弊にどっぷり浸かっている中高年
 職貝に退場願い、若手を引っ張りとげるだけで、公務員制度改革は進むし、いま日本に求め
 られている改革も実現できるのではないか、と思う。
  だが、現実には若い人たちが団結して上を引きずり降ろすのは不可能だ。声を上げた途端
 に、上から潰されてしまうだろう。政治の力を借りるしかない。

  私は自民党・民主党政権の政策を真っ向から批判したといわれる。なにか大それたことを
 しているかのように聞こえるか、私自身はそんなに大きなことをしているつもりはなかった。
  ただ、当たり前のことを考えて、当たり前のことを発信してきた。そうしたら、こんなこ
 とになった、というのが、正直なところだ。

  政権に弓を引こうなどという気持ちは毛頭ない。むしろ、逆だ。政権か短期間で交代し、
 猫の目のように変わる状況になると、霞か関の守旧派の思う壺になる。どんな政権であれ、
 じっくり腰を落ち着けて、公務員制度改革、そして新たな日本創造に邁進していただきたい
 と願っている。
  全な与党は健全な野党があってこそ育つ。与党時代の自民党は霞が関とべったりで、完全
 に役人に依存していた。そこから抜けきれず、野党になってからも、質問を考えるときに役
 人を呼んで話を間くだけでなく、質問作りまで依頼している人もいると聞く。

  しかし、霞が関は、もはや自民党の味方ではない。自分たちに都合の良いように質問を誘
 導することしか考えない,野党が霞が関に頼ったのでは、与党も野党も役人にコントロール
 されてしまう。
  自民党が野党としては品が良過ぎるのも気になった。「まだ政権政党時代のプライドが捨
 てきれず、民主党政権を徹底追及できないのだ」と分析する人もいた。払は自民党に、古い
 皮は早く脱ぎ捨てて欲しいと思っている。

    2010年、民主党の公務員制度改革法案の対案を自民党とみんなの党が共同案として出
  した。私ちが自民党政権時代に作った案の足りなかった部分を補った非常に優れた案だった。
 私は、それを見て複雑な気持ちになった。
  もし、自民党が政権の座に就いていたときに、この案を国会に提出していたら……あのと
  き、野党だった民主党も反対できないような完璧な案だったので、出していれば通ったので
 はないかと思ったのだ。私たちにやらせてもらえなかったのは心残りである。しかし、当時
 の自民党では、とてもあのような案は出せなかっただろう。政権の座に返り咲くことかあれ
 ば、迷わず、あのような案を政府案として堂々と出せる党に生まれ変わって欲しい。
 
  その鍵を握っているのは、ここでも恐らく若手の育成だ。若い政治家がどれだけ育つかに
 かかっている。「バラマキ大連立」参加の是非を問うて長老行脚を行った自民党総裁には、
 がっかりした支持者も多かっただろう。そのようなことをする前に、若手の声に耳を傾けて
 いただきたかった。
  東日本大震災からの復興プランも、若手の声を生かして作ってもらいたい。復興構想会議
 に若い人が入っていなかったのは残念なことだ。

  明治維新は若者たちの下で成し違げられた。いまか「第三の開国」「平成の維新」ならば
 大鉈を振るって改革を断行し、次の時代を開けるのは、若い人たちだけだろう。民主党も、
 自民党も、霞が関も、若い人たちが上に起用される体制になって初めて変わる。
  官僚は政権の指示に従って、余計な口を挟まず、実務をこなしていればいいのだという意
 見が一般的だ。私のように、現役官僚でありながら政咆の政策を批判するのはもってのほか
 だということになる。しかし、私は唯々諾々と従うだけが官僚の仕事ではないと思っている。

  むろん、最終的には政治の判断に委ねなけれぱならないが、その過程で閣僚とわれわれ官
 僚が政策論争を繰り広げるのは、決して悪いことではないはずだ。
  もちろん、自分の担当であれば、組織としての枠組みのなかで意見をいうことになるが、
 たまたまそのとき自分の担当でないことについて個人としての立場で意見を述べることは許
 されると思う。国民の一人として、国民のみなさんと同じ立場で隆々な考え方や選択肢を議
 論させてもらうことにより、それに参加する人たちに議論の材料を提供することかできる。

  その組唄、政府の政策が最適化され、国民の利益につながるのなら、おおいに議論をすべ
 きだろう。
  いまなら、まだ日本再生の可能性は残されている。なんとかみんなで力を合わせて、この
 難局を浪り切り、この受すべき国、日本を再生させたい。若い人たちか希唄を持って活躍で
 きる舞台を作りたい。どうにもならなくなった日本を自分の子倶にバトンタッチすることだ
 けは、なんとしても避けたい。

  それを誰かに委ねるのではなく、いかなる立場であれ私自身も携わる機会を与えられたら、
 と思う。むろん、私の力など微々たるものだが、できることであれば、心を同じくする人だ
 ちと一緒にこの国を没落の淵から款う活動に身を睨じたい。
  私は数年前に大腸がんの手術をした。リンパに転移があるがんだった。まだ転移の可能性
 があるといわれる。がんというと、人は「たいへんですね」という。しかし、生きていられ
 るだけ幸せだ。

  時間を経て、心配しても仕方ないと思えるようになった。ある意味、リスクには「鈍感」
 になった。だからこそ、リスクを取れる。いまの日本人に一番求められることだ。そんなふ
 うに考えると、自分は幸せなんだと思えてくる.
  2009年12月17日、国家公務員制度改革推進本部服務局審議官の任を解かれ、経産
 省の大臣官房付になった。
 「次の異動まで、少し待っていてくれ」と次官にいわれた。
  それからすでに.年ず。私は政府のなかで、官僚として、改革の実行を唱え続けた。
  しかし、いまのところ、良い兆候はない。
  私は、これからも許される限り、内部から改革の声を上げ続けていくつもりだ。

  私は東北にはほとんど地縁がない。ただ、私か公務同制度改革などに取り組む姿を見て、
 面識がないにもかかわらず、「古賀さんの思いはみんな共有していますよ、かんばってくだ
 さい」と、岩手県庁から激励に訪れてくれたかかいた。そのときの感動はいまでも忘れない。
  2011年3月の東日本大震災のあと、思い切ってその方に電話した。令い無零で、大き
 な被害には遭わなかったとのことだった。
  その方の強い勧めもあり、私は4月の休日に、岩手県の三陸海岸被災地を訪れた。
  被災地を一見して、私は言葉を失った。 

  田老町の被災者の方々と話をした。しかし何をいっても、自分の言葉が空虚に聞こえた。
  大槌町では、被災後なんとか操業を再開した中小企業の社長さんが近隣住民の支援を行い
 さらに他の工場経営者のバックアップをしていた。しばらく話し込んだあと、その方がこう
 いった。
 「古賀さんのいう通りだ。これからは、国に頼っていてはだめですね。自分の力で立って前
 に進まなければ……」
  その言葉に払は、心底、勇気づけられた。すると、岩手県庁の方も、こう力強く語りかけ
 る。
 「いまこそ本気で日本を変えるときですよ。これまでのやり方で復興を計画してもダメ。古
 賀ざんのような力の考えを早く世に問うべきです。一緒に復興しましょう。」
  そう 求める力強い声に、思った。この災害からどうやって立ち上がればいいのか。これ
 は東日本という限られた範囲の問題ではない。日本全体でこれからの国の在り方を考えなが
 ら、「復旧」ではなく、また、復興」でもなく、新たな日本の「創造」に向けた取り組みを
 しなければならない。

  そう考えると、政治と行政の改革を置き去りにしたままでは、新しい日本の創造という課
 題に収り組むことは不可能だという思いがこみ上げてきた。現在の仕組みのなかでこの災害
 からの「復興」を行おうとすれば、将来に禍根を残すことになる。そうなる前にもう一度、
 これまで唱え続けてきた改革の必要性を巴に訴えるべきだと思った。
  本書は震災前に原案をほぽ潜き終わっていた。この大震災を通して見えてきたこともある。
 それを踏まえて全面的に書き直そうかという迷いもあったが、大幅に加筆するにとどめた。
 結果、この本に書いたことを読み返してみて、むしろ震災後のいまにふさわしい内容ではな
 いか、そういう思いに至った。
 「やはり、この本を出そう」――改めて決意を固めた。
  この未曾有の危機のなかで政府を批判することに対しては、逆に非難の声が上がるかもし
 れない。しかし、このまま見過ごすことはできない。震災以前から続いていた大きな危機が、
 確実に、日本を奈落の底に突き落とそうとしているのだから。

  2011年5月
                                    古賀 茂明


今回をもって上がりとなる、蓋うに、急速な時代社会の変容に行政組織が自己変革を遂げること
が出来ず齟齬をきたしている現況への身を挺した警鐘録である。それが、公務員制度改革、電力
自由化、東日本大震災、福島第一原発事故を通して、矛盾が噴出する。さらに、『デジタル革命
渦論』の半導体、情報通信、遺伝子解析に象徴されるように、超高齢と少子化と格差拡大に苦悩
する高度消費社会(超資本主義=前社会主義社会)を前に、肥大化した行政官僚組織の蹉跌をコ
ントロールし、行政組織を刷新できなければ、ダブル・ディケイドがトリプルディケイド(ある
いは、ダブル・スコアがトリプル・スコアー)と、原発の安全神話が崩壊した"第三の敗戦"を体
験したわたしたちは、さらに「失われた三十年」を体験することになる。それだけは絶対避けな
ければならない。問題の解決方法は、著者にしてもわたし(たち)にも見えているのだが、立ち
止まらなければならない"厚い壁"に苛立っている。このような地方都市は"誤った緊縮財政政策・
消費税値上げ"で景気低迷し、若者は失職の恐怖にさらされ、窃盗などの犯罪は減るどころが逆に
増えるような勢いにある。 それでは、いま講じなければならない最優先課題策とはと自問した
とき、著者とわたしとでは大きくことなる。

 

わたし(たち)が考える現在のの最優先課題は「デフレ脱却」は双方とも一致し、そのために、
抵抗する財務省の高級官僚とそれに同調する国会議員の罷免(リコール)であり税制の改正――
(1)消費税の地方自治体への大胆な移譲、(2)首都圏一極集中を是正する逆格差法人税導入
による本社機能分散の2つの立法を考えている。なお、税完全捕捉のための「マイナンバー制」
は現在進行中である。 

                                      この項了



● 5年後、太陽光発電用定置蓄電池市場5兆円へ!

再生可能エネルギー、特に太陽光発電が急速に終及拡大する中、効率的な電力需給をうながす蓄
電池に注目が集まる。加えて2012年に導入された FIT(電力全量買取制度)がプレミアム期間を
終え、今後の電力の自家消費に備え、住宅用定置用蓄電池の活用こも関心が高まり、経済産業省
は11年度補正予算で「定一周リチウムイオン蓄・池導入支援事業」を開始以来、毎年、導入者
への補助危助成を継続してきた。今年度も15年度補正予算として130億円を計上し、3月下旬
より補助金申請を受け付けている。経産省商務情報局情報通信機器課の細沼慶介課長補佐は同事
業の目的を「定置用リチウムイオン蓄電池は現状では、価格か高過ぎる。そこで、蓄電池の導入
費用を一部補助することで蓄電池の普及拡大を促し、蓄電池市場の育成と量産効果による低価格
化を後押しするのが狙い」とし、「蓄電池は電力需給のピークコントロールを可能にするなど日
本のエネルギー政策上からも重要な技術であり、また今後、様々な分野で市場拡大が見込まれる
日本の成長産業分野でもある」と蓄電池の重要性を指摘している(環境ビジネス 2015年夏季凝) 

補助金事業の対象となるのは家庭用の量産型蓄電システムと事業者用の大型カスタム蓄電システ
ムである。量産型蓄電システムは補助対象機Sとして認めら、あらかじめ登録された蓄電システ
ム(補助対象機器一覧:https://sii.or.jp/lithium_ion26r/device/search)。 大型カスタム蓄電システム
は定格容量×セル数が4800Ah・セルで、蓄電システムの使用者と蓄電システムの機器製造事業者
の間で仕様に関して事前に書類による含意がなされている蓄電システム。尚、6月12日(金)に
私書箱に到着した申請をもって交付申請受付を終了している。



● 日本は2014年現在累積導入量 23.3ギガワットで世界第3位

【発電コスト低減化を目指し効率向上】

● 次世代蓄電池・パワーコンディショナの課題: 長寿命化・分散制御

太陽光発電のグリッドパリティ達成か間近いといわれる中、ソーラー住宅には定置型蓄電池か搭
載されるなど、住宅用では売電から自家消費への転換が模索され始めている一方発電事業用のメ
ガソーラーや一部の住宅用PVでは出万抑制ルールの変更への対応か大きな課題として浮上して
いる。現在、太陽光発電システムはさらなるコストバフォーマンスの向上が求められるとともに
モジュール以外の周辺機器等の技術革新にも注目か集まっている。その1つが、パワーコンディ
ショナの耐用年数で、従来の2倍の30年への延長。もう1つが、現在、欧米で急増しているパ
ネル1枚ごとに制御できる「マイクロインバータ」の開発。これはパネルの裏側に設置し、通常
は発電した直流電流は集中型のバワーコンディショナで交流に変えるが、マイクロインバータは
交流変換し電力系統に接続する究極の分散制御型のパワーコンディショナ――故障への対応、火
災など防災面で安全性が高のが特徴。3つめは、そうした多機酸化が進む中、遠隔制御機能が注
目されている。政府か太陽光と風力の発電設備に出力制御の新ルールを導入し、あわせてパワー
コンディショナの遠隔制御機能を義務化した。出力制御は外部信号か、カレンダー機能によるも
か等の方式は決まっていないが、各メーカ一はすぐに対応できるような体制かできている。多機能化も
含め価格競争も熾烈になるとみられる。さあ! 太陽光の変換効率25%とローコスト時代の開
幕だ。


『ドS刑事シリーズ』(ドエスデカシリーズ)は、七尾与史による日本の推理小説(ユーモアミ
ステリー)のシリーズ。殺人現場で「死体に萌える」ばかりのやる気ゼロな美人刑事・黒井マヤ
が数々の現場で暴れ、事件を引っかき回す。2015年、『ドS刑事』(ドエスデカ)のタイトルで
テレビドラマ化。著者の初のシリーズ作品。これまでの作品は全て文庫本だったが、初めてハー
ドカバーでの発売となった。1作目の『ドS刑事 風が吹けば桶屋が儲かる殺人事件』は本屋大
賞2012の35位にランクインし、発行部数は10万部を超え、2作目の『ドS刑事 朱に交われば
赤くなる殺人事件』も4万部を超えるベストセラーとなっている。

 

表紙のイラストはワカマツカオリが手がけているが、著者の七尾はそのイラストを見て「もしこ
のシリーズが映画化されるなら黒井マヤは栗山千明、代官山は堺雅人のイメージ」と話し「ドM
刑事の浜田は濱田岳。実はそれを意識して名前をつけました」と明かしている。




● 馬鹿っかじゃないの。

昨夜で、テレビドラマの「どS刑事」か終了。ここだけの話だが、テレビドラマの「鹿男あおに
よし」から田部未華子の密かなファンだ。放送中での決まり文句の「ばっかじゃないの。」が頭
から離れないでいる。

集団自衛権を巡り、安保法制で国会周辺が賑やかだ。簡単にいってしまえば、「政府・防衛官僚の勇み足
」。余りにも情緒的で思わず、口から出てしまった、”ばっかじゃないの!?”

 

 

スマートシティー工学のススメ

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   創造力は、脳が悦んでいる状態で発揮されるものです。/ 飯島 澄男 


 


Is Google taking over the world? A look at Sidewalk Labs

● サイバーフィジカルシステムの時代

IoT(Internet of Things、モノのインターネット)やビッグデータ分析技術が発展してきたことにより、現実
空間(フィジカル)で発生する事象をそのまま仮想空間(サイバー)に取り込み、コンピュータの力で分
析し、最適な結果を現実世界にフィードバックする「サイバーフィジカルシステム」の実現が現実のもの
となりつつある。ところが、従来、といっても最近までのことではあるが、これまでの電力網(スマート
グリッド)や、工場(スマートファクトリ)など一部の領域に、徐々に活用が振興しているものは、いず
れも、殆どが閉鎖空間で行うケース。これを「街全体で行う」という取り組みが進行しているという。そ
の1つに、街を丸ごと仮想化仮想化してしまおうという「スマートシティ」構想。

今月10日に、米グーグル(Google)はスマートシティに関連する新子会社を設立することを発表。新子会
社の名前は「Sidewalk Labs」で、元ブルームバーグ社長で米国ニューヨーク市の経済発展と再開発担当の
副市長のダン・ドクトルフ(Dan Doctoroff)代表が勤める。グーグルのCEO(最高経営責任者)のラリー・
ペイジ(Larry Page)は「Sidewalk Labs は、生活費、効率的な輸送やエネルギー使用量などの都市の問題
に対処するため、都市技術を開発し、インキュベートすることによって都会生活の向上に取り組む」と述
べ、「世界中の多くの都市では既にトラフィックパターンを測定し、これらを可視化するダッシュボード
を活用するなど部分的にはさまざまな進歩がある。しかし、都市部の課題の多くはさまざまな要素が複雑
に関連し相互に影響し合うので、都市生活に影響を与える多くの要因の全体像を把握することが重要だ」
と語っている(Google+)。


Google's Sidewalk Labs Could Ease Cities' Growing Pains

また、今月16日に3D設計ソフトウェアなどのフランスのダッソー・システムズは、シンガポール国立研
究財団(National Research Foundation:NRF)と「バーチャル・シンガポール」を共同開発すると発表。
「バーチャル・シンガポール」は、3Dモデリングの形状データと、付随する静的データや動的データ、
各種情報などを表示でき、この豊富なデータ環境と各種ビジュアライゼーション技術を組み合わせた、コ
ラボレーションのプラットフォーム活用に供し、このプラットフォーム上で、シンガポールの国民、企業、
政府、研究コミュニティーが、シンガポールが直面しつつある複雑な課題に対処するために、ツールやサ
ービスを開発できる。既に昨年12月から開発を開始、18年に完成予定。


Virtual Singapore video

尚、同プラットフォームはダッソー・システムズの「3DEXPERIENCity」を活用し構築し、プラットフォ
ームを構成する画像やデータはさまざまな公的機関から集められており、そこには地理空間、地形(トポ
ロジ)、人口動態、移動、気候に関する過去および現在のデータも含まれる。これらの街そのものをバー
チャル化する取り組みは、まだ検証段階にあるものが多く、全ての都市ですぐに進むわけではない。しか
し、既にIoT によるセンシング技術と通信技術、データの蓄積技術や分析技術、制御技術など、要素技術
は出そろっており、現実世界で発生したことを、リアルタイムに近い形で仮想空間上で再現し、分析を加
えることは可能になりつつある。これらの産業はやがて4次産業(図画像処理産業)に収斂され発展して
いくこは、すでに『ハイいイメージ論』などの『吉本隆明の経済学』で予測されていたことを書き加え、
サイバーフィジカルシステムの時代の幕開けを確認しておこう。

 

● 史上最薄の「電球」、厚みは原子1個分

今月15日、韓国の研究者と米コロンビア大学のチームにより学術誌『Nature Nanotechnology』で――ト
ーマス・エジソンが百年以上前に発明した白熱電球は近年、人々の生活から姿を消しつつあり、市場の需
要は、エネルギー効率がはるかにすぐれた電球形蛍光灯や LED  (ダイオード)に移ってきている。企業も新
製品を続々と投入している。米ファイナリー・ライト・バルブ社は、電磁誘導の技術を応用して、エネル
ギー効率が高く暖かみのある光を放つ「アカンデセント」という電球を開発。また、米アルキル社は、バ
ックライトが不要なポータブル有機 EL 照明を販売している。さらに今年後半には、従来の LED  よりも
寿命が長くエネルギー消費の少ない、グラフェンでコーティングされた LED  が発売なか――厚みが炭素
原子1個分で、最高レベルの強度を持グラフェン」を使った光源が誕生させたことを公表。 

 
Nature Nanotechnology(2015)DOI:doi:10.1038/nnano.2015.118

 
Figure 3: Simulated spectra of radiation from electrically biased suspended graphene.

Bright visible light emission in graphene ↑

 

今回の研究のリーダーのキム・ヤンダック・コロンビア大学の博士研究員が、グラフェンが発光すること
にキム氏が気づいたのは4年前のこと。非常に軽量かつ鋼よりも固いグラフェンという物質は2004年に発
見されたばかりだったグラフェンの小片を含むフィラメントに電流を流すと、可視光を生み出すのに十分
な2500℃以上の高温になることを発見する。しかも、フィラメントに接続された金属の電極は高温になっ
ても溶けなかった。グラフェンは高温になると熱をほとんど伝えないため、中央のごく狭い範囲の外に高
熱が伝わらない。そんな、グラフェンではなるが、エジソンは最初、電球のフィラメントに日本の竹炭を
用いている。同じ炭素という素材に戻ったというわけで、電極などのて開発研究が近年盛んになされてき
たから、グラフェン・フィラメントの発明は早晩実現してもおかしくなかった(コロンブス卵?)。すで
に、インテルとIBMはコンピューターのチップに光を組み込む難題に取り組んでいる。さて、21世紀の
物理学はバイオミミクリ(生物模倣)でもある。中国の南開大学の研究グループは、グラフェンに光を当
てるだけで移動することを発見し、非燃料系宇宙船などに応用できることを公表している。



● トップダウンとボトムアッププロセス融合で世界最薄のグラフェンナノリボン形成


前述の報告前の今年3月24日、シリコンに代わる半導体素材として注目されているグラフェンの利用可能
性を大きく高めると期待される、無機ナノマテリアルがグラフェン上に自発的に規則正しく整列する(自
己組織化する)現象を応用し、単層グラフェンの帯状構造(グラフェンナノリボン)を独自手法で形成に
成功したと、竹内治東大教授らのグループが公表。竹内教授らは、まず、常温の水溶液中でシアン化金が
グラフェン上にナノサイズの繊維状構造(ナノワイヤ)を自己組織化することを発見。次に、このナノワ
イヤをもとにしてグラフェンをエッチング処理し、幅約110 ナノメートル、厚さ炭素原子1個分の極め
て薄い帯状の構造体であるグラフェンナノリボンを作製することに成功。ナノワイヤとグラフェンナノリ
ボンは、共にジグザグエッジ方向に形成されており、これまで実現していなかったグラフェンナノリボン
の形成方向の制御に成功している可能性がある。
 


● カーボンナノチューブでエネルギー変換効率6%

こちらはカーボンナノチューブの話。今月19日、松尾豊東大教授らの研究グループが、将来的に太陽電池
の低コスト化や太陽エネルギーの利用拡大に役立つことが期待される、カーボンナノチューブを有機薄膜
太陽電池の透明電極として用いるための方法論を確立。レアメタルである「インジウム」を用いない有機
薄膜太陽電池のエネルギー変換効率(6%)を向上させた他、カーボンナノチューブ薄膜の柔軟性を生か
したフレキシブルな太陽電池の開発に成功したと公表。


有機薄膜太陽電池の透明電極には酸化インジウムスズが用いられるケースが多い。しかし、将来的に有機
系太陽電池を大量生産する場合、レアメタルであるインジウムは需要に対して供給量が逼迫するリスクが
ある。一方、カーボンナノチューブは元素としては供給の制約を受けない炭素で作られ、優れた電荷輸送
特性、化学的安定性、機械的安定性および柔軟性を併せ持つことから太陽電池の電極材料として用いられ
ることが期待される。ただ、カーボンナノチューブを用いた有機系太陽電池の研究開発はこれまでも行わ
れてきたものの、カーボンナノチューブ薄膜を透明電極として用いた有機薄膜太陽電池の変換効率は2%
にとどまっていた。

今回の成果は、高純度で透明性の高いカーボンナノチューブ薄膜のエネルギー準位を変え、有機発電層か
らプラスの電荷(ホール)のみを選択的に捕集して輸送するカーボンナノチューブ透明電極を開発したこ
とで、インジウムを用いない有機薄膜太陽電池のエネルギー変換効率を6%以上と大幅に向上させた。ま
た、PET(ポリエチレンテレフタラート)フィルムの上にカーボンナノチューブ薄膜を転写して用いるこ
とでフレキシブルなカーボンナノチューブ有機薄膜太陽電池を作製することにも成功している。

以上、ナノカーボングラフェン・ナノチューブ技術工学の技術報告3部を掲載。今後も目を離すことがで
きない!

 

   

【デジタルアース工学立国論 Ⅰ: 地震・噴火予知】


デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いまの解析デ
ータは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、リアルタイムに3
次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのためにはスーパーコンピュー
タシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析が出来ていないが、海底電子基準点
にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動データを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は
高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用できる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害
処置システムの開発段階に入ることができ、映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そ
うすれば、米国でのイエローストーンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、
世界的激震火山災害を回避できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震
予知工学への投資は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地
震は必ず予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。


 序章 なぜあのとき「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨

                                                                     不吉な予測が現実に

  2011(平成23)年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)は、マグニ
 チュード9・0という日本周辺の観測史上最大の地震であり、それに伴って発生した巨大な津波によ
 って、死者・行方不明者合わせて2万人以上の方が犠牲になった。そして原発事故も重なって、いま
 も数十万人もの人々が故郷を追われ避難生活を余儀なくされている。
  この東日本大震災のあまりに大きな犠牲を思うたびに、私はどうしようもない悔恨の気持ちでいっ
 ぱいになる。時を巻き戻せるものなら地震の起きる前に戻って、巨大地震が起こる可能性を私たちが
 予測していたことを、どんな手段を使っても発信したい。発信するべきであった、と後悔の念に駆ら
 れるのである。

  じつは、大地震のひと月ほど前から、東北地方の地表が異様な変動を見せていることに私は気づい
 ていた。とくに五週間前には、牡鹿半島付近で通常から乖離した前兆現象が観測されていたのである。
 それだけではない。3月11日の半年も前から太平洋側の地盤が次々と隆起・沈降するという前兆現
 象が出ており、数カ月以内に大きな地震が発生するのではないかという予測はできたのだ。 
  しかし、それは公表されなかった。いや、できなかった。
 私がアドバイザーをしていた会社の親会社の意向もあった。特定のある地域で近々に巨大な地震が発
 生するなどと公表しようものなら、大変なパニックが起きてしまう。また、そんなことを公表して、
 その予測が外れたら、会社の信用が失墜するばかりでなく、とんだ恥さらしになる。下手に公表すれ
 ば責任を間われて裁判沙汰にもなりかねないと、固く公表を禁じられたのだ。

  それに加えて当時、お役所からも、国家的な権威のないもの、つまりは我々のような民間人や一学
 者が、軽々に社会を混乱させるような地震の予知や予測に関する情報を流してはいけないという注意
 も受けていた。事なかれ主義のきわめてお役所的な判断だと思いつつ、私も公表した場合のリスクの
 大きさに得し、予測を公表しないことに同意したのだっだ。
  だが、その私の選択は大きな間違いであった。あの巨大地震の起きた直後、私はそれを痛感させら
 れたのだ。
  パニックが起きようと、人々に地震予測の情報が伝わっていれば、あれほどの犠牲を出さずに済ん
 だのではないか。保身のために公表しなかったことこそ、学者としての恥であろう。自分は何のため
 にいままで地震予測の研究を続けてきたのかと、私は悩み、自問自答を重ねた。
  そして、こんなことは二度とあってはならないと思った。名誉を失っても、恥をかいても、やはり
 異常は異常だと公表すべきだったのだ。たとえ予測が外れて、私が恥をかいたとしても、それで人が
 死ぬことはない。己の研究の未熟さを反省すればいいだけのことだ。そんなリスクは取るに足らぬこ
 となのだ。

                                       この項つづく



 

 

断熱圧縮空気蓄電工学

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   過去を知るものだけに、未来がある。  /  ヴィルヘルム・フォン・フンボルト                

 

  

【再生エネルギー百パーセント時代: 断熱圧縮空気蓄電システムの開発】

● 長寿命で信頼性・環境性に優れる「断熱圧縮空気蓄電システム」

神戸製鋼所らが共同で、「断熱圧縮空気蓄電システム」は、電力を圧縮空気と熱の形で貯蔵し、必要に応
じて貯蔵された圧縮空気と熱を使って発電するシステムの開発に着手する(同社プレスリリース 2015.06.
18)。汎用機器で構成されているため信頼性が高い、長寿命、希少物質を使用せず廃棄が容易、出力とエ
ネルギー貯蔵量の組合せが自由、といった特長をもつ。今回の開発は、再生可能エネルギー(特に風力発
電)の出力変動の抑制や電力需要のピークシフト等の平滑化・平準化を目的としている。これは、国立研
究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「電力系統出力変動対応技術研究開発事業」
の一環として実施するもので、開発対象技術の一つとして「断熱圧縮空気蓄電システム」が採用された。
2016年度にMWクラスの実証機の試運転を行い、2017年度以降の実証運転の継続と商品化を目指す。




蓄電システムは、家庭・業務・自動車用向けにリチウムイオン二次電池や空気ー金属二次電池などのコン
パクトで高密度の蓄電池の実用開発が熾烈に行われている中、(1)超伝導フライホイール、(2)超伝
導エネルギー貯蔵コイル、(3)氷蓄熱システム、(4)ヒートポンプ(熱電変換素子)、そして、(5)
断熱圧縮空気蓄電などがあるが、現段階では(3)のみ実用化済みである。また、本件の「断熱圧縮空気
蓄電システム」(Compressed Air Storage system)は、欧米の技術開発が先行する情勢下にある今回の公表
である。

※ http://www.mlit.go.jp/kokudokeikaku/iten/service/kankyo/pdf/tikuene.pdf



すでに、lightsail社では下図の、風力発電の支柱内に、この断熱圧縮空気蓄電システム」(Compressed Air
Storage system:CAS)を組み込んだ風力発電システムの新規提案がなされている(詳細は図の上をダブ
ルクリック)。とは言え、 神戸製鋼は、1915年に国産初の高圧空気圧縮機を製作して以来、100年の歴史
を有する圧縮機総合メーカー、神戸製鋼の圧縮機は国内外を問わずあらゆる産業に利用されている。今回
の実証実験では、オイルフリータイプのスクリュー圧縮機、スクリュー発電機、熱貯蔵タンク、空気貯蔵
タンク等からなる機器製造を担当するというが、このシステムのハードウエア上の"肝"にあたる。なお、
発電装置部には、タービンあるいはエアーエンジンの2+α方式が考えられこれの機能技術も重要であろ
う。念のため、CASシステム技術とエアーエンジン技術の特許も紹介しておこう。


US 139024458 B2  ”Energy storage system utilizing compressed gas” 

 

US 9054559 "Method and system for distributing energy"


 
US 9045982 "Self-pressure-regulating compressed air engine comprising an integrated 
active chamber"


3D animation of screw compressor working principle


 

 

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅱ: 地震・噴火予知】


デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いまの解析デ
ータは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、リアルタイムに3
次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのためにはスーパーコンピュー
タシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析が出来ていないが、海底電子基準点
にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動データを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は
高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用できる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害
処置システムの開発段階に入ることができ、映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そ
うすれば、米国でのイエローストーンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、
世界的激震火山災害を回避できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震
予知工学への投資は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地
震は必ず予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

 目次

 序 章 なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに

 序章 なぜあのとき「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨

                                                           同じ過ちは繰り返さない

  巨大地震の前兆をとらえていたのに、それを公表しなかった――。3・11のその大きな後悔から、
 私は決意した。どんな壁があろうと、これからは人々のために少しでも前向きな地震予測をしていこ
 うと,
  私は地震学の専門家ではない。私はもともと測量工学の学者で、地震学に関しては門外漢であった。
 そんな私がなぜ地震予測などという畑違いの学問に携わることになったのかについては、次の章で詳
 しく語ることにしよう,

  最初にお断りしておきたいのは、私が携わっている地震予測の方法論は、従来、地震学者がやって
 きたものとはまったく異なるということだ。
  私が地震予測のベースにしているのは、GPSデータである。GPSに関しては、いまやスマホや
 カーナビでお馴染みだろう。人工衛星を利用して位置情報を測定するシステムのことだ。このGPS
 データを測定するために、国土地理院は全国約1300ヵ所に「電子基準点」を設置している。GP
 Sはアメリカの衛星潮位システムをいい、ロシアのGLONASSなども含めていまは一般名称とし
 てGNSS(グローバル・ナビゲーション・サテライト・システム)が使われている。しかしここで
 は、一般の人に馴染みが深いGPSという名称を使うことにする。

  電子基準点がどういうものかは詳しく後述するが、我々が考え出した方法は、この電子基準点から
 得られる位置情報から、「地殻の微小な変動」を読み解き、分析して、地震発生の危険度を予測する
 ものだ。
  私のこの研究に関しては、これまで長いあいだ、「本来の地震学から外れている」「占いのような
 ものだIなどと言われ、無視され続けてきた。
  しかし、そんな逆風の中にあっても、私がこの研究を続け、2013(平成25)年2月に民間で
 の予測サービスに踏み出したのは、学者としての信念もあるが、ひとえに3・11のときのような、
 同じ過ちは繰り返すまいという思いからである。GPSデータを使った地震予測の研究が具体的な活
 動として実を結んだのが、株式会社地震科学探査機構(JESEA)で行っている登録会員向けのメ
 ールマガジン「週刊MEGA地震予測」の提供である。私は現在、JESEAの顧問として活動して
 いる。
 
  皆さんは普段の生活でさほど意識していないかもしれないが、地球の表面は常に動き続けている。
 地球というのは驚くほど軟らかく、これまでも、隆起・沈降や地殻変動を繰り返してきており、内部
 の構造を単純に説明するのはまことに難しいものである。地震学者でさえ手を焼き、ときに白旗を掲
 げた地震予測の分野に、私は新しい工学的なアブローチから挑戦し、いままでにない成果を手にする
 ことができた。
                                       この項つづく

 



● 今夜の1つの先端技術: フェーズドアレイ気象レーダによる3次元観測


近年頻発している局地的大雨(ゲリラ豪雨)や竜巻による突発的・局所的気象災害が社会問題となって
いる。大型のCバンド気象レーダ観測網に加え、都市域の雨をより細かく観測できる小型のXバンドM
Pレーダが整備されてきているが、従来のパラボラアンテナによるレーダは、地上付近の降雨観測に1分
程度、3次元降水観測には5分以上の時間を要すため、10秒毎の3次元観測によるゲリラ豪雨が10分
前に予測可能となる次世代ドップラー技術のフェーズドアレイ気象レーダーを使った3次元降雨観測を期
待されていたが、理化学研究所のスーパーコンピュータ「京」を利用した解析実証試験も大詰めを迎え、
いよいよ実用化の段階に入ってきた。
                                            

  ● 今夜のアラカルト


世界一の超高齢社会と無形文化遺産の和食と植物性高タンパクのが相まって、世界で ”Tofu ”の料理が
ブーム。そのなかでも、パイ生地・タルト(皿状の焼菓子)生地で作った器の中に、卵、生クリーム、ひ
き肉やアスパラガスなど野菜を加えて熟成したグリュイエールチーズなどをたっぷりのせオーブンで焼き
上げた――ロレーヌ風キッシュでは、クリームとベーコンにナッツ類を加える場合もある――ドイツ語の
クーヘンを語源とすキッシュが人気。

そこで、簡単な豆腐キッシュのレシピ(上写真)――準備に15分、調理に1時間半、菜食主義でグルテ
フリーなキッシュを紹介。(1)材料:ジャガイモ、植物性バターとオリーブオイル、塩と胡椒、軽くた
たき完走させた絹ごし豆腐、ナチュラル酵母シーグニング、フムス(ひよこ豆のクリーム)、みじん切り
ニンニク、スライス乾燥ネギ、チェリートマト、刻みブロッコリー。(2)作り方:230℃に予熱した
オーブンに、溶融したオリーブオイル植物性バター、塩・胡椒を注ぎ、振り掛けけた薄切りジャガイモを
盛った230ミリ程のパイ皿を入れ、キツネ色になるまで加熱し、パン皮に供す。→次に、ニンニクと準
備した野菜にオリーブオイルと塩・胡椒を注ぎ振りかけ和える。→先ほどのパン皮をオーブンからとりだ
し、400℃程で焼き色がつくまで20~30分加熱する。→充填する豆腐にナチュラル酵母シーグニン
グ、フムス(ひよこ豆クリーム)、塩・胡椒を加えフードプロセッサーに入れペーストにする。→オーブ
ン加熱した野菜を取り出し、豆腐ペーストとを和え、ジャガイモのパン皮に敷き詰める。→約190℃で
30~40分加熱すれば完成。

 

  ● 今夜の一枚

沖縄慰霊の日: 戦後70年不戦の誓い

沖縄が返還されて47年の月日が経つ。復帰運動のさなか沖縄の米軍基地で行われた集会で、上原康助全
軍労委員長の「戦争で生活することを拒否する」との発言で、不覚にも落涙したことを思いだした。冷戦
が終わっても何も変わっていない現況に、悲しみを押さえ切れず、申し訳なさで一杯である。

                                            合掌  

 

 


"失われた30年"模様

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   だめだこりゃ。  /   いかりや長介  

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅲ: 地震・噴火予知】 

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いまの
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのためには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動データを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用できる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストーンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探る。


 目次 

 序 章 なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに 

 序章 なぜあのとき「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨 

                                                     いままでにない地震予測へのアプローチ

  もちろん、その方法はまだ改善の途上にある。しかし、予測サービスのメルマガ配信を開始
 して以来、すでにいくつもの地震の予兆を察知し、直前の予測に成功している。
  2014(平成26)年1月から起きた震度5以上の地震はほぼ予測できた。それが週刊誌
 やテレピなどで取り上げられ、私はいくつかのメディアに登場することになった。
  2014年3月9日に出演した情報番組で、これから地震の危険性が高い地域はどこかと訊
 かれたので、私は2013年9月から四国の瀬戸内海沿岸を中心に激しい変動が見られるとい
 うデータを挙げ、「南海地方で3月末までに大きな地震が来ます」と言い切った,そう答えた
 5日後の3月14日に、最大震度5強の伊予灘地震が起きた。
  同様に、同年のゴールデンウィーク5月5日、東京を直撃した地震(震源は伊豆大島近海だ
 が東京・千代田区で震度5弱を記録)に関しても、メルマガで予測し、メディアに取り上げら
 れることになった,

  メディアでの取り上げられ方は、「村井教授の予測が当たった」「マグニチュード6以上の
 地震はすべて的中!」といった、人々の耳目を集めるセンセーショナルな扱いで、私としては
 いたく気恥ずかしい思いをした。予測が当たったか外れたかについてはそれほどこだわるつも
 りはない。私は、地表にある電子基準点の数値の科学的な分析を行い、そのデータに基づき地
 震の可能性を指摘したにすぎないからだ。ただ、いかにタイトルがセンセーショナルでも、多
 くの人の目に触れなければ、私の研究内容も伝わらない。そう割り切って、メディアに登場す
 る機会があれば自説を唱えてきた。

  有難いことに、こうして話題になったおかげで本書を出す機会にも恵まれた。電子基準点を
 使った地震予測は、新しく有効なアプローチとして確立されつつある,本書では、ここに至る
 までの経緯や、私たちが観測分析している地震予測のメカニズムについて、できるだけ分かり
 やすく お伝えできればと思う。


                       御嶽山噴火の教訓を踏まえて

  本書の原稿が進行中の2014(平成26)年9月27日午前11時52分ごろに、岐阜県
 と長野県の県境にある御嶽山が噴火し、火山の噴火による災害としては戦後最大の犠牲者が出
 てしまった。登山日和の休日が一瞬にして悪夢に変わったのである。犠牲者の方々には心から
 哀悼の意を表した。
  噴火当日も「平常レベルー」を出し、火山噴火を警告できなかった気象庁には、「なぜ予知
 できなかったのか」という人々からの批判が集中した。「予知は難しかった」と気象庁の責任
 者の答弁が繰り返されたが、蔭かにピンポイントでの噴火予知は難しいだろう。地震も火山噴
 火も、それを予知するのは一筋縄ではいかない。「無理だった」と気象庁が白旗を掲げたのも
 無理からぬことだ。

  しかし、この当時、JESEAでは一貫して飛騨地方・甲信越地方に対して「要注意」「要警
 戒」を呼びかけていた。
  しかも御嶽山噴火の直前に配信したメルマガのコラム「地震一ロメモ」では、御嶽山噴火の
 歴史の特集をしていながら我々はむしろ浅間山のほうに注意を向け、残念ながら御嶽山噴火の
 予測には至らなかった。 
  詳しくは第二章で触れるが、後追いで検証してみれば、御嶽山の火山噴火の前兆と考えられ
 る異常変動が、2014年の2月と6月に観測されていたのだ。加えて、不気味に続いていた
 飛騨地方の群発地震も、異変の前兆ととらえていた。

  地表の異常変動をどう読み解き、正確な予測を出すか、その意味では、私たちの研究・活動
 はまだ改善の途上にある。
  それを踏まえたうえで、謙虚に、そして勇気を持って情報発信を続けていきたいと思う。
  私の胸にいつもあるのは、地震大国で暮らす日本の人々に、情報と賢く付き合って、いざと
 いうときパニックにならない心の準備をしてほしい、という願いである。
  あの3・11のような悲劇を2度と繰り返さないために。

                                     この項つづく


フルSiC適用VVVFインバーター装置


● SiC製パワー半導体で小田急車両40%省エネ 

三菱電機は2015年6月、フルSiCパワーモジュールを使ったVVVF(可変電圧可変周波数制御)方式
インバータを営業運転中の鉄道車両に搭載して実証実験を行った結果、鉄道車両の主回路システム
全体で従来比約40%の省エネ効果を確認したと発表。

実証実験は、営業運転中の小田急電鉄1000形リニューアル車を使用。高効率全閉形誘導電動機、低
損失のフィルタリアクトルなどで構成する主回路システムのインバータ装置に、フル SiC パワーモ
ジュールを使ったVVVFインバータ(2レベル/PWM方式)を搭載。約4カ月にわたり、その消費電力
量および電力回生率を検証。シリコン(Si)によるゲートターンオフサイリスタ(GTO)ベースの
インバータを積む従来車両との比較を行った。

その結果、フルSiCを適用したリニューアル車は、Si-GTO適用従来車両と比べて、(1)加速時の
力行電力量が約17%減少、(2)電車の走行に使用した電力量に対する、減速時の電力回生ブレー
キで架線に戻した回生電力量の比率である電力回生率が従来システムの34.1%から52.1%に向上と
いったことを確認。主回路システム全体として「約40%の省エネ効果を実証した。

 

 



● 両眼シースルー・ハンズフリー時代へ: 作業の効率化で仕事が変わる。

セイコーエプソンは23日、点検・保守などの作業を効率化する業務用メガネ型ウエアラブル端末
「MOVERIO Pro(モベリオ プロ)BT―2000)を、9月に発売すると発表した。
従来の一般消費者向けモデルに比べカメラの解像度や位置測定精度、画面の輝度を向上するなど、
作業現場で使いやすいよう特化させた。

ヘッドセットを装着すると、目の前に作業の手順書などが表示。カメラを2眼にして奥行きを測定、
その他カメラの解像度を500万画素に向上。また輝度を従来の1・5倍に高めた。自社開発のセ
ンシングシステムを搭載し、高精度な位置・姿勢測定が可能。音声と画像を使った通信が可能で、
遠隔地からの作業指示にも利用できる。点検・保守作業や、物流倉庫での導線効率化といった用途
を想定すしているが、さらに特化させれば医療・福祉現場用や警備保障用にも転化できそうだ。

  
Epson Moverio BT-2000 keeps the smart eyewear dream alive

 

 

● 医療機関の無線電話活用工学が高度医療化を促進

医療 高度情報技術化のメリット

医療従事者の不足や偏在による医療従事者の負担増、医療費・介護費の増大など様々な課題を抱え
る医療分野は、高度情報化で期待される分野の1つ。積極的に高度情報化に取り組んでいる医療機
関では、従事者間の情報共有の活性化、他の関係機関との連携の進展、事務処理の生産性向上、医
療従事者の労働時間の短縮等の効果があるとされている。また、高度情報化医療が患者にもたらす
メリットも大きく、医療サービスの向上はもちろん、利用機会が増える利便性や患者の生活の質向
上にも大きな効果が期待されている。

 

上記は端末の送信電力を最大出力にした場合の結果、例えば最大干渉発生距離80センチメートルに
対し、端末の通信機器の出力を10ミリワットに低減すると、最大干渉発生距離が8センチメートル
に減少することが確認され、影響に対しては送信電力(平均値)が支配的であることが金沢大学付属
病院でNTTドコモが成果を報告している。

 

● 残留農薬を15分で検出する簡易キット試作

 

豊橋技術科学大学らのグループは、約15分で結果がわかり、量産時の価格を千円以下で農作物の
残留農薬検出キットを施策。数日を要し数万円の費用がかかる従来法と異なり、手軽に検査できる。
実証を経て、研究メンバーの医学生物学研究所が2016年度の製品化を目指す。抗原抗体反応を
利用する「イムノクロマトグラフィー法」を採用。対象の農作物を含む液体試料をキットの端に垂
らすと、毛細管現象で内部のセルロース膜内を進み、染みこませた成分と反応して変色する。キッ
トには確認用の窓があり、農薬なしなら手前、農薬ありなら奥に赤い線ができ、それらの濃淡で農
薬の有無と程度を確認できる。キットは調べたい残留農薬別に数十種類あり使い分ける。さて、ど
の程度の売り上げになるのか今のところ、検討がつかないがどうだろう。
尚、下図に関連新規考案を掲載する(図の上をダブルクリック)。

※ イムノクロマトグラフィー法(immunochromatography、immunochromatography method)

抗原抗体反応を利用した、迅速検査の手法の一つ。主に、細菌やウイルスなどの病原体の検出に用
いられる。イムノクロマトグラフィー法は、抗体を含む標識粒子が敷き詰められたセルロース膜上
に、血液などの検体を滴下することで行われる。仮に検体中に抗原が含まれていれば、その抗原と
膜上の抗体が抗原抗体反応を起こして複合体を形成する。形成された複合体は、毛細管現象によっ
て膜上を移動するが、その先には別種の抗体が線状に配置されており、複合体と結合して発色する
仕組みになっている。イムノクロマトグラフィー法は目視で結果を判定することができるため、簡
便な方法として、市販の妊娠検査薬などでも用いられている。しかし、感度や信頼性はさほど高く
なく、検体に抗原が含まれていても発色しない結果(偽陰性)があり、逆に抗原が含まれていない
のに発色する結果(偽陽性)もある。感度を高めるためには、蛍光色素と蛍光読み取り装置を使用
した蛍光イムノクロマトグラフィー法を用いる手段がある。


特開2011-026315「アゾキシストロビン誘導体、アゾキシストロビンに対する抗体またはそのフラ
グメント、ならびにそれらの抗体またはフラグメントを用いた測定キットおよび測定方法」 

 

 

   ● 今夜のアラカルト

昨夜にひきつづき、世界一の超高齢社会と無形文化遺産の和食と植物性高タンパクのが相まって、
世界で ”Tofu ”の料理がブーム。そのなかでも、パイ生地・タルト(皿状の焼菓子)生地で作っ
た器の中に、卵、生クリーム、ひき肉やアスパラガスなど野菜を加えて熟成したグリュイエールチ
ーズなどをたっぷりのせオーブンで焼き上げた――ロレーヌ風キッシュでは、クリームとベーコン
にナッツ類を加える場合もある――ドイツ語のクーヘンを語源とする、ほうれん草のキッシュを掲
載する。

材料:豆腐1丁、1%のミルク 1/3カップ、塩尾小さじ 1/2 塩 、胡椒小さじ 1/2、冷凍ほうれん
草 280グラム、ニンニクのみじん切り 小さじ1、さいの目玉葱 1/4カップ、チェダーチーズ  2/3
スイスチーズ 1/2カップ。作り方:オーブンを 175℃に余熱→ブレンダーで豆腐、牛乳を混ぜ、塩
とコショウを加える。→ ほうれん草、ニンニク、タマネギ、チェダーチーズ、スイスチーズ、豆
腐混合物をボウルに入れ、よく混ぜて、準備したパイ生地に注ぎ入れる(昨夜は、グルテンフリー
からジャガイモで代用)。→30分間オーブンで加熱。→5分間放冷し、ケーキナイフで裁断すれ
ば完成。

※ スイスチーズは、エメンタールチーズに似たチーズで北米で使われる一般名称。スイスチーズ
  は独特の外観を持ち、すなわちブロックに「眼」と呼ばれる穴が開いている。スイスチーズに
  はピリッとした辛味があるが強い風味はない。エメンタールチーズの生産には次の3種類のバ
  クテリアが使われる。(1)ストレプトコッカス・サーモフィルス(2)乳酸菌(ラクトバシ
  ラス・ヘルベティカス (3)あるいはラクトバシラス・デルブレッキイ亜種ブルガリカス)
  プロピオニバクテリウム(プロピオニバクテリウム・フリューデンレイッヒイ )チーズの
  生産段階の終盤で、プロピオニバクテリアは他のバクテリアから分泌された乳酸を消費し、酢
  酸塩とプロピオン酸と二酸化炭素を放出する。二酸化炭素は徐々に気泡を形成し、これが「眼」
  へと成長。酢酸塩とプロピオン酸は、スイスチーズに木の実のような甘い香りを与える。一般
  に、スイスチーズは眼が大きいほど香りも高くなる。なぜなら、発酵期間が長いほどバクテリ
  アもそれだけ活動しているが、これによって問題も生じる。すなわち大きな眼を持ったチーズ
   はスライスが難しく、スライサーを使うとバラバラになる。結果的に、Grade A stamp を取得
    のため、工場の品質管理者はスイスチーズの眼の大きさを抑えている。

 

● こりゃだめだ: "失われた30年"模様

アベノミクスを諦めたのだろうか。安全保障法制と並び今国会の法案で、安倍政権の性格がむき出
しになっているのが、労働法制の規制緩和だ。派遣労働を固定化する派遣労働法改正、残業代ゼロ、
解雇の金銭解決。実施されれば痛い目に合うのは立場の弱い労働者、それは「家計」でもある。首
相が国民に約束したのは景気回復ではなかったか。「個人消費の拡大」が不可欠と分かったから春
闘で賃上げを求めた。それなのに家計を委縮させ、将来不安をあおる労働政策を導入する。自己矛
盾気味な政策は、首相に取り入る人脈に病根がありそうだ(山田厚史の「世界瓦版」-派遣法改正
案はアベノミクスが目指す消費拡大と矛盾する「改悪」だ 2015.06.04 ダイヤモンド・オンライン)。

そもそも、通常の経済成長を"高い”"楽観的”と言い、低めの経済成長で予算を組むのは、財務省
による予算折衝上のテクニックでしかない。低い経済成長であるので歳入が少なくなるとして、予
算要求を抑えるという手法だ。ただし、これは、マクロ経済に関する情報を財務省が独占していた
時代にのみ通用していた。今やマクロ経済情報は政府以外の一般人でも簡単にネットで収集できる
。だから、低成長として予算を抑えるやり方はもう通用しない。そんな手垢にまみれた手法を財政
審が使うのは情けない。(中略) 1981年~2013年のデータがある先進国28ヵ国、「CPI総合ー
デフレータ上昇率」を見ると、平均で0.09%ポイントである。日本で、CPIのほうがデフレータ
より大きくなるのは、デフレの時のデータだからだ。デフレ時にはCPIは下がりにくいが、企業
物価は下がりやすいからである。日本でもデフレ期以前はほとんど同じ動きになっていた。ちなみ
に、財務省がしばしば引用する海外の政府の試算では、デフレータとインフレ目標の数字は同じで
ある(「高橋洋一の俗論を撃つ!」政府の財政健全化計画は「楽観的」というより「非論理的」す
ぎる 2015.06.04 同上)。

※ CPI:消費者物価指数

名目成長率とインフレ率の間には、やはり相関関係がある。2%近辺のインフレ率であれば、多少
高いインフレ率になるほど、名目成長率は高くなる傾向がある。日本は、傾向線の経済パフォーマ
ンスが出せず、インフレ率若干のマイナス、名目成長率も若干のマイナスである。この傾向線に沿
ったパフォーマンスが出せるとして、インフレ率2%を金融政策で達成できれば、それに対応する
名目成長率は3.6%になる。この2000年代はリーマンショックがあり、名目成長率のデータは低め
になっている。50年、100年に1回ともいわれるリーマンショックがなければ、4%程度の名目成
長率は達成できるだろう(「同上」まともな金融政策を行えば名目成長率4%は可能だ 2015.06.18
同上)。

このままでは、アベノミクスの「デフレ脱却」はおぼつかず、ロスト・トリプルディケイド必至。
安部内閣は脇を締めて頑張らないと、「こりゃだめだ。」と国民にそっぽを向かれるだろう。

護憲団体「憲法九条やまとの会」が開催したイベントについて、大和市がイベントへの後援を事後
に取り消す方向で検討していることが23日、分かった。イベントでは、アイドルグループが自民
党を名指しで批判する歌詞を繰り返し歌ったため、「公共の自治体としてどうか」と自民市議らが
抗議していた。市は「特定の政党を批判する内容は問題があるのではないか」と話すが、九条の会
は「自由な意見を出し合うのが重要。後援すべき」と反発。市によると、事後の後援取り消しは異
例という。(神奈川新聞 2015.06.24)

批判を許さないという、偏狭な党風をもつ、自民党なる政党はおよそ、成熟した自由で民主的な社
会原則を理解できないでいる。まるで、全体主義や超国家主義で反進歩主義の政治委員会のような
側面を垣間見せる。ここでも、いかりや長介のセリフの「だめだこりゃ。」が似合いそうなニュー
スだ。 

 

 

GPS応用工学

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 沖縄の問題に知らんぷりをすると、原発の置き所や核のごみの中間貯
             蔵施設の問題も国から情報提供がないまま進められることがあり得る。

                                                                翁長 雄志

  

 

(『甘い誘惑に酔ってみようか。』2015.06.07)↑

● 琵琶湖大橋、耐震補強へ 知事が有料継続を正式表明  

県議会6月定例会議は24日、始まり、有料継続か無料化かの議論が続いてきた琵琶湖大橋につい
て三日月大造知事は「有料継続」を正式表明した。周辺道路の渋滞解消や橋の耐震補強など財源確
保を理由に挙げ、料金は値下げを含めてあらためて検討するとした。年内に関連議案を提出する方
針。今後の料金体系について三日月知事は、県民アンケートで回答の七割が無料化を望む結果となった
ことを踏まえ「アンケート結果を十分に踏まえて検討していく」と述べた。 

県道路課によると、(1)橋を挟んで東西に延びる国道477号は橋の両端付近で渋滞が慢性化。
大津市側の国道166号までの1・75キロ、守山市側は水保町中野交差点までの0・6キロにつ
いて通行料の一部を充て、現在の片側一車線から二車線に拡張することで解消する計画だという。
(2)耐震工事は橋の基礎部分で必要と指摘した。三日月知事は散会後「(追加工事で)利用者の
利便性に資する部分もある。総合的に勘案して判断をした」と理解を求めた。料金変更や追加工事
には県議会の議決と国の認可が必要で、「年内には議案を提出したい」との考えを示した。(京都
新聞滋賀版 2015.06.25)

なるほど、(1)琵琶湖大橋とは直接関係ない「周辺道路の拡張工事」に「通行税」で補填すると
言う手があったのか? が、帳簿上では可能だが、法律上可能なのだろうか?(2)耐震構造化は、
琵琶湖大橋だけではないのだが、他の橋との兼ね合いに整合性はとれているのだろうか?(3)無
料化による経済効果の計量評価なしで、先に有料化継続ありき論(=無料化排除論)は問題である
と、このブログでも掲載したが、このような「経済性評価作業」と「その結果の公開」は不可避だ
と考える。

 


 
● 沖縄基地問題、構図は原発も同じ

「沖縄の問題を見過ごしたら(同様の構図が)どの地方にも起こりうる。地方自治体で連帯しない
と」―。沖縄県の翁長雄志知事は、日本記者クラブ取材団主催の記者会見で、政府が米軍普天間飛
行場(宜野湾市)の移設先とする名護市辺野古に新基地は造らせない考えを重ねて示し、こう訴え
た。福井県などが関わる原発問題にも触れ、政府が地方自治を軽視していると指摘。「地方から日
本を変える」と語ったという。(福井新聞 2015.06.24)

それによると、(1)『訪米しても駄目』『国の権力が進めることを止められるわけがない』と言
う人がいるが、人ごとのような姿勢は日本の地方自治の危機だ。沖縄だけが特別に不利な状況にあ
るのではない。(仲井真弘多前知事の)辺野古埋め立て承認に法律的な瑕疵(かし)があるかどう
か、沖縄県の第三者委員会が環境、手続き面から議論しており、結論は最大限尊重したい。承認の
『取り消し』なら前知事の行政行為そのものがゼロベースになる。(法的に瑕疵がないとしても)
その後の事由で県の公益が国の公益を上回る場合は、承認の『撤回』となり、県内の主立った専門
家は法律的に可能と言っている。取り消し、撤回を考えながらやっていきたい。

(2)沖縄本島の20%近くを占める米軍基地で県民が提供したものは一つもない。銃剣とブルド
ーザーで強制的に土地を奪っておいて、普天間が老朽化して世界一危険だからと負担や代替策を沖
縄に求めるのは日本政治の堕落だ。今の質問は、沖縄が(固定化回避を)考えろということ。知事
職を1カ月休み、全国を回って使えそうな飛行場を探して、米国に行って交渉する外交権はない。
県外に持っていけという以外に沖縄県が言えることはない。

(3)沖縄は昨年三つの選挙(知事選、名護市長選、衆院選4小選挙区)で(新基地反対の候補が)
勝ったが、民意が無視されている。沖縄の問題に知らんぷりをすると、原発の置き所や核のごみの
中間貯蔵施設の問題も国から情報提供がないまま進められることがあり得る。地方自治から日本を
変える気持ちでないと、今の中央集権的なやり方は歯止めがきかない。地方自治からチェックしな
ければ、厳しい結果になる。

(4)20年前に不発弾処理予算増額を国に要請した際、若手官僚に『いつまで戦争の話をするん
だ』と言われた。今は福島を応援しようと言っているが、10、20年たつと、東京の電力を苦労
して補ったのに(放射能汚染で)まだ人が戻れないと言っても『いつまで原発の話をするんだ』と
言われるのは目に見えている。地方自治体の視点から物事を見ないと、やられ損になる。歴史的な
背景が異なっても、理屈が通るのならノーと言って地方同士が連帯しないといけない。

(5)自民党にサヨナラするのも悲しい決断。革新という方々と一緒に行動するのも戸惑いがあっ
た。沖縄県はイデオロギーよりアイデンティティーと考え、オール沖縄の体制で当たらなければ、
基地問題は解決できない。

と、記者の質問に答えているが、まさに正論である。

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅳ: 地震・噴火予知】 

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いまの
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのためには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動データを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用できる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストーンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探る。

  
 目次 

 序 章 なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第1章 3・11前から観測されていた前兆現象
 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに 

  第1章 3・11前から観測されていた前兆現象

                      なぜ門外漢が「地震予測」に取り組むのか

  序章で、私は3/11の震災の半年前から、異常を観測し、大きな地震が起きる前兆を察知
 していたと書いた,その不吉な前兆現象が、最悪の形で現実のものとなってしまった.、地震
 の前の異常な変動、つまりその前兆がどのように起きていたかを詳しく説明する前に、私のよ
 うな門外漢がなぜ地震F測に関わることになったのか、その経緯を述べておこう。

  私はもともと測量工学の学者で、2000(平成12)年に定年退官するまで、東京大学生
 産技術研究所の教授を務めていた。測量工学とは、土地や建造物などの位置や距離を測り、地
 図や建設工嘔などの図面の作成に役立てるものだ。
  皆さんが「測量」という言葉から抱くイメージは、おそらく街角で三脚を立て測量機械を覗
 き込んでいる測量マンの姿ではないだろうか。測量は、「測天量地」から生まれた言葉だ。

 「天を測り、地を量る」とは、北極星を観測して地図の基本となる北方向を定め、租税の基礎
 となる土地の測量をしたことを指す。しかし、いまはその語源から遠く離れ、天から地を測る
 時代になったといっていい。動いている人工衛星から、徴妙に動いている地球の表面を正確に
 測る先端技術になっているのである。

  この40年間に測ほ技術は、どの産業界と比べても、突出した技術革新を遂げた,1972
 (昭和47)年にアメリカが打ち上げたランドサット1号は、最初の地球観測衛星となった。
 ここから、リモートセンシング(遠くから手に触れないで電磁波を感知する技術)を研究する
 新しい学問領域が次々と登場するのである。
  また、1970年代のはじめに確立した地理情報システム(GIS)によって、数値化され
 た地図情報や位置情報を駆使し、低コストでさまざまな地理情報の利用が実現できるようにな
 った。90年代に発達したデジタルカメラを利用したデジタル写真測量は、安価で効率的な三
 次元測量を可能にした。私が研究を始めたころの測量工学は地上や航空機から撮影した写真を
 使う手法が主流だったが、赤外線やレーダーさらに人工衛星を使ったリモートセンシングの技
 術により、現在ではより遠く、規模の大きな測量を高精度で行うことが可能になっている。

  こうした先端技術は、もはや従来の「測量」という概念では包括できない。国際的には「空
 間情報工学」と呼ばれることが多くなっている。私は、幸運なことにこれらの先端技術の登場
 にすべて立ち会うことができた。それゆえに、後に地震予測を含むさまざまな測量の応用可能
 性を広げることがきたと思っている。
  というと、私自身が苔いころから測量工学に関心を持って、率先して関わってきたように聞
 こえてしまうが、じつはそうではない。

  私が測量工学の研究者になったのは、まったくの偶然で東大工学部土木工学科に籍を置いて
 いた学生時代は、学者になるなど考えたこともなかった。大学を出て、一度は民間企業に勤め
 たものの、アフリカのダム建設計画の現場に送り込まれるなど、過酷な勤務体験の末に失業し
 てしまったのである。まだ20代のころのことだ。これからどうやって食っていこうと不安な
 気持ちを抱えながら職安に通う毎日であった。そんな窮地を学生時代の恩師に救われ、大学に
 戻って研究生になったことが、測量工学研究の道に進む転機となったのだ。1992(平成4)
 年からは、国際写真測量・リモートセンシング学会の会長も務め、定年まで大学で研究を続け
 ることになるとは、まさに思いもよらない人生の展開であった。

  そして、さらに思いもよらない人生の展開が私を待っていた。定年後の一見無謀とも思われ
 る地震予測への挑戦である。ただし、地震予測に関しては門外漢といっても、測量工学を研究
 していたベースがなければ、電子基準点を地震予測に使う発想も生まれなかっただろうし、そ
 の後の地震予測への挑戦も信念を持って続けられなかったと思う。





                   GPSを使った地震予測研究への誘い

  東大の研究職を退官してから2年ほどがたったころ、航空測量学の専門家・荒木春視博士か
 ら、人工衛星で測定した地表の動きのデータを観測して、一緒に地震予測をしてみないかとい
 う誘いを受けた,荒木さんは、私よりハ歳先輩で、ある測量会社の取締役をしていた人で、航
 空機からラドンの検知をすることで、温泉の位置探索や、地震予測などに役立てられないかと
 さまざまな実験を重ねていたが、すでにその会社も退職していた。

  その荒木さんが、私にGPSデータを使って地震予測をしてみないかと共同研究を持ちかけ
 てきたのである。
  前述したように、GPSとは、人工衛星を利用して位置情報を測定するシステムである。い
 まやGPSといえば、私たちの生活にとても身近なものだ。よく知られているのは、スマホや
 カーナピに取りつけられているGPS受信機で、最近のドラマや映画でもGPS受信機を使っ
 ての追跡アクション場面は頻繁に見かける,スマホやカーナピのGPS受信機は、4個以上の
 GPS衛星からの電波をとらえて、その人間の現在位置や走行中の自動車の位置を確定させる
 もので、防犯や犯罪捜査にも役立っており、この10年で飛躍的に技術が進歩した。

  荒木さんの提案は、このGPSを使って、地球のわずかな動きを測り、地盤や地殻の変動を
 調べて地震や噴火の予測をしてみないかというものだった。荒木さんは、2001(平成13
 )年に日本測量調査技術協会の機関誌「APA」(現在は「先端測量技術」に改題)に、世界
 初の「電子基準点による地震予測の可能性一に関する論文を発表していた。
  地震予測に使用するのは、国土地理院がGPSデータを測定するために全国約1300ヵ所
 に設置している電子基準点のデータである。国上地理院が設置した電子基準点は、高さ五メー
 トルのタワーで、地図を正確につくるために緯度、経度、標高の座標を測る、重要な国家基準
 点でもある。

  

  地球の表面は絶えず、上下左右に微妙な動きを続けている。電子基準点は、この動きを測定
 し、土地の測量、地図の作成、地震・火山噴火予知の基礎資料とするために、国土地理院が、
 1994(平成6)年から整備してきたもので、この日本の狭い国土に約1300点もある。
 平均すると20キロメートルに1点。太平洋鯛に多く、東海・南関東地方には10キロメート
 ルに1点という密度で、この数と密度はじつに財界に誇れるものといっていい。都心に近いと
 ころでは、世田谷区の日本大学文理学部の運動場にも設置されているし、富士山の山頂近くや、
 沖ノ鳥島や硫黄島といった離島にも立っている。

  この電子基準点の微細な動きを人工衛星で測定したデータが、2002(平成14)年から
 一般にも公開されていた。しかし、この宝の山のようなデータを分析し、地震予測に活用しよ
 うという研究者はまだ出てきてはいなかった。荒木さんはそれまでも私だけではなく、GPS
 を使った地震予測の研究に関わらないかといろいろな人に声をかけていたようだが、眩の説に
 賛同して一緒にやろうという人はいなかった。
  その当時の電子基準点、GPSの精度からはとても地震の予測などできないだろうと、誰も
 が頭から否定した。荒木さんの誘いに袁ったのは結梁的に私一人だった。


                       2003年の十勝沖地震で得た確信

  私自身も荒木さんの持論に、最初から全面的に興味を持ってのめり込んだわけではない。G
 PSや測量工学の知識を使って地震を予測するなどということができるのだろうかと、半信半
 疑であった,
  しかし、電子坊準点のデータ公開が始まった翌年の2003(平成15)年に十勝沖地震が
 起きたのをきっかけに、私は荒木さんの方法論の正しさを確信した。海底が震源の十勝沖地震
 は、マグニチュード8・Oを記録し、死者は1名だったが、石油タンクが壊れるなど大きな事
 故を誘発して問題になった。この地震の直後に、私たちは青森県から北海道にまたがる約10
 点の電子基準点のポイントを選び、地震が起きた時点からさかのぼって地表の動きを調べてみ
 た。すると前兆現象と見られる明らかに異常な動きがあったことが分かったのである。

  我々が異常を分析した方法は、「三角形面積変動率」というもので、3つの電子基準点を結
 んだ三角形の面晴の変効率を計算して、地表の歪みを測るものだ。
  地震の予測をするときに、どのような方法を取るか、これは当時荒木さんともいろいろ議論
 したことだ。地震の予測をするときは、動いているものを測るわけなので、動かないものから
 測らなくてはいけない。自分が動いているときに動いているものを測っても、相対的に動いて
 いないことになってしまうからだ。これは静座衛星もそうである。静止衛星は止まっているよ
 うに見えるが、じつは動いているのである。

  地球の自転と同期しているので、動かないで静止しているように目心えるだけなのだ。人工
 衛星も動いている、地球の表面も動いている。では地震の前のわずかな動きを見ようというと
 き、どこを基準にしたらいいのか。地球の中で一番動いていないところはどこか。それは地球
 の重心である。
  そこで私たちは、専門の測量工学の知識を地震予測に応用することにした。
  平面ではなく三次元的に地球の動きをつかむためには、地球で一番動かない点、すなわち地
 球の重心を原点にする「地球中心座標系」が重要な基準となる(図1「地球中心座標系」)。
 地表の歪みを測るために、この「地球中心座標系」というものを使って、X軸・Y軸・Z軸の
 動きの値から、地表がどの方角にどれだけプラス方向あるいはマイナス方向に動いているかを
 計算して割り出す「三角形面積変動率]という測量方法を選択した。

  地球の重心を原点とし、X軸はグリニッジ子午線と赤道を結ぶ方向、Y軸は東経90度と赤
 道を結ぶ方向、Z軸は自転軸方向にとる。この座標軸から、地震が予測される地域の3点の電
 子基準点を結んだ三角形の面積の変動率を解析して、どの程度地表が動いているかを計算する
 のである,

  いまでは地表の異常変動を正確にとらえるために、さらにいくつかの分析方法を加えている
 が、それは後述しよう。当時は主としてGPSデータを使った「三角形面積変動率」での解析
 で、私たちは地震の前兆をとらえようとしていた。当時のGPSの座標の精度は悪く、相対的
 な指標として三角形の面積を選択せざるを得なかった。現在は三角形面積変効率の方法は殆ど
 院っていない,

  この方法で十勝沖地震の震源地地域のデータを取ってみると、地震の10日前に、大きな前
 兆現象が見られたのである,三角形の面積で見ると、XY投影面、XZ投影面、YZ投影面の
 うち、襟裳・釧路・三沢を結んだXZ投影面、矢本・襟裳・釧路を結んだXZ投影面の三角形
 に大きな変動が見られた(図2「三角形面積変動率に見る十勝沖地震の前兆」)。その変動に
 きれいな反転現象が出ていたのだ。これはすごい。私の中の学者魂に再び熱いものが流れ込ん
 できた瞬間だった。

  十勝沖地震だけでなく、ほかに起きた大きな地震についてもいくつか調べてみたところ、同
 様に前兆の変動が確認され、私たちは「これはいける」と、自信を深めたのだった。

 

わたしもカラーテレビの部品製造に関わったから、テレビジョンの空間情報学の空間周波、畳み込
み積分、フーリエ変換だとかラドン変換、あるいはマルチメディア情報通信技術などの一般知識は
カジッていたが、さすが、基準位置変動の検出方法やその精度などを考えるには、さすがに、説明
要因やパラメータなどイメージできない。早速、本棚にあった阪井丈秦著の『GPS技術入門』を取り
出しぺらぺらめくるも眼精疲労で作業中止。さて、本書は佳境に入る。



                                                                                                        この項つづき 

 

● 信越化学 信頼性高い太陽電池モジュール用シリコーン封止材を開発 

産総研九州センター(佐賀県鳥栖市)に設置された環境試験機や測定装置を用いて、信越化学が開
発した新規シリコーン封止材を用いた太陽電池モジュールの(1)高温高湿試験と(2)温度サイ
クル試験を行ったところ、このモジュールは優れた耐久性を示したという。また、この封止材を用
いた単結晶n型シリコン太陽電池モジュールの評価試験を行ったところ、Potential-induced degradati-
on(PID)現象による出力低下を抑制する効果を確認。この封止材は、従来のシリコーンとは異なり
シート状であり、太陽電池モジュールの製造工程に使用される一般的な設備で使用できる。今後、
単結晶n型シリコン太陽電池モジュールをはじめ、厳しい環境下での太陽光発電システムの導入拡
大や長期信頼性向上への貢献が期待されるという。

まず、(1)太陽電池モジュールについて、温度85 ℃、湿度85%の条件下に曝露して耐久性、
信頼性を評価する高温高湿試験と、温度を-40 ℃から85 ℃の昇温、85 ℃から-40 ℃の
降温のサイクルを1サイクルとして耐久性、信頼性を評価する温度サイクル試験を行った。高温高
湿試験3千時間までの出力推移と試験3千時間後のEL画像を下図に示す。また、温度サイクル試
験の出力推移と試験6百サイクル後のEL(エレクトロルミネセンス)画像も示す。 



 

● 今夜の一品 37年という長寿命のLED照明

37年という長寿命のLED照明の肝は”冷却”と語るダイソン社長は、弊社のデザインの減点は調
査と実験にあると話している。これは素晴らしい。

 

  ● 今夜の一枚

朝早く、ノウゼンカズラ(凌霄花)が咲き始め綺麗だというので彼女が2枚写メールしてきたのを
受け、翌朝、同じ位置から真下にあるノウゼンカズラをデジカメするもイマイチポイントがない作
品となるが結構、神秘的な画像に仕上がっているので巻頭にアップすることで返歌とする。

         
      
               離れ床 ふたり行き交い 凌霄に託し送るる 愛おしさやも



 

 

再エネ百パーセント立国 デンマーク

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  誰か知ろう、百尺下の水の心を。水のふかさを。

                                
                                        吉川 英治著 『宮本武蔵』 

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅴ: 地震・噴火予知】  

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いまの
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのためには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動データを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用できる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストーンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探る。

   
 目次  

 序 章 なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第1章 3・11前から観測されていた前兆現象
 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに 


   第1章 3・11前から観測されていた前兆現象 

                               まずは特許取得を急ごう

  この十勝沖地震の前兆現象をキャッチしたことに、私は大いなる興奮を覚えた,この方法は
 正しい,いままでの地震学ではでき得なかった新しい地震予測を、測量工学が可能にすると確
 信したのだ。
  衛星測位システムによる地震予測を始めるにあたり、荒木さんとはさまざまなことを話し白
 ったが、結論として「特許取得」を急がねばということに意見が一致した。
  GPSを開発したのはアメリカ人である。前述したように、GPSはアメリカ軍がつくった
 衛星測位の名で、最近はロシアのGLONASSや日本の準天頂衛星システムなどが加わり、
 総称としてGNSSと呼ばれている。これらの50近い人工衛星を用いた測定によって、いま

  ではその誤差は5ミリ程度まで小さくなっている。 
  当時はここまでGPSの技術は進化していなかった。しかし、GPSを開発したアメリカ人
 は、いずれGPS技術で地震予測が可能であることに気づくに違いない。そして、気づけば必
  ず特許を取ってしまうに迫いない。
  そんなことになれば、世界有数の地震国である日本が後追いになり、アメリカが開発した地
 震予測の特許を買う羽目にもなりかねない。それは本末転倒だろう。何としてでも、アメリカ
 が特許権を主張する前に、我々が発見した方法の特許を出願せねば、ということになったので
 ある,

  とはいえ、私たちは定年退職組で、二人とも弟子も部下もいない身だ。もちろん研究費もゼ
 ロという貧乏所帯。特許出願のための書類を弁理士に頼めばトータルで50万円はかかってし
 まう。とてもそんな費用はない。お金をかけず、すべて自分たちでコツコツと手づくりしてい
 かなければならなかった。
  そこで私がまったくの素人ながら、特許出願の文書を書くことにしたのだ。慣れない文書作
 成に苫労したものの、何とか完成させ、2003(平成15)年、私たちは「地震・噴火予知
 方法]という名称の特許を出願した。ところが特許庁の反応は芳しいものではなかった。

  全国の電予基準点のデータは、国上地理院が管轄している,それを使っての方法の特許なの
 で、荒木さんと国土地理院に挨拶にも行ったのだが、いろいろと反論を挙げられ、やはり反応
 は厳しいものだった。我々の特許が国土地理院の業務の妨げにならないかという不安材料もあ
 ったようである。
  それをくみ取って、私は、もし特許が認可されたときは、場合によっては国土地理院に特許
 の使用権を譲ってもいいと譲歩した,アメリカに先を越されるくらいなら、使用権がどこにあ
 ろうと日本にあることのほうが重要だと判断したからである。
  しかし、そこまで譲歩しても、全体的には迷惑顔で、とくに地震関係者の態度は冷ややかで
 あった。そして、特許庁から一度目の拒絶が来た。




                        変人扱いされた10年間

  十勝沖地震の前兆現象である異常変動をキャッチした達成感もつかの問、特許出願が空振り
 に終わり、私と荒木さんは落胆した。しかし、まだ挑戦は始まったばかりである。一度くらい
 の拒絶でへこたれるわけにはいかない。
  そこで、まずは測ほ関係者への理解を深めようと、我々は連名で、日本測賦協会の機関誌「
 測量」(2003年6月号)に「衛星測位システムを用いた地震・火山噴火予知」と題したテ
 クニカルレポートを投稿した。こちらの反応も空振りであった。それにもめげず、荒木さんは
 日本写真測量学会の学術講演会で、地震発生の検証に関する発表を次々に行い、私もそれをサ
 ポートした。

  このころには我々二人は、周囲から実りのないことを追求する、ヒマ人、変人といった目で
 見られるようになっていた。「変な老人が趣味の発表をしている。ほらまたあの二人だよ」と
 いう周囲の脱線はいっこうに気にならなかった。自分の発見や発想が正しいと思い、信念を持
 っている学者の面の皮は意外と厚いものだ。
  もちろん、特許出願もあきらめずに続けていた。1回、2回、3回と意見書を出したが、す
 べて拒絶が来た。

  その拒絶理由の一つは、我々が地震の前兆として発見したGPSを使って 計算した三角形
 面積の変動率が大きく動くという反転現象について、「地球物理学で有名な学者の本に、地震
 の前に井戸水が一度隆起して次に沈降する反転現象がすでに書かれている」と いうものだっ
 た。

  我々はその理解の浅さに閉口しながらも、根気よく説得した。「我々の方法は、井戸水のよ
 うな一次元的な現象ではなく、三次元の座標軸で行うもので、測量知識を使ったまったく新し
 い方法なのだ」と説明し、この拒絶はクリアした。

  しかし特許庁の拒絶は続いた。先方の拒絶はもはや難癖に近いものだった。二度目など「三
 角網を使った地震予測など誰でも考えられる」という横柄なものであった。このときも私は感
 情的にならず、我々の使う三角網は一般の測量で使う三角網とは違い、電子基準点がつくるす
 べての組み合わせの三角網で、なおかつ地球中心座標のXY、XZ、YZの投影面から解析す
 るもので、これまでの発想とは異なるのだと主張した。
  だが、何度拒絶を論破しクリアしても、届くのは拒絶の知らせである。さすがに心ない三度
 目の拒絶が来たときは、私はもう駄目かもしれない、認可は永遠に下りないかもしれないとい
 う敗北感に満たされた。おそらく地震の専門家が審査員なのであろう。それは大いに予想でき
 た。彼らにできないことを別分野の私たちがやろうとしているのだから、面白いわけがない。

  私は地震学者と張り合うつもりはまったくなかったが、このときばかりはその料簡の狭さに
 ため息が出た。  

 
                                      地震予測、初の特許取得

  これが最後かという思いで、私たちは2006(平成18)年1月に四度目の申請を出した。
 この際、私は荒木さんに、特許は認可されなくなるかもしれないが、意見哺正書に私の思いを
 書かせてほしいと頼んだ。たとえ拒絶されるにせよ、このままでは気持ちの整理がつかなかっ
 たからだ。荒木さんは、私の申し出を快く了承してくれた,

  私は特許庁に宛てた意見補正書に、我々の発明が従来の地震予測と違い、いかに画期的で独
 創的なものであるかを述べ、科学の進歩のために、些細な欠点を挙げて新しい手法をつぶすの
 ではなく、もっと大局的に判断してほしいと率直に訴えた。玄人の弁理士ならこんな文書は書
 かない。審査官に反旗を翻すことなどご法度で、ひたすら下手に出る表現を使うはずである。
 私の場合は、いってみれば審査官に「難癖をつけて新しい方法をつぶすな」と放言したような
 ものだ。しかし、言いたいことは言った。これが最後っ屁になったとしても、それは仕方ない,

  それから1ヵ月後に特許庁から文書が届いた。封筒を開けるのが嫌だった。拒絶に違いない
 と思ったからだ。だが、開けてみて驚愕した。「本発明に拒絶する内容は見当たらない」という特許
 を認定する文章が書かれていたのである。 それを聞いた荒木さんから「おめでとう」の電話
 が来た。ほとんど絶望的だと思っていただけに、喜びはひとしおであった。日本の政府機関で
 ある特許庁が、我々の電子基準点データによる地震予測をはじめて認めてくれた瞬間だった。

 




                             

                                     さらに予測の正しさを確信

  しかし、特許は取ったものの、誰も見向きもしないという状況は、さほど変わらなかった。
 もう少し世間が注目してくれるかと期待していたのだが、どうやらそれは甘い考えだったらし
 い。このままでは社会貢献もできぬまま、宝の持ち腐れになってしまう。

  そこで私は、ある電力関連の会社の幹部になっていたかつての教え子に、この特許を使わな
 いかと打診してみた。彼も、かつての師の頼みとあっては無下に断れなかったのだろう。「い
 ままで誰も実証していない地震予測の方法なのでまずはこの特許が信頼できるものかどうか検
 証研究をするということでどうか」と、消極的ながら私たちの特許の後押しをしてくれること
 になったのである。電力会社は、発電所を立地する際に、活断層の有無などを調べ、地震に備
 える必要があるので、現実的な興味を持ってもらえたのだと思う。どう特許を生かそうかと考
 えあぐねていた我々にとって、有難い取り計らいであった,再び活力を取り戻した私は、この
 電力会社と共同して、2007(平成19)年から三年間、特許の方法でいろいろな検証研究
 を行った。

  この検証研究では、2000年から2007年までの8年間に日本、及び日本近海で起きた
 マグェチュード6以上の地震を精査した。その数はじつに162回、1年当たりマグュチュー
 ド6以上の地震が平均20回以上起きていて、あらためて日本は地震大国であることを思い知
 らされた。そして、私たちの特許方法で調べたところ、なんとそのすべてに異常変動を示す前
 兆現象が見られたのだ。

  我々の地震予測の方法は問違っていなかった。その確信は深まったが、問題点もあった。前
 兆が見られてから実際の地震が起こるまでの時間はバラづフで、およそ2週間から3ヵ月の幅
 があった。当初我々が目標にしていた「1ヵ月以内に 確実に地震を予測する」ことは、まだで
 きなかった。それでも、これだけ前兆現象がはっきりと読み取れる方法は、従来にはなかった。
 前兆現象が 現れた時点から、遅くとも3ヵ月以内にかなりの瞭率でマグニチュード6以上の
 地震が来るということが検証できたのである。従来とは比べものにならない、精度の高い地震
 予測が可能になると私はあらためて確信した。


他人は、偉業をなすひとを、しばしば「奇人」「変人」と呼び疎んじるもの。「波にまかせて、
泳ぎ上手に、雑魚は歌い雑魚は踊る。誰か知ろう、百尺下の水の心を。水のふかさを。」である。
さて、次回は東日本大震災の体験が語られる。 

                                                                                                     この項つづく




● 再生可能エネルギー百パーセント立国:デンマーク

ヨーロッパ北端にある小国デンマークは、気候変動に対抗するため、世界でもっとも野心的な政策
を推進している。2050年までにあらゆる形態の化石燃料の燃焼をやめることを目指しており、これ
は、ほかのいくつかの国がやろうとしているような電力生産だけではなく、輸送でも適用されると
いう。昨夜、「国際報道2015」では、ドイツでのG7サミットで、地球温暖化対策として世界
経済の「脱炭素化」を進めることが合意され、各国で再生可能エネルギーへの投資が増える中、風
力での発電が40%を占めているのが北欧のデンマーク。地域の事情に合わせて再生可能エネルギ
ーを活用する手法は、日本の自治体も強い関心を寄せており、デンマークから何を学ぶのか最新事
情を放送していた。そこでのキーワードは“小規模分散型”。

2050年までに化石燃料を一切使わない『脱炭素社会』を実現し、再生可能エネルギーですべてをま
かなおうとしている。キーワードは『小規模分散型』。デンマークは現在、電力の4割を風力でま
かなう“風の牧場”と呼ばれるユトランド半島には、風力発電機が並ぶ。かつて、エネルギーの9
割以上を輸入に頼っていたデンマーク。「脱石油」へと舵をきったきっかけは、1970年代のオイル
ショック。そのデンマークが今、進めているのが「小規模分散型」のエネルギー政策。巨大な風力
発電機だけでなく各地に小規模なエネルギー施設を作ろうという。その数は6百ヵか所に及ぶ。

特に、その中核に広さ2千平方メートルの太陽熱パネルで温水をつくり、1千3百世帯に暖房と給
湯のための温水を供給各家庭に分配し管理するが、太陽などのエネルギーは気象に大きく左右され、
冬場はエネルギー不足となる。それを補うために木質バイオマスボイラーで暖房・給湯に利用する。
各家庭には、暖房の使用量が一目で分かるメーターが設置さる。住民一人一人がエネルギーを使い
すぎないよう注意を払っているという。

こうしたデンマークの取り組みに、日本の自治体も強い関心を寄せ、先週、都内で開かれたセミナ
ーで、「小規模分散型」のエネルギー施設の専門家が講演。全国の自治体や企業の担当者、120
人が参加。

北海道の下川町では、10年前から、木くずを燃やして温水をつくり、公共の施設に限って暖房や
給湯に利用。町は今、町内のすべての工場や住宅に温水を供給する計画を立案。しかし、懸念して
いるのはコストの問題。計画中の施設は、運営費に年間2億円余りかかるという。視察をした専門
家は、技術的な改善点を指摘。配管に送り込むお湯の温度を80℃から70℃に下げることで、コ
ストを大幅に減らすことができる低減していた。

ざっと、録画しておいたビデオ見て、先進国において日本は「再エネ後進国」とも呼べる情況だが
デンマークのような先進例があり、日本にはそれに加え水力発電や二酸化炭素回収型火力発電もあ
り、それを実現する技術・カネを考えれば容易にトップランナー躍り出ることも可能だ。という確
信を深めることができた。これは実に面白しろい。

※ 給湯配管にベンダブルなポリプロピレン配管(耐熱100~120℃)など使うと加工しやすく安く
  てメンテナンスフリーになるのではないかと思える。
 

  ● 今夜の一品



日本の銀杏をイメージしたスマートフォーン&タブレット用ソーラーチャージャーステーション。
 

 

 

 

 

デジタルアース工学立国論 

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  戦争は、すべて、盗むことのみを目的とする。 /  ヴォルテール

                   
                                         

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅵ: 地震・噴火予知】  

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いまの
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのためには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動データを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用できる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストーンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探る。

   
 目次  

 序 章 なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第1章 3・11前から観測されていた前兆現象
 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに 

 


 

   第1章 3・11前から観測されていた前兆現象 

 

                           東日本大震災の不気味な前兆

  そして、あの3・11の東日本大震災が起こった。いま思えば、恐ろしいほど不気味で、警
 告的な前兆だった。あの巨大地震の前兆を私たちは、1ヵ月ほど前には気づいていたのである。
  当時私は、教え子が退職したこともあって、電力会社との検証研究は終了していたが、地震
 予測のデータをどう実用化するか、自分なりに研究を進めていた。荒木さんはさらにほかの会
 社と共同で、電子基準点を使った地殻変動の解析に関する別の特許を取得していた。この方法
 は電子基準点を使うものではあるが、我々が取得した予測方法とは、少し方式が異なるもので
 あった,私はこの会社ともいろいろ情報交換をしたり、研究のアドバイスをしたりという良好
 な関係が続いていた。すると、あるロこの会社から私に連絡があった。

 「日本列島が異常な地殻変動を示している」というのだ。
  普通の地震なら数点ほどの異常な変動を示すだけだが、今回は非常に多くの異常変動が見ら
 れる。これは解析がおかしいのではないかと疑って、私に相談を持ちかけてきたのだ。
  私はすぐさま電子基準点のデータをもとにチェックし直してみたが、解析は間違ってはいな
 かった。福島県から茨城県、長野県あたりまで賢常に大きな変動が出ていた。これはいままで
 経験したことのない不気味な予兆だった。

  これは想像を絶するような巨大地震が迫りくる前兆だ……。私はそう確信したが、序章で述
 べたように、この会社の親会社から解析結果を公表することを禁じられた。一民間人が世間を
 パニックに陥れるような「予知」をするのもお役所から禁じられていた。これは公表しないと
 大変なことになるぞと思ったが、どうにもならなかった。そして不穏な気持ちを抱えたまま、
 私は口を閉ざした。

  その1ヵ月後に恐れていたことが現実となった。2011(平成23)年3月11日、東日
 本大震災が起き、死者・行方不明者は二万人以上にのぼった。その後も過酷な避難生活の中で、
 希望を失い、体力を失った震災関連の死者は増え続けた。あまりに悲惨な結果に、私の気持ち
 は打ち砕かれた。
  序章でも書いたが、私は後悔の念に苛まれ続けた。私は守秘義務を守ったにすぎないのかも
 しれない。しかし、人として研究者として、それでよかったのか。どんな批判を受けようと、
 あそこまで異常な前兆を察知していたなら、公表すべきだった。公表して取り合ってもらえな
 くとも、ネットで話題になれば、少しは人々の関心を引いて救われる命もあったかもしれない。
 そう思うとやり切れなかった。




                    6ヵ月前に起きていた全国一斉変動

  東日本大震災が起きてから、私は後追いで徹底的にデータを分析してみた。すると、地震の
 起きる6ヵ月前から、日本の各地で異様な隆起や沈降が起きていたことが判明した。全国一斉
 変動である(図3「前兆は2週間続けて全国一斉に起きていた」)。 
  2010(平成22)年9月の週間で異常変動図を見てほしい。薄いグレーの点は一週間で
 4センチ超、黒い点は5センチ以上の上下動をしていたことを示す。9月5日から18日まで
 の2週間で賢常変動が全国各地で一斉に起きており、きわめて多数点にのぼった。このことか
 ら大きな地震ほど広範囲に異常変動が現れることを私は学習した。

  マグニチュード7、8クラス以上の大地震の場合、ほぼ半年前に前兆が出ることがその後の
 検証でも瞭認されたのである。そしてその前兆が多数点での一斉変動であるとき、これは非常
 に大きな前兆としてとらえるへきだと判断した。一斉変動とは地面が、ジクッジクッと全部動
 いている現象である。

  さらに2年前と比較した宮城県の牡鹿、志津川、女川など21点の電子基準点の隆起・沈降
 の図版(図4「2年前と比較した宮城県の隆起・沈降」)も見てほしい。2年前(2008年)
 をゼロとしてみると、2010年の9月11日にググッと不気味に沈降している。さらに同年
 の10月にまた異常変動が出て、1月にも出た。図版を見ると、みんな曲線が同じ方向に向い
 ている。つまり同じ方向に動いているということだ,



  岩手県や福島県の電子基準点でも、9月、10月、翌年の1月と同時明に一斉に隆起・沈降
 の賢常現象 が起きている。(図5「2年前と比較した岩手県の隆起・沈降」)

   

  これと同じ現象が日本中で起こっていた。一例を挙げれば、高知県でも動いている(図7「
 2年前と比較した高知県の隆起・沈降」)。高知県は大震災が起きた東北からはおよそじ50
 キロメートル以上離れた地点にある。しかし、10月と1月に同じような.斉変動を見せてい
 るのだ。この一斉変動は、九州でも記録されていた。

 

  まさに.2011年3月11日の半年前に、日本列島全体が呼応し合うかのように、周期的
 に一斉変動を起こし、大震災の予兆を昆せていたということなのだ。
  地震は病気と同じ、くしゃみや発疹で異常を感知 一斉変動とは、広範囲の地面がくしゃみ
 を繰り返している状態と考えていい,
  私は、地震予測を語るとき、いつも地震を体の病気になぞらえる。休のどこかが悪いとめま
 いや吐き気がしたり、じんましんや発疹が出たりする,しかし、異常は体の表面に出ていても、
 本当の病巣部は内臓にある場合が多い。胃が悪いと口内炎ができるというのと同じである。

  地震も同じで、本来、地下で起こっている現象の異常が地表でくしゃみや発疹として出てい
 るということ。このことを、我々は長年の検証研究でつかんだのだ。
  マグニチュード7、8クラスの大地震を病気にたとえれば、かなりの重病である。つまり病
 気が重いほど、その予兆はかなり前から出る,しかも部分的な発疹といった程度ではなく、全
 身に異常が現れる「一斉変動」という前兆現象で、大地震の場合は、ほぼ半年前に予測される
 ことが分かったのである。逆に小さい地震ほどパッと出て、小さいエリアにしか変動がない。
 これも経験で分かったことだ。

  この大地震の前兆現象は、その後の伊予灘地震でも確認された。地震は2014(平成26
 )年の3月14日に起きたのだが、その半年前の2013年9月に、四国、九州、紀伊半島、
 瀬戸内と一斉変動が起き、さらに10月、翌年の1月と、なんと販日本大震災と同じパターン
 の前兆現象を見せたのである,すでにJESEAでメルマガ配信を始めていた私は、8ヵ月後
 に来るであろう伊予灘地震をメディアで公表することができた。


 
  
             地震の起きる場所をどう特定するか――累積変位に注目

  しかし、ここで皆さんはi然疑問に思ったことがあると思う。全国に一斉変動が起きたとき
、日本列島がすべて動いているのに、どこに大地震が来ると予測できるのだろうと。つまり全身
 に発疹が現れたときに、どうやってその原因となっている患部を見つけ出すのかということだ,
  これを皆さんに分かりやすく説明するのは、なかなか難しいのだが、前兆現象には、一斉に
 ガガッと異常変動を見せるものと、徐々に徐々に動いて累積していくものと、この二つの動き
 がある。小さい地震ならば震源地に近いところが動くのだが、マグェチュード7、8クラス以
 上の地震の前兆は、日本中が一斉に動く傾向があるので、どこの場所が震源地かは特定できな
 い。

  全国一斉変動は全身に出た発疹を見ていたわけだが、場所を特定するためには、今度はがん
 細胞を見ると考えてほしい。がん細胞がどこにどれだけたまっているか、増殖しているかを見
 極めること,それが患部、つまり震源地の特定につながるのである。
  がん細胞は毎日少しずつ増殖し、ある程度の大きさになるとがんが発病して、手術をしたり
 発見が遅れて死に至ったりするわけだが、私たちもできるだけ早期発見ができるようにがん細
 胞のたまり方を見ているのである。

  震源地を特定するために私たちが見ているがん細胞は徐々に累積していく隆起と沈降による
 ひずみである。図1「地球中心座標系]を見てほしい。地震になるときのひずみが、X方向に
 動いているのか、Y方向に動いているのか、Z方向に動いているのか、あるいは中心から直角
 方向の高さ(H)の方向に動いているのか、この四つから求められる動きを調べることで、一
 斉変動では分からなかった場所の特定ができるのである,
  それぞれのXYZの軸にはプラスもマイナスもある,一日一日にどのくらい小さなひずみが
 プラス方向、マイナス方向に蓄積していくのか、それを見て計算していくのである。プラス・
 マイナスが両方あれば蓄積はされない。しかし、同じ方向に、ゆっくりゆっくり、氷河が動く
 ように累積して、どんどん大きくたまっていくのは大きな地震の起きる顕著な前兆と考えてい
 い。

   図8の宮城県のXYZHの累加曲線を見てほしい(図8「宮城県の差分累加曲線」)。この
  うちYの累加曲線は右肩上がりに増え続け、最後に急に鈍化している。Yの値が増えるという
 ことは、地球中心座標系の図版を見れば分かると思うが、南西方向に動き、隆起している状態
 で ある。地震直前に差分累加曲線が鈍化したことはYが減少したことを示しており、逆方向、
 すなわち宮城県は北東方向に動き、沈降を始めたということを物語っている。

  こうしてY軸の累積変位がどんどんたまっていくと、あるときその限界値を超えてしまう。
 その点を取り出して打ち出したのが図9だ(図9「差分累加Yが同値を超えた地点」)。これ
 によって、地震及び津波の被害が大きかった電子基準点が浮かび上がったのである,これは、
 ほぼ東日本大震災の甚大被害地点と一致している。


  異常変動として.一日に動く以を見れば、九州でも関販でも大きい地点はあるのだが、徐々
 にたまっていくひずみを観測すると、宮城、岩手、福島などが要注意地点となるわけだ。 

 

人間の患部をCT(造影剤投与)やMRA(非造影剤投与)スキャンで解析検出するように、ただし、い
まのところ悪性腫瘍の種類までは分からないが(同じように、地震発生日時や発生場所の確定は出来ず)、
地球あるいは地殻表層をリアルタイム3次元即位出来るように――各測位点にマイクロプロセッサやポー
タブルパワーなどを配置することで――なったわけで、これらの測位点(無人無線局)からの集約データ
ーを集約→提案されているアルゴリズム変換し→解析アルゴリズムで二次変換し→評価判定アルゴリズム
で三次変換し→画像処理・表示するというシステムが構築されるというわけである。これ以外のデータを
積和させることの考察はここでは一旦避けるとし、海底地表測位の方法に少し触れておこう。

海底にある無人無線測位点からGPS衛生に信号を送るには海底から海上にある最寄りの無人無線測位中
継ブイとのデータの送受信を行う必要があが、「位相共役波」(時間反転波)を用いる水中音響通信が、
海洋研究開発機構の研究では海底1000メートル以下で水平方向での実験報告がなされている(下図の
上をダブルクリック)。したがって、これを鉛直方向に展開すれば実現出来そうである。


                                                                                              この項つづく

 

  ● 今夜のクローズドアップ

中国が南シナ海の南沙(英語名スプラトリー)諸島で進める岩礁の埋め立て工事。海洋環境の専門家の間
では、東南アジアで最も重要なサンゴ礁生態系の1つに深刻なダメージを与えていると危惧する声が高まっ
ていると伝えている(ロイター 2015.06.25)。それによると、中国は現在7つの岩礁で人工島の建設
を行っているが、南沙諸島の衛星画像を分析した専門家らはロイターに対し、サンゴ礁への損傷は
建設現場の周辺にも広がっており、環境への影響は当初考えられていたより大きい可能性があると
の見方を示した上、中国政府はこれまで、国連が定めた条約に基づき、サンゴ礁および海洋環境の
保護に尽力していると繰り返し表明してきたが、フィリピンの研究者らと共同で南シナ海の調査を
行ってきた米マイアミ大学の著名海洋生物学者は先に、中国の埋め立て工事によって「人類史上で
最も速いペースでのサンゴ礁域の永久的喪失」が起きていると警告。米海洋大気庁のサイトでは、
埋め立てに使う土砂を掘る作業や、人工島への接近航路を造るための浚渫工事により、現場周辺で
は広範囲にわたるサンゴ礁が傷つけられた指摘している。

その上で、件の海洋生物学者である ジョン・マクマナス氏は、ロイターの電話主題で、同海域で領有権を争
う国々は自国の主張はいったん脇に置き、残ったサンゴ礁を保護するための海洋「平和公園」を造るべきだ
と述べ、生態系被害をもたらしていると中国を公に非難したフィリピン政府は、22日、中国の埋め立て工事
は同海域の周辺各国に年間2億8100万ドル(約346億円)の経済的損失をもたらしたと批判。  同海域で
は中国とベトナムのほか、フィリピン、マレーシア、台湾、ブルネイが領有権を主張しているが、
ベトナムなど領有権を争う他の国も、既存施設の拡張などで埋め立て工事を行っているが、その規
模は中国に比べると、はるかに小さいという。スプラトリー諸島のサンゴ礁は、世界的に見ると規
模は比較的小さいが、専門家らは、生物学的多様性に富み、また、また、オオジャコガイやジュゴ
ンや数種のウミガメなど、絶滅が危惧される海洋生物の生息場所だという。

一方、中国の当局者らは関係する島々や礁、海域の生態系保護を中国以上に気にかけている国はな
い」と言明。そのうえで、国連が定めた生物の多様性や絶滅危惧種の国際取引に関する条約を中国
は順守すると述べているが(同国外務省・国境海洋事務局の欧陽玉靖局長)、海洋「平和公園」に
つくり換える気があるのかというと、中国の当局者らが「人工島の施設について、捜索救援活動や
気象観測のほか、環境保護にも役立つと主張している」と反論していることからその気はないだろ
う。つまり、一旦始めたら、一本道のごとく突き進む行動様態は、<戦争への道>でしかないと考え
るが、老婆心だけで終われば良いのだがいかに?!




※ 複数の米当局者によれば、2013年後半に浚渫工事が始まってから、中国は約8百ヘクタールに
  及ぶ範囲で埋め立てを行った。

 

 

ギリシャ危機に雇用倍増

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     民は知らしむべからず、由らしむべし  /  論語

 
※ 「民は従わせるだけでよい、知らせる必要はない」と、よく誤解して使われるが、元の「子曰、民可
  使由之、不可使知之為」とは、政者たるもの、民に信頼され親しまれるように努めなければいけない
    が、その気持ちをわからせるのは難しいとの意味。

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅶ: 地震・噴火予知】  

 

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いまの
解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、リア
ルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのためには
スーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析が出来て
いないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動データを送る
事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用できる。(2)
さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、映画『ザ・コ
ア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストーンでの隆起メカ
ニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避できるかもしれな
い。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資は微々たるものであ
ろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず予測できる』(電子ブ
ック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探る。

 目次  

 序 章 なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第1章 3・11前から観測されていた前兆現象
 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに 

 


 

   第1章 3・11前から観測されていた前兆現象                            

                                       大地震を予測する「プレスリップ」

  こうして東日本大震災の累債変位を検証していくうちに、私は地震直前の、ある心妙な動き
 に気づいた。東北地方は地震の前は盛り上がって主に西の方向に動いていたのが、今度はY
 が マイナスの眼方向に動いて沈降した。X、Y、Zの動きを総aすると、地震のときはさら
 に大きく沈降し大きく以南直に動いた。図11)を見てほしい(図10「宮城県における差分
 累加Yの動き」)。

  

  これは宮城県における、地震が起きる前日までのY軸の累栢変位を示したデータである。地
 震が起きた日は、数値がグラフから飛び出してしまうので同じ画面には出せない。この前日ま
 でのデータを見ると、Y軸の動きがそれまで南西方向に動いていたのが、地震直前の12日間
 にズルズルズルッと3センチほど東北東に動いているのだ。つまり、大地震の起きる直前に、
 滑ったような揺り戻し的な動きがあり、その後に地震によって激しく落ち込む現象がやってく
 る。

  こうした、一度逆に動いてからドンと落ちる揺り戻し的な動きがあったことが、電子駄準点
 のデータを検証すると手に取るように分かるのだ。
  地震の前触れとして、直前に地表がズルズルと動く。この現象を、地震学の研究者は「前兆
 滑り」、あるいは「プレスリップ」と呼んでいる。長いあいだ地震学者たちは「プレスリップ
 が見つ かれば地震はれ予知できる」と言っていたが、それを見つけることはできなかったの
 である。しかし、後追い検証ではあったが、我々の電子基準点に基づくデータから、こうして
 はっきりと見えているのである。岩手県のデータを見ても、それは明らかだ(図11「岩手県
 における差分累加Yの動き」)。

 

    このプレスリップがくっきりと現れていることに、私は驚きもしたし、あらためて電子基準点による解
    析の精度の高さを確信した,おそらく大地震の直前に見られるプレスリップを電子基準点のデータで
  観測したのは、世界初であろうと思う。これは大変な発見をしたと思い、このグラフを使い、後日英文
  で発表もした。
    地表の異常変動とともに、我々の方法で累積変位を観測していけば、半年前に賢常を察知し、累
  積変位の閥値を超えるほぼ1ヵ月前に危険度を確認できる。さらに地震直前のプレスリップの動きを
  とらえれば、ピンポイントで地震予測をすることも不可能ではない。




                                      二週間遅れのGPSデータ

  ただし、プレスリップ睨測には、まだ大きな壁がある。なぜなら、国土地理院が公開してい
 る電子基準点のGPSデータを我々民間人がダウンロードできるのは、リアルタイムではなく、
 ニ週間遅れであるからだ。研究者はリアルタイムのデータを人fできる場合もあるのだが、民
 間人の場政にはそれができ ない。
  この二週間というブランクは、地震予測をしているときにかなり大きなハンデとなる。震源
 が浅い地震の場合は、異常が出てからすぐに起きてしまうので、間に合わないことがあるのだ。
 一度、栃木県の 日光に地震の前兆と見られる動きがあり、メルマガに速報を出そうとした矢
 先にすでに地震が起きてしまったこともあった。ただ、すぐ起きる地震というのはせいぜい震
 度4以内で、それほど実害のない地震が多いので、私としてはある程度仕方ないとは思ってい
 る。

  だが、手元にデータが届くのが二週間後であれば、非常に残念なことに、先ほど説明したプ
 レスリップは見つからないわけである,GPSデータがリアルタイムで手に入り、数カ月前か
 ら危険地域に警告を出し、さらにプレスリップをとらえてピンポイントで警報が出せれば、こ
 れは本当にすごい社会貢献ができると私は思っている。
  ただ、ほかに方法がないわけではない。前述したように、日本の電子基準点は1994(平
 成6)年から国士地理院が整備し始めたもので、その当時は誤差が大きく、データ自体がまだ
 粗く、座標軸だけでの計算では正確性に欠けていた。それゆえ、一週間の移動平均を取ったり、
 三角形の面積の変動率で計算したりと、測量知識を使っていろいろな方法でアプローチしてい
 たのである。

  ところがいまは科学の驚くべき進歩によって、衛星測位のシステムの座標の動きがミリ単位
 で測れる時代が到来しようとしている。
  日本の電子基準点の数と密度は医界に誇れるものだとすでに述べたが、日本ほどの数ではな
 いものの、世界にも電子基準点が点在している。世界に散らばっている電子基準点は、IGS
 というネットワークでつながっており、そのデータも一般に公開されている。目本にもそのネ
 ットワークを使える場所が10点ほどある。こちらの情報はニ日遅れだが、ほぼリアルタイム
 で手に入るのだ。
  このリアルタイムのデータが10ヵ所しかないにしても、東日本大震災のような巨大地震は、
 震源地からかなり離れていても顕著な異常変動を観測できるのではないか,そのように私は仮
 説を立てている。

  実際、東日本大震災のときには、北京や台北でも異常値が観測されていた,つまり、地球は
 つながっているのである。財界の衛星潮位システムのネットワークを充実させ、連携を取り合
 えば、近い将来、遠く離れた日本以外の地域で起きようとしている巨人地震の前兆もとらえる
 ことができるようになるのではないだろうか。
  さらに高速道路にも、崖崩れなどの事故防止のためにGPSを置いて、異常を監睨している
 システムがある。こちらもリアルタイムで監擬しているので、こうした活動と提携して将来的
 にデータを共有しへ目えるようにしたい。大学や自治体などで独自に固定局をつくっていると
 ころもあるので、将来構想としては、十分に切り開いていける道だと思っている。




                           もう「後追い」はやめようと決意 

  大学を退官し、荒木さんに誘われて地震予測の研究に携わってから、10年近くがたってい
 た。
  その間、地震学の研究者たちからは変人扱い、異端者扱いされてきたが、検証研究を進める
 ほどに、我々の研究が世の中に役立つものだという確信が深まっていた。
  そして、地震予測に偵極的に踏み出す最後の決め手となったのが、多くの犠牲者を出した東
 日本大震災であった。この大震災の前兆をつかんでいたにもかかわらず、それを公表できなか
 ったことへの後悔は私を打ちのめしたが、3・11の後追い検証によって、自分の理論が正し
 かったのだと確信を得た。

  しかし、地震が起きてから後追いで持論が正しかったと尽っていても、何の役にも立たない。
  すでに犠牲者は出てしまっているのだ。
  ここまで来た以上、もう「後追い」の検証研究はやめよう。これから起きうる地震を予測し
 て、世の中のために尽くす道を探るべきだ。私はそう考えるようになった。
  その考えの裏側で決心を鈍らせる気持ちもないではなかった。予測が外れた場合に負うリス
 クも大きいだろうし、不確かな道に踏み出そうとする際、東大名誉教授という肩書き取り巻く
 周囲の空気に、圧力めいたものも感じた。
  だが、そんなことは取るに足らないことだし、すぐにどうでもよくなった,データを公表せ
 ず犠牲になってしまった人の数を思うと、もう足を踏み出すことに躊躇はなかった。


   民間人が「地震予測」をしてもいいのか?――「予知」と「予測」の違い

  これからは前向きに地震予測に踏み出そうと決めたのはいいのだが、そこにはさまざまな壁
 が立ちはだかっていた。
  まずはお役所である。東日本大震災が起きるまでは、電子基準点を地震「予知]の目的に使
 用することを、口頭ではあったが暗に禁じられていた。

  地震や火山噴火などの自然災害に関しては、「予知」と「予測」という言葉の定義ははっき
 りと使いい分けられている,これは地震学をやっている人たちのあいだでも混同されがちなの
 だが、「予知」という言葉は、いつ何日に、どこでどれくらいの規模の地震や噴火が起きるか、
 正確に言い当てることである。つまり警報が出せるレベルを「予知」という。

  「予測」のほうは、そこまで厳密には確定できないが、ある程度の期間内に、どのあたりに
 このくらいの規模の地震が起きる可能性がある、といった情報を出して、人々への注意を促す
 ものだ。
  東日本大震災の後という時期も、状況的に逆風が吹いていた。日本地震学会が「地震の予知
 は現時点では非常に困難」と宣言するなど、お役所ともども地震予知に関しては及び腰になっ
 ていたからだ。

  しかし、そんな逃げ腰でいいのだろうか。3・11のような大きな犠牲を出し、被害地域以
 外でも日本中の人々が不安や痛みを抱えているとき、予知は無理でも、せめて予測をすること
 は国民的な要請であるはずだ。
  私は、思い切って、地震を扱う役所の担当者に電話をしてみた。
 「一民間人が地震予測をしてもいいのでしょうか?]と。すると、「別に地震の予測はしても
 結構ですよ」と言うではないか。だが、いかにも上1から目線な、次のような付け足しがあった。
 「してもかまいませんが、ただし、役所としては、民間人による予測は占いとして扱いますI

  つまりは医療でいえば、民間療法のようなものである。それで結構。電話による口頭ではあ
 ったが、とりあえず「お墨付き」が得られたのだ。地震予測への新しい風が吹き始めた。「占
 い」扱いされたっていっこうにかまわない,それじやあ、地震の占いをしようじやないかと、
 私は居直った。



個人的な経験でのお役人(=公務員)の態度に、悪い印象は多くはないが、孔子の「民は知らしむ
べからず、由らしむべし」の誤解が広く定着していく背景に「官尊民卑」なる事例蓄積の因果律と
して定着してったことは容易に想像できる。さて、いよいよ「予測サービス事業」が立ち上がる。

  
                                    この項つづく




● ギリシャはECBが介入し、積極的財政で雇用率向上で救済を!


ギリシャ政府は28日、欧州連合(EU)など債権団との金融支援交渉が決裂寸前となり、国内金融シ
ステムへの不安が急激に高まったことを受け、29日から銀行の営業休止、資本移動規制などの緊急
措置を導入を決めた。国内の生活や経済活動が大きな打撃を受けるのは必至。週明けの東京市場で
は、ユーロが急落し、株価も大幅安となるなど、ギリシャ発の動揺が世界の金融市場に波及してい
る。ロイター通信は、銀行は国民投票翌日の来月6日まで窓口業務を休止。現金自動預払機(ATM)
を使った引き出しは1日60ユーロ(約8300円)までに限られる。アテネ証券取引所も29日は休場と
なり、ギリシャの金融市場はまひ状態に陥る。ユーロ圏での資本移動規制は、債務危機に陥ったキ
プロスが2013年に導入して以来という。 

  Greece imposes capital controls as crisis deepens

そもそも、ギリシャ共和国の2009年10月の政権交代を機に、財政赤字が公表数字よりも大幅に膨ら
むことを明かしたことに始まる経済危機は、ギリシャの財政赤字GDPP比で5%程度とされていた
が、新政権(全ギリシャ社会主義運動)下で旧政権(新民主主義党)が行ってきた財政赤字の隠蔽
が明らかになり、実際は12.7%に達していた(2010年4月に13.6%に修正)。もともと、ギ
リシャは、ユーロ圏の中で経済規模が3%にも満たない小国。ギリシャ危機が世界を大きく揺るが
すようになったのは、同国がユーロの一員であり、その危機がユーロ加盟各国のソブリン債に飛び
火し、より大きな「欧州債務危機」となった。

それでは、ユーロ離脱・ギリシャ危機回避策はないのだろうか。ギリシャ統計局によると、約1千百
万人の人口を抱えるが、就労人口は約3百60万人、失業率は約25%。なかでも今年3月時での
15~24歳の若者の失業率は58.3%にものぼり、2013年までに国を去ったギリシャ人は12万
人といわれる一方で、コカ・コーラやノキアがネットを使った顧客サービスセンターや研究開発セ
ンターをアテネに置くなど、外資系企業数社がギリシャでの投資――その背景には、ギリシャ人の平
均賃金が下がり続け、ギリシャ国債暴落前と比べて、英語ができる優秀な労働力を2割近く低いコス
トで確保できる――を発表している。

  Greek Crisis and a green way out

このようななか、ECBなどによる年金削減、ユーロ離脱容認などの財政緊縮策は、さらに、ユーロ
全体、世界経済への連鎖懸念、あるいは大国に地政学的侵出による政治的混乱の懸念などのリスクの
顕在化は何としても避けたいところだ。これに対抗する政策――ギリシャ危機リスク回避の積極的財
政策を考えてみた。その前にこのブログで掲載してきた「世界の希望 日本論」のギリシャ版下記の
ポール・クルーグマンの『そして日本経済が世界の希望となる』を踏まえてスケッチ(素描)する。

  中央銀行は国に奉仕するためにある。そのなかにはもちろん、金融システムをなんとしてでも
 救済するということも含まれる。それを「ネガティブ面」として認識するほうが不思議だ。
  リーマン・ショックによってCP市場が崩壊した際、その市場を持続させるためにFRBが存
 在したことは決定的だった。ヨーロッパでソブリン債券市場がメルトダウンしかけたとき、その
 マーケットを維持するため、ECBの存在は不可欠だった。それは後始末ではな。中央銀行とし
 て当たり前の行為だ。
 
  懸念はほかにもある。「いずれ、すべての先進国が財政破綻する」という最悪のシナリオが囁
 かれるなかで、中央銀行がますます「財政ファイナンス」の道具として使われる、という指摘だ。
  その回答は第2章で行なったとおりである。現実をみてみよう。少なくともいまのところ、中
 央銀行は その道具としては使われていない。しかしもし仮に、そのように使われたとしても、
 それがどれはどの問題だというのか。

  ハイパーインフレは中央銀行がその機能を強化するから生じるのではなく、ガバナンスの崩壊
 によって引き起こされる。実質的に破綻状態にある政府が、支払いをお札の印刷に依存したとき
 に発生する問題、とい うことは繰り返すまでもない。
  日銀にかぎっていえば、むしろ問題は「信頼を失う」ことではなく 「信頼がありすぎること」
 である。
  もちろん何事にも「やりすぎ」はある。人はいつも、物価上昇を抑えるためには日銀がいつで
 も介入する、と考えているのだ。

                                            第3章 中央銀行に「独立性」はいらない
                  ポール・クルーグマン著『そして日本が世界の希望となる

  
その政策ひとことでいえば、『ギリシャ危機に雇用倍増』であり、ECBとギリシャ政府による経済
再建プロジェクトの下で、雇用をを倍増、失業率を5%以下にする積極的財政施策で、負債処理はギ
リシャ国民の労働を担保とし、事業執行の基本プラン立案と法整備と監査を上記合同プロジェクトが
担い、ギリシャ再建基金(ギリシャ復興債)を元に、積極的に自国及び国際的民間企業に再建事業を
委託するというもの。その事業例として、(1)高度医療・長期療養サービス拠点事業、(2)再生
可能エネルギー百パーセント化事業、(3)中東・北アフリカ自立復興促進事業、(4)高度情報サ
ービス事業を既存の産業に加えるというものである。 

 

地熱発電立国論

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     イラクやアフガニスタンでは アメリカ陸軍の兵士より民間
          軍事会社の方が多く展開していたことをごぞんじですか? 

                                             マイケル・サンデル 

 

 ※ 「なぜ市場に市民生活を託すべきではないのか?」(TED)より

【再エネ百パーセント立国論 : 地熱発電編 Ⅰ】

世界の火山数は少なく見積もって800個、多くて1511~1548(出展:スミソニアンカタログ)、日
本の火山数は110個として約7%となる。 世界の総面積が1億4千9百万平方キロメートルで、
日本の面積が約38万平方キロメートルで、約2.4 パーセントだから、面積当たりの火山密集
度は、世界平均の約32倍となるからいかに火山が密集しているか理解できるだろう。この数字
を前にして、わたしは、あるいは、子女達を一刻も早く移住させるべきだろうか?そう考え実行する人もい
るだろう。それを上手く利用し役立てることで火山活動のリスクを減災する科学技術力や包括的工学力を
急速に高めてきている。ならば、その方法を探ろうということで、再生可能エネルギーの1つである最新の
地熱発電開発を事情を取り上げる。

 

さて、ことし2月20日、 東芝、豊田通商らはケニア電力公社から受注したオルカリア1号・4号
地熱発電所が2月19日に、オルカリア地熱発電所全体の開所式が執り行われたと発表。この営業
運転を開始したオルカリア1号・4号地熱発電所はその一環とし建設され、現在のケニヤの総発
電設備容量の約20%に相当する28万キロワットの電力が供給でき。ケニア最大の地熱発電所
となる。東芝は1966年に日本国内初となる岩手県松川地熱発電所に2万キロワットの地熱蒸気タ
ービン・発電機を納入して以来、北米、中南米、東南アジア、欧州など世界各国に52台、約 340
万キロワットの地熱発電設備を納入し、世界トップの24%のシェアを占める。また、同社は1
千キロワットから10万キロワット超まで幅広い地熱発電設備のラインアップを有し、現在建設中
のトルコ・アラシェヒル地熱発電所やインドネシア・サルーラ地熱発電所向けに、地熱蒸気ター
ビンや発電機などの主要機器を受注している。

世界の中で活火山が多い地域に地熱は偏在している。推定の資源量は米国、インドネシア、日本
の3ヵ国が圧倒的に大きい。そのほかではフィリピン、メキシコ、アイスランド、ニュージーラ
ンド、イタリアなどにも多く存在し、各国にある火山地帯で地熱発電設備の大半が稼働している。
2014年末の時点で総容量が最も大きいのは米国で、2位のフィリピンの約2倍もある。それでも
米国の再生可能エネルギー全体の2%程度にとどまっている(下図)。

むしろ最近では途上国で地熱発電の役割が高まり、2014年に運転を開始した地熱発電設備の割合
を国別にみると、半分以上をケニアが占める(上図)。ケニアで新たに導入した地熱発電設備の
容量は358MW(メガワット)にのぼり、累計の容量でも日本を一気に抜き去り、日本は世界9位
に甘んじている。因みに、ケニアにはアフリカを縦断する火山地帯が広がっていて、その中の
「オルカリア地熱地帯」で大規模な地熱発電所の開発プロジェクトが進んでいる。東芝などの日
本企業も参画して合計5カ所に発電所を展開中。2014年には28メガワットが運転開始。さらに
140メガワットの開発計画されている。

また、地熱は発電のほかに熱をそのまま利用するケースも多い(下図)。2014年に全世界で消費
した地熱のエネルギーを発電と熱利用別に、発電が740億キロワット時。熱利用も730億キ
ロワットアワーにのぼり、ほぼ同じ規模になる。

 
いまの段階では、日本列島の地殻のマグマだまりの仮想3次元マップやその時系列変動の図像処理
方法についてのイメージを提案できないが、もし実現できればそのコントロール方法も自ずと調査研究
されていくだろう。つまり、地熱発電や熱利用方法を組み込むことで、火山噴火による減災などにもつ
なげていけるのではと考える。「地震予測・予知」とわせて、「地熱発電および地熱利用」は極めて重要
な事業展開となるはずだ。その時は、日本がトップランナーとなっているに違いない。

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅷ: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

  目次   

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  

 

   第1章 3・11前から観測されていた前兆現象                            

 

                                                                               予測サービスの立ち上げ

  とはいえ、地震予測への壁はまだ残されていた.、民間人の「占い」サービスにお役所が
 資金的な援助をしてくれるわけもない,
  膨大なデータ解析に坊基づく我々の地震予測を世間に発信するためには、人件費や、事務
 所費など最低限の経費を賄うビジネスモデルが必要だった、大儲けをするつもりなどUほど
 もなかったが、活動を続けられる一定の収益を確保しつつ、地震予測をコツコツと提供して
 いくには、メディア報道をはじめ、世間にもインパクトを持って認知されることがまず先決
 であった。

  しかし、地震F測というのは、あまりにも地味な惰眠提供である。果たしてビジネスとし
 て成り立つのであろうか。ずっと学抒として大学に定職を持っていた私は、ビジネスを立ち
 上げた経験もなく、まして収益を上げる戦略など、まったく見当もつかないありさまだった。
  やる気と情熱だけは溢れんばかりにあるのに、現実的な踏み出し方が分からず、私は足踏
 み状態だった。そんな私の転機となったのは、人との出会いだった。 

  2012(平成14)年10月。私は、ユニークな人生を歩んできた二人と出会った。橘
 田寿宏さんと谷川俊彦さんだ。橘田さんは、衛星放送関係の仕事をした後で映画のプロデュ
 ーサーをしていた人で、谷川さんは、電気・電子関係の会社に勤務の後、薬品関係のビジネ
 スをしていた。 
  この2人に、電子基準点データを活用して地震予測ができるという、私がほぼ10年かけ
 てやってきた研究内容を話すと、彼らは目を暉かせて聞いてくれた,そして、地震予測の技
 術的なことには確信を持っているのだが、それをどう附の中に発信していくべきか悩んでい
 ると正直に打ち明けたところ、「世界でまだ達成されていない技術で、世の中に貢献できる
 可能性が大きいなら、ぜひ協力したい」と申し出てくれたのだ。
  二人とも、東日本大震災の経験から、貧乏になってもかまわない、無給でもいいから世の
 中に役立つことがしたいと熱望していた。二人の熱意に、私はいたく感激した。一緒に船出
 ができるとは、思いもよらぬうれしい展開だった。

  二人は私の地震予測の持論に関しては、理解と興味を示してくれたが、私の専門である測
 ほの知識はまったくないに等しい。かくいう私も、測量屋であって、もともと地震の専門家
 ではない。それでも、地震はいつまた来るか分からない。グズグズしている暇はなかった。
  とにかく地震予測サービスをする会社をつくろうと、私たちは合意した。私が顧問として
 地震予測のノウハウを提供し、橘田さんが社長、谷川さんが取締役として会社を運営するこ
 とになった。
  と同時に、二人も私のレクチャーを受け、地震予測に関する基礎的な勉強にも奮闘し始め
 たのだった。そして.2013年1月17日、阪神・淡路大震災からちょうど18年、東日
 本大震災から1年10ヵ月ほどがたったこの日に、株式会社地震科学探査機構(JESEA)
 が設立された。私たち三人が偶然出会ってから三ヵ月後のことである。ビジネスの茫ち上げ
 はドタバタではあったが、ついに地震予測サービスの会社がスタートしたのだ。 

 

                        「週刊MEGA地震予測」の配備

  地震科学探査機構(JESEA)という名前は、いかにも大手スポンサーがついていそう
 な大それた感じだが、実態はいかにも心細いものだった。
  資本金は橘田さんから310万円、私が290万円で合計600万円,最初はせめて事務
 所をと、名義だけの貸事務所を月3万円ほどで借りていたが、それでも無収入の経営状態で
 経費がもったいないということで解約し、知り合いの会社で郵便物だけを受け取るようにし
 た。

  橘田さんは、1年間は無給で頑張るという。谷川さんはまだ子供が小さいので無給という
 わけにはいかないがスズメの涙でいいという。もちろん、私の顧問料もなしだ。しばらくし
 て衛星潮位システムによる地震予測の元祖である荒木さんにも顧問として加わっていただい
 たが、やはり無給であった。
  問題は会社を運営していくビジネス資金をどう調達するか、そのピジネスモデルの具体的
 な戦略であった。私たちは知恵を絞って話し合った。ここで隅田さんが、いまのJESEA
 の原型となるビジネスモデルを発案したのだ。個人会員を相手に、安い値段で地震予測の情
 報を発信する会社にしたらどうかという提案であった。安いといっても個人差があるが、ワ
 ンコイン500円ではまだ高い,コーヒー1杯の値段より安くして誰でも気軽に会員になれ
 るようにしたいという。



  彼にはすでに具体的な策があった。一人当たり月額脱別200円にして、配信会社からメ
 ルマガ会員に地震予測の情報を配信する、というもの,
  私にははじめから考えもつかないことだった。だが、メルマガ配信会社が手数料として約
 45パーセントを取るという。すると実収入は会員一人当たり100円ほどだ。いったい何
 人が会員になったら会社の経営として成り立つのだろう。それすら計算がおぼつかなかった
 がこんな素晴らしいアイデアが出たのだから、お金のことを心配するのはやめることにした。
  何度も言うが、儲けなど度外視で始めたことだ。資本金がなくなるまで、たとえ短くても
 いいから世の中に向けて地震予測の発信をしたかった。

  こうして2013(平成25)年2月7日、私たちの活動に賛同してくれたわずか24人
 の会員に向けて「週刊MEGA地震予測」というメルマガの配信を始めたのだった。
  この時点から同年8月までは、関東版と近畿版だけしか予測を配信できなかったし、最初
 のうちは誌面構成もお粗末であった。しかし、我々は試行錯誤で、どうすればより分かりや
 すく、丁寧に地震予測の情報を伝えられるか、日夜メルマガの内容を改善し、会員確保の努
 力を続けた。
  四月には、橘田社長が、以前の映画関係の仕事のつてで、映画監督の岩井俊一.さんを紹
 介してくれた。岩井監督は東日本大震災をきっかけに「ロックの会」というワークショップ
 を立ち上げていて、そこで私に地震丿測の講演の機会を与えてくれ、有難いことにそれを機
 に会員は百名近くに増えた。

  それでも、JESEAの月収は1万円ほどで相変わらずの無給状態が続いた,




                  メディアの話題になり、会員が一気に増える

  さらに会員を増やすためには、メディアに取り上げてもらい認知度を高める必要があった。
  さすが映画のプロデューサーの仕事をしていただけあって、橘田社長は顔が広く、彼のつ
 てで「週団ポスト」が特集を掲絨してくれることになった。ずっと学者畑にいた私は、その
 記事のタイトルを見て、顔から火の出る思いだった。『地震予知で特許を取った異端の東大
 名誉教授の「警鐘」』である。確かに異端であったし、肩書きもその通りではあるが、なん
 ともセンセーショナルな扱いである。扱われ方はなにやら気恥ずかしいものがあったが、記
 事自体には私の理論がきちんと書かれていて、うれしかった。

  この記事を契機に、男性誌、女性誌、夕刊紙など、さまざまなメディアが私たちの活動を
 取り上げてくれ、会員数は順調に増えていった。
  しかし、なんといっても影響が大きかったのは、テレビメディアである,2014(平成
 26)年3月9日放映のフジテレピ「Mrサンデー」での特集に出演し、序章で書いたように
 「南海地方に三月末までに来ます]と明言した。そしてその5日後の、2月15日に、南海
 地方に含まれる伊予灘でマグニチュード6・2、震度5強の地震が発生したのだ。

  テレピでの情報伝達の威力はすごいとあらためて感じさせられた。予測通りの大きな地震
 が起き、しかも震度5強の大きな地震にもかかわらず一人の犠牲者も出なかったことは、世
 間の大きな関心を引いた。これによってメルマガ会員数は一気に一万人を突破した。
  2014年5月5日の東京直撃地震や、その直後の5月13日に首都圏を襲った地震につ
 いてもメルマガでの予測が的中したということで、再び週刊誌が特集を組むなどして、会員
 数は順調に増え続けた。

  こうして、一時は倒産寸前まで追い込まれていた会社が何とか持ち直し、机を3つほどお
 ける事務所も持つことができたのである。ほとんど無給で、持ち出しで働いてくれた二人に
 も、ささやかながら給料を払えるようになった,
  大学を退官して、これからのんびり余生をと思った矢先に、こんな無謀な挑戦を始めた夫
 に「あなたは忙しくしていないと気が済まない人ね」と、妻はあきれている。変人とほわれ
 ようと、一度興味を持ってのめり込むと、自分の中で解が出るまでなかなか探究心を止める
 ことができない。根が貧乏性なのかもしれない。そんな私に力を貸してくれる人が現れたの
 だから、世の中捨てたものではない。

  とにもかくにも、よき協カきを得て、私と荒木さんが二人三脚でやってきた地震予測の研
 究が、ようやく日の目を見ることになったのである。

 


今回は、アカデミックな自説の確信とその普及をめざし、みなし公務員を捨ててでも民間企業を
創設(=民間化)する――この件のこころ踊るような展開を読み終えながら、公務員制度改革の
精神が、ここで語られているようにも感じた。。また、これは無理から感があるが、スターリニ
ズム(ロシアマルクス主義)遺制のような現在に至るギリシャ政権をめぐる経済危機の背景を重
ねることとなった。さて、次回は第2章に移る。

                                     この項つづく
    

 

 

海ハムの畜養工学

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     とにかく、新しい毎日なんだ.  / ヘミングウェイ『老人と海』 


  だが、と老人は考えた、おれは大丈夫だ。ただ、どうやらおれは運に見はなされたらしい。
  いや、そんなことわかるものか。きっときょうこそは。とにかく、毎日が新しい日なんだ。
  運がつくに越したことはない。でも、おれはなにより手堅くいきたいんだ。それで、運が
  向いてくれば、用意はできてるっていうものさ。(福田恆存訳)

 



※ わたしのお気に入り

   “What kind of a hand is that,” he said. “Cramp then if you want. Make yourself into a claw. It will do
   you no good.” 
   Come on, he thought and looked down into the dark water at the slant of the line. Eat it now and it
   will strengthen the hand. It is not the hand’s fault and you have been many hours with the fish. But
        you can stay with him forever. Eat the bonito now.

                                                                                                            "The Old Man and the Sea", pp. 58
                                                                                                                   

 

  Hemingway in Cojímar

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅸ: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

 目 次   

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  

 

   第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる

                              浅い断層図だけでは分からない地下の動き

  JESEAの経営を軌道に乗せる際、メディアの効果が大きかったことは私も認めるし、
 有難かったと思う。払の記嘔の取り扱い方もセンセーショナルなものであったが、それが受
 けるのは、それだけ人々の危機意識が高いということでもあろ。
  週刊誌だけでなく、東日本大震災の後は、今後、巨大地震がいつ来るかという可能性につ
 いて、地震学の専門家をゲストに呼んで解説を聞くというニュース番組や特集番組も増えて
 いる。

  彼らは地震学者だから、当然、地震の起きる仕組みを理学的アプローチから説明する。も
 ちろん私も、地震の発生メカニズムを理学的に解明することは重要な研究だと思っている。
  第一章で、地震を病気にたとえて、体の表面に出た発疹やくしやみなどの症状から内部に
 隠れている病巣を探る方法だと説明した,このたとえでいえば、地震学者のアプローチは、
 肝臓などの内臓にどのような理由で異変が起こり、病県が形成されるに至ったか、病気の根
 本を追求する作業である。これを追求するには、患者の解剖をしてその組織を調べることが
 最大の近道である。

  地震でいえば、体内の病巣を確認するには、地表の何十キロメートルもドにあるプレート
 や断層がどうなっているか「解剖」してみればいいわけである。
  ところが現実に使える観測機械は、地表の揺れを測る地震計と、地下に埋めてあるひずみ
 計である。この装置のみでは、地球の複雑な構造を解明することは難しい。
  たとえば関東平野はローム層で、火山灰や堆積物で埋まっているため、ボーリングをして
 地下の構造を調べるといっても、せいぜい深くても3千メートル程度であろう。
  地上から2.3キロメートルというのは、地球喫模でいえばほとんど地表である,浅い地
 震でも震源が地下10キロメートルくらいだ,深い地震は、震源が80キロメートル、百キ
 ロメートルというような、とても人間の手の及ばない深いところで起きているのだ。201
 3(平成25)年にカムチャッカで起きた地震は、オホーツク海大陸棚の609キロメート
 ルという深さの地点で発生している,こんな深いところで起きている地震を、地表に現れて
 いる断層や地震計だけで予測するのはほぼ不可能といっていい。

  その意味で、地震学者がよく言う「プレート理論]を信用しすぎるのも私は危険だと思っ
 ている。「地震の起きる仕組み」といって、教科書などにプレート図が載っており、海のプ
 レートが陸のプレートの下に滑り込むことでエネルギーがたまり、ある日、プレートの境界
 でそれが跳ね返り巨大地震を発生させる……。こんな図や解説を見たことがある人は多いと
 思う,地震学の権威という人がそれを説明するのだから、日本人の多くが地震はプレートの
 動きで起きる、それが地震の起きる仕組みだと信じていると思う。

  しかし、この仮説は、あくまで想像にすぎないのである。地球はこれまでのあいだ、隆起・
 沈降や火山噴火、大陸移動などの地殻変動を何度も繰り返してきたと思われる。そんな地球
 の内部を、浅い断層図や、プレートの動きの単純なモデルだけで説明するのは、とても無理
 なことだと私は考えてきた。


                      地震の確率論は当てになるか?

  もう一つ、私がずっと疑問に思ってきたことがある。それはすでにいろいろなところで公
 になり、週刊誌やテレビの特集でも取り上げられてきた、首都直下地震や東海地震の確率論
 である。どちらの地震予測も「この先●年以内に起きる確率は●パーセント」という、人々
 の恐怖をあおるような数字をはじき出し、タイトルに大きく記されていた。
  この地震の起きる確率がどうして出されるのか、私にはずっと分からなかった。そこで、
 この確率論がどうやって導き出されたのか調べてみた。私自身も驚いたのだが、その中身は
 意外なものであった。

  この確率●パーセントという数字に根拠がないかといえば、そうではなかった。「グーテ
 ンベルグ・リヒター則」という法則に基づいて計算されたものだったのだ。
  これは、ドイツの地震学者ベノー・グーテンベルグとアメリカの地震学者チャールズ・リ
 ヒターが1950年代に見出した、地震の発生頻度と規模の関係を表す法則で、「小さな地
 震が起きる確率と、大きな地震が起きる確率との比は常に一定だ」というもの。横軸にマグ
 ニチュード、縦軸に地震の頻度を取って、対数目盛で計算すると、右肩下がりの直線になっ
 ていく。当たり前といえば当たり前なのだが、大きい地震ほど頻度が少なく、小さい地震ほ
 ど頻度が多い。つまり、大きい地震はめったに起きないということを言っているにすぎない
 のである。

  さらにいえば、小さい地震がどんどん起きると、右肩下がりの直線の値も上がっていく。
 その数値が上がれば、大きい地震の数値も底ヒげされる。その確率が何パーセントと彼らは
 言っているのだ。
  理論だけでは分かりにくいので例を挙げてみよう。たとえば1923(大正21)年の関
 東大震災であれば、同じような震源、深さの地震を過去にさかのぼって小さなものから大き
 なものまですべて数え上げるわけである,関東大震災はマグニチュード7・9で、多くの死
 傷粁が出たが、その前後には、近隣で起きたマグニチュード4や5ほどの中小の地震が何千
 とある。こうした小さな地震がたまると、大きな地震が一定の期間内に起きるというのが、
 グーテンベルグ・リヒター則の確率論なのだ。「首都直下地震が何年以内に起きるという予
 測は、そんな統計確率論から導き出されたものであった,

  そういった実態を知って、私は少々落胆してしまった。地球の地下の構造やメカニズムか
 ら導き出された予測ではなく、確率論をベースに出された数宇だったのである。それがまこ
 としやかに公表され、人々がそれを本気で信じて右往左往しているとしたら、これはじつに
 無意味なことだ,
  大体、この確率論は、過去に起きた大きい地震だけを基準に出しているもので、それがな
 いと計算ができないというのも最大の弱点である。
  いまや、週刊誌や新聞で、首都直下地震の確率が高まったと騒いでいるが、何のことはな
 い。2011年3月以来、東日本大震災の余震が中小含めてたくさん起きていることで、確
 率が上がったと言っているだけなのである。


 

              千人以上死者の出る地震が13年に1度起きている

  世界にはいくつか地震の多発地帯がある。スマトラ、ソロモン、チリ。日本もその一つで
 ある。いまの地震の予知・予測の主流は、こうした多発地帯ですでに起きた地震を唯一の手
 がかりにした統計学、確率論なのである。
  しかし、過去に起きた大地震を手がかりにして、これから起きる地震の予測が本当にでき
 るのだろうか。過去に起きなかったところはどうなのかといえば、まったく分からないのが
 この統計学の泣きどころなのだ。いい例が1995(平成7)年に起きた阪神・淡路大震災
 である。千年も大きな地震などまったくなかった神戸に突然起きた。これだけでも、何年説
 などというのは当てにならないことが分かるだろう。
  この阪神・淡路大震災も含め、日本で千人以上が亡くなった大地震は、過去4百年に30
 回起きている,その間隔はじつにランダムで何年説という法則はまるであてはまらない(図
 12「過去400年の大地震」)。

  たとえば、1943(昭和18)年から46年までの4年続けて、鳥取地震(1943)、
 東南海地震(1944)、三河地震(1945)、南海地震(1946)と、千人以上が亡
 くなる巨大地震が起きている,さらにその2年後の1948(昭和23)年の福井地震では、
 約3800人もの人が亡くなっているのだ,ところが、その隆は1995年の阪神・淡路大
 震災まで50年近く空白があり、その問は千人以上の犠牲者が出るような大地震は起きてい
 ない。
  この時期はちょうど日本の高度成長明で、高速道路をはじめ、さまざまなインフラが超特
 急で整備され始めた時期である。この大地震空白の時明にそれができたというのは非常にラ
 ッキーであった、
  それに比べて日本史上最悪だったのは、1700年代に起きた元禄地震と宝永地震だろう。
 元禄地震(1703)は、モデルでいえば相模トラフで起きた関東大震災に少し近い,その
 4年後に南海トラフ3連動による宝永地震(1707)が起きたのだ。宝永地震の閲49日
 後には富士山の大噴火が起きて、せっかく復興した東京、当時の江戸にも数センチの火山灰
 が降り注ぎ、再び大打撃を受けることになった。連続するときはこれでもかというほど、最
 悪の事態を呼び込むのである。

  阪神・淡路大震災が起きてから16年後に、東日本大震災が起きた。どうだろうか。昭和
 以降の地震を見ただけでも、統計的な確率計算や、間隔の法則にあてはまっていないのがお
 分かりいただけるだろう。
 「これから●年以内に首都を八二ックに陥れる巨大地震がやってくる!」などと公言するの
 は、我々から見れば、いたずらに人々の恐怖心をあおっているようにしか見えない。いまだ
 地震が起きていない場所に起きる可能性はいくらでもあるのだ。




                       断層のない場所でも大地震は起きる

  もう1ついえば、よく地震学者のいう「断層」のあるなしも、あまり当てにならないと私
 は考えている。、
  1943(昭和18)年に起きた鳥取地震で千人人以上の方が亡くなっているのだが、こ
 こには断層がないのである。首都圏もローム層に覆われて断層が発見されにくいので、直下
 型の地震が来るとすれば鳥取地震がモデルになるといわれている。

  私は土木で力学もやっていたので、断層の力学はある程度は理解しているつもりだ。一枚
 の大きな岩盤があるとすれば、断層というのは、岩盤が壊れた後のひび割れである。確かに
 地震のときは断層のそばはたくさん動くので、被害は大きくなる。地震というのは弾性体の
 破壊なので、塊がばきっと折れたり、あるいは地滑りのように崩れ落ちたりする。であるか
 ら、断層がなくても、ある岩盤が割れれば地震は起きるし、大きな塊が落ち込んでも大地震
 につながる。今回の東日本大震災は、東北地方の大きい塊がドスンと海のほうに動いたとい
 うのが、電子基準点の動きから見た私の見解である。

  さて、このように見てくると、統計論や確率諭、さらに断層からの地震予測も、これから
 起きる地震の予測には、あまり役に立たないのではないか。それならば、いまや驚質的な精
 度を誇る衛星測位システムから得られるデータを利用し、毎日、地殻や地表の異常変動を見
 ながら診断する我々の工学学的アプローチのほうがずっと科学的ではないか。そう自負する
 のだが、皆さんはどう思われるだろうか。

  日本で千人以上死者の出た大地震は、400年間で30回起きているわけなので、確率論
 などではなく、県純計算すれば平均13年に1回ということになる。とすれば、いつ、どこ
 に起きるかは分からないが、目安として今匯紀中にあと六~ハ回、大きな地震が来ると考え
 られる。

  JESEAを立ち上げるとき、「グズグズしていられない」と私が思ったのは、いつそん
 な大地震の前兆が観測されるか分からないからだ。1年後かもしれないし、すぐ明日のこと
 かもしれない。
  以前のように数10年の空白の後、連続して巨大地震や噴火が重なるかもしれない。その
 前兆を見逃すまいと、我々は日々、診断の精度を上げようと試行錯誤を重ねているのである。


工学の「工」は、天(自然の真理)と地(人類)を切り結ぶものと理解している。つまり、「ど
うしたら、(望ましくて)未だ存在しない状態やモノを実現できるか」の追及、或いは「どうし
たら目指す成果に結び付けられるか」という、人間・社会で利用されること、という合目的性を
追求することと心得るが、ここではそのリアルな実体験として語られている。実に面白い。、

                                    この項つづく

 

● 海ハムの畜養工学 

1905年、天然マグロを使った「海の生ハム」は、南勝浦漁港発祥のマグロの生ハムで、あっ
さりとした味わいに生ハム独特の熟成風味が相まった上品な食材が和歌山の株式会社ヤマサ脇口
水産で開発され、販売されていることを最近知り、今夜ネット検索するも、結構な値段で通販で
取り寄せることだけはしなかった。

とこれで、同社は当初、マグロの取引をしているユーザの、高級料亭やホテルに販売し、料理長
や食した顧客の支持を得て一般市場へ出回る。マグロの生ハムの販売当初は、地元の料理屋で試
しに置いていたが、思った以上に反響があったという。生ハム料理事例では、(1)マグロの生
ハムサラダ――イタリアンドレッシングや、わさびマヨネーズを加える。(2)マグロの生ハム
サラダ巻き寿司、(3)バルサミコ酢やオリーブオイルでカルパッチョのオードブルなどがお勧
め。勿論、白ワインや日本酒ともベストマッチする南紀勝浦港産の海の生ハム。 

※  特開2006-061096  生ハム様クロカワカジキ加工食品およびその製造法
※ 特開2005-341812  生ハム様ビンナガマグロ加工食品およびその製造法
 ● 今夜の一品

【特許開発の概要】

従来から種々の魚肉加工食品として、(1)魚臭を低減に、マグロのような魚肉を、土壌菌を含
有する調味液に浸漬し、乾燥後、燻煙処理する方法。(2)マグロを包含する種々の魚介を、燻
抹調味料を用いて生ハム様にする方法。(3)サケ・マス肉と結着剤を用いて高圧処理した生ハ
ム様の魚肉加工食品の製造法などがあり、ビンナガマグロが最初につづいて、クロカワカジキの
肉質の特性を利用した、生ハムに非常に似た外観、風味、食感を有する魚肉加工食品として開発
される。その製法特徴はつぎのようになる。
尚、( )ないの数字はクロカワカジキ。

(1)生肉塊の塩水浸漬、非加熱乾燥物の少なくとも周縁部に冷燻処理を施してなることを特徴
  とする生ハム様クロカワカジキ加工食品。
(2)0~15(5)℃で25~35重量%の塩水に浸漬し、0~20(5)℃で冷風乾燥した
  ビンナガマグロの肉塊の少なくとも周縁部に0~40(5)℃の燻煙で燻煙処理を施してな
  る(1)記載の生ハム様ビンナガマグロ加工食品。
(3) ビンナガ(クロカワカジキ)マグロの生肉塊を、塩水に浸漬し、非加熱乾燥後、少なくと
  も肉塊の周縁部に煙処理を施すことを特徴とする(1)記載の生ハム様ビンナガマグロ(ク
  ロカワスカジキ)加工食品の製造法。
(4)0~15(5)℃で1~2(5)時間、25~35重量%の塩水に浸漬し、0~20(5)
  ℃の冷風で12(60)~60(168)時間乾燥し、0~40(5)℃の燻煙で2(24)
  ~90(60時間)分間燻煙処理する(3)記載の製造法。

ということになるが、乱獲による漁獲量逓減するなか、資源保護方法、人工孵化・畜養法の開発
が急がれるほどこの事業は魅力的である。もう、ヘミングウェイの『老人と海』に描かれた世界
はなくなるが、その変わり、美味で、健康的な食品が世界に提供できる日もそう遠くないだろう。、


    


下流老人の反デフレテロ?

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  ギリシャ・ユーロ(グレユーロ)は導入後に
        大きく下落する運命であるように思われる。 

                              ジョン・ノーマンド


 

 

● シャープの次世代太陽電池 NEDOプロジェクトで量産

NEDOは太陽光による発電コストを2030年までに7円/キロワット時に下げる目標に向け、複
数のプロジェクトを推進。このロードマップ実現に貢献に、シャープが実用化を進める高効率バ
ックコンタクト型太陽電池の量産に向けた技術開発が新たにNEDOプロジェクトとして採択。
ここで、バックコンタクト構造とは、電極を太陽電池の裏側に集めて受光面のシャドーロスを無
くす構造のこと。電極を太陽電池の表面に配置した場合、電極の影となる部分は発電が行えない。
こうした影による発電効率の損失をシャドーロスと呼ぶ。また、ヘテロ接合とは単結晶シリコン
基板の表面に高品質アモルファスシリコン膜を形成(ヘテロ接合)することで、太陽光の照射で
生じた正孔(+)と電子(-)が電池内部で結合して消失する現象を低減する。プロジェクトの
実施期間は2015~2019年度を予定している。



それにしても、なぜシャープなのか、なぜ、バックコンタクト-ヘテロ接合が次世代の太陽電池
なのか疑問がつきまとう。前者に関して言えば、この分野で先行していたシャープなどの日の丸
メーカが、ドイツなどの欧米・中国などのメーカーに塵後を拝し遅れを取ったにもかかわらず、
税金を注入するのか、裏返せば、パナソニックや東芝などの日の丸メーカもあるなかで。もっと
も公募・応募のパッケージ?でシャープが手を挙げた正当性は尊重されるべきということはある
が、この方式ではすでにパナソニック、東芝などは既に量産段階にあり、もはや次世代ではない
はずではと思える。グズグズしていると「半導体不平等ショック」の轍をこの分野でも踏むこと
になると危惧する。



● 世界最大747メガワットのメガソーラーが米国で稼働 
  「2020年33%」達成へ

今年6月に連系出力579MW、太陽光パネルの設置容量747.3 MWのメガソーラー(大規模太陽光発電
所)「Solar Star」がカリフォルニア州ロザモンドで運転を開始。世界最大規模である。年間発
電量は最低でも1560GWhが見込まれ、なんと一般世帯約25万5000世帯の消費電力に相当する。プロ
ジェクトは2013年初めに着手され、米サンパワー製の高変換効率タイプの単結晶モジュール(太
陽光パネル)を170万枚以上、採用した。最後のモジュールは今年3月に設置が終わり、プロジェ
クトの完成となった。架台システムは、太陽の方角に合わせてアレイの向きが自動的に変わる
「追尾型」。



尚、サンパワーは、モジュールの提供だけではなく、EPC(設計・調達・施工)サービスも担当し
た。プロジェクトの進行では、同社の「オアシス」と呼ばれるメガソーラーの開発・施工プロセ
スを簡素化したテクノロジーが使用された。さらにO&M(運転管理・保守点検)もサンパワーが
手掛けるている。発電した電力は20年の長期電力購入契約に基づいて地元の民営電力会社(Southern
California Edison(SCE)が買い取る。全購入電力はSCEがカリフォルニア州の「再生可能エネルギー
・ポートフォリオ基準(RPS:renewable portfolio standard)」を満たすために使う。

ところで、現在カリフォルニア州では再生可能エネルギーの導入目標を「2020年33%」から「203
0年50%」に引き上げる法案が出されている。もし、この法案を可決すれば、カリフォルニア州に
「Solar Star」を超えるプロジェクトが現れるかもしれないという。

それにしても、恐るべし、オバマ・イニシアティブ!これは大変愉快だ。

 

 

  

【デジタルアース工学立国論 Ⅹ: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

  目 次   

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  

     

 第2章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる

                               三つの分析方法から異常を監視
 
  さて、現在JESEAの「週刊MEGA地震予測」が、具体的にどんな方法で地震予測を
 しているか、ここで紹介しておこう。第ニ章で、あらためてメルマガの見方を紹介するが、
 ここでは我々がどんな睨点から地震を監擬しているか、その方法論を知っておいていただき
 たいからだ。
  現在我々は、三つの分析方法によって、地震の前兆を観測し、その解析をできるだけ分か
 りやすく情報として提供している。

  まず「週間異常変動」。国土地理院が2週間遅れで公開している七日分の高さ(H)だけ
 でなくXYZのデータを分析し、各地点の七日間で最も高い値と低い値の差が4センチを超
  えろものを、注意・警戒の対象として日本地図の図版入りで紹介している。4センチ以上
 地表が動くというのは非常に大きな変動であり、そこに何らかの異常があろと見るからであ
 る,

  二つ目は高さの「隆起・沈降量」。1年または.2念前の高さから地表がどの程度隆起、
 または沈降しているかを分析するもの。地球の表面は常に上下左右に徴妙に動き続けている
 が、どの地域が異常な隆起現象を見せているか、あるいは沈降しているかは、地震予測の大
 きな目安になる,最近は高さだけでなくXYZの「増加・減少」も分析している。
 
   三つ目が、最近取り入れた「累積変位」。この累積変位は、日々のデータの高さ(H)の2年前との
 変位差を6ヵ月間(約180日)累積したものだ。隆起及び沈降の鯖分値であり、長い期間
 にわたってどのくらい異常がたまっているかを見ることができる、メルマガでは3ヵ月ごと
 に累積変位マップを掲載している(図13「2014年9月24日メルマガ 日本列島累積変位
 マップ」)。このマップを見てもらえば、3・11以降、列島全域にいかに隆起・沈降によ
 るひずみがたまっているか、ひと目でお分かりいただけるだろう。 



  第一章で、3・11の前兆現象として宮城県や岩手県の累鯖変位を紹介した。後追いでは
 あるが、この累積変位の検証が、いままでとらえることのできなかった初のプレスリップ(
 前兆滑りともいう)観測にもつながった,一日ごとの変化は小さいが、長期にわたってひず
 みの値を足していくと、大きな差になり、大地震の前兆を仔細に監視していける非常に有効
 な方法だと思っている。
  こうしたご.つの監睨方法で、電子基準点のデータを見ていくと、いかに地球が軟らかく
 できているかが手に取るように分かる。
  大きな地震の前には数センチの単位で地表が動くのが観測でき、さらにその動きをほかの
 方法で解析してみる。
  と、どの地域にひずみがたまり、どの地域にどのくらいの規模の地震が発生しそうか、地
 球の動きが診断できるのである。

  いまでは50近い人工衛星を用いた衛星潮位システムによって、その精度は格段に上がり、
 誤差はほんの5ミリ程度。数年たてば、1,2ミリにもなろうかという正確さである。座標
 の値にまだ誤差があったころは、当時特許を取った三角形面積の変動率を加えないと精度が
 粗くて使いものにならなかったが、いまは点の座標の動きだけでもかなり正確な情報をつか
 むことができるようになった。

  加えて、地表の診断がスピードアップできるようになったのは、衛星潮位システムの進歩
 だけによらず、2007年ごろを機に、計算機の飛躍的な進歩で、データを分析する複雑な
 計算が短時間でできるようになったためだ。研究を始めたころ、何時間、何日もかけて数式
 と取り組んで格闘していた日々を思うと、まるで別世界に来たようである。メルマガのスピ
 ーディーな配信ができのも、こうした科学の進歩のおかげだ。


つまり、すべからく『デジタル革命渦論』の恩恵に浴しているわけだが、まだまだ、進歩してい
くことをわたし(たち)は、1989年に職域で個人的に『マルチメディア研究会』を発足させ
た当時の想定した思考枠を超えるものではないことだけは言明しておこう。まだ、まだこんなも
んじゃないということを。


                                 3・11前に起きたメガ地震の特徴

  日本は言うに及ばず地震の多発地帯である。地震を経験したことのない外国人であれば、
  震度3くらいであっても「地面が揺れている」こと自体に恐怖し、大騒ぎするが、地震慣れ
  している日本人であれば、震度3、4くらいの地震ではさほど驚かないものだ。
  しかし、同じ地震でも、さまざまな顔(特徴)がある。私が地震予測の研究を始めたきっ
 かけとなった2003(平成15)年の十時沖地震に関してはすでに紹介したので、ここで
  は、3・11前に起きた、震度5以上の特徴的な地震について分析してみたい。
  なお、ここでいう特徴とは、前兆現象に見るそれぞれの現れ方の特徴のことである。


 ・「揺らぎ」が繰り返された福岡県西方沖地震(2005・3・20)

  福岡県西方沖地震は、2005(平成17)年3月20日10時53分、福岡県北西沖の
 玄界灘で発生した最大震度6弱の地震である。地震の規模はマグェチュード7・0。この地
 域には過去にマグニチュード7クラスの地震はめったになく、歴史的に地震が起こりにくい
 と認識されてきた地域で発生した,その意味では地震学者にとっても、想定外の珍しい地震
 であったといえる。しかし、電子基準点データでは異常が出ていた。

  この地震の前兆現象については、荒木さんともずいぶん議諭したのだが、前兆の現れ方が
 分かりにくく解析に戸惑ったことを覚えている。
  十勝沖地震は一発できれいな前兆現象がデータに現れたのに比べ、福岡県西方沖地震の場
 合は、グラグラと異常変動が出るものの実態がはっきりせず、そのグラグラが何度も続いて
 出るという珍しい現れ方だった。荒木さんはその現象を「揺らぎ」と称したが、その揺らぎ
 が4、5回続いた後、マグニチュード7・0の地震が発生したのである。 
     この地震は、陵追い険証てはあったが、これまてにない特徴を持った前兆を知る1つの
 パターンとしてとても参ぢになる地震であったと思う。
 (図14「福岡県西方沖地震の前兆」)

 


  ・非常に前兆が明瞭だった中越沖地震(2007・7・16)

  2007(平成19)年7月16日10時13分に発生した中越沖地震は、新潟県中越沖
  (新潟市の南西約60キロメートル)を震源とする地震である。マグェチュードは6・8最
  大震度は長岡市などで6強を観測した。中越地方では2004(平成16)年にも新潟県中
  越地震が起きているが、このときもマグュチュード6・8、震源の深さ22キロメートルの
 直下型地震であった。

  中越地震では、地震で起きた土砂崩れの中に車ごと小さな男の子が埋まってしまい、二次
 災害が起きそうな劣悪な環境の中で、消防士やレスキュー隊の方によって小さな命が助け出
 されたニュースは印象的であった。
  中越沖地震も、検証では、非常に明瞭に前兆が出ている。図の矢印に示すように、約2ヵ
 月半前に4センチ超の一斉異常変動が見られた。
 (図15「中越沖地震の前兆」)

  

 ・地滑りが特徴的だった岩手・宮城内陸地震(2008・6・14)

  2008(平成20)年6月14日8時43分に岩手県内陸部(宮城県仙台市の北約90キ
 ロメートル)で発生した、マグーチュード7・2の大地震。これは、大きな特徴として、私の
 知る限り最大級の地滑りが起きた大地震であった。
  同県奥州市と宮城県栗原市において最大震度6強を観測したが、被害地域が山林、過疎地で
 あったので、震度のわりには建物被害が少なかったといえる。ただ土砂災害はひどく、地すべ
 り、崩落が起きて、高さでいえば百メートルも滑り落ちたのである。栗駒ダムによって土石流
 は止まったものの、栗駒の旅館が流され、何人かの犠牲者が出てしまった。被災地が過疎地で
 はなく、人の住む集落があったなら、あれだけの土砂崩れ、滑落がれば、相当の犠牲者が出て
 いたはずである。
  この地震の前兆現象もクリアに出ている。図の矢印で示すように、約4ヵ月半~4ヵ月前に
 一斉異常変動が見られた、
 (図16「岩手・宮城内陸地震の前兆」)

 


13年周期で大きな地震が発生するとして、2011年の東日本大震災を起点とすれば、20
24年に日本列島周辺に発生することになる。これは東京オリンピック開催の4年後に当たる
が、その時、福島第一原発はどうなるのか?そのた50ヵ所地殻の原発どうなるのだろうか?
核廃棄物や核汚染物質の中間貯蔵施設はどうなるのだろうか?東京が打撃を受けた場合はどう
なるのだろうか?と、疑問が具体的になってくるから、抽象的な確率論より、議論は白熱を帯
びて面白い。


                                                                                                 この項つづく 

 

  

● ワーキングプアーと後を絶たぬ違法行為

全国展開する靴の販売店、ABCマートが従業員に違法な長時間労働をさせていたとして、東京
労働局過重労働撲滅特別対策班、通称「かくと」は、労働基準法違反の疑いで2日にも運営会社
を書類送検する方針を固めた。「かとく」は、いわゆるブラック企業対策のため、ことし4月に
発足した組織で、送検を行うのは今回が初めという(NHK放送 2015.07.02)。これはデフレ脱却
していない証ということになるがいかに。

 

● 東海道新幹線で焼身自殺は、下流老人の反デフレテロ?

神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺した、東京都杉並区西荻北、林崎春生容疑
者(71)が事件前の6月中旬頃、杉並区の区議に電話で「仕事を辞めて収入が年金だけになっ
た。生活が大変になって困っている」と相談していたことが分かったという(読売新聞 2015.07.
02)。これを受け、『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護基準は、
144,430円(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円【特別基準における家賃
上限】)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事実だとすれ
ば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生活保護を福祉
課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた可能性がある。月額
2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。生活に不安を抱え、
どうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮かぶ。」と語っている(YAHOO!ニュース「新幹
線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防止策は「貧困対策」ではないか!?」 2015.07.02)。
ここでも脱デフレで苦しむ下流高齢者像が浮か上がっていくるとしたら、ブログでも掲載してき
た(『"失われた30年"模様』2015.06.24)ように、日本の政体の中枢の崩壊を意味するのかも
しれない。

 
※ 近々、『下流老人』を読むつもりだ。またその感想を掲載する。

 

 

 

 

 

感染症病原体高速検出工学

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  キム氏は当時(2015.05.20)、検査・隔離対象者ではなかった。
        症状がなく、遺伝子検査でも確認できない状態だった。

                    韓国 MERS 疾病管理本郡の分析 

 



S Korea to jail people defying MERS quarantine measures



【感染症病原体高速検出工学】                                 

先月末の母の月命日と田中さん七回忌の墓参りの時の話。例により菩提の宗安寺は最寄りの手打
ち蕎麦で昼食を頂いていたとき、鰊蕎麦を食べながら、空港など感染症の検疫体制の話をとりと
めなく話していたら、ふと、感染症病原体のリアルタイムで検出装置があればいいのにねという
ことになったので、遺伝子解析システムのめざましい進化のことをつい熱く語っている自分に気
付き、話を打ち切り彼女を残し、駐車場に止めてある車の施錠を忘れていたと言い訳し、そそく
さと店をでた。



ところで、多種多様な感染症病原体を検出する新しい遺伝子分析方法や、多項目同時病原体遺伝
子検出システムの提案がなされるなか、検疫現場では、(1)非接触方式で、(2)自動サンプ
リングし、(3)自動的にリアルタイムで検出判定できれことが前提となるが、(1)の例とし
て、陰圧状態にした検疫室マジックミラー前で呼吸を大きく数回繰り返すだけで1分以内で、体
温、脈拍などが計測、呼気を自動サンプリングし終えれば退室した被検疫者が出国・入国ゲート
に移動する時には、パスポートのRFIDと照合され検疫結果が出力され、異常を示す症状を保
有した被検疫者は、直ちに処置・隔離プログラムに従うというシステムイメージである。

このように、様々な種類の複数の細胞が含まれると考えられる試料から、特定の細胞のみを検出
することは、幅広い分野にわたり必要とされ、特に医学、薬学に関連するバイオテクノロジーの
研究開発や臨床現場で、多数の細胞中の、特定の細胞――感染症病原体に感染した細胞(癌細胞
等)の検出判定できれば高付加価値を生み出す。しかし、特定細胞の存在割合が低い場合、多く
の細胞が存在する試料からこの特定細胞の検出は大変難しい(下の特許説明図の上をダブルクリ
ック参照)。
                     



特開2015-083012  細胞検出方法及び該方法に用いるマイクロアレイチップ

例えば、感染症の一つの、マラリア原虫が赤血球細胞に感染し生じるマラリア原虫感染症がある
が、感染症の検出・診断方法には、(1)血液細胞をスライドガラスに塗抹、乾燥し、ギムザ染
色した後に顕微鏡下でマラリア原虫による感染の有無・程度を観察する方法、(2)イムノクロ
マトグラフィー法を利用してマラリア原虫による感染の有無・程度を検査・診断する方法、(3)
PCR法を利用してマラリア原虫による感染の有無・程度を検査・診断する方法、(4)マイク
ロチャンバーを集積化し、ヒーター等と連結し、ハイスループットに生体試料の生化学反応等を
行うシステムのクロアレイチップ法、(5)(4)を複数のマイクロチャンバーを備えたマイク
ロアレイチップにした方法(上図、特許)があるが、(1)は、所要時間は40分と長く、全血
液細胞の0.01%程度の細胞感染が検出限界で、感度が悪い。(2)は、所要時間が20分程
度と短時間であるが検出感度が悪い。また、(3)は、5時間程度を要し、また操作が煩雑が、
(1)より検出感度は高い。(4)は感度が悪い、(5)の複数のマイクロチャンバーを備えた
マイクロアレイチップ-蛍光標識法は迅速、簡便、高感度――0.0001%程度の感染率でも
検出されるというが、具体的な所要時間(特許では30分以上の所要時間)が、不明であるが、
わたし(たち)がイメージする検出システムでは5分が上限である。従って、複数の病原体を検
査するとなる最長時間を必要とする完成症病原体がBNE(工学的隘路)となる。また、感度を
挙げるためる方法として、採血や耳鼻咽喉の粘膜採取などの接触法を採用せざるをえなくなる。

 

以上、ザックリと考察してきたが、高感度で高速で検出システムに関して独自の構想イメージが
あるので残件扱いとし、時宜をえて掲載継続していく。

                                                            

 

    

【デジタルアース工学立国論 Ⅹ: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

  目 次    

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに   

      

 第2章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる 

 ・4つの電子基準点で異常が鮮明に出た駿河湾地震(2009・8・11)

  2009(平成21)年8月11日5時7分に静岡県御前崎沖の駿河湾で発生した地震で、
 マグニチュードは6・5、最大震度は御前崎市や焼津巾などで震度6弱を観測した。
  震源は御前崎沖の海底.であるが、その周辺にある、中川根、伊東ハ幡野、富士宮1、静
 岡清水市1の電子基準点の動きを見てほしい。駿河湾地震の起きるちょうど1カ月前に、ー
 斉に 大きく隆起して沈降するという前兆現象が鮮明に示されている。
  マグニチュード7、8クラス以上の巨大地震になると、こうした前兆現象が半年前から出
 ていることが多いが、マグニチュード6クラスのこの規模の地震の前兆は、3週間~1ヵ月
 前に出るということも、検証研究で分かってきたのである。
 (図17「駿河浦地震の前兆」)


 

                3・11以降に起きたメガ地震

  紹介したものもあるが、ここでまとめて前兆現象を列挙してみたい。2013(平成25)
 年2月からは、メルマガで地震予測サービスを開始し、大きなクラスの地震に関してはほぼ
 異常変動を察知し、注意や警告を出すことに成功しているが、もちろん百パーセントではな
 く中には予測できなかったものもある。
  最初に紹介するのは、あまりに震源地から離れ、しかも震源が深かったために、地震を予
 測できなかった鳥島近海地震である,こうしたケースにはこれからも出会うであろうし、そ
 の都度、新しい解析方法を加えるなど、改善が必要だと考えている,この鳥島近海地震は、
 そうした改善のヒントを与えてくれた地腹でもある。


 ・震源が深すぎてキャッチできなかった鳥島近海地震(2013・9・4)

  2013(平成25)年9月4日9時18分ごろ、東京から582キロメートル離れてい
 る鳥島の近海で、マグニチュード6・9の鳥島近海地震が起きた。震源は地下400キロメ
 ートルときわめて深い。そのためか、マグニチュードは大きいのだが、震度4は宮城県、福
 島県、茨城県、栃木県、埼玉県、千葉県、神奈川県の7県にまたがり、震源に近い伊豆諸島は
 震度2であった。
  我々は、この地震を予測できなかった。
  震源が深すぎて、地表にある電子基準点に前兆が現れなかったのだ。あらゆる地震を予測
 すると標榜してJESEAを立ち上げたのに、前兆現象が出てこない例があったことに、私
 は少なからずショックを受けた。かつて電力会社と協力して162の地震の検証をしたとき
 も、すべて前兆現象をキャッチできたのだ。

  鳥島近海や小笠原諸島西方沖、東海道南方沖などの海域では、しばしば深さ350キロメ
 ートルから500キロメートル前後の深発地震が発生している。このときの地震で鮮明な前
 兆が出なかったということは、おそらくゆっくりとひずみがたまって起きるタイプの地震だ
 と考えられた。前に述べた、がん細胞がゆっくりと増殖していくタイプの地震である。その
 症状はなかなか体の表面(地表)には出にくい。
  そこで、前述した「累債変位」という新しい解析方法を、2014年の3月末から試みる
 ことにしたのである。

 ・千代田区で震度5弱を観測した伊豆大島近海地震(2014・5・5)

  鳥島近海地震が予測できなかったことをきっかけに、新たな解析方法として「累積変位」
 を試みたことで、明らかになった前兆現象があった。次に示しているのは、2014(平成
 26)年3月26日のメルマガで公表した図版である(図18「首都圏に累積変位がたまっ
 ている」)。
  ここに見られる黒い点(歪レベル最大)は、2年前と比べると、累積したひずみがたまっ
 て、10センチほど隆起していることを表す。図で見ると明らかだが、東北及び、東京、神
 奈川県、千葉県、埼玉県などの首都圏に、累積のポイントが集中しているのが分かるはずだ。

  

  東北地方の隆起に関しては、3・11のときに、太平洋側が沈んで、日本海團が盛り上が
 ったものが、いま、もとに戻ろうと太平洋剥が隆起し始めているということで説明がつく。
 しかし、関東地方にこれだけの隆起が見られるのは、それとは別の現象と考えられた。
  これだけ首都圏に同値を超える危険信号が、多数点で点灯しているのは、明らかに異常の
 前兆現象だと確信した。公表することへの慎重意見もあったが、勇気を出して4月9日のメ
 ルマガで「首都圏は要注視」と呼びかけた。

  その1カ月後の、ゴールデンウィーク5月5日に、伊豆大島近海でマグニチュード6・0
 最大震度5弱の地震が起きたのである。あの3・11を思い起こさせるような大きな揺れが
 関東地方を襲い、中でも東京の中心地、千代田区の揺れが一番激しかった。震源はは伊豆大
 島近海であったが、まさに首都圏を揺らした地震であった。
  この地震の震源深さ.62キロメートル,地震学者は、地下深くで起こる地震の予兆が地
 表を見るだけで分かるはずがないという。確かに鳥島近海地震ではキャッチすることができ
 なかったが、「累積変位」の解析方法を新たに加えたことで、震源の深い地震の賢常もとら
 えることが可能になったのだ。
 
  この地震と、約一週間後に首都圏で起きた地震(最大震度4)を的中させ、「週刊ポスト」
 が「またも当たった!」と記事にしてくれたので、ここでも世間の関心を大いに引くことになった。
 が、私としては、当たった成果よりも、新しい解析方法によって異常を見極めることができ
 た喜びのほうが大きかった。
  しかし、こうした週刊誌の記事がきっかけで人々が地震の予測に関心を持ち、メルマガを
 購読してくれれば、日々日本列島がいかに動いているか、そして地震を生むひずみを育てて
 いるか、理解してもらえると思う。何度も言うが、地震にはさまざまな顔がある。その顔を
 見極めるには、さらにまだ改良の努力が必要だ。

 ・「一斉変動」で「要注意」を出した沖縄本島北西沖地震(2014・3・3)

  地震のがん細胞を見極める「累鯖変位」に関連づけて伊豆大島近海地震を先に紹介し、時
 系列が前後したが、2014(平成26六)年3月3日5時11分に、沖縄本島北西沖を震
 源とする、最大震度4の地震が起きている。深さは約で10キロメートル。震度はさほど大
 きくはなかったが、マグニチュードは6・6と、地震の規模では2014年に日本国内で起
 きた3番目に大きい地震であった(12月10日現在)。

  この沖縄の地震の約3ヵ月前に、我々は異常をとらえていた(図19「沖縄の一斉変動」)。
 沖縄県の北谷町に4センチ以上の異常変動が見られ、ほかの沖縄にある電子基準点がその前
 の週に比べて、2、3センチではあるが、一斉に同じベクトルに動いていたからである。第
 1章の3・11の前兆現象の解析でも説明したが、「同じ日に多数点が一斉変動する」現象
 は、大きな地震が起こる危険サインである。

  異常変動の量は大きくなくても、我々は「一斉変動」という異常現象のほうの危険サイン
 に重きを置き、2013年12月18日号のメルマガで沖縄地方へ注意を促した。3ヵ月以
 内に、ある程度大きな規模の地震が来ると予測したのである。
  そして、やはり沖縄の電子基準点の一斉変動は、3ヵ月後に起きたマグュチュード6・6
 の地震の前兆であったのだ。
  当たったか、当たらなかったかという判定では、これは当たったということになるのだろ
 うが、JESEAとしては、そこを強調するつもりはない。一人でも多くの人が、自分が住
 んでいる地域の危険サインを認識し、いざというときにパニックにならず、迅速に行動でき
 るようになる。そのことが我々の活動の最大の目的だと思っているからである。


ここに書かれている著者の言語をアルゴリズム(機械語)に翻訳すれば、予測判定をより高度化
(高級化・複雑化)できるということになると、言う感想をもった。次回も、御嶽の噴火前兆な
どの事例研究が掲載される。
                                                               この項つづく  

 ● 今夜の一品

この手があったのかと驚く。それは、清洲桜酒造株式会社が販売している「ブランデー梅酒」。
いつものように寝付きが悪いので、目を覚ましキッチンを物食。それを見つけ、早速ショットグ
ラスに注ぎ流し込み、そのまま煮込む。家で水洗いした梅のへたを取り冷凍し、解凍し、ブラン
デーに漬け込むこと最短1週間で完成。甘味料原則加えないが、氷砂糖などを加え甘口にするの
も好み。透明感がほしいならキッチンペイパーやコーヒーのドリップフィルタなどで濾過すれば
いいだろう。なにっ?もっと透明感がいるってか?備長炭や竹炭で濾過したどうだろうか、やっ
たことないけれど。さらに、ザラメをカルメラにしたものを加えたり、クエン酸(檸檬酸)を少
し加えるのも良いだろう。バイオレーションとして大葉やディル、タイムなどハーブ、クローブ
やシナモンもほんのチット加えるのも良いかも(やったこともないが)。 医療費削減対策に役立
つことだろう。

世界緑茶医療革命

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   朝茶は福が増す。 /  日本のことわざ

 

 

● 水面の冷却効果で14%発電量アップ?!

兵庫県北播磨県民局は2014年4月~2015年3月、小野市浄谷町の浄谷新池の水面で、出力40キ
ロワットのフロート式太陽光発電の実証実験を行いその結果を公表。それによると、屋根上に同
じ角度で設置したパネルに比べ、発電量が14%多かったという。フロート式太陽光は、20キ
ロワットを設置。フロートの中央部分にスプリンクラーを各1台設置し散水に効果などを実験し
ている。(1)庁舎屋上に同じ角度で設置した太陽光パネルと比べ発電量が14%――水面の冷
却効果――多かった。(2)9月の正午から5時間の散水実験では「散水あり」の方が発電量が
多かった。これは、使用したアンフィニジャパンソーラー社パネルが単結晶シリコンで、変換効
率の温度劣化性(低温>高温)による。逆に言えば、化合物半導体系パネルなど温度依存性の低
いものに交換する、あるいは、赤外線カットフィルタやこのように水噴霧による冷却を施せば良
い話でもあり、また、モジュールの高変換効率(25%超)パネルに載せ替えれば良い話である。

● スーパー緑茶の威力って?! 

煎茶1グラムをフードプロセッサ(あるいはすり鉢)に入れ、大葉2枚を千切り入れペースト状
になるまで粉砕。これを30~60分室温放置。お湯を加え1分放置し、茶漉しをつかい湯飲み
に注げばできあがるのが「スーパー緑茶」という(NHKの「ためしてガッテン」)。うまみが
5割多いだけでなく、「エピガロカテキン」で免疫力が高まるというのだから驚く。




まず、エピガロカテキンは、通常、熱湯で緑茶を点てると、カテキンが溶出しこれが苦みとなる
が、低温で点てると、エピガロカテキンの溶出量が逓増し、旨味が増すということが分かってい
たが、このエピガロカテキンをヒト細胞溶液に加えるとマクロファージの活性化(=免疫力が向
上)することが発見される。

さらに、ワサビはすりおろして初めて辛くなり、ニンニクやタマネギも傷つけられると臭いや催
涙成分を生成し、その物質は抗菌作用が強く,これらの現象は植物が自分の身体を守るために持
っている仕組みと考えられているが、お茶でも同じことが起こっていいるという。つまり、新鮮
な茶葉をすぐに加熱処理すると成分はほとんど変化せず、新鮮な時に傷つけ,細胞を破壊すると、
茶葉のポリフェノールが酵素により酸化され抗菌性の強い色素(紅茶色素テアフラビン)が出来
き、このテアフラビンが腸内で脂肪や糖分の吸収を抑制、メタボなどの成人病発症予防に役立つ
と期待されている。NHK製スーパー緑茶では、大葉の酵素が触媒となりテアフラビンがつくら
れるという。これは医療費抑制・健康促進のバーゲンパワーとなりそうだ。


さっそく、チャレンジしてみようと思うが、とにかく、新しい毎日なんだ(ヘミングウェイ『老
人と海』)、という具合に、時間があっというまに過ぎてしまうという、新しい体験をしている
昨今を過している。これにはまとまった休息を必要としている。  

    

 【デジタルアース工学立国論 11: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。 

  目 次    

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに    

     

 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる 

  ・6ヵ月前に「一斉変動」が見られた伊予灘地震(2014・3・14)

  2014(平成26)年3月14日午前2時6分に発生した伊予灘を震源としたマグェチ
 ュード6・2の地震に関しては、すでに第.章でも解説した。震源の深さはむ8キロメート
 ル、愛媛県西予市で最大震度5強を観測した。この伊予灘地震の予測も、電子基準点のデー
 タの「一斉変動」によって、危険を察知できたのである。
  繰り返すが、伊予灘地震の前兆は、本当に東日本大震災のパターンと酷似していた。20
 13年の6月末から7月はじめに九州、四国、紀伊半島で異常な地殻の変動があった後、伊
 予簾地震が起きるちょうど半年前、2013年9月1日からの一週間にかけて910もの観
 測点で4センチ以上の変動が確認された。不吉な一斉変動である。

  さらに10月、翌年の1月と、九州と四国地方で隆起と沈降の動きがあり、その後は静謐
 状態が続いたが、2012年1月から計算すると、10センチ以上隆起している場所がある。
 かなり危険なサインである。地震の1ヵ月ほど前には、震源にほど近い高知県の平野郎や沿
 岸郎で隆起や沈降が薩認されたことで、私は、メルマガで南海地方への地震の注意を促して
 いたのである。
  地震の規模としては、我々が予測していたものよりはるかに小さかったが、3月に私が出
 演したテレビの番組で「3月末までに南海地方に来ます」と宣言し、それが的中したことで、
 大きな反響を呼ぶことになった。

  南海トラフ地震に関しては、現政府が最も警鐘を鳴らしている地震の一つで、皆さんの関
 心は非常に高い。週刊誌の扱い方も非常に扇情的で、最大30メートルを超える津波が発生
 し、予想犠牲者は30万人を超えるなどと人々の恐怖をあおる形で書きたてているが、先述
 したように、統計や確率計算では地震は予測できない。さらに付け加えれば、我々は、南海
 トラフ地震や首都直下地震といった、人々の関心が集まる特定の地震を予測しようとしてい
 るわけではない,
  地震の規模(マグニチュードで表される)や震源地を予測しているのではなく、あくまで
 地表が拙れる地域と震度(揺れの度合)の予測を目指している,地震大国である日本に住む
 人々が、地震と賢く付きかうには、こうした日々の情報が最も重要だと思うからである。

  ・御嶽山噴火の前兆か? 飛騨地方群発地震(2014・5~)

  序章でも触れたが、2014年9月27日に起きた御嶽山噴火は、火山の噴火によるもの
 としては戦後最大の犠牲者を出した最悪の災害となった。
  JESEAでは、電子基準点のデータから、飛騨地方、甲信越地方の異常をとらえていた。
  2014年の2月と5月に、この地域の電f基準点の20点近くに一斉に異常が見られ、
 同時に、飛騨地方に群発地震が発生したからである。
  最初の2月の観測時点では、電子基準点の異常は降雪が原因かとも思われた。この時期、
 甲信越に2週続けて週末に雪が降り、1メートル以上の積雪が見られたからだ。電子基準点
 のデータは、積雪にも感知する。しかし、雪が原因の異常値であれば、溶けるまで数値は動
 かないが、このときは一日でもとに戻った。この地面のくしゃみのような現象が2月に起き
 5月には小さな地震が多発していた。そこでメルマガで「特集・岐阜、長野県境に群発地震」
 と特集を組んで、この地域の人々に注意を促したのである。

  その後も、群発地震は収束せず、我々は明らかに異常を感じていた。
  やや専門的な話になるが、マグニチュードが1違うと、エネルギーは32倍違ってくる。
 マグニチュードが2違えば、32の2乗で、およそ千倍違う計算になる。群発地震というの
 は、せいぜいマグェチュード3か4なので、マグェチュード6の地震とは4桁もエネルギー
 が違う。したがって、群発クラスの地震が千回起きてやっとづフンスがとれるわけである。
 ということは、群発地震が数10回起きても、そこでエネルギーが拡散されて大きい地震が
 来ないという保証はまったくない,

  もちろん、以前、松代や伊東で起きた地震で群発で終わったものもある。しかし、過去に
 そうであったからといって、今回の群発地腹が大きな地震の予兆ではないとは言い切れない,
 2月に2回基準点の一斉変動があったことから、一過性の群発地震では終わらないだろう。
 飛騨地方、甲信越、新潟の一部にかけて、おそらくマグニチュード6以上、震度5以上の地
 震が起きてもおかしくないと予測し、めったに出さない「要警戒]地域として、メルマガで
 配信していた。と同時に、この地域の活火山の動向にも注意を向け、浅間山の噴火にも注意
 を呼びかけていた。ちょうど本書の取材が八月にあり、9月、10月に大きな異変があると
 いう見解も述べていた。

  その後も、御嶽山噴火の直前まで、メルマガで飛騨、甲信越ヘの警戒を呼びかけ、地震に
 関するコラムでは御嶽山の噴火の歴史まで紹介していたのだ。しかし、そこまで危険サイン
 に近接していたにもかかわらず、御嶽山噴火の予測には至らなかった。
  あらためて御嶽山に一番近い王滝の電子基準点の日々の高さの変動を調べてみると(図20
 「王滝のグラフ」)、2014年の2月8日と14日に異常な沈降を示し、その後しばらく
 静謐状態が続き、6月9日から13日にかけて4センチを超える異常沈降があった,その後
 も4センチ程度の異常変動が頻発していた,おそらくこれが火山噴火の前兆であったと考え
 られる。


  さらに、御嶽山周辺に平年の3倍を超す雨量があったのが、水蒸気爆発のトリガー(引き
 金)になったと思われる。
  こうした災害が起きると、非常に悩ましく、苦しい思いに駆られる。噴火に巻き込まれた
 犠牲者のことを思うと深い悔恨を禁じ得ない。
  地震予測は、本当に精神的にタフな仕事である,忍耐もいる。
  御嶽山噴火の惨事は、我々の気持ちを再び引き締める教訓となった。

 ・北海道石狩南部地震(2014・7・8)

  飛騨地方の群発地震とときを同じくして、北海道の電子基準点でも異常変動が続いていた。
  函館を中心に、青森県から道南にかけて、異常値がついたり消えたりを繰り返していたの
 である。最初はあまりに大きな変動なので、データに何か不具合があるかと思うほどであっ
 た。これは東日本大震災の検証研究でも明らかになったことだが、東北地方でも青森県だけ
 は岩手や宮城とは別の特徴的な動き方をしているのである。青森県は東北地方の動きに連動
 するのではなく、むしろ北海道とつながった動きをする。このことは基準点の動きを見てい
 ると非常によく分かる。

  何度も繰り返される賢常値から、JTSEAでは、道央を中心に注意を呼びかけていた。
 それが2014(平成26)年7月8日18時5分ごろに起きた、石狩地方南部を震源とす
 るマグェチュード5・6、最大震度5弱(白老町)の地震である。大きな被害はなかったが
 このときは、北海道に緊急地震速報も出たようである。

 ・長野県北部地震(2014・11・22)

  2014(平成26)年11月22日、長野県北部を震源とするマグニチュード6・7、
 最大震度6弱の大きな地震が起きた.。
  飛騨地方群発地震の項でも触れたように、JESEAでは、同年2月26日号のメルマガ
 で複数点に週間異常変動が現れたことから「甲信越地方は要注意」とした。4月30日号で
 は白馬の電子基準点に異常値が出たため、引き続き「甲信地方は要注意一とした。5月7日
 号からは関東甲信越を「要警戒」とし、9月3日号まで「要警戒」を続けた,その中の主な
 記事として、8月6日号のメルマガから採録しておこう。このとき掲載した週間異常変動図
 (図21「2014年7月10~19日 週間異常変動図」)には、震源に近い白馬でも7月12
 日から16目までのわずか5日間で、8・3センチも沈降したことが示されている。

    この地域(甲信越飛騨地方)は続けて要警戒を呼びかけてきました。この地域では2
  月に2度異常変動が見られたことと、群発地震が起きたためです。今回もこの地域では
  長野県の駒ケ根で10・4mの異常変動が見られました。長野県で4m超の異常変動点の
  数は15点もありました。
   群馬県で6点、山梨県で4点の異常変動点がありました。地震が起きる可能性が一番
  早いと考えられます。群発地震で済むとよいのですが、心の準備はしておいたほうがよ
  いでしょう。


  その後、9月3日に栃木県北部地震(最大震度5弱)が発生し、同27日には御嶽山が噴
 火したため、ある程度エネルギーが解放されたと解釈して「要注意」に引き下げ11月12
 日号まで「要注視」を継続した。
  この長野県北部地震は、前兆が出た後の静謐期間中にも群発地震や御嶽山噴火があったこ
 とから非常に難しい予測となり、結果的に、地震が起きた前週までしか注意喚起できなかっ
 た。さらに精度を上げ、静謐期間を十分に考慮して予測しなくてはならないと思わされたケ
 ースである。


                         最近の日本の隆起・沈降の傾向

  東日本大震災を軸に、その前後に起きた大きな地震に関して、前兆がどう現れたかを解説
 してきた。
  メルマガの要警戒・要注意を「震度5以上に絞っているのは、当然ながら、被害が出やす
 く、命に関わる災害の規模を基準に考えてのことだ。東日本大震災の余震も含め、震度3、
 4以下の地震は多発している。
  こうした人間が感知できる地面の揺れ以外にも、地表は毎日、微妙に上下左右に動いてい
 る。普通に生活している中ではこうした地表の動きは人間には分からない。しかし、地震予
 測のために電子基準点のデータを分析していると、日本列島のどこもかしこもが歪ん
 でいる、そして歪みつつ動いていることを日々実感させられる。

  いま、日本列島に何か起きているのか、最近のデータから日本の隆起・沈降の傾向をまと
 めてみよう。

                      震災で110センチも沈降した宮城県

  地表がいかに動いているか。宮城県が非常に象徴的である。
  この2010(平成22)年から2014年までのグラフを見ると一目瞭然だが(図22
 「宮城県の隆起・沈降」)、2011年3月11日の地震で、牡鹿が約110センチ沈降、
 つまり地面が以前より低くなっているわけだ。国土地理院の発表は1・2メートルだが、電
 子基準点のデータからは1・1メートル沈降と出ている。二番目に沈降したのが女川で85
 センチ、その次が志津川、気仙沼と続いて6、70センチ沈降している。つまり太平洋側が
 大震災によって地面が落ち込んでしまっている。



  私が不思議に思うのは、現在宮城県では、沈降したこのあたりに津波除けの堤防をつくろ
  うとしているのだが、地面が沈降していることをまったく計算に入れていないことだ,たと
 えば7メートルの高さの堤防をつくったとしても、実際は5・8メートルの高さにしかなら
 ない。これでは5、6メートルの津波でも、防ぎ切れないだろう。さらにいえば、その広大
 な堤防がどんな地盤に立てられるのかということにも、行政はいっこうに関心がないようで
 ある。ここ最近の動きでいうと、一度沈降したところが隆起し始めているのである。場所に
 よって違うが、女川や気仙沼など、沈んだ地面が20センチ以上隆起する傾向を見せている。

  戻っているならいいではないかと思う人もいるだろうが、上下左右に動いている地表は同
 じようには戻らない。傾斜も隆起の速度も違う。その証拠に、宮城は沈降したものが隆起し
 ているのに、福島は沈降した後の隆起の速度は小さい。すると、福島と宮城のあいだにひずみが
 出てくることになる。

 「累積変位」の説明でも指摘したが、沈降や隆起をゆっくり繰り返しながらこうしたひずみ
 がたまっていき、それがまた地震のエネルギーとなる可能性が高いのである。東日本大震災
 の余震が、宮城、岩手や福島でずっと続いているのも、隆起・沈降によるずれやひずみが原
 因だと我々は考えている。
  累情変位で見ると、大震災以来、東北、関東の太平洋岸にはまだ相当のエネルギーがたま
 っている。2014年10月15日にも、宮城県沖を震源とするマグニチュード4・5、最
 大震度4の地腹が発生したが、日常的に中小の地震が頻発しているので、要注意である。

                                    この項つづく 

 

   ● 今夜のテーマ


【世界緑茶医療革命】

わたし(たち)は、6年前に緑茶で医療の革命―長寿健康社会の実現―と、考えこのブログでと
り挙げてきたが、その間、世界中に緑茶の魅力が広がっていった。抹茶は、いまでは、英語でも
「Matcha」として定着した。そして、緑茶二関するアレンジメントやバイオレーションが様々な
地域で展開されている。そして、超高齢社会で嵩む医療費削減のバーゲンパワー・機能性食品の
筆頭として考えていた。その間、いろいろな疫学的臨床試験データや関連知財が集積されてきた。
その集大成として「スーパー緑茶」の登場となった。ビバ!緑茶革命。世界の人々に恵みあれ!、

 

 

 

 

 

最新原子層集積技術

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  EUとユーロはドイツが一人勝ちするシステムだ。 /  エマニエル・トッド 


 



● 最新原子層集積技術


 原子層集積装置がいよいよ普及実用化される時代を迎えている。原子層堆積法(Atomic Layer
Deposition:ALD)は、反応容器中に置かれた金属や半導体、セラミックス、プラスティックなど、
様々な材料基板表面において、次の4ステップからなる操作により単一原子・分子層を形成する
技術。原理は、(1)反応容器に原料分子ガスを導入し、容器内壁および基板を含むすべての内
表面に吸着・表面反応を行わせる。通常、基板表面は原料分子と反応するOH基などで活性化処
理され、基板との間に金属酸化物や窒素化物の結合が生じる。(2)次に、この表面反応により
生じる反応生成物と余剰の原料分子を、反応容器外にパージする。この時、原料分子にアルキル
基など疎水性構造をもつものを選択することにより、原料分子の二層以上の吸着を防ぎ、(1)
のプロセス後の基板表面には単一分子層が固定される。(3)次に、基板表面に吸着した原料分
子のアルキル基と反応するガスを導入し、(1)(2)のプロセスで表面に固定された原料分子
の表面を、OH基などに変化させる。(4)最後に、この反応による生成物と余剰反応ガスとを
パージする。この段階で、基板表面は金属酸化物や窒素化物、金属などの単一分子・原子層で被
覆され、最表面はOH基などをもう。次のサイクルで再び(1)~(4)を実行するというもの。

 

ALDの特徴hは、上図のごとく、他の成膜方式に比べ、高いアスペクト比をもつ構造体へのコ
ンフォーマル特性(Conformal:精緻な表面再現性)は、原料分子の表面吸着・表面反応において、
反応ガスにH2O(水)やO2(酸素),NH3(窒素),H2(水素)などの非イオン、中性分子
を用いる結果、深い溝構造などへの廻りこみ拡散ができる事に起因する。このとき、ALDサイ
クルの中で原料ガスとH2Oなどの反応ガスのパージ時間が、反応空間に至るすべての内壁温度
により支配される。たとえば酸化アルミニウムのALDでは、反応ガスとして用いるH2Oのパ
ージ時間を20~60秒に抑えるために、容器を含む壁全体の温度を130℃以上に保持する必
要があり、パージが不完全の場合、容器壁から再放出される原料分解生成物質分子やH2Oが、
微粉末形成などの膜質の欠陥を引き起こす。その対策として、下図の特許は、反応容器の気密を
Oーリングの最適配置することで高め、同容器のパージを短時間で完全に行えるように改良して
いる。


このような装置は、『デジタル革命渦論』の基本特性沿った、ハードウエア分野――半導体・太
陽電池・有機/無機エレクトロニク・ルミネセンス・半導体レーザー・薄膜表示器・発光ダイオ
ード(下図参照)などの進化に欠かせないプロセス工学の1つなりつつある。そのためには、ロ
ール・ツー・ロールによるスループット(高速化)とコンフォーマル(緻密再現性)が鍵になる。
10数年かかって、わたし(たち)が考えていた「ネオコンバーテック」という事業概念が結実
しつつある。

【説明図】発光素子が搭載される樹脂を含む基材で構成されるパッケージを用意する工程と、パ
ッケージの表面を透光性と絶縁性をもつ被覆膜で覆う工程と、被覆膜に部分的に通気性の高い部
分を設ける工程とを備え、耐久性を高め、パッケージの変色を抑制する発光装置とその製造方法
を提供するもの。
 尚、 被覆膜40は、従来知られている薄膜形成法によって形成できるが、薄膜形成法としては、
CVD(Chemical Vaper Deposition)法やスパッタリング法があるが、特に、被覆膜40の緻密
性を向上させたい場合には、CVD法のうちこのALD法が好適である。 

    

 

 【デジタルアース工学立国論 12: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。  

  目 次     

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  
  

      

 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる 

                        山形・秋田は一度隆起して沈降へ

  今度は東北地方の日本海圖、秋田と山形を見てみよう。3・11の地震のときは、東北地
  方全体が傾斜したかのように、太平洋側が沈んで山形や秋田の日本海側が隆起していた,と
  ころがいまは、沈降の現象を見せ始めている.。つまり、宮城とは逆の現象が起きていると
 いうことなのだが、すべて沈降しているかというとそうではない。
  とくに山形は顕著で、酒田市の有人島・飛島は隆起しているのに、山形の内陸部、新山な
 どは沈降している。このまちまちな動きが、新たなひずみを引き起こしているのである。
 (図23「山形県の隆起・沈降」)

 

                                           青森と連動している北海道

  青森県と北海道が連動する動きを見せていることは、2014(平成26)年7月に起き
 た石狩南部地震の解説で述べた。青森と函館一帯の動き方が非常に似ており、石狩南部の地
 震の前は肖森県に異常変動が現れていた。石狩南部の地震の後も、津軽t島、下北半島に異
 常変動が見られ、さらに対岸の北海道・道南のじ飯で瓦センチ以上の変動があったので、メ
 ルマガでは注意を呼びかけている。
 (図24「北海道道南の隆起・沈降」)
 (図25「青森県の隆起・沈降」)

 

                                  ドカンと沈んで隆起している茨城県も要注意

  震災以降、茨城県、干葉県も大きな地震が多発している地域だ。茨城も宮城と同じパター
 ンで、ドカンと沈んで、その後隆起している場所である。
 (図26「茨城県の隆起・沈降」)

 

  震災以降の傾向でいえば、一番沈んだ場所が一番速いスピードで隆起を開始しているのだ
 が、その中で隆起をせず逆に沈降する部分があるということは、そこにまた新たなひずみが
 生じる,繰り返しになるが、常にL下左右に動いている地表が「正常な位置に戻る」という
 ことはない。茨城で大きな地震が多発しているのも、大震災によって沈んだ地表が一定では
 ない、不安定な隆起・沈降の動きの中で新たな地震のエネルギーをためているからである。
  愛媛は大洲に注目、兵庫は淡路島の西淡が急激に隆起・沈降愛媛県と兵庫県は、2014
 (平成26)年の7月あたりから、危険な動きが加速している地域と見ている。
 (図27「愛媛県の隆起・沈降」)
 (図28「兵庫県の隆起・沈降」)

 


  2012年1月を基点として、愛媛県の大洲が5センチ以上の隆起を見せている。怖いの
 は、このすぐ近くに伊方原発があることだ。いまは休止しているが、稼働をしていなくても
 原発には核物質がある。大きな地震が起こればどんな事故につながるか、それこそ予測でき
 ない。
  そして、我々が注目した地域が、兵庫県だ。とくに淡路島の西淡は2014年の7月あた
 りから急激な隆起を見せ、対岸の神戸北では異常な沈降を示した。果たして8月26日に最
 大震度3の大阪湾地震(震源は淡路島東岸)が起きた。9月に入ると西淡は急激な沈降をし、
 神戸北は隆起をしてもとに戻ったので、この時点で要警戒を解いた。予測より規模は小さか
 った。

  2013年4月13日、我々がJESEAのメルマガ配信を始めてすぐに、淡路島付近で、
 マグェチュード6・3の地震が発生している。兵庫県淡路市で震度6弱、南あわじ市で震度
 5強を観測した地震だが、この地震の2、3ヵ月前から、和歌山県の広川が異常な隆起、沈
 降の乱高下を示していたことで、我々はこの地域周辺に地震への注意を促していた。淡路島
 はこの広川から50キロメートル圏内にある。このころは、まだ解析方法がいまほど充実し
 ていなかったが、震源近くで最も敏感に動く地点の地盤の乱高下から、地震を予測したわけ
 である,
  日本列島全体から見てみると、淡路島を中心に、その近辺、和歌山県、徳島県、播磨灘、
 豊後水道あたりまで、一斉に異常な動きがあり隆起・沈降の傾向があるので、今後もこの一
 帯を注意深く見守っていきたい。
  
                                                                  この項つづく

 

  ● 今夜の一冊


ギリシャがユーロ離脱するかしないかはわたし(たち)が想定したものとは随分乖離しているの
でコメントできないが、リーマンショックの考察を済ませている。「ギリシャ最適再建」のイメ
ージはこのブログで掲載済みだが、日本でも、田中厚史『世界かわら版』のように考えているひ
とたちもいる。これは心強いことだ。


 フランスの歴史学者エマニエル・トッドは近著「『ドイツ帝国』が世界を破滅させる」(文
 春文庫・堀茂樹訳)で「EUとユーロはドイツが一人勝ちするシステムだ」。表現は挑発的
 だが、筆者も同感するところが多い。ドイツが一人勝ちするユーロというシステムを継続さ
 せたいなら、搾り取られる側に所得移転する政策がなければ持続的ではない。EUで優秀な
 人材は職を求め繁栄する都市に流れる。単一市場はカネと人材を強者が吸い上げ、域内の格
 差を広げる。均衡のとれた発展を望むなら、財政を含めた統合を進め、弱い国に資金が循環
 する仕組みを作るしかない。

           「追い詰められたギリシャがユーロ離脱へ暴走すると何が起こるか」
           田中厚史『世界かわら版』/ダイヤモンドオンライン、2015.07.02

 

 

 

 

 

 

地震の巣の上の原発

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  誰も私たちをユーロ圏から追放できないし、私たちもそれを望まない。

                     反対派公務員 サノブロス・ヨルゴズ

 

 

● デザイン多用途型省エネディスプレイ

ちょっと字面だけではどんな表示器を意味するのか理解不可能な事業開発が産官学での開発テー
マが経産省のエネルギー・産業技術総合開発機構より発表されている。その説明よるとこうだ。
「省エネルギーに資するクリーンデバイス(高周波半導体、不揮発メモリ、光エレクトロニクス
技術、低電力LSI、パワーデバイス、環境発電デバイスなどの省エネルギーに資する革新的デバ
イス)を、従来利用を想定してきた機器などだけではなく、様々な製品・サービスへと新規用途
に拡大し、省エネルギー効果を最大限に活用することを目的に2014年度から5テーマの実証事業を
開発する。引き続き、クリーンデバイスを活用したユースケースを創出し、ユースケースの実装
・実証および信頼性・安全性や標準化・共通化の方針策定を行い、クリーンデバイスの用途拡大
に繋げるために、ディスプレイ/サイネージ、医療機器、自動車/プラント、情報サービス、電
源機器、給電装置などの新規のアプリケーションをユースケースとした6テーマを採択しました。
なお、2015年度事業規模は、約20億円、新たなテーマは2015年度から2016年度の2年間の実施を予
定している」というから長ったらしいが、以下の2つ開発概要例を挙げる。

(1)デザイン多用途型省エネディスプレイ

既存のディスプレイにはない特徴(透明性など)を持つ新たなディスプレイを用いた窓や案内表
示や広告、店舗などの窓、百貨店のショーウィンドウのサイネージなどで社会適用性を検証する。

委託先:シャープ株式会社、国立研究開発法人産業技術総合研究所

(2)電気光学結晶KTNを用いた革新的光デバイスを活用しレーザー産業分野における幅広い領域
    規市場を創出

電気光学結晶を用いた光デバイスは、レーザーのパワーや方向を高速に制御する光デバイスで、
従来デバイスの100倍の高速化、1/100の小型化、省電力化が可能です。高精度・高性能を要求さ
れる生物用多光子吸収レーザー顕微鏡や医療用診断装置である光干渉断層計などへの適用により
実用性を実証する。

委託先:エヌ・ティ・ティ・アドバンステクノロジ株式会社、国立大学法人埼玉大学、国立大学
    法人大阪大学


 

                                   透明液晶を建材に シャープと産総研  

そこで、窓ガラスのように透明で、カラー動画を表示できる透明液晶ディスプレ。その実用化に
向けた検証を、シャープと産業技術総合研究所(産総研)が開始する。透明液晶ディスプレーが
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「クリーンデバイス社会実装推進事業」の1つ
に採択、同事業がシャープと産総研に委託される(テーマ名は「デザイン多用途型省エネディス
プレイ」)。同事業は2015~2016年度の2年間の実施予定である。 

シャープは「シースルー液晶ディスプレイ」と呼ぶ透明液晶を開発している(上図)。特徴は、
明るい表示を実現するために、一般的な液晶ディスプレーとは異なり、バックライト光を吸収す
るカラーフィルターをなくしたことである。カラー表示は、カラーフィールドシーケンシャル方
式によって実現する。赤色(R)、緑色(G)、青色(B)の3色のバックライト光を高速に切り替
え、これに同期して表示画像を高速に切り替える方式である。 

表示画像を高速に切り替えるために、同社は、IGZO技術を用いて高速駆動を実現したとする。ま
た、高速応答が可能な液晶材料、および専用の液晶モードを開発しているという。このほか、カ
ラーフィールドシーケンシャル方式によってカラーフィルターをなくすことで、パネル透過率を
高められるとともに、色再現範囲も広げられるとしている。シースルー液晶の形状は、箱形の
「BOXタイプ」と、板状の「スタンドアロンタイプ」の2つがある。前者は、箱の前面に液晶パ
ネルを置き、天井部分にバックライト光源を設置したもの。パネル全面にわたってカラー動画を
表示したり透明にしたりできるという特徴がある。後者は、液晶パネルの裏側に設けた導光板と、
その側面の光源をバックライトとして用いる。板状であるため、設置場所の制約が少ないという
特徴がある。ただし、カラー動画表示は液晶パネルの一部分(バックライト光の拡散部)に限ら
れ、それ以外の部分は透明表示になる。

尚、これらの技術は、株式会社SKRテクノロジーの先駆的知財の上に築かれる。恐るべし、クール
ジャパン。

 

 

      

 【デジタルアース工学立国論 13: 地震・噴火予知】   

デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。 

   目 次     

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに  

 

      

 

 第2章 日本列島はどこもかしこもゆがんでいる 

                 鹿児島県串木野の異常隆起は桜島噴火の前兆

  鹿児島県というのは、地表の動きを観測している我々にとって、非常に興味深い地域であ
 る。ご存じのように、いまも活発な噴火を続けている桜島を有している県だが、桜島が爆発
 するときの前兆現象として、串木野の電子基準点が異常に隆起するというパターンを見せる。
 爆発が起きると、一度隆起した地面がスーツと沈降するのである(図29「鹿児島県串木野の
 隆起・沈降」)。最近は、同じ鹿児島県の鹿屋も桜島爆発に連動した動きを見せた。突然隆
 起を始め、これは何の前兆かと監視していると、上げ止まったところで桜島の噴火が起きて
 いる。火山の噴火にこの二点の地域が敏感に連動しているようである。長年の検証で分かっ
 ていることだが、火山系の前兆現象は、噴火地殻の地域の異常隆起が特徴である。

 

  御獄山噴火の解説でも述べたが、火山活動、とくに噴火があると地震が誘発されやすい。
 至近な例でいえば、2014(平成26)年8月3日に、鹿児島県屋久島の西にある日永良
 師島の新岳(標高626メートル、屋久島町)が34年ぶりに噴火したのだが、その直後に
 奄美大島でマグニチュード5・7の地震が起きている。
  地震と火山活動は連動しやすいので、鹿児島県はもちろん、日本列島全域に点在する火山
 の動向、そしてその周辺の地表の異常な動きには注意が必要である。

  また、とくに心配なのは、桜島の噴火に敏感に反応するかのように隆起・沈降を繰り返す
 串木野のすぐ近くに、再稼働が検討されている川内原発があることだ(2014四年11月
 7日、原子力規制委員会による安全審査合格を受け、鹿児島県知事が再稼働に同意した)。
 何度も言うように、地震は断層のあるなしにかかわらず、さまざまなトリガーで誘発される。
 近年では年間千回以上噴火することもあるという活火山を抱えるこの地に立つ原発は、揺れ
 動く地表を日常的に見ている我々らすれば、危険きわまりない存在に思えてならない。
 を注意深く見守っていきたい。

                       日本で一番動いているのは硫黄島

  意外に思うだろうが、日本で一番動いているのが、小笠原諸島の南端近くにある硫黄島で
 ある。東京都に所属しているが、東京からはおよそで百キロメートルも離れており、いま硫
 黄島で地震があっても、あまりこちらには害が及ばないので、皆さんそれほど関心がないの
 だが、年間25センチのスピードで隆起し続けている活火山の島である。火山噴火をしなが
 ら隆起を続けているわけだ。

  この硫黄島にも電子基準点がある,この電子基準点は常に異常値を示し、危険信呼を点灯
 し続けている。硫黄島は昔から隆起し続けていて昭和30年代の教科書にも「年間25セン
 チ隆起しています」と書かれていたが、その当時は現地での水準測量で測っていたものが、
 いまはこうして電子基準点のみで動向が分かる。伊豆火山帯や富士火山帯との連動を関連づ
 ける人もいるが、硫黄島の動きが日本列島にどう影響するかはいまのところ分からない。デ
 ータの賢常の動向を監視することが、まずは先決だ。



              不気味に隆起を続ける富士山、東京もゆっくり隆起

  最近「富士山噴火」の可能性が騒がれているが、最後に、富士山の隆起・沈降の動向につ
 いて紹介しよう。
  富士山は、長い明間にわたって隆起を続けている。長い期間隆起し続けているということ
 は、ゆっくりエネルギーがたまってきているということだ。2014(平成26)年のゴー
 ルデンウィーク5月5日の伊豆大島近海地震で酋都圏が大きく揺れたとき、その直前の4月
 30日に富士山の基準点のデータが一度だけ異常に跳ね上がった(図30「富士山の隆起・沈
 降」)。




  首都直下地震も皆さんの大きな関心事だが、東京に関していえば、徐々に徐々に隆起し続
 けている,前にも述べたが、東京では断層が見えづらい。しかし、地震は断層のある場所だ
 けに起こるものではない。隆起や沈降のひずみをためて、そのひずみが閥値を超えたときに
 地震の起きる可能性が高いということを、我々は検証研究で把握している。だから、長い期
 間にわたってのさまざまな視点からの監視が必要なのである。



               限定されたところだけ見ていると足をすくわれる!

  こうして日本列島の隆起と沈降の傾向を見てくると、いかに日本の地表が動き続けている
 かがお分かりいただけたかと思う。
  御嶽山噴火があってから、ここ最近、また「富士山大爆発」「南海トラフ地震」「東海地
 震」「首都直下地震」などについての特集を、メディアがこぞって取り上げるようになって
 きた。
  しかし、あえて苦言を呈せば、そうした話題の場所ばかりに注意を向けていると、足をす
 くわれますよと言いたい。我々が、日本列島のホームドクターだとすれば、南海トラフや東
 海だけでなく、患者の全身は至るところ傷だらけで、どこが致命傷になるか分からないから
 である。



  その傷が悪化する前に、さまざまな症状から前兆をとらえ、できる限りの命を救いたいと
 いうのが、私の正直な思いである。
  日本列島はどこもかしこも歪んでいて、しかも地表は目に見えず絶えず動いている、とい
 うことを目の当たりにしていると、やはり原発の存在は最大の危惧である。「原発反対」を
 声高に唱えるつもりはないのだが、地震の少ない韓国などの安定した地盤に比べ、我が国の
 地盤はじつに不安定きわまりない,極論をいえば、ここなら原発を珪てて安全という場所は、
 日本にはないに等しい。

  大震災の津波による福島の原発事故だけでなく、2007(平成19)年の新潟県中越沖
 地震(マグニチュード6・8)では、柏崎刈羽原発で多数の事故が発生し、火災も起き、日
 本中を震憾させた,先に述べた伊方原発も川内原発も、地震によるこうした被害が出ないか、
 稼働の行方が心配である。
  さらにいえば、咳燃料の廃棄物を最終処理する場所も、同様である。フィンランドが地下
 深くに頑健な廃棄物処理施設をつくっているが、あの国は地盤が非常に囚く安定している。
 日本ではいかに深く地中に埋めようが、岩手・宮城内陸で起きた地震のように、崩落や地滑
 りで山が半分消失するような地震が起こる風上なのだ。

  富士山というのは日本を象徴する山だが、我々にとってみると、フィリピン海プレート、
 北米プレート、ユーラシアプレートの、ちょうど交点に当たる場所である。こうしたプレー
 トに囲まれ、すぐ目前の相模トラフは、日本列島が位置する陸のプレートの下に、南方から
 フィリピン海プレートが沈み込んでいる場所である。
  つまり、日本は世界で一番深い海の崖っぷちに立っている国なのだ。
  そして、我々日本人は、日々微動を繰り返す、その超不安定な崖っぷちで暮らしている住
 人なのである。
  そのことを原発関係者を含め、日本の人々にも、もっと認識してほしいと願っているのだ
 が――。

つまり、次の大震災で確実に日本列島が廃虚と化して、世界遺産として登録されるというの最悪
のシナリオが現実味を帯びる。と。そう語っているように思える。次回は、第3章に入る。

                                                                  この項つづく

 

  

● ギリシャ緊縮反対 61.32% ユーロ離脱には反対 

国民投票結果、予想を裏切り大差で財政緊縮に否決されたが、反対を投じたい支持者はユーロ圏
離脱には難色をしめしているという。これをカードにチプラス首相はEUとの交渉に臨むわけだ
が、その見通しはいまだ混沌としている。そんな情況に先立つこと、7月2日、「地政学上の重
要性からユーロ離脱でもEU残留は可能」(『高橋洋一の俗論を撃つ!』, ダイヤモンドオンラ
イン)と主張しているが、これは傾聴に値した。つまり、自国通貨のドラクマへの回帰を行いつ
つ、欧州共同体とNATOに残留するのがベターだというものだ。NATOにとどまるというこ
とは、ロシア、中国への接近はないと見る。ギリシャの港湾に接岸する外国船(ロシア・中国)
が多いとの情報があるが、欧州共同体からの除名勧告がない限り、非イスラム圏のギリシャへの
石油・天然ガスラインパイプの接続や軍用艦などの寄港はないと見ている。しかしながら、赤色
官僚独裁国家・中国やプーチンの大ロシアが大胆な支援政策を打ってくる可能性は残されている
とわたし(たち)は考えているがいかに。

  

※ 上の投票には、「ユーロという仕組みそのもの」に投じている。
※ ギリシャの旧通過のドラクマという言葉は、6本の焼き串(紀元前7世紀からは貿易の媒介
  物=貨幣のようなもの?として使われていた)は人間の手につかめないことに由来する。

 

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