Quantcast
Channel: 極東極楽 ごくとうごくらく
Viewing all 2435 articles
Browse latest View live

ひこにゃん渡米。

$
0
0

 

 
 

  一期一会  /   井伊直弼 『茶湯一会集』

 


● 次世代石炭火力発電の商用化前倒し?!

経済産業省は7月6日、二酸化炭素(CO2)の排出量を抑えた高効率の火力発電技術を実用化
するための工程表(ロードマップ)の原案を、産学官の協議会で示した。石炭のガス化技術と燃
料電池を組み合わせた「石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)」技術を2025年ごろに確
立することを目指す。

温室効果ガスの排出量を30年度に13年度比で26%削減する政府目標の達成に向け、火力発
電で排出されるCO2の抑制が急務となっている。工程表は今月中にも協議会で取りまとめる。
原案では、石炭からガスを作りガスタービンと蒸気タービンで発電する「石炭ガス化複合発電(
IGCC)」技術を18年ごろに確立し、既に実用化している最新の石炭火力より排出量を約
2割削減。25年にIGFCを確立することで同様の比較で約3割削減できる見込みという。

石炭ガス化燃料電池複合発電システム(IGFC)は、石炭をガス化することにより燃料電池、
ガスタービン、蒸気タービンの3種の発電形態を組み合わせてトリプル複合発電を行なうもので
す。実現すれば55%以上の送電端効率が可能となり、CO2排出量も既存微粉炭火力に比べて約
30%低減することが見込まれる高効率発電技術。IGFCの商用化には安価で高効率な燃料電
池の開発など、まだ乗り越えるべき課題はたくさんあるが、将来の石炭火力発電技術として期待
されている。

水素と酸素を電気化学的に反応させて直接発電する燃料電池は、その高効率と優れた環境特性か
ら脚光を浴びている。その種類は、電解質に用いる材料によって、りん酸形燃料電池(PAFC)、
溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)、固体酸化物形燃料電池(SOFC)、固体高分子形燃料電池(PEFC)
等に分類される。燃料電池の中でMCFC、SOFCは作動温度が高く、(1)ガスタービンとの組合せが
可能であること、(2)石炭ガスの利用が出来ることから、高効率の次世代大型発電所対応技術
として期待されています。SOFCによる発電は、ガス化した燃料から取り出した水素と空気中の酸
素を電気化学反応させて、水の電気分解とは逆の反応で電気を生み出す仕組みである。燃料を燃
やして発生する熱を電気エネルギーに変換する従来の発電方式とは異なり、ダイレクトに電気エ
ネルギーが取り出せる ため、ロスが低く、高い発電効率を得ることができる。SOFCは、イ
オン伝導性のセラミックスで構成され、化学反応の際に900~1,000℃という高温の熱が
発生するため、ガスタービン複合発電を行うことで、他の燃料電池より高い発電効率を得ること
ができる。燃料としては石炭ガス化ガスをはじめ、LNGやメタノール、バイオガスなども使用す
ることができる。


ここで、(1)燃料消費量を燃焼効率を上げることで二酸化炭素、硫黄酸化物、窒素酸化物を逓
減できる。(2)さらに、排ガスの除去、回収を行えば、再生可能エネルギーと遜色なく温暖化
ガスも除去かのうだという。技術的には可能だが、石炭や天然ガス、シェールガスの消費するシ
ステムに対する反対も根強くあり、福島第一原発事故による節電・省エネなどの対応できている
として、グリーンリベラリズム派の反対は根強い。とはいえ、引き出しが多いことにこしたこと
はない。再エネ百パーセント派のわたし(たち)は、一旦、そのように整理りて、再エネ百パー
セント社会の実現に向けて邁進するのみである。

                                        

     

 【デジタルアース工学立国論 14: 地震・噴火予知】    

 『デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。 

   目 次      

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに   

       

 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる  

                         地球はグローバルに勣いている

  第二章では、人々が感知できる地震以外にも、いかに毎日日本列島が動き続けているかに
 ついてご説明した。隆起・沈降を繰り返す日本の地表は、一見穏やかに見えて、じつは新た
 な地震を起こすひずみをゆっくりとため続けている。そうした「満身創痍」の列島のホーム
 ドクターとしては、いつ、どこでそのエネルギーが閥値を超えて地面を揺らすか、本当に油
 断のならない国だと思っている。
  もちろん日々動いているの日本列島だけでなく、地球の地表もまた動き続けている。衛星
 潮位システムで暖潮すると、地球がいかに軟らかいか、そして国境を越え、海を越えて地表
 がつながっているかが分かっている。 

  2004(平成16)年に起きたインドネシア、スマトラ島沖地震(マグニチュード9・
 1)や、2008年の四川大地震(マグニチュード7・9~8・O)では、大変な数の犠牲
 者が出たが、こうした北半球で起きた巨大地震でも、南半球のオーストラリアやニュージー
 ランドの地表が事前に動いているのが観測されている。
  最近の例を挙げれば、2014年4月13日、ソロモン諸島でマグニチュード7・6の地
 震が起きたが、そのおよそ三週間前から、日本の南鳥島の電子基準点が賢常な動きを見せて
 いた。一日に上下方向に8センチも動いていたのである。我々JESEAでは、4センチ以
 上の動きを要注意と考えているので、これは非常に大きな変動である。その動きが、ソロモ
 ン諸島での地震後はぴたりと止まった。

  南鳥島の電子基準点は、日本の領土で唯一太平洋プレートにある。震源地とは4千キロメ
 ートル以上も離れた地点だが、同じプレート上にあるので、引きずられる形で動いたのだろ
 うと考えられる。
  よく言われるが、震源が深いほど、地震波は遠くまで伝播する。1985(昭和60)年
 メキシコで起きたマグェチュード8・0の大地震では、メキシコシティーで1万人もの犠牲
 者が出た。震源は350キロメートル以上離れた太平洋沖だったにもかかわらず、遠くから
 やってきた地震波がこれだけの被害を出したのである。メキシコシティー一帯が湖を埋め立
 てた水分の多い脆弱な地盤である一方で、湖底の岩盤が固いため、地震波の反射と増幅によ
 って、地面が液状化現象を起こしたことが被害を大きくした,

  震源が遠いからといって地震は侮れない,第二章でも紹介したが、2014年5月、遠く
 離れた伊豆大島近海震源の地震が東京都千代田区を一番揺らしたし、2013年9月の鳥島
 近海地震では、埼玉県、茨城県、栃木県などのヒ県が大きく揺れた。このときは地下400
 キロメートル近い深い震源であった。



                    津波はジェット櫓並みの遠度で到達する

  東日本大震災では、地震そのものよりも津波による被害のほうが大きかった。地震によっ
 て生じる津波も脅威である。その意味でも、いまは世界規模での監撹が必要不可欠だ。映像
 で津波の動くさまを見ると、ゆっくり巨大な波の山が動いているように見えるが、実際には
 ジェット機並みのスピードで動いているのである。
  1960(昭和35)年に起きたチリ地震では、本震発生から15分後に約18メートル
 の津波がチジ沿岸部を襲い、平均時速む50キロで伝播した津波は、釣17時間後にはハワ
 イ諸島を襲っている。チリから1万7千キロメートル離れた日本にも、約22・5時間後に
 は到達した。

  地球の一周は約4万キロメートルだが、ほとんど地球の反対側にある国で起きた地震で発
 生した津波が、24時間もかからず時速8百キロ近いスピードで襲ってくるのだ,地震の多
 い日本に住んでいても、これほど津波が速いということを知らない人は多い。波の伝播の仕
 方は、もちろん海が浅くなればスピードが遅くなるのだが、その代わりに津波が高くなる,
  つまり、浅い沿岸部に近づくにつれて、津波の山が巨大化するのである。
 
  先述した2004(平成16)年のスマトラ島沖の巨大地震では、この地震によって生じ
 た津波がインドネシア、タイ、インド、スリランカなどの沿岸を襲い、津波による死者が
 20数万人から30万人にのぼったといわれている。対岸のスリランカは震源から1500
 キロメートル離れているのだが、たった2時間で到達してしまった。単純計算でも1500
 ÷2で、時速750キロ、まさにジェット機並みのスピードで伝播することがお分かりいた
 だけるだろう。このときは、はるかに離れたアフリカのケニアまで津波が到達している,
  ということは、地震のない国であっても、よその国で巨大地震が起きれば、洵でつながっ
 ている限り、安心はできないということである。



              日本とハワイは毎年6センチずつ近づいている!

  大陸はゆっくりと移動しており、我々が住む日本とハワイは毎年6センチずつ近づいてい
 る、ということをご存じだろうか。いまやそんな動きも先端の測量技術で分かるようになっ
 ている。
  大陸移動説が受け入れられたのは、それほど昔のことではない。1912(大正元)年に
 「大陸移勧説」を提唱したのは、ドイツの地球物理学者のヴェゲナーだが、この新しい発見
 は当時の地質学者などから、専門外の学者の異説として批判を浴びた。新しい発見に対する
 専門家の縄張り意識や中傷は、ずっと異端者扱いを受けてきた私にも経験があることだ。
  その後、1960年代に「プレートテクトニクス」(プレート理論ともいい、地球の表面
 は何枚かの固い岩盤で構成されており、そのプレートに乗って大陸も動いているという地球
 科学の学説)が登場したあたりから、大陸移動説はようやく受け入れられるようになった。
 ほんの数10年前のことである。

  現在、大陸移動説は、超長基線電波干渉法(VLBI)と呼ばれる宇宙天文観測技術でも
 実証されている。
  我々が地震予測を行っている電子基準点を使う地球の測量方法は、地球の外にある人工衛
 星を使うのに対し、VLBIは、地球の外にある動かない恒星を院って地球を測量するもの
 だ。ともに、測量の先端技術といえる。
  やや専門的な話になるが、VLBIは、数十億光年の遠くにある電波星(クエーサー)か
 ら来る微弱な電波をニヵ所に設置した大口径のアンテナで受信し、その時間差を原子時計で
 精密に計測する。この時間差から、三角形の原理を用いて二箇所のアンテナの距離に換算す
 ることができるのだ。

  世界では、米国、欧州を中心にVLBI局が設置され、日本にも、直隆10メートルから
 最大64メートルのVLBIアンテナが15ヵ所ほど設置されている。2014年の時点で
 21カ国が国際VLBI事業に参加し、この観測網を形成している。
  さて、この観測網を使うと、日本とハワイが毎年6センチずつ近づいていることが分かる。
 茨城県つくば市にある国土地理院が設置したアンテナと、ハワイにあるVLBI局とのあい
 だで測られた距離(約5700キロメートル)が、毎年6センチずつ短くなっているのだ。

  日本とハワイの現在の動き方を見ると、年間、ハワイが日本方向(西方向)に10センチ
 ずつ移動しているのに対し、日本は中国方向(西方向)に4センチずつ移動している。この
 差で互いの距離が6センチずつ縮まってきているというわけだ。この比率で近づいていくと、
 計算上は1億年たつとハワイは日本と合体することになる。では、日本が中国にくっつくか
 というと、その可能性は低い。中国もまた別方向に数センチずつ動いているからだ。

  こうした地球のわずかな動きも先端の測量技術で観測できるようになり、大陸移動説が実
 証可能になったのである。世界に分布しているVLBIのあいだの距離の変動を調べるとプ
 レートの大まかな動きを知ることができる。さらにVLBIの観測網が充実すれば、密な間
 隔で地球の動きが測量でき、将来の地震予測に役立つことは間違いない.

  もちろん地殻の変動、地下の異変は複雑で、プレートの動きだけで分かるものではない。
 だからこそ、地域ごとにきめ細かく設置されている電子基準点のデータを、日々観測し、解
 析することが地震予測には重要なのである。

                 メルマガの「警戒」「注意」「注視」の読み方

  東日本大震災の危険サインを公表できなかった後悔から、地震予測の後追い検証をやめ、
 2013(平成25)年にJESEAを立ち上げて、2年が経過した,この問、我々は本当
 に試行錯誤の連続であった。
  週刊で配信している「週刊MEGA地震予測」のメルマガの誌面も、どうすれば読者に分
 かりやすく伝わるか、改良を重ね、その一方でデータの解析方法にも新しい方法を加えるな
 ど、努力を重ねてきた。

  中でも.一番悩んだのは、地震予測の注意をどう人々に伝えるかという点だ。最初は単純
 に短期予報と中期予報、つまり時期的早く来るか、ある程度時間がかかるかという分類で情
 報を出していたが、短期で出したものが遅れたり、中期に分類したものが意外に早く来てし
 まったりと、そう単純にはいかないことが分かった。
  議論の末、2014年、やっといまの情報の出し方に落ち着いた。
 「※地震は極めて複雑な自然現象なので前兆が現れてから地震が発生するまでの期間は、地
 震の規模、震源の深さ・場所、地震の種類、異常変動点の分布・頻度などにより数か月のズ
 レが生じることがあります」という注釈をつけたうえで、次のように分類した。


 「要警戒」……震度5以上の地震が、ほぼIカ月以内に起きる可能性がきわめて高い
 「要注意」……震度5以上の地震が、1ヵ月~3ヵ月程度の期間に起きる可能性が高い
 「要注視」……震度5以上の地震が。3ヵカ月~6ヵ月程度の期間に起き可能性がある


 「要警戒」は、よほど危険な前兆現象がない限り、めったに出さないが、二度のはっきりし
 た異常変動のあった甲信越飛騨地方など、明らかに大きい地震が来るだろうという予測がで
 きたときは、「要警戒」で注意を促した。「警戒」という言葉を使っても、1ヵ月以内に地
 震が起きない場合もある。しかし、1ヵ月以内に来ない場合でも、一度「警戒」を出したと
 きは、取り下げたりしない。それをすると、もう収まったのかと誤解されてしまうからだ,
 
  一度出した情報には責任を持ち、地震が来るまで「要警戒」を解かないという姿勢でやっ
 ている。
  逆に、異常変動の解折から、「要注視{から「要注意」へ、「要注意」から「要警戒」へ
 と切り持えたことは何度もある。
  すでにご説明したように、地震予知というのは、いつ、どこでどれくらいの規模の地震が
 起きるか正確に言い当てて警報を出せるレベルのことだ。しかし、いまの段階では地震予測
 にそうした明快な境界線は引けない。それができるのであれば、我々もすべて「要警戒」と
 して情報を出す。

  しかし、JESEAのこうした経験が3年、5年、10年と蓄鯖されていけば、過去の例
 を参考にさまざまな学習を重ね、予測の時間的な精度は確実にLがると思っている。

                  日本列島の歪みはマップとゾーンで紹介

 メルマガの誌面構成も試行錯誤を重ねてきたが、基本的な構成を紹介すると――

 ・「週間異常変動図」……国土地理院の電子基準点のデータを2週間遅れで7日分公開。各
 地点の7日間で最も高い値と低い値の差が4センチを超えるものをマップに記し、「注意」
 「警戒」の対象としている(黒=変動7センチ以上、赤=変動5センチ以上、黄=変動4セ
 ンチ以上)。
  たとえば、2014年10月1日号では、こんな異常変動を紹介した。
  今回は4センチ超の週間異常変動を示した点が5箇所、そのうち5センチ超の異常変動の
 地点が2箇所ありました。全国的に静謐(せいひつ)ですが、静謐のあとは要注意です。特
 に、最近異常変動が発生していた地域は注意してください。
 4センチ超の地点を下記に示します。単位はセンチです。
 
 福島県 二本松  6・83
 北海道 上富良野 5・67
 山形県 遊佐   4・97
 東京都 母島   4・49
 高知県 物部   4・31

 飛騨・甲信越は要注意
 長野県の山ノ内は他の電子基準点に比べて突出して隆起しております。また、王滝と高遠の
 沈降が大きい値です。御獄山の噴火を考慮しますと引き続き要注意です。

 伊豆半島・伊豆諸島・神奈川県は要注意
 全体的に沈降傾向です,富士山に近い山梨県の上九一色と南部で8月16目に異常沈降してい
 ました,静岡県沿岸部の榛原、浜岡1、静岡3および西部の湖西で一斉沈降しております。
 引き続き要注意です。

 東北地方奥羽山脈地帯は要注意
 今回も山形県の遊佐で4・975の異常変動がありました。遊佐は乱高下していますが今の時
 点では電子基準点の不具合なのか、異常値なのかは判断できない状態ですが、引き続き要注
 意です,

 北海道道北は要注視
 今回上富良野で週間賢常変動がありました。上富良野は4センチ前後の隆起をしていました
 が、6月14日に2センチ急激に沈降したあと4センチ台に再び隆起しています。念のため要
 注視です。

                                   この項つづく 

 

 ● 今夜の一枚

【ひこにゃん、初の米国本土出張】

われらが、ひこにゃんが17日から米国東海岸のニューポート市で開かれる黒船祭りに参加す
る。ひこにゃんの海外出張は一昨年のパリ以来4回目で、米国本土は初訪問。ニューポート市
はロードアイランド州の港町で、ボストンの南約100キロ。幕末に日本に来航したペリー提
督の出身地だ。2度目に寄港した静岡県下田市とは姉妹都市で、下田市が1934年から開い
ている「黒船祭」にならって「ブラック・シップス・フェスティバル」を毎年開催し、今年で
32回目。下田市と相互に代表団を送っている。彦根市は昨年から下田の黒船祭に参加、今年
が大老として開国に踏み切った彦根藩主井伊直弼の生誕二百年にあたることから、ニューポー
ト市から招待されたというのだ。彦根から参加するのは、大久保貴市長やひこにゃんファンク
ラブの北村昌造会長ら5人。ひこにゃんはイベント前日の歓迎会や、開幕式典、日本文化を紹
介する催しに登場し、PRに一役買う。

 

 

   


地方創生法改正案

$
0
0

 

 

   詰まりは展開の第一歩である。  /   吉川 英治

 

 

 

【日本の政治史論 40: 政体と中枢】    

  
出典:「週刊東洋経済」2015年7月11日号

● 事例研究:「新国立」問題

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場は、日本スポーツ振興セ
ンター(JSC)の有識者会議が計画を承認し、建設に向けて一気に動き出す。2520億円と
大幅に膨らんだ総工費について、事前に見通せなかった建設資材や人件費の高騰のほか、新国立
競技場ならではの「特殊性」があったと説明。ただ都の負担金を含め、膨大な総工費を賄えるか
どうかは不透明なままだと報じられている(読売新聞 2015.07.08)。

コンペが行われた際の建設予算は1300億円。ところが、長い導入路を持つ巨大なザハ氏のデザイ
ンの建設費を、日本スポーツ振興センター(JSC)が試算してみると、3000億円まで膨らんだ。
そこで、ザハ氏のコンセプトを残し規模を縮小。昨年5月には1,625億円という見積もりが出たも
のの、東日本大震災復興などで土建業界の価格の高騰(=業界インフレ)を背景にゼネコンから
「その金額では工事を請け負えない」との意見が出され、最終的に、前回のリオデジャネイロオ
リンピックの5倍の金額で建築契約が交わされる(上図参考)。リオの5百億円より2千億円高
い額は、年収350万円の所得として約5万7千人分の所得に匹敵する。50年の減価償却+保
全費として、約54億円/年、60年として約45億円/年(私算)となる。60年償却で、年
収換算すれば、1300人/年×6年の雇用に匹敵するが、年間45億円以上の事業収入があれ
ば問題ないが、見込めないなら、早々に売却あるいは解体してしまうのが得策である。逆に言え
ば、リオの規模にすれば9億円/年だから20億円/年程度の事業展開ができれば60年間利益
がでることになる(例:事業利益2億円/年×60年=120億円)。これは経済的側面での評
価だけである。それでは技術的な側面の問題はなにか?渋谷川の流れていた場所。「土壌が軟ら
かく、キールアーチの固定が困難」(建築コンサルタントの森山高至・談)で、アーチの地下部
分を長くすれば都営地下鉄大江戸線にぶつかり、地下に長さ約3百メートルの鉄骨を埋めて、ア
ーチの両端を結ぶ必要があり、このキールアーチを造るだけで、1千5百億円の費用がかかる。 

 
ここで、わたし(たち)は建設費の高額を問題にしているのではない。スポーツ振興を満たすた
めの「効率」つまり、マクロ、ミクロとメゾの三重層を包括する費用効果を試算しておく必要が
あったと考え――政商(フィクサー・顔役)や利権者などの構造をできるだけ排除した上で――
それらを踏まえ建設すべきだと考えているわけで、合目的性にかなうなら3千億円でもかまわな
いとまで思っている。とはいえ、2千5百億円が動くとなれば、事業目的にそぐわない、30~
80億円のカネが関係者の懐に転がり込む。との邪推は否定できないよなぁ~と思う(蛇足)。




● 事例研究: 地方創生法改正案

地方創生に関する重要法案が、解散によって閉会した先の臨時国会で可決成立し、法律が施行さ
れたことによって、安倍政権が掲げる地方創生策が具体的に動き出すが、この関連法の特徴をこ
こで考えてみよう。

地方創生に関する法律は2つあり。(1)ひとつは「まち・ひと・しごと創生法」、(2)もう
ひとつは「地域再生法の一部を改正する法律」。前者は、地方創生の理念や全体的な戦略策定の
方法などについて定めたもので、後者は、地域の活性化に取り組む地方自治体を支援するための
ものとなる。



これに対し、むしろ、東京一極集中を促進せよとの反対(大前研一)がある一方で、それを捕捉
補完するように高齢者の介護施設を地方に移す提言が、政府の諮問機関からなされている。また、
ふるさと納税制度は税制をゆがめる(越大津市市長 2015.07.08 京都新聞)との指摘もなされて
いるが、前出の大前氏は、「国家が主導して再生した田舎はない」とした上で、「補助をするべ
きは、第2次産業。雇用創出しなければ意味がない」と主張している(「ニュースの視点」 KO
N534「地方創生・安倍首相~人口減少の過程で何があったのか?」2014.09.12)。わたし(たち
)は、またぞろ破綻した欧米流金融資本主義や縁故資本主義的政策に辟易したはずの、またも失
敗するであろう「国家特区構想」がここでも提案されることを知る。

わたし(たち)の地方創生案はシンプルであることはこのブログでも掲載したように、(1)応
益税の消費税を地方自治体に大幅(上限百パーセント)移譲――中央政府は応能税の所得税、法
人税のみに縮小、(2)法人税を逆格差税率に改正することを提案している。(1)は、例えば
全国知事会の下に地方交付税にかわる「事業支援基金制度」を設立、国(財務省)・民間を含め
た第三者機関で申請審査し運営し、(2)の逆累進率は政府と地方とで原案作成し国会承認を経
て決定する――このようなものを構想している。

いずれにしても、「財源移譲が第一」が大前提である。
 

     

 【デジタルアース工学立国論 14: 地震・噴火予知】    

 『デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。

   目 次      

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに   

       

 第3章 「予知」は無理でも「予測」はできる  

                         地球はグローバルに勣いている

 ・「隆起・沈降図」………1年または.2年前の高さからどの程度、隆起・沈降しているか
 を 分析.地城ごとに注意を促す,たとえばこんな具合だ(2014年10月号)。

  今回は北海道、東北を除き、全国的に沈降傾向です。

  淡路島周辺は要警戒
  兵庫県の淡路島にある西淡および淡路一宮は7月に急激な隆起をしていたのが今は急激な
  沈降を沈降しております。その差は西淡で5・7センチ。淡路一宮で4・5センチです。
  一方、沈降をしていた神戸北は沈降のピークから3・5センチも隆起しました.と要警戒
  レベルです。

  南西諸島は要警戒
  沖繩の公点は7月5目の週に一斉沈降を示してから全体的に沈降傾向です。引き続き要警
  戒です。

  東北・関東の太平洋岸は引き続き要注意
  太平洋岸は東日本大震災以来隆起傾向が続いていましたが、最近横ばい状態です。しかし、
  まだ相当のエネルギーが貯まっていますので要注意です。

  四国、九州東岸および薦戸内は要注意
  全体的に沈降です。徳島県の木屋平は際立って沈降しており今回で-2・4センチになり
  ました。四国の高知県の伊野はこの1か月で1・5センチ沈降しました。愛媛県の大洲も
  1・3センチ沈降しました。広島県の御調(みつぎ)が際立って沈降を示しており、2年
  8か月前と比較して、‐3・2センチになりました。要注意です。

  長崎県は要注意
  長崎2の電子社命点は2012年1月から-4・2センチと異常な沈降です。1点のみで
  すが、念のため要注意です。

  石川県、福井県などの日本海側は要注視
  大きく沈降しています。念のため要注視です。


 ・「日本列島累積変位マップ」……2014年3月から、新たに日本列島累偵変位マップを
 3ヵ月に一度紹介し、長い期間にどのくらい異常や歪みがたまっているかを、マップのゾー
 ンでそれぞれに解説(以下は2014年9月24日号より。マップは図13)。

  根室地方ゾーン
  まとまって沈降を示しております。この地域は小地震が起きています。

  道南および青森県ゾーン
  まとまって隆起しています。すでに今年石狩南部を震源とする震度5弱の地震が発生して
  おります。

  東北・関東太平洋岸ゾーン
  この地域の太平洋岸は東日本大震災で大きく沈下した地盤が急激に隆起しています。震災
  以来地震常襲地帯になっております。震度5弱の地震も発生しております。
  
  奥羽山脈・日本海側ゾーン
  太平洋岸とは対照的に沈降しております。地震発生の可能性はあると解釈しております。
  
  首都圏ゾーン
  3月の累積変位図では首都圏は赤い点(「変位レベル最大」の印)が多数付き、5月5日
  に東京都千代田区で震度5弱の地震がありました。今回赤は付いていませんが今後の動き
  を注視します。

  甲信越ゾーン
  新潟県、長野県、山梨県などを含むこの地域は隆起しております。
  小中の地震が多発しております。

  東海・伊豆半島・伊豆諸島ゾーy
  太平洋岸に沿って隆起と沈降が混在しています。御前崎周辺とハ丈島以南の伊豆諸島は沈
  降しております。

  北陸日本海側ゾーン
  富山県、石川県、福井県、京都府、滋賀県、岐阜県などは主として沈降傾向にあります。
  琵琶湖の東側が隆起しているのが気がかりです。

  四国・紀伊半島・九州太平洋岸ゾーン
  隆起と沈降が混在しています。四国と紀伊半島の岬部は沈降しております。宮崎県の日向
  灘沿岸も沈降しております。

  中国地方ゾーン
  日本海淵も瀬戸内も沈降傾向にあります。四国の動きと連動している可能性もあります。

  九州ゾーン
  九州全城が沈降傾向です。今後の監視を強化します。
  
  南西諸島ゾーン
  沖縄周辺は沈降傾向です。最近異常変動が繰り返されています。

  このほか、とくに要警戒の地域には、地震予測の具体的な情報をトップで扱い、注意を促
 すようにしている。データ的な情報だけでなく、皆さんに少しでも地震予測の測量技術や、
 地震の起こる複雑なシステムを理解してもらえるよう、さまざまな特集や地震に関するコラ
 ムを組んでいる。見やすさ、情報のボリュームに関しては、これからもさらに改良を進めて
 いこうと思う。
  これほどの地震大国に住む皆さんに、少しでも地震に対する知識を蓄えてほしいからだ。 


                                      やる気を支える読者の声

  こうした地震予測の情報を発信していて、一番気になるのは読者の反応である。ときにご
 注意やご批判をいただくこともあるが、JESEAに届く会員読者の声のほとんどが、私の日
 々の活力になっている。東日本大震災以来、大きな地震が怖い、自分だけでなく家族や大切
 な大の命に関わる災害だと強く認識する人々が増えたのか、非常に熱心に誌面を読んでくだ
 さっていると思う。

  利用者の声で一番多いのが、「毎週地震情報が届くので、心の準備ができる」「科学的な
 データ、グラフなどの説明で、理由なき恐怖がなくなって、かえって安心感が増したI「自
 分の住んでいる場所、働いている場所の賢常変動を常に意識できて、役に立つ」というもの。
  こうした声がすでに千通近く届いている。
  印象的なものをいくつか紹介させていただこう。

 「私の両親、親戚のほとんどは宮城県に住んでおり、石巻市で被災した親戚家族も複数おり
 ます。毎週メルマガを見ることで、地震への恐れと備えを忘れないようにしたいと思いつつ、
 半分は恐る恐るメールを開いています,私は千葉に住んでいますが、大学で勉強した地学が、
 ここにきてこんなに役立つとは思っていませんでした。日本の国土はこれほどまでに変動し
 ているのですね」

 「私は、神奈川県の西湘地区に住み、東京に通勤しています。湘南地方はまっ平らで、津波
 が押し寄せたときの被害は甚大です。迫りくる『その瞬間』に備えることで、何とか生き延
 び、また地域の被害を最小限にしたいと切に願っています」

 「毎週の地表変動を見ていると、地球が生きてます」いることを実感させられます。


 「福岡の警固断層地震(2005五年3月20日、玄界灘から博多湾まで分布する警固断層
 の横ずれにより発生したマグニチュード7・0の福岡県西方沖地震)を経験しました,今春
 娘が警固断層直上の中学校に通うことになり、地震の情報がとても欲しいと思っていた矢先
 に、メルマガると知らないとでは大違いです」

 「地震がないことを望むよりヽ地震があることを奮影に受け止め行動できるようになりたい
 と思うようになりました」

 「社内での防災意識向上と危険予測に使用する目的で登録しました,購読後のデータとして
 注意喚起された地域の地震発生の予測の精度に驚いております。」

 「私は静岡県沼津市に生まれ育ち、小学校のころから東海地震、津波を意識しています。東
 日本大震災の後、警戒警報を出すことによる社会的影響のリスクの大きさを考えれば、地震
 予知は不可能だという報道も、納得せざるを得ないと思っていました。しかし、もし予兆が
 観測されているなら、後出しではなく、先に観測情報が欲しいと思います。今回の村井教授
 の勇気ある行動に感謝します。子供たちには、『いつ地震や津波に遭遇するか分からない。
 緊急時には、いかに自分の命を守るか、常に頭において。絶対津波で命を落とさないでね』
 と話しています」

 「3月14日の豊後水道あたりが震源地だった地震(伊予灘地震)では、事前に地震予測の
 レポートを読んでいたおかげで、落ち着いて対処できました。中国地方は安全だと周囲の人
 たちは思っているようですが、レポートで変動幅が大きいことを知りました。」

  地震がよくある地域、そうでない地域に住んでいる方からも、全国津々浦々から参考にな
 る意見、励まされる声がたくさん集まっている。「知ることは大きな安心」と聞くと、ここ
 まで、手弁当で頑張ってきた苦労が一瞬で報われる気がする。測量工学を長年研究してきた
 ことから、「分かりやすく説明する」ことより、つい専門的なレクチャーになってしまうこ
 とも多々あるのだが、皆さんの勉強意欲に、いつも驚かされている。
  JESEAでのメルマガ配信を始めてから、地震大国に住む日本人の意識が少しずつ変わ
 ってきているのを、日々実感している。いたずらに災害を恐れるのではなく前向きに情報や
 知識を得て、自分も周りの人々の命も守るのだという心意気を感じ、胸が熱くなる思いであ
 る。

                                   この項つづく


 

● 今夜のデザイン

 



子どもの頃、木に登って遊んでいたという記憶がよみがえる。しかし大人になった今、子どもの
ように身軽さがない分、木に登るというのは至難の業。これは、木に登るためのステップが設置
できる。


  

 

ナノシルバーとカレーメシ

$
0
0

 

 

   複雑な歌声を持つ鳥の多くは、知性も高い。 / ダン・メニル



 

  2015.07.07

● ギリシャ危機の行方

「21世紀の資本」が話題となったフランスの経済学者トマ・ピケティ氏ら5人が、ドイツのメ
ルケル首相に宛てた書簡を公開。この中でピケティ氏らは、ギリシャの財政緊縮策は失敗だった
と指摘した上で、さらなる緊縮策を求めるメルケル首相に対し、「ギリシャの頭に銃を突きつけ、
自ら引き金を引けと要求している」と、厳しく批判。さらに、「銃に込められた弾は、ユーロ圏
の民主主義や繁栄も滅ぼしてしまう」と警告、ギリシャへの頑なな姿勢を改めるよう呼びかけた
という(TBS News 2015.07.08 ).それでは、対案はどのようなものがあるのか? 最近、ネット
で見うけられる言葉が『ロンドン債務協定』。つまり、ギリシャの債務を棒引きするかわりに、、
期限付きで延長し、棒引き後の債務を返済するというもの。ギリシャには2次産業や2.5産業
が未発達なため、その産業育成手段と資本の移転方法がキーワードとなる。そのようにわたし(
たち)は見ているが、いまのところそれを阻害するのは英米流金融資本主義の精神だろうから、
賢人の精神がためされている。

  2015.07.06 MONEY BOX

 
● 上海(中国)株式市場不安の行方

中国バブル崩壊で、株価が急降下し1万9千円割れ懸念されている。また、世界の鉱業株の時価総額の
うち1430億ドル(約17兆3000億円)相当が消え去っている。世界最大の資源消費国である中国の
需要後退問題に投資家は直面している。銅やニッケル、アルミニウムなどの工業用金属価格が、
6年ぶりの安値に下落、79銘柄で構成するブルームバーグ世界鉱業株指数 は過去10営業日に
17%低下。新規供給が市場に流入する中、鉄鉱石価格は8日、少なくとも2009年以来の安値を
付ける。下表のように、世界の株式の時価総額に占める上海・深圳・香港で11・7%、つまり、
リーマンショックでの株価下洛は-46%であったから、中国株の時価がゼロとなっても、対リ
ーマンショック比で-14・8%の下洛で、日本の株価2万円とすれば、パニックの連鎖が起き
なければ1万7千円程度となり心配する程ではない。ある意味、中国市場は、赤色官制統制でバ
ブっているため、介入度合いに比例し今後も起こりうると考えれば、、旺盛な消費性向が、収縮
しない限りその程度のリストと考えればいいのではないかと考える。

 

     

 【デジタルアース工学立国論 15: 地震・噴火予知】     

 『デジタルアース工学立国』(2015.06.15)で、「いまこそ地震予知工学の確立予知」で「いま
の解析データは2次元(平面)解析データでこれに鉛直軸の3次元(立体)データで、さらに、
リアルタイムに3次元解析データで日本列島周辺を網羅できれば高確度の解析が可能だ。そのた
めにはスーパーコンピュータシステムが不可欠だ。また、これらの新規考案には海底の変動解析
が出来ていないが、海底電子基準点にアンカーを打ち込み何らかの形で、観測衛星に位置変動デ
ータを送る事が出来れば飛躍的に予知能力は高まる。(1)その上で、防災情報を編集し利用で
きる。(2)さらに、予知能力が高まれば、予備災害処置システムの開発段階に入ることができ、
映画『ザ・コア』のようなことに成功するかもしれない。そうすれば、米国でのイエローストー
ンでの隆起メカニズムとその将来予測とその予備災害処置が実現し、世界的激震火山災害を回避
できるかもしれない。そのように考えれば、年間数十億円程度の空間情報地震予知工学への投資
は微々たるものであろう。頑張ろう、ニッポン!と掲載した。そこで、村井俊治著『地震は必ず
予測できる』(電子ブック版)を手にする余裕ができたので、読み進めることでその可能性を探
る。


   目 次       

 序  章  なぜあのと序き「予測」を公表できなかったのか―3・11への悔恨
 第 1 章  3・11前から観測されていた前兆現象
 第 2 章  日本列島はどこもかしこもゆがんでいる
 第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる
 おわりに   

       

  第 3 章  「予知」は無理でも「予測」はできる

   豪雪、潮汐、火山、ダム、鉱山採掘……地殻変動の原因はほかにもある

  地震予測の活動をやっていると言うと、よく「的中率はどのくらいか一と聞かれる。お
 役所には占い扱いされたが、私たちは、予測が当たった、外れたということに一喜一憂は
 しない,的中率にも関心はない。
  電子基準点に異常値が出たら、地震の前兆を含む何らかの異変があると見て、それを分
 析して発表しているのである。

  確かに、2014(平成26)年に起こった大きな地震のほとんどの予測に成功してい
 るが、予測が外れることもある。異常を察知してメルマガで配信し、地震は起きたが、震
 度5以上にはならず、震度3や4だったこともある。飛騨地方、甲信越にずっと警戒を呼
 びかけながらも、残念ながら御嶽山噴火の予測はできなかった。
 
  しかし、旨い訳ではないが、予測が外れることにも、理由がある。電子基準点が異常値
 を見せる地殻の変動は、地震の前兆だけではないからである。
  火山活動や満潮・干潮の潮汐、豪雨、豪雪、鉱山の採掘、ダム、トンネルエ事、地下水
 のくみ上げなどの影響を受ける場合もある。最近は石油燃料に代わる資源として、海外で
 はシェールガスの採掘が行われているが、これはかなり危険だと私は考えている。地表を
 かなり乱暴にいじるわけで、数値を変動させるだけでなく、地震を起こすトリガーになり
 かねない。

  穴を掘って地中深くに廃棄物を捨てる、ダムを建設して貯水する、こうした人工的な作
 業が地震を引き起こすこともあるのだ。中国の四川省の大地震も、中国のある学者は三峡
 ダムの影響だと言い切っているほどだ。実際いま、中国が世界一のダムだと自負する三峡
 ダム近くの斜面が崩落し、非常に危険な状態になっている,地球の地盤というのは、それ
 ほど頑丈なものではないのだ。むしろ軟らかく、敏感で、いろいろなことに影響を受けや
 すいのである,

  千年も地震のなかった神戸にあれほどの地震が起きた,その原因が、六甲山を掘り崩し
 て空港にしたこととまったく関係がないかというと、そうは言い切れない。江戸時代は江
 戸で異常に地震が多発していたが、東京湾の埋め立てが始まったのは江戸時代からである。
 そこかしこでやっていた埋め立て工事が地震のトリガーになったと考えても不思議ではな
 い。

※ 米国ではシェールガス採掘に比例しマグニチード3以上の地震が逓増していることは、こ
  のブログでも紹介しているが、あながち否定できない事例として考察する必要がありそう
  だ。



  そんなこと証拠がないじやないかと言われればその通りで、あくまで推測にすぎない。
 しかし、大規模土木工事をはじめ、現代人のやっていることは非自然的なことばかりで、
 その挙句に、いま、異常気候変動も起きているのだ。その意味では、人間の営みはとてつ
 もない影響を地球に及ぼしていると考えるほうが自然だろう,


  私たちは予測が外れることを恐れない――だからあらゆる可能性を
  排除しない

  そう考えると、地殻の変動をもたらすものは無数にある,しかし、異常値が出ているの
 に、地震以外の影響だろうと思い込んで発表せずに大地震で多くの犠牲が出てしまうこと
 だけは絶対に避けなければならない。だからこそ、私たちは予測が外れることを恐れない
 し、あらゆる可能性を排除しない。その姿勢だけは一貫させているつもりだ。

  豪雨・豪雪、火山、ダム、資源採掘・・・・・・数値を変動させるあらゆる影響を排除せず、
 その中から大地震の前兆を見極めることが最も重要だと考えている。地震の情報だけでな
 く、そうした異常値を出すトリガーになりかねない事象、事柄についても、メルマガでは
 できるだけ丁寧に、説明していきたいと思っている。
  メルマガに寄せられた読者の声にもあったが、本当に地球は生きているのである。季節
 変動も大きい。冬は縮まり、夏は膨らむ。まさに地球は呼吸をしているのだ。

  その呼吸の様子が、先端の測量技術で、いまや手に取るように分かるようになった。そ
 の表情から、いかに内部を読み解くか。今後さらに、地震予測の精度や範囲を広げていき
 たいと考えている。

    おわりに

  初版が出版され、電子版のための修正をしているいま、一人感慨にふけっている。
  荒木春睨さんに誘われて潮位衛星を使った地震予測の研究を始めてから、13年がたつ。
 最防の10年は前向きの予測ではなく、大きな地震が起きるたびに、どのような前兆があ
 ったかを後追いでひたすら検証し続けた。そして、顕著な前兆が見られた地震について荒
 木さんと連名で論文を発表したが、誰からも注目されることはなかった。海外でも英語で
 論文を発表したが、面白いと言われたことはあるが注目を浴びることはなかった,

  本文で述べたように、橘田寿宏さん、谷川俊彦さんとの出会いがあって、2022(平
 成25)年1月に地震科学探査機構(JESEA)を設立した。そして、2月から個入会
 員向けにメルマガを配信する事業を始めた。9月からは、自分流の本格的な全国版地震予
 測を始めることができた。さまざまな新聞、雑誌がJESEAの地震予測について記事を
 掲載してくれた。そのたび、私は手持ちのデータをできる限り提供した。テレピ局も何度
 か取り上げてくれた,メデイアのおかげでメルマガの会員は増え、会社を維持できるまで
 になった。そして集英社が本書を出版してくれた。

  だが、いまでも、測量工学が専門で地震の「門外漢」である私が、地震予測に取り組ん
 でいることにはよほどの違和感があるらしい。「異端」「孤高]の東京大学名誉教授、と
 いわれることもしばしばある。
  私は2000(平成12)年に定年を迎えるまでの34年問、東京大学生産技術研究所
 で写真測量及びリモートセンシングの研究に没頭していた。その研究生活の中で、痛感し
 たことがある。それは、社会が解決を要請している重大な課題に関する研究には、すべて
 の研究者が取り組むべきであり.学問に境界線はない――ということである。

  地震予測は、まさに「社会が解決を要請している」研究テーマであり、あらゆる研究者
 が取り組むべき課題であろう。とりわけ日本は地震大国であり、一人でも多くの人命を救
 うために地震予測に取り組むことは、日本人研究者の使命でもあると思う。
  衛星潮位技術に基づいた「地震の前に地球が微妙に動く様を、潮位衛星により測量する
 ことで地震予測を行う」という発想は"コロンブスの卵"であった。地表に設置されている
 電子基準点から、地下数十キロで起きる地震を予測するのだから、常識の壁を打ち眩るア
 イデアである。

  だがそれゆえに、プレート、活断層、トラフなどの研究をしてきた専門家にとっては受
 け入れがたい発想であるに違いない。
  私は、地震学や地質学の重要性を否定するものではない。それらは地震のメカニズムを
 解明するための、人切な学問である。しかし、だからといって、地表の電子基準点の変動
 と地震発生という事象のあいだの相関分析から類推される地震予測の方法を否定する必要
 はないであろう。

  私は、従来得られてきた地震に関する知見と、新しい地震予測のアプローチを融合した
 いのだ。
  最近はメディアだけでなく、さまざまな人たちの前で講演をして情報提供をしている,
 多くは「動く地球を測量する~地震予測の新しいアプローチ」という演題で、新しい地震
 予測の方法を理解してもらうと同時に、実際の地震についての検証を報告してきた。大人
 向けの講演会だけでなく、神奈川県大井町にある小学校の生徒と保護者、福島県の理科研
 究発表会に参加した高校生など若い匪代を相手に話したこともあった。

  どの会場でも、活発な質問や意見が飛び交った。目を暉かせて「将来地震予測をしたい」
 と熱望する生徒もいた。いかに地震予測が国民的関心嘔であるかが分かる。
  メルマガの会員からも多くの質問を頂戴するが、すべて私がメールで回答している。素
 朴な疑問もあれば専門的な質問もある。また、お叱りや批判もあるが、素直に受け入れて
 いる。現時点での研究の限界や不明点は、本書でも正直に述べてきたつもりだ。地震予測
 をする場合、すべての言葉に根拠になるバックデータを含有していることが最も大切なこ
 とだと思う。したがって、予測が的中しなかった場合でも、一切、言い訳はしない。メデ
 イアが「予測が的中した」と報道してくれても、地震予測はまだ研究の発展途上にあるこ
 とを忘れてはいけない。信頼性と確実性は、まだ達成できていないのである。

  なお、本書の制作時点と刊行される時点では、多少の時差が生じるであろう,地震は偶
 発性をもって刻々と発生するから、それによって新しい知見が得られていく。完全に「最
 新版」といえる検証成果を本書に盛り込むことはできない。しかし、地震予測に関する最
 も基本的な方法と過去の大地震の検証例は列挙している。また、本書で初発表となる検証
 成果を記載できたことは、私にとっても貴重な研究整理の機会となった。
  最後に、編集を担当してくれた集英社新書編集部の千葉直樹氏、構成を担当してくれた
 宮内千和子氏の多大な手助けに対して感謝の意を表したい。内容をチェックしてくれた、
 JESEAの橘田社長と、家内の村井妙子にも感謝し村井俊治たい。

  2015年3月    
                                    村井俊治


今回でこの本を読了する。思い起こせば、2015年の阪神大震災の経験の後、同僚のS氏に
地震システムの開発話を半ば真剣に、半ば冗談に持ちかけて、20年の月日が流れたが、その
成果報告を受けとったことは一度もなかった。6月17日の同僚のY氏通夜のオフ会?とき、
村井俊治氏の活動を紹介し、関連情報をアップしておくから勉強しておいてね、と。いって分
かれたが、次回のオフ会?には何らかのアクションがでてくるかも知れない。

                                     この項了



 

● ナノシルバーネオって何だ

二日ほど前の払暁ころ目を覚ましたため、テレビを点つ何となしテレビショッピングを見ていたら、表記の
商品が紹介されていたので、どんなものかと、いつものように過剰適応してしまった。その結果、次のよう
なことであることがわかったという、どうでもいいのだが、ブログ掲載してしまった。銀だけではなくチタンな
どの化合物でものそれは可能だとわかった。なるほど、面白いものだが、安全性には要注意である。

銀は、細菌、ウイルス、酵母菌、真菌および原虫の細胞において通常利用できる様々な求核基に
不可逆的に結合する銀イオンの能力からその広範な抗菌活性をもつ。細胞成分に対する結合は、
通常の再生および成長サイクルを阻害し、細胞の死をもたらし、銀とその化合物は、その強力な
活性を利用し、過去数十年にわたり、包帯、ヒドロゲル、親水コロイド、クリーム、ゲル、ロー
ション、カテーテル、縫合糸や絆創膏などの様々な創傷ケア製品に採用されてきた。また、銀は
金属形態自体では効果を発揮できず、その化合物やは塩であり、これらは、水性媒体と接触する
と、解離し、抗菌作用に利用可能な銀イオンを生成。銀化合物の大多数は、感光性や感熱性でも
のため、安定性に難点がある。さらに、、銀金属は、真空スパッタ法や電気メッキ法により抗菌
カテーテルや創傷包帯上に薄膜として蒸着されて、抗菌表面を形成するが、(1)長期持続性―
銀量を増やすと細胞毒性を高めるため安易に採用できない――と(2)高コストという点で問題
が残る。この課題をを解決するために、特許5566976「抗菌銀組成物」で、織物創傷材料、カテー
テル患者治療用デバイス、コラーゲンマトリックスのデバイス用に ナノサイズに微塵化させ装
填量を変えずに表面積を大きくさせ、銀金属担持表面から銀イオン放出を向上させ、安定化剤、
複数の銀化合物、還元剤、溶媒で構成された、銀ナノ粒子調製のための組成物が提案されている。

また、特表2010-525091「抗微生物プラスチック及びコーティング」では、銀とゼオライトまたはガ
ラスに担持された銀を組み込むこみ、紫外線硬化樹脂などのプラスチックでコーティングしている。さらに、
特許5538891「抗菌性ポリマー製品、その製造方法および使用方法」では 、銀以外の金属化合物
([Mq+]a[Xz-]b を含有した抗菌菌性ポリマーを用いた抗菌性コンタクトレンズの製造方法と使用方法
が提案されている。

  ● 今夜の一品


昨日の話。カレーメシを買ってきたと電子レンジ加熱したものをもってきて、二人で試食。味は
申し分ない。しかし、ご飯は蒸らし方がわるいと芯が残る食感がマイナス点となる。価格も2百
円(税なし)とお手頃。これで、ポータブルマイクロウェーブと良質の水があれば、野外での活
動の食事がOKとなり、防災での非常食としては大変重宝で、美味しいものがいただける。

※ ポータブルマイクロウェーブは、非常用浄水器と同じく非常用発電機とセットで商品化し世
  界展開すれば、喜ばれるのではないだろう。また、日清食品などの日常食および非常食の開
  発とコラボなどが考えられる。


    ● 今夜の一曲

昴 麗君 Teresa Teng 星 (HK Live 1982)



   踏過荊輯苦中枚到安静, 踪漣荒郊我雙聊是泥寧。

   満天星光我不怕狂風, 満心是期望, 過黒暗是黎明。

   啊!星光燦爛, 伴我夜行, 給我光明。

   啊!星光引路, 風之語軽軽聴。

   帯著熱情, 我要我理想, 理想是和平。

   尋夢而去,槙怕走崎i嘔嶇險徑。 ・・・・・・  



疲れを癒す時、いつも傍にいるテレサ・テン。何度、君に慰められたことか?!
この曲を聴く時、あの西安、あの南京の風景が、そして、プラント建設した同士達を思い出す。

「さんざめく 名もなき星達よ せめて鮮やかに その身を終われよ ……」。「昴」に中国人
が親しみを持ったきっかけは、80年代にテレサテンが歌った同曲の中国語バージョン。谷村新
司の歌であり、理想主義に憧れる時代だった。このころ(1982年)心身ともぼろぼろで北京
のホテルで一人で、ウイスキーを注ぎ一夜を明かしたあの頃が、この曲とクロスオーバーする。                                

 

  

超高齢社会論

$
0
0

 

 

 ギリシャの頭に銃を突きつけ、自ら引き金を引けと要求している。

                                                        トマ・ピケティ 

 




【再エネ百パーセント時代: フェイスブックが新データセンタ全電力風力発電】

米国フェイスブック(Facebook)は、米国テキサス州に同社5つ目のデータセンターを建設するす
るが。同データセンターは使用電力の百パーセント風力発電で賄うとのこと。フェイスブックでは
、2014年に稼働したアイオワ州の「Altoona Data Center」で初めて、地域内の風力発電所からデー
タセンターで使用する電力の全てを調達し、再生可能エネルギーを百パーセント利用したデータセ
ンタを建設している(関連記事)。今回新たに建設するフォートワースのデータセンタも、Citig-
roup Energy、Alterra Power、Starwood Energy Groupなどが運営する2百メガワットの風力発電所
から電力を調達する計画。同風力発電から供給を受ける電力網は2016年に稼働開始予定だ。


 



●  高出力・軽量の「HIT」(パナソニック社製)メガソーラーが採用!

パナソニックは北海道厚真町で7日稼働したメガソーラーに太陽光パネル「HIT」を納入した。
同社は高性能だが単価の高いHITについて住宅中心に事業展開を進め、低コストなパネルが主流
のメガソーラー向けは積極的に取り組んでいなかった。だがメガソーラーを建設する立地の狭小化
などで、発電能力の高い太陽光発電パネルの需要が生まれつつある。HITにも出番が回ってきた。
今回、HITを納入したのは三井物産プラントシステムが運営する「北道海厚真ソーラー2」。6
240枚のパネルを設置し、出力は1810キロワット。年187万キロワット時の発電量を見込
む。HIT太陽電池モジュールは、単結晶シリコン基板に薄膜アモルファスシリコンを積層した同社
独自のハイブリッド構造により、高い発電量を実現。同じ発電量を得るにあたり、少ない枚数での
設置が可能。また、温度特性に優れ、夏場の高温時にも出力が低下しにくい。

-----------------------------------------------------------------------------------------
■製品名 : 産業用太陽電池モジュール「HIT」 大型タイプ290A(品番: VBHN290SJ27)
■モジュール変換効率(※2): 18.8%
■公称最大出力(※3) : 290W
■納入パネル枚数 : 6,240枚

※1:2015年7月10日現在 ※2:太陽電池モジュールの変換効率(%)は、の計算式を用いて
算出している。
変換効率とは、太陽光エネルギーから電気エネルギーに変換したときの割合を表す。 ※3:公称最大出力の数値は、JIS C8918で規定するAM1.5、放射照度1,000W/m²、モジュール
温度25℃での値。

 2013.07.23

  

【超高齢社会論 Ⅰ: 下流老人とはなにか】


秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたらす格差拡
大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本書でいう下流老人
とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。そして今、日
本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパクトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で、焼身自殺した事件――71歳の林
崎春生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載(極東極楽 2015.07.02)。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護基準は、144,430円(生
活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円【特別基準における家賃上限】)である。資産
の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事実だとすれば、年金支給額だけでは
暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生活保護を福祉課で申請すれば、支給決
定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた可能性がある。月額2万円程度、生活費
が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。生活に不安を抱えどうしたらいいか途方
に暮れる男性の姿が思い浮かぶ。」と語っている(YAHOO!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧
困問題ー再発防止策は「貧困対策」ではないか!?」 2015.07.02)を受け、近々、『下流老人』を
読み、その感想を掲載するつもりでいたが、今夜から連載していく。まずは、巻頭の「はじめに」
から入る。

 目次

 はじめに
 第1章 下流老人とは何か
 第2章 下流老人の現実
 第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
 第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
 第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
 第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
 第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
 おわりに
 

  本書を手にとっていただいた皆さんに知ってほしいことがある。
 日本に「下流老人]が大量に生まれているということだ。この下流老人の存在が日本社会に与
 えるインパクトは、計り知れない。
  下流老人とは文字通り、普通に暮らすことができない"下流"の生活を強いられている老人を
 意味する造語だ。
  なぜこの言葉をつくったのかといえば、現在の高齢者だけでなく、近く老後を迎える人々の
 生活にも貧困の足音が忍び寄っており、「一億総老後崩壊」ともいえる状況を生み出す危険性
 が今の日本にあるためだ。
  なお、下流老人という言葉に高齢者をバカにしたり、見下したりする意図はなく、日本社会
 の実状を伝える言葉として、創造したものだとご理解いただきたい。この下流老人という言葉
 を用いることで、高齢者の逼迫した生活とその裏側に潜む問題をあらわにしていくことが目的
 である。

  2014.09.26

  本書に先駆けて、2014年にNHKスペシャルで「老後破産」というタイトルの番組が放
 送された。番組では、生活に困窮する高齢者の実態の一部が明らかにされ反響も大きかったよ
 うだが、そこに至るまでの社会背景や雇用、福祉の問題などについてまでは踏み込まれなかっ
 た。
  視聴者は問題の所在の一部は理解できたが、全体像を把握することはできなかっただろう。
  それに続くかたちで、高齢者の貧困の実態について、新聞や週刊誌も相次いで報道している。
 しかし残念ながら、全体を網羅したわかりやすい文献はいまだない。現象の一部だけを切り取
 った報道も多く、だからこそ余計に老後に対する不安ばかりが広がっているのが現状だ。

  各社が報じている以上に、日本の高齢者の格差と貧困は極めて深刻であり、今後も一層広が
 っていくことが容易に予想できる。これは安易な脅しや警告というレベルのものではない。実
 際にすでにはじまっており、そしてこれから誰にでも起こり得る身近な出来事、それが「高齢
 者の貧困=下流化」だ。

  平均的な給与所得があるサラリーマンや、いわゆるホワイトカラー労働者ももはや例外では
 ない。詳しくは本文にゆずるが、現役時の平均年収が400万円前後、つまりごく一般的な収
 入を得ていても、高齢期に相当な下流リスクが生じることをお伝えしておきたい。
  普通に暮らしてきた人々が、老後を迎えて、普通の生活が送れなくなってしまうような事態、
 すなわち下流に転落してしまうことがはっきりと想定されている。
  多くの人々は老後もこれまでと同様に安心して暮らしたいと考えているだろう。しかし、そ
 うならない可能性が極めて高いのだ。

  では、下流老人とは具体的に誰のことで、どのような状態を指すのか。
  詳細は後述するが、本書では下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れ
 がある高齢者」と定義する。細かな内容や類型については、この定義を基礎におきながら読ん
 でいただきたい。
  下流老人は、いまや至るところに存在する。日に一度しか食事をとれず、スーパーで見切り
 品の惣菜だけを持ってレジに並ぶ老人。生活の苦しさから万引きを犯し、店員や警察官に叱責
 される老人。医療費が払えないため、病気を治療できずに自宅で市販薬を飲んで痛みをごまか
 す老人。そして、誰にも看取られることなく、独り静かに死を迎える老人………

  これらの高齢者の姿は、下流老人のほんの一端である。そして、その実態や背景は、驚くほ
 ど多くの人々に知られていない。あるいは恐ろしすぎて無意識のうちに目を背けているのかも
 しれない。
  わたしは埼玉県を中心に、12年間、下流老人を含めた生活困窮者支援を行うNPO法人の活
 動に携わってきた。そしてその過程で、多くの生活困窮者の惨状を目の当たりにしてきた。こ
 れらの実体験を踏まえ、今回は多くの方たちが不安に思っている「老後の貧困」の深層に迫っ
 ていく。実態を理解し、対策の一部でも知れば、自らの老後に対する備えもできるはずである。
  そこで本書では、現在推定600万~700万人はいるであろう下流各人の実状と、その社
 会的な背景、未来予想図とともに、貧困に対する。
  自己防衛策なども提示していく。自分の老後やこれからの生活における対策としてもぜひ活
 用し、下流に陥ったらどうするか、またそうなる前にできることは何か、と想像しながら、現
 実から目をそらさずに読んでいただきたい。

  本書の構成は、まず第1章で下流老人とは何か、懸念される問題は何かについて、さまざま
 な統計データや資料、相談者の事例などから、問題提起を行う。

  第2章では、下流老人の日常生活がどのようなものか、4人の実例を示すとともに、下流老
 人に至るまでの生活や背景に迫りたい。とくに、現役時代に一般レベルの暮らしをしていた人
 が、なぜ下流に転落するのか、実際の声に耳を傾ける。

  第3章では、多くの相談事例をもとにして、下流老人に至る代表的なバターンを示す。下流
 に至る人々には、多くの共通点がある。それらのリスク要因をパターン化して分析することで、
 防止策や解決策を考える下がかりを探したい。

  弟4章では、下流老人を生み出し、さらに放置してしまっているわたしたちの意識や感情、
 内面に焦点を当てていきたい。下流老人の問題を軽視するのも重視するのもわたしたちの意識
 次第だ。なぜこれまでこの問題がわたしたちの意識や世論に、主要な解決すべき課題として上
 がりにくかったのか、その原因を検討していく。

  第5章では、下流老人を生み出す社会システムや社会福祉制度の機能不全を中心に考察する。
 下流老人を放置する制度上の問題点がどこにあり、何を変えればよいのか、第7章の解決策の
 提示につながるような内容としたい,

  第6章では、下流老人にならないために、わたしたちが個人レベルでできることや考えてお
 くこと、備えておくことを考えたい。多くの人が下流老人に陥る高リスク社会において、わた
 したちはどのように貧困に対抗すべきか、具体的な方法を提示していく。

  最後の第7章では、これまでに受けた相談や、支援を通じて得た経験から、制度や政策に対
 する個人的な提言を行う。あくまで本章は個人的な見解として提示するものだが、これをたた
 き台にして、引き続き読者による議論の発展を期待したい。
  本書を通じて、下流老人の全体像や高齢者の貧困問題をより明らかにし、いずれは高齢者に
 なるすべての人々、多くの読者とともに、解決策を模索していきたい。どうか最後までお付き
 合いいただければ幸いである。


※ ジニ係数(=収入不平等指数)にみる格差は、世界141ヵ国中、日本はジニ係数37.9%
  で73位(因みに、1位はレントの63.2%、最下位はスェーデンの23%)GDP世界3
  位の日本が、格差では68位と色あせてしまう。  

 

 さて、次回は第1章に入る。

※ 「高齢化社会論批判」 田中史郎

                                    この項つづく



※ アルミ電解コンデンサ(右)と同等の性能をもちなが
  ら体積が1/1000のカーボンナノチューブ(CNT)集積化
   マイクロキャパシタ(左)



● カーボンナノチューブ集積化マイクロキャパシタ登場

-アルミ電解コンデンサーと同等の性能で体積を1/1000に-

産総研は、七夕の日、スーパーグロース法による単層カー分なのチューブ(CNT)をキャパシターの
電極に用いることで、従来の材料をしのぐ高エネルギー密度・高パワー密度を実現したと発表。こ
の優れたキャパシター特性を示すスーパーグロース単層CNTを電極材料とし、リソグラフィーにより
CNT膜をキャパシター電極に微細加工する技術を開発することで、小型で軽量かつ高性能な、今回の
CNT集積化マイクロキャパシターの開発に至ったという。

高電圧・安定動作を実証やスーパーグロース法、CNT高密度化法と、半導体のリソグラフィー技術を
融合させ、カーボンナノチューブ(CNT)デバイスの集積化の研究開発に取り組んできた結果、3次
元で複数のCNTが高密度に配向したカーボンナノチューブ(CNT)カンチレバーや3次元のCNT配線な
どカーボンナノチューブ(CNT)デバイスの集積化を可能にするカーボンナノチューブ(CNT)微細
加工技術が開発されてきた。今後は、電子機器関連の産業界、特にコンデンサー、キャパシター、
電池、半導体メーカーに対してニーズ調査を行うとともに、この技術に興味を持った企業と連携し
た開発を行う。さらに、CNTマイクロキャパシターは集積度・電極デザインの設計により作動電圧、
容量、出力、充放電速度を幅広く制御できることを明らかにしていくとともに、半導体バックエン
ドなどでの量産化技術の開発に取り組み、用途の開拓を進めるとしている。

これは、実に面白い。

 

 

 

電気飛行機時代

$
0
0

 

 

   中国船は我々の6倍の大きさで鋼鉄製だ。
         木造漁船の我々がぶっかっていくはずがない。

                                     ホア ベトナム漁船主

  

 

 

● 中国船の蛮行

ベトナム政府は、先月26日に南シナ海・西沙(パラセル)諸島近海でベトナム漁船が中国漁船
に衝突され、沈没した様子を撮影した動画を公表した。中国は「ベトナム漁船から衝突」と主張
しているが、動画では大きな中国漁船がベトナム漁船を追い、体当たりする様子が映っている。
事故が起きたのは、中国が石油掘削をしている場所から南南西約31キロの海上。動画は近くに
いたベトナム漁業監視船の船員が撮影していた。沈没した漁船に乗っていた漁民10人は、泳い
で別のベトナム漁船に救出されたという。

顔などに切り傷を負った漁師のビエンさん(28)は事故直後の朝日新聞の取材に「衝撃であっ
という間に船は沈んだ。救命具をつける余裕もなく海に投げ出された。必死に泳いで逃げた」と
証言。船主のホアさん(38)は「中国船は我々の6倍の大きさで鋼鉄製だ。木造漁船の我々が
ぶつかっていくはずがない」と憤っていた。損害額は2500万円に上るという(朝日デジタル
2015.07.10)。 

 

● 日中食品汚染 11 中国の食品汚染地図 

 

【目次】

 第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか


古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素
描し終えたので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから
課題を掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく。

 

 

  第2章 中国の食品汚染地図

                       中国も日本も抗生物質大国

  中国は日本以上に規制がゆるいのが現状で、中国人自ら「抗生物質大国」と称してはばか
 らない。2012年、中国では抗生物質が21万トン生産され、3万トンを輸出し残りの18
 万トンを国内で消費している。
  ひとり当たりの抗生物質消費量は、アメリカの10倍以上に当たる138グラムだ。飼料
 を含む家畜向けの使用量は9・7万トン。国内消費量全体の半分以上にも相当する多さであ
 る。
  そんな中国だが、危機感を覚えていることも事実だ。そこで政府は近い将来、家畜向けの
 抗生物質の使用を全面的に禁止する方針を打ち出したが、いまだ実現していない。 
  現在、飼料に使用できる抗生物質の種類は数の上で日本を 上回る24種類だ。
  抗生物質を長年飼料に使用した場合、家畜生産物を良べる人体にはどのような影響が出る
 のだろうか? 一般に飼料中の抗生物質は家畜の体内に残留し、やがて間接的に人体に取り
 込まれる。 

  問題は抗生物質が、規制量以上に家畜の飼料に使用されていることだ。その使用制限が、
 中国では飼料Iトン当たり10~15グラムと決められているが、厳格に守られることはほとん
 どないといわれている。あらかじめ決まった飼料成分が入っている配合飼料を使うこともあ
 るが、抗生物質は後から加えられるため、いくらでも入りうる。この点は、農薬の希釈濃度
 が規定通りにされるためしがないのと似ている。少ない場合もあれば、多すぎる場合もある
 のは普通のことだ。

  中国には畜産のための飼料に陵う成分を定めた「飼料原料目録」という規程があり、そこ
 に書かれている成分以外は、使ってはならないことになっている。しかし、現実には201
 3年の3月に、揚子江河口に流れ着いた数千頭の死んだ豚からヒ素が検出されたことが記憶
 に新しい。この例は目録に記された規定が十分に守られていないことを図らずも証明してし
 まった。また別の「飼料添加剤品種目録」という資料には、飼料に添加することが許される
 アミノ酸、酵素、抗酸化剤、着色料、調味剤などの明細とその量が記載されている。本来、
 これ以外の添加物は使用禁止のはずだが、実際には、さまざまな物質や化合物が使用されて
 いる。飼料成分や添加物を法令に従って使用していたとしても、安全を守れるとは限らない。
 農薬や重金属で汚染された飼料を家畜に与えていれば何の意味もないからだ。

                             ホルモン剤投与の問題

  家畜や家禽の飼養に院われ、生産物の自然な組成や備えるべき栄養素に影響を与え、人体
 にとっても決してよいとはいえない成長ホルモン剤の投与もまた、一睡の食品汚染 しかし
 もっとすさまじいのは、ホルモン剤を注射されて、強制的に若さを維持させられることだ。
 そして妊娠産乳と励むよう仕向けられるのだ。そんなにしてまで搾られた牛乳は、はたして
 健全といえるだろうか,このような牛乳を原材料とした粉ミルクの一部が、子を持つ親から
 汚染されていると敬遠され、やがて脱脂粉乳やチーズ、バターの原材料、あるいは飼料の一
 部になっていく。日本では、こういうことを思いつく農民はまず皆無であろう。

  中には病死した牛、豚、羊などを解体処理して他の精肉に混ぜ、あるいはそのまま売る「
 死肉商売」もあるという。これらがモジュール食品の原材料の一部として輸出されていたと
 しても、決して不思議ではない。
  豚は本当は清潔好きな動物で、細菌やウイルスには弱い体質を持っている。獣医師が少な
 い中国農村ではよく病気になったり、運悪く死ぬ場合も少なくない。わたし自身畜舎の日陰
 に転がる豚の死骸を見たことが何度となくある。それを素人目にはわからないように偽装し、
 巧みにビジネスとして成をさせている,こうした肉が市場などで売られているのが専門家に
 見破られ、大きなニュースになることもある。発覚すれば厳重な処罰を受けるが、実際に見
 つかるのは氷山の一角ともいわれている。


                                         ずさんな解体から生じるBSEリスク

  最後に、肉牛の解体の仕方の日中の差について、簡単にまとめておきたい。
 BSEが発見されたのは1980年代、イギリスにおいてであった。当初は原因不明とされ
 たが、後に原因はプリオンという蛋白質にあると診断された。そのブリオンをもっとも多く
 含むとされているのが、脊柱など特定の部位だ。
  2013年5月時点の農水省のデータによると、日本は25カ国あるBSE清浄国のひとつ
 である。これにはアメリカ、イタリア、デンマークなどが含まれる。次にリスクが低い「管
 理されたリスク」として27カ国’地域があり、イギリス、カナダ、ドイツ、スイス、フラン
 スなどと並んで、アジアでは韓国、台湾の2つが含まれるだけだ。中国は国連加盟国中残り
 100カ国のうち「不明のリスク」の部類に属し、危険性が否定できない国のひとつである,

  BSEの清浄国に認定された日本では、牛の脊柱など危険部位の除き方や脱骨場所、管理
 方法を厳格に定め、食肉センターや流通関係者などに徹底した規定の順守を指導している,
  ところが中国では、豚肉と比べると牛肉そのものが大衆化していないことや、牛肉の生産・
 流通・保存管理などの面で経験が浅く、十分な仕組みができ上がっていない。とはいえ、牛
 の飼養頭数は2011年時点で1億360万頭と回帰の規模だ。ちなみに豚は、これを上回
 る4億7000万頭である,ロ本の牛の飼養頭数は乳牛と肉用牛合わせて約410万頭(2
 013年)にすぎない。中国は、日本の25倍の規模である。天文学的な頭数規模の牛の解体
 管理がいかに難しいか。日本の比ではないことは明らかであろう。

  この数字が.ボすように、牛肉需要は年々高まっておりそれに応じて国産牛の生産・供給
 体制が徐々にでき上がりつつあろとはいえ、牛の解体というBSE対策でもっとも肝心な点
 に関する取り組みは非常に弱いといわざるをえない。

                                    この項つづく 

 

【超高齢社会論 Ⅱ: 下流老人とはなにか】

秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたらす格差
拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本書でいう下
流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」である。そして今、
日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパクトは計り知れないと
指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺した事件――71歳の林崎春
生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載(極東極楽 2015.07.02)。
『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護基準は、144,430円(生活
扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円【特別基準における家賃上限】)である。資産の状
況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事実だとすれば、年金支給額だけでは暮らし
が成り立たないことが明白だといえる。要するに、生活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされ
て、足りない生活保護費と各種減免が受けられた可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない
(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性
の姿が思い浮かぶ。」と語っている(YAHOO!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防
止策は「貧困対策」ではないか!?」 2015.07.02)を受け、近々、『下流老人』を読み、その感想を
掲載するつもりでいたが、今夜から連載していく。まずは、巻頭の「はじめに」から入る。

 目次

 はじめに
 第1章 下流老人とは何か
 第2章 下流老人の現実
 第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
 第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
 第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
 第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
 第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
 おわりに


 第1章 下流老人とは何か

                                        下流老人とは、いったい何か

  わたしは埼玉県さいたま市で、生活困窮者支援を目的としたNPO法人を運営している。
 NPOには毎日のように、貧困にあえぐ高齢者からの悲痛な叫びが寄せられる。わたした
 ちは、そのような方たちが、必要なサービスや社会福祉制度を受けられるように支援を続
 けているが、ここ最近「下流老人」の問題が顕著に浮かび上がってきている。
 
  想像してみてほしい。
 
  朝、薄明かりのなかで目を覚ます。カーテンの隙間から差し込んだ朝日が、衣類やチラ
 シが散乱したほこりっぽい6畳一問の部屋を映し出す。体が重く、思うように動けない。
 15分かけてようやくシミで汚れた布団から起き上がり、顔を洗う。鍋からよそった昨日
 の残りのご飯を少し食べ、たくさんの薬を飲む,持病があるため薬は欠かせない,しかし、
  薬代が高く頻繁には病院にかかれないため、もらった薬を半分にして飲んでいる。
  朝食のあと着替えると、自宅近くにある公園に向かう。そこのベンチで一日を過ごす。
 目の前を若い学生や予ども連れの家族が通り過ぎていく。誰にも話しかけられることはな
 い。予どもはおらず、配偶者も数年前に他界した。親族とも連絡は取っておらず、今どこ
 にいるのかさえわからない。

  夕方になると帰宅し、買い置きしておいた安い米と見切り品の惣菜一品で夕食を済ます。
 たまにできる贅沢は、同じく見切り品の傷んだカットフルーツを食べることくらいだ。節
 約のため電気はつけず、テレビの明かりだけ。先月、貯金が20万円を切った。年金はも
 らっているが、十分な額ではない。このままいけばあと数か月で底をつくだろう。その先
 どうすればいいかは、わからない。
  夜9時になると、早々に布団に入る。静かな部屋に、時計の秒針を刻む音が響く。とき
 どき「早く迎えにきてくれよ」と思う。そして、また眠りにつく。

  これは想像上の話だけではない。このような生活を送る高齢者は、実際に存在する。
  たとえば、夏場の署いなか、電気代を気にして、エアコンもつけずに室内で熱中症を起
 こしてしまう人。頼れる家族や友人もおらず、日中は何もせず、年中ひとりでテレビを見
 ている人,インスタントラーメンや卵かけご飯のような粗末な食事しかロにできなかった
 り、3食まともに取れない人。築年数40年のボロボロの家に住みながら、住宅の補修がで
 きずに、すきま風や害虫、健康被害に苦しんでいる人。持病があっても、医療費が払えな
 いため、痛みに苦しみながら自宅療養をしている人。孤独をまぎらわすため、少額のお金
 を持って、一日、競艇場や競輪場に居続ける人。家賃が払えず、近所の公園で生活せざる
 を得ない人。コンピニで弁当を3個盗み、「刑務所へ行かせてほしい一と空腹に苦しみ泣
 きながら懇願する人………

  わたしは現場の実状を知るまで、高齢期というものは、これまでの数々の努力が報われ
 る時明だと考えていた,家族や友人など多くの関係性に恵まれ、余生を旅行や趣味に費や
 し、豊かで温かく、人生の終結に向かっていく……。
  しかし、このイメージと現実には、相当に大きなギャップがあると言わざるを得ない。
  だからこそ、この下流老人の問題をできる限り多くの人に知ってもらいたい,この問題
 を放置すれば、社会が持続可能ではなくなってしまう。それほど重大な「社会問題」だと
 確信しているのだ。

  では、下流老人とは、いったい何か?
  わたしは下流老人を「生活保護基準相当で暮らす高齢者およびその恐れがある高齢者」
 と定義している。 要するに、国が定める「健康で文化的な最低限度の生活」を送ること
 が困難な高齢者である。
  では具体的に、どのような生活レベルの人を下流老人と呼ぶのか よりイメージしやす
 いよう、まずはその指標ともなるべき実像を捉えていこう。


 下流老人の具体的な指標3つの「ない」

  多くの生活相談を受けるなかで見えてくるのは、下流老人には以下の3つが「ない」と
 いうことだ。

  ①収入が著しく少「ない」

  まず、ド流老人の特徴は、世帯の収入が著しく低く、その収入では普通の暮らしが営め
 ないことだ。その生活水準は、生活保護レベルか、それより低い状況にある。
  ここでいう「生活保護レベル」とは、「生活扶助費」と「住宅扶助費」をへ合わせた金
 額を指す。生活保護費は、自治体や世帯員などの状況や程度によっても支給額が異なる。
 たとえば、生活扶助費と住宅扶助費の2つの合計額は、首都圏に住む一人暮らしの高齢者
 の場合、月額18万円くらいだ。年額にすると150万円前後。2人暮らしや3人暮らし
 だとさらに増額される。

  加えて生活保護では、医療や介護などの必要なサービスも、医療扶助費や介護扶助費と
 して別に現物支給される,生活に必要な最低限度のサービスが、すべて国から現物で支給
 されるうえ、所得税や住民税などの税金の支払いも減免される。そのため、それらの現物
 給付や控除などを実際の収人として換算すると、額面よりも支給額は高くなる。

  以上が生活保護の人伜だが、この生活保護基準は「ナショナルミニマム]とも言える。
 ナショナルミニマムとは、一国が定める国民の健康で文化的な最低限度の暮らしに必要な
 費用や生活水準を定めたもの」である.。憲法にも定められている、国民の生活の″"最
  低ラインを規定する重要な指標であると言えるだろう。

  要するに、年金などを含めた収入がこのラインと同程度であれば、生活保護で受けられ
 る収入となんら変わらない。つまり。保護を必要とするレベル’なのだ。むしろ年金など
 の収入が、額面上、生活保護と同レベルなら、実際の生活はそれ以下と言えるだろう。収
 入が著しく低いことは、下流化する最大のリスク要因となる。


  ここで言う収入が著しく低い状態というのは、「相対的貧困率」がひとつの目安となる。
 一般に「相対的貧困」とは、対象者が属する共同体(国や地域)の大多数に比べて、貧し
 い状態にあることを指し、「相対的貧困率」とは、統計上の中央値の半分に満たない所得
 しか得られない人の割合をいう。
  経済協力開発機構(OECD)の発表によると、日本は全世帯のうち、約16・1%(
 2012年)が相対的貧困とされている。
  また、2013年の国民生活基礎調査では、一人暮らしの場合、12年の等価可処分所
 得の中央値(244万円)の半分(122万円)未満が、貧困状態ということになる。2
 人世帯では約170万円、3人世帯では約210万円、4人世帯では約245万円に相当
 する。その基準以下の収入しかない場合、日本では「貧困」に分類される。下流老人の所
 得も、織ねこの辺りが目安となる。

  このレベルになると「普通の家庭にあるべきものがない」ケースが増えてくる。前述の
 ように、健康的な食嘔がとれない、十分な医療や介護を受けられないだけにとどまらず、
 洗濯機やエアコンが壊れているとか、壁に穴が空いたままになっている、月に一度の外食
 もできないなど、生活に必要な物やサービスを享受できなくなる。要するに、人間らしい
 暮らし(健康で文化的な生活)の水準を下回るレベルでの生き方を強いられるようになる
 のだ。

  注目したいのは、高齢者世帯の相対的貧困率は、一般世帯よりも高いことだ。内閣府の
 「平成22年版男女共同参画自書」によれば、65歳以上の相対的貧困率は22・o%である。
  さらに、高齢男性のみの世帯では38・3%、高齢女性のみの世帯では52・3%にも
 およぶ。つまり、単身高齢者の相対的貧困率は極めて高く、高齢者の単身女性に至っては
 半分以上が貧困下で暮らしている状況なのだ。
 このように、広く知られている相対的貧困率の指標を用いてみても、一般獣帯よりも高齢
 者世帯の方が貧困状態にある人々が多いと言える。一般に思われがちな「高齢者はみな金
 持ち」というイメージは、明らかに誤りだと.一昌えるだろう。

  ②十分な貯蓄が「ない」

  二つ目に下流老人は貯蓄が少ないか、あるいはまったくない。
 ①のように、収入が少ないなら、生活費などはこれまでの貯蓄に頼らざるを得ない,
 わたしたちも支援を行ううえで、まず、相談に来られる方々の貯蓄額を聞くようにしてい
 るが、「すでに貯金を使い果たしてしまった」「あと50万円程度しかない」など、切迫し
 た状況であることがほとんどだ。

  このように十分な貯蓄がない状態では、健康で文化的な生活を維持できない恐れが高い
 ばかりか、突然の事故や病気、介護などの生活上のトラブルに襲われたときに、たちどこ
 ろに生活が破綻してしまう。そのような予想外の支出は、高齢明にはよくあることだ。
  たとえば、脳梗塞のような大きな病気をわずらい、自宅を離れ、有料老人ホームに人居
 しなければならなくなったとしたら、その際の入居金や必要経費を払えるだろうか。ある
 いはそのような病気がなくとも、旅行や趣味を謳歌して、文化的に楽しく暮らしたいなら、
 相応の蓄えが必要となろう。思い描いた理想の老後、もしくは「普通の余生」を過ごした
 ければ、決して少なくない額の貯蓄が必須な社会にわたしたちは生きているのだ。

  では現実的に、老後の生活にはどれくらいのお金が必要になるのだろうか。
  平成26年総務省「家計調査報告」によれば、高齢期の2人暮らしの場合の1か月の生活
 費平均は、社会保険料などをすべて込みで約27万円。
  つまり65歳になった時点で、仮に年金やその他の収入が月約21万円あったとしても、
 貯蓄額が300万円では約4年で底をつくことになる(不足分6万円切り崩し×50か月)。
 仮に1000万円あっても、14年弱しかもたず、最終的に貧困に陥る可能性があるのだ。


さて、生活実態の報告が次回もつづくことになるが、新幹線焼身自殺事件が起きた同日、厚生
労働省から昨年度の生活実態調査結果――国民生活:「苦しい」過去最多62.4%――を報
告しているがこれは偶然としても、何かしら因縁めいたものを感じたが、この現状を抜本的に
変えることができるのが心配の種である(下図、ダブルクリック)。





                                                                      この項つづく

 

   ● 今夜の一品

 Airbus’s First Electric Plane Crosses English Channel

いやはや、電気飛行機時代の開幕ですね。トヨタも参入するのかな?

  

 

超高齢社会論Ⅲ

$
0
0



 

   何でこんなに増えてるのか、分からへんねん。/ 安藤 忠雄  

                                     

 

 

 

● 日中食品汚染 12 中国の食品汚染地図  

【目次】

 第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか

古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素
描し終えたので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから
課題を掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく。 

  第2章 中国の食品汚染地図 

                                                      病気に弱いウナギ

  日中ともっとも縁の深い中国の魚介類はウナギだ。中国産は2012年の国内供給量3万
 7200トンの50%弱を占める。現在、国産ウナギの供給量は10年前から20%減って1万
 7500トン,それを補うはずの輸入量も毎年減る。一方、10年前の20%に落ち、1万
 9700トンとなった。
  中国からのウナギの輸入は、輸入量全体の90%、1万8000トンを数える。中国側から
 見ても、日本は世界最大のウナギの輸出先だ,中国のウナギの輸出量も、じつは毎年減る傾
 向にある。中国の2012年のウナギ輸出量は約3万トンだが、そのうち、日本向けが半分
 以上を占めている。ちなみに中国のウナギ輸出先の第2位ロシアヘの量は、日本向けの4分
 の1程度にすぎない。

  最近は中国でも盛んに調理されるようになり、トグロを巻いたヘビのようにして盛り付け
 される。しかしウナギ養殖のそもそもの目的は、日本に輸出することにあった。主な産地は
 南方で、江西、浙江、江蘇、広東、福建、安徽、湖北などに分布している。
  数あるウナギの種類の中で、通常日本人が食べる純国産ウナギはニホンウナギ。中国から
 輸入されるウナギの主な鮪類はアンギラ・アンギラ種といって、これを中国では欧鰻という
 ように、原腫はヨーロッパ産のウナギだ。ニホンウナギに比べると、やや幅が広くずんぐり
 している。気性は荒く、ときに共食いまですることがある。ウナギ専門家によると、最近は
 フィリピンなどの東南アジア産系の原種が増えつつあるという。ウナギの種類は多いので、
 今後さらに多品種化か進む可能性もある。

  さてその中国産ウナギだが、大きく3つの理由から汚染されやすい性質を持っている。
  第一は、ウナギは病気に弱いことから、薬剤を投与しないと首尾よく成長できない。中国
 で養殖するウナギには白点病、ウーディニウム病、カラムナリス病、白雲病、水カビ病、開
 口病、線虫病、細菌性ホホ病、エドワードシエラ病などさまざまな病気がある,これらの病
 気のうち、文字通りいつも目を開き、目元を赤くしている開ロ病には対策がなく、中国の養
 鯉家がもっとも恐れる病気のひとつだ。
  そこでさまざまな治療薬や予防薬の出番となるが、これが逆にウナギの養殖池あるいはハ
 ウス養殖池を汚し、別の病気を発生させる悪循環を生んでいる。池やハウス養殖池をある程
 度は浄化させようと浄化剤を役人するので、池の水は深い緑色に淀む第二次汚染が生じやす
 い。これは日本と違い、水資源の乏しい中国ならではの問題でもある。
 
  その結緊、こんどはウナギ自身も汚染されるという結末を迎える,ウナギという動物は、
 いつも透明な水を求めるわけではないが、池の水がある程度きれいでないと病気になり、細
 菌を繁殖させる温床ともなる。ウナギの糞は毎日たまるので、これを処理することが、ウナ
 ギの衛生にとっても欠かせないことだ。

  第二はウナギの飼料によるものだ,飼料の種類や銘柄も非常に多く、全体を掌握している
 者はいないくらいだ。ウナギの飼料の場合も中国では規制があり、認可した原料以外で作る
 ことも使うこともできない仕組みになっている。
  しかしその原料の中に、汚染物質が含まれていることが大きな問題なのだ。

                       ウナギはこうして汚染される

  ではどんなものが入っているのだろうか? これがおよそ問題だと指摘されるほとんどの
 危険因子が入っている。
  具体的には、カビ菌毒素、酸化酸敗物、残留農薬、石油炭化水素、重金属の水銀、ヒ素、
 ナマリ、亜ナマリ、カドミウムなどだ。しかも人体への被害は重大だという。これに似たニ
 ュースは、中国の養殖業団体が作る業界紙自身が眼じたこともある。ウナギに蓄積されやす
 い重金属を調べた中国の資料によれば、順に水銀、銅、カドミウムで、蓄積しやすい部位は
 血よりも魚肉部分、魚肉部分よりも頭のホホの部分、そしてもっとも蓄積しやすい部位が肝
 だという。日本人の好きなウナギの肝は、本当は危ない部位なのである。これは食べないに
 越したことはなさそうだ。

  第三は養鯉池の土壌と水の問題だ。中国の養鯉池は、それまで畑や水田であった場所に穴
 を掘って作ったりすることが一般的だ。最近は、日本の方式と似たハウス養殖施設で政殖す
 る者も増えた。
  前者の露天池の場合、畑や水田の土壌深くに浸み込み、長年かけて堆積した農薬や化学肥
 料の直撃を受けやすい。
  昔の農薬はDDTやBHCなど有機塩素系農薬が多数を占めていたが、農薬の危険性につ
 いて今ほど意識が高くなかったので、大吸にまいていた。今でも残留農薬にはこれらの有機
 塩素系が検出される。化合物なので溶解消滅しないのだ。

  水そのものにも問題がある。養鯉のために使う水は地下水あるいは河川からの引き水だが、
 いずれの場合も一般の農産物を作る際に起こる問題と同じだ。地下水の汚染は深刻だが、合
 わせて地下水位の低下による塩害問題も起きている。河川水であっても季節によっては流量
 が減り、汚染が濃縮されることもある。そのため、田畑から河川へ流れ出した農薬や化学肥
 料、そして重金属などによる養殖池汚染が深刻な被害をもたらしているのだ。

  ある程度の塩分は養殖池の浄化や殺菌に効果的な面もあるが、常水に塩分があると、ウナ
 ギの生育に害を与える。 
  淡水魚であるウナギには、海水魚と追って、そもそも塩分の排出機能がないからだ。
  日本に輸出されるウナギは、一般に厳重な管理のもとで養殖され、安全検査が行われてい
 るが、かといって安心はできない。週刊誌「AERA」(2013年9月9日号)が行った
 日本の外食害におけるウナギ重金属汚染調査の結緊をみると、カドミウム、水銀などがほと
 んどの検査個体から検出され、とくに肝汁からは高度の重金属が検出された。全体的に基準
 値を超えるものは少なかったが、サンプル数が少なく、調査地も東京地区だけだったなど、
 制約があったことは考慮した方がよいと思う。またサンプルには、国産ウナギがかなりの程
 度混ざっていた可能性もある。

                                   この項つづく    

  

  

 

【超高齢社会論 Ⅲ: 下流老人とはなにか】 

秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02)。『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防止策は「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、近々、『下流老人』を読み、その感想を掲載する。

  目 次

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

  第1章 下流老人とは何か

                           下流老人の具体的な指標 3つの「ない」

   ②充分な貯蓄が「ない」

   一方、厚生労働省「平成25年国民生活基礎調査の概況」によれば、高齢者世帯の平均 貯
 蓄額は1268万1000円となっている。一見多くの高齢者匪帯が十分な貯蓄を用意して
 いるように見えるが、実際には「貯蓄なし」の世帯が16・8%もいる。さらに言えば、4
 割以上の世帯が、貯蓄額500万円に満たない。また、平均といっても、ごく一部の富裕層
 が平均値を高めているため、多くの人の実際の貯蓄額はもっと低くなる(統計のなかで「平
 均」という言葉が出てきたら要注意だ。平均はあくまで合計を構成数で割った数字であり、
 仮に99人の貯蓄額の平均が1000万円のところに、10原円持ったお金持ちが1人現れれば、
 平均は約2000万円となるからだ。なお同調査では3000万円以上の貯蓄がある高齢者
 世帯が11・6%いる)。

  さらに現役世代について見てみても、内閣府「平成26年版高齢社会白書」によれば、世帯
 の高齢期への経済的な備えがあると感じている者は、約2割しかいない。その内訳を見ると
 「十分だと思う」(1・6%)と「最低限はあると思う」(21・7%)を合わせた「備え
 はある」とする人の割合は29・3%で、「少し足りないと思う」(16・5%)と「かな
 り足りないと思う」(50・4%)を合わせた「足りない」とする人の割合は66・9%に
 のぼる。また、若年層ほど「足りない」と答える人の割合が高くなっている。 貯蓄がない
 と老後をまともに暮らせない社会において、このデータは、恐ろしい事実ではないだろうか。
 まだ労働期間が短い若者に貯蓄がないことは理解できるが、ここには40代や50代の回答
 も含まれている。間もなく高齢期を迎える人々においても、十分な貯蓄が形成されていない
 のが現状なのだ。


  ③頷れる人間がい「ない」(社会的孤立)

  下流老人の特徴の三つ目は、困ったときに頼れる人問がいないことだ。
  理想の高齢者の暮らしというものを考えてみてほしい。家族に囲まれて、息子や孫たちと
 同居し、日常的にコミュニケーションをとりながら、支えあって暮らしているかもしれない。
 息子や娘と同居していなくても、年に何度も交流があり、お互いの近況を伝えあい、支えあ
 うこともあるだろう,仮にそのような家族がいなかったとしても、近隣住民やお茶飲み仲間、
 友人などと会話をしたり、交流するなど、楽しく潤いのある時間を過ごしているかもしれな
 い。

  じつはこのような気軽に会話ができたり、相談ができるような豊かな人間関係を築いてい
 る高齢者が、下流老人には少ない。いわゆる「関係性の貧困」という状態にあり、社会的に
 孤立している姿が見えてくる。
  前述したように、一人で何もすることがなく、部屋でずっとテレビを見ていたり、一日中
 誰とも会話がないことは、下流老人にはよくあることだ。コンビニの店員と交わす「お弁当
 温めますか?」というやりとり以外、誰とも話す機会がないという方も相談者のなかには多
 い。

  このような社会的孤立の状態は、多くのリスクを生じさせる。
  たとえば、相談する相手がいないために、生活に困窮しても助けを求められず、問題が重
 篤化してから発見されるケースが多い。
  先日も、ゴミ屋敷で認知症になっていた高齢女性を発見し、役所の担当者と保護したこと
 があった,周囲の人々は認知症があることすら知らず、女性が助けを必要としているとは思
 っていなかった。
  助けてくれる家族がいなければ、身体が弱ったときでも、自炊や日常生活全般を自分自身
 で行わなければならない。相談できる人がいなければ、振り込め詐欺などの犯罪被害にも遭
 いやすいだろう。

  また、持病のある高齢者の場合、倒れてそのまま発見されず、手遅れとなることがある。
  室内で転倒して動けなくなり、誰にも気づいてもらえず、後日遺体となって発見されるこ
 ともある。夏場だと、体が腐敗して良っ黒になり、人間としての原形をとどめていないこと
 だってある。
  遺体からは、腐敗した血液などの体液が流れだし、うじ虫やハエが室内を占拠するため、
 異様な腐敗臭が充満する。そのようななかで、遠い親戚や不動産業者と片づけを行うのだ,
 「最近お隣のおじいさんの姿を見かけないな」と思っていたら、じつは部屋でミイラ化して
 いたという事例も珍しいことではない,遺品整理や室内の片づけビジネスが流行るわけであ
 る。 

  このように、わたしたちが出会ってきた高齢者の多くは、人間らしい余生や最期を送るこ
 とができない状態にまで陥ってしまっている。「たとえお金がなくても、楽しく豊かな老後
 を送りたい]という希望すらかなわないのだ。
  このような社会的孤立によって生じる問題は、近年ますます顕著であ今昔であれば世帯住
 宅で、子ども夫婦に扶助してもらうことが当たり前だった。しかし、現在は核家族化により
 一人暮らしの高齢者が増えている.

  内閣府「平成26年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の一人暮らしの高齢者数の仲びは
 男女ともに顕著で、昭和55(1980)年に男性約19万人、女性約69万人であったのが、
 平成22(2010)年には、男性約139万人、女性約341万人にまで増えた。高齢者
 人口に占める割合も、男性4・3%から11・1%、女11・2%から20・3%まで膨ら
 んだ計算となり、今後も急激に増加すると予測されている。

 

  その、一方で、65歳以Lの高齢者における予どもとの同居率は、昭和55(1980)年
 にほぼ7割であったものが、平成11(1999)年に50%を割り、平成24(2012)
 年には42・3%と、大幅に減少している。
  これからも高齢化が進むのは間違いないが、とくに一人暮らしあるいは夫婦のみの高齢者
 附帯は際なって増加していくことだろう。生活に困ったときや助けてほしいときに、家族が
 周囲にいない状況が当たり前の社会になりつつあるのだ。

                                    この項つづく

 

 

  

  

 ● この間の宿題: 
     
     ポータブル浄水器・ソーラ&ジェネレータ・電子レンジとカレーメシ・電動エアーシップ

 

欲望という名の複雑系

$
0
0

 

 

   私はもともと犬肉は食べないが、あいつらがこんなにわれわれ
         玉林人を罵るから、今年は何としても犬肉祭に行ってやる。

                        批判に反撥する玉林市民    

 

 

   Go green, go driverless! 

● 自動運転タクシで温室ガス94%削減-小型化とライドシェア-

米ローレンス・バークレー国立研究所は、30年には、自動運転の電気自動車タクシーの二酸化
炭素排出量が、現在のガソリン車と比較して最大94%低下する――運転手つきのタクシーより
もはるかに低料金で運用でき、排出量削減の約半分は、利用客に合わせてタクシーを小型化する
ことで達成でき、「米国では大半が1人でタクシーを利用しているので、座席は1~2人分あれ
ば十分です」と、論文の著者ジェフリー・グリーンブラット氏は語る。車両を小型化すれば、エ
ネルギー消費量も温室効果ガスの排出量も抑えられる――と7月6日付「ネイチャー・クライメ
ート・チェンジ」誌のオンライン版に発表した。

 

グーグル社は昨年5月、「順調に行けば数年以内にカリフォルニア州で小規模な試験プログラム
を実施したい」として、百台のプロトタイプを製造する計画を公表し、独自のライドシェア(相
乗り)事業の展開も進めている。イスラエルで開発された同社のナビゲーション・アプリ「Waze」
は、同じ方向へ相乗りしたい通勤者同士をマッチングするサービスだ。まずはテルアビブで試験
プログラムが実施。ライドシェア・サービスの大手ウーバー社も遅れを取るまいと、米カーネギ
ー・メロン大学と提携して独自の自動運転車の開発に取り組み、5月には市内の公道で試験走行が
行われた。グリーンブラット氏の論文では、自動運転車によるエネルギー使用量と温室効果ガス
排出量の削減効果は、ライドシェア・システムの一部として導入された場合に最も高いとされる。

また、30年には、太陽光や風力など再生可能エネルギーのシェアが拡大し、自動運転の電気タ
クシーが排出する温室効果ガスの量は、同時期の個人所有ハイブリッド車と比べて63~82%
少なくなると予測している。現在のガソリン車と比較すれば、その差はさらに拡大する。目的地
まで最適なルートを計算、スムーズなアクセルとブレーキを実現し、先行する別の自動運転車の
すぐ後ろを追従することで、空気抵抗を抑えることもできる。個人向けの電気自動車は、30年
になってもガソリン車と比較すれば高価で維持費も高いが、1年間で約6万~11万キロ、米国
のタクシーの平均的な年間走行距離)走行するなら、電気や水素など代替燃料で動く自動車の方
が安くつくという。燃料代が下がって、高い購入額が相殺されるとの試算も行っているが、1台
当たり15万ドルともいわれる自動運転技術のコストを考慮に入れたとしても、自動車自体の燃
費が良く、加えて運転手もいらない自動運転タクシーに軍配が上がる。  



ところが、グリーンブラットらの研究は、30年に自動運転技術がどれだけ普及しているかを予
測されていず、その鍵を握るのは、ロボット工学というよりは公共政策によるところが大きい。
昨年、トヨタ自動車のヒラリー・ケインは、自動運転技術について意見を述べた際、連邦法や州
法の適用に関して「不確定な部分が多い」と意見陳述しているが、生まれたばかりのこの分野は
政府の規制が最大の障害となる可能性を残している。

ここで問題になるのは2つ。(1)相乗り、(2)自動運転で、小型化というダウンサイジング
は問題にならないが、(1)は日本では自家用車が定着しているため、観光地などは相乗りは、
有効だが限定的だ。また、(2)自動運転もその宿命ゆえ限定的となるだろう。そう考えていく
と、太陽光で水電解た水素やソーラーパネルで充電した電気自動車を使えば、94%の削減は実
現可能(母数が大きい場合)だと考えられるから、彼らの研究はここに包括される。

  
 

● 日本全国の太陽光発電一覧地図:15/02/06:1941/4066 MW → 15/07/12:2296/5320.3 MW

 

 

● 常温超伝導道半ば 低温超伝導リニアーカーは商用化へ

東京大学物性研究所の近藤猛准教授らのグループは、銅酸化物の高温超電導体では、抵抗がゼロ
になる超電導温度よりもはるかに高い温度で超電導電子が作られていることを見いだした。超電
導温度の向上や室温超電導に向けた指針となる。銅酸化物高温超電導体はすべての超電導体の中
で最も高い超電導温度を持つ。今回、東大物性研究所が独自に開発したレーザー励起型の光電子
分光装置を使い、銅酸化物高温超電導体の超電導電子を高精度に観察。一般的な超電導体の温度
を上げていくと、抵抗がゼロの超電導状態が消滅すると同時に、物質内の超電導電子はなくなる。
しかし、銅酸化物高温超電導体では、超電導温度より1・5倍高い温度まで上げても、超電導電
子が生き残ることが分かった。超電導電子の形成温度と、超電導になる温度(転移温度)が大き
く食い違う物質例はこれまでになかったという。銅酸化物高温超電導体の新たな特性を明らかに
した。



銅酸化物高温超伝導体は、伝導を担うキャリアを絶縁体に注入することで超伝導を発現。金属よ
りもむしろ絶縁体に近い物質です。その物質でなぜ高い超伝導を示すのか、未だ謎が多いのが現
状。絶縁体の瀬戸際で生じる超伝導ならの性質として、ミクロに生成される超伝導電子が十分な
量生成されて初めて超伝導性が発生することを示し、「高い超伝導を生む源」を同定する上での
指針となる。室温超伝導の夢みてきたこの30年。まだまだ精緻な観察・計測発見の旅路がつづ
きそうだ。


 

【超高齢社会論 Ⅳ: 下流老人とはなにか】  

秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を掲載していく。 

  目 次 

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

  第1章 下流老人とは何か 

                                  下流老人の何が問題なのか?

  ここまで、下流老人のモデルをわかりやすくするために「①収入が著しく少ない」「②十
 分な貯蓄がない」「③頼れる人間がいない(社会的孤立」の3つの「ない]にパターン化し
 て説明してきた。
  これら3つは、下流老人か否かを判断する重要な指標となり得るだろう。この、いわば「
 3ない」状態にある高齢者は、健康で文化的な暮らしを営むことが困難な状況にあると考え
 られる。
  下流老人とは、言いかえれば「あらゆるセーフティネットを失った状態」と.言える,収
 入が低くても、親の遺産なども含め十分な貯蓄があれば問題ない。また、貯蓄がなくとも、
 家族の助け、地域の縁があれば支えあって暮らしていける。しかしそのすべてを失ったとし
 たら・・・・・・。現状において、有効な手立てを講じるのは難しいと言わざるを得ない。

  そして、このような3つの下流老人の構成要素を抱える人々が増えている理由の多くは、
 現在の社会構造に問題がある。詳しくは後述するが、単に「かわいそう」とか、「自分の将
 来が不安」というだけの問題ではないのだ。ましてや個人の「自己責任」や「自助努カ」で
 解決できる問題でもない。
  下流老人の問題を放置すれば、当事者が貧困に苦しむだけでなく、社会的にも大きな損失
 を生むことになる。
  では、下流老人の問題は、社会に対しどのような悪影響を生むのだろうか。以下にいくつ
 か分析してみたい。

  影響Ⅰ 親世代と子ども世代が共倒れする

  まず、身内の誰かが下流老人になった場41’その子どもたちも共倒れするような事態が考
 えられる,親が生活に困ったら、多くの子どもは援助したいと思うのが実情だろう。しかし
 親の面倒を見たくても、経済的事情がそれを許さないという問題もある。

  仮に親世代が高齢期(65歳以上)に入る確率の高い40代前半(40~44歳)の家庭
 を例にとってシミュレーションしてみよう(モデル家庭は、給与所得者の夫1名、専業主婦
 の妻1名、18歳未満の子ども1~2名の計3~4名とする)。まず40代前半の男性サラ
 リーマンの平均給与はどれくらいなのだろうか。国税庁の「平成25年分民間給与実態統計調
 査」の「年齢階層別の平均給与」によると、40~44歳の男性給与所得者の平均給与は5
 68万円である。
  一方で支出を見てみよう。総務省の「家計調査(2014年平均)」の「全国・2人以上
 の世帯のうち勤労者世帯」で、世帯主の年齢が40~44歳の1世帯あたりの1か月の実支
 出は、約41万円である(世帯人員3・75人/18歳未満人員1・65人)。つまり年間
 で約492万円の支出がある。したがって単純計算した場合、手元に残るのは約78万円と
 なる。

  仮に毎月5万円を親に援助するとなると、年間でさらに60万円の支出が発生する。つま
 り子どもの手元には、16万円しか残らない計算になるのだ。
  もちろんこれはあくまで平均モデルから算出した推定値であるため子どもの数や収入源な
 どによって状況は若干異なるだろう。しかし年数十万円の貯蓄しかできない状態では、将来
 安泰だとは言えない,親が年をとるほど医療費や介歳費がかさんで上乗せされてくるし、子
 どもや自分自身が大きな病気や事故に見舞われる可能性も少なくない。さらに先述した平均
 給りは平均値であるため、より実態に即した中央値で計算すれば、ほとんど貯蓄できないか、
 逆に赤字になる可能性すらある。

  このように、経済的に依存せざるを得ない高齢者を扶養することは、現在のごく一般的な
 家庭モデルから見ても、子ども世代に相当な負担を強いることがわかる。ましてや、現役世
 代の平均給与は敵城傾向にあるだけでなく、正社員に比べ年収が数百万円も劣る非正規雇用
 者の数は年々増加の一途を辿っている。
  このような社会状況において、家族扶養を前提とした従来型の社会副詞モデルは、もはや
 限界に達していると言っても過言ではないだろう。

  悪影響Ⅱ 価値観の崩壊

  このように高齢者のために若者世代が共倒れするような事態になれば、下流老人を中心に
 して、「高齢者が尊敬されない」「年寄りなんか邪魔だ、お荷物だ]としか見られなくなる
 社会になる危険性もおおいにあり得るだろう。
  高齢者はこれまで家族を養い、社会や経済の発展に寄与してきた存在である。たいていの
 文明社会においては、高齢者は多くの人々から尊敬される者のはずだ。しかしこのままいく
 と、社会的な役割を十分に果たしてきたにもかかわらず、高齢者が尊敬されない時代が近い
 うちに到来するだろう。

  今はまだ、「長生きすることが素晴らしいIという共通認識があるが、長生きする人間が
 社会の重荷になるのであれば、それは生命の価値自体が軽んじられることにもなりかねない。
  人間は生まれながらにして尊く、価値ある存在として見られなくなる。下流か否かで、「
 死んでもよい命」と「死んではいけない命」があたかもあるように考えてしまう人々も出て
 くるだろう。経済的に自立していない人間を自分たちの生活のために排除することに、何ら
 疑問を持たない者も出てくるかもしれない,

  これはかなり危険なことで、高齢者に限らず、生産能力が低い障害者にも被害が拡大する
 恐れもある,あるいは生活保護受給者や社会保障を受けている人々に対する差別的意識が強
 まり、自立を阻害する要因となる可能性すらあるだろう。
  もともとわたしたちが大事に築き上げてきた価値観、なかでも子どもの頃に教わったよう
 な「命の尊さ」や「生命倫理」が根底から揺らいでしまう時代がくるかもしれない。そして、
 それが優生思想にもつながる危険な考え方を生む土壌を社会に形成してしまう。

  最近は、ヘイトスピーチなども話題になっているが、他の国の人々や価値を尊重しない排
 斥行動も広がる傾向を見せている。ホームレス等を襲撃する中高生も後をたたず、襲撃して
 排除することが素晴らしいことだと語る少年まで現れている状況だ。これらはすべて個人の
 権利や命を軽削する意味で同じだと言える。
  このような価値観の崩壊は、さまざまな教育制度やシステムに影響を与える。みんなが、
 「健康が一番」「長生きは素晴らしい」と目指していたはずのものが崩れ去ってしまえば、
 大きな混乱を招くことになるだろう。下流老人の問題は、そのトリガーとなる危険性をはら
 んでいるのだ。

  悪影響Ⅲ 若者世代の消費の低迷

  高齢者が尊重されない社会であれば、若者が自分の将来や老後に希望を持てるはずもない。
 すると若者は必然的に「貯蓄」に向かうことになる。下流老人にならないために、計画的に
 生活していかなければならないという、強力なインセンティブが働くからだ。
  よく「若者の○○離れ」がニュースで話題になるが、その根底にあるものはすべて自分の
 生活の先行きに対する不安であろう。若者は自動車もマイホームも買わず、生活も質素で禁
 欲的な暮らしをしていると言われる。「老後に備える」ためだけに、貯蓄に精を出す若者は、
 わたしの周囲にも増えている。 
  こうなると本来、一番消費してほしい20~50代の消費意欲は減退したまま、ほ気回復
 は見込めず、経済の好循環は当然生まれない。政府は消費税増税後に、子育て世帯に対する
 給付金や支援策を打ち出し続けているが、一向に効果は見えない。現在の生活に限らず、老
 後の不安が大きければ、消費意欲が減退するのは明白だ。

  本音では、若者は消費をしたいし、欲求がないわけではない,多くは結婚だってしたいし、
 子育てもしたいと思っているはずだ。いつの時代も若者諭が提示されるが、時代によって若
 者の欲求が大きく変わることなど、そうはない。変わるのは社会構造である。"そうできな
  い" 要因や要素に目を向けていかない限りは、打開策は見つからないだろう。現実を見れば、
 若者は禁欲的な生活にならざるを得ない。「自分はああなりたくない」という人たち、つま
 り下流老人が身近に増えるほど、自分の保身を考えて行動するのはある種自然な結末と言え
 る。下流老人の問題は、日本経済の発展を阻害する要因にもなり得るのだ。

  悪影響Ⅳ 少子化を加速させる

  下流老人の問題は、間接的に少子化を加速させる一因にもなっている。現代において、子
 どもをつくって家族を持つことは、もはや「リスクである」という考え方さえある。
  たとえば子どもを産んだら、大学卒業まで育てきるのに一人あたり1000万~2500
 万円程度はかかると旨われている。
  実際に、文部科学省の「平成24年度子供の学習費調査」や日本政策金融公庫の「平成26年
 度教育費負担の実態調査結果」などによれば、幼稚園から大学卒業までの19年間にかかる教
 育費で最もコストが低い場合は、すべて公立学校に進学するケースで、約1000万円であ
 る。そして最もコストが高いのは、すべて私立に進学するケースであり、とくに理系の大学
 に進んだ場改は約2500万円かかる。

 

  非常にドライに考えれば、その分だけ自分の老後の資産が減ることになる。1000万円
 あれば、自分が十数年は、下流に至らずに長生きできるともきえるわけだ。そして、先ほど
 から指摘しているとおり、子どもに老後の面倒を見てもらうことは、おおよそ困難と言える。
  そのような前提で出産や子育てを見れば、出産しないというぶ”合理的選択”を積極的に
 とる若者が増えても否定はできないだろう。すでに少なからぬ若者が、結婚や子どもをあき
 らめていることを考えると、日本の少子化問題は、いよいよ深刻であり、解決策がないよう
 に見えてしまう。

  海外の先進諸国では、少子化対策として、若者支援にも積極的に手を入れている。たとえ
 ばフランス等では、若者に低家賃の住宅支援や家賃哺助制度を導入し、合計特殊出生率を引
 き上げる政策が重要施策として行われてきた。これが一定の効果をあげていて、少子化に歯
 止めをかける原動力になっている。
  一方、日本にはこのような有効な少子化対策がなく、下流老人の問題や老後の生活不安が
 シピアに若者を直撃している。今のように出産や育児に対する負担を個人の努力にほぼ丸投
 げしている状態では、若者が老後のために子どもは産まないという発想に陥ったとしても、
 何ら不思議はないのである。


                        下流老人の社会的な問題-まとめ

  これまでに指摘したとおり、下流老人の問題は、高齢者だけではなく、全世代の国民にか
 かわる問題だ。
  これを放置すれば、親子二世代が共倒れになる危険性があり、また高齢者や他者に対する
 尊重の念やこれまでの価値観が崩壊する恐れもある。さらに現役邑代の消費が抑制され、景
 気に悪影響をおよぼしたり、少子化を加速させる要因にまでなるのではないかと述べてきた。
  わたしが提起したこれらの問題は、下流老人が社会におよぼす影響の一部にすぎない,各
 専門家がそれぞれの視点から再検討いただければ、さらにド流老人の深刻さが浮き彫りとな
 るだろう。本書はあくまで問題提起であり、今後の検証は各専門家にも委ねたい。


第1章で、この問題を多角的に構造的にスケッチされていることが了解できる。次章では、ロン
グインタビューでリアル体験が語られる。


                                    この項つづく

 

  

デフレ・パワハラ・下流老人

$
0
0

 

 

   工期に余裕は一切ない。一度でも天変地異起きれば、
                 (新国立建設は)間に合わなくなる可能性がある。

                       大手ゼネコン幹部 

 


● 食物アレルギーの症状を抑える分子の発見?

東京大学は10日、乳幼児に発症が多い「食物アレルギー」に有効なアレルギー反応を抑える物質を発
見した発表。体内でアレルギーを引き起こす細胞の中には「プロスタグランジンD2」という物質が存在す
るが、これまでその能力についてはわかっていなかったが、プロスタグランジンD2がアレルギーを抑制
する力を持つことが初めてわかったという。同研究グループでは、この研究が食物アレルギーの治療に
つながり、子供たちが助かるようにしたいという。


この研究の成果が、小児アレルギー発症のの抑制に結実すればハッピーなのだが困惑してしまった。
下図/左の説明では、マスト細胞は骨髄幹細胞に起源を発し、分化ののち,未成熟な前駆細胞と
して血管外組織に定着し,線維芽細胞のSCFに応答して増殖→SCFの刺激によりマスト細胞から分
泌されたⅢ型分泌性ホスホリパーゼA2(PLA2G3)は,線維芽細胞のL型プロスタグランジンD2合
成酵素(L-PGDS)と連関してプロスタグランジンD2(PGD2)を産生し→このプロスタグランジン
D2がマスト細胞のDP1を活性化して,マスト細胞の最終の成熟を促進→成熟したマスト細胞は免
疫グロブリンE-抗原の刺激により活性化してヒスタミンなどの生理活性物質を産生し,アレルギ
ー応答をひき起こす。と説明されているのに、今回の報告では、その逆の抑制に機能する



 

【超高齢社会論 Ⅴ: 下流老人とはなにか】  

秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を掲載していく。  

  目 次  

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

  第2章 下流老人の現実 

                                               生活困窮者の現状

  最初に、わたしの問題意識を少し述べておきたい。
  下流老人の問題を、皆さんに知ってもらわなければならないと思ったきっかけは、わたし
 自身の活動にある。わたしはこれまで12年間、生活困窮者と言われる人々に向き合う相談支
 援の現場で働いてきた。今はNPO法人「ほっとプラス」という団体を立ち上げ年間約3百
 人の生活困窮者の相談を受けている。

  相談に来られる方のうち約半数が、「貧困」を抱える65歳以上の高齢者だ。相談内容は、
 「アパートの家賃が払えない」「病気があるが病院にかかれない」など多岐にわたる。他に
 も介護保険料未納、健康保険料未納の方や、何日も食事をとれていないという方も相談にく
 る。無年金の方たちばかりではない。年金をもらいつつも、支給額が少なすぎて、それだけ
 では暮らせない人たちからの相談も多いのだ。

                          異口同音に「想定外」
 
  そして相談に来られた方々は、異口同作目にこうつぶやく。
  「自分がこんな状態になるなんて思いもしなかった」と。
  静かに、うつむきがちに語る彼らの言葉は重い。
  要するに、老後の貧困は想定外の事態だというのだ。だからこそ、対応や対策が後になっ
 てしまい、より困難な状況を生み出してしまうことになる。
  しかし、わたしは下流老人に至るのは想定外だとは思わない。なぜなら多くの相談者に向
 き合うと、本人がどれだけ努力しても、下流に陥る。  
 理由があると実感しているからだ。詳しくは後述するが、下流老人は社会が生み出すもので
 あり、あらかじめ生まれることが決まっているものなのだ,それにもかかわらず、多くの人
 々は「自分は大丈夫だろう」という根拠のない自信をなぜか抱く。この意識と現実との乖離
 は相当に危険であり、だからこそこの問題を他人事にしてはならない。

  では、ここからは現実の声として、下流老人の生活実態の一例を紹介しよう。

  ●ケース1〈飲食店などで働くも、野草で飢えをしのぐ加藤さん(仮名)〉

  加藤さん(76)は、新潟県出身の男性だ。現在は一人暮らしで、埼玉県内の家賃3万5千
 円のアパートで生活している。結婚したことはなく、生涯独身である。
  なぜ結婚しなかったのか尋ねてみると「人付き合いが得意なほうじゃないし、顔が整って
 いるほうでもないからね」と冗談交じりに話してくれた。新潟に親族はいるものの、すでに
 疎遠になっており、親しい関係ではないという。

 「親が生きているころは親戚関係とも交流があったけど、今は誰とも連絡とってないよ」と
 寂しそうに話すのが印象的だった。
  加藤さんは、県内の公立高校を卒業して以降、自衛隊や飲食店、介護職など仕事を転々と
 してきた。
 「自衛隊は上司にいじめられて辞めた。体力がないと務まらないし、訓練は過酷だったな。
 何度も疲労で吐いたよ。今であればパワハラっていうのかな? でも当時はそれが当たり前
 だったからね」
  その後は県内の飲食店に正社員として雇われ、料理人として再出発したという。
  とくに中華料理屋は長かったそうだ。今でもわたしが家庭訪問するたびに、「野菜炒めつ
 くったから食ってけよ。美味いぞ!」と嬉しそうに食事をつくってくれる。加藤さんの口癖
 は「どんなに美味い料理でも一人で食べるより.二人で食べたほうがさらに美味い」であり、
 一緒に食事をさせてもらうこともある。こだわりの隠し味があるそうだが、今もその内容は
 教えてくれない。この料理人の仕事は長く続いた。


※「パワハラ」(職域)、「アカハラ」(研究)、「いじめ」(学校)はデフレ不況の進行とと
もに常態化する。その形態は様々であり、その解決方法も様々であり、事実をオープンにするこ
とが最良の解決策なのだが、複雑な立ち位置やその時の精神状態で、泣き寝入りするか、キレて
暴発する、自殺する、離職するなど社会的弱者は闇から闇に葬られ、最後にたどり着のが、ここ
で言う、”下流老人”というわけだが、改めて、記憶を呼び覚まされ身が引き締まる。





                         正社員の仕事を辞め、親の介護

  ところが、40代にさしかかるとき、重大な転機が訪れる,一番働き盛りのこの頃に、両
 親が相次いで病気に倒れ、介護が必要な状態になってしまったのだ。
  当時、加藤さんと両親は、県内で別々に暮らしていた。父親は定置網漁の漁師をして働き
 ながら、膠原病がある母親を助けて暮らしていたそうだ。そんな折、肝臓がんが父親に見つ
 かり、約1年程度の命であることが告げられたという。

  父親は当時、まだ64歳の若さ。
 「酒が好きで付き合いで、若い頃から漁協の連中と飲んでいたからな。それにしても死ぬと
 きは人は間単に死ぬものだと実感したよ」
  加藤さんは、父親の看病のため、正社員の仕事を辞め、母親の面倒も合わせて見るように
 なった,母親も、父親の死の間際からさらに体調が悪くなり、ほぼ寝たきりの状態になった
 そうだ。それから母親に付き添い、約10年、母親が亡くなるまで介護を続けてきた。
 「一人息子で、両親に迷惑や世話をかけてきたから、晩年は一緒に過ごしてあげたかった」
 という言葉に、加藤さんの優しさがうかがえる。

 「若い頃は不良でさ、仲間とケyカしては警察に呼ばれて、両親に叱られたよ。それでも見
 捨てずに育ててくれたから、二人への恩を返したいと思ったんだ」
  両親の死後、50代半ばとなった加藤さんは、新潟の実家を引き払い仕事を求めて首都圏に
 来た。
 「新潟を出るのは寂しかったけど仕方ないよ。50代半ばになると当時の新潟では仕事がな
 くてね。始めのうちは県内で就職しようとハローワークに通ったけど、そんな給料じゃ暮ら
 せないという仕事しかなかった。実家を売った金も多くなかったし、結構あせっていたよね」

  その後は、東京都内や神奈川県、埼玉県などで、介護の仕事を中心に働いた。そして65歳
 で仕事をやめた後は埼玉県で生活をしてきた。
 「夜勤とか入れれば介護の仕事は他の仕事と比べて給料がよかったんだよね。当時は介護保
 険ができるかどうかというとき(介護保険制度は2000年に施行)で、人手が足りないか
 ら来てくれってことになってさ。ヘルパーの資格はないけど自分の両親に近い利用者の人と
 過ごせて楽しかったよ)と当時を振り返る。もしかしたら加藤さんは、高齢者施設に入所し
 ていた利用者の姿に亡き両親を投影していたのかもしれない。


                  「こんなに年金が少ないとは思わなかった」

  年金をかけていない時期もあったため、仕事をやめた後の月収は、厚生年金がわずかに9
 万円ほどであった。両親の介護離職による年金加入年数の少なさ、低賃金などから、支給さ
 れる年金は少なかった。これについて加藤さんは、「驚いたよ。まさかと思っていたけど、
 こんなに年金が少ないとは思わなかった。どうやって暮らせばいいんだろうね。でも友人や
 知り合いに聞いたら、同じくらいの年金しかもらってないヤツ結構いるんだよね。

  みんな貯金を切り崩したり、働いたり、息子に頼って暮らしたりしてるよ。俺にはそうい
 う身内いないからな」と言う。
  始めのころは、そんな加藤さんにも貯蓄があったそうだ。
  「500万円ほどあったから、最初は何とか暮らしていけたんだ。でもその後に糖尿病が
 見つかったり、介護の仕事をしていたときに患った腰痛で動けないときもあってね。医療費
 がかかるようになってからは、貯蓄もみるみる減っていったよ。俺も元気なうちは働くつも
 りでいたんだけど、もう身体はいうこときかないよね」と、半ば達観したように語る。

  加藤さんはこれらの困難に見舞われ、貯蓄を使い果たし、ついに生活困窮に至った。わた
 したちのNPOへ相談に現れた当時、加藤さんが語ってくれた生活の惨状は今でも忘れるこ
 とができない。 「月収9万円では、食費や医療費や家賃で精一杯なんだ。年金支給日前に
 なると、本当に生活は苦しかった。だって9万円からアパートの家賃5万円(当時)を払う
 んだよ。もうそれで手元に残る金は4万円。月4万円じやあ埼玉では暮らせないよな」

 「それは苦しい。どうやって暮らしていたんですか?」と尋ねると、ポツリと、
 「野草」一言。
 「野草?」と不思議そうにわたしが首を傾げると、
 「そう。野草。野蒜って知っているか。見た目がエシヤレットとかラッキョウに似た小さな
 野草。一時期はそれを主食にしていてさ。それを食べて暮らすんだよ。よもぎとかふきのと
 う、つくしなんかも採っていたな。野草には救われた。それがなかったら餓死していたかも
 しれないと思うときもあるよ,季節によっては野草が採れない時期もあって、恥ずかしかっ
 たけど部内まで歩いてホームレス専用の炊き出しの列に並んだこともあった」と言う。

  あまりの空腹に、道端の草を食べて飢えをしのぐ。これは遠い国の話でも、昔の日本の話
 でもない。現在の日本の首都圏で実際に起きたことなのだ。
  その後、わたしは生活費や医療費の不足について加藤さんと相談し、生活保護の申請を行
 うこととした。
  現在、加藤さんは月額9万円の厚生年金に加えて、足りない分の約4万円は生活保護を受
 けている。医療費も生活保護から支給してもらい、治療も順調である。家賃滞納していたア
 パートから転居し、低家賃の住宅も薩保した,相談に来られたときは、身長180センチ弱
 なのに、体重は50キロほどしかなく、ガリガリの痩せ型であったが、生活保護受給から5
 年経った現在は、体重66キロまで回復している。



  加藤さんは明るい性格だから、野草生活を乗り越えられたかもしれない。しかし、貯蓄が
 底をつき、ホームレス生活に追い込まれる人、窃盗をして刑務所へ収監される人、自殺を考
 えてしまう人が出てきても不思議ではないだろう,実際に加藤さんですら「もうあと数か月、
 助けを求めることが遅かったら死んでいたと思う。餓死していたね。だって栄養、カロリー
 ってあるでしょ。あれの標準に毎日の食事が全然足りないんだから。全然だよ。そりやあ痩
 せるし死んじやうよね」と諸る。

  また生活保護制度についても「俺は年金受けていたからね,年金受けていても、生活保護
 がもらえるなんて知らなかった」と話す。
  加藤さんに限らず、下流老人の多くは正確な情報が伝わっていないし、孤立して助けを求
 めることが困難な場合が多い。最後に加藤さんに率直な質問をぶつけてみた。

 「下流老人って言葉があるんですけど、加藤さんは下流ですか」
 すると、即座にこう答えた.
 「下流に決まっているだろう、そんなの。中流だったり、上流のわけがない.胆の中は俺み
 たいな老人ばっかりだよ」




次回も、ロングインタビューがつづく。


                                    この項つづく

  ● 今夜の一曲 

三代目JSBがテレビ出演。即興で踊りの振り付けを披露しているのをみて、強烈な印象がやって
きた。やはり、若いというのは良いね。『Summer Madness (feat. Afrojack)』はご機嫌にしてくれる。


 

  

 

 

 

   


時代は太陽道を渡る。

$
0
0

 

  


   九条の問題に関しては非戦と反戦しかない。  /  吉本隆明 

 

  株式会社海洋牧場

● ニンニクスプラウトの衝撃

急激な猛暑に家族は悲鳴をあげている。こんな日は、ホルモン、とくに好物のミノを焼きながら、
オイル焼のニンニクを交互に頬張り食べた後、フォームフルなビールを流し込めばご機嫌。そん
なことを思い浮かべながら、場所と日を決めているところだ。ところが、ニンニクスプラウトな
るものがでまわっていることを知りチョットした衝撃をうける。その先駆的企業が株式会社海洋
牧場だという。

ニンニク自体には強烈な臭いがあることから、これを生のまま食することはほとんど無く、一部
の嗜好家などにより、天ぷら油などにより唐揚げや直火による加熱処理等にし食されているにす
ぎない。一方、ニンニクの若い生葉或いは茎は、ニンニクの鱗茎に比較して臭いが少なく、また
香味などの刺激も低く、油炒めや煮物などに適する青物野菜として利用されているるものの葉や
茎が硬いといった問題がある。

これに対し(1)ニンニクの球根(地下茎)を水耕栽培に際し、球根の底部のみを水や養液水に
浸し、球根からの発芽と根の育成をおこないつつ、(2)球根からの根の育成を阻害しないよう
然の状態で自由に育成する。(3)また、球根からの発芽が開始された時点から球根に対する
給水を間歇的に行い、極めて簡単にニンニクスプラウトを製造できる。(4)さらに、水耕栽培
方法を通常の日照条件下で行えば、緑色野菜としてのニンニクスプラウトが、(5)さらにニン
ニクの球根を筒状体により覆った簡便な暗室条件下で栽培すれば、黄白色野菜として製造できる。

つまり、ニンニク球根を、網目状を有する栽培カゴ上に載置して、その状態で栽培槽に収容し、
栽培カゴ上に載置したニンニク球根の底部が水中に位置するよう水又は養液水を栽培槽内で水位
調整と循環給水させ、栽培カゴ上でニンニク球根よりニンニク若芽を生育させることで、ニンニ
ク球根を、網目状の栽培カゴ上に載置し、その状態で栽培槽に収容し、栽培カゴ上に載置した球
根の底部が水中に位置するよう水や養液水を栽培槽内で水位調整並びに循環給水、栽培カゴ上で
ニンニク球根より若芽を生育方法が提案されている(下図の上をダブルクリック)。

ところで、最近は、各種の十文字植物や緑黄野菜のスプラウト(発芽若芽)の栄養価が着目され
野菜スプラウト――例えば、古くからは大豆、小豆等のスプラウト(モヤシ)を始め、かいわれ
大根、そば、ブロッコリー、キャベツ等の――が登場し、生食野菜として波及しているが、ニン
ニクスプラウトの水耕栽培方法は、通常の土壌栽培方法に比較して簡便で、天候に左右されず容
易に暗室状態下で、緑色ニンニクスプラウトを比較して柔らかく、味、香りがまろやかで、また
栄養価が高い黄白色ニンニクスプラウトが継続的に得られるため、これをさらに、40℃の低温
風乾燥→ハンマーミルなどで細かく裁断、この微粉末状に粉砕して得たニンニクスプラウトの粉
末状物質にすることで、スーパーオキサイド(SOD)消去活性作用、ヒドロキシラジカル消去
活性作用、また、一重項酸素消去活性作用等の抗酸化活性が高く、健康食品、特定保健食品の応
用性も高く、食品調味料、食品香味料として使用することができる極めて高い抗酸化活性作用を
もっている(下図の上をダブルクリック)。


なるほど、ニンニクも発想法をかえれば、スプラウトニンニクこのように連続生産できるダウン
スペーシング農法(植物工場工学)が進行する”新自給自足時代”を強く再認識するとともに、
現在TPP締結交渉に躍起となっている農水省などの関係官僚や政府には申し訳ないが、時代の
先が見えていない、あるいは遅れている――「改革せよ、改革を迫られる前に」(ジャック・ウ
ェルチ)の言葉とともに――思いが過ぎる。

   


【再エネ百パーセント時代: 時代は太陽道を渡る】

●オランダの「太陽光発電する道路」は好調、累計3千キロワットアワー超

オランダの応用科学研究機関(TNO)などが開発した、太陽光発電する道路「SolaRoad」による
実証が、順調に推移している。太陽光発電機能を持つ世界初の道路で、TNOが主導するコンソー
シアムは6月、最新の発電状況を公開。SolaRoadは、自転車用の道路に、太陽電池セルを面状に
並べた部材を敷き詰めたもの。長さ2.5メートル×3.5メートルのブロックを敷いて構成。セ
ルを厚さ1センチの強化ガラスで覆い保護する。アムステルダム近郊のクロメニー(Krommenie)
付近にある自転車用道路で、約70センチの実証設備の運用を14年11月に開始。実証試験の
間は3年間。

6月の発表では、現在までのエネルギー収率)が、事前の予想を超えて好調に推移。約半年間の
合計発電量は、3千キロワットアワー以上に到達。単身世帯の年間消費電力に相当する量となり
電動スクーターで地球を2.5周走れる量に相当。単位面積当たりの発電量に換算すると、年間
平均で約70キロワットアワー/平方メートルに相当。この数値は、設計時に上限想定値という。
稼働後、約半年間という早期にこの値を実現できたことは、予想以上の成果だとしている。

 

 

 

● テキサスとネバダ メガソーラー発電コスト4.8円/キロワットアワー達成

テキサス州オースティン市が運営する電力会社米Austin Energy社は今年4月に連系出力6百メガ
ワット相当のメガソーラーの一般競争入札を行い、5月中旬の公募締め切りまでに、なんと募集
の約13倍に相当する8千メガワット(8ギガワット)近くの応募があったと発表。さらに、応
募された8千メガワットの内、1295メガワット分の太陽光発電コストは、4.8円/キトワ
ットアワーを切った。

さらに、ネバダ州で民営電力会社の米NV Energy社から似たような発表。同社は百メガワットの
メガソーラーからの電力を4.7円/キロワットアワーで購入するという契約をしたという。この
メガソーラーは米ファーストソーラーによって現在開発中の「Playa Solar 2 」である。

 2015.07.09

オースティン市(テキサス州)は、人口は百万人以上、同市運営の電力会社は、再生可能エネル
ギーの普及に向けた取り組みを今までに積極的に推進。太陽光発電導入でも全米公営電力会社の
中で7位。20年までに再生可能エネルギーによる電力の発電比率を35パーセントの目標設定
を行う。35パーセントには2百メガワット新規太陽光発電が含まれる。

普及しているメガソーラーはモジュール変換効率で20%未満が大半であるが『デジタル革命渦
論』のセオリーに基づけば、25%超が普及すれば、2~3セント/キロワットアワーで、設置
面積施工費も現在の7割以下に逓減していくことは容易だろう。そのトップランナーに日本がい
るかどうかは一重にメーカの情熱次第となろう。




 

 ● 今夜の一品

ガーリック型の遊び心溢れる食器


これは、洒落た積み重ね食器

● 「新国立」建設にみる阿保さ加減 

結局のところ、無責任体制、空洞のドーナッツ利権に群がる蟻ということで腑に落とす。
優先すべき事は山とあるのにね~ぇ ^^;。 

 

 

時代は太陽道を渡る Ⅱ

$
0
0

 

  


  五輪は賛成だが、あの国立競技場を今、作っていくのは大反対。おかしい。

                                                   橋下徹大阪市長 

 

 

 

【 再エネ百パーセント時代: 時代は太陽道を渡る Ⅱ 】

●  お酢でエタノールをつくる

二酸化炭素の排出を抑える燃料として注目されている「エタノール」を、酢に含まれる成分に光
を当てて作り出す技術を、大阪市立大学などのグループが開発。大阪市立大学人工光合成研究セ
ンターの天尾豊所長と自動車メーカー「マツダ」などの研究グループ。二酸化炭素の排出を抑え
ることができるエタノールはガソリンに代わる燃料として注目されている、実用化が進められて
いる「バイオエタノール」は、作る段階で二酸化炭素が発生するなどの課題があるが、酢に含ま
れる「酢酸」という成分に、酢酸触媒と特殊な酵素を混ぜた上で太陽光を当てると、エタノール
ができることを、3年前考案している。この方法では、(1)光を2時間半、当てると酢酸のお
よそ5%が、(2)7時間、当てるとおよそ10%がエタノールに変化したという。また、エタ
ノールを作る段階で二酸化炭素は発生しないという(下図/上をダブルクリック)。

 JP 2013-110996 A

 

反応容器に、NADPH(3.3mM)、クロリン-e6(67μM)、メチルビオローゲン(1.3
mM)、アルデヒド脱水素酵素(0.67unit),アルコール脱水素酵素(0.67unit)、酢
酸ナトリウム(33.3mM)及びピロリン酸ナトリウム緩衝液(50mM)を入れて混合→反
応溶液を得る(全体積3mL)→ 反応容器を液体窒素で冷却して反応溶液を凍結し、減圧状態
で反応溶液部分を温めて融解→反応溶液中の溶解ガスを放出→反応容器内に窒素ガスを導入し、
30℃の恒温槽内でハロゲンランプ(200W)を光源として、反応溶液に対して光照射し、一
定時間ごとに反応溶液を採取→ガスクロマトグラフ(FID)によりエタノールを定量。

上図2にエタノール濃度の経時変化を示す。光照射開始から120分を経過した頃からエタノー
ル生成量が急激に増大――光照射時間の経過とともにアルデヒドが生成していき、このアルデヒ
ドの濃度がある程度高くなってからエタノールの生成が急激に進む機構が考えられる→光照射開
始から150分経過後のエタノール濃度は1.05mMで、酢酸からエタノーへの変換効率は、
3.2%である。酢酸ナトリウムを添加せずに同様の条件及び方法で光照射を行なったところ、
エタノールの生成は認められなかったことで、上図1の反応システムを確立させる。

 

このように、可視光照射によって、NADPHからクロリン-e6亜鉛錯体を通じてメチルビオロ
ーゲンに電子を与え、この電子を保持したメチルビオローゲンをアルデヒド脱水素酵素及びアル
コール脱水素酵素の基質として、酢酸系化合物からアルデヒドを経由してエタノールを生成する。

 

ところが、同研究グループは先月、ギ酸脱水素酵素を使って二酸化炭素をギ酸作るためには補酵
素と呼ばれる分子が必要だが。今回メチルビオローゲンと呼ばれる単純な化学構造を持つ人工補
酵素を用い、ギ酸脱水素酵素により二酸化炭素からギ酸を作ったところ、天然の補酵素を用いた
場合よりも約20倍以上向上させることに成功する今回の成果は今後の二酸化炭素を有機分子に
変換する人工光合成系実現のための触媒設計・開発を進化させることにも成功している(上図/
上をダブルクリック)。

以上の成果報告に目を通して仰天する。バイオマスエネルギーもここまできたかと。つまり、こ
の2つの成果をつなぎ合わせるとつぎのことが可能となる。火力発電からの二酸化炭素を回収→
回収二酸化炭素をメチルビオローゲンなどの人工補酵素とギ酸脱水素酵素を触媒でギ酸を生成→
この生成物に光合成色素誘導体+メチルビオローゲン+ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
リン酸(NADPH)などを加え、酢酸生成できれば、『史上最強C2チェーン事業』が誕生す
る。そうすると、内燃機関は次の世紀まで生き残ることができる。また、『C2→Cnチェーン事
業』も開発されるから、人工繊維、人工プラスチック、医薬品、人工パルプなど有機合成出来な
いものがないという世界に突入するということになるだろう。これは実に面白い。マツダの株は
いまが買いだろう。

 

 

【超高齢社会論 Ⅵ: 下流老人とはなにか】  

 秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を掲載していく。   

  目 次   

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに

  第2章 下流老人の現実 

  ●ケース2〈うつ病の娘を支える永田さん(仮名)夫妻〉

  永田さん(77)は、妻(74)と、長女(48)の三人暮らしの男性である。夫妻は二人とも、
 生まれも育ちも埼玉県で、幼い頃からの知り合いだ。その縁もあって20代のときに結婚した。
 「高度経済成長もあって、金型工の職人として町工場に勤めてきた。給料は低かったけれど、
 マイホームも持てたし、娘も生まれて幸せだったね」と当時を振り返る。
  それから永田さんは、定年まで、県内にある小さな町工場で一生懸命に勤めてきたそうだ。
 「わたしはそこそこ腕がよくて、埼玉県知事から表彰されたし、高度経済成長を裏側で支え
 てきたと思う。今はブラスチック製品で溢れてるけど、昔は金属の加工技術がなければ、建
 築も何も進まなかったんだから」と、永田さんは自身の働きを評価している。

  当時は、大手企業からの下請けや孫請けの仕事が多く、給料は少なかったそうだ,それで
 もみんなで助け合えばお金がないことはそれほど苦にはならなかったという。ただ、一番の
 問題は別にあった。
 「長女が中学校のときのいじめが原因で、不登校になってしまってね。そのあと、一生懸命
 に生活や勉強をサポートして、短大を卒業させたけど、今もうつ病と闘っている。うつ病は
 想定外だったよ……」
  結局、長女は短大卒業後から今まで30年近く病気で一度も働けず、夫妻がずっと養育費や
 生活費を出してきたという。
  現在、永田さんは住み慣れた埼玉県内の一戸建てを売却して、民間賃貸アパートに住んで
 いる。家賃は9万円ほどだ。そこに三人で暮らしている.、

  大きな悩みは、長女の今後のことと、三人の生活費のことだという,
 「長女は働けないから、これまで生活の面倒を見てあげてきたけれど、今後も同じようにで
 きるかどうか。そんな余力はないと思うのだけれど……と、永田さんは不安を隠さない。

 
                            「年金だけが生活の命綱」

  自分たちの生活費に加え、娘の看病にお金がかかる。だから、二人の老後は非常に厳しい。
 現役時代の給料が低かったこともあり、厚生年金はニ人で月額17万円である。
 「年金だけが生活の命綱なんだ。なのに年金は上がらないし下がる一方だろう。そこに働け
 ない娘もいる。17万円ではとても暮らせないよ。夫婦二人が健康なうちは何とかなるけど、
 どちらかが病気になったらおしまい。なんだかんだ支出があって、貯金もできないような暮
 らしだし」

  夫妻には、今の生活を続けるだけの十分な貯蓄はなかった。永田さんは、「長女には一刻
 も早く自立してほしい。いつまでも面倒を見ていくのは難しいかもしれない」と本音をもら
 す。しかし、現状ではうつ病が治る見込みは薄いそうだ。
 「長女は調子がいいときであれば、わたしや妻と話をするけれど、体調が悪いと部屋から一
 歩も外に出ない。そのうえ、日常的な身の回りのことさえできない時期もあるから、身なり
 も汚くなってしまう」
  その日暮らしのギリギリの生活に、先の見えない娘の看病。このような状態が続けば、自
 然と親子ゲンカも絶えなくなる。
 「どうしても早く病気を治して自立してほしいから、「頑張って働いてみたらどうだ?」と
 言ってしまうこともある,そうすると「こんな人間をどこで雇ってくれるのよI」と反論さ
 れて、ケンカになってしまってね。もう我々では限界で……」

  住宅を手放しアパートに移り住んだのは、貯蓄が底をつき、長女の医療費を含めた援助が
 阪田″に達したためだ。
 「住み慣れた家を手放したくなかった。でも、生活費のためには仕方がない。当面はそのお
 金で暮らしていくしかないけれど、それもいつまでもつかわからない。不安で仕方がない」
 と話す。
  現役時代の永田さんには、老後の資金を蓄える余裕がなかったことがうかがえるし、長女
 の支援にほとんどの老後資金を費やしてきたことがわかる。
 「正直、長女なんていなければよかったと思ったときも何度もある。こいつがいなければこ
 んなに苦労することなんてなかったかもしれない。
  でも、中学時代にいじめにあったことを隠してきて辛かったのだと思う。わたしの仕事が
 忙しい時期で、十分に悩みを聞いて、相談にのってあげられなかったから。今なら、「無理
 して学校なんて行かなくていい」って話してやれるけど、当時は「学校に行きたくないなん
 て怠け者だ!」と叱責したそうなんだ,わたしは覚えていないんだけど、長女が繰り返しそ
 んなことを話すからね」
  永田さんの懺悔に、わたしは返す言葉に詰まった。
               

                                  自分は順風満帆でも、自分以外の「想定外」で 

  現在、永田さんの長女は、毎週欠かさず 精神科病院に通っているが、なかなか病気は良
 くならないそうだ。永田さんは「病気の悪化の原因をつくったのはわたしだから、できる限
 りは長女の面倒を見ていこうと思う。だけど、わたしが亡くなった後やこれから貯金が底を
 ついたときには助けてほしいと思って……」と、相談に訪れた理由を語ってくれた。さらに、
 「長女にはわたしたちが亡くなった後は、役所に相談に行って生活保護の手続きをするよう
 に繰り返し伝えています。長女のことが心配で今のままでは死んでも死に切れませんよ」と、
 言葉を続ける。

  三人暮らしで月額年金17万円程度では、決して豊かな生活は送れないだろう。現在、生
 活費は平均して月額26万円ほどかかっており、とくに長女の医療費や通院費の負担が重い
 という。二人暮らしなら何とかなるかもしれないが、長女の分があると毎月赤字だ……。
  永田さんのケースは、病気や事故といった家族の生活課題がいくつか重なると、年金だけ
 では生活ができなくなってしまうことがわかる事例だ.。
  ブラック企業、引きこもり、うつ病など、若者をめぐる問題が増え続ける昨今。永田さん
 夫妻のように、家族の病気や事故などが生活困窮の原因になっている相談も多い。自分たち
 はこれまで順風満帆にきたつもりでも、あるとき想定外のトラブルにつまずいてしまう。
 永田さん夫妻が現状を改善するにはどうすればいいか、その道筋はいまだ見えてこない。


 ●ケース3〈事務職員をしてきた山口さん(仮名)>

  山口さん(69)は、神奈川県出身の男性だ。大学入学と同時に、東京部に転居した。「大
 学に入学したのはいいけれど、当時は学生運動が盛んで、大学の授業なんてほとんどないの」と
 笑いながら当時を振り返る。
 「大学にいても学費がかかるばかりだから、バカらしくなってしまって。だから大学を中退し
 て働き始めたんだよ」
  大学中退後は、神奈川県内にある建設会社の事務所などで、40年間事務職員として働い
 てきたという。
 「当時で片ったら年収も低いわけではなく、若い頃は300万くらいあったし、普通の暮ら
 しができていたんだよね。退職間際の年収は500万程度で、ボーナスもあった,何でこん
 な風な生活になっちやったかわからない」と語る。

  わたしたちのNPOへ生活相談に来られたとき、山ロさんはすでに家を失っており、ネッ
 トカフェで暮らしている状態だった。


               「3000万円なんてあっという間に消えちやった」

  山口さんに家族はいない。
 「生涯独身で子どももいないんだよ。だから一戸建てなんて必要ないから買わなかった。営
 業とかいろいろあって買うか悩んだ時期もあったけどね。結局ずっと民間賃貸アパートに一
 人暮らし」だそうだ。やがて、体調を崩すことが増えたため、62歳のときに早期退職をして、
 退職金も受け取った。
 「そのときの退職金は、だいたい1500万円あったから老後の暮らしも安泰だと思ったね。
 そこそこ貯金もしていたから、合わせれば3000万円近くはあったかなあ」と振り返る。

  3000万円近くあった現金はどこに消えてしまったのだろうか。
 「3000万円なんてあっという問に消えちやったよ。俺、天涯孤独でしょ。一人だから誰
 にも面倒を見てもらうことができない,だから、せめて墓くらい自分で用意しておこうと思
 ったわけ。営業に来た会社に墓石や墓地の永代利用料を生きているうちに払っておこうと思
 って900万円くらい払ったんだよね」
  現在もその墓地には山ロさんのスペースが用意されており、墓石の写真を嬉しそうに見せ
 てくれた。

  ところが、山目さんも退職後に大きな病気に見舞われた,心筋梗塞を2度起こし、長期の
 入院と療養生活を余儀なくされたそうだ。
 「病院の医療費が高くてね。心臓の手術は難しいらしくて、診察代や薬代も高かった。入院
 したときも個室だったから、退院のときにすごい金を取られたよ。それも1年の問に2回倒
 れたもんだから大変」と話す。
  残りの貯蓄は、その医療費と生活費にすべて消えたそうだ,しかし、62歳からのたった7
 年間で、3000万円もの現金がなくなるものだろうか.
 
  わたしが「高額療養費助成制度は利用しなかったんですか?」と質問すると、
 「そういう制度があるってことを知らなかった」と言う。
 それから生活が破綻するまでは、あっという問だった,
 さらに山口さんは、年金に加入していなかった。
 「会社が厚生年金に加入していなかったので、年金を支払ってこなかったんだよね。給料が
 そこそこあったんだし加入しておけばよかったと思うけど、今さら後悔しても遅いよな」と
 語る。
  本来、法人には厚生年金に加入する義務があるが、中小零細には加入していない企業も多
 い。とはいえ山ロさんが国民年金も厚生年金も未加入のままだったのは、貯蓄があれば何と
 かなると思ったからかもしれない。退職金もあるからとの油断もあったのだろう。しかし、
 その期待は見乍に裏切られた。

  山口さんは現在、治療を受けながら生活保護で暮らしている。高額な医療費は、とても山
 口さんの年金額だけではまかないきれないからだ,
 「健康だった自分がまさか立て続けに病気になるとは思ってもいなかった」「ましてや生活
 保護申請をする事態になるなんて想像していなかった」と繰り返し話している。


  ●ケース4〈地方銀行に勤めていた藤原さん(仮名)>

  藤原さん(67)は、地方の大学を卒業した後、銀行員として埼玉県内で61歳まで働いた。
 その問に結婚もして、娘も一人育ててきた,今は娘も大きくなり、結婚して家を出ている。
  一見、何の不自由もなさそうに見えるが、じつは藤原さんには認知症の症状があり、アパ
 ートを追い出され、埼玉県内の公園で生活しているところを親族からの相談で発見された。

  わたしが公園で声をかけると、
 「ありがとう、ありがとう。困っていたんだよ。家に帰れなくなってしまってね」と痩せた
 身体から声を絞るように話してくれた。
  藤原さんが変調をきたしはじめたのは、50代半ばからである。
  親族によれば、「得意であったはずのお金を数える業務などが、うまくできなくなってき
  たそうで、仕事上のストレスを家族にぶつけてケンカが絶えなくなった」と言う。
 その頃から、感情の起伏も激しくなり、見かねた娘は家出同然で出て行き、そのまま結婚し
 たそうである。
  そのような状態から、銀行でも退職を促されるかたちで、早期退職をした。藤原さんにそ
 のことを尋ねてみると、「会社で嫌がらせをしてくる上司がいて嫌になって辞めたの]と話
 す。親族と藤原さんの捉え方には違いがあるようだ。

  そして退職後は、せっかくの退職金を湯水のごとく飲食代に使うという行動に走り、夫婦
 関係はいよいよ破綻を迎える。それについて藤原さんは、「仕嘔をしていたときから付き合
 いのある飲み屋やスナックに行かないといけなかったから仕方がない」と話している。
  銀行員、大企業の社員も、例外ではない
  その後、藤原さんは妻との離婚協議を進め、資産や年金は、半々に分配されることになっ
 た。60代にして月額12万円の厚生年金で一人暮らしである。
  銀行員で、現役時の給料が高かったとしても、年金の半分を分配してしまえば、決して多
 い金額ではないことがわかる。

  この約12万円という金額は、埼玉県内の生活保護基準を若干下回る水準であり、生活保
 護申請を行えば、受給が可能なレベルのものだった,
  そして一人暮らしになったことで、さらに年金や老後の資金を散財してしまい、ついにア
 パートの家賃滞納などもはじまった。「お金はいくらあっても足りなくて,いろいろなとこ
 ろから督促がくるでしょ。覚えていないこともあるけど、払わなきや仕方がないからね」と
 困ったように、藤原さんは公園のベンチに腰掛けながら話す。
 3か月分の家賃を滞納したところで、「これ以上の家賃滞納は迷惑だし我慢できないから出
 て行ってくれ」と、大家から退去を言い渡された。その後数か月間、藤原さんは埼玉県内の
 公園で路上生活をすることになる。

  滞納した家賃は、長女が立て替えて支払い、アパート退去費用も100万円ほど捻出した
 そうだ。しかし、長女の家族も生活に余裕がなく、これ以ヒは父親の面倒を昆ることができ
 ない。そのため「父親が野宿生活をしている公園へ行って支援してほしい」という連絡をい
 ただいた。
  わたしが藤原さんとはじめて面会したのは、夏の暑い日だった。身なりはボロボロで、意
 思の疎通も難しく、会話が成立しないこともあった。面会した心丿初から認知症の症状を疑
 いながら聞き取りを行ったがやはりその通りだった。

  その後、NPOが運営するシェアハウスで保護し、藤原さんの介護保険の申請や病院への
 同行、借金の整理や金銭管理などを行ってきた。藤原さんは、シェアハウスに入居した日に
 「こういうNPOがあるのなら、公園で生活する必要はなかった。仏様のお導きだね」と嬉
 しそうに語っていた。藤原さんには信じている宗教があり、お布施や寄付なども積極的に行
 っていたそうだ。宗教団体は藤原さんの状態を知っているかどうかわからないが、定期的に
 寄付を求めていたようだ,

  認知症が重くなる以前から、おそらく藤原さんには若年性認知症の傾向があった,職場や
 家族との関係性が悪化したのも、それが原因ではないかと思われる,藤原さんを診断した主
 治医の精神科医からも、同様の指摘を受ける場面があった。
  そして、藤原さんがド流化した最も大きな要因は、自分も周囲の人々も認知症に気づかず、
 生活を続けてしまっていたことにある。それに熟年離婚が重なり、年金を妻と折半したこと
 が追いうちをかけた。
  たとえ現役時代の収入が多くても、たちどころに生活が立ちゆかない水準まで、落ちてし
 まうことを理解できる事例である。
  一般に高給取りとされる銀行員であっても、いくつかの問題を契機に下流化してしまうの
 だ。絶対に大丈夫と言える人は、日本社会において、どれほどいるだろうか。




                                        下流老人をめぐるいくつかの資料から

  ここまでは下流流老人の実例を示してきた。これらは間違っても「誰か知らない人」だけ
 の問題ではない。以ド、その根拠を各鮭統計データからも示していきたい。
  厚生労働省の「平成25年国民生活基礎調査の概況」によると、全世帯の1年間の平均所
 得金額が537万2000円なのに対し、高齢者世帯は、309万1000円である。その差
 は、約230万円と大きい。そして同資料によると、高齢者世帯のじつに90・1%は、全
 世帯の平均所得金額を下回る。

  要するに、高齢者になると所得が現役の頃よりも激減するのだ,
 「そりやあ、年をとったら働けないし、収入が低くなるのは当たり前だよ」あるいは「高齢
 者になったら、そんなに消費するものもないし、現役時代ほど収入は必要ないだろう」と思
 われるかもしれない。
  しかし問題は、収入の下げ幅に対して、支出は思ったほど減らないということだ。
  そればかりか、"思定外"の事態により、多額の支出が発生するリスクを多く抱えてい、先
 ほどの事例からもわかるように、医療費や介護費など、高齢期には想定していない出費が伴
 う。食費や子どもの教育費などは減るが、別項目の支出が増えることを理解しなければなら
 ない。

  また、前出の資料はあくまで平均値なので、実際には多くの高齢者世帯は、約310万円な
 どという収入を得ていない。中央値は250万円だ。にもかかわらず、さらに支給額を引き下
 げるための年金制度改革が進められようとしている。今後はなおさらのこと、高齢期に至る
 までに貯蓄などの準備をしておかないと、誰でも老後が崩壊するリスクがあると言える。

                  働いて稼いでる額は、全収入のせいぜい2割

  さらに、「所得の鮭類別の状況」を見ると、高齢者世帯における一世帯あたりの平均所得
 の内訳は「公的年金・恩給」が68・5%、「稼働所得」が18・0%となっている。 
  つまり、高齢期に働いて得られる収入は、全収入の2割に満たないということだ,
  ここから現在の高齢者の生活が、いかに年金に依存しているかがわかる。特殊なケースを
 除き、高齢者が十分な収入を得られる仕事や雇用は多くないし、高齢者の雇用を促進すれば、
 若者の労働市場が奪われる弊害だって出てくるはずだ。

  「年金で足りない分は、働いてなんとかする」と考えている方は、相当な覚悟をしておく
 必要があるだろう。
  また、同じ調査によれば、貯蓄、借入金の状況は、高齢者世帯では、「貯蓄あり」が77・
 9%、「貯蓄なし」が16・8%となっている。
  さらに「貯蓄なし」を含めた100万円未満の世帯は24%であり、200万円未満の世
 帯まで入れると30・3%と極めて多い。貯蓄が200万円未満だと、生活上、大きな支出に
 見舞われた際には家計が維持できない水準である。また、貯蓄がある高齢者とない高齢者に
 二分されているのも特徴であり、端的に貯蓄額だけ見ても大きな「匯代内格差{があること
 がわかる。
 
  一方、借入余の有無に関しては、「借入金あり」が8・6%、「借入金なし」が77・3
 %である。借入金の平均額は99万2000円だが、今後も借入金がある高齢者がどれだけ増
 えるのか、あるいは借入金額が増えていかないか注視していく必要がある。
  また、貯蓄の増減に関しては、高齢者世帯の43・9%が「貯蓄が減った」と答えている。
 その理由としては「日常の生活費への支出」が73・2%と最多である。当たり前だが、日常
 的な収入が低ければ、これまで蓄積した資金を取り崩して生活するしかなく、決して浪費や
 散財しているわけではない様子が見て取れるだろう。

  そして生活意識について聞いてみると、生活が「やや苦しい」(31・I%)と「大変苦
 しい」(23・2%)と答えている高齢者世帯は、合計で54・3%にまで及ぶ。
  このように、高齢者の貧困は進行し続けているし、すでに多くの人々が下流老人になり始
 めているのだ。

                          支援しても減らない下流老人

  わたしはソーシャルワーカーとして、12年間活動してきたが、生活困窮の相談者は一向に
 減らない。そればかりか近年は顕著に増えている。一般的に考えて、支援活動が広がり、あ
 る程度の生活改善が行えたら、困窮者は減っていくはずである。そして、いつの日か困窮者
 がいなくなれば、わたしのような支援者は必要なくなるはずだと思っていた。しかし、活動
 しても活動しても、新しい困窮者が湯水のように溢れてきている。

  たとえば、湖でボートに乗っているとする。そのボートの底に穴が開いていて、浸水して
 きたら、皆さんはどうするだろうか。水をポートの外にかき出して、沈まないようにしよう
 と試みるかもしれない。あるいは、これ以上浸水しないように、手や付近にあるもので、穴
 を塞ぐよう試みるかもしれない,いずれにしても「あ~、浸水してきているな!」と、ただ
 ただボーっと見ていることはないはずである,
  わたしはこれまでの活動は、水をかき出している状況であったと思っている。次々に訪れ
 る相談者からの依頼を受けて、その場その場で最善の方策を考えて、支援活動を展開してい
 く。しかし、そもそも水をかき出してもボートには穴が開いているのだ。どれだけ支援して
 も次々に浸水してくる。

  この穴をどうしたら塞げるのか考えなくてはならない,そうしないと、やがてボートは沈
 んでしまうだろう。つまり、下流老人の問題は、対処療法ではなく、社会問題として根本か
 ら対策を立てなければ、手遅れになるということだ。
  わたしたちは生活相談を受け、支援を行うことを「ミクロ実践」と呼んでいる。このミク
 ロ実践だけでは、社会問題化した下流老人の現象には対応しきれない。マクロ実践を展開し、
 制度や政策、人々の意識や考えを変えない限り、下流老人の問題はなくならないのだ。
  その対策を講じるために、まずは下流老人の現実をしっかりと見つめてほしいと思う。

                                                     この項つづく



● 夏だ!鱧落としの季節


たまには、下流老人も、駅前の寿司割烹『銀水』の鱧落としをパッといただくことに。  
 

 

 

台風11号上陸の朝

$
0
0

 



  何か強いものを感じた。又吉君うらやましい。 /  山田 詠美


              
         ※ 芥川賞受賞を祝福して

 

 

● ミュオン検出応用工学 

ドクター湯川秀樹ノーベル物理賞受賞した中間子説の科学成果が着々と応用展開され、ミュオ
グラフィが実用段階に入っている。高エネルギー加速器研究機構(KEK)は、筑波大学など
と共同で東京電力福島第一原子力発電所1号機の原子炉内部を透視したミュオン測定装置の小
型化に取り組む。同1号機の燃料は格納容器下部に溶け落ちたと推定され、宇宙から降り注ぐ
ミュオンで観測する場合、地面を掘削して測定装置を設置する必要がある。設置作業の負担を
軽減することで利用増加につなげたい考え。年内をめどに現状の8分の1以下に小型化する計
画を公表(2015.07.15)。 

測定装置は2枚以上の検出器などで構成、ミュオンが通過した場所や粒子数をもとに原子炉内
部の状況を推定する。ミュオンの吸収率が物質ごとに異なる性質を利用し、燃料の位置などを
測定する。1辺2・5メートル程度の測定装置を1辺1メートル程度まで小型化する。小型化
すると検出器同士の距離が近づき、測定の分解能は下がるが、ミュオンを検知する物質(シン
チレーター)の設置数を増やすことなどでその低下を抑える。また、捕らえられるミュオンの
量は減るが、観測時間を確保すれば測定精度に影響はないという。

KEKは今年2月から1号機を観測し、圧力容器の炉心部に燃料がないことを確認、東電の推
定結果と一致した。ただし、燃料が溶け落ちたと推定される格納容器下部については観測でき
ていない。KEKの高崎史彦名誉教授によると、小型測定装置は直径1・5メートル程度、深
さ十数メートルの穴に設置すれば測定可能。地中を通ってもミュオンを観測できることを実験
で確認しているという。

構造物内部を把握する従来の方法として、地表に到達する宇宙線ミュオンを観測して内部を透
視する技術が知られている。この技術は、例えば火山またはピラミッドなどの大型で内部への
立ち入りが困難なものに対して好適に利用されてきた。ミュオンを観測して構造物の内部状態
を透視する方法として、(1)ミュオンの粒子束の減衰を測定する透過法および(2)ミュオ
ンのクーロン多重散乱角を測定する散乱法などが知られている。(3)また、散乱法において
は、クーロン多重散乱による軌跡のずれを測定する変位法も知られている。

 

ミュオンによる透視技術では、透視の対象となる構造物にミュオン軌跡検出器が外設される。
そして、この検出器によりミュオンの飛行軌跡を検出して、軌跡を解析することで構造物内部
のイメージングが行われる。ミュオン軌跡検出器は、ドリフトガスが封入されたドリフトチュ
ーブの配列を多層にして構成。ドリフトチューブは、その中心に陽極ワイヤが張られており、
ミュオンの通過によって封入されたドリフトガスが電離されて電子が発生する。発生した電子
が陽極ワイヤに到達することでミュオンの通過が検出される。そして、電子が陽極ワイヤに到
達するまでのドリフト時間からミュオンの通過位置を求めることができる。

そして、ミュオン軌跡検出器は、ミュオンが通過したドリフトチューブそれぞれの通過位置か
らミュオンの飛行軌跡を検出することができる。なお、アルミ製のドリフトチューブで構成さ
れるミュオン軌跡検出器の場合、空間分解能と角度分解能は典型的には0.5ミリ及び2mr
ad(全値半幅)程度で、ミュオンの検出効率は百%近い。

しかしながら、過酷事故が発生した原子力発電所のような高放射線環境下では、高いガンマ線
量により、ドリフトチューブの壁面の原子とガンマ線との間のコンプトン散乱による誤検出が
増加する。ガンマ線とのコンプトン散乱で発生した電子が、陽極ワイヤに到達してミュオンの
通過として検出されてしまうからである。本来、ドリフトチューブはガンマ線に対する感度が
低く、ガンマ線に由来する電子の発生は無視することができる。しかし、ガンマ線量が高い場
合、ガンマ線とドリフトチューブの壁面の原子とのコンプトン散乱の発生数も増加し、ガンマ
線起因による検出が増加する。

このため、高放射線環境下では、ドリフトチューブのガンマ線起因による検出により、解析対
象となるデータ量が増大し、ミュオン軌跡検出器を安定的に動作させることが困難であった。
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、高放射線環境下で安定的な動作を実現す
るミュオン軌跡検出器及びミュオン軌跡検出方法を提供する。

そこで、上図のごとく、ミュオン軌跡検出器10は、宇宙線ミュオンの通過が検出された際に
電気信号を出力するドリフトチューブ11を配列し、少なくとも3層に配置させたドリフトチ
ューブ検出器12と、一定時間内に電気信号が出力されたドリフトチューブ11の中から一直
線上に位置するものを選別するドリフトチューブ選別手段15と、選別されたそれぞれのドリ
フトチューブ11に対応する電気信号の立ち上がり時間に基づいてドリフトチューブ11内に
おける宇宙線ミュオンの通過位置を計算する通過位置計算手段19と、計算された通過位置を
用いて宇宙線ミュオンの飛行軌跡を導出するミュオン軌跡導出手段20と、を備えることで、
高放射線環境下で安定的な動作を実現するミュオン軌跡検出器及びミュオン軌跡検出方法の東
芝の新規考案である。

また、下図は、有限空間内に,ミュオン検出機能と時計と通信機能を有するノードを多数配置
し、そのノードの一部の座標値を既知とし、各ノードで検出した飛来イベントの時刻情報をノ
ードIDと共に測位サーバに伝達蓄積する。蓄積された情報と既知のノード座標値を基に、ミ
ュオンの軌跡を算出し、さらにそれを基に可動ノードの座標値を算出することで、 電波、光、
超音波もしくは音波が遮蔽、反射、回折、屈折しうる環境においても、測位可能とし、高確度
な座標値を算出できる日立製作所の測位システムの新規考案である。

このように、ミュオン検出器の精度とロバスト性(耐久性)、手のひらまでダウンサイジング
できれば、火山観測、マグマだまり観測、地震観測などのデジタルアース工学を飛躍的に高め
ることができる。これは実に面白い。また、ひとつ新規事業が誕生する。

 

 

 

● 日中食品汚染 13 中国の食品汚染地図  

【目次】

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか 

古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素し終え
たので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから課題を
掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく。 

 

  第2章 中国の食品汚染地図 

                      養殖ワカメを襲う工場排水

  日本が中国から輸入している魚介類はウナギだけではない。海産物としてワカメやアサ
 リ、エビやナマコなど、非常に多くの品目が輸入されている。以下はワカメの汚染状況で
 ある。日本のワカメ輸入先は中国と韓国。2011年、中国から73位円、韓国から43位円
 を輸入している。中国産が多いのは、中国が世界一のワカメ生産国だからでもある。日本
 のワカメ生産戟は水産庁によると約3400トンだ。また、ワカメの国内消費を金額換算
 すると約150億円程度だから、日本の国産ワカメは明らかに劣勢だ。輸入に依存するし
 かないが、安心して食べていいものなのだろうか。

  両国から輸入されるほとんどのワカメは養殖ワカメで、その多くは日本のワカメの原藻
 を養殖し、日本に逆輸出しているものだ。
  そのワカメや昆布などの海藻類が、ヒ素によって汚染されていると報じたのは2004
 年の新華社の報道だったが、今なおその汚染は解消されていない。むしろ、海藻類を養殖
 する遼寧省の黄海あたりの海水の汚染はさらに進んでいる。一向に改善されていないどこ
 ろか、逆に深刻さを増しているのだ。

  背景には、中国のあらゆる地方の海岸から、海や揚子江などの大河へ放出される工場排
 水や生活雑排水、汚染排水の顕著な増加がある。工場などからの排水の廃棄量は年々増え
 続け、次の表5のように2011年には660億トン、2005年の525億トンを約2
 6%も 上回った。この数字は日本の数百倍、いや数千倍にも相当する。年平均の増加率
 は4・3% 約20年で2倍に達するスピードだ。このペースでいけば2030年頃には
 1300億トンという膨大な廃水が海へ流されると推定される。これは、中国の水資源総
 量2兆3257億トンの5・5%にも相当する。

  203O年頃には、酸化炭素排出量は世界一の約72億トンだが、陸と空から世界一多
 い汚染物質を垂れ流しているのが中国だ。

  排水は、あらゆる随順のエ場排水、汚水を含む生活雑排水、農薬汚染水や重金属汚染水
 を含む。2011年の排水の中には、ナマリ15万5200キログラム、水銀2800キロ
 グラム、カドミウム3万6000キログラム、ヒ素14万7000キログラム、六価クロ
 ム10万6000キログラムなどが含まれている。、
  これだけ入りの汚染衣が陪年のように流されている限り、沿岸のどの海産物が汚染され
 てもまったく不思議ではない。

                    中国でも報道され始めた加工食品汚染

  食品のモジュール化は高度な加工食品によって起こると述べた。ここでは、加工食品を
 わたしなりに、「農林畜水産物または食品を原材料とし、別の食品にすること」としたい。
 食品は形や味、色彩などに共通のものが存在せず。万華鏡のように変わりうる。つまり最
 終の完成品というものがが存在しない。最終良品のはずだったものが、簡単に別の良品を
 作るための原材料になってしまうことがある。これを前提に話を進めていくことにしよう。

  中国政府が現在もっとも神経を使っているのは、この加工良品である。もし重大な事件
 が起これば国民の健康問題に直結するし、貿易黒字の源泉を失うという国家的損害に発展
 しかねないからだ。
  従来は正義感あふれる新聞記者や研究者によるリークめいた報道以外、表には出にくか
 った。ところが習近平政権が誕生してから、PM2・5の報道からもわかるように水汚染
 や土壌汚染などの環境問題や食品汚染問題がせきを切ったように報じられるようになった
 感がある。

  加工時に使う食品添加物あるいは異物の混入、賞味期限過ぎの肉類を原料とした肉加工
 品などはましなほうだ。悪質なのは、意図的にあるいは違法に過剰な添加物を入れたワイ
 ン、マオタイ酒、ウインナー、ハム、鶏の足、菓子類、ザリガニの油いため、干し豆、乳
 製品、白身魚の練りもの、果汁、人造卵、ピータン、乳製品、漂白万頭や染色削入りの精
 肉、ネズミ肉入り羊肉ミンチ、毒血豆腐、果物や野菜、過剰眼球菌入りピーフジャーキー、
 コンビーフ、ザーサイ、落花生、フライドチキン、蒲焼、加工の際の地溝油使用などだ。
 挙げ始めたらきりがない。異物混入の例では、昆虫入り粉ミルク、基準オーバーの細菌が
 入ったミネラルウオーター、醤油などが知られている。

  ネズミの肉は市場で売られているほか、ネット通販でも買うことができる。多くは竹鼠
 や肉鼠というもので、高いものだと1キログラム200元、日本円で3200円くらいす
 るものもある,値段が豚肉や牛肉よりも高いものもあり、ネズミ肉は睡煩によっては高級
 肉の煩に属する。これも国や地方によって特徴がある食文化の一部分といえる。
  羊肉ミンチにネズミ肉が入っていても特別に驚くことではないが、混ぜ物という意味で
 は悪質だ。このほか、加工時あるいは調理時に使う染色剤を染み込ませたり、洗浄しない
 俎板や着色箸を使う例などがあり、街角の食堂では、腐敗材料が使われていたり、食器煩
 が汚染されている危険性が高い。以上のように、中国国内で報道されたり現地で耳にした
 事例を並べただけでもその数は多い,

  こんな汚染の事例を日本の講演などで話すと、決まってされる質問は、政治家や指導者
 は、庶民と同じものを食べているのか、というものだ,わたしの答えは、彼らは安全なと
 ころで 作ったものしか食べないである。
  中国には政府や共産党の指導者向けの食品「特供食品」がある。当初は中央政府の高級
 官僚だけが食べていた安全な食品を指すことが多かったが、その後、省やその下の地方幹
 部までが真似るようになり、庶民の批判の的になった。

  最近、習近平は政府や党幹部が豪華な宴会をしたり贅沢な中華料理を食べることを慎む
 よう号令を出したとされ、この特供食品制度についても意識しているふしがあるが、全面
 的に止めることは難しいだろう。かわいそうなのは、何も知らないでいる一般庶民だ。


 

                                   未発達のコールドチェーン

  中国の流通制度やハード面の後進性から生まれている汚染もある。生産者、加工者から
 末端の消費者までの間には多数のチャネルがあり、さまざまなアクターが利益を求めて介
 在している。この点は日本も同じだが、中国には中国らしい問題がある。
  そのひとつは、食品の品質保持のためのコールドチェーンが十分に発達していないこと
 だ,目本では、収穫後あるいは出荷を迎えるまでの間、生鮮品は予冷庫に保管、その後冷
 蔵躯や冷凍車に乗せて卸売市場や集配センター、物流倉庫などに移管する。そして一定量
 を量販店や大口需要者の冷蔵・冷凍倉庫に移し、やがてそれらは店頭に並び、最後に消費
 者の冷蔵庫に収まるという経緯をたどるのが一般的だ。

  宅配はその究極の姿だが、この仕組みを効率よく動かすロジスティクスが日本では発達
 している。効率のよい三温度帯物流(冷蔵・冷凍・その他)が実現できている。だから腐
 敗しないし鮮度も維持され、食品ロスも最小限に抑えられている。
  しかし、中国の場合、自前の予冷庫を持っている生産者は少なく、冷蔵・冷凍施設のあ
 るJAのような組織はないので、常温のまま、あるいは凍らせたペットボトルを箱の下に
 しのばせたり、マイナス気温になる冬には凍ってしまわないようにトラックにフトンをか
 けたり、それなりの工夫をして輸送している。しかしその程度のエ夫ではどうにもならな
 い。生鮮食品の腐敗率は数十%に達し、結局は農民の所得を削り、消費者物価を押し上げ
 るマイナスの影響を及ぼす。

  危機感を覚えた国家の中枢機関、発展改革委員会は、ようやく2010年6月「農産品
 コールドチェーン物流発展計画」を策定し、日本や欧米に追い付くための施策を始め。わ
 たしはその前から、中国の生鮮品物流の問題に関心を持ち注目してきた。この計画が打ち
 出されて3年以上になるが、事態は一向に改善されていない。
  伝統的な中国式のやり方でとくに問題はなかったのだからこのままでいい、という保守
 的な態度があるからだろう。もちろん金銭的な理由も大きいが、むしろ改革心の希薄さが
 蔓延していることが問題だ。

  そのため魚介類や肉類などの鮮度を守ろうとして、さまざまな処理が施されるという問
 題が起こる。典型的な事件が注水肉と呼ばれる、食肉処理したばかりの豚や牛肉に注射で
 水を注入する方法だ。一種の分量ごまかしと見せかけの鮮度維持策だ。真水だけでなく、
 鮮度維持のための防腐削や染色剤、その他さまざまな薬剤等が注入されるケースもあると
 いう,同様の手法は野菜や果物でも行われており、色だけが妙にいいトマトやキユウリな
 どもある。
 
  ある卸売市場で、真っ赤なので完熟トマトに違いないと数個買って食べたところ、固く、
 何の香りも味もしなかった経験がある。これなどは、育成中に染色剤を艇から吸い上げさ
 せたものと思われる。こういった肉や青果物は国内向けに作られており、そのまま日本に
 輸出されることはめったにない。しかし、エキスやスープ、その他の加工食品に使われて
 いる可能性は高い。原形がまったくわからない姿になるため、問題はないかのように見え
 てしまうのだ。

                         すべてはコストを下げるため

  流通の一翼を担ういわゆる中間業者組織も複雑で、個人経営のブローカーや代理商が現
 金を持って買い付けに飛び回り、買い付けた農産物を自前の無蓋トラックで運ぶのが一般
 的なスタイルになっている。また、そういった簡素な装備で数千キロ先の消費地に運ぶこ
 とも少なくない。たとえばウルムチのリンゴを広州市に運ぶには、600Oキロを数日間
 かけて走り通さないと、鮮度が維持できない。中国の陸上輸送業は競争が激しく、いかに
 コストを下げるかが生き残りに関わってくる。結局は、運転手の待遇節約でなんとかしよ
 うということになる。炎天下、数日間も運転し続ける運転fの中には、途中の町で逃げ出
 す者も現れる始末だが、GPSによる運行管理が未発達の中国では、この方面の管理はほ
 とんどできていない。

  中国のスーパーに行くと、わたしは食品売り場をのぞくが、いつも思うのは、野菜、肉、
 魚の鮮度の悪さだ。氷の上に無造作に並べられた魚はどれもふやけたようにだらしなく寝
 ころび、カットされたものも包装されたものも、鮮度が明らかに悪い。果物や野菜も同じ
 で、シヤキッとした商品は非常に限られている,

  日系のスーパーはよいほうだが、鮮度維持策は小売業者がいくらがんばっても限界があ
 り、やはり日本の店舗に並ぶ商品と比べると落ちる,これは、産地から小売店舗までの物
 流システムに問題があるためだ。

                                  この項つづく




● 安保法案強行採決雑感

15日の衆議院特別委員会で、民主党などによる抗議が行われる中、安全保障関連法案は可決
された。そして、本日午後に行われた衆院本会議では、大きな混乱はなく、民主党や維新の党
など野党が退席する中、安保関連法案は可決された。この法案に対しては「勇み足」と既にコ
メントしている。また、急ぐとすれば、岡田民主党々首の提案していた「離島主権侵犯対処法」
に限定すべきであった。わたし(たち)の考えは「城内平和主義」(=護憲派)とも、武断的
積極的平和主義(=征韓論遺制派)とも異なる、積極的平和主義(=ソフトパワー主義)であ
ることをブログ掲載してきた。ところで、安部首相が二人の日本人の惨殺を許したイスラム国
による日本人々質事件で、戦闘モードスイッチが入ると危険であることに気付いてから、倒閣
運動を覚悟する。

台風11号が上陸した。深夜から夜明けまで緊張がつづく。

 

  ● 追憶の一枚
2008.01.25 撮影

ここにきて月日の早さに驚く。今日でY君の月命日を迎える(万中陰が住んでいないからその
ように呼称していいものかどうかわからないが)。集合写真をデスクに置き作業をつづけてい
る。それにしても、本当に涙もろくなったものだ。おかしいのかな?
                                       



                                     

時代は太陽道を渡る Ⅲ

$
0
0



   人生に手遅れは無い。  /   孫 正義

 

【 再エネ百パーセント時代: 時代は太陽道を渡る Ⅲ 】


● 今世紀半ばまでには、太陽光は全エネルギーの4分の1に

2013年には、太陽光は世界の発電量のうち1%をかろうじて占める程度だった。しかし、
IEA(国際エネルギー機関)は、近年の太陽光発電のコスト低下を挙げ、今世紀半ばまでに
太陽光が世界中の電力の約4分の1をまかなう最大の電力源になりうると予測している。ブル
ームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンスの太陽光チーフアナリスト、ジェニー・チェイ
スは、「40年までには、途上国での小規模太陽光発電への投資額が1兆ドル(約120兆円)
に達し、へき地の村々でも初めて電気が使えるようになる。また、陸上での風力発電と太陽光
発電設備の新設コストは、30年までに新設または既存の化石燃料発電設備のコストを下回る
と予測している」と語る。

また、アヒム・シュタイナー国連環境計画(UNEP)事務局長は、「再生可能エネルギーの普及
は再び活発化しており、14年に新たに加わった正味電力量の半分近くを占めている」と語っ
ている。この分野への投資は12年と13年に落ち込むが、14年には回復。再生可能エネル
ギーのうち最も大きな割合を占めるのは水力発電で、風力とバイオマス発電が続く一方で、太
陽光の普及速度が最も速い。米国エネルギー省および国際非営利組織「Ren21(21世紀のた
めの自然エネルギー政策ネットワーク)」によると、過去2年間に導入した風力発電の容量が
大きかった米国と中国で、同じ期間の太陽光電力容量ではドイツと中国が大きい。一方、途上
国を含む比較的小さな5カ国でも、積極的に取り入れている。

その他の国では、イタリアは、太陽光の発電量が世界第3位だ。国内の発電量に占める太陽光
の割合は世界で最も高く、スペインは、反射鏡を使って大量の太陽光を狭い範囲に集める集光
型太陽熱発電(CSP)の発電量で世界第1位となった。2位以下は米国、アラブ首長国連邦(UA
E)、インド、アルジェリアの順となっている。デンマークでは、12年の発電量のうち風力の
割合が世界最高となった。同じくヨーロッパ沿岸国のポルトガルとスペインは、それぞれ2位
と3位に入る。

 また、インドは4人に1人が電気を使え状態にいるが、世界風力会議(Global Wind Energy
Council)によれば、14年末までに風力の電力容量が世界第5位となり、4位のスペインに迫
る。日本は11年に発生した福島第一原子力発電所のメルトダウン事故以降、原子力発電が停
止し、太陽光への関心が高まる。国際エネルギー機関(IEA)の報告では、14年に新設し稼働
を始めた太陽光発電設備の容量は、中国に次ぎ世界第2位だった。しかし、技術力もあり実力
もそなえている日本がここまで停滞しているようかな状況に甘んじているは、皮肉にも、古賀
茂明氏の『日本中枢の崩壊』(第4章 役人達が暴走する仕組み
)を文字通り、産業政策を推
進する官僚組織の暴走が遠縁?しているかもしれないが、ここは、「役人達の暴走」でなく、
「地球温暖化の暴走」を食い止めるために、「再エネ百パーセント社会」に向け、世界各国の
人が一人でも多く参加することを呼びかけたいと思う。 

※ 出典:ナショナルジオグラフィック日本語版「日本はどう?再生可能エネルギー普及、世界
  で加速」 2015.07.17

                                        

 


● 寝屋川市が芥川賞受賞で沸く 又吉直樹とは

売れない芸人・徳永は、熱海の花火大会で、先輩芸人・神谷と電撃的な出会いを果たす。徳永
は神谷の弟子になることを志願すると、「俺の伝記を書く」という条件で受け入れられた。鬼
才で人間味に溢れる神谷に徳永は惹かれていき、神谷もまた徳永に心を開き、神谷は徳永に笑
いの哲学を伝授しようとするというストーリ。


  大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が重なり響いていた。熱海湾に面した
 道は、白昼の激しい陽射しの名残りを夜気で溶かし、浴衣姿の男女や家族連れの草履に踏
 ませながら賑わっている,沿道の脇にある小さな空間に、衷返しにされた黄色いビールケ
 ースがいくつか並べられ、その上にベニヤ板を数枚重ねただけの簡易な舞台の上で、僕達
 は花火大会の会場を目指し歩いて行く人達に向けて漫才を披露していた。
  中央のスタンドマイクは、漫才専用のものではなく、横からの音はほとんど拾わないた
 め、 僕と相方の山下は互いにマイクを頬張るかのように顔を近づけ唾を飛ばし合ってい
 たが、 肝心な客は立ちどまることなく花火の観覧場所へと流れて行った。

                               又吉直樹 著『火花』


4歳年上と3歳年上の姉の下に生まれる。父は沖縄県、母は奄美群島の出身。比較的貧しい家
庭で育ち、家族で焼肉店に食事に行っても「焼肉2枚でお腹一杯だから」と母や祖父が無理を
して子供たちに食事を譲り、子供たちもそれを分かっていて親に「お茶漬けでお腹一杯」と食
事を譲る、と言った生活をしていたとという。国語の実力テストの知能偏差値75で全国トッ
プになったことがある。小学生の頃からサッカーを始め、中学校は寝屋川市立第五中学校に通
い、高校時代は北陽高校サッカー部に所属し、03年(平成15年)夏まで原偉大]と「線香花
火」というコンビで活動していたが解散し、その後、同期で仲の良かった綾部祐二とピースを
結成、現在に至る。趣味は散歩と読書で、通算二千冊以上も本を読んでおり、活字が躍りだす
夢を見るほどの読書家で、「太宰治ナイト」「松尾芭蕉ナイト」などのイベントを主催してい
る。

文藝春秋発行の『文學界』2015年2月号に掲載。発売前から「タレントが純文学作品で主
要文芸誌デビュー」と話題に。発売初日の1月7日にインターネット各書店では軒並み品切れ
状態となり、8日に7千部、9日にはさらに2万3千部の再増刷が決定し、累計は4万部に達
した。『文學界』の増刷は19333年の創刊以来、資料に残る範囲で初めての増刷でという。
15年3月11日に同社から単行本として発刊され、64万部を超えるヒット作となる。装画
は西川美穂。装丁は大久保明子。第228回三島由紀夫賞候補作、第1533回芥川龍之介賞受
賞作(出典:Wikipedia)。



● 吾が心のフォークロック ライク・ア・ローリング・ストーン




昔は派手に着飾って、浮浪者に10セント硬貨を恵んでいたって。「用心しろよ、すぐに消え
っちゃまうからさ」とひとにてからかわれたって。いまは落ちぶれ、高笑いも、プライドも失
せ、食事もままならないってか・・・・・・。1965年、その年、2月アメリカ軍が北ベトナム爆
撃を開始、黒人運動指導者マルコムXが暗殺されている。4月には、アメリカの北爆に反対し
小田実らが「ベトナムに平和を!市民・文化団体連合」(ベ平連)を結成。6月には日韓基本
条約が締結され、翌月、1日には名神高速道路が全線(小牧-西宮間)開通し、20日に、この
曲がシングルリリースされ、アルバム『追憶のハイウェイ61』に収録されている。尚、このこ
ろの日本では、エネルギー政策が石油にシフト加速する中、石炭鉱山採掘現場では炭坑事故が
多発していた。 

 

   Once upon a time you dressed so fine
   Threw the bums a dime in your prime, didn't you ?
   People'd call, say, "Beware doll, you're bound to fall"
   You thought they were all a’kiddin' you
   You used to laugh about
   Everybody that was hangin' out
   Now you don't talk so loud
   Now you don't seem so proul
   About having to be scrounging your next meal


                                    “ Lake a rolling stone "  

 

 


   Oh, God said to Abraham, "Kill me a son"
   Abe says, "Man you must be puttin' me on"
   God says, "No", Abe say "What?"
   God say "You can do what you want Abe but
   The next time you see me comin' you better run"

   Well Abe said, "Where do you want this killin' done?"
   God say, "Out on Highway 61"

   Well Georgia Sam he had a bloody nose
   Welfare department they wouldn't give him no clothes
   He asked poor Howard, "Where can I go?" 
   Howard said, "There's only one place I know"
   Sam said, "Tell me quick man and I got to run"

   Old howard just pointed with his gun
   And said, "That way down Highway 61"

                                                                            “ Highway 61 Revisited ”

ボブ・ディランは、『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』からエレクトリック
ギターとバンド演奏によるサウンドを導入。この曲でマイク・ブルームフィールドのブルース・
ギターとアル・クーパーのキーボードを加え、より歌詞に相応しい重量感と起伏・深度を表現
する。ザ・ホークス(後のザ・バンド)を従えた1966年のワールドツアーのバージョン(『ロ
イヤル・アルバート・ホール(Live 1966)』収録)で、そのサウンドが完成する。アニマルズ
の「朝日のあたる家」や、バーズによるディラン作品のカバー曲「ミスター・タンブリン・マ
ン」などの曲が大ヒット。この曲はフォークのトーキングソングとロック・ビートとが融合し、
言語の多様化と60年代の社会革命が語られていると評価された。 

"孤独嬢"(Miss Lonely)の転落ストーリーを語ることで人々の心の救いを説く?この歌詞をどれ
ほど理解していたか?まったくの理解なしに共鳴したのはゆえだったと思いつつ、仲間とある
いはソロでフォークギターを奏でながら歌っていたあの頃を振り返える。

 

シベリアの謎のクレーター

$
0
0

   裏技に頼ると大きくなれない。
                  結局、正面突破していかないと本当に実力がつきません。


                                                         孫 正義 

 

● シベリヤに謎の巨大クレーター 

輸送用ヘリの操縦士が2014年6月、初めて見つけた。最寄りの拠点となる街から約4百キ
ロ離れ、トナカイ遊牧民がわずかに行き交う北極圏。地元政府の緊急要請でロシアの科学者が
調査を始めたが、穴は直径約37メートル、深さ約75メートルあったが、その後、同様の穴
の報告が相次ぎ、4個が確認された。この穴はどのようにして生まれたのか?(1)隕石の衝
突、(2)不発弾の爆発、(3)宇宙人の襲来、(4)気温が零下40℃まで下がる厳寒。地
中には永久凍土が数百メートルの厚さで広がり、メタンが多く含まれ、天然ガス田があること
から、永久凍土が溶け、メタンガスの圧力が地中で高まって爆発などの説がある。このなかで
(4)の説が有力視されている。ロシア科学アカデミー石油ガス調査研究所のワシリー・ボゴ
ヤブレンスキー教授は、異常に高い気温の影響を受けた可能性があると話し、このまま地球温
暖化が進み、凍土全体から、温室効果の高いメタンの大量放出が始まれば、さらに温暖化を加
速させかねないと恐れている(朝日新聞デジタル 2015.07.19)。

 


もし、温暖化によるメタン噴出説が正しいのなら、積極的平和主義の旗のもと貢献ユニットを
ロシアに派遣し、ガス田周辺に、(1)メタンスチームリホーミングプロセス、(2)水素貯
蔵プロセス、(3)水素燃料電池及び水素ガスタービン発電プロセス、(4)二酸化炭素回収
貯蔵プロセスを集合させシベリアエネルギー供給プラットフォームの建設に参画すれば、危機
的状態を回避できるだけでなく、世界に向け「再エネ水素社会実現」のジャパン・イニシアテ
ィブを広報できるまたとないチャンス。これに乗らない手はない。



 

 

● 日中食品汚染 14 中国の食品汚染地図  

【目次】

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか 

古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素し終え
たので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから課題を
掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく

 第3章 食品汚染のヒトへの影響

                                       「毒」という呼び方

  最近中国のマスコミを賑わせている事件のひとつに毒豆腐がある。腐敗寸前の牛の生血
 に豆腐の原料の大豆を浸すと豆が元気づくという。その大豆をすってねり状にし、豆腐を
 作るというものだ。豆腐が有害というのではなく、有害な製法や違法な製法で作られた豆
 腐のことを指して、毒豆腐というのである。毒餃子、毒米、毒もやし、毒生姜・・・・・・。食
 品汚染に「毒]をつける言い方は、中国で通常使われている用法だ。

  日本では、汚染といえば公害による川や海の汚染、大気汚染など環境用語として使う場
 合が一般的だ,また日本には毒キノコのように似たような言い方はあるが、植物学的な面
 から、人間が食べると神経麻蜂を起こすとか、悶絶しながら死ぬとか、そもそも毒性のあ
 る植物を指す場合に使うのが普通だ,
  本来なら安全でおいしく、健康増進に役立つはずの食品が、健康肢害につながってしま
 うのは悲しいことではないか。ここからは、食品汚染や遺i子組換え食品とヒトの健康と
 の関連性について述べたい,



                          氾濫する遺伝子組換え食品

  そもそも、遺伝子組換え食品は汚染食品の範鴫に入るのかと疑問を持つ人がいるかもし
 れない。本書の立場としては、雑菌、残留農薬、重金属、不衛生な物質が付着したものだ
 けでなく、農産物の生産、加工、保管、輸送、小売店陳列までの間、人体に悪影響があり
 そうなものすべてを汚染食品とみなしているため、遺伝子組換え食品もその範囲に含めて
 いる。

  日本の遺伝子組換え農作物の大部分は加工食品に使われている。だから、遺伝子組換え
 されたコメや小麦、大豆そのものを消費者が買って直接食べることはない。いや、ないは
 ずである。というのは確信が持てないからだ。主食用として売ってはならないはずの中国
 米やタイ米が不法に市場に流れ、大手スーパーでもおにぎりや弁当として売られていた事
 件が起きたことは記憶に新しい。この事件は、我われが知らないうちに遺伝子組換え食品
 を食べていることを疑わせるに十分だ。

  2010年の日本の遺伝子組換え作物の輸入量は1798万トン、年間のコメ生産量の
 倍以上になる。2006年の1488万トンからさらに増加した。このままいけば200
 0万トン、3000万トンと、際限なく増える可能性もある。また日本でも国内生産を目
 指した研究開発を行い、大豆、テンサイ、トウモロコシ、菜種、飼料作物のアルファルフ
 ァや綿花において国の安全性評価をパスしている。

  遺伝子組換え食品に関する中国政府の姿勢は、日本やアメリカ、EU委員会と同様に安
 全だというものだ,中国政府も遺伝子組換え農作物が農地の節約や農業コストの低下につ
 ながり、生産量の大幅な増加をもたらす点を宣伝している。「農業遺伝子組換え生物安全
 管理条例」など法的な規制もかけているので、国民は何ら心配することはないというな場
 をとっている。

  2012年、フランスの学者が遺伝子組換え飼料を2年間与え続けたモルモットにガン
 が生じたと報じたとき、EU委ほ会が「実験データ数や仮説実証過程が限られているので
 信用できない」と否定的な見解を示したことを援用し、中国政府もこれに同調した。
  だが、この報道は遺伝子組換え食品の危険性を論じた研究を、容認派がフクロ叩きにし
 たと読み取るべきである。
  日本でも同様に、容認派がこの実験を非科学的だと批判したことで注目された,しかし
 容認派は、遺伝子組換え食品批判派から出されている「安全性を実証せよ」という要求に
 は、まだ目をつむり通したままでいる。
  遺伝子組換え食品が安全だという科学的な実証をした例は皆無だが、それでも多くの国
 の政府は安全性を強調する点で一致している,これに反対する意見には、健康に対する被
 害、安全性が実証されていない未知の食品を摂ることへの心理的な抵抗などさまざまある。

                                 何が問題か?

  わたしの立場は、危険性があると訴える科学者がいる食品については、安全性が実証さ
 れない限り推奨することは差し控えるべきではないか、というものだ。いわゆる予防原則
 の立場だ。
  この点に深入りすることは控えるが、厚労省のパンフレットのいい加減さだけは指摘し
 ておかなければならない。
 「遺伝子組換え食品の安全性について」というパンフレットは絵や図を使って、いかにも
 解りやすい仕立てになっている。ここには、「食べ続けても大丈夫ですか?」という質問
 に、「さまざまなデータに基づき、組み込んだ遺伝子によって作られるタンパク質の安全
 性や組み込んだ遺伝子が間接的に作用し、有害物質などを作る可能性がないことが確認さ
 れていますので、食べ続けても問題はありません」などと記されている。

  まさしくこの点こそが遺伝子組換え食品が批判されている論点なのだが、それ以上の説
 明はなく、「信じなさい」といわんばかりの姿勢が漕み出ている。論語でいうところの、
 「由らしむべし知らしむべからず」、政府は国民を従わせればよく、その道理を理解させ
 る必要はない)といったところであろうか。
  未来に生じるかもしれない危険性を無視、あるいは軽視して急ぎ実用化に走った結果、
 多くの薬剤被害が起きてきた過去の経験を厚労省は忘れ去ったのか? この点、たとえば、
 IPS細胞の実験成功後、いっときも早い実用化の要請に対して、さらなる研究を積み重
 ねながら、安全性を優先する姿勢を崩さない山中伸弥教授とは対照的だ。2012年のノ
 ーベル医学生理学賞は、こうした姿勢に対しても贈られたものであるに違いない,

                                国家中心の研究

  現在、附界の遺伝子組換え農作物の作付面積は、安全性の確認作業を置き去りにしたま
 ま、既成事実化がどんどん先行し、1・7億ヘクタールに達している。これは、中国全土
 の耕地面積を大きく超え、日本の国土面積3800万ヘクタールの4・5倍にあたる。す
 でに大豆の81%、トウモロコシの35%、アブラナの30%が遺伝子組換えによっている。
  中国も遺伝子組換え農作物の研究に取り組んでおり、国立中国農業科学院、中国農業大
 学、上海交通大学、中国科学院などが拠点となっている。安全性をクリアしたピーマン、
 トマト、ジャガイモ、トウモロコシ、コメ、綿花が商業化について政府の許可を待ってい
 る段階だ。また小麦、サツマイモ、落花生、穀物全体については、商業化の許可申請の段
 階にぞっている。

  コメはまだ商業化されていないはずなのに、規制の網をくぐってすでに市場に出回って
 いる。2009年、南方の9つの地区の43銘柄を民間の第三者機関が検査したところ、湖
 北、湖南、福建、広東の各省、4自治区・市のコメ、および3自治区・市の米粉から遺伝
 子組換え成分が検出されたという。このほか、商業化されていないはずの農作物から同様
 に、遺伝子組換え成分が検出され、中国の農業関係者の問で大きな話題になった。
  遺伝子組換え農作物研究の中心、中国農業科学院生物技術研究所は、1986年の設立
 で、専門の研究者が100名以上在籍している。ここでは、あらゆる農作物の先端的な遺
 伝子組換え実験が行われている。

  中国には、院士という各界の研究分野のトッブクラスとして国が与える称号があるが、
 著名な院士61名が遺伝子組換え農作物の商業化を推奨する声明を出すなど、国を挙げた
 積極的な取り組みが行われている。もっとも中国の学会はすべて国家管理され、科学や真
 理も国家が認めなければ異端視されかねない土壌がある。
  国を挙げての研究のかたわら、中国では2004年から輸入も始まり、現在、主にアメ
 リカから大豆、トウモロコシ、アブラナの遺伝子組換え農作物を輸入している。これらの
 農作物の大部分は、食用油を始めとする加工食品の原材料にすることが目的だ。中でも大
 豆がもっとも多く利用され、大豆食品の70%は遺伝子組換え大豆を原材料としている。
 だが、大豆なら大豆の輸入量は分かるが、そのうち遺伝子組換えがどのくらいを占めるか
 は不明だ。

  遺伝子組換え農作物で作った加工食品も輸入している。
  たとえば太豆油、アブラナ油だ。ファストフードで販売される食品の大部分が遺伝子組
 換え農産物が原材料だろうということは、今や中国では常識だ。また家畜飼料も遺伝子組
 換え大豆やトウモロコシ、小麦等のふすまという公的な報道がある,
  政府が安全といってもそのまま鵜呑みにできないことは多くの国民も知っており、遺伝
 子組換え食品の危険性を訴える書籍もある,しかし、中には販売禁止処分になった例があ
 るなど、政府見解に反することへの当局の監視の目は厳しい。

 

「消える鼠、瀕死の豚」は遺伝子組み替え食用物が原因か?


  危険性を訴える新聞記事も散見される。たとえば、ある遺伝子組換えトウモロコシを飼
 料に使った山西省と吉林省では、ネズミが極端に減少し、繁殖用メス豚が流産を繰り返す
 という報道があった(「国際先駆導報」2010年9月21日付)。しかしこの事件は真
 相が解明されることなく、結局、「2010年10人科学デマ」のレッテルを貼られ、闇
 に葬り去られてしまった。中国でガンの死亡率が高いことについて、巷では遺伝子組換え
 食品が原因だとする噂が広範に広がっている。ただし、この点の疫学的検証はまだなされ
 ていない。

                  中国が遺伝子組換え食品に熱心なわけ

  ではなぜ、中国政府は遺伝子組換え食品を守り、普及しようとするのか?
  その答えは比較的単純で、農産物生産の危機があらゆる角度から迫っていることを自覚
 しているからだ。土壌は化学肥料や農薬のまきすぎ、その他さまざまな理由から破壊され、
 農業を継ぐ者も激減,水も枯渇し汚れている。しかし人口は今後も増え続けるから、農産
 物生産量を減らすことはできない。中国政府にとって遺伝子組換え食品は、そのための救
 世主なのだ。

  しかし、中国政府は遺伝子組換え食品の危険性を甘く見ていると思う。輸入管理ひとつ
 とっても、国内で許可していない種類の組換え大豆がアメリカから大量に輸入されている
 ことが判明するなど、輸出国から足元を見られている。それは、国内の遺伝子組換え食品
 の反対派を抑え込むなど露骨な擁護策をとりすぎたことで、輸出国側の節度や自制心を損
 なっているからではないだろうか。

  遺伝子組換え食品が品種改良食品と決定的に異なるのは、次の点につきる。遺伝子組換
 え食品は、原理的に、サルの遺伝子を人間の遺伝子と入れ替え、サルを人間のような生き
 物に変えることに等しい。これに対して品種改良とは、サルはサルのまま健康体力を豊か
 にすることだ。遺伝子組換え大豆は、大豆の形をした大豆ではない「大豆的な植物」と考
 えた方がよい。
  遺伝子組換え食品という文字を見たり聞いたりすると、わたしには、ほぼ未来永劫にわ
 たって日本人を恐怖の底に落としつづけるであろう、あの福島の原発の姿が思い浮かぶ。
  今のところ原発が人間の手に負えないものであるのと同じく、遺伝子組換え食品もひと
 りでに遺伝子を変化させつづけ、人間の手に負えなくなるという未来への疑念を捨てきれ
 ないのだ。自然の摂理を否定する物質が遺伝子組換え食品、たとえれば食品エイリアンだ
 とわたしには思えるのだ。


                                  


20世紀の物理学である原発の安全神話が崩れ、再生可能エネルギーの百パーセント社会が展
望できているのとは異なり、新世紀の生命科学である遺伝子組み換え食作用物のリスクと安全
保証はまったく手がつけられていない状況だとわたしも考える。デフレ社会が世界汚染する中
「安かろう、危なかろう」という産地不明、内容物不明、偽装した輸入食用物の氾濫が静かに
進行し、日本のみならず世界中の消費者をむしばんでいることを考えると、大変不気味である。
これについては、いつかまとめて債考察したいので残件扱とする。、

                                   この項つづく 

   

● 不死と寿命の相克

もはや分裂できなくなり完全分化した神経細胞や心臓の細胞は固有の寿命をもち、最後は、や
はりプログラムされた死を免れない。すべての細胞は、代謝の結果不可避的に生ずる活性酸素
により徐々に損傷していき、損傷が同値を超えたところで、プログラムの死であるアポトーシ
スのスイッチが入ると考えられるという。それじゃ、二倍体の細胞生物の染色体のテロメアを
自在に制御できれば「不死」が獲得できるではないかというチャレンジも生まれるが、いまの
ところ、わたしの世代で獲得できないようだ。優れた著書に接したひととき、充足した了解に
支配される。実に面白い。今後も、時宜をみて掲載していく。

 
 2nの染色体数をもつ二倍体の体細胞からなる多細胞生物の固体は死を免れないが、アメ
 ーバのような決して二倍体になることのない一倍体の原生生物やバクテリア(原核生物)
 の個体細胞は、無限に分裂する能力をもっている、原則として死すべき運命にはない。多
 細胞生物のすべての個体が死ぬことができるのは、生命の連続性を生殖細胞系列にまかせ
 ることができたからである。この意味で、体細胞と生殖細胞の区別が生じ、それに伴い有
 性生殖が生じたことと、体細胞が死すぺき運命になったことは起源を同じくする。

 体細胞が自発的に死ぬ能力を獲得したことにより、多細胞生物の個体は複雑な形態とシス
 テムを開発することができた。この能力はアポトーシスと呼ばれる。アポトーシスは遺伝
 的なプログラム死のことである。アポトーシスは不必要な細胞を計測的に殺して形態形成
 を遂行するとともに、がん細胞や自己と反応するT細胞を殺してシステムを維持する。

 しかし、この能力は個体の死を不可避にもたらすものでもある。多細胞生物の個体はどう
 しても免れない寿命をもつ。分裂する体細胞はヘイフリック限界と呼ばれる分裂回数まで
 くるとそれ以上分裂できずに死んでしまう。染色体の末端にはテロメアと呼ばれる構造か
 あり、分裂のたぴに少しずつ短くなり、テロメアがなくなったところで、アポトーシスに
 より死ぬらしい。ヘイフリック限界は種によってほぽ一定しており、寿命の長い種では高
 く、寿命の短い種では低い。

 もはや分裂できなくなり完全分化した神経細胞や心臓の細胞は固有の寿命をもち、最後は
 やはりプログラムされた死を免れない。すべての細胞は、代謝の結果不可避的に生ずる活
 性酸素により徐々に損傷していき、損傷が同値を超えたところで、アポトーシスのスイッ
 チが入ると考えられる。老化と寿命は酸素呼吸をする多維胞生物固体の宿命なのであろう。

                       池田清彦 著『新しい生物学の教科書』
 

 

 

最新太陽電池技術

$
0
0

 

 

 

 若いうちの苦労は買ってでもしろといいますが、無理
        難題を体験すればするほど底力がついてくる。
                            
                                                    孫 正義 

 

 

【最新太陽電池情報: PERC型で世界記録 21.7%】

モノシリコン(単層結晶シリコン)系はn型からp型にシフトする中、ドイツのソーラーワー
ルド社は、PERC型(裏面不動態化放電セル:Passivated Emitter and Reare Cell)で世界最高変換
効率を記録したと発表(上図/上をダブルクリック)。この太陽電池はセル裏面のシリコンと
アルミニウム電極界面で起こる再結合によるエネルギー損失を不動態膜を形成することで低減
している。一般的には、この不動態膜はプラズマ科学気相法(RECVD)や原子層堆積法(ALD
法が採用されている。同社は今年後半の300ワットのソーラーモジュールを出荷すると話す。

このように、単層結晶シリコン系の変換効率はモジュールレベルでも25%到達前夜ににあり、
時代は太陽道を渡る Ⅲ』で紹介したように、今世紀半ばに25%超時代が到来すれば、太陽光発電
の占める割合は40%→55%超、1キロワットアワー3セント以下(円換算では約4円)が現実し、同時
に省エネ、デジタル革命の進展で、エネルギー社会主義社会段階に突入しているかもしれない(従っ
て、原油価格も下洛する)。


※ Maximizing cell performance How REC’s use of Passivated Emitter Rear Cell technology improv-
   es the capture of light and optimizes cell REC ,
2014.09.18

  

 

 

 

 

● 水道水の水圧で動かす追尾型太陽光パネル架台

上図のような、水圧で動くシリンダ20の動きに合わせて軸回りに回転する第1軸部材30と、
第1軸部材の回転に合わせ、軸回りに回転する第2軸部材38で、第2軸部材38の軸方向に
交差して側方へ延出する支持部材46と、これの端部に取り付けた太陽光パネル48で構成さ
れ、太陽光パネル48は、46に固定した第1枠部材50と、50に重ね南側に位置する側縁
部にヒンジ部材52を介し取り付け、50に対し、上方に開閉可能な第2枠部材54を構成し、
50に南北方向に沿い、水平に取り付けた、第2軸部材38の軸方向の回転に合わせ、軸回り
に回転する第3軸部材58で構成。58には、その軸方向に交差して側方へ延出する傾斜支持
部64を構成することで、安価な水道水の水圧を使用し、太陽光パネルを太陽の一日の移動に
合わせて2方向に制御できる太陽光パネル架台が提案されている。

※ 強風対策などの気象変化にどれほど安全係数を見積もるかは不詳だが、面白い新規考案だ。

 

 

静岡県西伊豆町で動物よけの電気柵付近で7人が感電し、うち2人が死亡した事故で、川遊び
をしていた男児が左手に大やけどを負い指を断裂する重傷を負ったという。県警は、男児が電
気柵に接触した際に電線の一部が断線して川につかり、助けに向かった人々が次々に感電した
とみて調べている。また、電気柵の電源が、近くにある農機具小屋の家庭用コンセント(電圧
100ボルト)だったことも判明。ぬれると皮膚の電気抵抗が大幅に下がるため、電気保安協
会の関係者によると、100ボルトの電気に接した場合は、ショック死する可能性があるとい
う。電気柵はアジサイの花壇を鹿から守るために近隣の男性が設置。静岡県によると、30ボ
ルト以上の電源を使用する電気柵を人が簡単に立ち入る場所に設ける場合は漏電遮断器を設置
するよう義務付けられているという(産経新聞 2015.07.21)。

感電は数ミリアンペアの電流でも身体の中心部を流れると死亡する、最近は、このような、鹿、
猪、猿などの野生動物が田畑に侵入しようとして、裸電線に触れると衝撃電流を野生動物に与
える電気柵が通信販売で簡単に手に入るというから、漏電対策などの不備があれば、起こりうる事
故で、法的整備の見直し点検が必要だと思われる。そこで、漏電遮断装置(器)の技術レベル
がどのようなものか調べてみた(下記参照)。

 

漏電遮断器には、(1)回路遮断器の内部に漏電検出機能を追加したものと、(2)漏電検出
機能を外部に分離させ、回路遮断器と接続したものとがあり、(1)は外部引外し式の漏電遮
断器と呼ばれ、(2)は漏電検出引外しユニットと呼ばれる。また、回路遮断器は、(1)一
端側に電源端子部が、(2)他端側に負荷端子部があり、両端子部間に、(3)接点部と、引
外し機構部と、接点部のオン・オフを行うハンドル機構部とで構成されるか、接点部が引外し
機構部で引外された際に発生するアークを消弧するグリッド部で構成される。

一方、漏電検出引外しユニットは(1)漏電検出回路、(2)電路となる主回路バー、(3)
漏電検出信号により回路遮断器の引外し機構部に働きかける引外し駆動部を備えている。さら
に、漏電の検出には零層変流器(Zero phase Current Transformer)が使用され、このZCTに主
回路バーが通さ、例えば3相4線の場合、ZCTに4本の主回路バーが通される。通電時には、
ZCTを通過する往路と復路の電流の差分が検出する。(1)漏電が生じていない場合、差分
がゼロ、(2)漏電が生じた場合、往路と復路の電流に差分が発生し、差分を増幅して電路を
遮断する。主回路バーが電線の代替となって、バーの一端側が回路遮断器の接続端子部に端子
ねじで固定され、他端側が端子板を介して漏電検出引外しユニットの負荷端子部に端子ねじで
固定される。

ところで、(2)の外部引外し式の漏電遮断器は、通電時の回路遮断器接続端子部の温度上昇
より、回路遮断器の接続端子部付近のカバーの温度上昇が大きくなる傾向にある(この対策に
下図のような筐体に通気口を付加したものがある)。



さて、下図に示すような順序で動作する従来の漏電遮断器は、零相変流器(Zero-phase-sequence
Current Transformer; ZCT)により漏電信号が検出されると、検出された漏電信号は増幅器により
増幅されるが、増幅された漏電信号はレベル判別器により所定の基準電圧と比較され、漏電信
号が基準電圧より大きい場合、トリップ信号発生器でトリップ制御信号をトリップ機構に送り、
開閉機構がトリップ位置(=自動回路遮断位置)へ作動→電気回路を遮断→人体を保護する。

しかし、従来の漏電遮断器では、ノイズや歪みのない線形負荷が接続される回路は誤動作が発
生しないが、交流電源を使用する電子及び電気機器は、交流(AC)自体を使用するのではな
く、交流(AC)を直流(DC)に変換して使用し、効率向上のためにスイッチング素子を用
いているが、スイッチング作用でノイズが発生し交流信号を歪める――つまり、スイッチング
ノイズと信号歪みの高調波成分が、漏電信号の発生しなくても交流信号に相間不平衡(unbala-
ncing among phases)を発生させるので、漏電信号と同様に零相変流器により検出され、レベルの
み比較される従来技術では、基準電圧より大きいノイズや高調波成分によりトリップし、電気
回路を自動遮断する誤動の原因となることがある。



この対策として、(1)回路トリップ(遮断)するための電磁力を発生できるトリップコイル
(2)回路で漏電信号を検出する検出、(3)漏電信号に追従して判別信号を生成する信号生
成部、(4)判別信号と基準信号とを比較し、(5)漏電信号にノイズが含まれているか否か
を決定し、(6)トリップコイルの動作を制御する機能を構成することで誤動作を防止する新
規考案が提案されている(上図参照)。

※ 特開2014-183755  電気柵用の通電線 森本 重男 他

 



● 福井、京都、滋賀をぐるっと周回高速道路

琵琶湖一周にさらに、敦賀・綾部・大山崎を結ぶ琵琶湖外周高速道路、3百キロ(時速60キロメートル
にすると約5時間)が、これは、京都府にを南北貫く京都縦貫自動車道が18日午後2時に全線開通し
たことによる。これにあわせて、周遊観光の強化を狙い福井県と京都府、滋賀県と高速道路会社など
でつくる「京都・若狭・琵琶湖周回高速道路の活用協議会」は同日から、周回高速道路の定額乗り放題
キャンペーンを始めている。乗り放題キャンペーンは昨年に続き実施。自動料金収受システム(ETC)
搭載車に限り連続する3日間、周回区間の料金が普通車5900円、軽自動車は4900円で乗り放題
となるという。

さて、わたし(たち)は実はその次を構想していた。それは、「多賀-伊勢縦貫高速道路」。これで日本
海-太平洋が結ばれると言うわけだが、さらに、敦賀起点として敦賀-米原-大阪(梅田)、、敦賀-
米原-名古屋の新幹線延長を構想し、すでに双方ともブログ掲載済みである。

 

危険な時代を生きる。

$
0
0




 

 

  同志と共有出来た時に何倍も嬉しい。    /    孫 正義

 

 

 

【危険な時代を生きる: 第6回 変革の嵐】

たまたま、目を覚まし、テレビスイッチを入れると、「危険な時代に生きる」(NHK BS
ドキュメンタリー)が映し出されたが、概要はこうだ――風力や太陽光など、再生可能エネル
ギーの取材を進める女優のアメリカ・フェレーラは、地球温暖化を否定するあるシンクタンク
が、再生可能エネルギーの利用を促進する法案が可決されないよう、各地の州議会を回って働
きかけていることを知る。ジャーナリストのマーク・ビットマンは、二酸化炭素の排出が少な
いと期待を集めるシェールガスの採掘現場で、二酸化炭素の数80倍の温室効果があるとされ
るメタンが漏れ出していることを突き止める――という筋っだったが、シェールガス採掘中に
排出されるメタンガスの割合は元環境保護庁役人の推定値1.5%であったが、採掘州周辺の
ガス濃度は、環境保護NPO団体の測定は、予測最高値7.9%を超えていた。また、再生可
能エネルギー促進を阻止しようとする地下化石燃料採する大資本家支援をうけた、<地球温暖
化幸福派>の代理弁護士とのインタビューシーン は、<環境リスク本位制>時代の1つの抗争シ
ーンとして、いかにも米国的で面白かった。




【シャープ: ヘテロ接合バックコンタクト型(HBC)ソーラー量産化へ】

シャープは2016年度にも高効率の住宅向け新型太陽電池を投入する。新型は開発段階セルで光
電変換効率25・1%を達成し、量産に向けて開発人員の集中投下を始めた。生産には堺工場(堺市
堺区)の薄膜太陽電池生産ラインを使い、低迷する稼働率改善に役立てる。設備投資はライン改良が
中心のため少額で済む見込み。新型は単結晶シリコン表面にアモルファスシリコン(a―Si)
膜を形成し電圧を高めるヘテロ接合と、電極をセル裏面に作り受光面積を広げて電流を大きく
するバックコンタクト技術を組み合わせた。いずれも新しい技術ではなく、他社も製品化して
いるが、両方を組み合わせた製品化はシャープが初めてだが、住宅用に乗り出すのであれば、
住宅(注文・高級住宅を含む)設計・建設・保全(スマートグリッド・デジタル家電・ホーム
セキュリティを含む)・リサイクルを含めた、強力なジョイント・ビジネス(「未来共有愛」?
)を立ち上げる世界展開する覚悟が必要であろう。頑張ろう!スマートジャパン。 

 

 




【太陽光型植物工場: 年間19回の収穫可能】

オリックスと本多園芸は、このほど農業法人であるオリックス八ヶ岳農園を共同設立し、長野
県諏訪郡富士見町で水耕栽培事業を開始すると発表。太陽光利用型の栽培施設を建設し、15
年8月よりサラダほうれん草やルッコラなどの生食用葉物野菜の生産を開始する。栽培施設内
で行う水耕栽培により野菜の育成期間の短縮できるため、1年を通じて「4定(定価格、定品
質、定時期、定量)販売」が行えるメリットがあるという。年間19回の収穫が可能で、合計
約480トンの出荷を計画。生産した野菜はオリックスグループの営業ネットワークを利用し
首都圏や中部圏の小売業および飲食業に向けて販売する。

今回共同で事業を行う本多園芸は、長野県で約30年にわたって野菜の生産を手掛けてきた農業
生産法人だ。サラダほうれん草などの葉物野菜の生産が中心で、首都圏および中京圏の百貨店
や高級スーパーなどに販売しているが、昨年2月の豪雪でビニールハウスなどが倒壊している。
<環境リスク本位制>時代に入っているにも関わらず、日本の政体は対応は無策状態に等しいこ
とを、このブログで指摘してきたことだが、(1)人為的温暖化対策と同時に、(2)異常気
象に対応できる農業ハウス(工場)への支援ファイナンスの法整備は安全保障の喫緊の課題で
ある。




【百パーセント電磁トラック時代: BMWが施設間輸送で配備】

40トン規模の百%電気トラックを、商用サービスとして配備し公道を走らせることは、欧州
では初の取り組み。電気トラックは、オランダのTERBERG製で、15年7月6日に試験走行を
完了、7日から通常運用に入った。SCHERMグループの物流センターとミュンヘンのBMWグ
ループの工場との間で1日8回の運行を行い、ショックアブソーバーや、スプリング、ステア
リングシステムなどの車両部品を輸送する。電気トラックは百%再生可能エネルギー源からの
電力で充電を行う。完全二酸化炭素フリーであり(トラック製造過程の二酸化炭素を除く)、
排気ガスによる微粒子による汚染や騒音問題などを抑えることができる。ディーゼルエンジン
のトラックに比べて、年間の二酸化炭素排出量を11.8トン抑えられるとしている。バッテリ
ーの充電は3~4時間の時間が必要で、フル充電した場合、車両は最大百キロメートルの移動
が可能。現在の運行状況の場合であれば、理論的には追加の再充電の必要なく1日の業務を遂
行できる。

これで総走行距離が延びると、二酸化炭素排出量は逓減するだけでなく、タイヤ摩擦による粉
塵発生を除く、排気ガスによるPM(微粒子)がゼロとなる。


※ BMW Terberg Electric Truck :https://youtu.be/eAtmvS7qlq8



 

 ● 今夜の一枚

【ひこにゃん: 米国でも人気】

米国はロードアイランド州ニューポート市へ海外出張した彦根市の人気キャラクター「ひこに
ゃん」。行事では、朱色で彩られた彦根藩井伊家の甲冑の着付け体験をする市職員をお手伝い。
持ち前のゆるいしぐさで大勢の人を喜ばせ、幅広い年代の来場者から写真撮影されるなど、米
国でも人気ぶりは健在だったという。

 


エネルギー・ハーベスティングドローン

$
0
0

 

 

 

   同志と共有出来た時に何倍も嬉しい。   /    孫 正義

 

 

 

【進化するドローン: マイクロ波電力伝送装置を搭載】

京都大学生存圏研究所は、ワイヤレス電力伝送実用化コンソーシアム(WiPoT)などと共
同で研究を進める、マイクロ波による電力伝送装置を搭載した飛行ロボット(ドローン)のデ
モンストレーション飛行を実施した。コードを介さずに、どこでも各種デバイスへ電力供給が
できる、無線電力社会の実現を目指す研究の一環として披露。

ドローンには、(1)蓄電池、(2)マイクロ波発生装置、(3)送電機、(4)マイクロ波
受信機、(5)アンテナ・整流・共振器を搭載し、湿度と温度の計測用とし地上に設置したセ
ンサの4メートル上空を飛行し、マイクロ波で送電。電力を得たセンサから湿度と温度のデー
タを受信し、基地局へ情報を中継する。京大生存圏研究所の篠原真毅教授は、火山の観測現場
での実用化を想定し、「太陽電池で動くセンサが火山灰に埋まり起動できない問題を、ワイヤ
レス給電で解決できる」という。

そういう手もあったのかというのが感想。つまり、原理的には半永久的に、無人飛行体が強靭
であれば地上基地あるいは海上基地から電力と信号が送受信できというわけだ。エネルギー・
ハーベスティングドローンというエネルギーと通信の融合であり、また、デジタルアース工学
の1つの機能技術となる。


※ 関連新規考案

(2)特開2005-117451 マイクロ波発生装置 国立大学法人京都大学


(3)特開2005-176214  マイクロ波送電装置 株式会社アイ・エイチ・アイ・エアロスペース

 

(4)特開2004-215477  マイクロ波送電装置、マイクロ波受電装置及びマイクロ波送電法 株式
  会社タキオン

 (5)特開2014-209816  レクテナ装置及び受電整流方法 日本電信電話株式会社 他

 

 

【医食同源辞典: キヌア】 

体調が優れないと彼女がいうので、直接医療行為できないし、肩を揉むぐらいなのだが、これ
はジャスト・イン・タイムでなければ意味がない、つまり、間に合わない、気が利かない、め
んどくさい、と言うことで医食同源しかないと考えていたら、「キヌア」という文字が飛び込
んでくる。キヌアとは、アカザやホウレンソウは近縁で、南米アンデス山脈の高地アルティプ
ラーノにおいて数千年前より食用に栽培されている擬似穀物。モロコシ、キビ(黍)、アワ、
(粟)、ヒエ(稗)などと同様に雑穀に分類される。雑穀の中では一番生産量が少なく、11
年の年間生産量は約8万トンで、世界百ヶ国以上で生産されているモロコシの5420万トン
の約700分の1。生産国もペルー、ボリビア周辺に限られているが、日本でも栽培されるよ
うになってきている。

キヌアの魅力は、その栄養価の高さ。キヌアは通常の精白米と比べ少ない炭水化物(糖質)で
同等のエネルギーに対して、2倍のタンパク質、5倍の良質な脂質、8倍の食物繊維、6倍の
カリウム、10倍のカルシウム、7倍のマグネシウム、7倍のリン、8倍の鉄、を含んでいる
ことである。また、体内で合成できず栄養分として摂取しなければならない必須アミノ酸のバ
ランス(アミノ酸スコア85)も牛乳に匹敵するほどである。

また低いグリセリンインデックス値をもつ複合糖質で、低GI値である食材。単品でいきなり
痩せるわけではないが、他の健康的な食材と組み合わせれば健全なダイエットに貢献する。
93年のNASAの専門誌は、「1つの食材が、人間にとって必要な全ての栄養素を提供する
ことは不可能だが、キヌアは植物界、動物界において何よりもそれに近いものである」と。さ
らに、フィトエストロゲンのほか、中年以降の女性に多い骨粗しょう症を防止する上で重要な
カルシウムを多量に含む。淡白な味わいと特徴的な食感、レパートリーの無限なレシピ、類ま
れな栄養バランスという点で女性にとって頼もしい味方である。

 

 

 ● 今夜のアラカルト

【 キノコとエンドウ豆のキノアローフ】

材 料: エキストラバージンオリーブオイル 大さじ1/スライスマッシュルーム、8オンス/
塩 小さじ1/2/黒胡椒 1/2小さじ/エンドウ豆 15オンス/カラス麦 3/4カップ/キノア カ
ップ2杯/冷凍グリーンピース 1カップ/新鮮なタイムのみじん切り 1/2カップ/、新鮮な微
塵切りパセリ 茶さじ1杯/オイル漬け乾燥トマト 10個/刻み玉ねぎ 1カップ/刻み赤玉ね
ぎ 1カップ

つくり方:350°Fのオーブンを予熱→軽く油を引いた20センチチフライパンを脇に置いておく
→中強火でフライパンに茶さじ1杯の油をさし加熱→塩・胡椒し、6~8分キノコがきつね色
になるまでかき混ぜながら加熱→ボールに入れ準備しておいたキノコ、豆の混合物、キノア、
エンドウ豆、パセリ、トマト、玉ねぎ、塩、コショウをローフパンに移し入れる→中段で60
~75分間しっかりとキツネ色になるまで焼き上げる→10分間放冷し食べ分ける。

キヌアのレシピも数百種ほど掲載されているが、ローフパンで焼き固めるの良いのではと考え
たが、今夜はここまでにしおき残件扱い。

 

 

 ● 今夜の一品

 【弁当箱型スピーカー】

 弁当が、”Bento”とそのまま英語に転用できる昨今だが、弁当箱のように見えるワイヤレスス
ピーカー「Bento」。スマホを置くだけで、360度に音を響かせてくれる、とても使いやすい。1
86×127×65ミリのコンパクトなサイズで、ポータブル。面白いね。それじゃ、買うの
かって?優先度は落ちるね。                                  

 

飛翔するマツコロイド

$
0
0

 

 

 

   どこから来たの? 遠くから悪いわね。   /    マツコロボ

 




【進撃のヘーリオスⅢ: 「太陽光+蓄電池」北米市場が急成長】

そういう手もあったのかというのが感想。つまり、原理的には半永久的に、無人飛行体が強靭
太陽光発電関連で北米最大規模の総合イベント「Intersolar North America(北米インターソーラ
ー)」(15年7月13~16日)が米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催された。カリフォ
ルニア州は、20年までに再生可能エネルギーによる電力販売比率を33%、ハワイ州は45年ま
で再エネ百%の目標を掲げており、さらなる太陽光発電を含む再エネ導入を拡大に、蓄電池に
解決策を見つけた。カリフォルニア州は民間電力会社3社に、20年までに合計1,325メガワット
のエネルギー貯蔵用蓄電池の設置を義務付ける。州政府が電力会社に対して、蓄電池の設置を
義務付ける法律制定のは米国初である。

米国は、「ネットメータリング(net-metering)」と呼ばれる制度が、今まで分散型太陽光発電
システムの成長を支えてきたが、各州の電力会社がその制度を変更、または廃止しようとして
いる。ネットメータリングは、住宅用などの分散型太陽光発電システムの発電量から、住宅な
どの電力消費量を差し引いて、余剰電力量を次の月に繰り越す制度で、各州により制度細部が
異なるものの、基本的には1キロワットアワーの発電量に対し1キロワットアワーの消費量を
相殺。つまり発電量が消費量を上回った場合には、電力消費者の電力購入単価と同じ価格で、
電力会社が買い取る、日本の余剰買い取り制度に似たもの。



しかし、太陽光発電の普及拡大に伴い、電力会社は買取価格を小売価格以下、または卸売価格
と同等に下げようとし、太陽光発電システムの系統連系接続の手続きが必要以上に長くかかる
電力会社も出てくるなど、太陽光発電の普及を脅かす。買取制度が廃止された場合、余剰電力
をただで電力会社に渡すことになる。この対抗として、今まで高くて手を出せなかった蓄電池
への関心が盛り上がっている。いまでは蓄電池価格低下で、手頃になり――Tesla社の10キロ
ワットアワーのパワーウォールの卸価格は3千5百米ドル、設置を含め約7千米ドル(約87
万円)――太陽光発電からの余剰電力を蓄電池に貯め、電力網に流さず、夜間に自家消費に当
てるという、真の自産自消モデルが可能となる。
April 30, 2015

GTM社調査によると、リチウムイオン蓄電池の価格は10年より毎年平均23%下がっている
という、20年までには価格が250~300米ドル(約3万4千円)/キロワットアワーまで引
き下がると予測している。15年の蓄電池を伴った太陽光発電市場(設置規模)は22メガワッ
ト、さらに20年には769メガワットに成長と予測する。20年の「太陽光発電プラス蓄電池市
場」の売り上げ規模は31億米ドル(約3千8億円)と見積もる。今後、「太陽光発電と蓄電
池」のコンビがエネルギー産業に革命を引き起こすか、注目されると報告している。

過当競争で消耗戦となるため、「エネルギ地産地消の精神」の下、過当競争を抑制し、価格逓
減・装置普及の指針を政府は開示しつつ推進することが上策だとわたし(たち)は考える。

 

【農産物の地産地消: 世界最大規模の人工型植物工場稼働】 

東洋紡エンジニアリングは22日、静岡県富士市に設置したオール発光ダイオード光源の
人工光型植物工場が順調に稼働していることを発表。同社が強みとする空調、電気シス
テム制御などエンジニアリング技術を駆使して、世界最大規模の人工光型植物工場を完
成。この実績を生かして今後の受注拡大を目指す。同工場はイノベタス(静岡県富士市)
から受注し、東洋紡エンジニアリングが設計施工を担当。工場の延べ床面積は約1852
平方メートルで、レタスなど葉物野菜で日産1万2420株を生産できる。将来、さらに生産
能力を増強し、日産3万株規模へ拡大する計画。

 


 

 

 

 

● 日中食品汚染 15 中国の食品汚染地図  

【目次】

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染地図
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか 

古在豊樹 監修「図解でよくわかる「植物工場のきほん」 から汲み上げた新しい農法の骨格を素し終え
たので、そのことを踏まえ、今夜からはこの著書から食の汚染の実態を学び、そこから課題を
掬い取り「食の安全」を担保する方法を考察していく

 第3章 食品汚染のヒトへの影響

                            少子化よりも心配なこと

  少子高齢化が進む中国。この問題にかけては今や世界一の日本を追い越す日もそう遠く
 はないだろう。「一人っ子政策」は、ようやく2013年秋の第18明..一中全会で緩和
 されることが決まったが、中国では子供の数が減ったこと以上に無撹できない問題が起き
 ている,
  奇形児誕生率増加の長明的な傾向が・比まず、そればかりか最近は急上昇しているから
 だ。中国の医療専門家たちは、メディア(たとえば「中国孕育網」2006年7月18日付、
 「人民網]2013年11月19日付など)を通じて、カピ汚染食品、DDT、BHCな
 どの有機塩素系農薬、カドミウム、ヒ素や水銀など重金属が母体に蓄積されることが大き
 な原因であると指摘している。

  そもそも、中国国内でこの問題についての認識が深まり始めたのは、それほど昧日のこ
 とではない。中国で最初の奇形児専門の医療機関として、北京医科大学が奇形児観測セン
 ターを設けたのが1984年。その2年後からようやく8つの省や市で専門的な観測と研
 究を行う組織が発足した,国として着手したのはさらに遅く、88年、旧衛生部が華西医
 科大学に中国奇形児観測センターを設置し、全国の県と市以上の産科医院を対象に調査を
 開始した。
 「中国奇形児防治報告」(2012年)によれば、2011年の奇形児出産率は約5・6
 Sという数字が明らかになっている,中国では毎年1600万人の子供が生まれるので、
 そのうち90万人が奇形児ということになる。この資料からは2000年からわずか10
 年の問に、約40%も増加していることが推測される。誕生した奇形児のうち、25万人
 は外見から判断できるという。

  奇形児は嬰児死亡原因の19・1%を占めており、これらの現実を前に中国国内でも、
 第二の殺人というような厳しい報道が目立っている。WHOの統計によれば、奇形児出産
 率は国の経済状況との関連が強く、先進国平均4・7%と比較すると、5・6%という中
 国の比率は非常に高い。省・自治区などの地域により奇形児出産率は異なり、高いところ
 では10%、低いところでは5%程度と差が大きいことも特徴である。
  症例で多いものは、順に先天性心臓症、口唇裂症、脳積水症、先天性内反尖足症、尿道
 下裂症、先天性合指症、神経管欠陥症、肢体短縮症、小耳症、多指症となっている(20
 11年の場合)。しかし1996年の順位はこれとは異なっていて、表6のように、口唇
 裂症、神経管欠陥症、多指症、脳積水症が上位にきている。

                                                        先天性障害と食品汚染
 
  では、日本の場へ目はどうだろうか。横浜市立大学国際先天異常モニタリングセンター
 と日本産婦人科医会の資料(「日産婦誌」59巻9号)によると、日本の先天性障害発生は
 1972年0・7%、1990年1・0%、2000年1・4%、2006年1・8%と、
 増加傾向にある,この資料によれば、中国と同じく心臓疾患がもっとも多い。人数として
 は、日本は中国の4分の1程度だが、データ収集の方法の違いなどがあるため、単純な比
 較は慎まなければならない。
  先天性障害が発生する理由について、前出の中国資料は多くを指摘しているが、食品要
 因として農薬と食品添加物を挙げていることには、やはり注目しなければならない。
  日本の先天性障害発生率が上昇傾向にあることと食品汚染問題の因果関係について、い
 い加減なことはいえないが、かといってまったく無関係かといえば否定できるものでもな
 いだろう。汚染された中国食品や農薬使用量とその危険性、そして食品添加物の腫煩と消
 費吼は増加しており、これに日本人の多くが関係しているとすれば、新しい生命の誕生の
 ためにも、消費者全体に注意を促さなければならない。

  先天性障害の発生率が上昇していることは、両国共通の現象だ。ならばと、わたしは、
 両国で共通している因子を探してみることにした。
  中国で発行されている専門誌や研究論文を確かめると、両親からの遺伝要因などに次い
 で、農薬、食品添加物、重金属を因子として指摘するもの(「山西省における奇形児要因
 の流行学的研究」「弾性ネットワーク探査に肌づく先天性欠損の多次元地理的要因分析」
 など)がかなりあり、より仔細な状況報告をする報道も多数みることができる。中国では
 奇形児出産率の上野とともに、各地の状況報告や原因を研究する医学系、社会系の研究文
 献が非常に多く書かれている。
 
  日本の専門家が指摘している因子には風疹、ヘルペス、パルボ、サイトメガロウイルス、ト
 キソプラズマ、梅毒、母体糖尿病、アルコール中毒、葉酸欠乏、サリドマイド、抗神経薬、
 抗てんかん薬、抗ガン剤、抗凝固剤、DES、ACE阻害剤、メチル水銀、ダイオキシン、
 有機溶媒、農薬、酒、タバコ、ビタミンA、食品添加物、携帯電話電磁波、遺伝子異常な
 どがある(前掲「日産婦誌」)。聞きなれないものがあるので調べてみたところ、パルボ、
 サイトメガロウイルス、流産防止剤のDES、ACE阻害剤は食品との関連性はなかった。
 ビタミンAは通常の野菜や魚介類から摂取している限り問題はなく、ビタミン剤の取りす
 ぎが問題になるのみであった。トキソプラズマには無視できないところもあるが、妊婦が
 生肉や生ハムを食べるときにだけ要注意なので、さほど問題にならない。
  もちろん風疹、ヘルペスなどは食品とは無関係なものである。
  問題は重金属のメチル水銀、農薬、食品添加物であり、実はこれらが両国に共して増加
 する傾向がある因子である。これら3つの因子が食品汚染と深い関連があるといえる。因
 果関係を数字ではっきり示すことができないのは、まことに不十分だが、もはやこの先を
 詳しく話す必要はないと思われる。


                               「癌症村」の報告
  「
  中国人の死因トップは、日本人と同じくガンだ。2011年の政府統計によると、部位
 別の第1位は肺ガンで、以下、肝ガン、胃ガン、食道ガンと続く。都市住民のうちガンで
 死亡する数は人口10万人当たり165人、同じく男性204人、女性124人。199
 0年と比較するとその増え方は驚くほどだ。1990年は128人、男性155人、女性
 99人だったからだ。
  中国の人びとはいつ自分がガンにかかるかと不安がっているが、これは大げさなことで
 はない。ガンの羅患率は都市住民と農村住民を合わせると10万人当たり286人,その
 うち63%に当たる180人が死亡する。
  日本人の場合、一番新しい2008年のデータによると、ガンの罹患率は人口10万人
 当たり587人、うち死亡率は272人と46%に当たるため、罹患串は高いが、半数以
 上は生き残っている。中国の死亡率が高いのは、受診率が低いこと、医療施設や医師の不
 足、医師にかからずに死亡してしまうことなどが背景にある。

  中国には、「癌症村」という人びとを震憾させることばがある。これは2009年に、
 湖北省武漢巾にある華中師範大学のひとりの女子学生孫月飛が、卒業論文として書き上げ
 た「中国癌症村の地理的分布研究」による『、この論文は、いかに農村にガンが蔓延して
 いるかを中国全上に知らしめた。目本では考えられないことだが、中国ではひとりの大学
 生の卒論が社会を動かすことがある。彼女は北京上海、天津を含む27省の247村ごとの
 ガン罹患者数を新聞・雑誌、マスコミのウェブサイトから探し当て、原因の分析とともに
 論述したのだった。

 

  原因は、環境汚染、工業汚染、農業汚染、生活廃品汚染にあるとし、農業汚染について
 は これら汚染の半分から3分の1以上を占めると報告。とくに化学肥料、農薬、家禽等
 の排泄物汚染などによる水、土壌の汚染が増えていることが、ガンの増加と深い関連があ
 ると指摘した。
  この論文は各方面から賞賛され、その後、「癌症村」ということばが中国社会で定着し、
 2013年8月には『「癌症村」調査』と銘打つ専門肘も刊行されるなど、社会に大きな
 影響を与えた。

  もっとも「癌症村」という表現そのものは2001年に「中国鉱業報」が広東省のある
 村のガン多発状況を報告したことが最初で、その後2010年まで「環境保護」を始めと
 する雑誌などに112本の関連論文が発表された,しかし孫月飛の卒業論文ほどに注目さ
 れることはなかった。
  ガンの発生の原因をひとつに特定することは難しいが、1970年代から中国医学科学
 院と河南、河北、山西の3つの省が共同で、181県総人ロ5000万人の地区を対象と
 して食道ガン疫学調査を行ったことがある,その結果、食道ガンと白菜漬との問に有意の
 関連があることが突き止められた。

  白菜の漬物自体に問題があるのではなく、そこからN-亜硝酸(発ガン性のあるニトロ
 ソ化ハロ物)が検出され、食道ガンにかかった人のほとんどが晦日、その白菜漬を食べて
 いたことが判明したのだ。これだけでは関連の有意性を主張するには無理があるが、同時
 に調べたほとんど白菜漬を食べない人の食道ガン発生率は低かったことから、両者の関係
 がほぼ証明されたというものである。この例は中国の学界では広く共有されている。N-
 亜硝酸は、殺線虫剤などの農薬や食品添加物用の化合物でもあり、日本でも危険な化合物
 のひとつとしてリストアッブされている。

  『「癌症村」調査』によると、人口3300人あまりの広東省の村では、1986~2
 005年までの20年間に214人がガンで死んだという。これを人口10万人当たりに換
 算すると3‐5人と中国では最多クラスになる。この論文では、農民が飲む飲用水と栽培
 した穀物に含まれる重金属に原因があるという判断を下している。
  ナマリ、亜ナマリ、カドミウム、銅について調べたところ、土壌においてはこれらすべ
 ての重金属が国家基準を大きく上回り、カドミウムは9倍にも達していたという。またこ
 の上壌で栽培されたコメと野菜も同様で、カドミウム含有量が基準に対しそれぞれ2・9
 倍、5・6倍に達していた。
  発ガン率と高い重金属含有は、この2つの関係はもはや否定することは困難だというの
 が研究者たちの結論だ。


 2012年肺ガン発症者数(WTO) 中国が飛び抜けて、35.8%


えげつないユーチューブ映像みて、頭を思わず抱え込んでしまった。読書感想?ここはパスす
るしかない。次回は「第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか」に入る。


                                   この項つづく

 

【エンタメロボ事業: 飛翔するマツコロイド】

ケンタッキーフライドチキン店の看板であるカーネルおじさんの横で、来客者とお喋りをする
映像をみて、これだ!と思った。「マツコロイド」と呼ぶらしいのだが、これまでの石黒浩ロ
イドとことなり「不気味の谷」を飛び越えてしまっているではないか?!咄嗟に「エンタメロ
ボ事業」が降って降りてきた。ユーザの要望に応じ、接客ロボットとして、マルチリンガムで
会話できる人工知能を備え身振り手振りを同期動作をさせ、両目は、シチュエーションに合わ
せ接客相手の目に合わせたり外したりしながら会話楽しめるようにプログラミングしておき、
それ以外のシチュエーションでは店内を見回し、来店者数や年齢構成やセキュリティなどのデ
ータを事業部の一括管理センタに転送。ユーザの求める情報を提出する。また、契約店毎にイ
ベント要求に合わせ、来店者とそのイベント――トークショウや物まねや声帯模写、形態模写、
集合写真撮影、握手会などのテレメトリックなサービス――を提供するという事業、多角的な
デジタルホスピタリティ、三次元デジタルサイネージあるいはをデジタルエンターテインメン
トという新規のマツコならではの事業である。

『世界の終わり』

$
0
0

 

 

 

   言い訳は解決への執念を鈍らせる。   /    孫 正義

 

 

 

 

 

 ● DIY日誌: 再シロアリ駆除 

金曜日に床下に、液体殺虫剤散布と木材開孔殺虫剤注入作業敢行。天候、快晴。第2回目の散布作
業を約1時間で完了。散布量は4リットル。散布距離が小さいため、再度3度目の作業は必要と判
断。次回は8月上旬に予定する。ところで、備品、薬剤は「ナフコ」で全て取り揃えられる。便利
になった。

 

 

● アンモニア原料燃料電池の登場

アンモニアは常温・常圧では気体であるが、加圧による液化が容易であり、単位体積当たりの水素
含有量が非常に多い。また肥料の原料として大量に製造されているため、新たな設備投資が不要で
大量に備蓄しても在庫リスクが少ない。固体酸化化合物型燃料電池の発電温度とアンモニア分解反
応温度が近い。これらを組み合わせた高効率なアンモニア利用発電に成功した22日に京都大学ら
の研究グループが発表。(1)アンモニアを直接セルに導入する場合、アノード上でアンモニア分
解反応と電気化学的酸化反応が進行しなければならないが、それに適した電極材料及びセル構成と、
(2)また、外部でアンモニア分解を行い、生成物をセルに供給する場合、発熱反応(燃料電池)
と吸熱反応(アンモニア分解)をうまく組み合わせ、エネルギー損失をなくす必要があり、(3)
アンモニア燃料をリークなく封止する必要がある課題があったがこれを解決し、世界最高レベル(
200Wクラス)の発電に成功したという。 

 
原理的には、水素ガスと窒素ガスと触媒があればアンモニアは合成でき20℃で液化できるから、
(1)液体窒素か(2)液体水素か(3)併用方式か社会的コストを含めた検討の上で、ここ数年
以内に方針を出す必要があるだろう。



● 白金の原子数で触媒能力が変化する? 原子19個で20倍もの効率アップ!

燃料電池自動車の低コスト化が進んでおり、普及し始めたが、いまだに車両価格の大部分を占める燃料電
池製造コストが大きく、中でもな白金のコストが課題となっている。白金の利用効率を高めるには白金粒子を
より細かくして質量あたりの表面積を向上させることが必要であが、白金粒子の微細化が進み、粒
径が1ナノメートル近づくと急激に白金の電子状態が変化して活性が失われる。このため、中間を
とった3ナノメートル程度の粒径を持った白金ナノ粒子が燃料電池触媒として広く使われている。

そこで、22日、東工大の山元教授らの研究グループはデンドリマーと呼ばれる精密樹状高分子を用いた原
子数が規定できる超精密ナノ粒子合成法を開発、今回同合成法を活用し、白金ナノ粒子の原子数を厳密に
12から20原子の範囲でコントロールし、それぞれの酸素還元反応に対する触媒活性を評価したところ、白
金原子一つ加わるごとに触媒活性が不規則に変化するという興味深い結果を発見、対称性の高い幾何構
造を持つことから、これまで最も安定で有用と考えられてきた13原子の白金粒子(Pt13)は、実は最も活性
が低く、それより1原子少ない12原子の粒子(Pt12)はPt13の2.5倍の活性を有することが、さらに、19原
子の白金粒子(Pt19)が最も高い活性を示し、Pt13に対する比活性は4倍にもなった。Pt19の質量あたりの
活性は、現在、広く用いられている粒径3~5ナノメートル(nm)の白金ナノ粒子担持カーボン触媒の20倍
にもなることを突き止めたことを発表(ノーベル賞もの?! それにしても何で19という素数なんだ?)。そう
すると、単純に白金の減価は1/20となる!

※ “Finding the most catalytically active platinum clusters with low-atomicity”、T. Imaoka, H. Kitazawa,
   W.-J. Chun, K. Yamamoto

※  特開2013-159588  アゾメチンデンドリマー金属ナノ微粒子とその触媒





● 海洋性植物が注目 ベーコン味のダルス

海藻は体色によって褐藻、紅藻、緑藻、珪藻に分けられる。これらは特有の色素組成を有すること
に起因している。我が国で食用として利用されている海藻には、褐藻に分類されるコンブやワカメ
などの他、紅藻に分類されるスサビノリやテングサなど、緑藻に分類されるアオノリなどがあるが、
低利用海藻の一つに紅藻の一種であるダルス属がある。ダルス属(Palmaria)には、日本ではダルス(Pal-
maria Palmata)とアツバダルス(Palmaria marginicrssa)の2種が知られている。

昆布や藻などの海洋植物を食べることがなかった欧米人がこれを食料としようと注目している。オ
レゴン州立大学は14日、"ベーコンのような味"がする海藻を発見したと発表。 海藻は古くから
世界中で食用とされてる赤い海藻「ダルス」(紅藻類ダルス目ダルス科)。オレゴン州立大学ではハ
ワイの養殖場にてアワビの商業養殖を進めており、当初アワビの餌として海藻の育成を進めていた
が、栄養価に富むダルス自体の食材利用に注目。ダルスをはじめとした海藻はヨーロッパでは食用
に供されているが、海藻を食べる習慣のない北米市場に向けて粉末化するなど加工を研究。レシピ
を工夫している際、ダルスを揚げると強いベーコン風味になることを発見したという。同大ではこ
のダルス株の特許を保有しており、ハワイだけでなく米東海岸でも養殖が可能として企業提携を呼
びかけているようだ。ビーガン市場だけではない食品供給の可能性があるとしてレシピの開発、食
品産業へのマーケティングを進めるとしているという。



最近、日本人が食すものに世界中が注目しているようだ。日本の沿岸部では、秋刀魚が韓国や台湾
の乱獲が不漁となり問題化している。マグロ、渡り蟹、鰻や烏賊なども中国など周辺国との諍いが
問題視されつつあが、「衣食足りてなおも曝食」と眉をひそめるような昨今。ここはスマートに「
つくる漁業・育む漁業」のトップリーダーに徹するしかない。このダルスも陸上部で養殖が可能だ。
大豆と同様にダルスやひじきもパウダーにして、表面を脂質(植物性油)で前処理すれば、ヘルシーな植物
性バーコンやハムが製造できる。問題ない。否、没要問題である。



【現代歌謡: SEKAI NO OWARI 】 

SEKAI NO OWARIは、2010年にインディーズデビューし、2011年にメジャーデビューした日本の
4人組バン。バンド名はFukaseが命名したもので、「世界が終わったような生活を送っていた頃に
残されていたのが音楽と今の仲間だったので、終わりから始めてみよう」という想いが込められて
いる。2011年に表記を「世界の終わり」からアルファベット表記に改めた。また、2012年にアルバ
ム『ENTERTAINMENT』の発表以降は、DJ LOVE以外のメンバーも本名を伏せているまか不思議な
バンド。

4人はFukaseを通った幼稚園から高校までの友人であり、Saoriのみ1学年後輩である。現在のDJ
LOVEは2代目だが、初代とは今でも親交がであり、ちなみにDJ LOVE以外の3人はあやまんJAPA
Nのファンタジスタさくらだという(女流書道家の金澤翔子と小学生時代の級友)。メンバーと仲
間のスタッフで、一軒家を借りて共同生活を送っている。当初は私服姿でライブやPV、アーティス
ト写真の撮影をしていたが、その後それらのパフォーマンスで揃いの衣装を着用するようになった
とか。

2013年からは海外での活動を積極的に行っていき「End Of The World」という名前で世界展開をして
いくことを発表]。この活動の際、Fukaseは"PEACE"、Nakajinは"1"、Saoriは"SAORI"と名乗っ
ている。"PEACE"としてのFukaseは、「感情を持ったロボット」というキャラクターを演じていて
顔や手に金属のパーツを装着している。イベントプロモーター・Live Nationとの提携プロジェクト
第1弾として、2013年1月にフランス カンヌで開催された国際音楽産業見本市『MIDEM』のイベン
ト『Live Nation Night』に参加して、初ライブを敢行。これを機にEnd Of The Worldとしての活
動が始まる。ライブを見ていた、リンキン・パークのマネージャーから高い評価を得た。また同年
5月、テレビ番組に初出演を果たすが、既に同名のグループが存在していたため、海外でもSEKAI
NO OWARIの元のバンド名に戻している。


   君に神はいない

   いわゆる無神論者

   神が定めたキリツなど、君にとっちゃ関係もないはず

   そのはずなのにとういうわけか

   いつしか君は信じてる、とある思想を君は信じてる

   ダレに敦えられたかは知らないが君は絶対的に信じてる

   「命に価値かおる」と信じてる

   「人を殺してはいけない」と思ってる

   なんて?

   「なんでってそりゃあ」

   君は何を信じてる?

   クエスチョン

   クエスチョン ・・・・・・


                                     ”Death Disco”   

                                               歌 SEKAI NO OWARI
                       作詞 Fukase/作曲 Nakajin/Fukase

 



   You know I don't giveadamnaboutwhat's&Prime;right&Prime;
   Or  pleasing everyonearound me
        Cause I know this world that brought us life
        Wasn't made to keep everyone happy
        The Fules and laws that countFies come up with
        In frontofme,they're all shit
        Cause there are people that I've gotta protect
        And if you get in my way,you're dead

        You see I'm tired of trying to justify
        Every decision that I make
        If it's to save the people that I stand by
        You better believe what I say

        &Prime;Stay in the lines, don't make a scene&Prime;
        Heroes try to tell us what's right
        But when push comes to shove, you'|ll know what I mean
        I’m ready to start a fight
 
        I’m gonna be the anti-hero
   Feared and hated by everybody
        I’m gonna be the anti-hero
   So I can save you when the time comes
        I’m gonna be the anti-hero
   Feared and hated by everybody
   I'm gonna be the anti-hero
        Yeah


   僕は正義なんかなる気はないな
   人の期待にも笞える気はないな
   みんながハッピーな世の中など
   出来るようには出来ていないから

   国が決めた法律など
   僕の前じゃ、ゴミ屑みてぇなもんさ
   僕には守らなきやいけない奴がいる
   邪魔する奴は容赦しない

   僕か決めたことをすべて正当化するのはもう飽きた
   そばにいる人を救うためなら
   なんでもするって、わかった方がいいぞ

   「ちゃんと列に並ぶ」「目立つことをしない」
   ヒーローたちは何が正しいのか言ってくるけど
   いざとなれば、僕の決意がわかるはず
   いつだって戦う準備ができてる

   僕は悪でいたいのさ
   みんなに嫌われ恐怖されていたいのさ
   僕は悪でいたいのさ
   きみを守るとき手段なんか選びたくないから
   僕は悪でいたいのさ
   みんなに嫌われ恐怖されていたいのさ
   僕は悪でいたいのさ


                                          ”ANTI-HERO”

                                 作詞/作曲  Fukase & Nakajin

この二曲だけだが、特に歌詞に際だったものはないし、青年特有の時代に対するリベラルの内在律
も虚無感も変わっていないが、時代の大転換機を無意識でいて正確に表現されている様に思える。                                           


● 待ちに待ったアオノリュウゼッランが開花


福井県坂井市丸岡町上安田の川端憲一郎さん宅の、数十年に1度だけ開花し、その後枯れてしまう
リュウゼツランの花が咲いたことが話題に。30年近く育ててきた川端さんは「花と一緒に生涯が終わる
と思うと、さびしくなるな」と話しながら珍しい花を見上げる様子が写真アップされている。昨年
から、中央の茎がみるみる成長、今年に入ると約2・5メートルまで伸びた。6月からつぼみが膨
らみ、7月中旬には触角のような黄色い花が姿を見せ始め、花が咲いたことで、周囲には芳香剤の
ような独特なにおいが漂い、葉の緑色は薄くなり、下部から徐々に枯れ始める。川端さんは「何十
年もかけて色鮮やかな花が咲くのかと思えば、思っていたより地味だった」と苦笑い。めったに見
られない花が咲いたとあって「家族にいいことがあればいいな」と語る。

ところで、リュウゼッランは南アフリカの金貨(10セント)に花柄が刻印されている。

 

 

仮想電力網工学

$
0
0

 

 

  そんなこと言ったってねぇ、わたしは寝ていないんだよ。
               
                    石川哲朗社長/雪印食中毒事件

 

  

● 日中食品汚染 16 中国の食品汚染地図  

【目次】 

   第1章 見えない食品の恐怖
 第2章 中国の食品汚染
 第3章 食品汚染のヒトへの影響
 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか
 第5章 重金属汚染という新たな難題
 第6章 日本の食品は安全といえるか  

 第4章 なぜ汚染連鎖が絶ちきれないのか

                       ”健土康食”を実現できるか
 
  食品汚染は構造的な問題であるがゆえに、なくすことは容易ではない。特に中国ではそうで
 ある。農業・農民・農村それぞれが解決しえない問題に直面している。この「三農問題」は、
 深刻化しこそすれ好転する糸口さえ見えていない,低収益、過疎化、高齢化、所得格差拡大、
 都市化による農地収用、農業投資の低迷、農地の疲弊。本来の農林畜水産物を取り戻すために
 は、これらが改善されることが必要だ。

  中国の農村へ行くと、揮毫を頼まれることがある。そのときわたしが書くことばが「健土康
 食」だ。健やかな土壌にこそ丈夫な食品がある、というつもりで自分でつくったことばだ,土
 壌がしっかりしていれば、化学肥料も農薬も最小限で済み本来の農産物ができる。しかし、中
 国の土壌の大部分は死に瀕しているので、まずは上づくりからやりなおすべきだ。
  土をいたわる気持ちの減少は、「悪土病食]しか生まない。
  上づくりとは牛糞、鶏糞などからつくった堆肥を土に混ぜ、そこに空気と水分が宿りやすく
 することだ,中国の土はもともとアルカリが強すぎて農産物が育ちにくい傾向がある。だから
 こそ恒常的に土づくりを欠かさないことが農業生産のための必要条件なのだ。

  中国の大地にをつと、牛、鶏、豚、羊などの糞の匂いがしてくることがよくある,わたしは
 新潟県の純農民の家系に生まれ、農村調査40年以上の経歴がある。日本の農村はもちろん、
 中国 のさまざまな地域、アメリカ、欧州、アジアの農村で嗅覚を磨いてきた。糞の匂いがど
 の家畜のものか、間単に嗅ぎ分けることができる。

  あるとき、畑で野菜の出来具合や土壌を見回しながら、同行してくれた中国の農業専門家に
 「あっちの方角に牛舎があるはずだ」といったら、「そんなことがH本の学者にわかるのか」
 と返された。「わたしには見えずとも、牛や豚がいる場所がどこかわかるのだ。日本の農業専
 門家を過小評価するものではないよ」とやり返したことがある,
                      
  わたしが子供の頃、村びとはまだ牛や馬を耕耘や牽引に使っていた。牛分は「ベチャ」とい
 う音とともに地面に落ちるが、丸い馬糞は「ポトッ」と落ちる。馬糞はきれいに消化されてい
 るのであまり匂いはしない。稲わらにまぜて堆肥にしないことはないが、牛糞にかなわない。
 牛糞の堆肥転化率は自然に湯気を上げて熟成していく。牛糞に比べたら豚の糞尿の匂いはきつ
 く、都会育ちの学者は豚舎に入ることさえいやがる。なぜなら、匂いが着ている服装に沈着し
 て洗うまで落ちないほどだからだ。

  しかし、匂いの強さにかけては鶏糞にかなうものはなかろう。鶏糞は尿と一緒に出てくるの
 で柔らかく、鶏舎のケージの下は一面泥を塗ったようになる。鶏糞は堆肥にすることはほとん
 どなく、今ではそれ自体を発酵させる。そして、肥料としてよく効く。鶏、豚、牛の糞は発酵
 させると80℃くらいの熱を出しながら熟していく。3ヵ月ほど寝かすと極上有機肥料の出来
 上がりだ。こうして作った肥料は匂いも味もしなくなる。わたしは何度も、それを嗅いでなめ
 たことがある。

  中国に必要な肥料は、これらの完全に熟した有機肥料だ。人の糞尿は糞と尿を分けて回収し、
 尿だけを畑の畝にかけると肥効がいい。間違っても菓や茎にかけてはいけない。
  人の糞尿は、ご存じのとおり鶏糞にも劣らないほどの匂いで、とくに固形物の方は胃腸内で
 の消化率が低いまま排泄されるからだ,これをそのまま畑にまいたらどうなるか? 人糞を発
 酵させるには高度の技術がいるが、農民は経験的にその方法を知っている。だが、中国の農民
 はあまり発酵しないうちに畑にまくことが多いので、問題となることは既述した,
  実際の中国農業は、耕種農業と畜産経営が分離されてきたので、化学肥料依存、人糞肥料依
 存、その結果としての農薬依存農法が広がる結果となった.

  図4は中国で農業に適合する土地(斜線部分)を示したものだ。このように、農業に適する
 地域はそれほど広くない,比較的適しているところは東北地方の黒屯江省、古林省、遼寧省、
 山東省、河北省、内モンゴル自治区、江蘇省、河南省、安徽省、江西省、湖南省、四川省、貴
 州省、広東省、新疆ウイグル自治区の各々一部などである。そもそも農業に向いていない土壌
 が多い中国で農産物を作るには、堆肥を基礎とする土壌作りが必要で、それをたゆまずに実践
 してこそ、健土康食が実現されるはずである。

 

                                                                                        農薬の知識が乏しい

  農薬は人がコントロールしてはじめて、有効で安全な使い方ができる。しかし中国の農民に
 は農薬の危険性への自覚が不足している。ほとんどの劇薬農薬は甑や袋を開けてそのまま散布
 するものはなく、何倍かの水に薄めて噴霧器で使うものだし、粒状の場合は面積当たりの散布
 量が厳格に決められている。

  農民は販売店で何倍の水に薄めるかを示す希釈率や使い方を教えてもらうこともできるが、
 同じ日にたくさんの種類の農薬を使うことがあるため、混乱しやすい。収獲物は農薬を散布し
 てから数日たたないと出荷してはならない決まりがあるが、守る農民も皆無だ。
  第一.なで述べたように中国では化学肥料だけではなく、「農家肥」という有機肥料、つま
 り人糞を土に混ぜたもの、家畜の糞尿肥料などが今でも使われている。しかし、中には生に近
 い農家肥もあって、土壌中の線虫や雑菌の繁殖を促すものもある。そうなると土壌は臭い、そ
 れが農産物にも影響を与えるので今度は農薬をまく。しかも中国では薬剤耐性が進んでいるの
 で許可農薬ではなく効き方の強い禁止農薬を使う。それが、残留農薬の危険性を高める一因と
 なっている。

                                     農薬の種類

  食品汚染の最大の元凶は、許可農薬のみでなく禁止農薬のまきすぎによる食品残留農薬であ
 る。日本でも片は、今では禁止となったDDTやBHCといった発ガン性が認められる農薬を
 農家はマスクもせず素手で散布したものだ。
  DDTやBHCなどの禁止農薬(日本では1969年水田散布散布禁止、1971年世界に
 さきがけて販売禁止になった)の代わりに使われるようになったのが有機リン系殺虫剤だが、
 これも高い危険性が指摘されている。

  農薬はそのほとんどが化学物質からできているが、その化学物質を有効成分という。農薬製
 造・販売は国の許可制になっていて、勝手に何でも使っていいというものではない。つまり、
 お上は農薬の成分を規制し、許可した化学物質以外使えないということにしているが、その数
 は日本の場合500哺と多い。農薬には3通りの数え方がある。農薬に含まれる有効成分(化
 学物質)を単位にするものと、銘柄の数、種類である。銘柄はいろいろな有効成分を組み合わ
 せて作るため膨大な数になる。ほぼ毎年のように新しいものが加わり、薬剤耐性による効き目
 の低下、環境への配慮などの理由から消えていくものもある,

  中国でも農薬の用途別種類を、殺虫剤、殺菌剤、除草剤、成長促進剤と大きく分類している
 が、種類ごとの消費量は公表されていない。公表されている許可農薬使用鼠の推移を示したの
 が表7だ。したがって、この図には禁止農薬の消費量は含まれていない。国が定めている残留
 農薬検査基準に記載されている禁止農薬の残留基準値や各地の販売事例などから推測すると、
 この図が示す数値のほぼ30%増が年間の農薬消費量ではないかと思う。

  このデータをたどっていくと、2002年から2011年までの10年間に、中国の農薬消費
 量は50万トン増えて179万トンになっている,10年間で約1・4倍に増えたことになる。し
 かも毎年のように増え続け、今後もさらに増える見通しだ。総量も問題だが、実は耕地1ヘク
 タール当たりの消費鼠も、2002年には85キログラムだったのが、2011年には110キ
 ログラムに増えている,

  中国でも有機農業が叫ばれる中、このような増え方は異常で、日本などとは比較にならない
 数字なのだ。日本の2012年の1ヘクタール当たり農薬消費吼は約43キログラム(農薬工業
 会や農水省のデータから計算)なので、2・5倍以上もの農薬をまいていることになる。欧米
 に比べるとさらに数倍多いほなのだ。

                               化学肥料も増えている

  同じく表7から見た化学肥料の消費砥も、農薬ほどではないが増え方は小さくない。200
 2年は化学肥料全体(1粒に3要素が混合した合成肥料1袋に粒状3要素が梱包された複合肥
 料含む)で4339万トン、2011年は5704万トンで、31%の増加だった。うち窒素肥
 料は同じ期間に2157万トンから2381万トンヘ、燐酸肥料は712万トンから819万
 トンヘ、カリ肥料は422万トンから605万トンヘ、それぞれ10・4%、15・O%、4
 3・4%増えている。


  中でもこの10年間で、とくに大きな増え方をしたのがカリ肥料だ,塩化カリウムを成分とす
 るこの肥料は、収穫を増やすにはとても効果的で、中国の野菜、穀物の生産屋が増えたのは、
 品種改良や温暖化の影響で黒竜江省やむ目林省など北部地方の生産量が増えたためばかりでな
 く、カリ肥料の使い方を増やしたことが大きな原因で、丹念に土づくりをしたせいではない。
 ちなみに、2013年、中国の穀物生産量は、史上初めて6億トンを超えたという。

  農薬や化学肥料のまきすぎが水田や畑の土壌構造を破壊することは、専門家の間では周知の
 事実だ。農地の上壌構造が破壊されると、植物が根を張り、養分を吸い上げる耕土は水分・酸
 素・肥料養分を保持しにくくなり、各種バクテリアなど土壌内徹生物の生息環境の破壊、地中
 内ガス等の排出機構破壊といった植物の生育環境の悪化をもたらす。
  化学肥料の多い土壌での栽培は、人間がサプリメントや健康補助剤だけでは健康を損なうこ
 とと同じで、農作物一般にとっても好ましくない環境だ,また農薬のまきすぎが農産物の自然
 成長力を弱め、残留農薬問題を引き起こす原因であることはいうまでもない,

                          基準は守られているか

  中国にはあらゆるものに国家が定めたGB規格という基準値がある。当然のことながら農薬
 にも、「食品安全国家基準、食品中農薬最大残留限度賦」(最新版は2012年H月、GB2
 763-2012)という規格がある。ここには、現を許可されている農薬銘柄約3万のうち、
 禁止農薬のアルドリン、DDT、エンドリン、BHCなどH種類の農薬を含め、全部で307
 随順(3万の銘柄数や600の有効成分数ではないので注意)の農薬が掲載されている。
  なぜ、使用禁止になった農薬までGB規格に含まれているかというと、過去にまいていた禁
 止農薬が今なお土壌や地下水に残留し、通常の農薬と同じように農産物に作用し、残留するか
 らだ。
  通常の許可農薬、たとえば殺虫剤に使われている倍硫リンの場合、コメ1キログラム当たり
 0・05ミリグラムが「最大残留限度量」として表示されているが、1983年に使用禁止な
 ったDDTの場合は、「再残留限度ほ」として0・1ミリグラムと定められている。しかし、
 再残留限度蹴は他の許可農薬に比べても決して低くはない。DDTが禁止されてすでに30年近
 く経っているが、それだけ土壌や地下水残留期間の長さを示すものといってよい,DDTに限
 らずBHCやアルドリン(殺虫剤、中国名蓬氏剤)なども同じ「再残留限度量]扱いとなって
 いる。

  こうやって国が最大残留限度ほや再残留限度量を定めていても、問題は、これら禁止農薬が
 現在もまかれ、自然に負荷を与え続けていることだ。今も使われているということは、少なく
 とも今後30年以上、残留限度規制や監督をし続けなければならない※。裏を返せば、それだ
  け消費者の身体への負担が消えないことでもある。国内で食べる人はもちろん、そのコメを輸
 入して食べる国の消費者も同様だ。

 ※ 原発廃炉と同じ程度?

                                農薬は世界をめぐる

  最後に指摘したいのは、DDTの残留農薬限度基準が中国と日本で異なる点だ。コメの場合
 中国ではO・05ミリグラムだが、日本はO・2ミリグラムだ。危険性に関する日中両国の認
 識に4倍のひらきがあることを意味している。守れるかどうかはともかく、中国の管理基準は
 日本よりも厳しい,
  中国には600以上の農薬(有効成分)があることになっている。しかし、この数は中国に
 流通している食品に残留している可能性のあるすべての随順ではない点が重要だ。

  日本の農業工業会によると、世界には約700種類の農薬があるから、中国には600種類
 ではなく、最大で700種類の残留農薬が入った食品がある可能性がある。いまや中国も食品
 の輸入大国となり、あらゆる国から食品を輸入している可能性があるからだ。もちろん日本も
 そのうちのひとつだ。

  さらに付け加えると、中国の国家知識産権局によれば、中国が開発してその特許権登録をし
 た農薬はすでに975種類に達している。この中から仮に闇に流通しているものがあるとすれ
 ば、残留農薬検査から外れている恐れもある。遺伝子組換え農産物が違法に商業化されている
  現状をみれば、かならずしも非現実的なこととはいえない,
  ということは、財界中の農薬が付いてくる可能性があるということだから、中国では600
 種類ではなく700種類の残留農薬検査をしなければ、本当の安全は保障できないのではない
 か。その検査をすり抜けた食品は、今度は日本に入ってくる可能性がある。100種類(70
 0種類マイナス600種類)の新しい種類の農薬が中国で加わって、700随順となった農薬
 が日本に入ってくる可能性を意味している。食品のグローバル化と「食品モジュール化」の急
 速な進展によって、国境は農薬を遮断する役目を緊たさなくなっているのが現実だ。

 

ここで、著者が信奉する?"健土康食”に理があるものの、農業の高度化進展している日本では 水
耕栽培のように脱土壌化が進み  場生産のようの「1→N」生産方式(この時の"1" は栽培対象
の種子・苗が年間当たりの栽培数、あるいは収穫数)に移りつつある。勿論、新しい品質の作物の
開発にあたっては自然農法の環境条件を再現する必要はある。したがって、ティースプーン1杯の
土壌含まれる●億個レベルもの微生物もその解析対象になる。その気の遠くなる開発を『オール人
工型植物育種システム』で効率的に解析し、人工栽培生産の量産化プランを提案できるようになる
と考えているから、いささか古風で農本主義遺制のにおいを感じる。そうであれば、この問題も半
世紀後には、この手の汚染問題は中国でも聞かれなくなっているだろう。ともあれ、中国産の農産
物とその加工品の輸入については要細心である。

                                     この項つづく



【仮想電力網工学: i-パワードエネルギー・システム 】

一般需要者への電源インフラが充分に整っていない新興国等の国々や地域等を対象に、リチウムイ
オン電池やニッケル水素電池等の2次電池の電池モジュールを用い、太陽光発電等の再生可能エネ
ルギを利用して電源インフラを構築する電力供給システムが考えられている。このような様々な場
所で充放電可能な電池モジュールを使用して電力供給や課金を行う場合、電池モジュールの使用履
歴情報――電池モジュールの充放電状態、残存寿命、所在、使用環境等を推定し、最適充放電制御、
寿命管理、回収、リサイクル、故障原因推定等を行うために――が必要となる。特に、リチウムイ
オン電池のような高電力密度の2次電池では、充放電制御が電池の性能を引き出し、寿命延長や安
全確保や、資源確保や安全に回収やリサイクルに、さらに、電力の提供や使用料の課金などに電力
量を充放電したのかを把握する必要がある(上/下図参照)。
そこで、電気通信大学が九州大学やNECなど民間企業と協力し、地球規模でエネルギー問題の解
決を目指す研究プロジェクトに乗り出すことを公表(日刊工業新聞 2015.07.24)。送配電網が不要
な仮想電力網(バーチャルグリッド)システムを構築し、IoT(ものイン多ネット)技術を使い、
蓄電池をネットワークで制御。市川晴久電通大教授の主導するプロジェクト(i―パワードエネル
ギー・システム研究センター)を開設し、17年にもバングラデシュで、再生可能エネルギー発電
システムで充電した全ての蓄電池をIoT技術で管理するバーチャルグリッドシステムの実証実験
を行う予定。さらに、18年以降、世界共通のプラットフォームとして確立し、国際標準化し、日
本の産業競争力の向上、およびグローバル人材の育成につなげるとのこと。 

なお、この実証実験の成果でスムーズに商用化できれば、発展途上国の生産水準向上が飛躍的に加速、
いままでにないような「成長と環境調和モデル」がバングラデシュで実現でする(下図/下ダブルクリック)。

 

 

猛暑は本当に堪える。とうことで、こんな日は三色素麺で涼しくと思ったが、切れてなかったので
普段通りの単色素麺をランチに頂く。今年は猛暑だから茗荷が痩せていると彼女が見せる。なぁ~
んだ、それもかと言いつつ口に運ぶ。やはり涼がも味わえるコールド・ソーメン(ヌードル)は世
界一だね。

それにしても、東芝の粉飾決算は酷いね。三菱、日立の三者は官僚的な社風だったから好感はもて
なかったが、そこにファンドマネージャーの短期利益至上のネオ・リベラリズムだから結果は見え
ている。いろいろ思うところあるが今夜はこの辺で。

                                         

 

南シナ海波高し。

$
0
0

 

 

 

  私自身は『チャレンジ』という言葉は使っていない。
        報告書の中では『必達目標値』という言葉を使っていた。
               
                           田中久雄 東芝前社長



 
【南シナ海波高し】

防衛省が海上自衛隊とフィリピン海軍の共同訓練を半年ごとに定例化することが25日、分かった。
アフリカ・ソマリア沖の海賊対処活動に派遣された海自護衛艦が帰国する際、比沖で共同訓練を実
施。米海軍を加えた3カ国の訓練への拡大も検討する。南シナ海での岩礁埋め立てや東シナ海での
ガス田開発など高圧的な海洋進出を活発化させる中国を牽制(けんせい)する狙いがある。海賊対
処を終えて帰国途中の護衛艦「はるさめ」「あまぎり」は5月12日、マニラ西方海域で比海軍の
フリゲート艦1隻と共同訓練を行った。日比共同訓練は初で、昨年4月に日米中や東南アジア各国
などで合意した海上衝突回避規範(CUES)に沿った通信・戦術訓練が目的だった。この形式を
定例化し、ソマリア沖から帰任する護衛艦を訓練に参加させるという(産経新聞 2015.07.26)。

なし崩しに武力衝突していくリスクが高まる懸念にたいして政府は、どう国民に説明し「合意形成
」を図っていくのだか? フィリピンとの交渉経緯を明確にする必要がある。

  南シナ海問題

 

 

【超高齢社会論 Ⅴ: 下流老人とはなにか】

 秋葉原通り魔事件が、"ワーキングプアー" に 象徴される、過剰競争と自己責任の原理がもたら
す格差拡大社会の歪みとして発生したように、まもなく、日本の高齢者の9割が下流化する。本
書でいう下流老人とは、「生活保護基準相当で暮らす高齢者、およびその恐れがある高齢者」で
ある。そして今、日本に「下流老人」が大量に生まれている。この存在が、日本に与えるインパ
クトは計り知れないと指摘したように、神奈川県小田原市を走行中の東海道新幹線で焼身自殺し
た事件――71歳の林崎春生容疑者による「下流老人の反デフレテロ」ではないかとブログ掲載
(極東極楽 2015.07.02 )。『下流老人』の著者である藤田孝典は、「東京都杉並区の生活保護
基準は、144,430円(生活扶助費74,630円+住宅扶助費69,800円 【特別基準に
おける家賃上限】)である。資産の状況やその他の要素も検討しなければならないが、報道が事
実だとすれば、年金支給額だけでは暮らしが成り立たないことが明白だといえる。要するに、生
活保護を福祉課で申請すれば、支給決定がされて、足りない生活保護費と各種減免が受けられた
可能性がある。月額2万円程度、生活費が足りない(家賃や医療費などの支出の内訳にもよる)。
生活に不安を抱えどうしたらいいか途方に暮れる男性の姿が思い浮かぶ」と語っている(YAHOO
!ニュース「新幹線火災事件と高齢者の貧困問題ー再発防止策は 「貧困対策」ではないか!?」
2015.07.02)を受け、『下流老人』の感想を掲載していく。   

  目 次   

  はじめに
  第1章 下流老人とは何か
  第2章 下流老人の現実
  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン
  第4章 「努力論」「自己責任論」があなたを殺す日
  第5章  制度疲労と無策が生む下流老人―個人に依存する政府
  第6章 自分でできる自己防衛策―どうすれば安らかな老後を迎えられるのか
  第7章 一億総老後崩壊を防ぐために
  おわりに


  第3章 誰もがなり得る下流老人―「普通」から「下流」への典型パターン 

  弟2章では下流に陥った高齢者の現状を、具体的に紹介した。しかしなお、「老後の計画を
 していない一部の人が下流老人になるのでしょう]
 「やっぱりどこかお金にだらしないんじやないのI
 「わたしは貯金しているから大丈夫だろう」といった声が聞こえてきそうである。
  たしかに、実際に危機に直面しないと、想像は難しいかもしれない。
  しかし、下流老人はまぎれもなく”わたしたち”の問題である。
  わたしたちのもとに相談に来る人々は、特別変わっている人ではない,多くは元サラリーマ
 ンなど一般的な労働者だ。なかには会社の役員や公務員もいる。職業に関係なく下流化してい
 るところに問題の深刻さがあると言ってもいいだろう。無計画で放蕩な暮らしをしていた人々
 ばかりが下流老人になっているわけでは、決してない。

                「普通」から「下流」へ陥るいくつものパターン

  これまで見てきた下流老人の事例を振り返ると、それぞれのレベルで可能な限りの自助努力
 をしてきていることに気づく。その生活は慎ましくさえある。それにもかかわらず、下流化は
 止められないのだ。
  そこでここからは、下流老人に陥る代表的なパターンを実例とともに紹介したい。
  まず前半の【現状編】では、わたしたちが年間約300人のさまざまな生活困窮者を見てき
 たなかで、下流老人に転落する流れとその構造を類型化したものを示す。端的に言えば、下流
 老人に至るにはいくつかのパターンがあるのだ。 

  そして、後半の【近い未来編】では、近年増加している若者の貧困などにも絡めて問題を見
 ていく。すでにある下流化パターンではなく、むしろこれから増えるであろう”予想されうる
 パターン”だ。その意味で、現在、働く世代の方には、こちらのほうが「自分事」になりうる
 だろう。
  これらを見れば「普通の人」が、いかにたやすく「下流」に陥ってしまうか、理解していた
 だけると思う。



 【現状編】

 《バターン1 病気や事故による高額な医療費の支払い》

  一つ目は、病気や介護、あるいは交通事故などで、高額な医療費や介護費、療養費が必要に
 なるパターンだ,これは、第2章のケースでも多かったので想像しやすいかと思う。
 「平成26年版高齢社会白書」によれば、65歳以上の高齢者の健康状態について見ると、平成22
 (2010)年における有訴者率(1000人当たりの「ここ数日、病気やけが等で自覚症状
 のある者《入院者を除く》」の数)は471・1と、半数近くの人が何らかの自覚症状を訴え
 ているとされる。

  当たり前だが、高齢期は想像以上に病気に冒されやすい。定年後に、いきなりがんなどの予
 期せぬ病気が見つかることも多々ある。計算外の高額な入院費用や医療費介護費の負担がのし
 かかれば、生活はあっという問に破綻してしまう。
  たとえば退職金が800万~1000万円ある人が、数回にわたるがんの手術で、老後の資
 金をすべて失ったケースもある。高額療養費助成制度もあるが、入院中の差額ベッド代や保険
 外の治療などもあり、医療費負担が重くなるのだ。また、がんの治療で長期間の療養生活を必
 要とするケースも多い。

  パターンは、とくに65~75歳までの前期高齢者に多く当てはまる,昔に比べ、今の高齢者は
 非常に精力的な人が多い。年金の受給年齢の引き上げなどもあり、本人も「老後もバリバリ働
 こう」と思っている。下流老人になった人の多くも同じように考えていた。「年金+就労収入」
  で暮らしていけるという生活設計があったのだ。
  しかし、それは「健康であること」を前提にして成り立つものである。自分が生涯を通じて
 健康でいられるかどうかは、誰にもわからない。それがただの願望であることをわたしたちは
 自覚しなければならない,



                         人生における「高齢期」の長期化

  生活設計をきちんと組み立てていても、病気になったときにはもう遅い。
 1年、2年と療養生活が続けば、それだけ生活費以外のさまざまな出費が増えるし、時間も制
 約され、負担が大きくなってくる,若いときより回復も遅く、思うように状況が改善しないこ
 とは一般的にあることだ。
  また事故の場合は、自分が被害者になる以外に、加害者になってしまうケースも存在する。
 とくに高齢者のドライバーで多いのが、自動車のアクセルとプレーキを踏み間違えて、大きな
 事故を起こすケースだ。自動車や建物の破損だけならまだしも、人身事故を起こし、多額の損
 害賠償を請求されるケースも珍しくない。

  このように予期せぬ病気や介護、事故によって、高額な医療・介護費が突如として発生して
 下流化するケースは、かなり多い。
  ただ、突発的な病気や事故は、今に限らず昔からあったことでもある,それでも「昔は大丈
 夫」だったのは、家族や地域社会など、さまざまなセーフティネットが機能し高齢者を捕捉し
 ていたからだ。
 
  現代は核家族化が進行し、経済的困窮によって子どもを頼れないケースが増えている。物理
 面、精神面、経済面と、さまざまな側面から「孤立化]しているのが、現在の高齢者の実態な
 のである。
  またこの問題は、いまだかつてない「長寿化社会]に突入したことも無関係ではない。長寿
 化社会とは、言い方をかえれば「人生における高齢期の割合がものすごく長くなった」という
 ことだ。
  今は90歳まで生きることも珍しくなくなった。100歳を超える人だっている。25年、35年
 と高齢期を過ごしていれば、生活設計をきっちり立てていてもどこかで病気になるし、事故に
 も遭うし、認知症になってそもそもプラン自体を忘れてしまう人もいるだろう,
  高齢期の割合が増えたということは、それだけリスクにさらされる危険度が高くなったとも
 言えるし、また、健康を維持するために莫大なコストが必要になったとも言えるのだ。

 〈パターン2 高齢者介護施政に入居できない〉

  2つ目は、高齢者介護施設に入りたくても入れないという問題だ。
  家族や親族を頼れない高齢者にとって介護施設、いわゆる「老人ホーム」は、最後の拠り所
 になるべき場所と言える。ところが制度的、経済的な理由から、要介護度高く、明らかに自立
 生活が困難と思える高齢者であっても、入居できないケースが増えつつある。
  そもそも、一口に老人ホームといっても、いくつかの種類に分けられる。
  最も一般的なものが「特別養護老人ホーム」だ。社会福祉法人などが運営している施設で、
 要介護高齢者が入所し、日常生活を介護職員のケアを受けながら暮らすことができる場所であ
 る。基本的に60歳以上で介護が必要な高齢者なら、誰でも利用可能だ。40歳以上になれば、原
 則、すべての人々が介護保険料を支払うため、介護保険制度で利用できる施設でもある。

  ただし、入所までに3~5年侍ちということはザラで、施設によっては10~15年待ちという
 ケースも珍しくない,2015年3月に発表された厚生労働省の資料では、特別養護老人ホー
 ムヘ入所中し込みしている人々は全国で約54万人おり、そのうち在宅で暮らしている要介護高
 齢者は約26万人もいる。家族の介護に頼らなければ生活ができない高齢者の姿が浮かび上が
 るとともに、施設の数が圧倒的に不足している状況が見てとれる。

  また、低所得であったり、身寄りがなくて保護が必要な高齢者が入所できる「養護老人ホー
 ム」もある。養護老人ホームは、原則として、介護を必要とせず、身の回りのことが自分自身
 でできる高齢者を対象としている。この施設は他の施設と違い、介護保険制度で利用できるも
 のではない,「措置制度」といい、保護が必要な高齢者がいた場合、福祉事務所の判断で利用
 させることができる。そのため、施設利用の際には養護老人ホームではなく、役所の高齢介護
 を担当する福祉事務所に問い合わせる必要がある。

  問題は入所希望者に対して、こちらも床数が圧倒的に不足しているということだ。
  貧困に苦しむ高齢者は増え続けているが、養護老人ホームもその受け皿としては十分に整備
 されていない。



                               すさまじい老後格差

  そのため自立生活が困難になってから入ろうと思っても、受け入れてくれる施設がないとい
 う状況も十分にあり得る。またこれらの施設は、2人部屋、3人部屋などの相部屋が基本で、
 食事や就寝時間なども一律に決まっているため、自宅と同じように自由気ままな生活というわ
 けにもいかない。
  そこで普通の暮らし、自宅に近いかたちで支援を受けながら老後を過ごしたいのであれば、
 民間の会社が運営する「有料老人ホーム」を検討する必要がある。しかし、十分に設備の整っ
 た有料老人ホームは、利用料が非常に高額な場合が多く、入居金だけで500万~1000万
 円を預ける必要がある。そのほか、入居金とは別に1か月あたり20万~30万円の「利用料」が
 かかる施設もある。

  このパターン2で最も深刻になるのが、「意識ははっきりしているものの、身体的あるいは
 経済的な問題により自立生活が困難な高齢者」である。
  養護老人ホームは、空きがなくて入れない。一方で、ホテル並みに施設が充実した有料老人
 ホームは、高額でとても手が出ない。しかし障害や持病などで、一人で暮らしていけない。そ
 んな高齢者が最終的に流れ着くのが、無届けの有料老人ホームなど、グレーゾーンで利益をむ
 さぼる介護施設だ。

  そのような施設では、ブロの介護福祉士によるサービスが受けられなかったり、必要なのに
 病院を受診させてもらえなかったりするばかりか、そもそも介護を行ううえで最低限必要な設
 備や人員が整っていなかったりする。そのため「寝かせきりアパートーや「寝かせきりホーム」
 と呼ばれることもある。
  このような施設が横行する背景には、「老後格差の拡大」が影響している。
  終身雇用、年功序列が崩壊しつつある今、この格差は今後ますます開いていくだろ。

                金がなければまともな介護も受けられない

   さらに深刻なのは、現役時代の収入によって格差が否応なく"固定"されてしまうことだ。高
 齢明に収入が増えることはほぼあり得ないし、そもそも、そんなに十分なお金がある人たちば
 かりではない。にもかかわらず、有料老人ホームが明らかに「富裕層向けの施設」に偏ってい
 る現状は、極めて問題である。
  会社員時代の年収が1000万円以上ある人など、数%しかいない。そんな人しか入れない、
 普通の年金水準では手も足も出ない施設が増えているのは、社会福祉の理念に照らしてみれば、
 明らかに異常事態と言える,

  一方で、これらの有料老人ホームが批判されるどころか、年々需要が高まりつつあるのはな
 ぜか。
  それは、介護保険制度の機能不全の問題が極めて大きい。現在の状況は、公と民が複雑に絡
 み合うことで、資本主義の原理が歪んだ形で発露した結果とも言える。
  本来は、生存に最低限必要な介護は、公的機関が責任を持って提供してきた分野だった。そ
 れが2000年以降、介護保険制度が導入され、措置から契約へ変わり、自由に介護事業者を
 高齢者が選べるメリットばかりが強調されたことで、民同企業や営利業者も介護事業を行うよ
 うになった。「介護の社会化」という掛け声とともに、多くの事業者が介護を収益の対象とし
 て見るようになったとも言える。

  民間企業も社会福祉法人も、同じ敷地があるとしたら、明らかに儲かる有料老人ホームを運
 営したがるのは当然だろう,有料老人ホームは、一部屋あたりの単価が養護老人ホームや他の
 介護施設に比べて、べらぼうに高い。同じ敷地(床数)でも、片方が年間1000万円、もう
 片方が年間1億円の収益になるのであれば、より多く稼げる施設を選ぶのは巾場原理だ。
  一方で、特別養護老人ホームや養護老人ホームなどは、公的な性質が強く、施設に入る報酬
 が厳密に決められており、大きな利益は見込めない。そもそも介護保険の財源不足で、運営費
 や職員の給与基準が低いという問題もある。だから公的な養護老人ホームは誰も運営したがら
 ないし、そのせいで床数が足りず、需要に応えられない事態が発生している,有料老人ホーム
 の高額化と特別養護老人ホーム、養護老人ホームの不足などの問題は、別々ではなく、同じ高
 齢者の貧困や不平等の問題として、リンクして考えなければならない。

  要するに「老後は介護が必要になったら老人ホームに入居して余生を過ごす」という考えが、
 もはや楽観的に思えてしまうほど状況は深刻化している。安全とはいえない.人暮らしの自宅
 で、十分ではない介護を受けながら、余生を過ごさざるを得ない高齢者が今でも大勢いること
 が、それを証明しているだろう。

                                    この項つづく

  ● 今夜の一冊 『昭和を語る』

鶴見俊輔氏が他界した、享年93。べ平錬運動ではじめて知り、熱心な読者ではなかったが『思想
の科学』を随時読んでいた。直接会ったのは、大阪城公園の「反万博集会」で、その時の模様を写
真に収めて残っている(はず)。わたしの青春時代を育んだ懐かしいひとこまだ。

1922年東京生まれ。哲学者。祖父に後藤新平、父は鶴見祐輔というリベラル派政治家の家庭に
育つ。十五歳で渡米、ハーヴァード大学でプラグマティズムを学ぶ。アナキスト容疑で逮捕された
が、留置場で論文を書きあげ卒業。交換船で帰国、海軍バタビア在勤武官府に軍属として勤務。戦
後、渡辺慧、都留重人、丸山眞男、武谷三男、武田清子、鶴見和子と『思想の科学』を創刊。アメ
リカ哲学の紹介や大衆文化研究などのサークル活動を行う。京都大学、東京工業大学、同志社大学
で教鞭をとる。60年安保改定に反対、市民グループ「声なき声の会」をつくる。65年、ベ平連
に参加。アメリカの脱走兵を支援する運動に加わる。70年、警官隊導入に反対して同志社大学教
授を辞任。

                                         合掌 

 

 

 

Viewing all 2435 articles
Browse latest View live