Quantcast
Channel: 極東極楽 ごくとうごくらく
Viewing all 2435 articles
Browse latest View live

ナノポア工学

$
0
0

 

 

 

【オールソーラーシステム完結論 33】 

● 極小のバッテリーの大きな革命

太さが人の毛髪の8万分の1というナノサイズのバッテリーの開発が進められてい
るという。実用化に成功すれば、現状では走行距離の制約がある電気自動車や、無
風のときあるいは日照がないときのための貯蔵場所を必要とする再生可能エネルギ
ーの利用が促進されるはずだ。そのブレークスルーに欠かせないのが“ナノポア”。
セラミック板に開けられた塩粒くらいの穴に、バッテリーが電流を生むのに必要な
すべての部品を――10億個のナノポアをハチの巣状に接続しても、切手ほどのスペ
ースに納まるという空間に詰め込こむが、その性能も確認している。メリーランド
大学の研究チームによれば、12分で充電が完了し、何千回も再充電できるという。 
それでは、このようなバッテリーは10年前は実現不可能で、今回の成果は最新のナ
ノテクノロジーの分野の発展が背景にある。

この成果が商用化できる価値は膨大だろう。不可逆的な気候変動がもたらすであろ
う決定的な破局から救い出せるのなら、電気自動車や再生可能エネルギーの利用を
拡大するには安価で高性能なバッテリーが不可欠。風や太陽といった間欠的なエネ
ルギー源で電力の大部分をまかなうには、バックアップのエネルギー貯蔵システム
は不可欠であるからだ。そのため、各国の大学や企業がこぞって、20年前開発され
たリチウムイオン電池を性能を向上させるバッテリーを開発しよう鎬を削ってきた。
そこで、研究者たちは素材や構造をナノ化することで、分子レベルでの最適な組み
合わせを突き止めることで、従来のグラファイトのアノードの代わりに多孔質シリ
コンのナノ粒子を使用し、新しいリチウムイオン電池を開発することで、グラファ
イトを使用した同等の電池の3倍に達し、10分で充電が完了する性能を有する事例
も報告されている。  

 



※  anodic aluminum oxide (AAO):
   http://www.engr.uky.edu/~zhichen/publication/AAO%20Review%20-Reprint.pdf

そうなのだ、高性能のバッテリーをつくるにはナノ化が不可欠で、ナノスケールの
バッテリーが実現すれば、バッテリーの製造法の選択肢も広がるだろう。ここから
大事なところでこのの領域のサイズが、人の毛髪の8万分の1というナノサイズの
バッテリーというところにある。実用化に成功すれば、現状では走行距離の制約が
ある電気自動車や、無風のときあるいは日照がないときのための貯蔵場所を必要と
する再生可能エネルギーの利用が促進されると期待されている。

  ● 極小のバッテリーが大きな革命を起こす

ところで、今回実験された"ナノポア”の素材はレアメタルのルテニウムやバナジウ
ムで構成されいるため製造コストすなわち市場競争力で見劣りする点である。その
点では、(1)ナノレベルのネオコバーテックという半導体特有のダウンサイジン
グと(2)高効率化(高エネルギー密度)、(3)長寿命化が優れていれば、商用
化されれば、量産化効果が働き急速にコスト逓減できることとなる。今後の展開が
気になるところである。以上、様々な点で工学レベルで検討するには問題が残るた
め残件扱いとする。 

 

● 安倍政権危うし! 第2の橋本龍太郎政権 ?

景気条項撤廃が命取り?!という。

   ● 今夜の一曲

 

          この街には不似合な

          時代あくれのこの酒場に

          今夜もやって来るのは

          ちょっと痩れた男たち

          風の寒さをしのばせた

          背広姿の男たち

          酔いがまわればそれそれに

          唄の一つも飛び出して

          唄を唄えば血がさわぐ

          せつなさに酔いとれて

          気がつけば窓のすきまに

          朝の気配がしのびこ仁


          どこかに何かありそうなそんな気がして

          
          俺はこんな所についつまでもいるんじゃないと

          この街には住みあきて

          俺の女もとこかへ行った

          あいつ今頃とこでどうして

          どんな男といるんだろう

          夢のにがさを知りもせず

          夢をさがしているんだろう

                                    
                                         『時代遅れの酒場』

                                       作詞/作曲 加藤登紀子 

 

● 彷徨える男気
 

昨夜の続き。高倉健の強烈なキャラあるいはイメージは、仁義を重んじ、困ってい
たり苦しんでいたりする人を見ると放っておけず、彼らを助けるために体を張る自
己犠牲的精神を秘めた寡黙な男性あるいは父性にある。これを仁俠、義俠心、俠気
男気などと言う。ところで、この男気のイメージは、(1)弱い者が苦しんでいる
のを見のがせない気性。(2)ここ一番のプレゼントにケチらない。(3)信頼を
大切にする。(4)小さい約束でも必ず守る男性。(5)無理して格好つけない男
性。(6)困った人がいれば、率先して助ける男性。(7)自分の非を認め、素直
に謝る男性。(8)友達や後輩の悪口を言わない男性。(9)部下(後輩)の責任
は自分が持つ」くらいの大きな心を持っている男性。(10)信念を持ち、打ち込ん
でいる男性。(11)苦しくても顔に出さずに支えてくれる男性・・・などという。
いま自分を内省すると、「自分にはないないよな~ぁ?!」あるいは「歳と共になく
なっていくよな~ぁ?!」と、それもこの時代がそうさせるのであって、男気を必要
としない、小高しく、小狡く、こじんまりとしてた男性を輩出させているんじゃな
いかとも思うが、どうなんだろう。

「時代おくれの酒場」は、加藤登紀子が1977年10月21日にリリースした楽曲。この
曲が映画『居酒屋兆治』のイメージソングとして採用された。この映画は、山口瞳
の小説、またそれを原作にした1983年公開の日本映画、また1992年放送の三村晴彦
監督のテレビドラマ。筋書きは、函館で居酒屋「兆治」を営む藤野英治(高倉健)。
輝くような青春を送り、挫折と再生を経て現在に至っている。かつての恋人で、今
は資産家と一緒になった「さよ」(大原麗子)の転落を耳にするが、現在の妻との
生活の中で何もできない自分と、振り払えない思いに挟まれていく。周囲の人間は
そんな彼に同情し苛立ち、さざなみのような波紋が周囲に広がる。「煮えきらねえ
野郎だな。てめえんとこの煮込みと同じだ」と学校の先輩の河原(伊丹十三)に挑
発されても、頭を下げるだけの男。そんな夫を見ながら茂子(加藤登紀子)は、人
が人を思うことは誰にも止められないと呟く――といったストーリー。

そんな加藤が訃報に接し「60年代に青春を生きた私たち世代にとって、高倉健さ
んの生き様はバイブルでした。それはたった一人でも大きな力に立ち向かっていけ
る人であること、必死で生きる全ての人に心を寄せる熱い人間であること、そして
自分自身に厳しく、迷いながら生きるさすらいの心を持ち続けること。亡くなった
ことを知り、寂しさでいっぱいです。『居酒屋兆治』で妻の役をやらせていただい
た思い出、何より大切に、心からご冥福をお祈りします。」と感想を寄せている。

 


ハイウェイからフリーウェイへ

$
0
0

 

 

● 今夜も新しい科学技術がぞくぞく!?

 

● 史上最強のエレクトロニクス・ノーズ開発?!

このブログでも掲載した【歯周病からニオイ測定器開発まで】(『フェンネル薫る
五月
』)のニオイセンサ(あるいは呼起分析装置)の実用化競争が激化している。
その1事例として、ストーニーブルック校の材料工学部で教授とディレクタを兼任
するPerena Goumaらのグループが、千種類以上の化合物が極めて低い濃度で含まれ
ている人間の呼気を素早く測定する「呼気分析装置」を開発したという(EETimes
「呼気で病気を診断、米大学が開発」2014年11月18日 15時27分 )。呼気を収集し
特定の呼気ガスバイオマーカーを検出し、その濃度を数値化するもので今回、極小
サイズのナノワイヤーで被覆したセンサーチップで呼気中のごく微量の化合物を検
出できるようになったことを公表。

開発した結晶化学センサーで使われているナノワイヤーは、一酸化窒素や一酸化炭
素、二酸化炭素、アンモニア、アセトン、イソプレーン、ベンゼン、エタン、ペン
タンなどの特定の化学物質に対して反応し、ワイヤーに収集された粒子の量により
濃度を測定する。これらの粒子をデータ化することで、さまざまな疾病との相関関
係を示すことが可能、結晶性ナノワイヤーのアレイは、鼻の機能を模倣し、長さ百
マイクロメートルの1本の結晶性ナノワイヤーで、シリコンベースの多結晶膜に比
べて、表面積、ガス感度ともに百倍で実現できる。

また、この呼気分析装置は、新陳代謝率の測定装置としても用途が広がる。食事制
限が必要な患者に、呼気中のアセトン濃度を測定することで、糖尿病をモニタリン
グでき、糖尿病にかかっていない人の呼気中のアセトンの平均濃度は、0.8ppm未満
だが、1型糖尿病患者の場合は1.8ppmを超えるが、この呼気分析装置が成功すれば、
糖尿病のモニタリングできる(アセトンとインスリンの相関性の方が、グルコース
とインスリンの相関性よりも高いため)。

※ 関連新規考案:Sensors including metal oxides selective for specific gases and methods
   for preparing same / US 7017389 B2


● インフルエンザウイルスの増殖機構を解明 新薬開発に寄与!?


東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らのグループは、インフルエンザウイルスの
増殖の仕組みの一端を解明。宿主となるヒトのたんぱく質のうち、ウイルスの増殖
に関わるたんぱく質を323個発見したという。これらの中の数種類のたんぱく質
で、機能を阻害する薬剤が抗ウイルス作用を示すこと解明。これは ヒト胎児腎細
胞由来の培養細胞を同ウイルスに感染させた実験を実施。11種類の同ウイルスた
んぱく質と結合する1292個のヒトのたんぱく質を同定した。さらに遺伝子の発
現を抑える「siRNA」を導入した細胞を作り、同ウイルスに感染させてウイル
スの増え方を調べた。ウイルス増殖効率に関わる323個のたんぱく質を同定。

なお、インフルエンザ治療にはタミフルなどの抗ウイルス薬が使われている。だが、遺伝
子が変異した薬剤耐性ウイルスでは薬が効きにくくなる可能性がある。そのためウイルス
たんぱく質に作用せずウイルスの増殖を抑える薬の開発が期待されていた。

 

●  電子デバイスの製造技術向上

阪大と東京大学、理化学研究所の共同チームは、高エネルギー加速器研究機構(K
EK)の放射光科学研究施設フォトンファクトリー(PF)放射光を使い、ホログ
ラフィーの手法を用いた特殊な解析法で、有機半導体の表面付近の分子の並び方が
結晶内部と大きく異なる例を発見した。さらにこの変化により、電気伝導性も表面
と内部で差が出ることを理論計算し確認した。

このことで、有機半導体の表面が、自発的に構造を変えるていることが明らかになった
ことで、分子1層レベルで伝導性を制御する、精密かつ安定な微細デバイス製造技
術につながる可能性が出てきた。これまで、有機半導体は安価、軽量なデバイス素
材として、有機ELディスプレイなどで既に実用化されている。通常のシリコンの代
わりに有機半導体を使ってトランジスタを作った場合、有機半導体の表面近傍数ナ
ノメートルを電気が流れるが、このような表面付近の狭い領域で分子がどのように
並んでいるかはしられていなかった。

 

Large surface relaxation in the organic semiconductor tetracene ,Nature Communications
  Volume:5,Article number:5400DOI:doi:10.1038/ncomms6400   
  Supplementary Figures 1-2, Supplementary Notes 1-3 and Supplementary References

 

【オールソーラーシステム完結論 34】 

● 純国産独自技術の水素液化システム

川崎重工は、産業用では初となる純国産独自技術の水素液化システムを開発し、水
素液化試験を開始することを公表。今回開発した水素液化システムは、播磨工場(
兵庫県加古郡播磨)内の水素技術実証センターに設置され、1日あたり約5トンの
水素を液化する能力を有す。本システムは、水素液化機、液化した水素を貯蔵する
液化水素貯蔵タンクなどで構成されています。本システムは、純国産の独自技術で
開発したもので、当社が保有する極低温物質のハンドリング技術や高速回転機械の
開発で培ったタービン技術が活用されているという。




● アベノミクス総選挙雑感 

いよいよ、選挙だ。また、公明と自民が消費税10%引き上げ時に軽減税率導入に合
意している。ところで、煩瑣な自策に拘る公明は別として自民にはこれまでの経済
政策は縫合的できっちりと総括したものでないことの物足りなさを感じる。1つは、
英米流金融資本主義=新自由主義政策の悪癖是正と(2)中長期的な財政施策(土
木建設・医療・介護分野の公共事業)と(3)骨太の規制緩和(高速道路のフリー
ウェイ化など)の必要性、裏返せば、一貫した脱デフレ政策(時代遅れの財務規律
派との決別)の 必要性である。内部抵抗が強いことは理解できるがここが弱い。

● ドイツで独自に豆腐料理が展開


ドイツで今、「TOFU(豆腐)」が大人気。食肉の生産への不信感から「肉食離れ」が進み肉
の代わりに良質のたんぱく質である豆腐を食べる習慣が広がっている。豆腐カレーソーセ
ージや豆腐ハンバーグなどの人気商品を生産する会社では、従業員を大幅に増やし、ヨー
ロッパ各国への輸出を手掛けるまでに。また環境保護に徹した生産の仕方で消費者の心
をつかむ豆腐会社も登場しているとNHKが取り上げ、イツでの豆腐ブームとその背景をリ
ポートしている。テレビを見てドイツのトーフ(豆腐)は固めでチーズ感覚のようだ。ところか
われば品変わるは、スシをみればわかる。どのように、世界中でアレンジされ普及していく
か楽しみである。

 
 

さて、ドイツの豆腐料理を1つ『ハーブと豆腐ライス』掲載してみよう(上図/下)。
材料は、(1)小さなタマネギ×1個、(2)オリーブオイル×1大さじ、(3)
野菜の煮汁×8dl、(4)インディカ米×280グラム(5)タマゴ×1個(6)メダ
ル形の豆腐×8個、(7)キャノーラ油、(8)へーデルナッツ×大さじ1、(9)
レーズン×大さじ2、(10)パセリ×1束、(11)ローズマリー×1枝、(12)レ
モン×0.5個――4人分、次に作り方、(1)タマネギをみじん切りし柔らかになる
オまでリーブオイルで炒め、ライスは弱火で煮る。(2)泡立て器でタマゴをかき
混ぜ、その中にメダル形の豆腐を入れ、粗挽きしたナッツとレーズンと一緒に鍋で 
2~3分キャノーラ油炒め暖め煮る。パセリとローズマリーをみじん切りにレモン
の皮をすり下ろし豆腐に振りかけ、ナッツとレーズン混ぜたライスを添える。

 


● 米国に大寒波 米北東部の大雪、死者10人に2日間で1年分の降雪

米北東部を米国に大寒波襲った異例の大雪による死者は、20日までに10人となった。
ニューヨーク州バファロー市周辺では180センチ以上の積雪が観測されり、数日間に
わたり交通がまひしている。このため米国立測候所(National Weather Service)は、
五大湖周辺で冷たい空気がより温かい湖面の上を移動することで発生する「湖効果」
により、20日の日中には60~90センチの積雪が予想されるとして、警戒を呼び掛け
ていた。NWSはまた、雷を伴う大雪と、雪により視界がゼロに近くなると予想。ニ
ューヨーク州西部では非常事態が宣言され、指定地域内での移動が禁止された。ニ
ューヨーク州当局によると、2日間で年間降雪量に匹敵する降雪が記録された同州
では、除雪作業などのため、州兵ら5000人以上が動員。なお 「ウィンター・ストー
ム・ナイフ(Winter Storm Knife)」と名付けられた今回の猛吹雪による死者は、同
州ナイアガラ郡とエリー郡ボストンで、寒さが原因で2人が死亡したことにより、
合計10名だという。これは、大規模気象変動劇のほんの序の口に過ぎないとわたし
(たち)は考えている。

 

深海未来都市構想

$
0
0

 

 

● 深海未来都市「オーシャンスパイラル」 清水建設が構想 

波力発電に跨るGACKT』『キャメロン監督の海底採掘』など海洋開発を
ブログでもけいさいしてきたが、清水建設が深海未来都市構想「OCEAN
SPIRAL」を公開(上/下図クリック)。大津波対策があるのかどうか別にして、
これは”羊水の戻ろう!-Let's return of amniotic fluid!”というキャッチコピー
が咄嗟に頭に浮かぶ。この構想によると、(1)建設空間が水深3000~4000メー
トルの海底から海面まで、3つの部分からなる「都市」を作り上げる。(2)人口
5000人を維持するだけでなく、外部に電力や食料を送る機能も備える。(3)2030
年時点の予想技術レベルでは、3兆円と5年の工期で立ち上げる。(4)3Dプリン
タで都市建設するという特徴をもつ。

特に、3Dプリンタで都市を建設するってどんなものか?――超高層ビル
を施工するときのように部材をそろえて海中で組み立てるのでなく、施
工の機械化、自動化を前提として、プロジェクトチームは海面上に(巨
大な)3Dプリンタを用意し、そこから下に向かって少しずつ構造物(立体印
刷物)を降ろしていく手法を考えているいう。

さて、OCEAN SPIRAL構想は、海洋(深海)が秘める5つの可能性に着目
した構想をコアとする。エネルギーに関係するものはそのうち、第1に
海洋温度差発電だ。海面と深海の温度差を利用して、電力を取り出す。
出力は百メガワットを想定―-1000メートルの位置で発電用の海水を取
水、-1500メートルの位置で養殖冷水(海水温2~3度)を、-2500メ
ートルの位置で海水淡水化用の海水を取り込む。第2に二酸化炭素を貯
蔵するだけでなく、燃料に変える。海底メタン生成菌を利用して、地上
の二酸化炭素をメタンに転換できる。第3に海底の未利用資源(レアメ
タル、レアアース)の持続的な回収する。

海洋深海における技術的な課題だけでなく、建設時や稼働時に海洋深海
に与える環境問題の課題も多そうだが、心配はさておき広壮な構想は面
白い。ミニマム深海都市を建設してビックデーターを収集解析すること
が一番だ。 

●  貼ると発電する皮膚パッチで薬剤の浸透を加速

東北大学のの西澤松彦教授の研究グループが、酵素によるバイオ発電の
技術を利用し、体に貼ると微弱な電流が発生し、皮膚を通した薬の浸透
が促進される「バイオ電流パッチ」を開発。生体・環境に優しい有機材
料のみで造られたバイオ電流パッチは、軽く・薄く・柔らかく、そして
使用後はそのままゴミ箱に捨てることができる。皮膚への薬剤浸透が電
流で加速される効果で、外部電源を不要にしたことで、家庭用の使い捨
てセルフケア用品として普及する可能性があるという。

※ 特開2014-207987 生体組織貼付用キット及び生体組織貼付用パッチ



 


 

● 食品の早すぎる廃棄

ナショナルジオグラフィック ニュースで「食品の早すぎる廃棄、原因は
賞味期限?」を特集している。周知の通り、農地から食料品店を経て食卓
に上るまでの過程で食糧の30%が失われている。食品の種類や保存状態
の良さ、あるいは悪さによるが、英国を拠点として食品廃棄問題に取り組
む団体「Love Food Hate Waste」(「食を愛し廃棄をなくそう」の意)を
率いるエマ・マーシュ(Emma Marsh)は英国の消費者について、私たち
が捨てている食品の半分以上は、問題なく食べられたかもしれない物だと
いうが、食品廃棄は世界的に深刻化している課題で、国連食糧農業機関
(FAO)によると、毎年13億トンの食品が無駄となっている――全世界で
毎年生産される食品の3分の1に相当―金額にして7500億ドルを超える。
世界では推定8億人が毎晩空腹を抱えながら寝床についている一方で大量
の食品が捨てられているという倫理上の問題に加えて、経済・環境的側面
でも問題がある。世界中の農地のうち4分の1以上が、誰の口にも入らな
い食物の栽培に使われているのだが、こうしたアドバイスは食品業界にと
っても消費者にとっても賛同し難いかもしれないという矛盾を孕んでいる。

現在では一世代前よりも、はるかに「リスクを嫌う社会」になっている」。
小売店や食品メーカーは訴訟を避けたがるし、わたしたち一般消費者もリ
ステリア菌や大腸菌といった健康上の脅威について耳にすることが多い。
食品が賞味期限を過ぎていれば、リスクを冒したりせず、何であれ捨てた
いと考えるが、食品廃棄の削減という取り組みのうち大きな部分を占める
のは、これらの違いについて消費者に知ってもらうという単純な啓発で、
行動経済学と教育の活用にかかっている。と、専門家は指摘する。



 

● 今夜のこのデザイン

 

良いデザインだが、でもね、水蒸気で透明感はなくなり、曇るし、底部の汚れは
培土や微生物の繁殖や死骸などにより発生するのでその対策はいるね~ぇ。

電動モビリティ工学

$
0
0

 

 


● 茅ヶ崎市民ソーラーシュアリング運動 初の収獲 

ソーラーシュアリングの市民運動が着々と実績をつくっているようである。 ソーラ
ーシュアリングとは、農機具メーカーに勤めていた川崎市の長島彬さん(71)が考
案し「ソーラーシェアリング」と命名した言葉であるが、エネルギー、食料の両方
の自給率に寄与し、神奈川県内にも多い都市部の農地保全の一助にもなるのではと
期待される。神奈川県内での実証実験の畑は10メートル四方。パネルは通常の太陽
光発電に用いられるものより細長く、地上2メートルの高さに間隔を置いて並ぶ。
日陰と日なたが太陽の動きとともにずれるので「半日陰」が続く。ここでは二種類
のイモ栽培、サツマイモは乾いた砂地でも育つ。里芋は水分が必要。半日陰がどう
影響するか比較試験するため。いずれもパネルがなかった前年と同様に育ち、サツ
マイモの収穫量はやや多いという。ただ、パネルから落ちる雨垂れで土に穴が開く
ことが分かり、葉ものは雨垂れが当たるとどうか同じ畑で違う野菜を育てる輪作の
可能性も重要でありソーラーシェアリング用の栽培技術(工学)も必要になる。

茅ケ崎市西久保では畑の上にパネルを並べ、太陽光を発電と農業で分け合う仕組み。
都市農業ではかさみがちな維持管理費に売電収入を充てられるのがメリットで、災
害時の非常用電力としても活用できるが、心配された農作物も順調に育っていた。
発電所があるのは、公有地を住民が管理して畑などに活用している公園「五郎兵衛
コミュニティー・パーク」。約10メートル四方の畑に高さ約2メートルの架台を
置き、縦158センチ、横29センチの太陽光パネルが72枚並べられている。自
然エネルギーの普及啓発に取り組むNPO法人「ちがさき自然エネルギーネットワ
ーク」が今年4月に設置。約130万円の設備費には寄付金などを充てた。発電を
開始した4月下旬から1カ月間の総発電量は、約640キロワット時。電力は畑に
併設された井戸水のくみ上げに使用する以外は東京電力に売電する。パネルは畑の
上部の3分の1ほどのため発電量は多いとはいえないが、年間収入は約16万円と
見込み、初期投資分は数年で回収できる。

※茅ケ崎市で、「市民立太陽光発電所」の拡大に取り組むNPO法人「ちがさき自
然エネルギーネットワーク」は、同市西久保の市所有地の畑に太陽光パネルを設置
し、地元住民グループ「駅と緑と絆の会」が作物を栽培し実験が四月に始まって半
年余り-。サツマイモと里芋が収穫。出来、収穫量とも上々で今後は日照量が減る
季節や他の野菜についても試したいという。

 

“Okinawans reject Abe’s base deal, but he won’t listen” 2011.11.23 The Japan Times ↑

● アベノミクス総選挙雑感 

各政党の討論をテレビで観て、経済政策で一番ストレートに耳に入ってきた順に、
「生活の党」(二番目は「社民党」三番目は「次世代の党」の成長戦略)で決め手
は「内需拡大」。成長戦略では「次世代の党」、「維新の会」は新自由主義を踏襲。
自民党は麻生副総理に象徴される財政規律派と決別できず中途半端。公明党は軽減
税率派で、消費税解釈が曖昧――「薄く広く」から「重く広く」に変質し、「物品
税」に漸近。低所得者に配慮するなら「戻し税」の方が合理的、民主党は消費税「
凍結」だが具体的にどうしたいのか分からない。それ以外、自民党は沖縄の民意を
無視し「ごり押し」、原発は「なし崩し」で話にならない。そんな感想だ。従って、
先回のコメント通り。

 

 

● 百メートル先のコンビニをあきらめない車椅子9月発売

日産自動車やソニーなど大手メーカー出身の若手技術者らが、デザインを一から手
がけた電動車椅子を製造するベンチャー企業、WHILL(ウィル、東京都町田市)を
設立し、製品第1号の「WHILL Type-A」を9月に発売。先行予約の限定50台は、す
でに売約済みで、生産を委託している台湾メーカーに増産を依頼し、来年2月には
安定供給する。新商品の「Type−A」は、座った右手を置く部分にあるつまみを前後
させ操作する。車椅子の内部構造を極力覆ってパッケージ内に収め、デザイン性と
耐久性を高め、前輪にはロボット工学の分野で取り入れられているオムニホイール
を採用し、車輪を構成する24個のローラーが、真後ろへの動きや細やかな方向転を
可能にしている。四輪駆動で連続20キロ走行、価格は95万円。2015年度までに300
台の生産を予定している。

開発のきっかけは、神奈川県総合リハビリテーションセンター研究部主任研究員の
紹介で出会った車椅子ユーザーの20代男性に「百メートル先のコンビニを行くの
も諦めてしまう」と言われたこのことが、2011年から新しいタイプの車椅子開発に
取り組むきっかけろなる。つまり、男性は、段差など物理的な要因のバリアーだけ
でなく、車椅子ユーザーとして周囲の関心を集めてしまう心理的な要因を負担に感
じて外出を控えてしまうということを聞き、イメージを払拭するようなものが作れ
ないかと考え、メンバーの中には車椅子ユーザーはいないが、車椅子ユーザーから
聞き取りをしデザインしている。

開発資金は 広く賛同が得られるかを探ろうと、インターネット経由で資金調達す
るクラウドファンディングを11年秋に実施し、目標の50万円を大きく上回る103
万円の支援を156人から受ける。今までの車椅子は、機能優先でデザイン的にい
まひとつのものが多かったが、WHILLにとても共感した、先天的な疾病で車椅子生
活を余儀なくされているいとこと一緒に試乗会に参加したい。といった、支援金と
ともに寄せられた期待の声に力づけたと開発の経緯を話す。亡くなった母が車いす
生活でいやというほどお世話になったものだが、身障者に併せて様々のデザイン変
更要求が潜在的にあることを肌身で知る。細かな仕様変更も可能な電動車いすが開
発供給されることに期待したい(関連新規考案/下図↓)。
 

● 世界展開するスマートグラス 

グーグルが「Google Glass」を発表したときエプソンはすでに「MOVERIO BT-100」
という同じような製品を発売していたが、販売の対象は大企業の人たちで、流行に
敏感なハイテク好きの人たちではなかった。だが、Google Glassとともにウェアラブ
ル端末に対する関心が盛り上がるなか、エプソンはこの機会を利用して、自社の拡
張現実(AR)メガネをより多くの層にアピール。エプソンが新しく発表した「MO
VERIO BT-200」は、旧機種より60%軽くなったが、それでも重いメガネであること
は否定できない(ケーブルシェードを含まないヘッドセット部の重量は88g)。レン
ズは分厚いし、モトローラ・モビリティ製のスマートフォン「Moto X」をふたつ重
ね合わせたようなサイズのタッチパッドがケーブルで接続されているため、このメ
ガネを着用すれば目立つ。ただ、エプソンの狙いは、街を歩き回って珍しいハイテ
ク製品を見せびかすような人たちではなく、自宅でダラダラ過ごしながらゲームを
する人たちの市場。このエプソンの「BT-200」について「映像を楽しむ」「情報を
まとう」「仕事が変わる」の3つがコンセプトだという。また、使用方法と市場展
開は、ユーザが決めていく可能性が大きく応用展開では大化けするかも知れないし、
期待ハズレになるかもしれない。

 


 

温度差エネルギー変換工学

$
0
0

 

 

 

 

積水化学工業株式会社が、下水熱利用システム「エスロヒート下水熱-管底設置型」
を12月1日より発売する。これは下水道管路の底部に敷設した集熱管で下水熱を回収
し、地上に送るシステムで、あらゆる管形状に対応が可能。下水の温度は年間を通し
て外気温よりも安定しているので、冬場は温熱源として、夏場は冷熱源として活用で
き、空気熱源ヒートポンプシステムと比較して電力コストを約30%削減できる。管
底に敷設した集熱管を通し下水の熱を熱媒体(水・不凍液)に回収し、この熱媒体を
循環させて地上部へ熱を供給する。「エスロヒート下水熱-らせん型」(下図)と同
等の採熱性能を有し、高い省エネ性と二酸化炭素の排出削減効果が期待できる。

  

 

積水化学工業は樹脂パイプ生産のトップメーカでもあり、樹脂ライニングによる下水
道配管の独自リフォーム技術を保有しているが、今回の温度差を利用したエネルギー
変換方式は、『脱ロスト・スコア論 Ⅶ』で掲載したエナジーハーベスト(環境発電)
で熱電変換素子方式ではなく、少ない投入エネルギーで、空気中などから熱をかき集めて、
大きな熱エネルギーとして利用するヒートポンプ方式。身の回りにあるエアコンや冷
蔵庫、最近ではエコキュートなどにも利用されている省エネ技術。ヒートポンプを利
用すると、使ったエネルギー以上の熱エネルギーを得ることができるため、大切なエ
ネルギーを有効に使え、二酸化炭素排出量も大幅に削減できるが、熱電変換素子と比
べ、システム容積が桁違いに大きくことがデメリットになる(下図クリック)。

ところで、このメーカから提案されている下図の新規考案では、太陽エネルギーを最
大限に利用可能なエネルギー供給システムで、電気などのライフラインから切り離さ
れてもエネルギー供給システムから安定しエネルギー供給され、自立型住宅や自立型
地域に提供できる太陽エネルギーを利用したエネルギー供給システムであり、太陽光
発電装置と熱生成装置、蓄電装置、電気式冷熱生成装置と、熱生成装置の熱から冷熱
を生成する吸収式冷熱生成装置と、生成された冷熱を蓄熱する蓄冷槽を備えている。
ここで、熱生成装置は、発電を同時におこなう太陽熱コジェネ装置でもよく、電気式
冷熱生成装置は、ヒートポンプ冷凍装置で構成されるシステムを踏まえ、下水熱利用
システム「エスロヒート下水熱-管底設置型」が発売された。



つぎに、下水道は、通常地中に埋設されているから、下水道を流下する下水は外気の
影響を受けにくく、年間を通してほぼ一定の水温に維持され、下水を熱源として降雪
地域の融雪等、各種用途に利用することが提案されている。 例えば、下水道管の外周
面に沿って採熱管を配設し、採熱管をヒートポンプユニットの熱交換器に配管接続し、
熱交換媒体を採熱管と熱交換器の間で循環させることで、下水熱を熱交換媒体に回収
し活用できることも知られている。また、熱交換媒体の送り接続部と戻し接続部が設
け、その間にアンダ状の経路を形成した熱吸収マットを下水道管の管底部に敷設し、
下水熱を熱交換媒体に回収することも提案されているが様々な問題をもつため、下図
のように、既設管または、新設管の内周面の管底部長手方向に熱交換媒体を流通可能
な複数本の採熱管を敷設し、既設管または、新設管やマンホールで折り返し、各採熱
管を流下する熱交換媒体が、通常管底部を流下する流体と直接接触する採熱管を介し
施工区間の2倍の長さにわたって継続して熱交換でき、各採熱管は折り返されてほぼ
同一長さに形成、配管抵抗が均一、熱交換媒体を均等に分配して循環でき――この結
果、道路等を開削することなく地中に埋設された管内を流下する流体熱を効率よく回
収することが提案されている。

 
さらに、下図新規考案によれば、管内設置型の熱交換システムにおいて、下水から大
量の熱を回収するため、(1)下水道管内の熱媒導入管と熱媒導出管の設置距離を長
くなれば、分岐する熱媒流路の数も増え、熱媒体を多数の採熱管に均等に分配するこ
とが困難になり、(2)また、熱媒輸送管自体が長くなることと、これに分岐接続さ
れる採熱管のが増え、熱媒輸送管の圧力損失が極めて大きくなりコスト逓増と効率低
下する。この問題解決法として、ヒートポンプユニット2と、複数の採熱管7と、ヒ
ートポンプユニット2と採熱管7との間で熱媒体を循環させる5組の熱媒輸送管3と、
を備える管内設置型の熱交換システム1で、5組の熱媒輸送管3はそれぞれ異なる長
さを有し、5組の熱媒輸送管3および複数の採熱管7は、1組の熱媒輸送管3とこの
熱媒輸送管3に分岐接続される1群の採熱管群8とを1つの配管系統とする、5つの
配管系統21,22,…に分かれ、5つの配管系統21,22,…における採熱管群
8が、下水道管16の延長方向に並ぶように配設することで、熱媒体を各採熱管に均
等に分配し、かつ、圧力損失の極端な増大を抑えるとともに、システム全体としての
高効率運転が可能となるという新規考案である。

 

以上、積水化学工業の水熱利用システム「エスロヒート下水熱-管底設置型」の技術を俯瞰
してみたが、印象的なことは、"人体の血管網様態"の熱交換システムの応用展開であった。
地熱発電装置などにも使えそうだし、それは従来法の剛体ではなく柔軟体としての熱交換シ
ステムの進化の可能性である。これは面白い。

寄生獣と実写化工学

$
0
0

 

 

● 安倍より海部の方がまだまし!? 増税やめて内需拡大を!! 



各政党の公約が出揃ったと三橋貴明という。ただし、わたしはまだ看ていないが、景
況や政況は、彼と似たり寄ったであることをネットで確認した。成長戦略『双頭の狗
鷲』で明らかにした政策信条以上のものはない。
 

  ● 成長戦略『双頭の狗鷲』


選挙と直接関係はないが、(1)黒人青年を射殺した白人警官が不起訴となったこと
を受け暴動が拡大していること――悲しき移民国家、(2)体外受精させた受精卵の
染色体を幅広く調べ、異常のないものを子宮に戻す「着床前スクリーニング」につい
て、日本産科婦人科学会の倫理委員会が、臨床研究として実施する計画案を了承した
こと――神の領域に踏み込む科学技術、(3)乳幼児を中心に感染するRSウイルス感
染症の患者報告数が首都圏で急増しているが、唾液誤嚥による誤嚥性肺炎――65歳以
上の約半数の方が夜眠っている間に唾液を誤嚥し、肺炎での死亡の92%に該当。要介
護度4・5の方は就寝前の口腔ケアが重要という超高齢者社会のことなど・・・。

 

 

  

● 寄生獣の映画化 セイの格率ってなんだ ?! 

原作は、岩明均により1989年~1995年にかけて講談社「アフタヌーン」にて連載され、
累計1千百万部を誇る大人気コミック(アフタヌーンKC全10巻、完全版全8巻)の
『寄生獣』が今月末から全国で上映される――平凡な高校生である泉新一は、ある日
突然地球に飛来してきた「バラサイト」の襲撃を受ける。間一髪で脳への寄生は免れ
るが、パラサイトは新一の右腕に寄生、同化しする。右手にちなんで「ミギー」と自
ら名乗るパラサイトと入閣の奇妙な共生生活が始まる。周囲に真実を話すことができ
すに悩んでいた新一だが、やがて新一とミギーは友情に近いものを感じるが、新一と
ミギーの前には他のバラサイトが現れ始め、次々に人を殺し、また人がパラサイトを
殺す事態に発展。新一の同級生・里美にも危険が迫る。その中で、高校教師として目
の前に現れたパラサイトの田宮良子らパラサイトたちにもそれぞれの価値観が生まれ
始める。

「われわれはなぜ生まれてきたのか?」

地球を壊し続ける人間たちを淘汰するために生まれてきたというバラサイトたち。そ
のバラサイトを殺し、生き延びようとする人間たち。

「果たして生き残るべきはどちらなのか?」

それでも、地球を、そして愛する人を守らなければいけない。ゆらぐ価値観の中で、
新一とミギーはパラサイトとの戦いに身を投じていく。謎の寄生生物と共生すること
になった。凡な高校生・新一の数奇な運命が描かれる。物語の構図は人間の頭に寄生
して人間を食べる「寄生生物」側、最初は捕食されるがままであったが後に反撃に転
ずる「人間」側、そしてその中間者として存在する「新一とミギー」側という三者に
よって成立しているが、話の焦点は新一に置かれている。表題の「寄生獣」とは、劇
中においては寄生生物の呼称ではなく、地球環境に害をなす人間を意味する単語とし
て物語の終盤に登場する。人間がむごたらしく食い殺されるなど、過激な描写もある
一方で、物語の軸には哲学的な主題があり、テーマ性の高さや、意外性のある劇的な
展開、物語の世界観などが評価されて熱心なファンを獲得したという。



前後編の二部作による日本映画として2014年11月29日にPART1、2015年4月25日に完
結編を公開予定。監督は山崎貴、脚本を山崎貴と古沢良太が共同で手がけ、染谷将太、
深津絵里、橋本愛らが出演する。この日本映画版から遡ること約10年前の2005年には
米国の配給会社であるニュー・ライン・シネマが原作の排他的な映像化権を獲得し、
ハリウッド映画化が発表されていたものの、結局この時はその後の続報がないまま企
画が休止となり、そのまま2013年に入って映画化権の契約期間が終了している。しか
し原作漫画の人気は根強く、以前から映像化の機会をうかがっていた日本国内の数十
社によって争奪戦が繰り広げられ、最終的に東宝が映画化権を取得した。2013年11月
20日には日本での実写映画化およびテレビアニメ化が同時に正式発表され、実写映画
版のスタッフ・主要キャストが公開されている。



2014年のアニメ版「寄生獣」は、サブタイトルを含め正式なタイトルは『寄生獣 セイ
の格率』である。キャラクターデザインが原作とは大幅に異なる他、残酷描写もかな
りマイルドになっている。「アニメ版の寄生獣」を意味するタイトルとして、原作と
使い分ける際になど重宝するかもしれないが、この副題を付けた意味は、プロデュー
サーの中谷敏夫によれば、「サブタイトルの「格率」の意味は、哲学者カントの言葉
の訳語、なんとなく当たり前のように守っている概念みたいな意味合いです。生態系
の頂点だった人間がそうではなくなり、殺す側の論理と殺される側の論理が交錯する
――「寄生獣」は価値観の根底を考えさせられる、哲学書だと思っていると語り、セ
イには「生」「性」「正」など、原作にちりばめられている様々なメッセージをもっ
てるという。なるほど、意味深いものだと感心しつつも、実写化工学の出来映えを知
りたくなった。この映画は見逃せない。


※格率とはイマヌエル・カントによって提唱された哲学用語。1785年に著されたGrun-
dlegung zur Metaphysik der Sitten
では「格率」とは自分の持つ行為規則と定義。この格
率の普遍化が可能であったならば自分は道徳的であるということになる。そして普遍
化可能な格率はそれが法則として成り立ち、それは全員がその法則に従うという形で
秩序が形成されると考えられるような行為規則である。 

※「実践理性の「自律」とそのふたつの位相」
http://kgur.kwansei.ac.jp/dspace/bitstream/10236/3657/1/20100331-4-9.pdf

 

ここ数日、胸に空いた洞が広がっていくようで、投げやりな気分を押さえなんとか作
業を続けているが、陰鬱な洞の拡大を食い止めることができるのかまったくといって
自信がないが、二人で気晴らしに食事に出かけたりしている。上の写真は、たねやの
美濠茶屋で頂いたあんかけオムライス(+近江牛)。美味しいものを少しだけでも戴
くだけでも気分が晴れ、自殺衝動は消える見たいだ。 それから、沢山城趾で琵琶湖一
周のろし駅伝が開催されたようだが、遠くから城山を眺め、湖岸を疾走らせ帰ってき
たが、今日は、プレミアシネマ『レッド・バロン』を観て気を晴らしている。そして
毎晩、眼精疲労で以前のように夜の作業ができず、時間を持て余し、ゆっくりと入浴
し就眠するようになった。毎日お風呂に入れるだけで幸せを感じるのに、妙なことに
胸に空いた洞やあるいは自殺衝動が消えることはない。

 
    ● 今夜の一曲

マッカートニー=レノンの作品。主にレノンの作った楽曲。リードヴォーカルはジョ
ン・レノン。ジョン・レノンが当時好きなアーティストだった米国の男性コーラスグ
ループ、スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズの曲作りを基に、自己流の作曲技
法を試行錯誤し作った。ビートルズとしてデビューする前から、グループのオリジナ
ル曲として歌われ、1962年6月15日にはレノン=マッカートニーのオリジナル曲とし
ては始めてラジオ放送される――「アスク・ミー・ホワイ」("Ask Me Why")は、
1963年1月に発表した2枚目のオリジナル・シングル(「プリーズ・プリーズ・ミー
」)のB面曲。特にジョンが歌うさびのところ "That I know That I, I, I, I Should 
never, never, never be blue " の繰り返しがお気に入りの部分。

     I love you
     'Cause you tell me things I want to know
     And it's true
     That it really only goes to show

     That I know
     That I, I, I, I
     Should never, never, never be blue

     Now you're mine
     My happiness dear makes me cry
     And in time
     You'll understand the reason why

     If I cry
     It's not because I'm sad
     But you're the only love that I've ever had

     I can't believe, it's happened to me
     I can't conceive of any more misery .....


再エネが一番安い時代

$
0
0

 

 

●  デフレ基調に増税の愚

単年度会計と財務官僚の厭離(えんり)的権威主義や英米流金融資本主義(あるいは
ネオ・リベラリズム)の蹉跌により、1997年以降、デフレ不況下に多くの日本国民が
凄惨な?状態に放置されてきた。なぜ放置され続けてきたのか?を高橋洋一は次のよ
うに例示し解説している。


 財務省官僚は、「リカードの中立命題」といわれる考え方を都合良く使うのだ。
 例えば、財務省が国債発行で景気刺激を求められる場合、国債発行は将来の増税
 につなり消費を減少させるはずで、景気刺激効果はなくなるから、景気刺激は意
 味がないという具合に使うのだ。このリカーディアンの前提には、人々は、経済
 合理性によって行動することがある。実際には、人々は必ずしも合理的に 行動
 するとは限らず、「リカードの中立命題」は理論的な話で、実際には妥当しない
 という考え方が有力だ。ノーベル賞経済学者であるクルーグマン・プリンストン
 大教授も、リカーディアンの考え方に疑問を持っている。実証研究でも否定的な
 ものが多い。しかし、黒田日銀総裁は財務官僚のように都合よく、リカーディア
 ンの考え方を利用しているようだ。例えば、消費増税はいつかはやらなければな
 らないと国民も分かっているので、増税のタイミングは消費には影響しないと考
 えている。増税派は、消費増税の影響は軽微と言い切ったが、その背景にはやは
 りリカーディアンの考え方がある。今回の消費増税は、前回、前々回と異なって
 緩和措置なしで行ったから、そのように判断せざるを得ない。

 かつては、財務省でさえ、リカーディアンの考え方には慎重だった。例えば、19
 89年の消費税創設では、同時に物品税を廃止したので、消費増税は物品税廃止と
 見合っており、消費増税の影響は中和されている。後日、こうした話は、「今日
 と明日の違いは、明日と明後日の違いより大きい」という行動経済学の双曲割引
 だと後で知ったが、実務では当たり前の話である。ちなみに、先行所得税減税し
 ていると。ある程度消費向上効果が持続し、消費増税になってもすぐには消費減
 退せずに、半年くらい遅れて消費減退になる。このように、1997年の消費行動を
 説明することもできる。たまたま、1997年秋にアジア危機があり、そのために景
 気が後退したというのが、財務省や経済学者の見解であるが、筆者はかねてより
 疑問を持っている。2012年4月19日付け本コラムに書いたように、アジア危機の
 震源地韓国より日本の経済パフォーマンスが悪いことが説明できない。消費増税
 が原因であろう。今回の消費増税では、財務省や黒田日銀総裁のほか主流派経済
 学者がそろって増税の影響を見誤ったのは、みんな、リカーディアンだったから
 だ。しかし、97年も含めて、今回もリカーディアンの考え方は成立しなかったこ
 とが明白になった。

    第107回 高橋洋一の俗論を撃つ!「『リカードの中立命題』が大好きな黒
    田総裁らの増税論者は否定された」ダイヤモンドオンライン 2014.11.27

   The Great Ricardian Equivalence Throwdown!


難しい話はさておき、反対論者がいう副作用とは、財政ファイナンスになること、大
量の資産購入での市場機能の低下、金利低下による金融機関への悪影響を心配するが、
財政ファイナンスという「禁じ手」を忌み嫌うが(条件反射的に)、英語でいえば、
マネーファイナンスとかマネタイゼーション(貨幣化)といわれるもので、禁じ手でも何でもな
い。バーナンキ・前FRB議長は、デフレなら活用すればいいと主張していた(上図
クリック)ほどだが、それで悪性のインフレが起こる心配はなく、日銀を含め先進国
の中央銀行ではインフレ目標が調整機能となり財政ファイナンスされない――現状は
物価の上昇せず、インフレ目標を一気に超えて、財政ファイナンスに伴う悪性インフレ発生し
ないと主張する。また、金利が低いから短資会社の手数料収入が減るとか、国債とい
う資本市場のコメのようなものを日銀が買いすぎて金融機関が商売できないという一
業界内の些細なことに注意をとられて、日本経済が見えないことが問題で、日銀は、
一業界のミクロ経済ではなく、もっと大きい(あるいは高い)立場からマクロ経済を
論ずるべきだという。量的緩和はリーマンショック以降、先進国で採用され、もはや
医薬品でいえばジェネリック薬品のようなもので、先例のある国では目立った副作用
も報告されていないと結ぶ。それにしても、このような、馬鹿馬鹿しい心理戦を強い
るより、さっさと『未来国債(百年債)』を発行し国内需要を高揚させるべきだろう。 

  ● 成長戦略『双頭の狗鷲』

 

 

【オールソーラーシステム完結論 35】  

 

 

● 原油安でも再生エネの方が安いって本当?


再生可能エネルギー(以下再エネ)の発電コストの方が、石油や石炭よりも安いとい
う。これは、米国やヨーロッパ諸国でしきりに指摘され始め、発電分野での新常識に
なりつつあるという(日本ビジネスプレス「原油安でも再生エネの方が安い、が世界
の新常識 本来は先を行くべき日本が周回遅れになる危険性も」2014.11.28)。それじ
ゃということで目を通す。

 これまで、特に日本では、再エネは火力発電に比べると1キロワット時当たりのコ
 ストがほぼ2倍近いと言われてきた。だが時代は確実に動いている。複数の報告
 書や専門家にあたると、新しい時代に突入したと言わざるを得ない。米国に限る
 と、過去5年で再エネの発電コストは下がっている。福島第一原力発電所の事故
 以前から、再エネのコストは下落傾向を辿っているのだ。(中略)米ニューヨー
 クに本社を置く投資銀行ラザードが11月に公表したエネルギーのコスト分析によ
 ると、太陽光発電は1キロワット時当たり5.6セント(約6.5円)という価格
 ま で落ちている。風力に至っては1.4セント(約1.3円)である。それに比
 べて、これまで安いと言われていた天然ガスは6.1セント(約7.1円)、石炭
 は6.6セント(約7.7円)で、ラザードの数字だけを見る限り、コストの逆転
 現象が起きている(下図参照)。



再エネの市この調査結果について、同社の分析担当者は、再エネの技術の進歩が目覚
すでに化石燃料によるエネルギーと競争できるレベルになってきた、ましいく、市場
競争力は本物であり、今後はさらに価格が下がるだろうと推察しているが、ただ、太
陽光にしても風力にしても自然が相手であるため、コスト低下が実現できても、曇天
が多く、風が吹かない日が続くと発電はできない。そのため、再エネだけに頼ること
困難だと話してる。しかし、傍線の再エネ依存のポートフォリオに関しては思考停止
指向している。つまり、「蓄電・供給電力最適化システム」が完備されれば問題は解
決可能であり、それは既知知財もすでに担保されている――勿論、革新的な蓄電シス
テムの継続的な研究開発なども含めて――ことを忘れているだけの話だろう。それは、
そうだとして、米国では、安定した電力を確保するためには火力や水力などとの併用
が必要になる。それでも米国の電力会社はすでに再エネを中心にした発電へと移行し
はじめていると次のようにレポートしている。


 風力発電のコストはすでに石油や石炭、原子力発電よりも安くなっていると指摘
 されている。コストの中には発電や送電の費用だけでなく、大気汚染や動植物へ
 の影響なども換算されており、総費用で風力がもっとも安いとの位置づけだ。陸
 上での風力発電はメガワット時当たり105ユーロ(約1万5000円)だが、天然ガス
 は164ユーロ(約2万4000円)、石炭に至っては233ユーロ(約3万4000円)という
 数字で、風力のほぼ2倍のコストである。

 同報告書によると、原子力と太陽光は1メガワット時当たり125ユーロ(約1万8千
 円)で同額。コストの上で差がないとしている。こうした数字を見るときに注意
 しなくてはいけないのは、公表する政府機関や企業・団体によってバラツキがあ
 ることだ。算出方法も違う。今でも石炭が最も安価との数字を出しているところ
 もある。例えば日本政府が2011年に公表した火力発電のコストは、石炭で1キロワ
 ット時当たりが9.5円、天然ガスは10.7円という数字だが、2014年度の再エネ固定
 価格買い取り価格を見ると、太陽光は1キロワット時当たり32円で、風力は22円。
 石炭が安いという数字である。


つまり、日本政府がこうした数字を出す限り、日本ではいまだに再エネはコスト高と
いう 古い常識が幅を利かせる。再エネの電力網の整備などにはコストがかかるが、
太 陽電池メーカーが故意にコストを下落させない「よからぬ力」を使っているとの
声もあり、再エネへの抵抗も知っておく必要がある、ラザードの報告書の数字とEUの
分析が、これからの世界的な再エネのコストであり流れと考えていいだろう。むしろ
技術革新が進み、再エネのコストがさらに下落していくと捉えておくべきである。と、
指摘質疑のように結ぶ。


 しかも世界での太陽光の市場規模は増え続けている。米コンサルティング会社フ
 ロスト&サリバンの調査によると、2013年は600億ドル(約7兆円)だったが、20
 年には1370億ドル(16兆円)市場へと、2倍以上に成長すると予測されている。太
 陽光、風力を始めとする再エネ(水力を除く)が生み出す総電力は2013年、いま
 だに世界の総電力の8.5%に過ぎないが、シェアは確実に増えている。

 これが世界的な動きであるとすれば、日本も同じ道を辿るであろうし、本来なら
 ば辿るだけでなく、世界の一歩先に出て再エネ業界をリードしてもいいくらいで
 ある。最後にエネルギーについて語る時の留意点を記したい。世界のエネルギー
 分野には、絶えず賛否両論が飛び交っている。再エネ推進の動きが半年後には反
 転したり、火力発電が原油価格の下落によって見直されたり、動きは活発である。

 原油価格は11月に入り、過去5年で最低レベルにまで落ちている。1バレル75ドル
 (約8700円)という価格は今夏と比較すると25%減だ。来年1月には70ドルを下回
 るとの予測もある。理由はいくつもある。原油の世界的な需要が低迷していると
 同時に、生産量が上昇しているのだ。米国のシェール革命も大きな要因である。

 米国の原油生産量は6年前、1日500万バレルだったが、いまでは900万バレルに達
 している。それは再エネ分野への投資額の減少をもたらしている。それでは世界
 の発電業者が再び火力や原子力に重心を移すかと言えば答えはノーである。2013
 年、世界の太陽光による総発電量は前年比で26%増を記録した。紆余曲折を経な
 がらも、再エネが今後のエネルギー分野の支柱になっていく現実は見えている。
 すでに多くの国で再エネの方が安いのだから。


このように、わたし(たち)が主張してきたように、太陽光発電を中心とした再生可
能エネルギー(再エネ)コストの逓減が、全量固定価格買取制などの政府産助がなく
ても価格下落し続けていることが欧米を中心として実証されてきている。そう、わた
し(たち)は間違っていなかった。

  

 


● 光合成の水分解反応機構解明で エネルギー・食糧・環境問題を解消

岡山大学大学らのグループは、光合成反応の中で水を分解する機構の一端を解明。X
線自由電子レーザー施設「SACLA」で構造を解析。光合成生物が持つたんぱく質
で、水を分解し酸素や電子を発生させる「光化学系Ⅱ(PSⅡ)」の構造を0.195
ナノメートルの解像度で明らかにしたことで、太陽光エネルギーを高効率で電気に変
える人工光合成の研究がまた一歩の進展したという。

それによると、藍藻から取り出したPSⅡの結晶を作り構造を解析し、0.01ピコ秒
だけ物質に照射できるパルスX線で回折写真を撮像し、放射線損傷が起き構造変化す
るX線照射後数ピコ秒より前に撮像することでPSⅡの正確な構造を決めた。その中
でマンガンやカルシウムなどで構成される水分解触媒の構造で、触媒内の酸素原子付
近の空間で水を分解している可能性があることという。光エネルギーを利用できる触
媒のモデル化合物になるのではないかと期待しているとのこと。

 

● 見込まれる効果

光化学系IIの触媒中心である Mn4CaO5クラスターは 周りのアミノ酸が協調的に構造変
化することにより周期的な5つの中間状態を経て極めて効率の高い水分解反応が行わ
れているが、その動的メカニズムの詳細は不明だったが、光化学系IIの反応周期の第
一状態について反応性を維持したままの本来のMn4CaO5クラスターと周辺の構造を明
らかにできた。太陽の可視光エネルギーを利用した水分解反応を人工的に実現するた
めの触媒の構造基盤の提供に資す。この反応を模倣した「人工光合成」が実現すれば、
光エネルギーを高効率で電気エネルギーや化学エネルギーに変換でき、夢の「人工光
合成」は太陽からのクリーンで再生可能な、無尽蔵な光エネルギーを高効率で利用す
ることは可能となり、直面するエネルギー問題、環境問題、食糧問題の解決にもつな
がるものと期待されている。

 

 

図 研究結果から考えられる水分解の反応機構

 

● 「重ね塗り」で有機薄膜太陽電池を高性能化

奈良先端科学技術大学らのグループは、軽量で柔軟性などに優れた次世代の太陽電池と
して研究されている有機薄膜太陽電池の新しい材料を開発し、太陽電池として動作す
ることを実証。溶媒に溶かした材料を基板に塗布して薄膜を作製するタイプの半導体
で、光を当てると常温で不溶化して固まるため、材料を変えて重ね塗りしても混じら
ず、半導体の積層構造ができ、この方法で光から電気への変換効率を2倍以上に向上で
きた上、今後、材料の組み合わせを自由に変えて高効率の半導体を設計し、プラスチ
ックフィルム上に作製することも可能となるという。

 

従来の塗布型有機薄膜太陽電池では、バルクヘテロ構造(注2)と呼ばれるp型(電子
を受け入れる側)とn型(電子を供給する側)の半導体を混合した層を一層だけ成膜す
る方法が主流。材料が溶媒に溶けるため、重ね塗りによる積層構造を作製することが
困難。そこで本研究グループでは、溶媒に溶かして基板上に塗布した後に、光を当て
ることで不溶化する有機半導体材料を開発し、室温条件下、溶液プロセスでp-i-n積層
構造の太陽電池を作製することに成功する。積層構造が可能なので、p層とi層(中間
層)にそれぞれの役割に適した構造の化合物を使うことができるようになり、テイラ
ーメイドの化合物を利用することが可能となる。その結果、同一材料のバルクへテロ
型太陽電池に比べて、変換効率で2倍以上の向上を確認。また、本手法は光を使った
不溶化であるため、室温または穏やかな条件で結晶性の薄膜を作製することが可能で。
また光照射の条件や材料の構造をうまく調整することで薄膜の構造を制御でき、各層
に適した異なる材料を組み合わせられることから、従来のバルクヘテロ構造よりもデ
バイスの設計自由度が増し、将来的な高効率化が見込まれるとのこと。


よく考えてみると、有機合成工学の専門知識があれば、すぐに思いつく手法であるが
以外とそういった考案が、ブレークスルーに繋がっていくのだろうと感心した事例で
ある。参考までに下に関連新規考案事例を掲載する。

 

 

再エネが一番安い時代 Ⅱ

$
0
0

 


  ● 成長戦略『双頭の狗鷲』


● 景気条項とはなにか? 


 

 この法律の公布後、消費税率の引上げに当たっての経済状況の判断を行うととも
 に、経済財政状況の激変にも柔軟に対応する観点から、第二条及び第三条に規定
 する消費税率の引上げに係る改正規定のそれぞれの施行前に、経済状況の好転に
 ついて、名目及び実質の経済成長率、物価動向等、種々の経済指標を確認し、前
 二項の措置を踏まえつつ、経済状況等を総合的に勘案した上で、その施行の停止
 を含め所要の措置を講ずる


上の景気条項とは消費増税附則18条である。そこにはと書かれている。この「措置を
講ずる」というのは、政府としては新たな法案を国会に提出することだ。それが実効
性を持つためには、国会で成立しなければいけない。この条項は増税阻止のきっかけ
になっても、その決定打にはならないと、先日のブログ引用した高橋洋一が、現代ビ
ジネス(2014.11.24)で指摘し(衆院解散「大義なし」批判は財務省からのアメを失
った増税派の遠吠えにすぎない!
ニュースの深層)、消費増税ストップ法案は国会で
否決されるどころか、提出もできなかったのは、誰でも知っている事実だ。というの
は、財務省が増税すれば予算措置のアメを与えると国会議員の大半を籠絡していたか
らだと、自らの経験を交え「

そこで、安倍総理は、衆議院議員を全員クビにして、つまり解
散して、総選挙で財務省ではなく国民から意見を聞いてこいといったわけだ」と警告
しているが、痛烈なのは、つぎの箇所だ。


 そもそも、今回の消費増税の根拠になっている消費増税法は、民主党政権の選挙
 公約になかったのに、財務省が政権運営に不慣れな民主党幹部を籠絡して、同時
 に野党の自民党も抱き込んで、国会で成立させたものだ。財務省は、国民ではな
 く国民に選ばれた議員による間接民主主義の弱点を知悉(ちしつ)している。国
 民すべてを騙すのは難しいが、少数の国会議員なら騙しやすいのだ。(中略)消
 費増税については、財務省の国会議員、マスコミへの「ご説明」が行き届いた状
 態であった。「ご説明」だけではない。国会議員は、増税後の予算のアメ、地方
 議員や地方の首長も増税後のアメ、経済界は増税後の減税、マスコミは増税後の
 軽減税率、エコノミストは親金融機関への財務省の便宜供与、学者・有識者はそ
 れぞれ増税後のステータスなどで、増税支持を既に明確にしていた。


わたしをはじめ、多くの勤労国民は、公約になかった増税を提案したため、反民主で
でなだれ込んだ(?!)選挙の結果として安部内閣が誕生したのは当然だが、高橋洋一は
こう結んでいる。


 確実に起こった影響は、安倍首相が解散を言ってから、少なくとも増税派(予算
 をばらまきたい財務省、そのおこぼれをもらおうとする国会議員、地方議員、首
 長、経済界、マスコミ、有識者、学者など)から表立っての増税論はなくなった
 ことだ。ただし、この増税派は反省してもらいたい。昨年夏から、増税しても景
 気は大丈夫というウソをつき、その結果、増税後に景気は悪くなった。それを、
 天候不順、なかには、エボラ熱、デング熱などが原因という「お笑い」までが官
 邸のホームページに出てきた(→こちら)。いかに〝ポチ・エコノミスト〟がデタ
 ラメかということが誰にもわかる。

財務官僚組織から、えん罪という苛烈なバッシングを経験したことのある彼ならでは
の発言でもあるが、いつのまにか増税うんぬんの問題が、人権がいとも簡単に粗末に
扱われ良いものかと反省させられることになり、なんとも醜いものを覗くような仕儀
となった。

 

【オールソーラーシステム完結論 36】  

● ドイツ・ヘリゴランド島発のエネルギー革命

先進諸国のなかで、ドイツほど地球温暖化ソリューションを真剣に模索し推進してき
た国は少ない。本土から60マイル(約百km)も離れた北海のただ中にあるドイツの風
力タービンは、およそ60階建てのビルの高さで立ち並んでおり、一基あたりの経費は
最高3千万ドルにものぼるというが、このドイツの野心的なプロジェクトは、驚くべ
き成果を上げ、電力の30パーセントが再生可能エネルギーで供給される。この数字を
超える小国も多くあるが、ドイツの達成率はこの水準に達した工業国のなかで突出し
米国の2倍以上となっている。(Sun and Wind Alter Global Landscape, Leaving Utilities
Behind - NYTimes.com  SEPT. 13, 2014)

ドイツの事例は、電力システム再構築の新たな節目の出来事となり、再生可能エネルギーに
向けた徹底した取り組みの影響は、ドイツ沿岸をはるかに超えた地域にまで及び、風力ター
ビンや特にソーラーパネルの巨大な需要が生まれたことで、中国の大手製造業者の市場参
入が促され、それらの要因が相乗効果となって、コストがほんの数年前に可能だと考えてい
た以上の速さで逓減している。米国のワシントンの議会がスムースに対応しないこと
に業を煮やしたいくつかの州では、2020年までに、できるだけ早く20~30パーセント
の再生可能エネルギーを目指す独自目標を設定しているという。ドイツは、ソーラー
パネル、風力タービン、バイオガス工場、その他の再生可能なエネルギー源の設置を
望む農民や住宅所有者、企業、地域の共同組合などにリターンが保証されていること
をちらつかせながら、このプログラムに1400億ドル以上を投じたが、この計画の財源
は、ドイツ人家庭の年間約280ドルになる電気料金に課された追加料金で賄われている
がその一部は、再生可能なエネルギーが電力卸売価格を押し下げたことで相殺されて
いる。

 

● 電力会社への脅威

再生可能エネルギーのコストが低下するということは、電力供給会社にとっての潜在
的な災難となり、1日のうちで電力の需要が大きい、つまり電気料金が高い時間帯に
多くの金を儲けているが、太陽光発電は、たとえ少量であっても、それらピークの時
間帯の卸売価格を下げるため特に破壊的になりかねないというもの。太陽光発電は急
速に伸びているが、米国の発電量は1パーセントに満たないが、悪影響は大規模には
見られないが、異なる電力源の割合の変化に伴い、破綻を怖れる電力会社のなかには、
ソーラーパネルを促進する諸規則を攻撃しはじめているところもある一方、逆の路線
をとり、自らソーラー市場に飛び込んでいる電力会社も見られる。例えば、カリフォ
ルニア州では、2020年までに33パーセントの再生可能エネルギーを目指し、目標達成
の可能性が次第に高まっているという。太陽光発電が7パーセント、風力タービンが
約10パーセントを供給するドイツでは、収益性が高かった1日の時間帯における電力
卸売価格が値崩れし、大手電力会社は今春、年間38億ドルの損失を発表した際に、再
生可能エネルギーの市場への参入が遅かったことを認めている。


● 技術革新がさらに再エネを担保する

新しい技術により、多様なアプローチが可能になっている。例えばアップルやグーグ
ルは、住宅所有者がデジタル・サーモスタットのような機器を使って、自宅の電力管
理をおこなえるなどの新しい機会から利益を得るようなビジネスに何十億ドルという
投資をしている。また、電気料金を月平均にするのではなく、希望する顧客に対し、
理論上はリアルタイムで変化させることも可能となる。電気料金が高くなれば節電が
促される。また、逆に皿洗い機や湯沸かし器などの家電に内蔵されたスマートチップ
で、電力が豊富で価格が安い時間帯にそれらを作動するようにもできる。さらに、別
方法――より高電圧の電線と離れた場所にある風力発電所と太陽光発電を接続し、変
動を抑制管理できというが、これらの多くは技術的に実現可能で後は、政府・行政の
制度設計・法整備だけということになる。 

 

● 紅葉名所 胡宮神社

胡宮神社は、敏達天皇の勅願とも言われ、多賀二座の一とも伝えられ、古くは青龍山
頂の「磐座」崇拝にその起源をなしており、鎌倉時代には、天台宗敏満寺の鎮護の神
として栄えた。48伽藍120坊の規模があり、浅井長政・織田信長の焼き討ちにあって
衰退したが、1638年徳川家光により造営され復興を遂げた。三軒社流造りの県指定文
化財。山腹には無数の石仏谷(国指定文化財)があり、それを下ると広大な宿坊舎跡
が確認される。

 

青龍山の山頂に磐座(上/右)があり、山全体が神様という神体山である。磐座は磐
境とも言い奥宮をさす。胡宮神社には、国の名勝にも指定されている胡宮神社社務所
庭園がある。胡宮神社がある場所は、神社の神体山である青龍山の麓、かつては湖東
三山にも並び称せられたほどの名刹、敏満寺という天台宗の寺院があったところだ。
胡宮神社社務所庭園も、もとは敏満寺内の一院だった福寿院の庭園として作庭された。
のご神体は背後にそびえる青龍山そのものであり、頂上には結界となっている胡宮神
社の奥宮である磐座(いわくら)があることから、太古の昔から青龍山一帯は信仰の
地であったことが想像できる。このような由緒ある神社のなかにある庭園、胡宮神社
社務所庭園は、先に述べた福寿院の庭園として作庭されたが、明治期の神仏分離令に
よって福寿院がなくなり、胡宮神社社務所に隣接する庭園となった。庭園の作庭時期
は定かではないが、室町時代末期から江戸時代初期にかけてとみられており、書院か
ら眺めるように作られた観賞式林泉園となっている。

 

例年11月上旬から11月下旬にかけて、真っ赤になったモミジが境内を鮮やかに染め上
げ、秋の風情を楽しみながら散策できる。11月15日(土)から11月30日(日)の期間は、
聖徳太子が彫ったと言われる石造観世音立像の特別公開。また、日没から21:00頃まで
夜間ライトアップも行っている。名神高速道路多賀SAからは、神社に向かう遊歩道が
設けられている。


 ところで、随分前になるが敏満寺には、おかき・あられの専門店があり、山椒が
  効いた独特の風味をもつあられを買い付けていたが、いまはどうなっているのだ
  ろうか帰りに立ち寄ってみよう。
 

  ● 今夜の一曲

 

     帰り道/僕の足/白黒の真昼 

     呼吸はどうか/普通はどうか/手を当てた胸に

     記憶が揺れる/また手が触れる

     離さないで/離さないで/誰かそこにいるの

     途中のまま/止まったまま/時計に置いていかれる

     歩かなきや/走らなきや/昨日に食べられる

     どうしても見る/見たくない傷

     忘れないで/忘れないで/心だけが世界

     数秒後出会う/景色さえも

     想像できなくなってしまった

     鏡の中でこっちを見ている

     知らない人に/全て知られている

     まだ心臓が/まだ心臓が


          ・・・ 中略 ・・・


     パレードは続く/パレードは続く/パレードは続く/パレードは続く

     心だけが世界

     僕はここにいるよ

     心だけが世界

     弱く燃える灯り



                       唄 BUMB CHICKEN『パレード』
                
                                            作詞/作曲 藤原基央



映画「寄生獣」のワールドプレミア舞台挨拶が本日10月30日に東京・TOHOシネマズ
六本木ヒルズで行われ、主題歌「パレード」を提供したBUMP OF CHエCKENが出席し
た。舞台挨拶にはキャストの染谷将太、深津綾里、橋本愛、東出島犬、監督の山崎貴
も参加。BUMP OF CHICKENは中盤に斗人そろって登壇し、キャスト陣や監督とと
もにトークを繰り広けたという。PVでは壮絶な風景の中で演奏するメンバーがフォー
カスされる。さらにPVの中では藤原基央の右手にパラサイトが宿り寄生するシーンが
登場する。BUMP OF CHICKEN(バンプ・オブ・チキン)は、1994年に結成した和製
ロックバンド。略称としては『バンプ』『バンチキ』『BOC』が用いられる。トイズ
ファクトリー所属。バンド名『弱者の反撃』という意味を持って名付けられた。リリ
ース音源はほぼ全てハーフ・ダウン・チューニング(ギターとベースは、レギュラー
チューニングから全ての弦を半音下げた状態)で作られている。ユグドラシル収録の
「asgard」「midgard」やCOSMONAUT収録の「三ツ星カルテット」「beautiful glider」
等では変則チューニングを用いて作られている。尚、全員が1979年生まれ。メンバー
は皆平等、との考えから、バンド内でのリーダーは決めていない。


最新の熱電変換素子工学

$
0
0

 



 

 

【オールソーラーシステム完結論 37】  


● 最新の熱電変換素子工学

先日、ヒートポンプ技術を応用した積水化学工業株式会社の下水熱利用システム「エ
スロヒート下水熱-管底設置型」を掲載したが(『温度差エネルギー変換工学』)、
今回はコンパクトにダウンサイジングでき、地熱発電に最適の熱電変換素子の最新技
術をネット検索する。まず、下図の新規考案は、高温側電極を加熱する加熱流体は、
上流側から下流側に向かうにしたがい熱交換が進むことで温度が低下し、上流側との
温度差が生じ→熱電変換モジュール内には加熱流体の上流側から下流側にわたり熱膨
張差が生じ、熱応力による割れや破損を招く場合があるため→加熱流体により発生す
る温度差に起因の熱膨張差を低減し熱応力による高温側電極の破損を効果的に抑える
――平面状に配列した熱電変換素子41の両側にそれぞれ複数の長方形状の低温側電
極42aと高温側電極42bとが接合され、高温側電極42bが加熱流体Hで加熱さ
れる形式の熱電変換式発電装置の熱電変換モジュールに、全ての高温側電極42bを、
その長手方向が加熱流体Hの流れ方向と平行に配列された状態とし、加熱流体Hの上
流側と下流側との温度差で生じる熱膨張差を少なくする――熱電変換式発電装置の構
造が提案されている。

尚、熱電変換素子の熱電変換性能を評価する指標の1つとして、無次元性能指数ZT
(以下、単に性能指数ZTということがある)がある。この性能指数ZTは、下記式
(A)で示され、熱電変換性能の向上には、絶対温度1K当りの熱起電力(以下、熱
起電力ということがある)Sおよび導電率σの向上、熱伝導率κの低減が重要である。

性能指数ZT=S2・σ・T/κ

(A) 式(A)において、S(V/K):絶対温度1K当りの熱起電力(ゼーベック
係数) σ(S/m):導電率 κ(W/mK):熱伝導率 T(K):絶対温度

つぎに、熱電変換素子の一つとして、スピンゼーベック効果を用いたものが知られて
いるが、スピンゼーベック効果を用いた熱電変換素子は発電効率が低いという欠点を
をもつ。効率を上げるために、下図のように基板と非磁性金属層の間に、磁化を一方
向に固定した絶縁強磁性層と金属強磁性層とで構成し高い発電効率の熱電変換素子を
提供する新規考案。ただし、実施データの掲載がないく理論考察のみの開示となって
いる。

 
上/左上の図は、熱電変換素子100を示す図。熱電変換素子100は、基板10上
に絶縁強磁性層20、金属強磁性層30、非磁性金属層40がこの順で設けられてい
る。これらを積層体と定義しても良い。更に非磁性金属層40上には端子50、60
が設けられている。熱電変換素子100の動作原理について説明する。熱電変換素子
100はスピンゼーベック効果を利用し発電する。基板と非磁性金属層との間で絶縁
強磁性層および金属強磁性層に温度勾配ΔTを付与すると、絶縁強磁性層と金属強磁
性層内のアップスピン電子の分布とダウンスピン電子の分布に差が生じる。この現象
をスピンゼーベック効果といい、このとき生じるアップスピン電子の分布とダウンス
ピン電子の分布の差はスピン圧と呼ばれる。

ここで、金属強磁性に隣接して非磁性金属層が存在する。このため、絶縁強磁性層と
金属強磁性層内で生じたスピン圧がスピン流として金属強磁性層を介して非磁性金属
層に伝搬する。スピン流はアップスピン電子の分布とダウンスピン電子の分布との差
によって生じる流れであり、電荷の流れではない。スピン流が非磁性金属層内に伝搬
すると、逆スピンホール効果によって、スピン流及び絶縁強磁性層の磁化と直交する
方向に電荷の流れである電流が流れ起電力が生じる。これにより、熱電変換素子は発
電する。絶縁強磁性層、金属強磁性層、及び非磁性金属層はそれぞれが接しているこ
とが好ましいが、それぞれの層が接していることで、スピン流を漏れなく非磁性金属
層に伝搬できる。


● 有機熱電変換素子

熱電変換材料には良好な熱電変換性能が要求され、現在主に実用化されているのは無
機材料であがし、無機材料は、熱電変換素子への加工工程が複雑であり、高価で、有
害物質を含む場合がある。一方、有機熱電変換素子は、比較的廉価に製造でき、成膜
等の加工も容易であること等から、有機熱電変換材料やそれを用いた熱電変換素子が
報告されるに至っている。熱電変換の性能指数ZTを高めるためには、ゼーベック係数と導
電率が高く、熱伝導率が低い有機素材が求められる。

下図はその1つの新規考案で、基材上に、第1の電極13、熱電変換層14と第2の
電極15を有する熱電変換素子1であって、熱電変換層14に、ナノ導電性材料と下
記一般式(1a)~(1b)で表される化合物から選択され、1種の化合物を含有す
る熱電変換素子1と下記一般式(1a)~(1b)で表される化合物から選択する1
種の化合物を含有する熱電変換材料で構成することで、高い熱電変換性能を備え、電
極との密着性に優れた熱電変換材料の熱電変換層をもつ熱電変換素子の提供である。

● 蛍光体による高変換効率光電変換素子

今回は1つだけ光電変換素子の最新技術動向事例を掲載しておこう。太陽電池は、一
般に短波長領域において感度特性が低く、太陽光に含まれる紫外線などの短波長領域
の光を有効に利用できていない。この課題を解決する手段として、従来からこの短波
長領域の光を吸収し、長波長領域の蛍光を発する蛍光体(波長変換材料)を利用し、
感度特性の高い長波長領域の光量を増加させ、太陽電池の変換効率を向上させる取組
みが行われてきたが、一般に蛍光体を一つの層に多く配置しようとすると、層内で蛍
光体の濃度が高くなり、蛍光体同士の相互作用による濃度消光や、あるいは飽和濃度
を超え配合された蛍光体が透明樹脂表面に析出するなどして、入射光を遮り効率の低
下する問題があったが、蛍光体が配合された層を厚く塗布するには、スピンコートや
ダイコートなどの方法では均一に厚く、塗布することが難しく、厚みや表面形状が製
品ロットによってばらつくき安定しない。

このため、下図のように光電変換素子、電極極、第1の透明樹脂、樹脂の裏面に位置
するバックシート、第1の透明樹脂の表面に位置する保護ガラス、第1の透明樹脂が
位置する面と異なる、保護ガラスの面に密着して形成され蛍光体を有する第2の透明
樹脂とを備えた太陽電池モジュール(第2の透明樹脂が、複数の透明樹脂層の積層に
より形成し、複数の透明樹脂層中で、保護ガラスと最も近接した層の端面と保護ガラ
スの面との角度が、30度より大きく70度より小さいことを特徴する構造の太陽電
池モジュールを用いることで、太陽光の有効利用波長範囲が広い、変換効率に優れた
太陽電池モジュールとその製造方法を提案されている。

尚、この考案も具体的な実施データが添付されていない。






昼前、敏満寺のおかきやを探し、その足で、胡宮神社から多賀大社に立ち寄る。胡宮神社
では、偶然に外海夫婦とお会いする。元気そうだった。ディープ・オータムには11
22がよく似合う。

 

有機半導体ドーピング工学

$
0
0

 

 

 

【オールソーラーシステム完結論 38】  

 ● 世界初!有機半導体でドーピング増感現象を発見!

無機半導体産業においては、pn制御によって種々の半導体接合を形成することによっ
て、LSI(集積回路)、LED(発光ダイオード)に代表されるデバイスを自由自在に作
製するが、有機半導体は無機半導体に比べて半世紀遅れ、有機半導体のpn制御は分子
科学研究所らのグループが2年前に確立。その後、同研究グループが、加えた不純物
の分子(ドーパント)の個数に対する発生電子の個数(ドーピング効率※)が、有機
半導体の場合約10パーセントと、無機半導体(シリコン)の室温ドーピング効率が百
パーセントと比べ大変低い値。今回、同研究グループは、2つの有機半導体が混合さ
れた共蒸着膜ではドーピング効率が単独膜よりも大きくなるドーピング増感)ことを
発見した。

※ シリコン半導体では、シリコン(Si)結晶中にリン(P)をドーピングすると、ドー
  パントであるPが母体のSiに電子を与えることで、n型化する。P+イオンのプラス
  電荷に弱く束縛された電子が自由な電子になる効率をイオン化率といい、ドーピ
  ング効率にほぼ等しい。Siでは、室温でほぼ100%である。今回の結果は、有機半
  導体中のCs2CO3+ドーパントに束縛された電子が自由になる効率(イオン化率)
  を10%から百%に増大できたことを意味する。press141118-4.jpg

 





典型的な有機半導体として、フラーレン(C60)と無金属フタロシアニン(H2Pc)から成る
共蒸着膜(C60:H2Pc)に、ドナー性ドーパント分子(Cs2CO3)をドーピングした系につい
て、ケルビンバンドマッピング法※によって発生した電子数を測定。下図1にドーピ
ング効率のCs2CO3ドーピング濃度依存性を示します。H2Pc単独膜(青)、C60単独膜(
黄)の約10%に比べて、C60:H2Pc共蒸着膜(比率1:1)(赤)は、約50%と非常に増大。
下図2に、ドーピング効率の共蒸着膜中でのH2Pc比率依存性を示す。H2Pc比率99%まで
ドーピング効率は増え続け、97%に達した。このように、共蒸着膜にドーピングでドー
ピング効率が増大、「ドーピング増感効果」が起こっていることを確認。

※ 金属電極とn型有機半導体を接合すると、下に凸のバンドの曲がりが形成される。
  本方法では、電位の有機半導体膜厚依存性からバンドの曲がりを直接描画し、曲
  がりの幅と大きさから直接生成した電子の数を求められる。


そこで、C60:H2Pc共蒸着膜を、C60とH2Pcから成る超格子と仮定、電荷分離超格子モデ
ルを考案(下図3)。H2Pc, C60へのCs2CO3ドーピングでは、ドナードーパント(Cs2
CO3)は、H2Pc, C60双方に電子を与えることができ、両者をn型化します(下図3左)。
H2Pc, C60単独膜では、ドーピング効率は10%で、10個に1つのドナーがイオン化し
する。ここで、C60:H2Pc共蒸着膜にドーピングの場合、青矢印で示したH2PcからC60へ
の電子移動が引き続いて起こり、最終的にはすべてのドナー(Cs2CO3)がイオン化し
生じた電子はすべてC60側に移動、ドーピング増感が引き起こされる(下図3右)。
なお、H2Pcはキャリア供給層として働いていることになるので、H2Pc比率が増えると、
ドーピング効率も増える(上図2)。



有機太陽電池においては、励起子を解離(イオン化)して光電流を発生させるために
H2PcからC60への電子移動(青矢印)を利用。(光電流増感)。今回のドーピング増感
は、ドーパントをイオン化するために、全く同じ電子移動を利用し、光電流増感のド
ーピング版と考えているという。なお、アクセプタードーピングに関しても、同じド
ーピング増感現象を観測しており、これは、一般的に起こる現象だとしている。

今回の発見とイオン化率増感を説明する電子移動モデルは、世界で初めて。有機太陽
電池の光電流を高効率で発生させるために、1991年に提案した混合接合(バルクヘテ
ロ接合)のドーピング版に相当する意味を持つ。ドーピングによるpn制御技術は、
有機太陽電池のみならず、有機トランジスタ、有機LED等の有機デバイス一般に波及
効果がある。将来、有機半導体エレクトロニクスという新しい分野・産業を創造でき
る基本技術になると考えられるから、超ノーベル賞級?の発見となるに違いない。

---------------------------------------------------------------------------
参考:「1種類の有機半導体による太陽電池の作製が、全ての有機半導体で可能にな
った!」2012.09.07

 

 参考:特開2012-219355 真空蒸着成膜方法、真空蒸着成膜システム、結晶性真空蒸
    着膜

 

● 最新ワイヤレス充電技術 

 
JP 2014-220499 A 2014.11.20

ワイヤレス蓄電システムは、このオールソーラーシステムでは宇宙太陽光発電システ
ム用のウェイトは低いが地上の分散システムでは重要な技術分野となる。ここでは、
3つのワイヤレス蓄電の最新技術を考察する。上図の特開2014-220499「互いに置き
換え可能な給電側共振器および受電側共振器を有する無線送電システムの変換器」は
構成機器類の互換性を高め部品点数を減らし、メンテナンス性を改善する特徴――無
線送電システム10は、電気車両20のための無線充電システムの一部として使用。
給電側変換器12内の給電側共振器コイル、および受電側変換器16内の受電側共振
器コイルは、実質的に同一であり、互いに置き換え可能である。変換器12、16内
の共振器を保持する構造、ならびに給電側変換器12および受電側変換器16内の共
振器24に接地面を提供する板もまた、実質的に同一であり、互いに置き換え可能で
ある。各共振器は、キャリア巻取り器またはボビンで形成され、このキャリア巻取り
器またはボビンは、磁心を封入する実質的に同一でかつ互いに置き換え可能な2つの
半体を有し、電線コイルを巻装――をもつ。


また、上図の特開2014-223018「無線電力送信システム」では、マイクロ波エネルギー
が、1または複数の適応位相調整されたマイクロ波アレイエミッタを有する電力送信
機によってビーコンデバイスからビーコン信号が受信されるのに応答する位置に集中
する。充電されるデバイス内のレクテナは、マイクロ波エネルギーを受け取って整流
し、それをバッテリーの充電および/または主電力用に使用することで、無線電力送
信は、マイクロ波エネルギーを経て電子/電気デバイスに無線充電と主電力を供給す
るためのもの。

これは、電磁(EM)信号が単一の電力源から電力送信されると仮定するとEM信号は、距
離rに対して係数1/r2の割合で強度が減少する。従って、EM送信機から遠く離れたところ
で受信される電力は、送信された電力のうちのほんのわすかとなる。また、受信信号の電力
を増大するには、送信電力を上げなければならない。送信信号がEM送信機から3センチメ
ートル離れた位置で効率的に受信されると仮定すると、同じ信号電力を3メートルの有用な
距離から受信するには、送信電力を1万倍に上げることが必要。そのような電力送信は、生
体組織に有害の恐れがあり、すぐ近くの電子デバイスのほとんどと干渉する可能性が高いし、
熱として散逸することもあり、危険で無駄である。

また、指向性アンテナを利用するにはいくつかの課題があり、その一部として、アンテナがど
こを示しているかを認識することと、アンテナを追跡するのに必要な機械デバイスにノイズが
あって信頼性に欠けることと、送信の見通し線にあるデバイスの干渉が発生する。指向性電
力送信は、一般に信号を正しい方向で示し、電力送信効率を高めることができるようにデバ
イスの位置を知る必要があり、デバイスが正しい位置にあるときでさえ、受信するデバイスの
パスまたは近くにある物体の反射および干渉により、効率的な送信は保証されないなどの問
題解決に考案。

 

上図の特開2014-217044「セキュアな充電プロトコルを用いたワイヤレス充電システム」
は、ワイヤレス充電システムでは、電力受信機が、電力送信機から無線で電力を受け
取ることができるが、送信機と受信機との間で行うワイヤレス充電方法には、リプレ
イ攻撃、盗聴、無許可充電、無許可アクセスなど、様々なセキュリティ上の脅威が存
在する。例えば、攻撃者が正規の電力受信機になりすますことで、電力送信機から無
許可で充電を受けることが考えられる。また、攻撃者が、電力受信機と電力送信機と
の間で交換されるデータを盗取することが考えられる。

この問題解決として、タグ装置と、タグ装置を備える電力送信機と、電力送信機から
電力を受信する電力受信機を備える対象物と、電力送信機を制御する充電コントロー
ラと、からなるワイヤレス充電システムにおけるワイヤレス充電方法。充電コントロ
ーラが、対象物から充電要求を受信した場合に、チャレンジを生成して、このチャレ
ンジを、対象物を介してタグ装置に送信する。タグ装置は、受信したチャレンジに対
応する応答を、チャレンジおよび充電コントローラとの間で共有されている第一の秘
密データに基づいて生成し、対象物を介して充電コントローラに送信する。充電コン
トローラは、受信した応答が、送信したチャレンジと、第一の秘密データに対応する
ものである場合に、対象物が所定の範囲に位置するかを確認し、対象物が所定の範囲
に位置する場合に、電力送信機に対して電力を無線で送信するよう指示することで、
セキュアなワイヤレス充電プロトコルを用いたワイヤレス充電システムを提供もので
ある。 


● 太陽光電力-商用電力自動切替調整機

 

ネクストエナジー・アンド・リソースは本日、太陽光発電システムと商用電源を自
動的に切り替える小型の装置「NR-PC1000」を発売する。価格は2万9700円(税別)。
現在、太陽光発電システムとして脚光を浴びているのは屋根上や遊休地などに太陽
電池モジュールを設置し、パワーコンディショナーを介して商用電源(系統)と接
続(連系)する方式。太陽光発電システムには連系を前提としないタイプの使い方
もある。オフグリッドと呼ぶ。そもそも商用電源が利用できない山間部や無人の島
などでの利用だ。個人が家庭などで利用することもある。太陽電池モジュールを蓄
電池と直結し、蓄電池をインバーター(直流交流変換器)につなぐ。インバーター
には交流のコンセントが備わっており――候や時間帯によって太陽電池の出力が下
がると、蓄電池の出力が次第に低下する。放っておくと、家電の電源が突然落ちて
しまうことを防止――家電などの利用が可能。欧米で先行する「マイクロインバー
ター」と同じ機能。

※ NR-PC1000は2つの電源と接続して使う。インバーター(変換器)からの入力と
  商用電源(交流100V)からの入力だ。常時インバーター入力の電圧を監視して
  おり電圧が低下すると15ミリ秒以内に商用電源に切り替わる。内蔵リレーを用
  いており、切り替えは自動だ。太陽電池の発電が回復すると、再度インバータ
  ー入力に戻す。


● 世界初、あらゆるICT機器に対応する高電圧直流給電システム

NTTファシリティーズは、販売中の高電圧直流(High Voltage Direct Current)給電シ
ステムについて、500kW級大容量HVDC整流装置(最高効率98%)および、HVDC
整流装置から出力されたDC380Vの電力をAC200VやAC100V、DC-48Vに変換する変
換装置:マイグレーション装置を開発、2013年6月より販売。HVDC給電システムは、
データセンター等におけるICT機器への給電電圧を約380Vにすることで、多くの実
績を有する通信用直流給電システムの高い品質を維持しつつ、交流給電システムと
比較して消費電力量を最大20%削減、給電信頼度10倍向上、電源スペース最大40%
削減の効果が期待できるものであり、交流給電システムと同等レベルの費用で構築
が可能だ。変換効率をさらに向上させた大容量HVDC整流装置をラインアップに追加
し、省エネルギーに貢献。また、マイグレーション装置をラインアップに追加する
ことで、あらゆるICT機器へのHVDC対応が可能となり柔軟なシステム構築が実現。

 

従来の交流給電(下図/左上)、低圧の直流給電(同/右上)、高電圧直流給電
(中央)について交流と直流の変換段数や、UPSとの接続を下図に示した。高電圧
直流給電は変換段数が少ないため、電力の変換ロスを抑えることできる。UPSと直
結することで信頼性も高い。細いケーブルを長く引き回すことができるため設置の
自由度が高くなる。ただし、高圧の直流を使おうとすると、交流とは異なる問題が
生じる。交流と違ってコンセントの設計が難しい。交流は電圧が最大値(例えば
100V)から0Vへ、さらに負の最大値へと1秒間に50回(または60回)変化する。こ
のためコンセント(ソケット)からプラグを引き抜くと、電圧が0になった時点で
電流が止まる。ところが直流は電圧が一定だ。さらに高圧であるため、引き抜いて
も短時間アーク放電が起きる。感電の危険性がある。

● 世界初 400V級直流給電用コンセントが米国安全規格「UL認証」取得

 

NTTファシリティーズと富士通コンポーネントは、このような課題を解決する400V
級直流給電用コンセント(ソケットとプラグ)を開発、2010年11月から販売を開始
している(下図)。ソケットとプラグはいずれも最大電圧430V、最大電流10Aに対応
する。絶縁耐圧は2500V(1分間)。挿抜回数は5000回だ。ソケットの寸法は41×41
×49ミリメートル、プラグの寸法は40×21.5×54.2ミリメートル。電流遮断時のア
ーク放電を防止に、ソケット側にアーク消弧モジュールを取り付け、通電・遮断制
御を確実にするほか、プラグが誤って抜けることを防ぐためにソケットに開閉スイ
ッチを内蔵。このスイッチと機械的スイッチが連動することで、感電を防ぎ、ソケ
ット、プラグとも難燃性素材を使用し、高電圧直流の危険性を減すことで、2014年
11月27日、両社はこのコンセントがUL認証を取得。認証の種類はUL 2695。直流給
電用ソケットとプラグの安全規格である。世界で初めての取得である。UL認証は電
気製品などの安全性を保証するものとして、米国で標準的に利用される。



● パワー・ツウ・ガス 

「電力は貯められない」というのは昔の話である。今では蓄電池を使って、昼間に
余った電力を夜間に利用することができる。電力会社では高低差のある2つのダム
を組み合わせた「揚水発電」を利用して、余剰電力を水力エネルギーに変えて貯め
ておける。それでも電力が余ってしまう、だから再生可能エネルギーを急に増やさ
ないでほしい、と電力会社は主張する」(余剰電力で水素ガスを作る「Power to Gas」
2014.11.28 スマートジャパン)と掲載しているが、これは『再エネが一番安い時
』(2014.11.28)で掲載引用した記事(日本ビジネスプレス「原油安でも再生エ
ネの方が安い、が世界の新常識 本来は先を行くべき日本が周回遅れになる危険性
も」2014.11.28)と期せずして同期している。そして、ならば水素がある。余った
電力を使って水を電気分解すれば、水素ガスと酸素ガスを発生させることが可能だ。
電力(パワー)からガスを作るので、欧米では「Power to Gas」と呼ぶ。電力を貯め
る新しい方法として、ドイツをはじめ先進国で研究開発が活発になってきたという
から、これこそわたしが提唱する『オールソーラーシステム』と合致し、その背景
としての『デジタル革命渦論』があるというわけだ。そろそろ次のステージ展開の
準備ということになるのだが・・・。

           
                                   

 

 

● 彦根城フェスのフィナーレイベント 流鏑馬



流鏑馬(やぶさめ)は、疾走する馬上から的に鏑矢(かぶらや)を射る、伝統的な騎射技術
稽古・儀式のこと。馬を馳せながら矢を射ることから、「矢馳せ馬(やばせうま)」と呼ばれ、
時代が下るにつれて「やぶさめ」と呼ばれるようになったといわれる。流鏑馬という言葉か
ら、連想したことは儀式としてのそれでなく、「状況(時代)を先導する所作」というイメージ
に突き当たった。それはそれまでの人知れぬ鍛錬、シャドーワークそのものであり、『愚図
にあやかる』(内村剛介)や『(人の本性は)知行不一致』(吉本隆明)の言葉に突き当たる
ものがある。そう思い当たったら、精神が昂揚し、天候の悪い中を押し、ウィスキーを買い
に出かけていた。



 

 

氷蒟蒻ブームと食感工学

$
0
0

 

  

はじめて目耳した「氷こんにゃく」に驚く。単純にこんにゃくを凍らせたものだが、
解凍後は「まるでお肉のような食感がする食材」へと大変身を遂げるという。普段の
料理でお肉の代わりに使えばカロリーも大幅に削減できるダイエット食材としてブー
ムになっている(朝日放送『おはよう朝日です』2014.12.02)。このブームは今年3
月に『橋爪佐和子の氷コンニャク・レシピ』(健康雑誌「安心」)で掲載された、6
月に『やせる!若返る!美肌になる!「氷コンニャク」超美味レシピ』(マキノ出版)
が発売に始まる。火付け役の橋爪佐和子は、1982年生まれ。大学卒業後、専門学校で
学び、鍼灸あんまマッサージ師の資格を取得し、2011年、女性専門の鍼灸院「四次元
堂」を開業。日本古来の鍼灸指圧術と民間療法や自然療法を取り入れたセルフケアを
女性誌などで提唱。料理は趣味というより生きがいで、ヒマを見つけてはオリジナル
レシピをコンテストに応募経歴をもつ。

     Frozen konjac recipes

そのマキノ出版社の本によると「氷コンニャクは、コンニャクを冷凍し解凍して水切
りするだけで作れます/氷コンニャクは肉のような食感が特徴です。ですから普段の
料理に使う肉を氷コンニャクに置き換えるだけで、自然とカロリーが減っていきます
/氷コンニャクなら、肉を食べているような満足感を味わいながらダイエットできま
す/さらに、氷コンニャクを使った和風、洋風、中華風、デザートなどバラエティに
富んだレシピを紹介/そして、実際に氷コンニャクを食卓に取り入れて、「やせた!」
「美肌になった!」「便秘が解消した!」などの体験談も掲載しています/氷コンニ
ャクは、その切り方次第で無限の可能性を秘めた食材です」と紹介されている。

 

ところで、「ドイツで独自に豆腐料理が展開」(『ハイウェイからフリーウェイへ』)
で掲載したように、豆腐ソーセイジや豆腐ジャム、豆腐チーズとして日本の豆腐が世
界的に健康食品として認知されてきているように、日本の蒟蒻も世界的に認知される
可能性を秘めていることをこのブログでも健康食品として取り上げてきたが、まさか
冷凍コンニャク(蒟蒻)としてブームになっているとは気がつかなかった。そのレシ
ピも豊富で、唐揚げ、ステーキ、蒲焼き、焼き鳥、焼き肉、カレー、パスタなど急速
に創作拡大している。

   
 

特に、今朝のテレビではパスタ(下写真)料理で、蒟蒻ラザニアが紹介されていたの
が印象的だった。それにしても冷凍→解凍→脱水・乾燥することでお肉のような食感
になるのかよく分からず――冷凍し解凍することでスポンジ状になることはわかって
いるが――観ていた。つまり、"食感説明パラメーター"が、例えば、スポンジ構造に
関わる空間パラメーターや強度、弾性値、固有振動数などの食肉との比較データが揃
っていないようにみえる(その実はいまも密かに食感工学分野の研究開発が進行して
いるのかも知れないが)。それが明らかになれば、次の研究開発課題は、他の食品と
のブレンドやそのレシピ開発となる。いずれにしても、低カロリーで大豆タンパク同
様に健康食品としてでなく、牛食肉偏重による地球環境劣化防止を兼ねた素晴らしい
食品として、この極東日本から世界へ貢献、贈与していくことになるだろう。これは
面白い。

 

  
  


先進国において、カロリーの摂取過多による肥満・病気が問題になっている。そこで
カロリーがほとんどなく、また、コンニャク主成分のグルコマンナンに摂取した糖分
を体内で包み込む、という作用が認められる為に、糖尿病対策にもコンニャクや精製
グルコマンナン入りの食品が従来より種々考案されている。従来からは以下の製法が
用いられてきた。

(1)グルコマンナンを主成分とするコンニャク粉に水を加えて膨潤させて得たゾル
化物質を、2~3時間の後、アルカリ性凝固用物質を添加して得たゲル化物質を、そ
のまま使用するか、30~40分間、放置してから70℃~80℃の湯で15分間位
茹でて、それを食用コンニャクとして一般市販するか、他の食品素材と混合・混練・
結着・包含、によりグルコマンナン入り加工食品を得る方法。

(2)コンニャク粉、又は、精製グルコマンナンと水から成るゾル化物質と他の食品
素材を混合・混練・含浸・溶解・結着、によりグルコマンナン入り加工食品を得る方
法。

(3)第三の方法として、第一の方法で得た、コンニャク粉、また、精製グルコマン
ナンのゲル化物質を、他の食品素材と混合した後、冷凍、または、乾燥させて得た加
工食品、また、前記ゲル化物質を冷凍した後、10~15%以下に乾燥、または脱水
する方法。

これに対し下記、新規考案※は、コンニャク芋の製粉、または、精製グルコマンナン
のゾル化物質に凝固用アルカリ物質を加えて得たゲル化物質を冷凍・解凍・脱水の後
に、押圧、を一回以上加えることにより、押圧なしでは著しく食感が劣り、現実の商
品としては流通・販売の不可能な食品素材の食感の大巾に改善でき、他の食品素材と
の混合その他の方法で、良質で食感の良い健康的なファーストフードや一般加工食品
の製造が可能なるというものである。


WO2005/065466 コンニャク粉、又は、精製グルコマンナンのゲル化物質由来の食
   品素材


  Lasagne: So wird sie perfekt

冬季、こんにゃくを屋外に晒すことによって、凍結・融解処理を繰り返され、こんに
ゃくは乾燥したスポンジ様となる。これは、北関東その他各地における保存食として
知られており、また乳児の産毛取り用具として使用されていたことも知られている。
スポンジ様のこんにゃく、いわゆるこんにゃくスポンジは近年、その優れた弾力性や、
海綿・ウレタンゴム製のスポンジと比較して遙かに優れた肌触りの良さという特性が
着目され、乳児のみならず敏感肌の女性、あるいは乾皮症等の高齢者を初めとして、
洗浄用具としての使用が普及拡大してきた(下記、新規考案※)。

それ以外に、ゲル化した寒天やゼラチン等を泡形成用ゲル粒としてコンニャク粉の溶
液に混合してコンニャクを形成し、凍結処理、熱湯洗浄による泡形成用ゲル粒の溶解
除去処理に供するという技術、こんにゃく粉を水に溶解しぺースト状物を得る工程→
加熱によりぺースト状物を成形器内で凝固させこんにゃくを得る工程→こんにゃくを
セルラーゼで処理した酵素分解こんにゃくを得る工程→酵素分解こんにゃくを20℃
以下の水中で熟成する工程→凍結-解凍処理に供して乾燥させ工程から、表面のスキ
ン層が部分的に除去され、内部が均一なこんにゃくスポンジを得られる。清潔な状態
で使用できるこんにゃくスポンジの提供が目的として掲げられており、デヒドロ酢酸
ソーダ0.05~0.5重量%を溶解した水溶液を10~30重量%を含浸させるこ
とで微生物抵抗性を付与する技術、さらに、抗菌剤のブリードを可能にした5~100
μmの樹脂粒子を、0.1~10%の乾燥重量比でアクリル系樹脂液およびエポキシ系
架橋剤を用いて練り込み、定着させたこんにゃくスポンジなどの食品以外の製造など
も考案されている。

特開2014-147302 こんにゃく粉製素材、その製造方法、スポンジ状素材製造方法、ス
  ポンジ製品および食品

 

【オールバイオマスシステム完結論 Ⅳ】 

● ゴミ焼却からの回収CO2で野菜栽培 佐賀市で実証スタート

ゴミの焼却で発生した二酸化炭素(CO2)を回収し、野菜の栽培に使う実証事業が佐
賀市で始まった。CO2を貯蔵せずに利用できればCO2回収にメリットが生まれる。
すでに佐賀市にはCO2の利用を希望する企業が名乗りをあげており、地域産業振興の
役割も期待できそうだ。

 

 

偽装財政危機の呪縛

$
0
0

 

 

 



● 偽装財政危機の呪縛

アベノミクスを問う選挙であるというが、息子達の反応をみているとやはり消極的で
むしろ「無駄な選挙」程度ににしか受け取っていないようだが、このわたしは?とい
えば、直前まで支持政党は決まらないと考えていたが、比例区・小選挙区とも決まっ
ている。しかし、相変わらず財務官僚のを煽るかのようなマスコミの論調やテレビの
コメンテータの発言など目耳し気分を悪くしている中、あるテレビ討論で、維新の会
の橋元大阪市長の唐突な「ケインズ批判」に、経済政策の此彼を再確認しておかなけ
ればと思い、高橋洋一箸の『アベノミクスの逆襲』と菊池英博箸の『そして、日本の
富は略奪される』を熟っくり読み込み、『反財政危機論』としてまとめ記載していく
ことに。

           「巨額の借金があるから金利が上がると破綻する」論の嘘


  「日本は1,100兆円もの借金があるから、金利が上がると利払いで大変なことに
  なる。財政が破綻する」というとんでもないことをいう人がいる。これは、ほと
  んど言い掛かりである。
  こういう破綻論者というのは、物事の片方しか見ていない。両サイドを見なけ
 れば意味がない。
  まず1100兆円の借金というのは、政府のバランスシート(貸借対照表)の右側
 の「負債の部」の話。左側の「資産の部」には約 650兆円の資産がある。差し引
  きすれば、450兆円であり、日本のGDP約500兆円で割ってみれば、その範囲内
  に収まる。片側だけしか見ないから、1,100兆円の借金は大変だ。破綻する」とい
  う破綻論になる。

  それに加えて、もう一つ間違っているのは、金利についても片側しか見ていな
 いことである。名目金利(長期金利)はだいたい名目GDP成長率とほぽ同じく
 らいになる。片側の金利上昇しか見ていないから、バカげた破綻論になる。
  名目金利が上昇するときには、もう一方で同じくらいの率の経済成長が起こっ
 ている。経済成長が起こっているのだから、実体経済が良くなっているというこ
 とだ。名目金利が上がっても何も問題はない。経済成長が起こらずに、名目金利
 だけ上昇するというのなら問題だが、それはよほどのことがなければ起こりえな
 い。

  経済成長が起こると、税収が増えて財政収支が改善され、破綻どころかむしろ
 健全化に近づいていく。金利上昇で破綻というのはまったくバカげた話である。
 長期金利が上がっているときには経済成長が起こっていて国の収入も増える。だ
 から、破綻することはないのである。
  こういうバカげた論を真に受けていると、「財政を健全化して借金を返してお
 かないと大変なことになる。それにはやっぱり増税しかない」というロジックに
 偏されてしまう。


              第2章 検証!「増税」を正当化するデタラメな議論  
                    高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』


相も変わらず、単年度会計主義の財務官僚や米国の格付け機関(≒英米流金融資本主
義)などから財政規律重視の悪宣伝が、陰に微に入りマスコミを通じ愚民政策の常套
手段としバラまかれているが、わたし(たち)は、政府が行う財政投資である公共事
業を、土建建設偏重事業とは考えないし、国債発行を赤字国債ではなく未来国債と考
え、日本の付加価値(品格向上)を高める事業だと考えている。

 
                  「国債暴落説」は増税のためのデタラメにすぎない

 2012年の2月2日付の『朝日新聞』に、三菱東京UFJ銀行が日本国債の急落を想
 定したシミュレーションを内々に行なったという記事が載った。それによると、
 2016 年にも10年物の長期国債の利回りが約1%(当時)から3.5%になり、国債
 の急落が始まるという内容であった。
  そもそも、この程度のことで「急落」だの「暴落」だのといった表現を使うほ
 うがどうかしている。

  このくらいのシナリオならリスク分析としてどの金融機関もやっていることだ。
 金融庁もそうしたシナリオによるリスク分析を以前から求めている。『朝日新聞』
 を読むかぎりでは、まるで、こうしたシミュレーションを他の金融機関では行な
 っておらず、三菱東京UFJ銀行でも、あたかも初めてシミュレーションしたか
 のようである。いかがなものかと思わざるをえない記事だ。

  内容を見ても、はっきりいって暴落でも何でもないシナリオだった。三菱東京
 UFJ銀行は 200兆円の資産のうち二割程度を国債で保有しており、その平均的
  な償還年限は3年程度であることは公開資料からわかる。1%から 3.5%への金
  利上昇であれば、国債の価格低下は8%程度である。全体の資産から見れば、2
  割×8%程度であり、せいぜい2%ほどだ。

  大した問題ではないのに、『朝日新聞』が大げさに書いたのは、財務省が財政
 危機を煽るためにりIクしたのではないかといわれていた。財政当局が、新聞を
 使って、危機でもないことを危機であるかのように報道させている可能性がある
 から気をつけたほうがいい。新聞の見出しを鵜呑みにしないことだ。

  マスコミがいろいろなシナリオを想定することは勝手だ。だが、極端なシナリ
 オを想定して、それを一般の人が読むことに、何かメリットがあるのだろうか。
 たとえば「1ドル=50円になる」とか「百年デフレが続く」とか 「300%のハイ
 パーインフレになる」とか、極端なシナリオをいう人もいるが、そんな話を聞い
 て何の役に立つのだろうか。

  さすがに「1ドル=50円」を信じる人はまずいないが、「300% のハイパーイ
 ンフレ」は信じる人がいる。現時点で3%にも達していないのに 2桁も違う300
 %のほうを信じてしまう。いったんインフレが始まると急激に進んで止められな
 くなるなどというが、どこにその根拠があるのかまったくわからない。


              第2章 検証!「増税」を正当化するデタラメな議論  
                     高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』


なお、わたし(たち)は1990年初頭金融機関による過剰貸し付け運動(いわゆるバブ
ル)がはじけた1995年ごろ当面、円は110円±15円と考えていたから、現在進行
中の円安も想定内にあることを付け加えておこう。

                    「増税しないと国際的信認が失われる」は、まるで幽霊話

 消費税増税派は、よく「国際社会に増税を約束したのだから、増税をやめれば国
 際的信認が失われる」ともっともらしく主張する。だが、そういう人たちは、何
 をもって国際的信認といっているのだろう。国際社会の実情を知っているとは思
 えない。
    よその国の人は他国の消費税になどまったく興味がない。そもそも税体系も知
  らないし、税率がどうのとか、そんなことには何の関心も持っていない。国際会
  議で消費税の税率のことを話しても、「そんなこと、オレたちには関係ないよ。
  自分の国でやってくれよ」という反応になる。

   逆の立場で考えてみれば容易にわかるはずだ。あなたは、よその国の税率に関
  心があるだろうか。そもそも、よその国の税率を知っているだろうか。よその国
  の税率がどう変わろうと、増税をやめようと、どうでもいいはずだ。
  国際的信認うんぬんという話は、「外国の人はこういっている」といわれると
 弱い日本人の心理につけ込んだ財務省のロジックである。増税したい財務省が、
 「これは、国際的に約束したことだ。これを守らなければ国際的信認が失われる」
 と言い張っているにすぎない。

  IMF(国際通貨基金)には財務省の人間が出向している。日本のマスコミの
 記者は英語があまりできないから、IMFの外国人に取材せず、財務省の人間に
 日本語で取材をする。それを新聞に載せているだけだ。出向している財務省の人間で
  あっても、一応IMFの職員だから、「IMFの意向はこうだ」という記事に
 なる。日本の財務省から出向した人間に関いているのだから、財務省の都合のい
 いことしか話さないに決まっている。その出向者が「増税は約束だ」と話せば、
 「IMFは、増税は約束だといっている」という記事を書いても間違いとはいえ
 ないわけである。こうして情報操作されている。

  私はそのカラクリを知っているので、新聞に「IMFの意向」というような記
 事が載ったときには、IMFの公表している英語の文章を確認する。そうすると、
 「全然、違うじゃないか」ということがたくさんある。
  もっとも、財務省はIMFの副専務理事を出しているので影響力はそれなりに
 ある。財務省の人間が英語でIMFの文章を書いていることもあるから、見破る
 のは簡単ではない。昔は日本の出資額は二位で、今は中国に抜かれて三位だが、
 出資額が多いことも影響力の強さにつながっている。そして出資している窓口は
 財務省である。

  国際機関の中にOECD(経済協力開発機構)というのがあるが、こちらはあ
 まり出資は関係ない機関だ。だから、財務省も人を送り込むことができず、代々、
 外務省が人を送り込んでいる。最近は事務局長含みで財務省から財務官を送り込
 んでいるが、財務省があまり影響力を行使できなかったので、OECDのほうで
 はわりと自由に財務省の意向と違うことをいっている出向者もいた。

  国際機関といっても、特徴が違うし、意見もバラバラだ。税金に関して国際的
 信認などというものは、まるで関係がないとしかいいようがない。国際会議の場
 で、単に英語で「スピーチ」したというだけである。誰も「約束」などと思って
 いない。 海外の投資家は、増税には関心がない。彼らの関心は、日本の経済状
 態が良いかどうか、景気が良いかどうかだけである。日本の景気が良くなりそう
 だと思えば、日本へ投資をする。アベノミクスが始まったころも、海外投資家は
 「日本経済が良くなる」という期待感で日本に投資したのである。増税しないと
 彼らが日本から逃げていくなどという話は、まったくありえない。逆に、増税し
 て景気が落ち込むと思えば、さっさと投資を引き揚げるだろう。
  
  小泉政権時代は増税していないから、国際的信認がなかったのかというと、そ
 ういうこともない。小泉政権では、民営化の話が出ていたから、海外の投資家が
 ビジネスチャンスと見て日本に投資をした。その国の経済状況を見ながら、儲け
 るチャンスがあるかどうかを判断するのが投資家であって、増税するかどうかは
 彼らにとってはどうでもいいことなのである。

  逆にいえば、投資家は必死だから、「減税して景気を回復させて税収を増やす」
 という常識的な経済政策手法も十分にわきまえている。「減税=破綻に直結」な
 どという単純な話に乗る人など少ない。
  では、「国際的な信認」というのは、誰に対する信認なのだろう? 聞けば聞
 くほど、幽霊話のような不思議な話である。ついでに、「国際公約だから、消費
 税増税を」もデタラメだ。

  国際公約は「international commitment」というので 「international commitment」と
 「tax」という言葉でグーグルを使って検索すると膨大な数がヒットするが、その
 中身は、税の回避行動について各国で協力して対処しようという内容が多い。そ
 のために、情報交換などで、各国で協力する責任・義務を求めているのだ。
  ここで、「tax」の代わりに「consumption tax(消費税)」として再び検索する
 とヒット数はガクンと減少する。しかも、その内容のほとんどは日本の新聞記事
  の英訳だ。そこには、日本の消費税増税が国際公約になっていると書かれている。
 つまり世界では、日本の消費税増税が国際公約になっているという意識は、まず
 ないのだ。

              第2章 検証!「増税」を正当化するデタラメな議論  
                     高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』

             消費税を「社会保障」目的税とする国は世界にはない

 消費税増税についての根本的な問題を指摘しておきたい。「なぜ消費税を増税す
 るのか」という点である。多くの国民は「このままだと年金が払えなくなる。年
 金を払うために消費税を使う」といわれて、消費税が社会保障に必要だと思わさ
 れている。これこそが最大のまやかしである。
  増税の理由として、「財政破綻を防ぐため」といわれても一般国民にとっては
 ピンとこない。しかし、「年金のため」といわれれば、「増税は必要だ」と思っ
 てしまう。これは増税派の巧妙な手である。

  多くの国民は、消費税は社会保障のために使われると信じており、それが最も
 良い方法だと思わされている。しかし実は、世界の先進国で社会保障の目的税と
 して消費税を充てようという国は、日本を除いて一つもないのだ。「北欧諸国の
 社会保障を支えているのは消費税」というのも、厳密にいえば誤解である。

  社会保障は、給付と負担の関係が明確な保険料方式でやるのが筋である。とは
 いっても、保険料を支払えない人もいるから、その人たちに対しては何らかの手
 を打だなければならない。高額所得者から累進課税で所得税を多く取って、低所
 得者の保険料に充てる。これで社会保障の話は終わりである。消費税など出てくる余
 地は一切ない。社会保障論と税理論からいえば、財務省が主張するような消費税
 を社会保障目的税にするのはおかしなことである。なぜ、こんなおかしなことが
 日本で起こったのかというと、1999年の自自公連立時に、大蔵省が小沢一郎自由
 党党首(当時)に「消費税を上げるために社会保障に使うと書いてください」と
 入れ知恵したからだ。政治上の取引として与党に了解されたものである。大蔵省
 と与党の「政治的な取引」であったので法律に書き込むことはなく、予算総則に
 書かれることになった。

  2000年の税制改正に関する答申(政府税制調査会)の中には「諸外国において
 も消費税等を目的税としている例は見当たらない」との記述がある。私自身が関
 係していたからよく覚えている。何年かはその記述は続いた。

  ところが、いつのまにかその記述は一切書き込まれなくなった。

  消費税を社会保障に使うという理屈は、消費税を上げたい人たちの国民向けの
 ごまかしである。「社会保障目的税」といわれたら、国民は反対しにくくなる。
  その後、民主党がマニフェストに「最低保障年金は税方式」と書き込み、この
 時点から本格的におかしくなった。現行制度の社会保険料方式でも税が投入され
 ているので、税方式はその割合を高めることだという民主党議員もいたが、まっ
 たくの認識の間違いである。世界の先進国で、社会保険料方式から税方式に移行
 した国もない。移行にコストと時間がかかり、メリットは少ないためだ。税財源
 の役人は、給付と負担の関係を不明確にして、社会保障への信頼を失いかねない。
  しかし、その民主党が政権を取って、社会保障目的のための税であるかのよう
 に見せかけて、増税を決めたのだ。法律の名前は「社会保障の安定財源の確保等
 を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律
」で
 ある。

              第2章 検証!「増税」を正当化するデタラメな議論  
                    高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』


なお、わたし(たち)の”未来国債構想”の「安全保障国債」の社会保障関連の投資
事業には、いわゆる"国土強靱化事業"のような防災事業や高齢者の "ターミナルケア
事業" あるいは、食糧・エネルギー・防衛などの安全保障事業もその対象にイメージ
しているが、具体的にどのようなものでパッケジー化し、評価是正しているかは、今
後の議論待ちである。 




さてこのように、高橋洋一は小泉政権のブレーンでもあった構造改革派(≒ネオ・リ
ベラリズム)と "アベノミクス擁護派"をミックスした立ち位置のようにみえるが、
これに対し、ブログ紹介してきた三橋貴明(ハンドルネーム)は、それよりラジカル
な批判を行っているが、バックボーンにはいわゆる"ケインズ主義"があるのではと推
測している、それでは、国民国家主義とケインズ経済主義からの立ち位置から発言し
ている専門家の書物を探してみたのがここで初めて掲載する菊池英博の『そして、日
本の富は略奪される』である。 

 


まずは、「まえがき」から刺激的である。そてによると――2012年12月、民主党から
自民党政権に代わり、再び日本では、小泉構造改革で強行された新自由主義・市場原
理主義的な政策がとられつつある。実は、この「新自由主義」というのは「悪魔のご
とき思想」であり、このイデオロギーを具体的に実行していく経済的手法が「市場原
理主義」である――「悪魔のごとし思想」と言うのだ。新自由主義批判はすでにこの
ブログでも掲載してきたことだが、日米間の歴史的経緯など、これまで深く触れなか
ったからなおのことであった。


 なぜ「悪魔のごとき思想」かというと、「自由」という名の下で、国民の富を吸
 い上げ、社会や生活基盤を破壊していくものだからだ。新自由主義的な政策が進
 んだアメリカでは、「1%の人(悪魔)だけが富み、99%は貧困になる」という
 格差社会が生じている。それに加え、そこには日本の富を密かに狙う、アメリカ
 の対日戦略も隠されている。アメリカは1994年から日本に「年次改革要望書」を
 送り、日本の社会経済体制をアメリカ型に変更するように要求してきた。この新
 自由主義・市場原理主義(グロしバリズム)の理念をベースとして、日本の社会
 経済を破壊・停滞させ、成長を抑制させる。その結果、発生する余剰資金を海外
 へ流失させ、アメリカの国債や金融市場・商品市場に資金を供給させるわけであ
 る。

   さらにアメリカは、わずか4カ国で始まっていた地域内自由貿易協定を衣替え
 し、日本を標とした大がかりな国際条約に組み替えてきた。それがTPPである。
 その内容には、日本に「関税の撤廃」「資本取引の完全自由化」「規制の緩和・
 撤廃」を要求するだけでなく、アメリカの進出企業が絶対に有利になるよう仕組
 まれた「ISD条項」、一度決めたらアメリカに不利になる改訂はできない「ラ
 チェット条項」など、多くの不平等条項が盛り込まれている。

  すでに2013年初頭に、「日本政府がファンドを創設して米国債50兆円を購入す
 ることを検討している」というニュース(2013年1月14日付けブルームバーグ)
 が流れており、「1%の悪魔」に牽引されるアメリカが、政府ベースで目本の富
 を収奪する計画が表面化している。
  
  こうしたアメリカの要求を受け、それを実行していくのが、日木の中央政府の
 官僚と与党の政治家、野党でもアメリカの対日改革要求に賛成する政治家、新自
 由主義によって利益を得る大企業である。それに、大マスコミ(全国紙、NHK、
 民放)はほとんどが新自由主義・市場原理主義を礼賛する。さらに政府の審議会
 や諮問委員会に招かれる学者や識者には、多くの新自由主義者が加わり、国民を
 洗脳しようとしている。

                                               
                                                 菊池英博箸 『そして、日本の富は略奪される』


 本書では、すでにイギリスとアメリカの実験で答えが出ている新自由主義政策の
 実態を指摘し、1%の悪魔しか豊かになれない社会の危険性を指摘したい。さら
 にデフレ解消と経済成長を取り戻そうと、自民党の経済政策が始まっているとは
 いえ新自由主義的な政策では、日本は一段と弱体化し、国家破滅の危機に瀕する
 ことを解き明かす。

  こうした「悪魔の侵略」に対抗して、どのようにすれば日本を防衛できるのか。
 それには、日本が新自由主義・市場原理主義と決別して、目本の伝統を重んじる
 「日本型資本主義の理念」を確立することであり、同時に対外純債権を296兆円
 (2012年末現在、すべて国民の個人預貯金が原資)も保有する世界一の金持ち国
 家として、その資金を日本国民のために使い、15年も継続する恐慌型デフレから
 脱却するための長期戦略を樹立し、経済成長を取り戻すことである。これが最大
 の財政基盤強化と財政再建の道であり、国家再興の出発点である。ここでは、そ
 の長期的な道筋を具体的に示していく。

                                                 菊池英博箸 『そして、日本の富は略奪される』



次の、「序章 1%の悪魔が日本を襲う」では、「再び悪魔に犯される日本」として
――2001年4月の自民党の総裁選挙で、小泉純一郎氏は「自民党をぶっ潰す」「構造
改革なくして成長なし」と絶叫して当選し、首相に就任した。当初の支持率は歴代の
内閣で最高の80%に達し、多くの日本国民が、小泉氏が日本を変革し、経済が好転す
ることで、自分たちの生活が豊かになるものと期待した。ところが、「規制緩和」「
不良債権処理」「公共投資不要論」「財政は緊縮・金融は緩和」という新しい政策は
デフレ政策であり、デフレは解消するどころか一段と進み、日本経済は低迷した(上
図の2つのグラフ参照)。円安ゼロ金利政策で輸出は伸びても国民の所得は減る一方
で、所得格差は拡大し、日本の経済力が減退していった――ところが、米国のバブル
もあり対米輸出の好景気もあり 小泉構造改革の時点では、政府もマスコミも公表し
なかったので、多くの国民は気づくこともなかった。構造改革」という政策は、1994
年から米国が日本に送付してくる「年次改革要望書」に沿い、日本を米国型の社会に
改造し、デフレ政策をとらせ、日本の富を米国に吸い取らせるものであったと主張し、
米国の対日要望書の基本理念は、新自由主義・市場原理主義であり、この政策理念に
基づく政策をとっていけば、日本国民の富をアメリカの一部の富裕層と大企業に集中
させることができるように仕組まれたと主張する。まさに構造改革は、新自由主義・
市場原理主義という恐ろしい悪魔の襲来だった。そもそも、このイデオロギー(思想)
と策略を組み立てたのは、ミルトン・フリードマンという経済学者であった(第1章
参照)という。これはすでに「新自由主義論Ⅰ-新たな飛躍に向けて-新自由主義か
らデジタル・ケイジアンへの道」(『インフレーションを説明する』)で学習してき
たことである。

 
そして、次節「悪魔を追い払おうと二度も政権交代が起こった」ではつぎのように主
張している。

 2009年8月30日、戦後の日本では衆議院選挙という国民の意志によって、事実上
 初めての政権交代が実現した。自公政権から民主党・社会民主党・国民新党の三
 党連立政権の成立である。このときのスローガンは「国民の生活が第一である。
 構造改革という改革は国民の生活を豊かにするものではなく、国民の富をどこか
 に吸いLげるものであることに国民が気づいたのだ。さらに、郵政民営化によっ
 て、国の財産が二束三文で叩き売られ、新たに利権を得た人物が多額の富を吸い
 上げている実情にも、国民は疑惑を持った。

 このときの選挙で国民に約束した三党の共通政策を見ると、「過度の競争を煽る
 市場原理主義を排し、国民全体の共同意識を鼓舞する。過度の円安による輸出増
 加よりも、内需拡大によって経済成長を促進する。国民一人ひとりの生活を豊か
 にするために、デフレからの脱皮を優先する。郵政民営化は見直す。社会福祉に
 重点を置く」などを謳い、「国民の生活が第一」のスローガンでまとめたのであ
 る。この政策はまさに「反新自由主義・反市場原理主義」であり、「共存共栄資
 本主義」を取り戻そうという国民の意思の表れであった。こうして三党連立政権
 が成立した。

 当初、鳩山由紀夫内閣のときには、デフレ脱却の政治姿勢が示され、景気回復の
 補正予算を組む政策をとった。しかし、普大間基地問題に関する党内の混乱によ
 って、鳩山内閣は総辞職し、小沢幹事長も検察による冤罪で辞任せざるをえなく
 なり、国民の期待は頓挫した。鳩山首相の退陣で、小泉構造改革・市場原理主義・
 新自由主義からの脱皮を期待した国民の夢ははかなくも消え去った。

 2010年6月に就任した菅直人首相は、財務省のデフレ政策継続の要請(表向きは
 財政規律を維持するため)を受けて、就任後初の閣議で基礎的財政収支均衡策(
 2020年に基礎的財政収支を均衡させるという典型的なデフレ政策で、税収の範囲
  内でしか財政支出をしないという目標)を決め、小泉構造改革を上回るデフレ政
  策を取り入れた。さらに2011年9月に就任した野田桂彦首相は、新自由主義者・
  市場原理主義者の理念に従って、大企業の利益になる法人税減税を実施し、さら
  にデフレが15年も継続しているというのに、消費税増税を提案し、野党の自民党・
 公明党と談合して成立させてしまった。

 国民の「反」新自由主義・市場原理主義の要望を担って政権の座に就いた民主党
 の党首でありながら、手の平を返して国民を裏切ったのである。加えて、アメリ
 カから21世紀の帝国主義と言われている「TPP(環パシフィック・パートナー
 シップ)」への参加を要求されると、野田首相自身、あまり理解もせずに、参加
 する方針を表明した。ここで国民は再び動いたのである

                                  「序章 1%の悪魔が日本を襲う」
                                                      菊池英博箸 『そして、日本の富は略奪される』

 

 
                                                この項つづく

 

  

デジタルグリッド工学

$
0
0

 

 

【オールソーラーシステム完結論 39】  

 ● 情報と電力の融合 デジタルグリッド工学

 

デジタルグリッドTMは、情報と、情報によりアクティブに電力制御を行う半導体素子と
を組み合わせて電力潮流を制御する新しい電力システム。電力潮流を複数の電力系統に
流すデジタルグリッドルーターTMや、同期系統の中で電力機器に外部信号を加えてルー
ターと連携制御をさせるデジタルグリッドコントローラーTMなどのキーデバイスから構
成されるが、東京大学発ベンチャーのDigital Grid は、今月2日、再生可能エネルギー導
入を促進する新技術「デジタルグリッド」の開発を加速させるため、日本政策投資銀行
やNECなど、5社より増資による5億8千万円の資金を調達したことを公表。



具体的には、技術の核である「デジタルグリッドルーター(DGR)」と蓄電池を組み合
せることで自然エネルギー変動を吸収する仕組みを作り上げ、再生可能エネルギー導入
を促進し、電力の融通機能を特徴とする新しいエネルギーサービスを提供。このシステ
ムでは、送配電の単位(セル)を1件の家庭と考えて、各家庭に、蓄電池とDGRを設置
し、エネルギーサービスを提供する。全体的なイメージとしては、多数の家庭に設置さ
れた蓄電池と、それを制御するDGR、電力をリアルタイムでもインターするセンサーを
ICT(情報通信技術)の力を駆使して、ネットワーク的に制御。それによってエネル
ギーを融通制御するもの。

 

● デジタルグリッドとは

デジタルグリッドとは,電力系統内において情報により指定された複数のインバータ等
を同時に動作させて電力を非同期に制御することにより、制御した電力を識別可能とす
る、情報と電力の融合したインターネットライクな電力インフラストラクチャー。

● セルとは

セルはデジタルグリッドルーター(DGR)で区分された、分散形電源・貯蔵装置・負荷を持
つ自立運転可能な最小グリッド単位.(家庭・商業施設・ビル・ゲートタウン・村・町・
市・県・地方等)

・セルは,自然エネルギー変動を内部でとどめ、停電連鎖が起きにくい.
・セルは基幹配電・変電・送電系統にピークカット・周波数垂下特性・電圧維持などの
  アンシラリーサービスを提供。
・セル内部に無停電とハイパワーを供給。
・系統側から見ると、自前でユニバーサルサービス設備を調達してくれ、必要な時には
  グリッドサポートしてくれる需要家



● デジタルグリッドにより得られる効用

・セルは,自然エネルギー変動を内部でとどめ、停電連鎖が起きにくい.
・セルは基幹配電・変電・送電系統にピークカット・周波数垂下特性・電圧維持などの
 アンシラリーサービスを提供。
・セル内部に無停電とハイパワーを供給。
・系統側から見ると、自前でユニバーサルサービス設備を調達してくれ、必要な時には
 グリッドサポートしてくれる需要家

● 効無効電力の随意制御 



尚、デジタルグリッドにより、従来の総括原価主義による電気料金は、個別原価主義に
基づく個別電気料金になり、安い電気を求める需要家や高くてもグリーンな電力を求め
る需要家の選好の自由度が生まれる。電気に付随してCO2価値やRPS価値、商品先物 派
生商品、保険商品などの価値も取引されるようになる。電力貯蔵とルーターの持つ柔軟
な接続形態により需要家は、電力の時間価値も取引できるようになる。電力系統にとっ
ても、有効電力や無効電力の柔軟な提供を受けることができ、信頼度の高い系統運用が
可能になるという。 

● アドレスをつけることによる電力の識別

 

※Digital Grid 社は東大特任教授の阿部力也が提唱するパワーエレクトロニクスとICT
 の融合技術である「デジタルグリッド」の事業化を目的に、2013年11月に設立された
 ベンチャー企業。 

スマートグリッドではなくデジタルグリッドですか。それでいて、情報と電力の融合というから、デ
ジタル革命の基本特性第1則のシームレスときて、アナログ(交流)とデジタルの融合でもある。
これはえらい展開となりますね。

  ● 始まった6年52億キロの旅

 

反デフレパーシャルの加速度

$
0
0

 

 

 

● 加速度を超広域・高分解能で検知可能なセンサを開発

東京工業大学とNTTアドバンステクノロジの研究グループは、0・1ミリG(
重力加速度)から20Gまでの広い範囲を高分解能で計測できる加速度センサー
を開発。5つの加速度センサーを1枚の基板にまとめ、それぞれ千分の1の分解
能を実現したことを公表。超広域・高分解な小型加速度センサの実現で、医療用
人体行動検知センサ――正確な人体行動解析に基づく医療診断やロボット開発な
どへ向けた新デバイス・システム開発につながる。

力が加わると電極間の距離が変わり、その静電容量の変化を計測する。片方の電
極がバネで宙に浮いた構造をMEMS加工技術で製作した。電極の重さやバネの
強さを変えることで検出できる加速度を調整する。0・1Gと1G、3G、10
G、20Gの加速度センサーを作り、4ミリメートル角の基板にまとめた。電極
を比重の重い金で作り、小さくても応答しやすくした。シリコン製電極に比べて
大きさを10分の1に小型化。各センサーは千分の1の分解能をもつ。0・1ミ
リGと微少な変化を計測できるセンサーの場合、呼吸のようなわずかな動きも捉
えられる。一方、車のエアバッグが作動する目安が約25Gであり、日常におけ
るほぼすべての加速度を検出できるという。 

今回の研究成果は、静電容量型MEMS 加速度センサの、加速度検出範囲が可動錘の
寸法と質量に強く依存するため、単一錘による加速度検出範囲の広域化は困難だ
った。また、従来の高分解能シリコンMEMS 加速度センサでは大きな錘が必要なた
め、異なる検出範囲を有する複数のセンサを1 チップに集積できなかったが、静
電容量型加速度センサの分解能が可動錘の質量に比例することに着目し、錘材料
をシリコン(室温時:約2.3 g/cm3)から金(室温時:約19 g/cm3)に置き換える
ことで、センサ寸法を約10分の1に小型化できたことが大きな成果である。


MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いて作製された各種セ
ンサやスイッチなどのを短時間で効率よく開発するため、ユーザのコンピュータ
上で動作する専用アプリケーションを用いてMEMS素子の機械特性や電気特性
をシミュレーションし、意図した挙動が示されることを確認し、シミュレーショ
ン結果をもとに、ユーザのコンピュータ上で動作するコンピュータ支援設計のア
プリケーションソフトを用い、MEMS素子製造用のフォトマスクを作製にパタ
ン配置しレイアウトパタンを作成し、このレイアウトパタンを用いてフォトマス
クを作製しているが、フォトマスクは、MEMS素子を作製するときのパターニ
ングにおけるリソグラフィーで用いられる。例えば、下図7は、MEMS素子設
計方法の説明図で、この設計方法では、MEMS素子の機械的特性と電気的特性
を解析する解析アプリケーション701と、フォトマスクパタンをレイアウトす
るためのCADアプリケーション702と、解析アプリケーション701のシミ
ュレーション結果をもとにシステム設計を行うシステム設計アプリケーション7
03である。

図8、9は、MEMS素子の設計方法の説明図で、図8は、MEMS素子の構成
を示し、図9は、当該MEMS素子の等価回路を示す。等価回路では、MEMS
素子の可動部801の質量M0を、電子回路のインダクタ901のインダクタンス
値、MEMS素子の可動部801を支えているばね部802のばね定数K0は、電
子回路の容量902の容量値C0の逆数、MEMS素子が受ける機械的な減衰係数
B0は、電子回路の抵抗903の抵抗値R0に置き換えているが、MEMS素子の
うち静電アクチュエータに特有の現象であるプルイン,リリースダンピングなど
を解析が困難である。 

そこで、電子回路データ生成部101および等価回路データ生成部102は、ユ
ーザが入力したデータに従い作製された電子回路設計データおよび等価回路設計
データを同じ形式のデータである例えば「ネットリスト」で生成する。すなわち、
電子回路データ生成部101および等価回路データ生成部102は、回路解析部
103で用いることができる同一のデータ形式で、電子回路設計データと等価回
路設計データを生成(下図1参照)。生成された同じ形式とされた回路設データ
を、回路解析部103が解析することで、従来に比較して手間をかけることなく、
より簡単に、迅速にMEMS素子を含む半導体装置の設計が行えるもので、研究
開発を円滑に迅速に行えるこのような、設計支援装置(アプリ)の開発が開発に
は重要な要件となっている。


 

 

● 反デフレパーシャル共闘論

先回は、「偽装財政危機」という視点から読み込んでみたが、今回は『アベノミ
クスの逆襲』の「第3章 アベノミクスへの通信簿」から入り高橋流「身体検査」
法」を学び、結論から先に言うと、「反デフレ政策」では部分的に「反デフレパ
ーシャル共闘」できそうだ。

                       アベノミクスのメニューに「増税」は入っていない


 消費税増税が決まったのは2011年である。2012年8月に消費税法の改正法が
 成立している。このときの政権は民主党の野田佳彦政権である。その少し前
 の6月に民主党、自民党、公明党の間で消費税を増税する三党合意ができた
 が当時の自民党総裁は谷垣禎一氏で、幹事長は石原伸晃氏だった。
  安倍晋三氏は消費税増税には直接的に関わっていない。もちろん、自民党
 が賛成した法律であり、安倍氏も当時は衆議院議員として議決に加わってい
 るから責任逃れをするつもりはないだろう。しかし、当時の安倍氏は不遇の
 時代でもあり、増税法にはあまり関わっていないのは事実である。

  このときに成立した法律の中に増税の施行日も記載されている。「平成二
 十六年四月一日」と「平成二十七年十月一日」の期日が書き込まれているか
 ら、凍結法を通さないかぎり、回避することはできない。何もしなければ、
 法律どおりに施行される。これは安倍氏が首相に就任して以来推進してきた
 アベノミクスとは、関係のないものだ。(中略)安倍音三氏は、2012年9月
 の自民党総裁選に出馬し当選した。この自民党総裁選のときにデフレ対策と
 しての金融政策を主張したのは安倍氏だけだった。(中略)だが経済政策で
 は、安倍氏は金融緩和と財政出動を強く主張していたのに対して、石破氏は
 どちらかといえば金融緊縮と財政緊縮寄りの政策であった。総裁候補の中で、
 思い切った金融緩和と財政出動を主張していたのは安倍氏だけだった。ここ
 からアベノミクスはスタートしているのである。 


                    第3章 アベノミクスへの通信簿  
                   高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』



          増税前はアベノミクスの成功で経済が大幅に好転した

 2014年4月以降の景気悪化を受けて、評論家の中にはアベノミクスが失敗し
 て景気が悪くなったかのようにいう人がいるが、物忘れも甚だしい。まった
 くの間違いだ。アベノミクスによって経済が良くなり、消費税増税で経済が
 悪くなったのである。
  アベノミクスを図で説明しよう。図7は、総需要と総供給の曲線のグラフ
 だ。横軸はGDP、縦軸は価格である。この曲線に影響を及ぼすものとして
 三つの要素がある。①金融政策、②財政政策、③外的ショックである。金融
 政策は、金融緩和あるいは引き締めであり、財政政策は公共投資で財政を緩
 和したり、増税で財政を引き締めたりすることだ。外的ショックというのは、
 リーマン・ショックや大震災などを指す。

 2013年は、金融緩和によって「金融」はプラス要因、財政出動によって「財
 政」はプラス要因として働いた。「外的ショック」は特になかった。これに
 よって、総需要の曲線は右上に押し上げられた。総供給と交差する点が、そ
 の年のGDPと物価を表す。つまり、2012年はGDPが伸び、物価が上がっ
 た。
 2014年はどうかというと、金融緩和を続けているので「金融」はプラス要因
 として働く。ところが、消費税を増税したために「財政」はマイナス要因と
 なった。「外的ショック」は2014年も特になかった。

 総需要の曲線は2012年には右上に上がっていたのが少し左下に戻りつつある。
 総供給との接点が左下に下がる。つまり、物価は下落し、GDPは減少する
 ということだ。2014年は期が終わっていないが、何か手を打たないと、総需
 要曲線がどんどん左下に降りてきて、物価もGDPも大きく下がる可能性が
 ある。2013年と2014年の政策を比較してもらえばわかるが、違いは財政政策
 だけである。すなわち、消費税増税だ。

 
                異次元緩和では資金は供給されない」という議論の誤謬 

 一橋大学大学院経済学研究科教授の斉藤誠氏が、以前に「名目ゼロ金利にな
 ると金融政策が効かなくなる」と金融緩和を批判していた。この根拠となっ
 ているブラックホール論というのは数式のモデルだから、私にとって理解は
 容易である。
 斉藤氏のブラックホール論を間いて、文系の人たちは「そうだ。ゼロ金利な
 んだから、これ以上金利を下げられない。金融緩和しても効かない」という
 ことで斉藤氏の意見を鵜呑みにしたようだ。

 私は、斉藤氏が記事を載せていた経済雑誌の編集者に知り合いがいたので、
 「斉藤氏の計算が間違っている」と伝えたところ興味を持ってくれて、私が
 計算し直した記事を載せてくれた。私はまったく同じモデルを使い、数式で
 解いて「計算が間違っている」と指摘したにすぎない。斉藤氏が書いていた
 ように、ブラックホールになるときもあるが、数式を計算してみると、金融
 政策をきちんとした場合にはブラックホールにならないという答えが出る。
 数式上、そうなっているのだ。私の論考に対し、斉藤氏は何も反論していな
 い。また『週刊東洋経済』2014年8月2日号で、斉藤誠氏は「異次元緩和で資
 金は供給されない」というタイトルのコラムを書いた。

 斎藤氏はこのコラムで「民間銀行は13年度に日銀当座預金に69.2兆円を預け
 たが、その資金源は民間銀行が日銀に国債を売却した43.7兆円と、家計や企
 業から集めた預金のハ割に相当する25.5兆円」と指摘し、「異次元緩和は経
 済を好循環させるために資金を供給するどころか、日銀が国債市場と民間銀
 行の預金を囲い込んで民間から資金を吸い上げてしまっているのである」と
 した。これに対して私が『夕刊フジ』 (2014年8月7日付)で反論した。

 金融緩和を批判する人は、突きつめてみれば「信用乗数が下がるから金融緩
 和はけしからん」という趣旨の話をすることが多い。信用乗数とは、金融緩
 和をしたときにどのくらい効率的に市場でお金が使われるかという乗数だ。
 数式としては、

  信用乗数=マネーストック+マネタリーベース

 である。マネタリーベースというのは現金だと思ってもらえばいい。それに
 対して、マネーストックというのは預金に当たる。預金はその裏側には貸出
 しがある。銀行のバランスシートを見れば、右側に預金があって左側に貸出
 しがある。わかりやすくいえば、日銀が現金を増やしたときに、銀行の貸出
 しが増えるかどうかである。
 
 金融緩和というのはマネタリーベースを増やすことだ。金融緩和で現金を増
 やしたときに、その分だけ貸出しが増えれば、信用乗数は一定となる。現金
 を増やしても、貸出しが増えなければ、信用乗数は下がる。
  斉藤氏は、前段で、金融緩和をすると信用乗数が下がると述べているのだ
 が、それは当たり前のことである。マネタリーベースを増やしても貸出しは
 すぐには増えない。しかし、金融緩和をすると実質金利が下がるので、景気
 は良くなる。景気が良くなってGDP成長率が増えて失業率が下がる。信用
 乗数は下がるけれども、景気が良くなって失業率が下がるのだから何の問題
 もない。信用乗数のために金融政策をしているわけではないのだ。

 金融緩和で現金を増やしても、銀行の貸出しはすぐには増えず、信用乗数が
 下がることは、理論的に考えてもらえば、すぐにわかるはずだ。景気が良く
 なってきた際に、企業は最初は在庫で対応する。倉庫に在庫がまだたくさん
 残っているのに、「よし、設備を増やして増産しよう」と考える経営者はい
 ない。まずは在庫を売って対応しようと考える。在庫で対応しきれなくなっ
 たときには、設備をフル稼働させて増産する。それでも追いつかないときに
 は設備投資を考える。しかも、設備を増やすにしても、いきなり借入れをす
 るわけではなく、まずは手持ちのお金(内部留保)で設備投資をすることを
 考える。優良企業は内部留保をたくさん持っているので、外部資金を借りな
 いで内部留保でずっと回していく。それで足りなくなったら最後に外部資金
 を借り入れる。

 つまり、外部資金を借り入れるまでには時間が、これまでの過去データでは、
 二、三年もかかるということである。「在庫→生産増→内部留保で設備投資
 →外部資金で設備投資」の順番なので、景気が良くなっても銀行の貸出しは
 すぐには増えない。マネタリーベースを増やしても、マネーストックが増え
 るのは遅れるので、信用乗数は下がる。これは当たり前のことなのである。

 金融緩和の批判者は、だいたい2タイプに分けられる。1つめのタイプは、
 「信用乗数が一定だ」と思い込んで批判をする人。もう1つのタイプは、「
 信用乗数が下がるから金融緩和は効果がない」という人だ。私の書いた『夕
 刊フジ』の記事に対するものではないが、斉藤氏は2014年8月8日付、8月10
 日付でホームページ上にコメントを発表しており、8月10日付のほうで(略)
 式の背景について注意深く言及しないままに、標準的な教科書の説明に安易
 に乗りかかった面があったことは確かです。深く反省しています」というコ
 メントを発表されたので、それ以上の議論とはならなかった。


                    第3章 アベノミクスへの通信簿  
                   高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』

 
 ※ 黒木玄のウェブサイト「ブラックホールとハイパーインフレ



       金融政策の最終目標は「失業率改善」だと言い切ってもいい

 私は金融緩和について「信用乗数が下がる」と批判する人には、「でも、失
 業者が減るから、それでいいでしょ」と答えている。それ以上に答えようが
 ない。信用乗数が下がるのは事実だが、そもそも信用乗数など、マイナスに
 なったら政策の方向性を間違うので大変になるが、プラスであれば小さくな
 っても、どうでもいい数字だ。 

 金融政策の目標を明確に認識していないから、どうでもいいことに目を奪わ
 れてしまう。金融政策の最終目標は、「失業率」だ。失業者が減ることが金
 融政策の目標であると言い切ってもいい。「金融政策の目標はGDPと失業
 率の改善」といってもいいのだが、GDPと失業率は連動しており、GDP
 が増えれば、失業率は下がる。どちらを追い求めても答えは同じになるので、
 一つに絞って、失業率の低下が金融政策の最終目標ということにする。
 失業率が下がっていれば、GDPは増えている。

 世の中の人は、何でも難しく考えすぎる傾向がある。私は、もともと理学部
 数学科出身だから、いつも数式を頭に入れていて、できるだけ数学的にシン
 プルに考えるようにしている。そうすると物事がスッキリと見えてくる。G
 DPと失業率という二つの数字があって、両方が連動しているのだから、両
 方を追い求めなくても、どちらか一つでいいと考えるわけである。だから、
 「金融政策の目標は失業率」とシンプルに言い切っている。
 もちろん、金融政策から失業率の改善に辿り着くまでの間にいろいろなプロ
 セスがある。それらが全部連動して、最後の段階で失業率が変化する。その
 プロセスは数式で記述した経済理論で全部説明できる。この失業率の低下に
 水を差すのが、消費税増税である。

                    第3章 アベノミクスへの通信簿  
                   高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』



つぎに、菊池英博の『そして、日本の富は略奪される―アメリカが仕掛けた新自
由主義の正体』に移ろう。少し読み進めると、ちょっと古めいた国民国家主義的
な論調に気付くが、「新自由主義論Ⅰ-新たな飛躍に向けて-新自由主義からデ
ジタル・ケイジアンへの道」(『デジタルケインズと共生・贈与』)で考察した
デヴィッド・ハーヴェイ『新自由主義――その歴史的展開と現在』(作品社、20
07年)の訳者の渡辺治のような開放的な国民福祉主義とは異なるものを感じてい
る。

                       国民の期待にどう答えるのか

 ところが、日本は対外的に世界殼大の純債権国であり、官民介計で 296兆円
 の対外純債権がある。国民一人あたりで見れば、233万円に達する( 2012年
 末現在、財務省発表)。このように世界一の金持ち国家であるのに、国民の
 世帯所得で見ると、アメリカに次ぐ貧困国なのだ。
  国民の所得の総合計である名目GDP(名目国内総生産)で見ると、過去
 15年間で日本の凋落ぶりは目を覆うばかりである(図表 0-2「名目GDPの
  国際比較」参照)。この図表でわかるように、日本のデフレが始まる直の
  1997年を基準(100)として、 その後の成長を見ると、2012年にアメリカは
  190、イギリスは 184、ユーロ圈は162と、どの国も成長(増加)しているの
 に、日本だけがマイナス成長である。基準の 1997年の日本の名目GDPは
 513兆円であるから、もし日本がこの間、アメリカ・イギリス並みに成長していれ
  ば、GDPは950兆円前後、ユーロ並の成長であれば830兆円前後になってい
 るはずだ。そうすれば国税ペースで 90~100兆円上がっており、消費税増税
 なしで、社会保障費は十分に賄えたのだ。



 名目GDPの成長がマイナスになったため、当然、日本国民の賃金は低迷し
  ており、1997年に比べて2012年には平均B%も低落している。なおこの間、
  日本はデフレで物価が下がっており、この下落分を賃金ヒ昇とみなせば、実
  質賃金はその分だけヒ昇することになる。しかし、デフレ分を調整した実質
  賃金でみてもマイナスであり、国民生活に与えるマイナスのインパクトは極
  めて人きく、これが税収を減らす原因になっている。

  一人あたりの国民所得を国際比較すると、日本は1994年には3位(主要国で
  は1位)であったのに、1997年から凋落し始めた。しかし、1996年の橋本財
  政改革が招いた金融危機1988年)を解決した小泉首相の積極財政政策が実っ
  て、2000年には3位に回復した。ところが2001年からの小泉構造改革による
  デフレ政策によって、日本は坂道を転げ落ちるように順位を下げ、2007年に
  は19位まで転落した。その後、円高となりドルベースでは若干順位が上昇し
 たとはいえ、2011年で14位である(図表 0-3「日本の一人あたり名目GDP
  の推移」参照)。




 2007年に放映されたNHKスペシャル「ワーキングプア」では、苦境にあえ
   ぐ若者は「この国は豊かな国だと思っていた」と嘆いていた。事実、国家全体として
 は豊かな国なのに、その富が99%の日本国民のために(とくに社会的弱者の
 ために)配分されていないのだ。日本の政府が、われわれ国民の預貯金を日
 本国民のために使う政策をとって名目GDPを増やし、財政政策でその再分
 配を図れば、間違いなく国民は豊かになれる。  

 私は過去15年間、時には孤軍奮闘して「デフレ解消を優先すべきである」「
 新自由主義・市場原理主義は悪魔の経済学であるから決別すべきである」と
 主張してきた。2012年3月2日の衆議院予算委員会では、「デフレ脱却のため
 に『5年100兆円の緊急補正予算』」を提案した(拙著『日本を滅ぼす消費
 税増税』講談社現代新書、終章参照)。だから、安倍普三首相と麻生太郎副
 総理が「15年も継続するデフレ解消を優先させたい」と宣言したとき、「よ
 く言ってくれた、あきらめずに辛抱強く主張してきた甲斐があった」と歓喜
 に絶えなかった。

 しかし、万歳するには早すぎる。安倍首相と自民党政権が、新自由主義・市
 場原理主義という悪魔と決別して、日本型資本主義を確立させないと、日本
 経済は成長路線に戻れない。私はこの方向をしっかりと注視し、愛国的で善
 良な同志と協力して真摯な活動を継続していきたい。

                    序章 1%の悪魔が日本を襲う」
                        菊池英博箸 『そして、日本の富は略奪される』

 
           「国家からの自由」を求めるユダヤ出身学者の思想

 新自由主義・市場原理主義という思想(イデオロギ士の創始者はミルトン・
 フリー・ドマン(1912~2006)という経済学者である。その思想的源流をア
 ダム・スミス(1723~1790、『国富論』の著者)やフリードリッヒ・ハイエ
 ク(1899~1992)という経済学者に求める意見もある。しかし、若干の類似
 点があるとしても、その中身は先人たちの思想とは似て非なるものだ。新自
 由主義は単に経済学、経済思想にとどまらず、その思想と理論(理屈)をベ
 ースとして、富を一部の富裕層に集中しようとする政治経済行動の理論的骨
 格で、その目的のためには政治権力と結託して行動を起こし、手段を選ばず
 目的を貫徹しようとする執念を持っている。新自由主義思想は、政権を狙う
 政治家が一国の富を富裕層に集中する経済政策をとるときに利用する経済理
 論であり、さらに時の権力に迎合するレントシーカーや学者に利用されてい
 る。新自由主義の経済政策上の手法が市場原理主義である。

 新自由主義思想と市場原理主義をわかりやすく説明した好著として、『悪夢
 のサイクル』(内橋克人著、文瓶春秋)と『経済学は誰のためにあるのか』
 (内橋克人編、岩波書店)がある。これらの文献を参考にしながら、ミルト
 ン・フリードマンの考えを浮き彫りにしてみよう。

 ミルトン・フリードマンは1912年にニューヨークで生まれた。両親はハンガ
 リー出身のユダヤ人で、ヨーロッパにおけるユダヤ人迫害を恐れてニューヨ
 ークに渡り、厳しい下積みの仕事をして生計を立ててきた。フリードマンも
 苦学して奨学金を受け、ラトガーズ大学(アメリカのニュージャーシー州)
 を卒業し、シカゴ大学で修士号、コロンビア大学で博士号を取得した。その
 後、コロンビア大学や連邦政府で働いたあとに、シカゴ大学教授となった。
 彼が修士号を取得した頃のシカゴ大学には、フランク・ナイト、ジェイコブ・バイナー、
 フリードリッヒ・フォン・ハイエクといった自由主義思想を持つ経済学者が在籍してい
 た。とくにハイエクは、徹底した自由主義者として知られており、これら学
 者の集団はシカゴ学派と呼ばれている。こうした環境のなかで、特異な思想
 を打ち立てたのがフリードマンである。彼が1950年代に来日したときに案内
 した経済学者・伊東光晴氏は、著書『21世紀の世界と日本』(岩波浬店)の
 なかで、フリードマンが長洲一二氏(経済学者)との対談で語った言葉を紹
 介している(『悪夢のサイクル』より引用)。

 「実は私はユダヤ人である。ユダヤ人がスターリン治下のソビエトにおいて
 どういう待遇を受けたか、特に東欧の人間たちがどういう待遇を受けたか。
 またヒトラー治ドにおいてユダヤ人がどのような残酷な死を招いたかという
 ようなことはいまさら申し上げるまでもないでしょう。私が自由な市場に委
 ねるのがいちばんいいということを主張するところには、国家も制度も民族
 も一切力を持だない、一つのメカニズムが人間社会を結ぶということが最も
 幸福であるという、ヒトラー治下の、スターリン治下のユダヤ人の血の叫び
 である」フリードマンの考えは、自由な市場をつくり、そこに「人間の自由
 」を実現していくことになる。自由主義はもともと「国家からの自由」「国
 家は個人に一切干渉すべきではない」というものであり、これが彼の考えの
 基本になっている。ここで、極端な自由主義者であるフリードマンの人とな
 りと、新自由主義の特徴を表すエピソードを2つあげておこう。

                    第1章 新自由主義という悪魔の誕生」
               菊池英博箸 『そして、日本の富は略奪される』


  ※この節のつづきは → こちら


                   福祉型資本主義で「貧困・不況・格差」は過去のもの

 第二次世界大戦に勝利したアメリカは、大恐慌の反省から自由放任資本主義
 がもたらした弊害を除去し、安定した資本主義を継続させて、経済成長と経
 済的平等を両立させることに成功した。資本主義の下で資本家の富を労働者
 とも公平に分かち合い、まさに福祉型資本主義時代に入ったのである。経済
 学者であるジョン・ケネス・ガルブレイス(1908~2006)は多くの著書のな
 かで、「自由放任の古典的資本主義がもたらした貧困・不況・格差(不牛等
 )はもはや過去のものになった」「こうなったのは、大恐慌によって破壊さ
 れた資本主義から多くのことを学び、破綻を避けるためのビルトイン・スタ
 ビライザー(安定化措置)を経済の中に取り付けたからだ」という趣旨の見
 解を述べている。

 こうして、1950~1960年代のアメリカでは、中産階級と呼ばれる社会的中間
 層が大幅に増え、ベビーブームを起こし、新規投資が雇用と所得を生んだ。
 消費の拡大が投資を増やすという好循環で経済が成長し、累進課税と政府投
 資による官民協調で、安定した社会を形成してきたのである。まさに福祉型
 資本主義であり、日本でも1970年代後半から1980年代初頭までは「一位総中
 流」という理想的な資本主義社会が形成されていたのだ。
 このような繁栄を支えてきたのが、ケインズ学派の経済学である。市場主義
 を維持しながら、政府が総需要管理を適切に行う政策をとって市場に介入し
 ていけば、景気変動を調整でき、税制を含む分配政策によって国民を平等に
 し、幸福にできる。それによって、さらに経済を発展させるという政治経済
 思想である。

                    第1章 新自由主義という悪魔の誕生」
               菊池英博箸 『そして、日本の富は略奪される』

                             この項つづく

 

 

米菓と狗鷲

$
0
0

 

 
例の山椒あられかおかきなのか定かでないが平和堂で買ってきたので食べてみて、こ
れなら思い出での「鬼山椒」と同じだねといことで戴いた。正確には「一口おかき鬼
山椒」といって大津市の中西永生堂の製造になるものだ。山椒が効いているので細か
く割りお茶漬けにして食した方が良いのかもしれと思った。ところで、「あられ」と
は。米菓でももっとも小さなものにあたるという。餅を小さく切り(欠き)、乾燥さ
せたものを表面がきつね色になるまで炙った米菓で、小粒なものをあられと呼ぶが、
本来はもち米をそのまま炒ったものをあられ、なまこ餅(ナマコに似た形状に成形さ
れた餅)を切って干し、焼いたもの(かき餅)をおかきと呼んでいた。しかし現在で
は同じ餅を原料とした焼き子を大きさで区別しているに過ぎないというから区別し難
いのは致し方ない。ところで、かき餅は豊臣秀吉の好物とされ、太閤となっても間食
として身辺から離さなかったとされるからこの時代から普及多様化したのではないだ
ろか。 

 


"Wikipedia"によれば、米菓(べいか)とは、米から作った菓子で、煎餅をはじめおか
き、あられなど、日本人に古くから親しみのあるものが多く、主にもち米、うるち米
で作られる。米菓は、新潟県を中心に全国で広く生産されており、主に焼いて作られ
ているが、揚げて作られるものもあるなど多様性があるとか。また原料とする米の種
類がもち米であるものを「あられ(おかき)」、うるち米であるものを「煎餅」といい、
大きく2つに分けられる。「あられ」は「おかき」の小さいもので、製造方法に大き
な違いはない。なお、煎餅には小麦粉やそば粉など米以外を原料とするものもあり、例
えば瓦せんべい、南部煎餅、炭酸せんべいなどがありあられ(霰)とはあられ餅(霰
餅)の略で、米餅を長さ2、3センチ、縦横5ミリ程度の長さに切り、火で炙った菓
とある。炒った豆(表面をコーティングする)を使用するものもあり、一般的には火
で炙るが、油で揚げた揚げ餅もあるという。この「鬼山椒」はたまり醤油で熟っくり
と焼き上げてつくられているとメーカの説明である。さてこのあられ騒動?これにて
一件落着 ^^;。

   こちらは「鬼サラダ」

 

 



● デフレ脱却と安定成長への道

わたしが成長戦略『双頭の狗鷲』を構想したのは鳩山民主党政権誕生前後であった(
「リフレ派宣言」「日銀解体論」「未来国債」「日本列島高架線埋設化」「高速道路
無料化」などもをその前後で掲載)から、アベノミックスの"デフレ脱却路線"と同じ
立ち位置にあると思っている。それ間違いないか?その意味でこの著書の精読は大切
な作業となっている。

 

                失業率を大きく下げる役割を担うのは「厚生労働省」ではない

 日本で「失業率を大きく下げる役割を果たすのは、どの役所?」と聞くと、ほと
 んどの人は「厚生労働省」と答える。マスコミの記者の人たちも厚生労働省だと
 考えている。
  アメリカで記者たちに同じ質問をすると「FRB」と答える。それが正解だ。
  失業率を大きく左右できるのは中央銀行、日本でいえば日銀である。
  残念ながら、厚労省の政策で失業率が大きく下がることはない。ハローワーク
 がどんなに頑張っても、失業率の大幅改善にはほとんど関係ない。失業率の絶対
 水準を左右するのは金融政策だ。金融政策によって失業率は下がっていく。

  ただ、どんなに優れた金融政策をしても、一定のところから先は失業率は下が
 らなくなる。三%の前半あたりで止まる。そこから先は、雇用のミスマッチの問
 題などがある。その部分を担当するのが厚労省だ。ミスマッチを減らすという点
 では厚労省の施策は意味があるのだが、失業率の水準を大きく増減させるほどの
 インパクトは持っていない。また、ミスマッチは個人個人の問題なので、簡単に
 は解決せず、厚労省がどんなに頑張っても限界がある。
 
  失業率を改善させるのは、厚労省ではなく、日銀の仕事である。日銀の金融政
 策の目的は失業率改善である。
  もちろん物価の安定といってもいいのだが、物価と失業率は連動している。数
 値が連動しているときには、数学的には一つの数値だけをいえばいいことになる。
  世の中の人にとって最も大切なことは「物価」よりコ雇用」だと思う。だから
 私は、経済政策の中で指標をIつしか選べないとしたら「失業率」を選ぶ。
  その視点で見ていくと、アベノミクスの第一の矢(金融政策)の最大の効果は、
 失業率を改善し、就業者を増やしたことである。

  民主党政権の前は、失業率は4~5%程度で、仕事に就いている就業者数は6300
 万人くらいだった。鳩山由紀夫政権以降の民主党政権下で失業率は5%台が続き、
 就業者数は6280万人程度にまで減少した。第二次安倍政権が誕生して以降は好転
 し、失業率は4%台から3%台まで低下している。就業者数も6360万人程度へと
 上昇傾向である。2014年7月の就業者数は6,363万人で、前年同月比20ヵ月連続の
 増加となっている。失業率は3.5%である。
 
  失業率が下がれば、自殺率や犯罪率が低下することが知られている。生活保護
 率も下がる。問題となっているブラック企業も求人が困難になって、自ずと淘汰
 されていく。いずれにしても、失業率は最も重要な指標である。
  アベノミクスの効果として「株価」がよく注目されるが、アベノミクスの最大
 の成果は「失業者を減らした」ことである。この点を見過ごしてはいけない。

                        第3章 アベノミクスへの通信簿  
                      高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』


                      デフレを解消しないままの雇用政策は、むしろ逆効果の可能性もある

 デフレの時代が長く続き、不安定な非正規雇用が増えたことで、厚生労働省など
 が非正規社員を正社員にさせる法規制を強化し続けてきた。非正規社員で一定年
 数働いたら、継続雇用をするには、正社員として雇わなければならないという規
 制だ。こういう労働政策は単に現象に対応しているだけで、結果として大きな効力がな
 い。デフレを解消しないで法規制することは、むしろ歪みやひずみを生み、ブラ
 ック企業を増やす可能性がある。
 
 雇用政策に血道を上げたがる人々は、「デフレは脱却できない」という思い込み
 があるから、表面的な規制を強化しようとするのだろう。
 だが、デフレ下では、できるだけ労働コストを安くすることが企業にとって合理
 的な行動になってしまう。無理に正規雇用にさせると、どこかでコストを削ろう
 とするから、社会保険料を払わなかったり、精神的に追いつめて辞めさせようと
 したりする会社が出てくる。つまり、ブラック企業が増えてしまうのだ。それで
 は何のために正社員にさせたのかわからなくなる。おそらく他にも水面下でいろ
 いろな違法行為が横行するだろう。
 
 デフレ下では、企業にとって従業員を正社員にするインセンティブが何もない。
 政府が規制しても企業は政府の意図どおりには動かない。隠れてブラック化する
 恐れがある。デフレを止めれば、正社員にしないと人が集まらず企業は競争に敗
 れる。デフレが解消された環境下では、デフレ下と状況が反転して、正規雇用を
 進めることが企業にとっての最適行動となる。規制をしなくても、正社員を増や
 さざるをえなくなる。デフレ下で無理に対症療法をすると歪みを生む。非正規雇
 用を多く生み出す理由の根幹であるデフレをなくすことが、労働政策として最も
 効果が高いのである。アベノミクスのデフレ脱却は、ここに手を打ったといって
 よい。デフレ脱却がブラック企業潰しにも大きな役割を果たす。

                        第3章 アベノミクスへの通信簿  
                      高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』


              デフレさえ止めればブラック企業の頭の悪い経営者は淘汰される

 ブラック企業とは、賃金を叩いて、長時間働かせて、人を使い捨てのようにして
 利益を上げている企業だ。正社員を減らし、非正規にして賃金を抑える。不要に
 なったら辞めさせる企業もある。しかし、アベノミクスによってデフレ脱却へ向
 かい、状況は一変した。ブラック企業として話題になっていた企業が、人手不足
 で閉店に追い込まれているというニュースも出ている。これは当然の成り行きだ
 と思う。

 私はデフレ脱却によってブラック企業が淘汰されると予測し、アベノミクスが始
 まったころにいくつかの記事に書いた。実際、そのとおりになりつつある。ブラ
 ック企業というのは、ある意味で、デフレ下において合理的な経営モデルだった。
 デフレ下では賃金を下げれば下げるほど利益が出る。正社員より非正規にしたほ
 うが利益が出る。ところが、物価が上昇し、インフレになると状況は一変する。
 アルバイトが集まらなくなり、賃金を上げざるをえなくなる。非正規を中心にし
 ていると、先はどのニュースの例のように、人手不足で閉店に追い込まれる可能
 性が高くなり、安定した経営はできなくなる。正規社員にしたほうが安定的に利
 益を出せる。非正規で賃金を叩いて使い捨てにする企業は、自ずから淘汰されて
 いく。

 ローソンを率いていた新浪剛史氏は、アベノミクスでデフレ脱却が起こると予測
 して、いち早く「雇用を増やします」「正規社員にします」と宣言した。実際、
 アルバイトを正規社員にし、賃金も上げている。このあたりが賢い経営者と頭の
  悪い経営者の違いだ。
 
 賢い経営者は、デフレという条件と、インフレという条件では、経営行動を変え
 なければいけないとわかっている。「賃下げ、非正規化」はデフレ下では最適行
 動だが、インフレ下では逆になり「賃上げ、正規化」が正しい経営行動となる。
 新浪氏のような経営者はそれがわかっているから、すぐに正規化、賃上げを表明
 したのである。
 
 ブラック企業の頭の悪い経営者たちは、デフレという条件下で、単に、賃金を下
 げ、非正規にして使い捨てていただけなのに、それを自分の経営手腕や能力、努
 力の賜物だと思い込む。要するに、経済のメカニズムや自社の収益のメカニズム
 を理解していないのだ。だから、前提条件が変わっても行動を変えられない。デ
 フレに慣れきってしまって、いまだに労働者の使い捨てが、さも正しいことであ
 るかのように思い込んでいる。真の経営能力はないから、「二十四時間働け」と
 いった精神論でしか経営ができない。そういうブラック企業が、デフレ脱却によ
 って淘汰されるのは良いことだと思う。経済のメカニズムを理解している人は、
 インフレ下で安定的に利益を上げるための最適行動は、「賃上げ、正規社員化」
 だと知っている。

                        第3章 アベノミクスへの通信簿  
                      高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』

                 「経済は予想インフレ率で勣いている」と、どうしていえるのか 

 金融緩和の効果を信じられない人は、なぜ金融緩和で企業が行動パターンを変え
 るかが理解できない場合が多いようだ。私が強調するのは、「経済は予想インフ
 レ率で動いている」ということだ。予想インフレ率は実質金利に影響を与える。
 式を書くと次のようになる。

                   実質金利=名目金利I予想インフレ率 

 企業の経営者は予想によって動いている。「今後、景気は良くなるだろうか」「
 物価は上がるだろうか」といったことを考えて、設備投資をするかどうか、借入
 れをするかなどを判断している。過去の実績も考慮に入れるが、今後のことを予
 想しなければ経営判断はできない。企業経営者の先行き予想を調査しているのが
 三ヵ月ごとに発表される「日銀短観」である。

 各業種の企業が三ヵ月後の業況を予想し、それが数値としてまとめられている。
 この日銀短観の調査に2014年3月分から、「企業の物価見通し」というのが加わ
 った。一年後、三年後、五年後の物価上昇率を予想したものだ。

 2014年6月の調査では、物価上昇率は、一年後「1.5%」、三年後「1.8%」、五
 年後「1.7%」と予想されている。始まったばかりの調査で企業側も慣れていな
 いかもしれないが、この先、予想の変化を見ていけば、重要な参考数値となる。

 この物価上昇率の予想(予想インフレ率)が、経済の中では非常に大きなポイン
 トなのである。企業の投資判断に影響を及ぼすのは、実質金利だ。先に挙げた式
 の中で、「現在のインフレ率」ではなく、「予想インフレ率」を引いているとこ
 ろがポイントである。この式を最初に日本で提示したのは私だった。それまでは 
 実質金利を出すときに、名目金利から「実現したインフレ率」を引いていた。し
 かし、実現したインフレ率は投資行動にはほとんど影響しない。行動を左右する
 のは将来の予想だ。
 
 たとえば、お金を借り入れるにしても、返済するのは今ではなく将来である。金
 融機関から利息(名目金利)を提示されたときに、将来高いインフレ率になると
 予想していれば、実質的な金利は安くなるから借りようと考える。将来デフレに
 なると思えば、実質的な金利は高くなるから、借りるのをやめようと思う。

 もう少し感覚的なことをいうと、インフレ率を高く予想する人は、「将来、会社
 の収入は増えるだろう」と感じている人で、デフレを予想する人は「会社の収入
 は減るだろう」と感じている人だ。その感覚はだいたい当たる。インフレになれ
 ば、回りまわって会社の収入はいずれ増える。収入が増えそうだと思う人はお金
 を借りるし、投資をしようとする。予想インフレ率に基づいた実質金利によって
 投資行動は決まってくる。

 経済学では、消費行動や投資行動は予想で決まるというのが初歩的な理論だ。し
 かし、私が「予想インフレ率」の概念の重要性を主張したとき、経済の専門家に
 も理解してもらえなかった。政策担当者の中には「予想なんて、あいまいで、フ
 ワフワしたものじゃないか」と考える人が多かったし、「そんな予想なんていう
 雲をつかむようなものに、日本の金融政策は左右されません」という人もいた。
 私は、予想インフレ率を可視化できないかと考えた。 

                        第3章 アベノミクスへの通信簿  
                      高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』

 
            「予想インフレ率」を物価連動国債で可視化すると、物事がうまく回る

 アメリカでは1990年代に「物価連動国債」というものが発行された。実は、これ
 を使うと予想インフレ率を計算できて、グラフなどにして可視化できる。物価連
 動国債とは、物価に連動して価格が調整される国債のことである。このようなも
 のが発行されれば、マーケットの人はプロだから、真剣に物価を予想しながら植
 付けをする。金がかかっているから、アンケート調査のように「いい加減」に予
 想する人はいない。マーケットのプロたちが考える予想インフレ率の平均が、こ
 の物価連動国債によってわかる。

 たとえば、十年物の物価連動国債を発行すると、その物価連動国債の利回りが出
 る。これと普通の十年物国債の利回りの差を出す。それを十年間で平均したもの
 が「予想インフレ率」だ。アメリカはこの数値を金融政策の判断の参考にできる
 と考えて、一年債、三年債、五年債などいろいろな物価連動国債を発行している。
 それぞれの期間の「予想インフレ率」を出せる。
 
 1999年に私はアメリカに留学して、物価連動国債のことを知った。「これは金融
 政策に役立つ」と思い、帰国して2001年に経済財政政策担当大臣の竹中氏に物価
 連動国債の発行を提案した。私のオリジナルではなく、アメリカ、イギリスなど
 海外では普通に行なわれていることだ。竹中氏はその提案に乗ってくれたが、財
 務省が反対して発行を渋っていた。「高橋がいっていることだから嫌だ」という
 感情的な反発もあったらしいことは、私の不徳の致すところである。

 中には、「インフレになると償還が大変になる」という人もいた。だが、インフ
 レになれば経済成長が起こっていて税収も増えているから大きな影響はない。ア
 メリカでは、物価連動国債は国債発行額の四分の一の規模にまで達しているほど
 だ。それから二年かかり2003年に、日本で初めての十年物の物価連動国債が発行
 された。発行規模は小さいが、大きな進歩だった。マーケットは本当に正直に反
 応するもので、2008年に、デフレ脱却に消極的だった白川方明氏が日銀総裁に就
 任すると、予想インフレ率はとたんに下がり始めて、マイナスにまでなってしま
 った。つまりデフレを予想したわけである。

 それに不快感を持っていたのか、同年9月のりIマン・ショックを機に、日本で
 は物価連動国債の発行が停止されてしまった。ちなみに、リーマンショク後に物
 価連動国債の発行を停止した国は他にはない。安倍首相はさすがによくわかって
 いる人で、二度目の首相に就任すると、財務省は2013年に物価連動国債を再開さ
 せている。安倍政権の政策を受けてマーケットの予想インフレ率はどんどん上が
 っていった。

 予想インフレ率は、マーケットが将来の物価をどう考えるか、経済政策をどう見
 ているかを知る重要な判断材料となる。マーケットから算出した予想インフレ率
 とマネタリーベースの関係を調べていくと、マネタリーベースを増やすと予想イ
 ンフレ率が上がるということがわかった。これを最初に発見したのは私である。
 つまり、マネタリーベースを増やすと、マーケットはインフレを予想するように
 なるということだ。その結果、実質金利が下がって投資が増え、やがて経済が上
 向く。現在の日銀の岩田規久男副総裁は、この理論に沿って金融政策を運営して
 いる。

 物価連動国債で予想インフレ率が可視化されたため、日銀は予想インフレ率を見
 ながら金融政策の判断をしている。他の国も同様で、中央銀行は予想インフレ率
 の指標を見ながら金融政策を決めている。物価連動国債は、実は年金問題にも有
 効に働く。インフレになったときに償還される元本がインフレ率に応じて増える
 からだ。普通の国債だと元本が増えない。年金基金にとっては、物価連動国債は
 運用がしやすい。最近の報道では、財務省は年金基金による購入を見込んで物価
  連動国債の発行額を増やす方針とされている。

                        第3章 アベノミクスへの通信簿  
                      高橋洋一著 『アベノミクスの逆襲』

 




菊池英博の『そして、日本の富は略奪される―アメリカが仕掛けた新自由主義の正体
』の多くは、このブログの「新自由主義論Ⅰ-新たな飛躍に向けて-新自由主義から
デジタル・ケイジアンへの道」(『デジタルケインズと共生・贈与』)で考察した
ヴィッド・ハーヴェイ
『新自由主義――その歴史的展開と現在』(作品社、2007年)
の分析と重複するとことが多々あり、序章と第1章および第2章も注目し節のみピッ
クアップした。(詳細は → こちら を参照)。

                         ワシントン・コンセンサス

 1991年12月25日、69年間継続したソビエト連邦が崩壊した。このときまで、第二
 次世界大戦後の世界は、民主主義・資本主義と共産主義・社会主義の対立となり
 とくに共産主義はソ連を盟主とした独裁政治の下で社会主義を進め、東ヨーロッ
 パ諸国が共産化された。こうしたなかで、私有財産を中核とする資本主義と財産
 の国有化を中核とする社会主義の中間的な混合経済が、戦前からドイツとフラン
 スを中心に西ヨーロッパで広がっていた。しかし、これらの国は民主主義であり
 「民主主義と資本主義を守る旗手としてのアメリカ」とともに行動し、世界は民
 主主義の国々と共産主義(独裁主義)の国々に分かれ、「東西対立」と言われて
 きたのである。

 ソ連邦の崩壊は、共産主義の敗北であり、とくに戦後の冷戦の勝者は民主主義・
 資本主義であった。ソ連邦崩壊によって、それまでソ連邦との対立構造のなか、
 民主主義のリーダーとして存在意義を持っていたアメリカは、存在意義が薄れて
 きたために、新たなレゾンデートル(自らが世界のりIダーであることを鼓吹す
 る理念)をつくりあげようとした。これが現在、一般に言われている「ワシント
 ン・コンセンサス」であり、その基本理念が新自由主義・市場原理主義(グロー
 バリズム)である。

 ワシントン・コンセンサスという言葉は、ソ連邦崩壊以前の1989年に、アメ
 リカの国際経済研究所(IIE)のジョン・ウィリアムソンによって最初に使わ
 れている。中南米諸国を支配下に置きたいアメリカは、ワシントンに本拠を置く
 IMF(国際通貨基金)と世界銀行と共同で、これらの国々の経済指針をまとめ
 これをワシントン・コンセンサス(見解の一致)という名目で発表した。アメリ
 カはIMFと世界銀行への最大の出資国であり、その議案には拒否権を持ってい
 るので、これらの国際機関を巻き込んで、中南米を席巻しようとしたのだ。

 ウィリアムソンがまとめた政策は、財政赤字の是正、補助金削減などの緊縮財政
 税制改革(累進課税の緩和)、金融改革、競争力ある為替レート、貿易の自由化、
 資本取引の自由化(外資導入の促進)、国営企業の民営化、規制緩和、所有権の
 確立(外資の保護)からなっていた。まさに新自由主義・市場原理主義の基本政
 策そのものであり、IMF・世銀などの国際機関は、融資を求めにきた国に対し
 てこうした条件を強制したのである。
 
  1991年12月のソ連邦の崩壊によって、旧ソ運部内の共和国は独立し、それぞれ自
 立した経済を樹立する必要に連られた。そこでアメリカは、ロシアをはじめとす
 る旧共産主義国にシカゴ・ボーイズを中心とする経済顧問団を派遣し、ワシント
 ン・コンセンサスを政策パッケージとして採用させたのである。その内容は、国
 有企業の民営化、規制緩和、物資の価格の自由化、通商の自由化、金融自由化、
 財政規律の回復と緊縮財政が中心であり、資本主義経済に不慣れな旧社会主義国
 を短期間で資本主義化しようとした。この基本理念が新自由主義・市場原理主義
 であったため、旧社会主義国家は「体制転換による大不況」と言われる混乱状態
 に陥ってしまったのである。

 社会秩序は乱れ、どの国でもマフイアと呼ばれるような不当利得者(レントシー
 カ上を生み出した。生産性の低下で経済はマイナス成長に落ち込み、インフレが
 同時進行するなど、惨價たる経済情勢になってしまった。ロシアは1998年に国債
 の返済不能状態(デフォルト)を起こし、世界を巻き込む金融危機を引き起こし
 たのだ。

 しかし、混乱の原因は、アメリカのシカゴ・ボーイズが各国内に賛同者をつくり
 彼らを巻き込んで富を少数の投資家に集中するよう仕向けてきた政策にある。こ
 うした動乱のなかで、巨額の富を得だのが外資と国内の一部のレントシーカー(
 不当利益の追求者)であり、貧富の格差の拡大と社会的混乱は想像を絶するもの
 であった。 「富を国民全体で分かち合う」という理念をペースとしてきた旧共
 産主義国家で、短期間に「富が1%に集中する」格差社会になってしまったのだ。
 こうした混乱を背景として、2000年にロシア連邦の2代目大統領としてウラジミ
 ール・プーチン(旧KGB、国家保安委員会出身)が就任し、権威主義的政治で
 社会経済がようやく安定してきた。

 旧共産主義国家の新しい指導者は、新自由主義・市場原理主義の手法を利用して
 自らの利益になる政策を採用させることにより、富を収奪することに成功した。
 しかし、こうした事実が表面化するにつれて、ワシントン・コンセンサスには
 「民営化、自由化、規制緩和を三本柱とする新自由主義者・市場原理主義者のイ
 デオロギーであり、経済を安定的に成長させることはできない」という批判が強
 まった。とくにワシントン・コンセンサスを強く批判したのは、ジョージ・ソロ
 ス(ロンドンに拠点を置く証券投資家)とジョセフ・スティグリッツである。

 さらに、このあと述べるように、IMFは、ワシントン・コンセンサスを東アジ
 アの通貨危機の解決方法に適用することで、対象国の経済社会体制を破壊し、少
 数の投資家と利権者がその国の富を収奪するという手法をとったのである。2009
 年のG20サミットでは、イギリスのゴードン・ブラウン首相(労働党)が「ワシ
 ントン・コンセンサスは終わった」と言明し、注目された。ブラウン首相自身、
 法人税を下げて財政赤字を拡大させるなど、労働党でありながら新自由主義的政
 策をとって失敗した政治家である。彼の口から出たこの言葉は、新自由主義・市
 場原理主義を理念とする政策がいかに虚しい結果しかもたらさないかを、自戒を
 込めて表現したものと言えよう。しかし、他国の富を収奪して「1%の利得者」
 に集中させようとするワシントン・コンセンサスの勢いは、決して終わっていな
 い。

                  第2章 「自由」とは「海外侵略」のことだった
                   菊池英博箸 『そして、日本の富は略奪される』


                       アメリカに要請された規制緩和が引き起こした通貨危機

  アメリカは、東アジア諸国に経済と金融の両面で規制緩和と自由化を求め、これ
 らの諸国は、国内体制が不十分であるにもかかわらず、外資に門戸を開放せざる
  をえなかった。アメリカは、金融を自由化させて金融先物相場を導入させ、外資
  制の廃止、短期資本の流出入の自由化を要求し、一国の経済情勢が外資によって
  左右されやすい体制をつくらせたのだ。
 
 金融自由化の結果、各国内では自国通貨よりも金利の低い外貨(大部分がドル)
  の借り入れが進んだ。その借り入れによって不動産投資や地域開発への投資が増
  加し、国内ではバブル現象が起きていた。国内経済は活況を呈し、輸入が増加し
 たために国際収支(一国のモノとサービス、投資の受払ぃの収支)は赤字になり
 その穴埋めに短期資本を受け入れていた。

 多くの企業は、金利が安い外貨借り入れを増やした。しかし、自国通貨が事実上
 のドルペッグ相場(わずかな変動幅でドルに固定する通貨制度)であったので、
 為替リスクが小さいと考え、為替リスクを回避する手段(返済に備えて外貨を先
 物市場で買っておく)をとらなかったのだ。さらに、各国政府は、先物市場やデ
 リバティブ量融派生商品)の分野の取引を自由化した場合、その影響が自国にど
 う影響するかをト分に検証しなかったため、金融市場に大きな変動が起きると、
 防御する方法もわからず、一挙に大損失を披ったのである。この損失分は、新自
 由主義者・市場原理主義者の利得であり、アジア通貨危機はまさに新自由主義者
 ・市場原理主義者に仕組まれた壮大な富の収奪であった。相手国が金融規制緩和
 の影響を理解していないうちに、一挙に富を奪うのが新自由主義・市場原理主義
 者の手法であり、当時のアメリカのクリントン大統領が先頭に立って東アジア諸
 国の富の収奪作戦を主導したのだ。

 

 1997年7月を基準としてその後の切り下げ率を見ると、タイのパーツ、韓国のウ
 ォン、マレーシアのリンギットはピークで65%まで落ち込み、50~60%の水準で
 ようやく安定した。インドネシアのルビアは20~30%の水準まで切り下げられて
 いる。短期間にいかに激しい売り込み(ドルの切りヒげ)があったかがわかるで
 あろう(図2-1「東アジア通貨為替相場(対米ドル相場指数)」参照)。歴史上、
 これほど激しい投機的な売りは初めての出来事であり、売り手はアメリカをはじ
 めとする外資系のヘッジファンド(投資信託、国際投機集団)であった。彼らは、
 各国の通貨の切り下げ分だけ投機的利益を確保し、各国はその分だけ富を奪われ
 たのである。歴史上、戦争以外の平和な時代で、これほど激しい損失を受けた独
 立国はなかったであろう。

                 第2章 「自由」とは「海外侵略」のことだった
                   菊池英博箸 『そして、日本の富は略奪される』


                               この項つづく

 


皇帝ダリアとワンダフル工学

$
0
0

 

 

● 皇帝ダリア騒動 

最近、外出すると皇帝ダリアの花をよく見かけるようになった。ところが、当初車窓か
ら眺めているだけなので、秋咲の合歓の木の花があるのか知らないが勘違いしていたが、
彼女が何の花かひつこく尋ねるが要領得ない返事でおざなりにしていたが、「皇帝ダリ
アよ!」と部屋に飛び込んでくる。懇意にしているご近所に咲いていたのので尋ねてき
たといい、ご主人が皇帝ダリアの株が分けてもられるかもしれないというので、春には
庭植できるかもしれないという。

皇帝ダリアは、日が短くならないと花芽ができないので、開花期が遅く11月下旬から咲
き出す。近くに街灯や電灯があると日が長いと感じ、花芽をつけないので注意も必要。
成長すると5~6メートルにもなる。草丈を高くしたくない場合は、何回か切り戻して
高さ調整する。科名:キク科、属名:ダリア属、学名:Dahlia imperialis、別名:木
立ダリア・インペリアルダリア。原産は中米、メキシコに分布、木質化する3種がツリ
ーダリアと呼ばれるが、そのなかでも特に茎が太くなり草丈が高くなるという。また、
庭植えのものは露地で越冬するが凍結は厳禁。

 

                                                                              

 

 

● デフレ脱却と安定成長への道 Ⅱ


さて、第3章の見出しは、ズバリ「まやかしだったアメリカの市場原理主義」と切りす
てる。これを言い換えれば「グローバリズムなんて、単なる英米的強欲主義(=英米流
金融資本主義)」と言い換えても許されるだろう。また、「デフレからの脱却」はすで
にレーガン政権で試行され失敗するが後継者のクリントンは 新自由主義・市場原理主
義から脱却できず格差が広がり、上位1%しかマネーは流れてこない社会を変えられず、
続く子ブッシユ政権は徹底した新自由主義・市場原理主義でアメリカを崩壊させたと言
う。

当初は、感覚で高橋洋一と菊池英博両氏の著書をチョイスし、同時並行的読み進めてき
たが、ここにきて日米の経済運営の経緯と矛盾を立体的に浮き彫りできたような手応え
を感じている。以下、恣意的に関連する節を掲載した。尚、詳細は各著書の別に参照願
う(→ こちら)。

 

        冷戦終了後は政府投資が経済成長の牽引力(クリントン・モデル)

 冷戦が終わり平和になったアメリカで、初めて平時に経済を成長させることを目標
 として国家予算を組んだのは、1993年1月に就任したクリントン大統領であっ
 た。このときまで、軍事予算と軍需バブルで国内経済を成長させてきた国が、どの
 ようにして方向転換を図るかが、最大の課題であった。
 そこで考えたのが、いままで軍事費に投入していた予算を国内の公共投資(道路交
 通網整備、地域開発、職業教育・学校教育施設の拡充など)に振り向けて内需をつ
 くり出し、民間投資を喚起させることであった。同時に、株式市場では、軍需バブ
 ルに代わってTITバブルを演出することであった。その内容の骨子は77ページで
 述べた通り、1993年8月の「包括予算調整法」であり、この政策理念を初年度
 1993年度予算から8年間継続して実行したのである。

 この結果、大統領就任時点(1992年度予算)では、2903億ドルあった財政
 赤字を5年後の1998年に解消し、退任した2000年度予算では、財政収支が
 2362億ドルの黒字になったのである(8年間の予算支出の内訳は、図表3‐1
 「クリントン大統領の予算支出の内訳」参照)。クリントン大統領の2期8年間の
 実績を、第1期(1993~1996年度)と第2期(1997~2000年度)
 に分けてまとめてみると、8年間の財政支出(予算支出の総額と項目別の支出)の
 特徴は次の通りである。

 

 ①全体の予算総額は、第1期は年平均対前年比プラス3・3%、第2期は同じくプ
 ラス3.O%であり、8年間の累計で33%増加している。「債務国だから、軍事費
 を減少して予算総額を削減する」のではなく、軍事費の減少分を公共投資に振り向
 け、さらに総予算を前年比で3%以上増加させている。増加率が3%台であるのは、
 物価の上昇率を2%程度と見込み、「物価上昇+1%」を予算総支出にするという
 方針の 表れである。

 日本では、「クリントンは均衡財政をとって赤字を解消した」(財務省の資料、2
  001年3月の理財局次長の発言という意見がある。しかし、これは大きな事実誤
  認である。図表3‐Iでわかる通り、債務国のアメリカが、当初の2~3年間はあ
 えて赤字を増加させて公共投資を実行して景気対策をとり、景気回復によって税収
 を増加させる政策をとったのだ。これが成功して、2年目から税収が徐々に増え、
 5年後の1998年に財政収支が黒字になったのである。黒字になってからも財政
 支出総額を毎年平均3%増加させ、その増加分は政府投資に集中的に支出した。こ
 うして8年目には、財政黒字が2362億ドルになり、8年間で5265億ドルの
 財政収支を改善したのである(図表3‐2「過去20年間のアメリカの財政収支の推
 移」参照)。

 ②財政支出の内訳を見ると、軍事費は8年間累計でマイナス1.2%である。この
 軍事費の減少分と財政支出総額の増加分を原資として、「裁量的項目」のうち「道
 路輸送関係」は年平均対前年比プラス7.7%、8年間の累計で70%の増加となり
 「地域開発」は年平均前年度比プラス9.8%、8年間の累計で80%の増加、「教
 訓練」は年平均前年度比プラス5・5%、8年間の累計では44%の増加であった。
 8年間継続して投資関連支出を重点的に増やしていくのは容易ではない。それを実
 行したことによって国内の有効需要を喚起し、民間投資を誘発して、投資の乗数効
 果が加速され、経済成長を促進してきたのだ。8年間の財政支出総額は33%の増加
 であるのに、政府投資の増加は46%であり、この差額こそ、予算の支出にウエイト
 をつけて公共投資に集中した結果である。これが景気回復と税収増加をもたらした
 のである(図表3-3「クリントン大統領の経済政策の効果」参照)。



 クリントン政策はまさに政府によるケインズ的な需要喚起であり、供給サイド経済
 学ではない。この実績こそ、供給サイドを重視する経済学の誤りを示し、需要喚起
 の経済学こそ、経済を成長させる原動力であることを証明している。
 ③クリントンは就任演説で「公平な税制を導入する」と宣言したので、これを具体
 化した。所得税の最高税率を従来の31%から39・5%へ引き上げ、1993年1月
 に遡って実施した。大企業に対しては、法人税の最高税率を34%から35%に引き上
 げ、多くの特別償却を廃止した。

                  第3章 まやかしだったアメリカの市場原理主義
                   菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』

 
                格差が広がるアメリカ、上位1%しかマネーは流れてこない

 アメリカの雇用情勢を見ると、デジタル革命によって事務職の仕事が減り、中間層
 は職を失ってきたので、政府は職業訓練やNPOの新設などで、失業の増加を食い
 止めようとしてきた。しかし、減税の恩恵を受けた大企業や個人富裕層が失業を救
 済するような事業活動を起こす機会は少なく、最近では、失業率は6~7%以上に
 高止まりしている。供給サイドの強化のためと称して法人税の減税をしても、雇用
 の増加は期待できず、新自由主義・市場原理主義は失業を増加させ、雇用条件を悪
 化させたのである。

 アメリカ社会で格差がどのように拡大してきたかを最新の「議会予算局」の統計で
 見ると、「上位1%の最富裕層」の所得のGDPに占める比率は、1985年にG
 DPの12%であったのに対し、2010年になると25%と2倍以上に増加している。
 また保有資産で見ると、「ヒ位1%の最富裕層」の保有資産総額は、1985年に
 33%であったのに、2010年では40%に増えている。さらに過去28年間(197
 9~2007年)の所得の伸び率を見ると、図表3‐4[アメリカにおける所得の
 階層別伸び率」の通りである。

 ここで驚くべきことは、この28年間で物価の上昇率(インフレ率)が約80%なのに
 対し、所得全体の平均の伸びは62%と、平均値の所得では物価上昇を下回っている
 ことだ。物価上昇率を上回っているのは「最富裕聯(ト位I%)」だけであって、
 「富裕層衰富裕層1%を除く上位20%こですら、所得の伸び率は65%であり、イン
 フレ率約80%を下回っている。さらに中間聯(上下2割を除く6割の層)の所得上
 昇率は37%に過ぎず、まさに中関聯の没落と言わざるをえない。下位の20%は、28
 年間でわずか18%しか所得が増えておらず、これには子ブッシユ大統領のときに最
 低賃金が8年間も据え置かれていたことが大きく影響している。アメリカの例では
 っきりわかるように、新自由主義・市場原理主義を理念とする政策をとっていけば、
 富裕聯と大企業に富が集中することになる。しかし、富裕聯と大企業が事業を起こ
 しても雇用が増えることは期待できず、有効需要が減り、失業を生み、デフレにな
 る。アメリカはこうした事態をどのようにして乗り切ろうとしているのか。 

                  第3章 まやかしだったアメリカの市場原理主義
                   菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』


                               アメリカがデフレを回避させる3つの方法

  実はアメリカは、必死にデフレを回避する政策をとっているのだ。経済がデフレにならない
 ようにするためには、「経済全体の需要が供給を下回らないこと」「消費者物価と物価の総
 合指数であるGDPデフレーターーを前年比でプラスにすること」「賃金水準を下げないこと
 (下落しなぃょぅに岩盤をっくること)」が必要であり、常にこの3つを充足させる政策を継続
 することである。

 これを意識して、レーガン以降の大統領が一貫してとってきた政策がある。それは、
 ①「総 需要を喚起する政策をとること」、②「財政政策では軍事費と公共投資・
 地域開発に財政資金を投入して有効需要を喚起し、金融を緩和してバブルを起こし、
 物価を底上げすること」、③「組合員のベース給与は物価上昇率に準じて増やし、
 消費需要を底上げすること」「労使契約で可能な限り賃金水準と雇用を維持するこ
 と」である。

 すでに述べた通り、リーマン・ショック後に就任したオバマ大統領は、経済情勢が
 デフレ傾向にあったために、就任早々の2009年2月、緊急補正予算(2年総額
 70兆円)を組むことによって、公共投資と社会保障費の増額でデフレ回避に成功し
 た。金融面からのデフレ回避策は、金融を大幅に緩和して財政支出を金融面から支
 えるとともに、マネーゲームをやりやすくする環境を整備して、バブルを引き起こ
 すことである。株式市場では株価を引き上げ、石油、鉄鋼、鉱石、大豆、穀物など
 の商品市場では価格を意図的に引き上げてきたのだ。こうして、海外から低価格の
 商品(99セントショップ、ペイレスマーケットの物資など)が入ってきても、消費
 者物価の平均を下げないようにしてきたのだ。 

 さらに賃金水準が下がらないようにして雇用破壊を防止している。アメリカではA
 FL‐CIO(アメリカ労働総同盟・産業別組合会議)という組合の大連合組織(
 日本の連合に相当する)があり、毎年の労使間交渉で賃金水準が決まる。賃金水準
 はインフレ率をペースにするので、物価が上がれば組合員の賃金は上がる。組合交
 渉で賃金基準が決まれば全米の基準となり、これが賃金の家宝硬直性となって、デフレを
  回避する大きな要因になるのだ。しかし、非組合員や非正規社員、移民などの賃金にはこ
  うした約定はないので、物価が上がっても賃金が下がることもあり、下方硬直性はない。し
  たがって、非組合員が多いほど、賃金のデフレ効果が強い。


                  第3章 まやかしだったアメリカの市場原理主義
                    菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』


 

第4章 「バブル期」の真実がわかれば、現在の経済が見える」では、平成元年をはじ
めとする「失われし20年」を政策作成担当者としての現場体験を、1つ1つ交えて検
証されていく。これはビビットに圧巻である(詳細は → こちら)。
 

                      1980年代後半の「バブル期」はインフレではなかった

  多くの人は1980年代後半のフバブル期」のことを誤解している。バブル期に
 は何でも価格が上がり、著しいインフレが起こっていたかのように思っている方が、
 ほとんどではないだろうか。
  だが、現実は違うのだ。価格が上がっていたのは、土地や株などの一部の資産価
 格だけであり、一般物価はそれほど上がっていなかったのである。
  物価はむしろ健全な範囲内だった。経済成長率も特に高かったわけではなく、当
 時の先進国水準では平均的だった。
  つまり、1980年代のバブル経済は、株と土地以外は、「健全な経済」あるい
 は「フツーの経済」だったのだ。
  バブル景気については、地価高騰やバブル紳士の暗躍など、負の歴史のように振
 り返られることが多い。今も市況が過熱気味になると「バブル再来」という言葉が
 批判的に使われ、アンチ経済成長的な心理が広がる要因にもなっている。
  バブル期とは一般的には1987年から1990年までをいうが、どのような経
 済状況だったのか、指標を振り返ってみよう。

         〈マクロ経済指標 1987年~1990年〉

  名目GDP成長率  5~8%
  実質GDP成長率  4~5%
  失業率       2~2.7%
  物価上昇率     0.5~3.3%

  あらためて数字を見ると、驚かれる方もいるのではなかろうか。今からは想像で
 きないほどの健全な数字だ。
  特に、物価上昇率に注目してほしい。0.5~3.3%だから、インフレといえ
 るような数字ではない。
  ここが一番誤解されている点である。「バブル期」と呼ばれているけれども、一
 般物価は、狂乱物価でもなかったし、バブルでもなかったのだ。
  一方、株価と不動産価格は異常であった。
  日経平均株価は1986年には、現在と同じくらいの1万5千円程度だった。翌
 1987年の10月19日にブラックマンデーがあり、一時値を下げたが、その後
 急上昇していき、1989年12月29日に3万8957円の史上最高値をつけた。

 それをピークにして、1990年末にかけて2万3000円くらいまでに一気に下
 がり、1992年初めには2万円を割り込むほどになった。この問に、株を高値で
 つかんだ人は、大きな含み損を抱えることになった。
  土地の価格も異常に上がった。株価より1~2年遅れ、1991年ごろにピーク
 を迎えている。都心では地上げ屋や土地転がしなどが横行し、都心の小さな土地が
 高値で取引された。一定規模の大きさの土地にまとめられて転売され、転売に次ぐ
 転売で異常なほどに値を上げていった。その土地を担保に金融機関は融資をした。
  ところが、バブルがはじけ、土地の価格が下落し、土地は担保価値がなくなった。
 金融機関は融資の回収を急いだものの、結局、多額の不良債権を抱えることになっ
 た。

  株と不動産に関しては、まさしく異常なほどのバブルであった。だがその一方で、
 GDP成長率、物価、失業率などマクロ経済のほうは、いたって健全だったのであ
 る。片方はきわめて異常で、片方はきわめて健全だという、この経済状態をどのよ
 うに分析するかがポイントだ。
  実は、当時の日銀はこの状態を正しく分析することができなかった。両者を切り
 分けず、まとめて一つの経済状態として考えてしまったのだ。そのため、インフレ
 ではないにもかかわらず不要な引き締め政策をすることになり、以後、それを正当
 化するための施策が続くことになってしまった。

          第4章 「バブル期」の真実がわかれば、現在の経済が見える  
                        高橋洋一 著『アベノミクスの逆襲』

 

                                               ノーリスクの莫大な利益を生んでいた「法律の不備」

 私はバブル期に大蔵省証券局の業務課(証券会社の指導監督をする部署)に在籍し
 ていた。そこで目の当たりにしたのは、ほぼ違法ともいえる証券会社の営業であっ
 た。顧客に対して損失補填を約束しながら株式の購入を勧めていたのだ。その株式
 購入資金を、顧客の自己資金で賄うのではなく、銀行が融資するというパターンも
 横行していた。これは株式の購入に限らず、土地の購入でもよく見られた話だ。
 当時、私は株価が上がっている原因を探ろうと思って調べてみたところ、簡単に分
 析することができた。株式売買回転率を調べると、「ファントラ」「営業特金」の
 回転率だけが異常に高かったのだ。

  「ファントラ」はファンド・トラストの略で、具体的な運用方法を信託会社に任せる金融商品
 のことだ。一方、「営業特金」というのは、当時流行っていた証券会社の財テク手
 法で、特金とは特定金銭信託の略称だ。法形式は違うが、経済的にはほぼ同じく、
 「(実質的に証券会社に運用を信託する」手法である。
  当時、私は「なぜ、ファントラ、営業特金はこれほど顧客からの注文を取れるの
 だろう」と不思議に思った。さらに調べると、企業が財テクに走っているのは「抜
 け道」があるためだとわかった。
 企業が持金を設定し、本体で所有している有価証券を特金に移管すると、本体が所
 有している有価証券の帳簿価格を変えずに有価証券運用を行なえるというメリット
 があった。

  つまり、企業の保有する有価証券に莫大な含み益が発生しても、その含み益を顕
 在化させない形で有価証券を運用できるのである。 こんな制度なら、評判を取る
 のが当然である。これは「簿価分離」というが、税制の歪みであり、それが悪用さ
 れていたのだ。証券会社の営業担当は、「いくら売却益が出ても、本体のほうの含
 み益は別だから大丈夫です。含み益を出さなくてもいいんです」といって売り込み
 をかけていた。

  その一方、証券会社の営業担当は事実上の損失補填もしていた。「もし損が出て
 も大丈夫です」と口約束をしたり、名刺の裏に一筆書いたりしていたのだ。当時の
 法令上、売買一任は事実上禁止されていたが、若干法令の不備があり、営業特金は
 野放しの状態だった。また、当時の法令でも、事前の損失補填は禁止されていたが、
 事後の補填を禁止する明文上の規定がなかったので、その点でも法令の不備があっ
 た。証券会社は、この営業特金とともに時価発行増資(エクイティ・ファイナンス)
 も顧客に勧めていた。増資を持ちかけておいて、その一方で、営業特金のファンド
 を使ってその会社の株を買い上げる。そうすると、株価が上がって、時価発行増資
 をするときに莫大な資本がダダ同然で手に入るのだ。

  企業は、時価発行増資で多額の資本を得て、財テクでも大きな利益を得る。財テ
 クのほうは事実上の損失補填までしてもらっているので、まったくノーリスクでド
 カンとお金が入ってくる。資金は銀行が融資してくれるので自己資金もいらない。
 利益だけが入ってくる仕組みで、企業は儲かって儲かって仕方がない状態だった。
 財テクをしたい企業からの注文が、次から次へと証券会社に入っていた。
  営業特金とファントラだけが異常に高い株式売買回転率を示していたのは、こう
 いうカラクリがあったためであった。株価を押し上げているのは、金がジャブジャ
 ブだからではなく、営業特金とファントラの異常な「回転率」の高さの問題だった
 のである。そして、それに釣られる形で一般投資家が株に手を出していた。

  しかし、どう考えてもこの財テクの仕組みは正常ではないし、事実上の法令違反
 でもあった。証券会社は、営業持金をクロスさせてわからないようにしていたが、
 実際にやっていることは、時価発行増資で多額の資金を得るために、自社株を買っ
 て株価をつり上げているようなものである。法律の不備が原因と思われるので、私
 は、すぐにでも対処しなければならないと考えた。 

          第4章 「バブル期」の真実がわかれば、現在の経済が見える  
                        高橋洋一 著『アベノミクスの逆襲』


                        「株バブル」と「不動産バブル」は二通の通達で終焉 

  私は証券検査で証券会社の営業の実態を把握していたので上司に報告したところ、
 上司から証券会社の営業姿勢を改める規制をつくるように命じられた。営業特金に
 一定の規制をかけ、事後的な損失補填を禁止することが目的だった。国税庁のほう
 も、税法の穴に気がついて動き出そうとしていた。 法改正でやりたかったが、法
 改正だと間に合わないので、通達という形をとった。通達は、形式的には行政内部
 の連絡文書(上級官庁の大蔵省から、下位官庁の地方財務局に対するもの)である
 が、証券会社への指導内容が書いてあるので、法令を補完するもの、場合によって
 は法令に準ずるものと見られていた。実際、そのときに私が起草した通達は、その
 後に証券取引法に取り込まれて規定された。当時は通達は法規的なものと理解され
 ていた。

   その通達は「証券会社の営業姿勢の適正化及び証券事故の未然防止について」として、
  役所の御用納めの日に当たる1989年12月26日に出された。これによって、証券会社が
 損失補填する財テクを事実上禁止した。
   しかし、証券会社にとっては死活問題である。金儲けができなくなる。向こうも
  必死だった。
  証券会社を指導しなければいけないので、私は、現場の営業担当者たちがやって
 いる実態を把握して、それを証券会社の本社に突きつけた。証券会社の営業担当者
 は、損失補填を口約束したり、名刺の裏に補填すると書いて相手に渡していたので、
 「お宅の支店の営業担当者たちは、こういうものを名刺に書いて渡していますけど、
 把握していますか?」と聞いた。本社の人間はビックリしていた。真顔で驚いてい
 たから、本当に知らなかったのかもしれない。「今は株価が上がっているからいい
 ですけど、もし株価が落ちて、すべての会社から補填を求められたら、どうなりま
 すか?」と間いたら「そんなことになったら、うちは潰れます」という答えだった。

  名刺の裏に個人で書いたものだから会社の保証ではない。しかし、現実的には会
 社が言い逃れをするのは無理である。
  私は「損失補填というのは、そもそも公序良俗違反だから、我々がこの通達を出
 せば、『行政のほうが指導してきたから、従わざるをえないんです』といって、損
 失補填の約束を反故にできますよ」と伝えたら、青ざめた顔で「早く通達を出して
 ください」と懇願された。
  実際、証券会社にとってはかなり危険な状態だったと思う。株価が上がり続けて
 いるから問題が起こっていなかっただけで、いったん下がり始めたら証券会社にと
 って大変なことになっていたはずだ。
  こうして通達が出される運びとなった。

  そのころの大蔵省は局長が力を持っており、局長の権限で通達を出していた。は
 っきりいえば、局長が大臣のような感じだった。本当の大臣には報告するだけだ。
  当時の証券局長は角谷正彦氏だったが、局長室での会議で、「高橋、この通達を
 出すと株価はどうなる?」と聞かれた。「すぐに株価は下がります」と答えたのを
 覚えている。
  株価が下がることになるが、それでも角谷局長は決断して通達を出してくれた。
  通達を出しだのが1989年12月26日。年末の12月29日の大納会の日に
 日経平均は3万8957円の最高値をつけている。翌年1月4日の『日本経済新聞』
 には、株価予想として6万円という数字まで出ていた。しかし、実際の株価は一月
 から下がり始めた。

  株価はどんどん下がっていき角谷局長からは「お前、よく当たったな」といわれ
 た。私は、売買回転率に原因があると見ていたので、通達によって回転率が下がれ
 ば、株価も下がるだろうと予測していた。「これで、株高は終わった」と思った。
 銀行局も同じような問題意識を持っていたようだ。土地融資規制が弱かったので、
 融資を絞った。1990年3月27日に不動産融資総量規制の通達が出され、同年
 4月から実施された。不動産向け融資の伸び率を総貸出の伸び率以下に抑える内容
 によって、不動産向けの融資が絞られ、不動産価格の下落が始まった。
  株価はすぐに反応するが、不動産価格の場合は少し時間がかかる。一年後くらい
 から不動産価格は大幅に下がり始めた。この総量規制の通達が出たとき「これで土
 地の値段は下がるな」と思った。

  振り返っていえば、1989年12月の営業持金禁止通達で「株バブル」が終わ
 り、1990年3月の不動産融資総量規制通達で「不動産バブル」が終わった、と
 いうのが私の認識だ。株と不動産の資産バブルが終わったので、バブルは終わりである。
 ところが、そこに日銀が乗り出してきた。

          第4章 「バブル期」の真実がわかれば、現在の経済が見える  
                        高橋洋一 著『アベノミクスの逆襲』

                                 この項つづく 

 

 

 

● 今夜のワンダフル工学

窓に貼り付どこでもデジタルフォンやデジタルパッドを簡単に充電できる優れもの。
もっとも、ソーラー素子の効率が向上しコンパクトにできれば室内照明だけでも充分
な充電が可能となる(『ナノポア工学』あるいは『量子ドットアレイ工学』)。 

徳島大雪と復元力

$
0
0

 

 

【オールソーラーシステム完結論 40】  

 

 

● 集光型マルチ太陽電池セル変換効率50%時代

集光型太陽電池セルの世界記録がまた塗り替えられ44.7%(297倍集光)。約1年で
着実に効率を高まっている。今回の成果は変換効率50%を目指す技術開発の途中経過
であり、近い将来50%の太陽電池セルを公開できそうだ(今回開発された技術は既に
フランス国内の生産ラインに組み込まれているという。また、集光型太陽電池セルを
用いた太陽電池モジュールの開発も進んでいる。Fraunhofer ISEは44.7%を記録した太
陽電池セル52枚をドイツORAFOL Fresnel Optics社が製造したフレネルレンズと組み
合わせた太陽電池モジュールを開発している。集光型用の太陽電池セルは小さい。製
造技術上、大型化できないためレンズなどと組み合わせて使う。下図のウエハーの直
径は100ミリメートル。セル1つの寸法は3ミリメートル角以下。製品化にまで1~
2年を要し、1キロワットアワーを発電するコストが8ユーロセント(約11円)未
満になるという。Soitec社は量産可能になった集光型太陽電池セルを用いたモジュー
ルの販売を既に進めている。同社の子会社であるSoitec Solar Development社は、2014
年10月、米San Diego Gas&Electricと米カリフォルニア州の発電所向けに交流出力150
メガワット(8万3400基)の販売契約を結んだことを発表。

尚、46.0%という記録を達成した太陽電池セルには構造上の特徴がある。異なる化合
物半導体を上下方向に4層重ね合わせた4接合太陽電池セルと呼ばれる構造(上図参
照)。

 

 

このように欧米での太陽光発電の開発と導入実績は着々と進んでいるかのようにみえ
る。うかうかしていると技術立国日本は一周遅れの後塵を拝すことになる。これは本
懐や如何に!?


 

● デフレ脱却と安定成長への道 Ⅲ

 

 
原子力発電の日本に導入した中曽根康弘は、新自由主義・市場原理主義も導入したが
ことの発端とか、その後のデジタル革命に象徴される科学技術進歩や自民党政権数々
の失策を重ねた結果、勤労国民は長いデフレ不況で苦しむことになったという。今夜
は第4章から5章にかけ読み込む。新自由主義と闘いでは、デヴィッド・ハーヴェイ
は国際的な連帯意志でその侵攻を阻止しようと呼びかけるが、著者は国家主義的な共
同体意志でその侵略を阻止しようと提案する。次回の第6、7章でこの項で終了とな
る。いよいよ佳境を向かえる。
尚、昨夜と同様に詳細は各著書の別に参照願う(→ こちら)。

          基礎的財政収支均衡策で子ブッシユ大統領に貢いだ小泉首相と財務省

 小泉首相は就任2年目の2002年1月の施政方針演説で、「基礎的財政収支(
 PB)の赤字を10年後の2012年にゼロないし黒字に転換する」という緊縮財
 政によるデフレ政策をなぜとったのだろうか。それは、日本に日本人の預貯金を
 使わせないようにし、余剰資金をアメリカに吸い上げさせるアメリカの日本財布
 論と、緊縮均衡財政を強行したい財務省の思惑が一致したからであろう。

 日本に均衡財政を要求することは、石油危機以降の安定成長路線を否定するもの
 であり、日本の余剰預貯金が国内では使われないようにし、日本をデフレにする
 政策である。石油危機以降の日本は、余ってきた国民の預貯金を政府が国債を発
 行して吸収し、その資金を公共投資として使い、社会的なインフラを構築してい
 くという政策をとってきた。この政策は石油危機の前に、『列島改造論』で田中
 角栄首相が唱えた政策であって、一時は頓挫したものの、1970年代後半から
 具体化し、官民共同して築いてきた安定成長路線であった(図表5‐1日本は政
 府投資が民間投資を補完する経済体質」参照)。

 つまり、民間の投資だけでは使い切れない余剰資金を政府が国債で吸い上げ、そ
 れを公共投資に使って社会インフラをつくり、この政府投資に民間がフォローし
 て官民共同の投資で相乗効果を生んできたのである。

 ところが、こうした理想的な資金循環と経済成長を遮断したのが1996年の橋
 本財政改革であった。橋本財政改革法は、「中央政府と地方政府の合計で財政赤
 字を今後5年間で名目GDPの3%以内にする」という数値目標つきの法律であ
 った。当初からこの目標はあまりにも厳しく、実現不可能であり、目標を達成す
 るためには大幅な財政支出の削減が予想された。これを見越して、外資を中心と
 した大胆な日本株売りが発生し、多額の株式を保有していた大手銀行は、株価暴
 落による信用危機に遭遇したのである。

 そのため、1997年には金融危機が発生し、財政赤字はかえって拡大すること
 になってしまった。金融危機が発生したとき、竹下登元首相が「財政規律を法制
 化したのが失敗だったなあ」とつぶやいたと間いた(自民党の有力政治家から聞
 ぃだ話)。まさにその通りであったので、財務省はその汚名を返上するために、
 再び緊縮財政を導入しようと考えていたのだ。

 また小泉首相は、新自由主義者・市場原理主義者として「小さい政府」を指向し
 OECDの統計で見れば「すでに小さすぎる日本の政府」を、さらに小さくしよ
 うとしていた。この考えと、1997年の財政改革の失敗を糊塗するために緊縮
 財政を実行したい財務省の思惑とが一致し、それが子ブッシュの日本財布論の強
 化に答える形で、デフレ政策が進められたのである。「デフレを始めたのは自民
 党で、花を咲かせたのは民主党である」(2013年3月、参議院予算委員会、
 自民党・脇雅史氏)という発言があり、政策デフレであったことを現在の自民党
 は認識している。この結果、得をしたのはアメリカであった。

                      第5章 日本はこうして悪魔に犯された
                   菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』

 

 

       地方交付税交付金と国庫補助金を大幅に削減して米国債購入の原資を捻出

  基礎的財政収支均所政策の目標を達成するために、政府(財務省)がとってきた
  手段は緊縮財政であり、その内訳は「公共投資と地方交付税交付金・国庫支出金」
 を毎年削減していく政策であった。これで国内需要と地方経済は大きなダメージ
 を受けた。

 「地方交付税交付金」は太平洋戦争中の1943年に制度化された財政支出で、
 中央政府が徴収した法人税と所得税の一定割合を地方政府に分与するという政策
 である。政策の基本的な考えは、「日本中どこにいても日本国民は平等な公共サ
 ービスを受けられる。とくに教育と医療は全国的に同じ基準で受けられる」とい
 うもので、戦後も継続され、目本国の平等で公平な財政支出として、諸外国、と
 くこ発展途上こくの模範となっている。

 また経済的な側面から見ると、全国的に日本国民はよく働き、貯金する。その貯
 金は地方だけでは使い切れないので、地方銀行や郵便局を通して、東京や大阪な
 ど経済活動が盛んな地域に集められて、貸し出しの原資となる。企業活動による
 利益ら、法人税と所得税が生じて、中央政府に集められる。しかし、その原資は
 地方の居住者の預貯金であるから、中央政府に集められた税収はその運用益であ
 る。そこで、原資を供給してくれた地方の国民に、地方交付税交付金として配分
 するという仕組みである。

 小泉構造改革で地方交付税交付金と国庫支出金(補助言、公共投資を毎年削減し
 てきた結果、削減額の累計は、2000年度を基準としてみると、2001年度
 から2010年度までの10年間で、実に75・4兆円に達した。その内訳は、公共
 投資で16.4兆円、地方交付税交付金で43.1兆円、国庫支出金(補助金)で15.9兆
 円の削減である。これだけの資金が緊縮財政で減らされ、実質的に「地方から中
 央政府へ召し上げられた」のである。どのように吸い上げられたかは、図表5-
 2「緊縮財政で国が地方から召し上げた金額」をご覧願いたい。

 「金は天下の回りモノ」と言われている。地方から中央に集められたお金を地方
 へ戻さないと、経済は活性化しない。基礎的財政収支均衡政策は「地方から金を
 召し上げ、運用益は地方には回さない」(やらずぼったくり)という政策であり
 国内経済を疲弊させる。その結果、リーマン・ショックで輸出企業の税収が激減
 したときに、内需中心の企業からは税収が上がらず、日本経済全体で弱体化した
 姿になっていたのだ。

                       第5章 日本はこうして悪魔に犯された
                   菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』


        デフレ政策の結果、国内から94兆円が海外へ(米国債へ70兆円)

  内開府が毎年発行している「国民経済計算」(2013)によれば、過去10年間
 で家計の金融資産は108兆円も増加したのに、国内で使われた資金はわずか14
  兆円にすぎず、残りの94兆円が海外に放出されている(図表5‐3「過去10年間
  で94兆円が海外に流失」参照)。 この図表では、経済主体を「家計」「企業」
  「政府」と「海外」に分けて、資金の流れがどのように循環しているかを示して
 いる。2000年から2010年にかけての過去10年間で、「家計」の金融資産
 は1436兆円から1544兆円と108兆円も増加している。しかし、デフレ
 政策をとったために、「家計」と「企業」で使う資金が減り(家計では17兆円減、
 企業では220兆円減)、「政府」では増えている(251兆円)ものの、合計
 で94兆円が捻出されて「海外」に流失している。国内のどこから捻出されたかを
 見ると、次の通りである。 

 ①地方交付税交付金・公共投資・国庫支出金(補助金)の合計で見た削減累計額
 が75.5兆円に達し(図5-2参照)、さらにデフレによる国内での圧縮分で18.6兆
 円を捻出し、合計で94見円が国内から海外へ流失した。
 ②国内の余剰資金よ毎外印どこに出たかを見ると、政府による米国債の購入(外
 貨準備の増加順)が70兆円であり、残りの24兆円は民同企業と個人が海外へ投資
 した金額である。小泉首相と財務省は、基礎的財政収支均衡目標を取り入れた緊
 縮財政(デフレ政策)をとって日本国民の預貯金を日本のために使わせないよう
 にした結果、国内から94兆円が海外へ流出し、そのうちの75%で、政府が米国債
 に投資したのだ。

 小泉構造改革は、アメリカの日本財布設に緊縮デフレ政策で協力していたのだ。
 このことがはっきりと証明されている。原資はすべて日本国民の預貯金であり、
 少なくとも70兆円が米国債に流れている。

 

                       第5章 日本はこうして悪魔に犯された
                   菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』



     アメリカの財布になろうとした郵政民営化(自民党の正義派・愛国派が反対)

  郵政公社民営化法案は、2005年7月4日、衆議院本会議で可決された。しか
  し、与党・自民党内から法案に反対する議員が多く出たために、わずか5票差と
  いう僅差の可決であった(37人反対、H人棄権)。次いで参議院では、8月7日
 に本会議で否決された(自民党の22人が反対)。参議院で否決されたその日に、
 小泉純一郎首相は衆議院を解散し、「郵政公社民営化に賛成か、反対か、国民に
 問いてみたい」と宣言して、選挙で勝負する方針を打ち出した。

 

 なぜ自民党の多くの議員が反対したのか。ここで、図表5‐4「日本の国債・財
 投債保有者別内訳」をご覧いとどきたい。2004年19一月末時点で、政府短
 期証券を除いた国債発行総額は505兆円あり、この33%に当たる166兆円が
 日本郵政公社によって保有されていたのである。したがって、日本郵政公社が民
 間企業になり、外資に買収されると、国債発行額の3分の1が外資に握られ、日
 本の国債調達に穴が開き、国家財政が破綻し、国家が破滅の危機に遭遇する。

 

 この危機感が自民党内に広がり、多くの正義派・愛国派の議員が民営化に反対し
 たのである。事実、郵政民営化を要求するアメリカは、民営化すればアメリカの
 投資銀行が日本郵政公社を買収し、300兆円の金融資産を手に入れて、その運
 用資金を自由自在に操作しようとしていたのだ。1994年からの「年次改革要
 望書」では、毎年、「簡保生命を民営化せよ」と要求していた。しかし、本音と
 しては郵便保険を含む300兆円を一挙に手に入れようと考えていたことは確か
 であり、財政赤字国アメリカとしては、新規国債の引き受け先として日本郵政公
 社を考えていたのだ。

 

 ここにアメリカの国家戦略がある。この考えはいまでも変わらない。当時の大マ
 スコミはこうした事実を報道しようとせず、国民には民営化に伴う危機を知らせ
 ずに、「官から民へ」の大スローガンを立てて国民を煽りに煽ったのだ。国民は
 事実を知らないまま、マスコミの「官から民ヘ」「官から民へ」の大キャンペー
 ンで、選挙に放り出されたのである。



                        第5章 日本はこうして悪魔に犯された
                   菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』



昨夜につづき、今夜は第5章の「今こそ『アベノミクスの逆襲』の時」に入る。ここ
では「経済成長してパイを大きくすれば6~7割の社会問題は片づく」という極めて
シンプルな帰結が導き出される(詳細は → こちら)。

 

         消費税を増税するかしないかで、どれほどの違いが生まれたか

 もし、2014年4月からの増税がなかったらGDPの「額」はどう推移しただろう
 か。そして、今後どうなるだろうか。もし、増税がなかったらどうだったかは、
 じつはシンプルに考えられる。下図8を見ていただきたい。第一章で説明したよ
 うに、GDPの「率」ではなく「実額」を概念的にグラフにしたものだ。

 2014年4月の消費税増税がない場合、1年ごとに2%の成長で経済が伸びていった
 と考えれば、それほど変な数字ではないはずだ。第1章で見たように、1年で2
 %成長するということは、四半期で分けると、0.5%成長くらいになる。2013年
 10-12月期の実質GDP527兆円を基準に、四半期ごとに0.5%ずつ成長していっ
 たと単純に計算すると、本来ならば527兆円(13年10-12月期)→529.6兆円(14
 年1-3月期)→531.3兆円(14年4-6月期) →534.9兆円(14年7-9月期)→537.8
 兆円(14年10-11月期)……というように伸びていく。

 これに対して、実際のGDPの動きを概念図としてグラフに描いてみると、2014
 年4月に消費税の増税があったので、その前段階の駆け込み需要でグラフはグッ
 と膨らみ、4月以降、大幅に落ち込むことになる。その落ち込みが事前にいわれ
 ていたように「軽微」なものではなかったことも、前に説明したとおりだ。駆け
 込み需要の反動減だけではなく、増税で実質所得が減った分の打撃を受けている
 ので、残念ながら駆け込み需要の山よりも、その後に来る谷のほうが深い。

 このあとはどうなるか? 一回落ち込んだところから、再び年2%成長のライン
 に乗ったとしても、当然のことながら到達点は2014年4月に増税しなかった場合
 には届かない(それでも「V字回復」ラインだ。実際にはもっと成長率が落ち込
 んで「L字回復」になる可削悒も否定できないがべ 「率」だけで見ていると、
 2014年4-6月期に大幅に落ち込んだだけに、次の期は「劇的に回復した」と見せ
  かけられてしまうかもしれない。だが実際には、「額」で見た場合には、このグ
  ラフで示されている打撃(差)を受けてしまっているということだ。

 もし、2015年10月に消費税が8%から10%に引き上げられたら、その前後にまた、
  山と谷が発生して、何もしなければ一段低いところに落ち込んでしまうことにな
  る。今となっては、落ちてしまったものは致し方ない。落ちた現実を受け入れつ
  つ、倦まずたゆまず、そこから伸ばしていくしかない。そして、今後、経済が落
  ち込むことがないように知恵を絞るしかない。では、どういう手を打つべきだろ
  うか。

 

                        第5章 今こそ「アベノミクスの逆襲」の時 
                       高橋洋一 著『アベノミクスの逆襲』

 

                            「反成長」に飯の種がある人たちの妄言など決して聞くべからず

 

 そして、経済成長のための道は、今まで説明してきたように、きわめてシンプル
  だ。第4章で詳しく紹介したように、あの平成バブル退治後に日本経済が大惨事
  に追い込まれたのは、「政策の失敗」があったがゆえのことであった。遂にいえ
 ば、よい政策さえとれば、経済成長を実現することは不可能でも何でもないのだ。

 最後に、反成長論者の嫌う図を1つ乗せておこう。

 いずれも、最近20年間で、日本の経済成長が世界でほぼビリで、マネーの増や
 し方を怠ったことを示唆している。「相関関係は因果関係でない」などとL張す
 る人もいるが、先進国では、マネーの変化のあと1~2年で成長率が変化するこ
 ともわかっている。これは、マネーが「原因」で、経済成長が「結果」なのでは
 ないか。

 経済失策があまりに長く続いたので、日本経済はもう成長できないとすら思い込
 んでいる人がいる。だが、それは問違いだ。現に、2012年12月に政権の座
 に就いた安倍首相相が「アベノミクス」を高らかに唱えて以来、日本経済は劇的
 に好転した。まっとうに奮闘してきた日本企業の多くがまっとうな成果を手にで
 きるようになり、次々と過去最高益を叩き出す企業が続出した。労働者の賃金も
 上がり始めた。その一方、これまでのデフレに対応して労働者に過重なしわ寄せ
 をしてきた「ブラック企業」は、たちどころに苦境に追い込まれていった。この
 ようなことこそ、正しい政策が正しい結果を生む、何よりの証拠ではなくて、何
 であろうか。

 これまで本書で見てきたように、自分たちの邪な思惑を実現するために、あえて
 間違いだらけの経済論を信じ込み、真剣にそれに向けて行動を繰り広げる人たち
 もいる。その尻馬に乗る経済学者やエコノミストも数知れない。そして、「アベ
 ノミクス」に象徴される経済政策に対して、闇雲で素っ頓狂でバカげた批判を繰
 り返す人が後を絶たない。

 だが、根本において間違っているものは、どこまでいっても間違いでしかない。
 そのようなものに嘸されていたら、再び日本経済は地を這うような苦境に叩き込
 まれるに違いない。もちろん成長しなくても、困らないどころか、むしろかえって都合の
 よい人々がいることも事実だ。収入が高くなくても安定している公務員からすれ
 ば、デフレのほうが快適だ。たとえ景気が悪くなろうとも、増税を断行してバラ
 マキを増やしたほうが、権益が拡大し、天下り先が増えて、老後が安定する人た
 ちもいる。様々な問題が噴出したほうが都合がよいマスメディアもあるだろう。
 自分自身が妄信するイデオロギーに基づいて「経済成長」をあたかも悪であるか
 のように描き出す勢力すら存在する。

 だが、そんな「反成長」に飯の種があるような人たちのいうことを聞いていては、
 その他大勢の普通の国民は塗炭の苦しみに叩き落とされるしかないのだ。今、「
 アベノミクス」の成果を拡大できるか、それとも地に堕としてしまうかの瀬戸際
 である。ぜひとも「アベノミクスの逆襲」を実現させなくてはならない。何か経
 済成長をもたらす「正しい政策」なのか。難しい現実の中で、それでもなお、正
 しい政策を貫こうとしている勢力はどこにいるのか。そして「言論」を封殺し、
 誰かにとって都合のよい「もっともらしい嘘」をついているのは誰なのか。きち
 んと見極める眼が、今こそ、求められているのである。

 

                        第5章 今こそ「アベノミクスの逆襲」の時 
                       高橋洋一 著『アベノミクスの逆襲』

                                 この項つづく 

 

  ● 今夜の一曲

カプリースの24の奇想曲最終曲24番

すでに述べた通り、リーマン・ショック後に就任したオバマ大統領は、経済情勢が 
ニコロ・パガニーニの24の奇想曲作品1は、ヴァイオリン独奏曲。無伴奏曲で、
ヴァイオリンの重音奏法や、視覚的にも演奏効果の高い左手ピッツィカートなど強
烈な技巧が随所に盛り込まれた作品。ヴァイオリン演奏家には難曲に挙げられる。
フランツ・リストは演奏技巧のもつ音楽の可能性に触発され、ピアノ曲に編曲して
いる。1800年から1810年頃にかけてジェノヴァで作曲されている。その10年後の
1820年にミラノで「作品1」としてリコルディから出版される。作曲の動機につい
ては不明ではあるが、ロカテッリやロードなどのフランコ・イタリア派作曲家たち
からの影響がある。パガニーニは、舞曲や行進曲のリズムの使用、バロック音楽や
ジプシー音楽からの影響、ヴェネツィアの舟歌からの引用やギターのトレモロの模
倣など、多くのヴァイオリン曲の中で特異な魅力を放つ。

この最終曲(イ短調、2/4拍子)は全曲をまとめるにふさわしい華麗な変奏曲。主題
と11の変奏、それに終曲が付随する。僅か16小節の主題が技巧的に展開されてい
るる。後の作曲家に「パガニーニの主題による変奏曲」として改作され、なかでもリ
ストの「パガニーニ練習曲第6番」、ブラームスのパガニーニの主題変奏曲、ラフマ
ニノフのパガニーニの主題による狂詩曲などロマン派作家が競ってピアノ作品に改作
・編曲された。

 

デフレ脱却と安定成長への道 Ⅳ

$
0
0

 

 

 

● デフレ脱却と安定成長への道 Ⅳ

デフレ基調に増税しリセッションに入り自ら政策能力の無能さを晒しているようなも
のだが、それにバネにして――これを「背水の陣」つまり、中国の史記『淮陰侯伝』
の故事。それによると、漢と趙との戦いで、漢軍の兵士は寄せ集めばかりだったが、そ
こで漢の韓信は、あえて川を背に陣を敷き、兵士遥か退けば溺れるほかない捨て身の態
勢にするが、趙の軍は兵法の常識を映り、川を背にして陣をとった漢の軍を見て大笑
いしたが韓信の目論見ともリ漢軍の兵は決死の覚悟で戦い、見事勝利をあさめる。こ
の故事から、失敗の許されない状況で全力をあげて事にあたることを、「背水の陣を敷
<」「背水の陣で臨仁」というようになった――という故事に習って総選挙に打ってでた
構図となっている。マスコミの選挙情勢は自民圧勝と報じられている。また、アベノ
ミックスは、それより先立つ、わたしの成長戦略『双頭の狗鷲』と基本的には変わる
ところがないことを前提としつつも、今回の投票行動は、野党結集強化が必要という
結論――比例区は『生活の党』、小選挙区は、自民・共産・民主の三つどもえとなっ
ているため『民主党』と――苦肉の妥協策ではあるがそう決めている。


                         

先回につづき、今夜で『そして、日本の富は略奪される』、『アベノミクスの逆襲』
とも終わる。この2冊を比較して、TPPを巡り、前者は、「断固反対」、後者は「
合コン論」と大きく意見が異なり、また、アベノミクスの第一の矢の金融政策でも違
いをみせる。その意味で、菊池英博の金融政策の考え方とわたし(たち)は立ち位置
を異にする。

 ← 詳細はこちらをクリック

 


                    【朝日ボツ原稿】リフレ派の勝利に終わった金融政策論争

  アベノミクスは、金融政策(第一の矢)、財政政策(第二の矢)、成長戦略(
 第三の矢)から構成されている。成長戦略もおもしろい論点であるが、本稿では
 金融政策と財政政策というマクロ経済学の分野に絞って論じたい。なお、成長戦
 略に関心がある人は、筆者の『「成長戦略」の罠』(祥伝社、2014年)を参照し
 てほしい。

  まず、第一の矢の金融政策から述べたい。初めに学界ではどうなのかというと、
 金融政策については長い間論争の対象だった。主な論点は、①金融政策で物価を
 コントロールできるか、②金融政策によって生産や雇用の水準を高めることがで
 きるか、③金融緩和を行なうと財政破綻などの大きな危険があるのかどうか、で
 ある。

  ここで、この点を詳しく論じるのは本稿の趣旨ではない。幸いにも、金融政策
 について、顕著な効果があるということに肯定的で弊害が少ないという立場(リ
 フレ派)の学者と、その逆に、効果がなく弊害が大きいという立場(デフレ派)
 の学者の両方が共同で書いた本、原田泰・斉藤誠編著『徹底分析アベノミクス』
 (中央経済社、2014年)が最近出版された。

  これまで、それぞれの立場の学者の書いた本はかなりあるが、両者の立場の学
 者を含む、対比する形で書かれた本はなかった。日本でアベノミクスに関心が集
 まり、その検証をせざるをえなくなったわけだ。筆者も、金融政策に肯定的な立
 場から、同書中に一つの論文を書いている。同書と、これまでのデータ(特に消
 費税増税を行なうまで)を見ていただければ、どちらが正しかったかは明らかで
 ある。この意味で、金融政策が有効かどうかという、いわゆるリフレ論争は一つ
 の決着を見ている。

  ここでは、日本のアカデミズムにおけるリフレ論争を振り返っておこう。
  筆者は1998年から2001年まで米プリンストン大学にいたが、知的刺激にあふれ
 た時期だった。前FRB(連邦準備制度理事会)議長のバーナンキ教授、2008年
 にノーベル経済学賞を受賞したクルーグマン教授らが、日本を題材にして非伝統
 的金融政策を毎週のセミナーで侃々房々と議論されていたのはおもしろかった。
  一言で言えば、金融緩和政策を大胆にやれば、デフレから脱却できるというも
 のだった。

  2001年に帰国後、経済財政諮問会議を手伝うことになったが、その当時の日本
 のアカデミズムに驚いた。一部のマイナーな人たち(今ではリフレ派といわれる)
 を除き、主流派の人たちは、クルーーグマンらのいうことは信じてはいけないと
 公言していた。
  たとえば、諮問会議の民間議員だった吉川洋・東京大学教授から「高橋さん、
 貨幣数量説を信じているの?」といわれたこともある。それに対して、「マネー
 をマネタリーベースにすれば、通貨発行益があるので、長期的には成立すると思
 います」と答えたが、吉川教授は否定的だった。

  こうした学界を変えるように運動すべきという人もいたが、筆者は、頑迷固階
 な学者を説得するには実社会で証明するほうが近道と考えていた。もちろん、米
 国アカデミズムの賢人たちと同じ考えだから、失敗はないという確信があった。
  幸いなことに、小泉政権時の竹中平蔵大臣や中川秀直自民党政調会長には、筆者の
 説明を納得してもらった。2003年3月の日銀人事で福井俊彦氏が総裁になったが、
 デフレ脱却を約束したため、量的緩和はすぐできた。

  ところが、ゼロ金利になると、どんな金融政策も無効になるという主張が出て
 きて、量的緩和の足を引っ張るような動きになった。斉藤誠・一橋大学教授のブ
 ラックホール論だ。モデル式もあるので、日本のアカデミズムで受け入れられて
 いた。
  しかし、その論文を読むと、経済学の大学院生にはわからないが、数学科の学
 生なら簡単にわかる誤りがあった。筆者はそれを『経済セミナー』(2003年5月
 号 日本評論社)に書いた。斉藤教授はびっくりして筆者にメールを送ってきた
 が、その中で筆者の指摘に再反論はなかった。もちろん、表での再反論もない。
 日本のアカデミズムでは、筆者のような行動はありえず、「なかったこと」にな
 っているらしい。

  小泉政権での量的緩和は不徹底であったが、データ分析すれば日本経済に好影
 響を与えたことがわかる。だが、それすら日本のアカデミズムの主流派は怠った
 (数少ない例外は関西大学の本多佑三教授)。
  前掲した『徹底分析アベノミクス』の編著者の万人は、斉藤誠・一橋大学教授
 であり同教授は日本を代表するマクロ経済学者である。11年前に斉藤教授の批
 判論文を書いた筆者は、今回も金融政策に効果があったとして、斉藤教授の見解
 を否定している。ところが前回も今回も斉藤教授からは反論がない。長年にわた
 る日本におけるリフレ論争が、リフレ派の勝利に終わったと筆者が考える所以で
 ある。 

        朝日新聞社に「掲載拒否」された"アベノミクス批判"批判コラム
                       高橋洋一 著『アベノミクスの逆襲』

 

        【朝日ボツ原稿】インフレ目標に言及しない『朝日』の編集委員

  こうした状況において、メディアが果たす役割は何だろうか。学界において、
 学者が一つの立場を主張するのは、どのような立場であれ、学者として理解でき
 る。それが学者の本分である。それが間違っている場合には評判を失うという、
 学者なりの責任の取り方になっている。
   これは、学者が普通のサラリーマンではないからできることだ。しかし、メデ
 ィアの場合、書き手はほとんどがサラリーマンである。筆者はサラリーマンでな
 い個人で頑張っている人を知らないわけではないが、日本で、個人のフリージャ
 ーナリストはごく少数しかいない。多くは会社に属しているサラリーマン・ジャ
 ーナリストである。
 
  そうしたサラリーマンであると、きちんとした個人の意見は出てこないし、個
 人で取れる責任もない。これでは事後検証しても意味がないことになる。
  また、メディアの人は、きちんとした学問の訓練を受けていないために、高度
 な専門知識に欠けている。このため、学界でも意見の割れるような分野をきちん
 と報道できない。
    ややもすると、学界で割れている意見の一方のみを過大に扱い、中途半端な理
  解であたかも自分の意見のように書く場合もある。そうした実例として、朝日新
  聞編集委員の原真人氏が書いて『朝日新聞』に掲載されたものを取り上げてみよ
  う。2012年12月19日付の「高成長の幻を追うな〈政権再交代〉」である。以下、
  一部を引用する。


 〈自民党圧勝を受けた金融市場は新政権を歓迎し、安倍晋三総裁が望んだ円安・
 株高が進んでいる。だが市場はしばしば誤ったメッセージを発するものだ。
 財政と金融の両方でお金をばらまこうという「アベノミクス」は、短期の相場を
 考える金融市場の人々には心地よく響くが、日本の将来にとっては危うい路線で
 ある。
  量的緩和政策はデフレ解消や成長促進への効果が薄く、副作用が大きい。それ
 がこの2007年、日本銀行が試みを重ねた末に学んだ答えである。にもかかわらず
 安倍氏はデフレ脱却のため日銀に「輪転機をぐるぐる回してお札を刷る」よう求
 めている。
  このうえ際限なくお金をばらまけばどうなるか。経済は好転せず人々の給料が
 上がらないまま、金利や物価だけが上昇しかねない。その先にはギリシャのよう
 な危機連鎖が持っている〉
 〈民主党政権も理解していたとは言えない。「コンクリートから人へ」といいつ
 つ、整備新幹線の着工など大型公共事業を進める逆行政策が目立った。
  さらにそれを加連させんとする安倍氏には、「名目3%成長」という人口増時
 代の高い潜在成長率の感覚があるようだ。日本が人口減少の成熟社会となった今、
 そこにこだわれば、政策のゆがみは大きくなる〉
 〈新政権がアベノミクスにとらわれ続けるなら、持続可能社会の実現をさらに連
 ざけるだけだ。そうなれば、私たちは遠回りのコストをまた負担させられること
 になる〉 

  安倍総裁が、〈「輪転機をぐるぐる回してお札を刷る」よう求めている〉とし、
 〈このうえ際限なくお金をばらまけばどうなるか〉と書く表現は、悪意に満ちた
 感情論である。当時の安部総裁は、「インフレ目標における目標のインフレ率を
 達成するまで、金融緩和を無制限に続ける」よう、世界標準のインフレ目標政策
 を求めているだけだ。実際、この日本の世界標準政策は、ダボス会議などの国際
 会議などで賞賛を浴び、ノーベル賞経済学者クルーグマン・プリンストン大学教
 授らの世界の経済学者からは高く評価された。
 
  それだけでも原氏の論説は的外れであったのが明らかだ。もっとも、この部分
 は、前述したように、日本のアカデミズムにも大きな責任があるが、その尻馬に
 乗った原氏の責任も免れないだろう。
  いずれにしても、なぜ原氏は「目標のインフレ率を達成するまで」という部分
 を書かないのだろうか。この点について、当時の安倍総裁はきちんと発言してお
 り、原氏が意図的に発言を歪めたとしか思えない。

  さすがに原氏も、金融政策において、インフレ目標が日本以外の先進国で行な
 われていることを知っていただろう(もし知らなければ、このような記事を新聞
 に書く資格はない)。
  だから、「インフレ目標」に言及したくないとともに、安倍総裁の真意を歪め
 る報道をしたのだろう。
  他にも、お粗末な記述はある。〈「名目3%成長」という人口増時代の高い潜
 在成長率〉という記述であるが、原氏は、日本以外の先進国の名目経済成長率や
 人口増加率を知らないのだろう。そうした無知の下で、日本は人口減少なので経
 済成長できないと思い込んでいるとしか思えない。


 
  原氏に限らず、日本のメディアのデータ・リテラシーはきわめて低い。官庁の
 サイトからデータをエクセル形式でダウンロードし、グラフを書けるジャーナリ
 ストはきわめて少ない。筆者は役人時代に記者クラブの記者たちの相手をしてい
 たが、その中で、役所のサイトのどこに統計データがあるのかも知らない記者ば
 かりだった。当然、そのデータを読み、グラフ化することもできなかった。

  原氏の〈「名目3%成長」という人口増時代の高い潜在成長率〉という記述が
 いかにデタラメであるかを示すには、世界の先進国の名目経済成長率と人目増加
 率を知ればいい。
  筆者が大学の講義で大学生に教えていることを紹介しよう。こうした国際的な
 ものを調べるには、国際機関が便利である。どこでも似たようなデータベースを
 公開しているが、ここでは国際通貨基金(IMF)をとる。そのサイトの中に、
 「World Economic Outlook Databases http://www.imf.org/external/pubs/ft/
 weo/2014/01/weodata/index.aspx)」 がある。
 
  そこには、先進国の名目GDPと人口数の時系列データがある。それらをダウ
 ンロードして、各国ごとに、名目GDPと人目について、各年の伸び率を計算し
 2000年から2012年までの平均をとり、各国を一つの点として散布図にしたものが
 図1である。
  これを見ると、日本の名目経済成長率は先進国の中で最下位の低水準であるが、
 他の国では3%どころか4、5%でも高いほうではないことがわかる。しかも、
 日本より人口減少の激しい国がいくつもあることもわかる。それらの国を見れば、
 名目経済成長率は日本よりも高いこともわかる。
 
   しかも、人口増加率と名目経済成長率との相関係数は0.01と無相関である。つ
 いでに、人目増加率とインフレ率も無相関である。人口減少がデフレの原因など
 という人もいるが、データから見れば関係ない。
  繰り返すが、この散布図は、筆者の教える大学の大学生でも、インターネット
 からのデ-タによって1、2時間ほどでつくれるものだ。この程度のことで、前
 掲の新聞の記述はウソであると読者から見透かされているのだ。 

         朝日新聞社に「掲載拒否」された"アベノミクス批判"批判コラム
                       高橋洋一 著『アベノミクスの逆襲』

 

財政出動を機動的に出動するオバマ米国大統領政策を時系列的に検証しその正統性を
解説し、日本型資本主義の骨格――①新自由主義・市場原理主義から決別、②「官民
協調」路線で国家を再建すること、③輸出立国から内需中心の福祉国家へ転換するこ
と、④産業構造を内需主導型に転換し「社会的共通資本」の整備・拡充を重視するこ
と、⑤預貯金を日本国民のために使うこと、⑥株主の利益よりも国民の雇用を重視す
る国家理念を確立すること、⑦古い設備を捨て、設備の更新を図ること、⑧農業は株
式会社組織ではなく組合組織で、食料自給率向上と輸出産業化を図ることを提案した
上で、新たな財政規律の指標――①基礎的財収支均衡政策の撤廃と新しい財政規律の
指標を設定すること、②目標とする物価の指標を「消費者物価」から「GDPデフレ
ーター」に変更すること、③「5年100兆円の政府投資計画」など長期デフレ解消
策をとること、④格差を縮小させる政策をとるを、提案する。

しかしながら、マネタリズムの否定、インフレターゲットの廃止、日銀廃止・地方分
権推進・一院制導入などの改革の否定など中央集権・国家官僚制の強化など閉鎖的な
保守的側面が目立つようだが、彼が提唱する「日本型資本主義」を開放的な高度消費
資本制(前社会主義)社会にチェンジできれば世界の垂範となるだろう。      

      TPPに参加してもGDPは10年間で実質3・2兆円増に過ぎない

  内閣府は日本がTPPに参加すると、10年後のGDPが実質3.2兆円増加する
 と発表している。「10年間で」わずか「実質」3.2兆円という数字は、現在の
 GDPの0.66%に過ぎない。驚くべき低い数字だ。しかも10年間での話である。
 さらに、ここで「実質」と言っていることから、国民の生活実感から見た「名目」
 に引き直してみると、デフレが継続しているので、「実質プラス成長」は「名目
 成長ではマイナス」になる。この理由は、「実質成長率=名目成長率ーGDPデ
 フレーター」であるから、デフレの下ではGDPデフレーターがマイナスである
 ために、実質成長率がプラスになっているだけであり、日本の名目GDP(経済
 規模)はマイナスになると見られる(第6章参照)。

 政府白身、TPPに参加すれば、日本はデフレが進み、マイナス成長になること
 を認めているのだ。「15年継続するデフレを解消しよう」という安倍首相の方針
 に真っ向から反する結論が出ている。デフレ解消政策をとるのであれば、TPP
 には参加すべきではない。

 日本の中国への輸出は2010年では全休の19.4%であって、中国は最大の輸出
 国である。日本がTPPに参加すれば、アメリカと日本を条約で結びつけること
 になり、対中貿易は対米貿易よりも条件が悪くなる。実質的に中国を敵視するこ
 とになり、中国側がTPP非加盟国とFTA自由貿易協定)を締結すれば、日本
 は対中国輸出面で大きなマイナスになる。

 そこで中国は、TPP非加盟国とFTAを結んで、アメリカと日本を牽制するこ
 とが予想されよう。さらに、中国がEUとFTAを締結するとすれば、日本の対
 中輸出はさらに減るであろう。TPP参加を表明している国のうちシンガポール、
 マレーシアは日本とすでにFTAを結んでおり、日本がTPPに加盟しても、こ
 の2カ国に対してはなんのプラスもない。アメリカとの関係で見ると、アメリカ
 の自動車輸入の関税率は現在の2・5%で据え置かれることがすでに事前協議で
 決まっており、なんの影響もない。そのほかの国に対しても、現地生産が進んで
 おり、日本の輸出はTPPによる関税引き下げがなくても順調に推移しているの
 で、TPPの参加の可否は輸出には関係しない。むしろTPPに参加することで、
 かえって参加していない国との貿易・資本取引面でマイナスになるであろう。
 
                                    第7章 TPPはアメリカの日本占領政策
                   菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』

 

                日銀マネーはアメリカの超金融緩和縮小に利用され、日本経済を破壊する

 ここで、2012年12月末から2013年11月末までマネタリーベースとマネ
  ーサプライの推移を見てみよう(第6章の図表6-I「マネタリーベースとマネ
  ーサプライの関係」参照、211ぺージ)。この間、マネタリーベースは 132
 兆円から58兆円増えて190兆円になったにもかかわらず、マネーサプライは113兆
 円から117兆円と わずか4兆円しか増加していない。マネタリーベースの資金量
  をいくら増やしても、国内のマネーサプライはほとんど増えておらず、増加分の
  差額である54兆円は海外へ流れている。

 アメリカのバーナンキFRB議長は、2013年12月20目に超金融緩和の縮小の第一
  歩として、2014年1月から市場で買い上げる国債などの金額を現在の月850債ドル
  から月750債ドルに縮小すると発表した。ニューヨーク市場では「アメリカの
 景気は量的緩和縮小を受け止められるほど回復している」との見方が広がり、株
 式市場では安心感が広がっている。バーナンキが2013年6月に超金融緩和の
 縮小方針を述べたあとで、内外の株価や発展途上国の為替相場が混乱したのとは
 大きな違いである。アメリカの景気回復が進んでいることは事実であるとしても、
 ウォール街では、日銀が超金融緩和を継続し、FRBのマネー縮小を補い、これ
 がFRBの超金融緩和の出口戦略を支えていくことが期待されている。まさに、
 日本財布論が具体的な数字で表れているのだ。

 アメリカでは、現在、超金融緩和の縮小(訟tl兵)に伴って「量的緩和の罠」
 という問題が議論されている。金融緩和を縮小していくと、長期国債の価格が下
 がり、長期金利が上昇する。そうなると、設備投資を抑制することになり、景気
 回復にプレーキがかかる。超金融緩和を縮小する過程で、いかにして長期金利の
 上昇を抑えるかが問題であり、この点については過去の実例はなく、未知の世界
 へ模索していくことになる。

 黒田総裁はマネタリーベースを270兆円まで増加させる方針であるから 2014年中
 にさらに80兆円の国債等を買い上げ、日銀マネーを市場に放出していくだろう。
 しかし、これらのマネーは日本国内では使われず、ニューヨーク市場の投機資金
 に使われるだけだ。しかも、現在の日銀は超金融緩和の出口戦略をまったく考え
 ていない。無謀な超金融緩和をやめて、国土強靭化を中心とする公共投資の裏付
 けとなる金融や国内の実需に見合った資金需要に限定すべきである。 

                               終章 こうすれば新自由主義の侵略を阻止できる
                               菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』



                    機動的な財政支出は長期間継続して初めて効果が出る 

 2013年3月に総額12兆円の補正予算が成立し、そのうち10兆円は東日本大震
 災の復興関連と社会的資本の復旧と更新投資であり、ある程度、経済効果が期待
 できる。しかし、1回限りの公共投資ではその場しのぎに過ぎず、民間投資を引
 き出す効果はほとんどない。2年目以降も長期にわたって継続することであり、
 とくに現在は、社会資本が回収超過なので、社会資本の拡充に努めるべきである。

 日本の社会資本は2007年から回収超過で、新規の投資が減価償却(投資の回
 収減耗)を下回っており、これが社会資本の老朽化となっている。さらに、社会
 資本への投資(公共投資)が減ると、民間投資も減少する関連性が確認されてお
 り、事実、その通りになっている。国土強靭化政策を基盤として、長期的に財政
 支出を継続することだ(図表8-1「日本は民間も政府も投資不足」参照)。

 投資の乗数効果は毎年投資を継続するから「1」を上回る効果があるのであって、
 単年度で終わらせると、投資「1」に対して所得「1」しか増えない。経済成長
 の理論がない新自由主義・市場原理主義では、この点を理解できず、内開府は公
 共投資を抑えるために意図的に投資乗数効果が出ないモデルをつくっている。



 第6章に戻って図表6-6「5兆円の公共投資を継続的に増加させたときの経済
 効果」をご参照願いたい(226ぺLン)。公共投資の乗数効果が「1」以下の
 モデルは、内閣府だけであって、ほかの民間のモデルの乗数効果は「3年で1.5~
 3.0」、5年で「2.0~3.5であり、内閣府モデルは信用できない。それまで日本経
 済の成長のベースとなっていた経済モデルは、経済企画庁時代に宍戸数太郎氏ら
 が中心になって作成した
 
 マクロ経済モデルが中心であり、民間の経済モデルと整合性のある適切なモデル
 であった。しかし、現在の内閣府モデルは、2001~2002年頃、竹中平蔵
 氏が経済・財政担当大臣であったときにつくられたものと言われている。2001年
 から始まった構造改革というデフレ政策は、内閣府の経済モデルまで偽装してデ
 フレのペースをつくっていたのである。このモデルで公共投資を削減してデフレ
 を長期化させ、余った国民の預貯金は米国情へ投資させる政策をとったのだ(
 6章参照
)。 

                              終章 こうすれば新自由主義の侵略を阻止できる
                               菊池英博 箸 『そして、日本の富は略奪される』

                                 この項了   

 


● 太陽光で給電可能なセキュリティシステム

ナノ多孔質電極工学

$
0
0

 

 

 

【オールソーラーシステム完結論 31】 

 

● ナノ多孔質電極工学

過日、「オールソーラーシステム完結論 29」(『太陽光励起レーザ工学』)で掲載した
ように、水素製造の水電解法には、電極のコストが大きな技術隘路――次世代エネルギー
媒体として注目される水素の発生電極には高価な白金を使用――となっているが、これを
窒素と硫黄を導入し3次元ナノ多孔質グラフェンを素材にした水素発生電極――白金代替
のニッケルと同等の水素発生能力をもつ――を、東北大学らの研究グループが製造するこ
とに成功したことが公表され、これにより、従来の2次元構造の電極に比べ、3次元構造
を持つ電極を使用することで、より水素の製造効率を高めることができ、また製造コスト
を逓減できるものと期待されている。さらに、少量のニッケルを添加し白金を越える水素
発生能力を持つニッケル添加3次元ナノ多孔質グラフェンの開発やリチウム二次電池の電
極材料の研究がを進めていくことが可能となる。

この研究は、ナノ多孔質金属(下図参照)を用いた化学気相蒸着(CVD)法を用い、3次元水素電
極の開発。ピリジンとチオフェンをグラフェンの前駆体として採用し、ナノ多孔質金属の表面に窒素
と硫黄元素を含有したグラフェンを蒸着することにより、ナノ多孔質金属の幾何学構造(上図2(a))
/左)を維持した3次元ナノ多孔質グラフェンを作製。電子顕微鏡を用いて(上図1/左)のような
チューブ構造と鋭い回折スポットを持つ高い結晶性を持った構造であることを確認(図2
(b))、化学的にドーピングされた窒素と硫黄元素がグラフェン上で均一に混じってい
ることが明らかになり(図2(c))、このようなグラフェンは窒素と硫黄を含有しなが
ら曲面構造を作り、ナノ多孔質構造を形成していることを明らかにした。また、1グラム
当たり800m2と膨大な表面積を持ち、この表面積測定をもとに、単位触媒体積あたりの
表面積は従来の電極と比べ同体積で500倍程度増大することを明らかにした。

 

尚、ナノ多孔質金属は物質の内部にナノサイズの細孔がランダムにつながったスポンジ構
造体(ナノサイズの細孔を持つ多孔質構造体)のこと。例えば、図4の金の場合、ひも状
の構造体が連続してつながって穴が開いている状態である。ナノ多孔質を持つ物質では、
この穴とひも状構造が数ナノメートルサイズの状態で維持されている。また、ナノ多孔質
グラフェンの場合、ひも状構造の表面に薄皮1枚残して中が中空になっている構造体を持
つ。

今回開発に成功した3次元ナノ多孔質グラフェンでは硫黄周りにある欠陥構造が寄与し、
水素発生反応を促進したと思われ、また炭素、窒素と硫黄のみで構成されたグラフェン電
極は白金と比べて、水素発生効率が若干劣るものの、白金は高価(1グラム5千円程度)
なことを考えると、エネルギー利用効率や材料コストにおいて十分に利用価値が高くなる
と考えられるという。



低コストで水電解水素を安全に貯蔵できれば、再生可能エネルギーの貯蔵が可能となる。
北米大陸で沸き立つ、由来不詳の"シェールガス"(地下化石燃料)が地球温暖化ガスを当
面まき散らすリスクを考えれば、由来明確な再生エネルギーからの水素ガス利用社会のア
ドバンテージは当然高いものとなる。これは面白い。

 

● ソーラーシュアリングに太陽光追尾型パネルが登場

農地に整備された太陽光発電施設。太陽の位置に合わせてパネルの向きが変わる太陽光発
電施設が完成し、8日に完成式が行われた。一般的な固定型より発電効率が高く、パネル
の影が農作物に与える影響も小さいという。農業収入の減少を売電で補える仕組み。同市
平下神谷の農地約1万5千平方メートルに、小型パネルを縦横5枚ずつ組み合わせた太陽
光パネルを支柱に取り付けた75基を建設。出力412キロワット、年間発電量75万キ
ロ・ワット時と見込み、9月末から稼働している。ほぼ全量を東北電力に売電し、約2億
円の工費を8~9年で回収する計画。



施設がある場所の緯度や経度、日時をコンピューターに入力すると、太陽光パネルの向き
が自動的に変わる「追尾型」。発電量は固定型の1・4~1・5倍になり、農業施設では
国内最大級という。設置面積は支柱部分のみのため、農地が広く使える。風が通りやすい
よう太陽光パネルは高い位置に設置され、小型パネルの隙間からも日光が入るよう工夫さ
れている。同法人は来年3月にイチジクの苗1500本を植えて栽培を始め、2年後に加
工業者に販売する予定だ。県内は耕作放棄地が多く、コメや野菜は価格が下落傾向にあり、
売電収入は農業の存続を期待している。

  


● 豪 3接合波長分散集光型化合物半導体太陽電池で超40%の変換効率

豪ニューサウスウェールズ大学の研究チームは今月8日、太陽電池パネルの効率を向上さ
せる画期的な技術を開発したと発表。将来的に、再生可能エネルギーの安価な供給源となること
が期待されている。研究チームは、太陽電池パネルに当たる太陽光の40%以上を電気に変える
ことに世界で初めて成功(今夜は下図の情報しか入手できなかったので残件扱)。

 

    ● Spectrum splitting concentrator system

 



【オールバイオマスシステム完結論 Ⅴ】 

● 静かなエネルギーブーム、木質ペレットって?!

米国南部の森の奥深く、樹木の屑が静かな、けれど論争的なエネルギーブームの火付け役
となっている。木質ペレットと呼ばれるバイオマスエネルギー。同国北東部で長いこと家
庭用暖房燃料として利用されてきた木質ペレットは、最近になって新たな市場で急速に需
要が高まっているという(2014.12.10「ナショナルジオグラフィック ニュース」)。再生可能エネ
ルギーの拡大を模索するヨーロッパが、発電に利用するために木質ペレットをかつてないほど大
量に輸入し始めた。おかげで米国のペレット産業は大きな変貌を遂げ、昨年のバイオマス輸出量
は2倍に増加する。 輸出量の半分以上はイギリスへ向かう。イギリスの電力会社ドラックスは、6
ヵ所の発電所のうち3ヵ所を、石炭に代わって木質ペレットの燃焼に使えるよう改装した。
また、米国に支社を置き、本国の発電所へ送るペレットを製造するために、ルイジアナ州
とミシシッピー州に2つの製造工場を建設、来年操業を開始する予定だという。

 

しかし、産業界と環境保護団体がペレットの気候変動への影響を巡って対立している。産
業界は、本来なら廃棄されるはずの木材の副産物を利用していると主張するが、環境団体
は、製造量が増加すれば森林破壊につながり、環境にもよくないと反論。石炭や石油のよ
うな化石燃料と違い、木は再生可能な燃料である。1本切れば、もう1本植えることがで
きるが、気候変動を食い止めてくれる木を大量に切り倒して大西洋の反対側へ運搬するだ
けではカーボン・バランスやカーボン・リスクは東電ながら評価されない。皮肉にも、木
質ペレット産業の成長による経済的および生態的影響は、その需要が横ばいになるか低下
するまでは明らかにはならないという。それは、新しい木を育てるのには何年もかかり、
森林研究もそれだけ時間がかかる。「まだ分かっていないことが多すぎる。はっきりとし
たことが言えるには20年はかかるだろう」と米国林野局の関係者が話す。




とはいえ、数年前までは、米国で製造されていた木質ペレットの80%が国内で消費され
ていたが、そのほとんどは、個人住宅の暖房燃料として使われ、厳しい冬が続く近年、石
油価格の高騰と安価な天然ガスの不足から、北東部では木質ペレットへの需要が記録的に
上昇している。この先10年間で世界的な需要は倍増。ペレット業界は米国南東部での事
業拡大を推し進め、南部には国内森林の40%が集中し、長い間、製材用材、パルプ、紙
の原料として木材が生産されてきた。ペレットの製造に使われるのは木の先端や細い枝、
破損した木材など低品質の副産物製材用だけであり、高品質には回らず、残りかすを拾い集める
のが精いっぱいだという。さて、ここから読み取れることは カーボンリスクとカーボンバランスシ
ートの機動的な視える化とその経済空間の確定だろうと考ええている。


※"Science clear on biomass: EPA shouldn't make same mistake as Europe"  http://thehill.com/blogs/
congress-blog/energy-environment/221027-science-clear-on-biomass-epa-shouldnt-make-same

 


● 大豆品種こぼれ話

小腹が空くと、冷蔵庫をあけ絹豆腐1/4丁を皿に取り、ガーリックパウダーとオリーブオ
イルと醤油と食酢をかけ頂いているが、その大豆の地道な品種改良、育種が行われているこ
とを2つの研究成果報告を知り改めて驚く。その1つが豆腐や豆乳、しょうゆ、みそなど多
様な加工製品の原料に適した大豆新品種「こがねさやか」を育成した。種子中の酵素リポキ
シゲナーゼを品種改良によって欠失させたのが特徴で、豆腐や豆乳にしたときに青臭さがな
く、中粒でたんぱく質の含有率も高いため、しょうゆの原料にも向くというもの(下図、上
/左)。近畿中国四国地域の大豆は豆腐用の「サチユタカ」や「フクユタカ」が主力だが、
豆腐以外の大豆加工製品に適した品種は少なく、地場産業振興の悩みになっていた。しょう
ゆ醸造に用いる場合、サチユタカは粒が大きく原料に向かないため、中粒のタマホマレを用
いていたという。このタマホマレは、しょうゆ醸造に必要なたんぱく質の含有率が低い欠点
がある。新品種のこがねさやかはたんぱく質の含有率が高いため、うまみ成分のもとになる
窒素分が高くなり、しょうゆ原料に向く。青臭みの発生原因となるリポキシゲナーゼを含ま
ないため、豆乳を製造したときに青臭さがなく、飲みやすい味にできるという。

もう1つが、大豆を畑で収穫する時、豆が畑に落下するのを防ぐ遺伝子を発見し、この遺伝
子を導入してコンバインなどの機械収穫に対応した脱粒しにくい大豆品種の開発もつなげる
というもの(上図、上/右、下/左右)。落下を防ぐ遺伝子は「pdh1」と名付けた。大
豆は成熟すると乾燥によってさやがはじけ、収穫前や収穫作業時に脱粒するため、農家にと
っては大きな損失になる。pdh1はさやのねじれを抑えて、さやがはじけて脱粒するのを
防ぐ。国内の主要品種にはpdh1がほとんどなく、海外大豆生産国の大半の品種はpdh
1が導入していることも判明。農研機構ではpdh1とDNAマーカーを利用して、脱粒し
にくい大豆新品種開発を推進。さやが裂けやすい品種では収量の30%の豆を失うケースも
報告されており、新品種ができれば国産大豆の競争力向上につながるということだ。

それにしても、たくさんの研究報告をみて、何か、地道な努力に頭が下がる思いだ。これか
らは湯豆腐の季節だ。

                                                                                                   

デジタル革命に漬る鬼げんこつ

$
0
0

 


 

● はじめまして!筑波山麓「鬼げんこつ」

昨年。通販注文しても手に入らなかったザーサイの漬物「鬼のげんこつ漬」(中西育種農場)が届いたの
早速試食しろと持ってきた。放射能による農地汚染有無はクリアにされているのだろうかと訝しむも、ひ
と口かじてみたが、これは美味いと、購買の経緯など尋ねていたが、小皿を平らげていた。「榨菜」と言
えば、桃屋の「榨菜」が反射的イメージできたが、それととも中国での仕事の朝食の粥とピータンと榨菜
漬けと青梗菜のオイル炒めも思い出すほど印象的な出会いがある。その榨菜が日本の筑波市の周辺?の農
場でつくられているのだろうが、興味を惹き、歴史、栽培方法、調理方法などネット検索し、早速マイ・
ライブラリーにストレージ する。栽培となると来年の9月の種まきまで待つことになるので、一旦ここはサスペン
ディング扱いに。

 

 


● 総括 デフレ脱却と安定成長の道へ Ⅴ

A:地下化石燃料依存から再生エネルギー依存へのシフト加速(→グリーン国債の発行)。 


 

● 吉野屋牛丼値上げ談議から 

A:国土強靱化・社会保障支援への加速(→安全・安心国債の発行)。 

 

● 衆院選 "デフレ・縄・原発隠し!?"

A:経済がわからない、民意無視の候補者を選ばない。  

 

                                           

 


● シリコン結晶工学 革新的廃熱発電素子開発に道

大阪大学の中村芳明准教授らのグループは、約3ナノメートルの極めて小さい結晶シリコンを形成し、肉
眼で見えるサイズの結晶シリコンと比べ熱伝導率を約200分の1まで抑えることに成功。地球上に多く
存在する元素のシリコンを使いて、高性能の熱電変換材料を作製できる可能性があるという。従来、廃熱
エネルギーを電気エネルギーに変換する材料には、レアメタル(希少金属)や毒性の高い元素のものが使
われる。より安価で環境負荷の低い材料が求められていた。ナノスケールの結晶シリコンを独自技術によ
り結晶方位をそろえて連結させ、熱伝導率を大幅に抑えたことで一気に、熱電変換素子の実用化が引き寄
せられた。

 

● ブルーライトで昆虫が死ぬって?! 

東北大学科の堀雅敏准教授の研究グループは、青色光を当てると昆虫が死ぬことを発見。紫外線の中でも
波長が短いUVCやUVBは生物に対して強い毒性をもつことが知られているが、比較的複雑な動物に対し長
波長の紫外線(UVA)でも致死させるほどの強い毒性は知られていなかった。一般的に、光は波長が短い
ほど生物への殺傷力が強くなるがて、紫外線よりも波長の長い可視光が昆虫のような動物に対し致死効果がある
とは考えられないが、この研究で、ある種の昆虫では、紫外線よりも青色光のほうが強い殺虫効果が得られること、
そして、昆虫の種により効果的な光の波長が異なることも明確になったという。青色光を当てるだけで殺虫できる新
たな技術開発につながり、可視光の生体への影響を明らかにする上でも役立つという。それにしても、これにより、
光感受性の謎がさらに深めたかもしれない。

 

 

 

● 電力と通信を融合した吉野ケ里メガソーラーが完成 

三井住友建設は三田川PC工場(佐賀県吉野ケ里町)内の未利用地約1万3000平方メートルに、メガソーラー「(
吉野ケ里)三田川太陽光発電所」を完成させた。発電出力は1000キロワットで、年間127万キロワット時(一般家
庭約350世帯分の年間消費電力量に相当)の発電量を見込む。発電状況のモニタリングには直流高圧電力ケー
ブル利用の電力線通信(PLC)を導入。商業ベースの太陽光発電所では初めての実用化になるという。PLC技術
を活用した管理や保守・運営ノウハウを蓄積するため自社で事業化。出力250ワットの太陽光パネル14枚を直列
接続したストリング(列)単位で、住友電気工業のPLC技術を使い、発電状況をモニタリングしている。計測用の配
線や電源が不要になりパネル設置後、1日でセンサーの取り付け作業を終えた、という。



※ PLC(電力線通信)とは、電力線を通信回線としても利用する技術。450kHz以下の周波数を用いるものを
  低速PLC、2-30MHzを用いるものを高速PLCと呼ぶこともある。 10kHzから450kHzまでの周波数を用いた
   製品のデータ通信速度は、9600bps程度である。2006年10月に総務省が、屋内に限り2MHzから 30MHzの
   周波数使用を認める項目を追加する省令改正をしたのを受けて、2006年12月から高速電力線通信対応製
   品が流通している。電力線通信、PLC(Power Line Communication)、PLT(Power Line Telecommunication)
   とも呼ばれる。

  もともとPLCの技術は電話線はないが電力線だけはあるような過疎地域や山岳地域などで、電話利用で
   はじめようとしたのが発端であるが、 しかし送電線の高電圧を介するため,その設備は大掛かりな物
   になり一般利用はほとんど行われず電力会社の保守用に利用されていたものであった。その後単なる電
   話としての利用にとどまらずデジタル信号の伝送といったアクセス系への応用に発展しインターネット
   網の普及とともにさらに役割をひろげつつある。


ことしも、わずかになりました。ことしの漢字は『税』と決まったとか。個人的には、デジタル革命渦論
はますます盛んとなり、自説の正統性を確認する毎日であった気がする。このままいくと、デジタルとマ
ネー社会が、ボーダレスになり融合することになる。たとえば、それは「地下化石燃料」の価格を逓減さ
せつつ「再生可能エネルギー社会」へとシフト加速する。今後もますます面白くなり、わく、わくする毎
日となるだろう。

                                                                                              

 

Viewing all 2435 articles
Browse latest View live