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新エジプト時代のはじまり

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                 尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                  

        ※ 烈々たる闘志をもって戦国の渦中に飛びこみ、諸侯を遊説して歩い
         た歳月――いまその緊張と熱気から脱け出し、静かに老境を送る孟子。
         「君子に三楽あり。而して天下に王たるはあずかり
                 存せず」。悠々と天命を楽しむ孟子のことばには、そこはかとなく枯
         淡の感さえ漂っている。

         こ と ぱ        

        「令を知る肴は、巖牆(がんしょう)の下に立たず」
        「仰いで天に 愧(は)じず、俯して人に怍(は)じず」
        「食(やしな)いて愛せざるは、これを豕(ぶた)として交わるなり。
        愛して敬せざるは、これを獣として畜(やしな)うなり」
        「大匠は加工のために縄墨(じょうぼく)をを改廃せず。羿(げい)は
        拙射のためにその殼率(こうりつ)を変えず」
        「春秋に義戦なし」
        「ことごとく書を信ぜば、書なきにしかず」
        「往く者は迫わず、来たる者は拒まず」 

    
     No.157



【ソーラータイリング篇:新ナイル時代を迎えるエジプト】 

紀元前4千年に古代エジプト文明は、砂漠地帯にナイル川が定期的に惹き起こす氾濫――ナ
イル川上流のエチオピア高原に降る雨を源流とする――により、農業・畜産を振興させ誕生
する。このエジプト古王朝は長期間にわたり安定・統治を続けていたが突然崩壊する。原因
はナイル川の異変――ギザ近くの湖の地層分析結果、細砂(風成砂)層が見つかり、数十年に
もわたる旱魃――古代エジプトで、紀元前2,686年頃~紀元前2,185年前後のジプト第3王朝
から第6王朝に該当――がつづいていたとみられ、これだけの規模の旱魃であったら、古代
エジプトの王朝が混乱で崩壊したとされるが、その後の200年ぐらいはエジプト第一中間期と
呼ばれて混乱時代に入る。このように「エジプトはナイルの賜物」という古代ギリシアの歴
史家ヘロドトスの言葉で有名なように、エジプトは豊かなナイル川のデルタに支えられ古代
エジプト文明を発展させてきた。エジプト人は紀元前3000年頃には早くも中央集権国家を形
成し、ピラミッドや王家の谷、ヒエログリフなどを通じ高度な文明を発達させている。

Source:Wikipedia

そのような歴史をもつエジプトにも、紀元前1346年ごろにアクエンアテンと名乗ったアメン
ホテプ4世が伝統的なアメン神を中心にした多神崇拝を廃止、アメン信仰の中心地である首
都テーベからアマルナへと遷都し、太陽神アテンの一神崇拝に改める、いわゆるアマルナ宗
教改革――アテン信仰は世界最初の一神教――アマルナ美術と呼ばれる美術が花開させてい
る。

さて、古代エジプト文化史はここまで。2月22日、エジプトのベンバン(Benban)ソーラ
ーパークは、来年半ばまでに太陽光発電の1.6~2.0ギガワットの間に達することを目指
している。プロジェクトには動機づけされていないが、電力を国有エジプト電力会社(EET
C)に8.3円/ kWhで売却する25年契約を締結し固定。現在、 29件のプロジェクトが
資金調達を受けており 少なくとも18億ドルの公的資金を調達。これらプロジェクトは、ほ
ぼ1.5ギガワットの太陽光発電規模相当。まず最初は、土地は0.34~1.01平方キロメ
ートルの41件が配置、総面積は。37.3平方キロメートル。サハラ砂漠東部は、地上での
太陽光発電の――米国/メキシコ西部砂漠よりも優れ、トップのチリ高原砂漠に次ぐ好適地
である。電力網(送電線/変電所)の集中により電力コスト逓減を実現する(「Benban 1.8G
W PV Solar Park」戦略的環境社会的評価最終報告書
, 2016年2月)。 
これらの計画では、政府が部分支援する複雑な財務モデルで、投資グループの適切価格、大
規模太陽光発電プロジェクト開発――例えば、世界銀行グループ機関の多国間投資保証機関
(MIGA) が、銀行家のリスク懸念を和らげ、民間金融機関の民間金融機関や投資家に210
百万ドルの「政治的リスク」保険の提供――に役立て、さらに、 IFCと9つの国際銀行のコ
ンソーシアム(合同体)は、太陽光発電設備の最大の民間包括金融先のベンバン・ソーラー
の19のプラント建設に参加する13のソーラー発電所建設に融資に、中東および北アフリ
カで、 IFCはこの計画は合計823百万ドルの投資規模にのぼる。

尚、設備の少なくとも325メガワットはNEXTracker社のの単軸追尾型を投入、LinkedINを
介し、同社は単軸追尾と組み合わせたドイツ製の二重式太陽電池パネル(Mounting Systems
GmbH:64メガワット)を導入予定であることが明らかにされている。



このニュースに触発され、思い描いたイメージは、太陽光エネルギーに食糧生産とエネルギ
ーゼロホーム/エネルギーゼロビル、水供給を組み込んだ、再生可能エネルギーをコアとした分
散型包括的生活環境供給コンビナートの供給である。その基礎となるのがこの環境工学研究所
WEEFののHPに掲載した{SUN ROAD」のページに掲載した「贈与経済」への考察の一文であり、そ
して、古代エジプト文明史→アマルナ美術→エジプトの再興プランへの思考展開と続くもので
ある。

 「われわれの富の源泉と本質は日光のなかで与えられるが、太陽のほうは返報なしにエ
 ネルギーを-富を-配分する。太陽は与えるだけでけっして受け取らない」(ジョルジ
 ュ・バタイユ『呪われた部分』)と、このようにバタイユは「普遍経済」をイメージし
 ていました。これを『贈与経済』と言い換えることもできますが、常にエネルギーが過
 剰であることは何を意味するのか。生産のためのエネルギーが、成長のためのエネルギ
 ーが過剰に与えられているとことは、太陽エネルギーが無限に与えられていることは、
 「もしもその組織(たとえば一個の有機体)がそれ以上成長しえないか、あるいは剰余
 が成長のうちに悉く摂取されえないなら、当然それを利潤ぬきで損耗せねばならない。
 好むと好まざるとにかかわらず、華々しいかたちで、さもなくば破滅的な方法でそれを
 消費せねばならない」ことを意味していると。そうです、エネルギーが過剰に与えられ
 ているから、惜しみなく消費せざるをえないということが、人間の諸々の経済活動、あ
 るいはもっと広く言えば、諸エネルギーの関係の推移を位置づけていくことが、バタイ
 ユの謂う「普遍経済」の意味です。

   もうお分かりだと思いますが、地下化石燃料や原子力燃料に依存せずとも、人類は無
 償のエネルギーを手にできる段階になったといえます。そのことは、消費活動に伴い排
 出される温暖化ガスが原因となり、引き起こされる世界規模の気象変動の問題が解決さ
 れ、持続可能な社会を希求するわたしたちの努力により、光熱費は限りなく、社会的費
 用として漸近し、個人的な費用としての意味を失っていくのだと思っています。

            『絶え間なく降り注ぐ太陽エネルギーが『贈与経済』の源』

ここでイメージする食糧生産は「植物工場」「内陸魚貝類畜養工場」であり、生活排水や廃
棄物を再資源化をベースにした「完全水循環システム」から製造した飲料水の供給であり、
この実現に日本の技術を『贈与経済』にベースに率先垂範し、「エジプト再興」の一助を果
たすというものである。

 ✪ すべての道は太陽に通ずる!

    

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.8

   ● 対談1 新しい現実をつくる

  『脱拝金主義で脱原発を』 原毅 城南信用金庫理事長

 1955年東京都生まれ。慶臆義塾大学経済学部卒業。1977年城南信用金庫入庫。企
画部勤務などを経て、2010年から現職。「お金は時に人の心を狂わせ暴走させる≒金融
機関の使命はお金を健全にコントロールすること」「健全なコミュニティのなかでこそ健全
なマネーが流れる」などを持論とする。2012年8月にテレビ番組で、経団連や経済同友
会、日本商工会議所が原発推進を提言したことを批判して「大企業は原発を買い取って運営
できるのか」「原発は採算が合わないので即時ゼロ」と経済人の立場から主張した。信用金
庫は、地域を守り、地域の人びとと共に発展していくことが使命だから、安全で平和な暮ら
しがあってこその存在であると主張し、城南信用金庫では、「原発に頼らない安心できる社
会へ」というメッセージを発表している。著書に『城南信用金庫の「脱原発」宣言』(クレ
ヨンハウスノ2012)『信用金庫の力』(岩波書店ノ2012)

 Aug. 3, 2012

  お金は「麻薬」

 鈴木 今日は城南信用金庫の五反田の本店にお邪魔させていただいております。よろし
 くお願いします。
 吉原 どうぞよろしくお願いします。
 鈴木 震災から2年がたちました。吉原理事長は、その間、非常に激しく動かれまし
 た。城南信用金庫の脱原発宣言に始まり、「電気が足りないから原発をとめられないと
 いうならば、電気消費量に占める原発の比率は25パーセントだから、その分の電気を節
 電しよう」と呼びかけられました。みずからもソーラーパネルの設置、LED照明への
 切り替え、自家発電機の導入を積極的に行ない、来電との契約を破棄してPPS(特定
 規模電気事業者・新電力)と契約するなど、つぎつぎと既存の枠組みを壊して脱原発へ
 向けて実行可能な取り組みのバリエーションを提示され、そして、いま、脱原発に加え
 て「脱拝金主義」を唱えられていますが、これまでを振り返ってみて、いかがでしょう
 か。

 吉原 手っ取り早い話が、原発には巨額なお金が絡んでいて、拝金主義の象徴の一つで
  あったということです。原発を!基稼働させるだけで1年間に1000億円というお金
 を生み出します。企業、政治家、官僚だけでなく、原発が立地する地元にも、公共投資
 などに使われるたくさんのお金が流れ込みます。こうした利権構造になっていることが、
 原発問題の複雑さ、手ごわさの大きな原因になっているとするなら、いま、日本や世界
 の先進国をおかしくしている拝金主義から脱する試みを同時進行させなければ、いつま
 で待っても解決にはたどりつけないと気づきました。

 ですから、急がばまわれ式に言わせていただきますと、お金は「麻薬」だということ
 から説明させていただくほうが全体像がよくおわかり願えると思います。麻薬も医学的
 に用いればなくてはならないものですが、個人が誘惑に負けて誤用してしまいますと、
 人の心を狂わせ、体を蝕み、人間社会にまで害を与えるようになってしまいます。ただ
 し、お金が暴走したときの被害の大きさは麻薬などの比ではありません。

 鈴木 なかなか興味深いお話です。
 吉原 そこで、お金の弊害について考えてみたいと思います。いま、鈴木さんがいみじ
 くも興味深いとおっしゃいましたが、実際にお金の弊害をわかりやすく教えてくれる実
 に興味深い考古学的発見がありました。
  場所は紀元前4世紀にかけてアラビア半島のチグリス、ユーフラテス川の間の沖積平
 野に開けた古代メソポタミア文明遺跡です。NHKスペシャル『ヒューマン なぜ人間
 になれたのか』の中で紹介されたのですが、ケンブリッジ大学の教授かメソポタミア文
 明遺跡で発掘に当たっていたところ、土中から多数のどんぶり状の土器が現れたのです。
 番組の中で「これは貨幣です。土器に小麦をいっぱいに入れたものが、通貨単位に
 なっていたのです」と教授は説明しました。どんぶり一杯の小麦が通貨になってニワト
 リや油などさまざまな生活物資と交換されていたわけです。貨幣が生まれた結果、商品
 の概念が生じ、ウルクという都市に分業が発達、史上初の職業が生まれ、技術革新につ
 ながって生産性が向上して人口が急増しました。そこまではよかったのですが、ウルク
 の遺跡からそれとは別に祈り垂なって倒れた大量の遺体が出土したことで、驚くべきこ
 とがわかりました。

 鈴木 戦争の犠牲者ですね。
 吉原 そうです。原始社会では村の人びとが狩りをして獲物を得たら、みんなで平等に
 分けるのが決まりでした。漁をして魚を獲っても同じように分け合いました。魚や肉な
 どは独り占めしようとしても保存がききませんから、そういう発想にならなかったので
 すね。ところが、お金が生まれ、商品という概念が生じると、お金に換えておけばいく
 らでもためられるし、商品が必要なときはお金を使っていくらでも手に入るのですから、
 村人たちはタダで分けることがバカらしくなり、自分が獲ってきた魚や肉を貨幣に換え
 て富を築く欲望に目覚めました。こうした行動が当たり前のように繰り返されるうちに
 仲間意識が次第に希薄になって、自分と他人は利害関係で別という考えになり、どこま
 でも自分が主体で他は客体として利用するようになり、ついに共同体そのものの形骸化
 が進みます。これがお金の麻薬性というか弊害なのです。

 鈴木 現代はまさに金融全盛の時代ですが、基本となるパターンは何も変わりませんね。
 貨幣がない時代は自分だけ食いっぱぐれるという心配がありませんから、意識はおのず
 と身のまわりの自然や生き物に向けられます。そして、それらを大事にします。
 富を増やすという意識がないのですから、自分たちが生きるのに必要な分だけつかまえ
 て食べればよく、「いただきます」という感謝の気持ちが自然に芽生えてきます。自然
 も生き物も人間と同じようにいのちを宿しているわけですから、人間と同じようにかけ
 がえがないというような精神性がおのずと培われるわけです。ところが、貨幣が生まれ、
 貨幣を基準に考えて行動するようになると、すべてが貨幣で交換可能な物としか見なく
 なり、物の奪い合い、富を競うという、これまでなかった現象が生じていくのです。行
 き着く先が競争社会、格差社会です。そして、2011年のニューヨーク市ウォールス
 トリートで、「オキュパイ・ウォールストリート(巨額の富を独占するウォールストリ
 ートの金融街を占拠しよう)」という抗議行動が起きて世界中の注目を集めました。

 鈴木 よく、覚えています。
 吉原 いまやアメリカの上位Iパーセントの人間が全米の資産の40パーセントを所有
 し、上位5パーセントが全米の資産の81パーセントを所有しているといわれます。これ
 を裏返すと、全米の95パーセントの国民が全資産のわずか19パーセントで暮らしている
 極端な現実が浮き彫りになります。1960年代のアメリカは中産階級が豊かで、家族
 は大きな家に住み、大型の車を乗りまわし、電気冷蔵庫などの家電製品に囲まれて、各
 人が幸せに暮らしているというイメージでした。世界中の人びとがアメリカ映画を見て
 「自由と資本主義の国」アメリカに憧れてきただけに、そこに至るまでの間に何かあっ
 たのだろうと驚いているのだと思います。

 鈴木 暴走する金融をコントロールできないで、どのような手を打ったらよいのか、い
 まや悩めるアメリカというイメージで世界中が注目していますね。アメリカは確か過去
 に2度、世界金融恐慌とブラックマンデーで痛い目に遭ったはずなのに、最近になって
 リーマンショックでお金の暴走の恐ろしさをまたしても思い知らされました。どうして
 同じ過ちを繰り返すのでしょうか。
 吉原 アメリカは自由主義と資本主義を国是としています。そのために1928年の世
 界金融恐慌、1987年10月19日のブラックマンデー、2008年のりIマンショック
 と3度もお金の暴走に翻弄されてしまいました。戦前の世界金融恐慌はニューヨーク証
 券取引所ダウ30種平均の終値が12・8ポイント下落しだのがきっかけでした。198
 7年のブラックマンデーではニューヨーク証券取引所ダウ30種平均の終値が22・6ポ
 イント下落しました。前者のときはルーズベルト大統領が銀行を国有化するなど社会主
 義的政策を断行して、貨幣の暴走に歯止めをかけました。後者のときは米金融当局が適
 切に対処したため、実体経済への影響は最小限に食い止められました。そして、3度目
 がリーマンショックです。そもそもリーマンショックとは何だったのでしょうか。

 鈴木 私は金融詐欺の必然の結末と理解していますが……。

  金融覇権国家をめざすアメリ力

 吉原 脱原発ではなく脱拝金主義の説明になってしまっていますが、必ず脱原発の説明
 につながりますから、もう少し我慢して聞いていただきたいと思います。リーマンショ
 ックはおっしやるように、「サブプライムローン」という不良債権を金融商品化して、
 世界中に流通させた詐欺まがいの商法がきっかけで起きました。どうしてそのような詐
 欺まがいの金融商品が通用してしまったかというと、日本との貿易摩擦が遠因になって
 いるのです。

 鈴木 日本がバブル景気に沸くなか、アメリカのプラザホテルで政府間交渉が行なわれ
 て「プラザ合意」が行なわれたころですね。
 吉原 そうです。生産力においても世界一だったアメリカは、自国の優位をさらに強化
 するために「GATT(関税および貿易に関する二股協定)」や「IMF(国際通貨基
 金)」などをツールに用いて自由貿易体制を確立していました。よい品物をつくれば世
 界中に販売して豊かになれる仕組みでした。もちろん、アメリカが世界一であることを
 前梶にしたうえでの世界自由貿易体制ですから、繊維に始まり、鉄鋼、家電、自動車、
 半導体と、日本の企業がアメリカ企業を圧倒するようになってくると話は違ってきます。
 当時のアメリカはものづくりで口本に負け、それでいながら旧ソ運との冷戦構造のなか
 で軍拡を余儀なくされるといった具合で、きびしい国家運営を強いられていました。

  1985年にはG5蔵相会議をニューヨークで間催して、為替レート安定化の名のも
 とに日本に円高をのませる「プラザ合意」に漕ぎつけ、1989年には日米構造協議で
 さらなる円高政策を迫り、やっきになって貿易黒字でため込んだ外貨を吐き出させよう
 としました。その中間の1987年にそうした努力をあざ笑うかのようにブラックマン
 デーが起きたのです。

  以後、アメリカはものづくりなどを日本や外国に任せる一方、繊維に始まり、鉄鋼、
 家電、自動車、半導体と、アメリカ企業を圧倒して生産で世界一に躍り出た日本が巨額
 にため込んだ外貨を金融システムで吸い上げる方向に政策を転換していきました。
  アメリカはこれまでの自由貿易戦略を見直して、新たな国家戦略すなわち世界最強の
 金融と情報、軍事力を背景にしてアーキテクチャー戦略に踏み切ったのです。特に金融
 においてそれが顕著でした。金融市場の自由化、BIS規制(国際決済銀行による銀行
 の自己資本比率の国際続コ、国際会計基準の制定が進められ、ニューョークの金融街
 ウォールストリートに本社を構える巨大な投資銀行や商業銀行が世界の市場で巨額の資
 金を移動し、活発な投資が行なえるようにしました。国債や企業の発行する債券を評価
 して、国家や企業を評価付けする「格付け会社」などは、その別働隊ともいえます。企
 業や国家の格付けを発表して、巨大金融資本の世界的な投機活動を支えているのです。

 鈴木 気がつかない間にとんでもないことになっていたわけですね。
 吉原 ところが、多くの人には、それがわかりません。金融の専門家にも実は判断がつ
 かなかったのです。
 鈴木 どういうことでしょうか。

               『なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか』

経済・金融分野でのプロとの対談、平易でわかりやすいという印象。面白い展開が期待でき
そうである。

                                   この項つづく




滋賀県で生まれた、針葉樹の薪も燃やせる
薪ストーブ「Ritsh(リッシュ)」

家を新築する際にぜひ取り入れたいという人が増えているそうです。設置している人による
と、「家の中で燃える火を見ていると心が落ち着く」「じんわりと体を包み込むような暖か
さで部屋全体が温まる」と評価します。ところが、広葉樹は火持ちが長く使い勝手が良いも
のの、マツやスギなどの針葉樹は伐採もされず倒れたり伸び放題になっていることからぜひ
活用したいのに、燃焼時間が短く、燃やすと1000℃を超える高温になりストーブを傷めるの
で燃やさないでくださいというストーブが多いのが現状。そのような中、東近江市にある鍛
鉄工房・室の「Ritsh(リッシュ)」(里守)は針葉樹が燃やせる国産薪ストーブとして注目
を集めています。
              
 


チミチュリとイタリアンパセリ鍋

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                 尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

       ※ 天 命:天命がすべてを支配する。天命はすなおに受け入れねばなら
       ない。したがって天命を悟った者は、崩れて来そうな塀には近寄らな
       い。なすべきことをなし終えて死ぬ者は天命をすなおに受け入れたの
       であり、刑罰に処せられて死ぬ者は、天台に反したのである。 

       孟子曰く、「命にあらざるなし。その正を順受すべし。この故に命を
       知る者は、巌牆(がんしょう)の下に立たず。その道を尽くして死す
       る者は、正命なり。桎梏(しっこく)して死する者は、正命にあらざ
       るなり」。

        <巌牆之下 (がんしょうのもと)>  危険な場所を喩えた言葉。 巌はそ
              そり立った岩のことで、牆は石や土で築いた細長い塀のこと。どちら
       もいつ崩れるかわからないものであるから、その下は危険であるとい
       う意。 孟子の尽心章句上に登場する。

 



【イタリアンパセリと豆腐の鍋料理】

昨日の朝食にチーズと目玉焼きとイタリアンパセリのイングリッシュマフィを食べる。彼女
は、裏で育てていたこのパセリをすべて刈り取ったのだという。因みに、パクチーは冬枯れ
するので秋に刈り取っているとの話だった。味はどうと訊ねるので、問題ない、香菜がなん
とも喩えようのない良い香りが口元に糸を引くように消えていくようだった、と答える。台
所から刈り取り水洗いしておいたパセリのボールを見せる。ほらこれよと。春先になり薹が
立ち堅く苦みが濃くなるのじゃないの?と聞き返すのでそんなことはことないよと再度、そ
う応える。ところで、彼女の手料理でこれは美味しいと思ったり、インスタ映え良いと感じ
ていてもデジカメすることを忘れるのがほとんど、これは夕食のパセリと豆腐鍋のとき取り
忘れているが、鍋料理にしようと提案したのはその日の朝である。

その日の夕食、一人鍋としていただく。香りや葉の食感は申し分ない。なぜ、パセリ鍋がな
いのか不思議なぐらいである。ただし、茎は少し堅い。なので、熱湯で前処理するか、煮込
み時間を長くするかの何らかの工夫が必要だろう。その他に思いつくことは栽培法――スプ
ラウト(新芽)として頂くか、遮光などの技法で細胞硬質化を抑制――で対応する。ここま
でつきつめれば、”植物工場工学”まで昇華させ、通年栽培も可能だし、抹茶生産などのよ
うに、自動遮光農業用フィルムを取り入れた太陽光遮断栽培法などに展開される(「品質展
開工学」参照)。

さて、イタリアンパセリ(Petroselinum neapolitanum、Prezzemolo)はセリ科の野菜。パセリ
の仲間で、プレーンリーブド種とも呼ばれ、日本でパセリ(オランダゼリ)と呼ばれている
ものに比べると葉が平たく、風味や香りが柔らかいのが特徴。主にイタリア料理で香味野菜
として使われることが多く、そのままちぎって料理に添えたり、細かく刻んで料理のソース
やドレッシングなどに利用され、似た野菜にパクチー(香菜)があり、より香りが強い独特
なものなのでパクチーの代用で使われる。

また、香菜(シャンサイ)とよく似て、日本では縮れ葉タイプが一般的にたいし、欧州では
こちらの平たい葉の方が一般的に用いられ、本場イタリアではPrezzemolo(プレッツェモー
ロ)と呼ばれている。独特の香りを持つことから、香味野菜としてスープやサラダ、ソース
やドレッシングなどに加えることで風味付けに用いたり、煮込み料理でも使われる。

● チミチュリ・ソース

パセリとニンニクのみじん切りを、塩と油と酢(オリーブオイルと白ワインビネガー)で和
えたものがベースで、香り付けのために、唐辛子パウダー、オレガノ、コショウなどの香辛
料が加えられる。国・地域・家庭によって好みのバリエーションがあり、これを”チミチュ
リ(chimichurri)”と呼ばれる(スペイン語)。アルゼンチン発祥のソース。アルゼンチン
以外にもペルーなど南米スペイン語圏で広く用いられる定番の万能ソース。焼き料理のアサ
ード(asado)で、精肉を焼いた牛肉や豚肉、ローストチキンにかけて食べる。

【材料:4人分】新鮮なパセリの一束は、茎を削除して洗浄(1杯のパック)、3片のニン
ニク、塩 小さじ1、粉砕唐辛子フレーク 小さじ1/4、胡椒 小さじ1/4、白ワイン 大さじ
2杯、白ワイン酢(赤ワイン酢も可)大さじ2敗、オリーブオイル  大さじ2杯。ギリシャ
ヨーグルト 大さじ4杯、水 大さじ2~4杯 

【作り方】 ①水以外のすべての成分をブレンダーに入れ、ほとんど滑らかになるまで混ぜ
る。 ②水を所望の粘稠度に薄く加える。あまり混ぜない。③ 冷蔵庫に保管(1週間まで)
。尚、ビーガン(純粋菜食者向け)には、大豆ヨーグルトまたはカシュークリームを使用。

 

● 栄養及び調理法

①豊富なβカロテン:β-タカロテンは抗発ガン作用や免疫賦活作用で知られ、その他にも体
内でビタミンAに変換され、髪の健康維持や、視力維持、粘膜や皮膚の健康維持、そして、喉
や肺など呼吸器系統を守る働きがある。➁アピオール:パセリ特有の香りは、アピオールな
どの精油成分によるもので、口臭予防、食欲増進、疲労回復、食中毒予防効果がある。③ビ
タミンK:パセリはあらゆる生鮮食品の中で最も多くビタミンKを多く含んでいる食材。ビ
タミンKは体内でも作られるが、カルシウムを骨に定着させる働きの他、血液を凝固させる
成分の合成にも関わっている。④ビタミンEも野菜の中ではトップクラス:ビタミンEはカロ
テンなどと同じく、強い抗酸化作用があり、活性酸素を抑え体内の不飽和脂肪酸の酸化を防
ぐ働きがあるので、動脈硬化や心筋梗塞などの生活習慣病の予防に役立つ。⑤鉄分をはじめ、
カリウムなどミネラルが豊富、パセリには不足しがちな鉄分が沢山含まれ、カリウムも野菜
の中でトップクラス。⑥ビタミンCも野菜の中ではトップクラス:パセリはなんとビタミン
Cにおいても野菜の中で赤ピーマンやメキャベツ、なばなに次いで沢山含まれている。香りが
何よりな食材なので、生のまま使うか、仕上げに加える。サラダをはじめ、スープや炒め物、
揚げ物など色々な料理の香り付けに使える。⑦スープの浮き身:ミネストローネやコンソメ
スープなど西洋料理に限らず、味噌汁でも美味しい。⑧さっと茹でて:あまり知られていな
いが、実はパセリは茹でてしまうとクセも穏やかになり、普通のセリなどと同じようにおひ
たしや和え物にしても美味しく食べられる。⑨魚料理のスースに:パセリバターを作ってお
くか、直接フライパンにバターを溶かし、刻んだパセリを加えてレモン汁などの柑橘類の果
汁を絞るだけで美味しいソースが作れる。⑩炒め物:ベーコンと下茹でしたジャガイモをフ
ライパンで炒め、仕上げにパセリを加えると清清しい風味に仕上がって彩りもよくなり、パ
セコンにしたものでもいい。⑪揚げ物:白身魚をフリッや天ぷらとにする際、刻んだパセリ
を絡めてから揚げると美味しい、⑫煮込み料理のブーケガロニに:パセリの柄の部分はセロ
リなどと共にブーケガロニとして煮込み料理やスープを作る時に、風味付けに加えて煮込み
む。

● 生パセリの可食部100gあたりの成分

 

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.9 

   ● 対談1 新しい現実をつくる

  『脱拝金主義で脱原発を』 原毅 城南信用金庫理事長

 Aug. 3, 2012
 
   金融工学の実体は「カジノ資本主義」

 吉原 アメリカの金融界に「金融工学」という耳慣れない言葉が登場したのは1990
 年代のことでした。当時、アメリカ経済が不況に陥るなかで、宇宙ロケットの開発に携
 わってきた物理学者などが失業して金融業務に進出、最先端の数学を駆使した先進的な
 デリバティブ理論、投資理論など、いわゆる「金融工学」の発達を加進させました。ア
 メリカはこれまでの自由貿易戦略を見直して、新たな国家戦略すなわち世界最強の金融
 と情報、軍事力を背景にしてアーキテクチャー戦略に踏み切ったと先ほど申し上げまし
 たが、その理論的支柱が金融工学だとお考えになってください。
 アメリカは日本がため込んだ多額のお金を金融システムで吸い上げ、それを元手にして
 世界の金融市場で金融派生商品と呼ばれるデリバティブ、証券化を駆使した先進的な金
 融業務を拡大して収益を上げ、世界での覇権を確立する。それがアメリカの戦略で、い
 ってみれば日本をATMのようにして、日本からお金を自由に引き出せるようにした
 わけです。

 鈴木 デリバティブについては最初から破綻が見通されていて、詐欺行為だという批判
 の声がありました。
 吉原 金融の本質をよく理解している人にはわかりきっていたことでしたが、これまで
 金融に携わっていた多くの「文科系」の人間には数学的な理論がよく理解できませんの
 で、高度な数学や最新の統計学を用いられると、一見科学的であり、安全で正しいもの
 のようにも見え、「この理論に従えば、必ず利益が上がる」と考えてしまいがちです。
 ところが、「先進的な金融業務」といっても実体は世界をカジノ化する「カジノ資本主
 義」でした。莫大な利益が上がる半面、まかり間違えば巨額の損失を発生させる大きな
 危険性を持った怪しげな業務であったわけです。

 鈴木 わかる人にはわかっていても、止められなかったわけですね。
 吉原 原発の問題とまったく同じです。ですが、いずれわかることですから、原発の問
 題はもうしばらく伏せておきましょう。アメリカでは2000年あたりからメキコなど
 からの移民が増加して住宅需要が高まり、住宅ブームが到来しました。ほとんど収入の
 ない移民向けの住宅ローンですから最初から不良債権で焦げつくのは時間の問題でした。
 それを証券化したのがサブプライムローンという新しい金融商品です。本来は価値のな
 いものが高値で取引されたり、長続きしない不健全な価格上昇が起きることを「バブル」
 といっているわけですが、まさにアメリカは価値のない証券を世界中に高値で売りさば
 いて外国から資金を流入させ、消費者に消費を促しました。一方、アメリカが買ってく
 れるので、日本や中国は輸出が好調になり、よもやとんでもないからくりがあろうとは
 夢にも思わなかったのです。

 鈴木 ところが、2008年、リーマンショックがバブル崩壊の地獄に世界中を引きず
 り込みました。
 吉原 住宅の販売ブームが続く一方で、返済に行き詰まる人が出るようになりましたが、
 まだブームのうちは抵当に入れた住宅を転売してローンの返済に充当できたんですね。
 でも、それも最初のうちだけで、やがて大半が不良債権となり、必然の結果としてサブ
 プライムローーンバブルが2007年夏ごろからはじけました。サブプライムローンを
 取り扱っていたアメリカの証券会社や金融機関、補償していた保険会社はことごとく経
 営危機に陥り、破綻もしくは合併を余儀なくされました。そのなかでもっとも衝撃的だ
 ったのが証券会社の名門リーマン・ブラザーズの倒産だったことから、2008年に起
 きたバブル崩壊を「リーマンショック」と呼ぶわけです。

 鈴木 結局、金融工学とは何だったわけですか。何か世の中のために役立ったのですか。
 吉原 鈴木さんが先ほどおっしゃられたように、わかる人にはわかっていても、止めら
 れなかった、それで答えになっていると思います。

 鈴木 そこでまた単純な疑問ですが、末をよくしないとわかっているのに、どうして止
 められなかったのでしょうか。
 吉原 現代社会は自由主義経済、市場経済をあまりにも野放しにしすぎたということが
 いえます。かつての初期資本主義において発生した「お金の暴走」が世界的規模で復活
 した状態ですから、反省するだけでは暴走は止まりません。かつて「お金の暴走」を抑
 えるために重商主義を批判したアダム・スミスの考えの基本は「人びとが幸せに暮らせ
 るためには、個人がバラバラな社会ではなく、健全な国家や健全なコミュニティが必要
 だ」というものでした。また、政府が景気のコントロールをきちんとすることが必要だ
 とケインズが言うように、結局、最後の仕上げは政治なんです。ところが、政治に問題
 があって、なかなかうまくいきません。このあたりから原発問題と結んできますから、
 政治の問題点について語らせていただきます。

  最後の仕上げは政治

 鈴木 うかがいましょう。
 吉原 自民党政権から民主党政権に変わり、また自民党政権に戻ったわけですが、どち
 らがどうのということではなく、政治とひとくくりで申しますが、政治と国民の関係を
 まず金融から申しますと、アメリカはグローバル資本主義のスローガンを掲げて金融で
 世界の経済を支配しようとし、日本に対して「金融市場開放」を強く求めるようになり
 ました。1983年に「円・ドルレートの現状および決定要因等について両国が相互の
 理解を深める」ことなどを目的として「日米円ドル委員会」が発足、89年の日米構造協
 議、93年の日米包括経済協議、94年以降の年次改革要望書といった具合に名称を変えて、
 日本の金融市場の開放がアメリカ主導で進みました。そして、96年には「金融ビッグバ
 ン」の名で大規模な金融改革が行なわれツ銀行や郵便局の窓口において、証券投資信託
 の販売が開始されました。これが曲者でした。

 鈴木 そうでしたね。
 吉原 当時は日米間で貿易摩擦が拡大しており、日米間の貿易収支の不均衡が問題とさ
 れていたわけですが、アメリカがなぜ再三、再四にわたって金融市場開放を強く求めて
 くるのか、日本政府はよく理解していなかった節があります。投資信託の販売決定に際
 して、日本政府は証券取引審議会の「論点整理」(96年11)で次の方針を発表しました。
 すなわち、株式などのリスクのある商品は銀行経営を危うくするので、銀行に持たせる
 ことができない。そこで、国民にリスクを持ってもらい、株を買ってもらうことで株価
 を上げていくというものです。

 鈴木 随分と国民をバカにした話です。まさにお金の麻薬性に政府は害されていますね。
 吉原 それが政治のスタンスです。銀行が保有できないような危ないものを国民に売り
 つけるのですから、政府もひどいと思います。しかし、実は、日本にそれを要求したア
 メリカには別のねらいがありました。先ほど言ったと思いますが、日本をATMのよう
 にして、日本からお金を自由に引き出せるようにすることです。しかも、ファンドです
 から、運用に失敗しても投資家に元本を保証しなくて済むのですから、借金に比べて借
 り手にとってはきわめて有利で好都合でした。そして、最初の停車駅がサブプライムロ
 ーン問題であり、リーマンショックでした。

 鈴木 まだ終わりではないわけですね。
 吉原 もちろんです。だから、脱拝金主義なんです。


  なぜ、城南信用金庫は脱原発宣言をしたのか

 鈴木 すごくわかりやすいお話でした。それが脱原発にどう絡んでくるのでしょうか。
 吉原 2011年3月H口の東日本大震災は永遠に忘れてはならない重大な出来事で
 す。地震と津波で2万人近い多くの犠牲者を出しました。続いて起きた東電福島第一原
 発事故で周辺に住む大勢の人たちが先祖からの思い出の詰まった故郷を奪われてしまい
 ました。東京都と神奈川県の一部を営業地域とする私たち城南信用金庫は、1995年
 の阪神・淡路大震災のとき神戸などに1億円の寄付を行ないましたが、今度は過去の規
 模を大幅に上まわる大災害ですから、思い切って経費を削減して3倍の3億円を寄付し
 て、1億4000万円を超える募金活動を行ないました。現地のお寺に協力していただ
 いて、ボランティアを志願した職員を泊り込みで送り出し、被災者への炊き出しを行な
 いました。

 鈴木 日本中が気持ちで一つになって救援に立ち上がりましたね。
 吉原 そのうちに津波の被害を受けた現地の信用金庫から、4月に入社するはずの新人
 社員の採用内定を取り消さざるを得ないということが聞こえてきました。城南信用金庫
 で引き取りをしてほしいと頼まれましたので、現地で面接して全員採用しました。同じ
 ような要請があちらこちらから続いて、話を聞くと、福島第一原発事故で営業区域の半
 分か立ち入り禁止区域になり、店舗の半数を閉鎖せざるを得なくなったというのです。
 私はショックを受けました。信用金庫は地域を守って、地域を幸せにするのが使命です。
 信用金庫で仕事をする私たちはもちろん、何よりも先祖代々のその地域で暮らしてきた
 人たちにとって、思い出の詰まったかけがえのない故郷です。そこから避難したままい
 つ戻れるかも知らされない。たまりませんね。

 鈴木 ほんとうに、他人事ではいられませんね。
 吉原 原発を推進してきた政治家や経済産業省などの官僚、電力会社や原子力を専門と
 する学者たちは、原発は多重に保護されているから何かあっても大丈夫だと繰り返して
 きました。しかし、実際の事故が起きて、「安全神話」が嘘だったとわかりました。そ
 れなのに、政治家、官僚、電力会社、学者、さらにはマスコミに至るまで、反省するど
 ころか、「原発事故は想定外だった」「この程度のことで、原発政策をやめるわけにはい
 かない」という大合唱が起きたではありませんか。私はその無責任さに憤りを覚えまし
 た。どうして、このような無責任とデタラメが流布するような異常な事態になるのか調
 べてみました。
 すると、政治家も、学者も、マスコミも、「原子カムラ」という巨大な利権組織に組み
 込まれ、電力会社がもたらす巨額のお金によって情報が操られていることがわかりまし
 た。福島などの原発事故の被害者の皆さんは許せない気持ちだろうと再び憤りを覚えま
 した。こうなれば信用金庫としてやるべきことは決まっています。

 鈴木 それが脱原発宣言だったわけですね。最初は私も意外に思いましたが、お話をう
 かがって、逆に当然、いえ必然と理解することができました。信用金庫の役割も再認識
 させられました。私たちはかまぼこ屋ですが、吉原さんと同じように知恵を働かせて工
 夫して20パーセントの節電を達成しました。やればできるんですね。
 吉原 原発の事故が起きてから、むしろ道に新聞やテレビで「原発がすべてとまると、
 電気が足りない」「このままでは、日本経済は大変なことになる」というキャンペーン
 が繰り返されましたが、金原発が停止しても何も起きませんでした。一人ひとりが、そ
 して、一つひとつの企業が地道に節電に取り組めば、一歩間違えば取り返しのつかない
 危険な原発をあえて稼働させなくても、まったく問題は生じない、ということが事実で
 証明されたわけです。

 もう一つは節電、この国難に当たりまして民間企業は自家発電も含めてちゃんとやって
 いるんですね。さらにもう一つは、太陽光を含めて再生可能子不ルギーはコストが高い
 というんですが、じゃあ原発はコストが安いのかというボイントが抜けているわけです
 ね。実際はコストが高い。アメリカの大手電力が軒並み原発の建設をキャンセルしてい
 る理由は環境問題ではなくて、単純にコストが高いからです。原発をつくってきたGE
 のCEO(最高経営責任者)ジェフリー・イメルトは「最早、アメリカの企業は原発に
 頼る必要はまったくない。これからは太陽光とシェールガスの時代だ」とはっきり言っ
 ているくらいです。

 シェールガスとは何かというと、これまでは技術的に1割ぐらいしか取り出せなかっ
 たのが、9割ぐらい取り出せるところまで技術が進んで、アメリカで大ブームが起きて
 いるんですね。日本だって化石燃料は無限にあるんです。
 そういうなかで原子力はあまりにもコストが高いというのが世界の常識なんですが、日
 本ではどういうわけか学者やマスコミを介して政府が原子力は安いといってイメージ操
 作をしているわけです。世界の常識に反しているわけですね。こんなにも隠蔽していた
 のかと驚きました。この隠蔽体質をなんとかしないといけないわけですし、国民が冷静
 に判断できるように正しい情報を入れていかないといけないわけです。

 鈴木 ある程度わからないと疑問は起きませんから、知らせることはもちろん大事です
 が、吉原さんは疑問点をご自分で調べられた、これがものすごく大事な点だと思います。
 そういう意味で私たち中小企業の経営者はもっと勉強しないといけないと反省していま
 す。
 吉原 勉強が足りないのではなくて、正しい情報が伝わっていないということと、もう
 一つは電力業界が独占業界なんですね。ですから、電気代を上げるぞとI方的にいわれ
 たら、買わざるを得ない。このままではいけないと私は思いました。そこで思いついた
 のがPPSという民間の電気事業者です。私たちが導入したのは子不ットといって、東
 京ガスと大阪ガスとNTTファシリテイーズが共同出資してつくった会社が発電する電
 気です。2012年1月から城南信念の9割に相当する77店舗がPPSに切り替わりま
 した。残り1割の8店舗はテナント契約や低電圧契約のために切り替えができなかった
 のが残念でしたが、探せばいくらでも道はあるものだと思いました。

 
 鈴木 まったく同感です。工夫すればするほど逆に余地が広がるから不思議です。
 吉原 究極は電力の自由化ですね。竹中平蔵さんがおっしやるには、電力を自由化すれ
 ば原発が高いことがわかるから原発に頼ることはなくなるというのです。それを加藤寛
 さんの本(『日本再生最終勧告』ビジネス社)の対談でも言わせていただきました。
 鈴木 さっそく、エネ経会議のブログで紹介させていただきます。

前半の日本経済史(1984~)のところは読み飛ばしてもいいのだがきっちり記載した。
簡単にいうとデジタル革命勃興(先端技術本位制)とパックスアメリカーの財政力と軍事力
のバイアスを背景とした軍事ケインズ主義と新自由主義のグローバリズム(=コンピュータ
仕掛けの英米流金融資本主義)の進展とその野望の挫折=史上最大の格差拡大と資本主義の
終焉を引き寄せた時期にあたる。「なぜ、城南信用金庫は脱原発宣言をしたのか」ではその
動機背景、矛盾との挌闘現場が語られる。畢竟、孟子いわく「その道を尽くして死する者は、
正命なり」である。

                                  この項つづく




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                 尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

       ※ 最大の楽しみ:あらゆる道理はすべてわが心に備わっている。心に省
       みて誠なりと確信できる、これこそ殼大の楽しみである。しかもその
       誠の心でつとめて他人を思いやる。仁を体得するのにこれほど手近な
       方法はない。


    image sauce:Touspo


朝から彼女が「そだね~」を連発するので、どうしたのだ、流行麻疹のように熱でもでたの
かと合いの手を入れると、この言葉がはやっているのだという。困ったものだ、わたしが喋
った言葉を"カメラ頭脳"の彼女が突然自分が初めて発したもののように語る癖が最近頻繁に
なっている。「いやだよね~」と言うと、間髪を入れず「そだね~」だってさ。いやだよね。



    
     No.158

【バイオマス篇:木質チップ乾燥布製造技術】



今月26日、日比谷アメニスは、屋外に堆積している木質バイオマス燃料に掛けることで保
管・乾燥が可能なシート「TOPTEX」(輸入品)について1年間に渡って実証を行い、国内
でも乾燥効果があることを確認したことを発表。実証は、2016年10月から国内大手バイオマ
ス燃料供給会社であるタケエイグリーンリサイクル(山梨県富士吉田市)にて実施され、屋
外保管されている木質チップ上にTOPTEXを敷設することでチップの乾燥が促進。バイオマ
ス燃料供給会社では、供給燃料の品質を改善するともに、安定供給を行うために在庫を確保
することが重要なミッションとなる。タケエイグリーンリサイクルではTOPTEXを使用する
ことで、保管状態で燃料乾燥が進むことで燃料品質の向上が可能となり、さらに建屋を必要
としないため大量のバイオマス燃料の屋外保管が実現。他の国内事例におけるTOPTEXの乾
燥効果として、保管開始時水分約45%W.B(湿量基準含水率)だったチップが、TOPTEX
を掛けずに保管していたチップは約70%W.Bまで上がったのに対し、TOPTEXを掛けて保
管していたチップは約25%W.B.まで下がっていった。

 出典:日比谷アメニス

また、木質チップは三角形の山状に堆積することで、チップの発酵熱により内部空気が最下
部から熱される。熱された湿潤空気は上部に流出するとともに、側面からの外気流入により
自然対流が発生することでチップは乾燥する。TOPTEXは、透湿防水性を持つシートのため、
降雨による水分の追加を遮断しつつもチップから排出された水分はTOPTEXから外部に放出
されるため、乾燥が効率的に進行する。

❏ 特開 2015-218964  木質チップの乾燥方法及び燃料用木質チップの製造方法

【概要】

木質チップは、木質ボードの原料等として用いられてきたが、近年では、石油に代替するエ
ネルギー源となる「木質バイオマス燃料」として注目されている。環境負荷を低減すること
ができ、間伐材だけでなく製材所や製紙用木材の端材や廃材などからも容易に入手できる等
の理由から、将来的にも広く利用されうるエネルギー材料として注目されている。木質チッ
プを木質ボードの原料等及び石油に代替するエネルギー源となる木質バイオマス燃料として
用いる際は、ロータリーキルン等による乾燥させた「乾燥チップ」を使用する。

従来、乾燥工程を経る前の木質チップの集合体は、屋外保管されているケースが多いが、降
雨により木質チップの含水率が増加し、乾燥に要するコストが高になること、異物の混入や
腐敗による品質劣化等の問題が生じ、木質チップの集合体が降雨により含水率が増加しない
よう、屋外においてポリエチレン製のシート等で被覆保管するケースや屋根がある建造物で
保管するケース等がある。ポリエチレン製のシートで被覆保管の場合、結露による腐敗およ
び品質低下、更にはこのことに起因する製品歩留減少という問題が考えられる一方、屋根が
ある建造物での保管では設備コストが大きくなる。

また、乾燥ヤードで乾燥する方法には、木質ペレットの製造に用いられるオガ粉また木質チ
ップを貯蔵すると共に加熱空気によって乾燥する貯蔵乾燥ヤードが開示されているが、空気
加熱及び送風装置を使用することによる加熱動力費増となる(特開2010-223440号公報)。
木質チップをエネルギー効率よく容易に乾燥させる方法と、この方法で木質チップを乾燥し
て燃料用木質チップを製造する方法を提供に当たり、木質チップの乾燥方法であって、透湿
度が100g/m2・24hr以上の透湿防水シートで覆った状態で保存して乾燥させるこ
とを特徴とする木質チップの乾燥方法。好ましくは、チップを地表面上の樹脂製/木製のパ
レット上に載せて前記透湿防水シートで覆う。この乾燥方法で木質チップを乾燥させること
により燃料用木質チップを製造する。



上表から明らかなように、木質チップ乾燥方法は、送風等による強制的な乾燥をすることな
く木質チップの含水率を低下させることが可能である。

【特許請求範囲】

木質チップの乾燥方法であって、透湿度が100g/m2・24hr以上の透湿防水
シートで覆った状態で保存して乾燥させることを特徴とする木質チップの乾燥方法。 前記チップを地表面上の樹脂製又は木製のパレット上に載せて前記透湿防水シートで
覆うことを特徴とする請求項1に記載の木質チップの乾燥方法。 請求項1又は2に記載の木質チップの乾燥方法で木質チップを乾燥させる工程を有す
る燃料用木質チップの製造方法。

これらは乾燥試験方法を厳密に詰めないと正確な数字を比較することはできない、また、「
発酵熱」の寄与率が百パーセントなのかの議論も必要だろう。また、木屑発酵菌の改変/育
種や発酵条件の好適正性とパラメータの関係解析も重要。ここは、「木屑分解前プロセス」
「乾燥シート」の開発と併せ「木質バイオマスエネルーギー」の肝となる。

 Feb. 23, 2018

【サトウキビと燃料電池で発電、エンジンの2倍の発電効率】

2月23日、九州大学などの共同研究グループはベトナムのエビ養殖上に、サトウキビなど
の搾りかすから製造したバイオガスと燃料電池で発電を行う実証プラントを建設。発電効率
53%を記録したことを公表している。それによると、九州大学とバイオマス関連技術の開
発を手掛ける明和工業(金沢市)は、ベトナムなどで手に入りやすいサトウキビやココナッ
ツの搾りかすといった、有機性廃棄物のバイオガス化に着目。さらに、バイオガス化するた
めに必要な有機性廃棄物を分解する菌の供給源として、エビなどの養殖池にある汚泥が活用で
きることを見いだした。実際に有機性廃棄物と養殖池の汚泥を投入するだけで、加温・保温
を行わずに、発電用の燃料として利用できるメタンと二酸化炭素の混合を生成するシステム
を構築し運転に成功する。

このバイオガスは実証サイト内に設置した、九州大学とマグネクス(東京都立川市)共同開
発した1キロワット級のSOFC(固体酸化物形燃料電池)に供給し、2018年1月から発電実証。
その結果、発電効率53%を記録する。九州大学はこの発電効率はエンジン発電機の倍に達
するもので、燃料電池の用途拡大と地球規模の普及を期待している。なお、この研究、発電
電力は、中山鉄工所が構築した電力供給システムで、ダイセン・メンブレン・システムズが
導入する高効率曝気装置(超微細気泡散気装置)に供給されるが、この装置に有機廃棄物由
来の電力を供給、エビ養殖の大幅な省エネ化に貢献できる。

❏ 特許 WO2015/17069  バイオオイルを使用する燃料供給システム
  及び固体酸化物形燃料電池による発電システム    

【概要】

近年、エネルギー変換効率の高い固体酸化物形燃料電池(SOFC:Solid Oxide Fuel Cell)が、
次世代のエネルギー供給システムとして研究されている。SOFCは電解質膜にイオン伝導性
固体電解質を使用し、その電解質膜のー方の面に多孔質焼結体からなるアノード(燃料極)
を、他の面にカソード(空気極)を接合して構成。 SOFCは水素だけでなく、都市ガス、
プロパンガス、石炭ガス化ガスなどの炭化水素を含むガスを改質し、燃料ガスとして使用す
る。また、食品廃棄物や家畜排泄物のメタン発酵処理時に発生するバイオガス(CH4とCO2
の混合ガス)、バイオマスの部分燃焼ガス化ガス、さらにはバイオディーゼル燃料(Bio
Diesel Fuel)等の高級炭化水素を含むガスも燃料ガスに供給できる。

炭化水素燃料の改質反応は、燃料ガスを水蒸気の存在下で水素及び一酸化炭素に変換するも
のである。SOFCは高温(例えば、600~900℃)で運転され、その温度領域が改質反応の温
度領域と一致していることと、アノードに改質触媒として機能するNiを用いられ、炭化水素
燃料をアノードに直接供給することで、アノード内部で改質して発生させた水素を燃料にし
て発電する直接内部改質型SOFC(DIRSOFC: Direct Internal Reforming SOFC)が原理的に可能
である。

例えば、SOFCの前段に、貴金属触媒からなり炭素数2以上の炭化水素をメタン化する反応
装置を設けて、後段のSOFCにメタンを主成分とするガスを供給して発電するDIRSOFCがあ
る。このDIRSOFCでは、触媒(Ru、Rh等の貴金属)を担持した粒状触謀を充填したメタン化反
応装置を400 ℃以上且つ500 ℃以下に加熱して活性化させた状態で、燃料ガス中の炭化水素
をメタンに変化させ、メタンの水蒸気改質反応は、燃料電池発電により発生する熱を効率よ
く水蒸気改質反応(吸熱反応)により回収できるように、アノード上で発生せる。しかし、
DIRSOFCを含む従来のSOFCでは、アノードを構成する多孔質焼結体に構造の自由度がない
ため、炭化水素の改質反応(吸熱反応)に伴う急激な温度低下によって熱衝撃(サーマルシ
ョック)による熱応力破壊が生じたり、副反応として生成される炭素の析出によるアノード
の閉塞という問題が知られている。このようにイオン伝導性酸化物繊維を含む無機繊維をペ
ーパー状に成形することでペーパー状多孔質担体とし、この担体の表面に炭化水素改質活性
を有する金属触媒を分散担持させたペーパー状触媒及びこの触媒を備えたDIRSOFCの開発に
成功している。このペーパー状触媒は担体としてミクロな空間制御が可能な抄紙技術により
作製した無機繊維を骨格として、担体内の空隙を大きくでき、上記熱応力破壊に対する優れ
た耐性を有する。また、ペーパー状多孔質担体に含まれるイオン伝導性酸化物繊維が助触媒
として機能、金属触媒の改質触媒活性を高めると共に炭素の析出を抑制し、ペーパー状触媒
をアノードに適用する場合は、アノードの空隙が完全に閉塞を回避でき、たとえ炭素析出
が生じても、空隙率の高い完全な閉塞が回避できる。このペーパー触媒はSOFCと分離して
外部改質器に充填できる。

このようにバイオオイルを使用する燃料供給システム及びこのシステムを備える固体酸化物
形燃料電池の発電システムの提供にあって、下図のように  燃料電池発電システム1は、バ
イオオイルを製造するバイオオイル製造機構10と、固体酸化物形燃料電池30と、ペーパー状
触媒40を用いてバイオオイル由来の原料ガスを燃料ガスに改質して固体酸化物形燃料電池に
供給する燃料供給システム20を備える。製造過程において既に水とのエマルジョンを形成し
ているバイオオイルを燃料にするので、原料ガスの改質時に混合する水(水蒸気)の量を大
幅に減らすことができ、水蒸気を生成するためのコストを抑制できる効果を得られる。また
、バイオディーゼル燃料をエマルジョン化して使用する場合と比較してもコスト抑制効果を
得られる。また、燃料ガス内にS/Cの分散ムラが生じにくいため、従来のように水蒸気が不足
している箇所が触媒に接触して炭素析出が生じる問題を解消できる。

【符号の説明】

1 燃料電池発電システム 10 バイオオイル製造機構 11 粉砕部 12 熱分解部 13 バイオ
オイル回収部 14 チャー回収部 15 気体回収部 20 燃料供給システム 21 ガス供給機構
22 改質部 23 ポンプ 24 ポンプ 25 気化器 26 電気炉 27 マスフローコントローラー
30 固体酸化物形燃料電池 31 固体電解質 32 アノード 33 カソード 34 空気供給部 34a
マスフローコントローラー 35 排出口 36 コールドトラップ 37 ガスクロマトグラフ
38 電気化学測定装置 40 ペーパー状触媒 41 無機繊維 42 ペーパー状多孔質担体 43 金
属触媒 50 改質部 51 ペーパー状触媒 60 固体酸化物形燃料電池 61 改質部 62 ペーパ
ー状触媒 100 固体酸化物形燃料電池 110 改質部 120 ペーパー状触媒 130 電気炉

❏ 特開 2016-126833  固体酸化物型燃料電池  

【概要】

木質チップは、木質ボードの原料等として用いられてきたが、近年では、石油に代替するエ
バイオマス原材料から、貯溜、移送が簡易な液体燃料を高効率で回収し、かつ容易ni液化さ
せることができ、さらに小型で可搬型とすることもできる燃料製造装置を提供にあって、下
図のごとく、熱媒体粒子2を加熱する熱媒体加熱部3と、加熱された熱媒体粒子2を導入す
る導入口4a、バイオマス原材料の投入口4bを備え、加熱された熱媒体粒子2と投入された
バイオマス原材料とを接触させ、攪拌しながら搬送することでバイオマス原材料を熱分解さ
せ有機ガスを発生させる熱分解用搬送部4と、熱分解用搬送部4内で発生した有機ガス及び
固形燃料を分離する燃料分離部5と、熱分解用搬送部4を通過した加熱された熱媒体粒子2
を熱媒体加熱部3に返送する熱媒体回収部6と、燃料分離部5の下流に有機ガスを液化する
液体燃料生成部7とを備えてなり、熱媒体粒子2を系内で循環使用するとともに、バイオマ
ス原材料から液体燃料を高効率で回収する。


【符号の説明】

1  燃料製造装置 2 熱媒体粒子 3  熱媒体加熱部 3a 容器 3b 加熱装置 4  
熱分解用搬送部 4a 導入口 4b 投入口  4c パイプ 4d  スクリュー  4e 
モータ 4f  連絡路 4g  空間 4h  混合物 5  燃料分離部 5a  本体 5b   
流路 6 熱媒体回収部 6a  第二パイプ 6b  第二スクリュー 6c   第二モータ 
7 液体燃料生成部 8 木炭気流分離部 9 液体貯溜タンク 10  気体燃料

 

❏  特開 2015-105344 燃料製造装置及び燃料製造方法

 【概要】

高温下においてボルト及びナットによりセルスタックを締め込む際に適切に圧縮力を導入し
高性能なガスシール性及び電気的接触性を保持する固体酸化物型燃料電池を提供にあって、
下図のように、固体酸化物型燃料電池1は、セルを積層してセルスタック10を形成し、ボ
ルト4及びナット5により積層方向に圧縮力を導入する平板型の固体酸化物型燃料電池1に
おいて、ボルト4周りにセラミック製の圧縮バネ9が設けられ、圧縮バネ9とナット5との
間に圧縮バネ捩れ防止部材7が設けられ、更に、圧縮力が導入される際に圧縮バネ捩れ防止
部材7の可動範囲を規定するストッパーとなり、圧縮バネ9を内側又は外側からガイドする、
筒状の高さ制御部材8を備える。



【符号の説明】

1  固体酸化物型燃料電池、2  蓋板、3  底板、4,4a,4b,4c,4d  ボルト、
5  ナット、6  ボルト穴,6a  圧縮バネ捩れ防止部材穴,6b  蓋板穴,6c  セルス
タック穴,6d  底板穴、7  圧縮バネ捩れ防止部材、8  圧縮バネ制御部材、8a  圧縮
バネ高さ規定部材、8b  圧縮バネ形状規制部材、9  圧縮バネ、10  セルスタック、
12  ボルトネジ部、13  ビス、14  ワッシャ、15  圧縮バネ形状保持溝部、16 
ワッシャ回転防止治具、17  ワッシャ回転防止治具の取手、20  単セルスタック、21
電解質、22  燃料極(アノード)、23  空気極(カソード)、24  MEAセル、25
 (アノード側)セパレータ、26  (カソード側)セパレータ、27  燃料ガス供給路、
28  酸化ガス供給路。

❏ 特開 2014-202093  水力発電システム   

【概要】

水車の回転が阻害されたり停止した場合に、発電機をモータとして駆動させることで、異物
等の除去を行う水力発電システムを提供にあたり、下図のように水流によって回転する水車
2a,2bと、水車2a,2bに連携し水車2a,2bの回転により発電を行う発電機4a,
4bと、水車2a,2bの回転状態を検出する回転数検出部52と、発電機4a,4bをモ
ータとして駆動させるための駆動切替制御部51とを備え、回転数検出部52が、水車2a,
2bの回転数が所定の値以下であることを検出した場合に、駆動切替制御部51が、発電機
4a,4bをモータとして駆動させるものである。

※ 関連特許: 特開2017-023936  散気ユニットと散気装置 ダイセン・メンブレン・システ
        ムズ株式会社 2017年02月02日

 Dec. 12, 2017

【世界初 3Dプリンター体組織造形】


2月26日、生きた細胞を使って臓器や組織の基となる3次元の構造体を作り出す「バイオ
3Dプリンター」で、大阪大学らの研究グループが世界で初めて成功したことを公表。細胞
の入った溶液をインクのように噴出させて瞬時に固め、細胞の機能を維持したまま構造体を
作る。これまでは軟骨など一部の細胞にしか使えなかったが、本件では特定の酵素を使うこ
とで応用できる細胞の幅を飛躍的に拡大でき、再生医療の進歩につながると期待されている。

  Feb. 26, 2018

 

 

【現代工学連続講座:熱設計Ⅰ】

現在の部品は小型化に伴い表面積が減少し、急激に放熱能力を失う。最近の部品は小型化が
進んだために、発熱量に対して放熱能力が不足している。部品の放熱面積の不足は基板や筐
体の面積を使って補わなければならない。放熱能力が不足している。部品の放熱面積の不足
は基板や筐体の面積を使って補わなければならない。このように熱設計の優劣は必須情景で
ある。

● 自分自身で冷やせない――放熱限界設計がいまの常識 

製品の高密度化に従い、熱が機能障害や安全性低下などの要因となるケースが増加している。
熱が製品に及ぼす問題点は、大きく、信頼性、品質、安全性3つである。電子機器には必ず
許容できる発熱の限界がある。一定の大きさであれば、発熱量を増やすとどんどん温度が上
がる。そして、一定の温度を超える、つまり限界を超えてしまうと部品が動かなくなったり
壊れやすくなったりといった問題が起きる。

そこで、下図のように自然空冷で通風口が全体の表面積の10%程度、形状が立方体、温度上
昇の上限が25℃といった一般的な機器を仮定した限界線が、下図の直線である。25℃は、よ
く使われる目標値である。この線よりも上にあるものは自然空冷の限界を超えていることに
なるため、例えばノート・パソコンやデスクトップ・パソコンなどではファンを付けて強制
空冷する。現在は、温度が一定以下になりづらい状況が生まれやすくなっており、この線の
ギリギリのところでプロットが増えている。



つまり、ここで一番厄介なのは、部品を小さくしすぎていることだ。昔のDIP型デバイスには
大型のパッケージが多かったが、今はリードレスになり、BGAのような非常に小さい形になっ
ている。部品の熱は、表面からしか逃がせない。外形寸法を小さくすると、表面積も必ず小さ
くなる。表面積が小さくなって体積が小さくなると発熱量も減るかというと必ずしもそうで
はない。部品に投入する電流を大きくすると発熱は増加する。つまり、発熱は体積と大きな
関係はない。一方、放熱は体積と非常に大きな関係がある。

このように、プリント基板に助けられて、小さい部品は成り立っている。プリント基板の設
計いかんで、部品の温度が変わってしまうので、配線や配置をどうするかといったことが部
品の温度を大きく左右し、現在の部品は、自分の発熱を自分の表面積だけで冷やせず、何らか
の助けを借りて一定の温度に収めている。昔の部品は部品メーカーがその部品単 体で冷やせる部
品を作っていたが、現在は単体で冷やせない部品を、使う側の責任で冷やしている。(出典:
熱設計で勝つために、放熱限界ギリギリで戦う | 日経 xTECH:クロステック)

 ● 今夜の一枚

米国の電気自動車史を紐解くと面白い。そだね!


  

小さな巨人Ⅺ

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                 尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

       ※ 恥を知ることが第一歩:孟子曰く、「万物みなわれに備わる。身に反
       みて誠ならば、楽しみこれより大なるはなし。強恕して行なう。仁を
       求むるにこれより近きはなし」。恥を知ることは、人間にとって大切
       なことである。手練手管を弄する人は、それを恥と思っていないのだ。
       人より劣っていることを恥と思わないで、どうして人並みになれよう
       か。

     ※ 認められても、認められなくても:孟子が宋句践(そうこうせん)に
       言った。「あなたは遊説がお好きなようだから 遊説の心得をお教えし
       よう。それはつまり、自分の説が他人に認められても恬淡であれ、認
       められなくともまた、恬(てん)淡であれ、ということです」
         「恬淡であるにはどうすればよろしいのですか」
       「自分の徳を大切にし、義であることに喜びを感じていれば、恬淡に
       なれる。士は貧乏しても義を忘れず、栄達しても道からはずれない。
       貧乏しても義を忘れなければ、自尊心が保たれる。栄達しても道から
       はずれなければ、人民の信望があつまる。むかしの人は朝に立てば、
       恩沢を人民に施し、野にあるときは、修養に励んで世に知られた。つ
       まり貧乏なときには一身に旅費を積み、栄達してからは天下に善政を
       行なったのだ」 

     No.159

【サーマルタイル篇:最新熱共振式発電技術】

2月15日、マサチューセッツ工科大学の研究グループは、熱電変換素子を用いたシステム―
―昼夜間の周囲温度の周期的変動を使用――で電力収穫するという全く斬新的なもの。サーマ
ル・レゾネーター(thermal resonator:熱共振器)あるいは熱共振式発電装置(thermal resonator-
type generates electricity)を発明したことを公表。

❦ 何が違うのか

「熱共振器」と呼ばれる装置は、温度差を電力に変換することて動作する従来の熱電発電器を
改良、2つの異なる温度入力を必要とせず、代わりに、熱のゆっくりとした放射を担保する特
別な材料(下記参照)を使用するため、デバイスの片側の温度は常に他の温度より遅延。



図1 超高温浸透材料の作製と特性評価  (Ni / OD)、Ni / G / OD(左から右)を含浸したニッ
ケル発泡体用の電子顕微鏡像。 スケールバー:上段(100μm)、下段(1μm)。  (Cu / OD)、および
Cu / G / OD(左から右)を含浸させた銅発泡体の写真である。 スケールバー:上段(100μm)、
下段(1μm)。  c複合材の熱伝導率の関数としての標準PCM(OD)およびその金属フォーム複
合材と比較した超高熱浸透材の有効熱浸透率の向上を示す散布図。エラーバーは95%の信頼区
間を表す。

【概要】

材料科学は材料の熱伝導率を最大化/最小化の技術進歩はめざましいが、熱伝導率と容量積に
関する熱エネルギーと環境との結合についての研究は十分でなかった。ここでは、グラフェン
と銅-ニッケル合金化学蒸着処理し2層を組み合わせ導電率を高めた後、相変化材料(蓄熱材)
のオルトデカンを含浸注入することで膨大な熱量蓄え放出できるように熱浸透率を最大にする
材料設計行う。次に、日間周囲温度サイクル(24時間サイクル)――これらの材料は、広範
囲の周波数の熱変動から永続的に発電可能な熱共振器で周囲エネルギーを理想的に収穫できる
――を利用し初期試験を実施。理論と実験からこれらのデバイスシステムの収穫量が熱量の熱
伝導率に比例する確認。日間周波数の持続的なエネルギー収穫を測定し、約10℃の日中の温
度差から350ミリボルト、1.3ミリワットいう高い出力――シンプルで小型の環境センサや
通信システムに電力を供給に十分な電力――が得られた。

以降、説明図のみを掲載しておく。

※ Titol: Ultra-high thermal effusivity materials for resonant ambient thermal energy harvesting , 
         Nature communicationsvolume 9, Article number: 664 (2018) ,doi:10.1038/s41467-018-03029-x,:
         https://www.nature.com/articles/s41467-018-03029-x



図2.効果的な熱浸透性のためのマスタープロット。 文献およびこの研究で測定された相変化
材料の有効熱浸透率のマスタープロット(括弧内の参照番号は6,34,35,36,37)。 結果は、体
積固有の潜熱および熱伝導率が直接的または間接的に報告される等方性および周囲相変化材料
(転移温度T *が 20〜40℃の間に生じる)に限定される。 楕円に囲まれた4つのデータ点は、
グラフェン修飾、元のニッケル/銅にODを注入。

  Feb. 14, 2018

 図3.超高熱浸透材料の熱共振器への応用。 熱共振器の一般的な回路図。 ヒートエンジンは、熱(赤;
TH = T0 + TA)と冷(青;T)の間の時間(t)で振動する入力温度の変動を変換する2つの熱質
量(1と2) C = T0 -TA )- 空間的な温度差、ΔTt)熱機関によって電力(P)に変換される。
bサーマル・レゾネータの動作とモデリングの詳細を示すサーマル・サーキット。入力、温度変
動、T amb (t) システムの熱抵抗を調整することによって適用され、空間温度差に変換され
る(k1、k2、L1 、L2 )容量 (ρ1   C  p1  ρ2   C p2)。c、d このワークで構成されテ
ストされたデバイスに似たサーマル・レゾネータの一般的な回路図で、サーマル・マス1として
高い熱伝導率PCMと、2として無視できるサーマル・マスが組み込まれています。熱電(TE)
で置き換えられ、デバイス全体の予想される温度分布が示されている。 熱質量2は、環境温度
(高温、低温または低温)に迅速に反応します。熱質量1は、振動の中央温度付近の相転移温
( T*)を有し、主としてこの温度で存在する。 e熱質量1としてODを組み込んだ熱共振器の
パワープロファイル(黒色)と入力温度プロファイル(青色、緑色)。 時間平均電力出力(
P avg)および温度振動振幅( TA)もまた提供される。 f熱質量1としてCu / G / ODを組み込ん
だ熱共振器のパワープロファイル(黒色)と入力温度プロファイル(青色、緑色)(補足7 )。
時間平均電力出力( P avg )および温度振動振幅(TA)もまた提供される。 熱質量1の熱浸透
率の関数としての熱共振器の時間平均出力(Pavg)(方法、補足6 )。原点を通り抜けた切片
によるデータの線形近似も示され、近似の傾きは111であり、単位は軸によって決定される。6
つのラベルされていないデータポイントは、発火性の高い順に、発泡スチロール、ネオプレン
フォーム、木材、PVC、テフロン(登録商標)、およびネオプレンゴムに対応する。  PCM(OD、
Ni / G / OD、Cu / G / OD)については、熱浸透率は補足式(16)



図4.周囲温度および過渡温度浴の例。 温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)を昼間の
温度サイクルに使用。  bウェアラブル温度センサー(Sensirion製のBluetooth TMインターフ
ェース付きSHTC1スマートガジェット)の温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)。 c Dell L
atitude E6330ラップトップの排気口から得られた温度プロファイル(左)とFFTデータ(右)



図5.個人温度変動に対する共振器の理論的および実験的設計 熱共振装置の設計と性能(Q)
を導くヒートマップ。無次元発振周波数 (v)周囲温度浴の熱質量拡散時間スケール(R)の比
とに基づいて決定される。b実験(赤色)および理論(黒色)からの優勢熱質量の長さ(L1)の
2乗の関数としての熱共鳴装置の時間平均パワー出力(Pavg)(Methods、補足10)。 入力され
た角度温度発振周波数(ωf)は、個人の温度振動の頻度に対応しており(図4b)、すべての
システムに適用され、補足図13

図66.電力に最適化され調整された日中の熱共振器の実践への削減。 サーマルマス1の熱抵抗
と熱容量に関連する量の関数としての昼間の温度変動から収穫可能な電力密度(pavg)のヒート
マップ。ヒートマップは、昼間の温度振動周波数 ω=7×10^-5s-^1、R«、温度振動量TA = 10℃であ
る。灰色の三角形 (∇、灰色の三角形(△)灰色の四角形、および黄色の星は、理想的に調整
された乾燥土壌、湿潤土壌、OD、およびNi / G / OD熱共振器にそれぞれ対応する。 b中空のテ
フロン(登録商標)シリンダー(高さ= 7.6cm、直径= 12.7cm)および4cm×14cm×2.5cmのアル
ミニウムヒートフィンから構成された日周熱共鳴装置(略図、左;写真、右) cm^ 2 Bi 3 Te 3の
熱電対として直列に配線された熱電対。 中空のテフロン(登録商標)シリンダーは、相変化材
料としてNi / G / ODを積み重ねた(直径26cm、直径8cm)。純粋なODを含む制御装置も同じ寸
法で構築された(方法、補足11 )。スケールバー:2.5cm。  c 2016年5月17日から6月2日の間
、米国マサチューセッツ州ケンブリッジで16日間にわたり日周熱共鳴装置が配置された過渡的
な周囲環境の温度プロファイル。d日周熱共鳴装置の閉回路電圧プロファイルcに示す周囲境界
条件に曝される。  e cで示される周囲境界条件にさらされた場合の日周熱共鳴装置の電力プロ
ファイル。

以上、蓄熱材と熱電変換素子のコラボデバイスシステムのような「熱共振式発電装置」の発明
報告を俯瞰し、いまいち納得仕切れていない感が残りつつも、先日の「赤外線アンテナ式熱電
熱電変換素子」といい、前回より化学的領域に近い熱電素子も、次々と既存の発想を飛び越え
光、熱、温度サイクルをエネルギー変換させる技術に驚き、エネルギータイリング事業が本格
化することをまた確認する。

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.10  

   ● 対談1 新しい現実をつくる

  『脱拝金主義で脱原発を』 原毅 城南信用金庫理事長

 Aug. 3, 2012

  新しい電力の仕組みは地域をハッピーにする

 吉原 ありがとうございます。スマートグリッドやさまざまな技術が発達して、電力の独
 占はもう時代に合わなくなっているということですね。独占はむしろ地域の弊害になっい
 く。自由化して、一人ひとりが小水力とか、太陽光とか、風力とか、さまざまなエネルギ
 ーをスマートグリッドを使ってネットワーク化することによって、安くて安全な電力にし
 ていく。国民の手に電力を取旦尻す。そのほうが経済が活性化すると思います。小水力、
 風力、太陽光、MO発電、バイオガス、そういったものをやりますと、中小企業のものづ
 くりが活性化するわけです。地元に新しい産業がどんどん生まれる。民主党政権のときの
 技野経産相が言っていました。脱原発にしたほうが経済は活性化する、そして雇用も増え
 るんだと。
 
 鈴木 新しい電力の仕組みをつくっていくということは、単に子不ルギーだけのことで
 はなくて、地域にいかにお金をまわすかだと思うんですね。
 吉原 そうなんです。地域を活性化するんです。
 鈴木 中央集権的な集中型から分散型へ、そういう流れをつくっていく、今回はいいチヤ
 ンスだと思います。
 吉原 独占しなければいけないのは、たとえば国防などがありますが、いま、いろんなか
 たちで規模の経済が関係ないようないろんな子不ルギーが発達していますから、そういう
 意欲も技術も封じて、古い原子力にしがみつくのは子孫にまでツケを回すだけで感心しま
 せん。原子力なんかに頼る必要はまったくないわけですね。今回の福島の事故でアメリカ
 のNRC(原子力規制委員会)では「アメリカでは新規の原発計画は一切認めない」と明
 快に方針を打ち出しているわけです。現在稼働中のものについても更新を認めないといっ
 ています。

 その理由は使用済み核燃料が各原発の建屋の中のプールにいっぱいあって、これがいかに
 危険かということが今回の事故でわかっだからたというんです。日本でもまったく同じで
 各原発の建屋の中のプールにあふれ返っています。その一部を青森県の六ケ所行に移して
 、そこで再処理するという計画です。再処理してプルトニウムを取り出してつまり核燃料
 サイクルによって核燃料が増えていくという説明をしてきたわけですが、経産省の幹部も
 NHKの番組で「国民を欺くことはもう無理だ」とそこまで認めているわけです。ところ
 が、これをやめてしまうと六ケ所行がだめになる。そうすると原燃をはじめ債務保証して
 いるところをも含めてみんな資金が止まって倒産してしまう。そこに天下っている人たち
 が困ってしまう。こういうふうに原発はお会まみれなんです。

 

 鈴木 そこにお金を出している銀行さんも困るわけですね。
 古原 よい例がJALなんてすが、、倒産しましたが、会社更生法で復活してちゃんと飛
 行機を飛ばしてやっています。だから、電力会社もつぶして、もう一回新しいかたちにし
 て再生させれば、電気が止まるというようなことはないんです。それを阻むのはいままで
 やってきた人たちの既得権益だけなんです。お金は人の幸せにつながる大切なものなのに
 人のこころを惑わせる麻薬でもあるというのは、まさにそこなんてすね。たとえ間違って
 いることでも、お金が給むとやめられなくなり、人のこころを奪って暴走させてしまうわ
 けです。自分だけのことにとらわれてしまう。

 昔から二宮尊徳の報徳思想、道徳がなければ経済は成り立たないんだということです。
 そういうことが経営者のこころに根付かないと、地域とお金が自分だけのためにあると錯
 覚してしまう。だから、みんながハッピーになるようにこころかけて仕事をしないと。そ
 のためにも、だれもが正しいと考えるような正しい情報に基づいて仕事しないといけない
 と思います。まず、やるべきことは、竹中さんじゃないですけど、電力を自由化してだれ
 でも発電をして、発電したのを供給できる、そういうルートをつくっておく。それによっ
 て みんなそれぞれの工場の廃熱、牛や馬を飼ったときのバイオガス、そういったものが
 エネルギルギーとして再生できるようになる。ところが、いま、そういうルートがないか
 ら、そういう資源がみんな無駄になってしまうわけですね。

 鈴木 地産地消のご当地電力ということでいいますと、昨年、小田原に「ほうとくエネル
 ギー株式会社」が誕生して、つい先日、えねるぎー会議と共同で「小田原電力、はじまり
 ます。」と題してローカルエネルギー・ミーティングを開きました。映画『第4の革命』
 のカール・フェヒナー監督を招いて、ほうとく手不ルギー株式会社、多摩電力合同会社し
 ずおか未来えねるぎー株式会社、それから地元で個人が始めた片浦電力の事例紹介などを
 含めて、吉原さんが言われるように「電力を自分たちの手に取り戻す」試みが動き出しま
 した。

 

 吉原 それは楽しみですね。いま、雇用を生み出し、みんながハッピーになる世の中にす
 るには新しい産業を起こさなければ駄目だというので、ベンチャー支援が叫ばれて、ベン
 チャー・キャピタルが注目されているようですが、信用全市の存在を忘れては困ると言い
 たいですね。どちらも必要なんです。特にお金儲けより仕事を通じて「みんなハッピー」
 に貢献したいというベンチャーが増えましたから、信用金庫の存在が高まってくると思っ
 ています。2012年を国運が「国際協同組合年」に定めたのは、1928年の世界金融
 恐慌、87年10月19日のブラックマンデー、08年のリーマンショックと3度もお金の暴走に
 揉闘された苦い反省から、ようやく「金融や株式市場といった資本主義社会はとても危う
 いものだ」と気づいたからだと思います。ご承知のように株式会社は利潤の追求を目的と
 しています。株主総会では一部の投資家の意見で決議されます。大多数が反対しても株式
 を多く持つ少数の投資家が「イエス」といえばそれが通ってしまいます。そうした金と力
 に任せた株式会社のやり方はおかしいだろう、というところから、お互いに助け合う協同
 組合が生まれました。信用金庫は協同組合主義による金融機関です。最後にこれからの社
 会にふさわしい経済の骨組みを考えていただく材料の1つとして、アダム・スミスが『国
 富論』の中でいった言葉を紹介させていただきます。「株式会社は株主の利益のみを追求
 する傾向があるため、国家にとっては株式会社が増えることは、道徳的な問題も含めて望
 ましくない」。本来あるべき会社というのは、トップが責任を持って従業員のことを考え
 、長期的に維持していくべきで、会社とは自分の幸せと同時にみんなの幸せのためにある
 のだと、アダムースミスはいっているわけです。

 鈴木 まったく同感です。本日は有意義なご意見をたくさんありがとうございました。
 吉原 こちらこそよい機会を与えていただいて感謝しています。

                    2012年3月12日 城市信用金庫本店にて

                                  この項つづく



 

 

  

 

ドライカレーにはレーズン

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                 尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

       ※ 殺されても怨まない:人民を安楽にするためなら、人民は、どんな労
       役を課せられても怨まない。人民の生命を守るためなら、人民は、た
       とい殺されても怨まない。

       【解説】どんな政治でも人民の犠牲によってなりたつ。善政か悪政か
       は人民の犠牲が人民の生活に還元されるか否かできまる。

     ※ 「良能」と「良知」:学ばなくても善を行なう力が「良能」である。
       考えなくても善を理解する力が「良知」である。がんぜない幼児でも、
       親を見することを知っている。成長すれば、兄を敬うことを知るよう
       になる。親を座することがにだ。目上を敬うことが潤だ。仁義とはほ
       かでもない。このこころを社会全休にまで拡大したものである。

     ※ 君子の楽しみ:君子には楽しみが三つある。天下の王者となることな
       どは、選に入らない。父母が健在で兄弟が息災であることがその一つ。
       上は天に恥じず、下は人に恥じぬ生き方がその二つ。天下の英才をみ
       いだして教育することがその三つだ。君子が楽しみとするのはこの三
       つである。王者になることなどは、選に入らない。

 Wikipedia

浄土宗祇園山安養院田代寺

     この家と共に古りつつ高野槙二百とせのふかみどりかも 窪田空穂

【樹木トレッキング 21:コウヤマキ】  

コウヤマキ(高野槙、高野槇、学名:Sciadopitys verticillata)は、マツ目コウヤマキ科の日本および韓国
済州島の固有種。常緑針葉樹で高木となる。別名ホンマキ。コウヤマキ科は1属1種であり、コ
ウヤマキのみを含むかつては世界中に広く分布していたが、新第三紀では北アメリカで、更新世
にはヨーロッパでも滅びて、日本と韓国済州島にだけ残存。マキ科の常緑高木で主に犬槙(イヌ
マキ)と高野槙(コウヤマキ)があります。犬槙は関東以南の山地に自生し、高さは25メート
ルにもなる。高野槙は日本特産のコクヤマキ科の常緑高木。その名のとおり高野山に多く自生。
犬槙の葉は扁平な線形や披針形、高野槙は厚く長い針状。

 Japanese Umbrella-pine

庭園に植栽し、材木としても利用される。世界三大造園木の1つで、木曽五木の1つ。古代には、
棺材として最上級とされた。弥生時代や古墳時代には木棺として用いられている。水に強くて朽
ちにくいことから、現在でも湯船材や橋梁材として重宝されている。和名は、高野山真言宗の総
本山である高野山に多く生えていることに由来する。また、高野山では霊木とされる。特に手入
れをしなくても狭円錐形の非常に整った樹冠を形成するため、造園木として重宝される。樹皮は
若枝では赤褐色であるが、後に灰褐色に変わる。枝は一見して先端に葉が輪生しているように見
えるが、実際には長枝の先端部に多数の短枝が輪生し、その先に長さ6~14 cmの針葉が付いてい
る。

葉には針葉の他に小型の鱗片葉があり、長枝の基部から先端部にかけて螺旋状に付く。針葉は柔
らかくしなやかで、2枚の葉が合着するという極めて特異な形態が見られる。合着葉は先端がや
やへこみ手に刺さるようなことはなく、表面に鈍い光沢がある。葉の裏面には帯白色の気孔帯が
見られる。花は雌雄異花で早春に開花する。コウヤマキ属はコウヤマキの1種のみからなり、かつ
てはスギ科に含めたが、現在は1種のみでコウヤマキ科とする。日本固有の科であるが、かつて
北半球全体に広く分布し第三紀には、欧州に多く分布し、現代で利用されている褐炭の起源とな
っている。学名のうち、属名 Sciadopitys は、skias(日傘)とpitys(もみの木)の合成語で、輪
生する葉が傘の骨に似ていることによる、マツ科のモミとはそれほど近縁ではない。また、種名
 verticillata は、「輪生する」の意味である。 



高野山を中心に仏に供える花の代用として用いられており、名前もこれに由来する。高野山には、
植林されたコウヤマキの人工林がある。また、高野六木にも選ばれている。和歌山県では山での
コウヤマキの採取が激しい。横枝はお供えに向かないので、特に上向きの先端が狙われる。その
ため、入りやすい山のコウヤマキは全て上が詰まった姿になっている。福島県から九州までの山
地に野生する。岩尾根によく生育し、幅が狭く、真っ直ぐに突き出たような樹形を見せる。徳島
県と山口県でレッドリストの危急種、愛知県と宮崎県で準絶滅危惧の種の指定。愛知県新城市に
ある「甘泉寺のコウヤマキ」と宮城県大崎市にある「祇劫寺のコウヤマキ」はそれぞれ国の天然
記念物に指定。外国でもコニファーの一種として知られ、ホンマキとも呼び、イヌマキに対比さ
せる。材木としては丈夫で朽ちにくく、水に強いなどの特性から、古代から高級な棺や水桶、橋
杭などの材料として多く使われる。

 Feb. 27, 2018

 

     No.160

【RE100米国篇:風力と太陽光の能力 総電力量の80%】

2月27日、米カリフォルニア大学アーバイン校の研究グループは、米国は太陽光発電と風力発
電の電力需要の約80%を確実に満たすことができたことを公表。しかし、太陽エネルギーや風
力エネルギーだけで百%の電力需要を満たすには、これらの2つの自然エネルギー変動性を補う
ために、数週間分の電力を蓄える必要があると付け加えている。論文の共同著者は、太陽が沈ん
で風が吹くとは限らない指摘、これらの資源に基づく信頼性の高い電力システムが必要な場合、
日々の季節変化にどのように対処する方策を36年間の米国の気象データ(1980~2015年)を分
析。時間と空間の両方で太陽光と風力エネルギーの変動性を見て、これを米国の電力需要と比較。
大陸規模の送電網を構築するか、12時間分の電力需要を蓄える施設建設――例えば、新しい送
電線のコストは数千億ドルになると積算し、これと比較して、今日の最も安価なバッテリで電力
を蓄える場合でも1兆ドル以上かかるが、揚水ポンプで水力発電として蓄えることも可能である。

 
DOI: 10.1039/C7EE03029K

❦ 論文表題:米国における太陽光・風力発電の信頼性に関する地球物理的制約

【要約】

時間と場所の関数として、太陽と風の資源の共変量を数十年の時間スケールおよび大陸の長さの
スケールに定量化するために、36年間の世界的な時間別気象データ(1980〜2015年)を分析。超
過発電、無損失送電、および他の発電源がないと仮定すると、風力発電または太陽光発電の米国
規模の発電ポートフォリオは、原則として、米国の最近の年間総電力需要の約80%を提供する
可能性があるが、年間総電力需要の百%を確実にするには、季節的なサイクルや予測不可能な気
象事項は、ピーク需要を満たすために日常量よりも、数週間のエネルギー貯蔵および/または太
陽光および風力発電容量を必要とする。約80%の信頼のために、日照時間の克服に十分なエネ
ルギー貯蔵を前提とする。このため、大規模風力および/または太陽光発電は風力の地理的制約
克服の大陸規模伝送を必要とする。結論として、信頼性のある電力供給の政策と計画は、大陸ス
ケールであっても太陽光や風力資源の地球物理的変動に関連する制約を厳格に考慮する必要があ
る(詳細は上写真クリック参照)。

 

 Feb. 26, 2018

【ゼロエネルギービル篇:大和ハウスが佐賀で実証実験】


2月26日、大和ハウス工業は、佐賀県佐賀市の自社ビルで、再生可能エネルギーで電力を100%
自給自足する実証実験を開始。太陽光発電と蓄電池を組み合わせた電力自立システムを導入して
おり、電力会社からの買電に依存しない、「日本初」のオフィスビルとなる。実証実験を行うの
は2018年2月26日に完成した「大和ハウス佐賀ビル」。鉄骨2階建、延床面積約2444平方メートル
のビルで、住宅や集合住宅、リフォーム事業などの営業所拠点として約100人の社員が利用。同ビル
は、経済産業省が実施した2017年度「ネット・ゼロ・エネルギー・ビル実証事業」に採択されて
おり、年間の一次エネルギー消費量がネットでゼロになる「ZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビ
ル)」の基準を満たしている。同規模の一般建築と比較して電力料金を年間約600万円削減できる
という。なお、「住宅性能評価・表示協会が定める建築物省エネルギー性能表示制度(BELS:Bui-
lding-Housing Energy-efficiency Labeling System)」においても、最高ランクの5つ星を取得している。


ZEBを達成するにあたり、発電および蓄電システムについては、出力83.2kW(キロワット)の太陽
光発電設備と容量75kWh(キロワット時)のリチウムイオン電池を組み合わせた電力自立システム
を導入。エネルギーを効率良く生かせるよう、太陽光発電の電力を太陽光発電や蓄電池から出力さ
れる直流電力をそのまま活用できるようにし、電力変換損失を約8%改善。

 

ビルの電力需要を削減するために、省エネに関するシステムも導入している。電力消費の多くを
占める空調の省エネを図るため、地下からくみ上げた井戸の水と屋上の太陽熱集熱器活用する自
然空調システム「井水・太陽熱利用ハイブリッド空調システム」を導入した。同規模の一般建築
と比較して空調による消費電力を約7割削減できるという。このシステムの他、BEMS(Building
Energy Management System)や、LED照明と人感センサーを組み合わせたシステムなどを導入し、
全体の省エネを図る。

 

こうしたビルの高い省エネ性能によって、大和ハウス佐賀ビルは太陽光発電による創エネのみで
全体の電力需要を賄うことができるという。さらに、太陽光発電の発電量が消費電力を下回る際
には、蓄電池に貯蔵した余剰電力を自動的に電力供給できるシステムを構築している。実証では
このシステムの運用を検証し、“電力会社からの買電に依存しないオフィスビル”を目指す。
なお、万が一太陽光発電システムと蓄電池で電力供給ができなくなった場合は、九州電力から電
力の供給を受ける。 大和ハウスでは同社の環境長期ビジョン「Challenge ZERO 2055」をもとづ
き、自社ビルを中心に環境負荷の低いZEBの実現を推進している。今後は、今回実証を行う大和ハ
ウス佐賀ビルモデルケースとして、電力会社に依存しない自給自足型の新たな電力自立システム
の普及を加速させていく方針(出典:大和ハウス工業/スマートジャパン 2018.02.27)。

  ● 今夜のアラカルト

Chicken Curry with Raisins, Almonds and Coconut
美味しければ食にこだわりないがのだが、1つだけ、ドライカレーはレーズンを入れることにこだ
わりがある。普通のカレーにドライフルーツの1つとして干しぶどうを入っていても気にはならな
いが、スパイシーなドライカレーには干しぶどうの甘みはアクセントとして欠かせない。その意味
で、福神漬の砂糖・みりんのたぐいに相当し代用可能なはずなのだが、いまもって拘っている。こ
れは不思議な謎なのだ。 

 

魅力的な地域分散指向

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

       ※ まず豊かな生活を: 耕作を正常に行なわせて、租税を軽くすれば、人民の
       生活は豊かになる。さらに、季節による調整と、分に応じた節倹を行な
              えば、財貨は使いきれないほどになる。火と水は生活に欠かせない大切
       なものだ。にもかかわらず、たとえ夜中でも、隣家の戸を叩いて無心す
       れば、必ずわけてくれる。なぜならば、火と水はいくらでもあるからだ。
       聖人が天下を冶めれば、食禄は火や水と同様に豊富になろう。そうなれ
       ば、人民の中に、仁愛を忘れる特など一人もいなくなる。

     ※ 偏向はいけない:楊朱は利己主義だ。一本の髪の毛を技けば天下の利益
       になるという場合でも、けっして抜こうとはしない。墨翟は「兼愛」を
       主張する。天下の利益とあれば、昆の毛一本どころかわが身のすべてを
       犠牲にする。子莫(魯の賢人)は両者の折衷意見である。これは中高を
       守ることであって、聖人の道に近いといえる。しかし、ただ機械的に折
       衷するだけで、時と場合を考えないとしたら、やはり楊・墨と同様、偏
       向のそしりをまぬかれない。偏向がいけないのは、道をそこなうからだ。
       一つのことに固執して他のすべてを捨てさるからだ。

       【解説】いずれにせよ極端に走るのはよくない。中庸を守るべきだ。し
       かし「中尉を守ること」がまた一つの極端となることもある。要は臨機
       応変の柔軟な態度だ。


【ジャパネスク 程々の家】

日本の感性を大切にしながら、凝りすぎない。造りすぎず、飾りすぎない。ジャパネスクハウス
「程々の家」は、その絶妙なバランスを追求しました。どっしりと低く構えた佇まい。陰翳が織
りなす美しさ。日本の「粋」が、ここにある。



 

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.11   

   ● 対談2 新しい現実をつくる  

   『エネルギーは集中型か分散型かではなく、ミックスでいく』

                         藻谷浩介 日本政策投資銀行特任顧問

 

1964年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。アメリカ・コロンビア大学経営大学院修了。M
BA取得。88年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)人行後、2012年から現職。特定非営利
活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク理事長,2011年度内閣官房「東日本大震災
復興構想会議専門委員会」委員、内閣府・財務・経産・国交・総務二厚生労働・文科省等の委員
を務める。海外59カ国を巡歴(米国についでは50州すべてを訪問)している。人口成熟問題、中
心市街地、産業振興、市町村合併、地域金融、観光振興、地域再生などをテーマにしている。著
書に『里山資本主義」一(角川書店/2013)『デフレの正体』(角川書店/2010)『実
測!ニッポンの・地域力』(日本経済新聞出版社 2007)など多数。

  地域分散型エネルギーの大きな可能性

  鈴木 藻谷さん、今日はわざわざ小田原までお越しいただきましてありがとうございます。
 早速ですが、私どもエネ経会議アドバイザーの一人としてお知恵を拝借したいと思います。
 エネ経会議の大きなポイントは、地域でエネルギーをこしらえていく、できれば再生可能エ
 ネルギーを中心としたエネルギーの自給体制を地域の人たちが、地域で中心になって、小さ
 くともよいから循環を起こしていく。それをサポートするような援護の活動をしたいと考え
 ております。そこで、地域と自立という観点から、いま、揺れ動いている原発を中心とした
 体制、つまり中央集権的なエネルギーの仕組みが、今後、どのようになっていくかについて、
 お考えをお聞かせください。

 藻谷 わかりました。中央集権、拠点集中型のエネルギー供給から、なるべく地域ごとに分
 散して多重なエネルギー供給に切り替えていかないといけない、ずっと前から多くの識者が
 このようにおっしやっていたのに、私自身がいま一つ、その重要性を理解できていなかった
 んですが、福島第二原発事故でよくわかりました。原発そのものの問題だとか、放射性廃棄
 物の問題については、たまたまその分野に仕事上のかかわりがあって、20年以上前から「
 日本では廃棄物処理の目途が立たず、後年度負担も膨大になる一方なので、原発はできるだ
 け早くとめるべきだ」と思っていました。私と同じ認識を、原発事故を機会に得た人も多い
 と思います。

 ところが、エネルギーの地域自立についてはですね、恥ずかしながらそういう考えを前々か
 ら問く機会があったにもかかわらず、ほんとうにその意味がわかったのは事故の後なんです。
 「何事であれ規模の利益を追求したほうがいい」という単純な経済学の考え方は、現実の世
 の中に出してみると妥当しない分野が多いわけですが、エネルギー分野もそうであるという
 ことに恥ずかしながら思い至っていませんでした。ですが、電源を分散してしまったほうが、
 エネルギーの利用効率もよいし、安全性も高まる。それから負のコスト、廃棄物というマイ
 ナス面のコストも、地域ごとに負担して自覚して減らそうとするべきなのに、電気の世界で
 はすべての面において拠点集中をやりすぎました。

 鈴木 分散型にすると効率が悪い、コストが高くなる、よくそういうことがいわれます。狭
 い意味での経済的なお金の計算からすると大枠で括ってしまったほうがエネルギーも電気も
 安く供給できる、こういう考え方をおっしゃる人がいまだにいらっしゃいますが、地域で自
 立型のエネルギーをやっていくとすると、中央集権的なやり方に比べて具体的にどのような
 メリットがあるのでしょうか。
 藻谷 集中のほうがよい、分散のほうがよい、どちらか極端にすると効率がよくなるという
 ことではなくて、妥当な解はミックスなんです。



 鈴木 そうですね、ミックスですね。
 藻谷 ただ、現状はほとんど拠点集中ですから、まずは分散した電源を多重に増やしていか
 ないとミックスになっていきません。ホテルの冷暖房にたとえて考えてみましょう。昔建て
 られたホテルはみなセントラルヒーティングでした。ところが、最近増えている宿泊専用の
 ホテルは部屋に個別に冷暖房機を設置しています。個別空調のほうがコストが安いからです。
 第一に家電製品の技術革新で、大規模なセントラルヒーティングよりも、個別に機械を買う
 ほうが、初期投資も修理も安い時代になりました。第二に、個別空調だと稼働していない部
 屋はスイッチを切れる。満室でも午後3時から次の目の午前10時までフルに人がいるような
 ことはありません。使っている部屋だけ稼働させればよいから効率がよいわけですね。就業
 時間が定まっているオフィスではいまだに空調は一括管理なのが普通ですが、ホテルの部屋
 は個別管理のほうが良かったわけです。この話に典型的に表れているように集中管理が効率
 的だという計算は、全員が同時に同じ行動を取ることを前提にしているわけです。しかし、
 実際の世の中はそうなっていないんです。

 鈴木 なるほど、おっしゃる通りです。
 藻谷 地域も一つのホテルのようなもので、全員が同じような時間に同じような電気の供給
 を要求するかというと、そうではないんです。この話には時間帯だけではなく電気の質とい
 う問題もあります。企業ユーザーにはびくとも揺るがない安定した電力供給が必要だという
 ところがありますし、ご家庭では少々のことでは困らないところが多い。電圧がふらつけば
 スーパーコンピューターなんかはぶっ壊れるかもしれないけれども、ノートパソコンはバッ
 テリーーを内蔵していますから何の問題も起こらない。事実、新幹線の中で供給されている
 電源などはかなり不安定ですが、それによってパソコンが変調をきたすことはないわけです。
 だから、過剰な品質、過剰な安定供給たったこれまでの電力会社のやり方を、相手の状況に
 応じてカスタマイズするだけでも、単純にコストが下がることが予測できるわけです。つま
 り、集中電源方式のほうがいいというのは、実際には存在するいろんな変数を切り落とした
 ものすごく単純な机上の計算なんです。
 同じように、自然子不ルギーを活用しようとすると、「大規模集中型のエネルギーに比べて
 自然エネルギーなどは屁でもない」という議論になるのは、実は農業の構造にそっくりなん
 です。

 鈴木 大規模農業と個人営農との違いですね。
 藻谷 その通りです。スーパーに行けば、世界の大規模農場から大量の石油を費やして輸送
 してきた食材がずらりと並んでいて、いつ行っても買えますけれども、裏では大量に廃棄が
 起きています。食材の歩留まりが悪いだけではなくて、輸送費だとか管理費なども膨大にか
 かっています。
 ところで、特に大都市圈以外に住んでいる日本人には、庭に菜園を待ってある程度の農産物
 を自給している人が多い。農業地帯であれば、近所の農家からのおすそ分けもあります。か
 なり極端な市場経済論者でも、この農産物の自給行動を「無駄だ、効率のためには全部店か
 ら買うべきだ」とは批判しませんね。だって、おいしいものが食えるし、自分でつくるのは
 楽しいし、安心だし、廃棄の無駄もなくなる。輸入品を買うより、農業用資材だの種だのに
 お金がかかるかもしれないけれども、喜んでホームセンターなどに通う人が多いのは事実で
 す。
 電気に置き換えても同じです。地域や自宅で小規模な発電を行なうのは、いろいろとお金が
 かかるかもしれないけれども、自分がつくった電気を自分で使える楽しさや、災害時の安心
 を考えれば、喜んで払う人は多いでしょう。その結果として、送電ロスや余剰発電が減り、
 国全体では効率が上がるかもしれません。

 鈴木 いざというときに備えた保険みたいに……。
 藻谷 そう、家庭菜園も、家庭での発電も、楽しみであると同時に、安心を買う保険なんで
 す。集中生産されたものを彼方から運んでくるのに比べて、無駄がなくなっていくうえ、い
 ざというときのリスクも減らすことができます。

 鈴木 確かに家庭では、楽しいとか、環境によいとか、そういうことで行動を決めることが
 できますね。ですが、私ども企業の経営者からすると、なかなかそういう動機では話を進め
 にくい。
 藻谷 おっしやる通りです。つい家庭の話から入りましたが、家庭の電力使用量は全体の3
 割程度といわれていますからね。ですが、付け加えておきますと、同じ家庭でも家の大きさ
 によって、電気を使っている量がまったく違います。電気代は月に5000円程度という家
 庭が東京では普通ですが、5万円、10万円という家庭もあるのです。ということで、所得に
 余裕があって広い家に住んで大量に電気を消費している人が、保険だと思って電源を多重化
 することによって、家庭用電力需要はかなり縮む可能性があるわけです。ついでに、家電製
 品の最新型への取り替えや、家屋の断熱改修ないし建て替えも、ドラスティックな効果があ
 るといわれています。



 鈴木 そうですよね。
 藻谷 ですから、家庭用の節電は、一定以上の高い電気料金を払っている層への値上げなど
 を認めることで、一番最初にやるべきです。
 他方で企業を考えてみますと、食品産業とかが典型だと思いますが、ぎりぎりでやっている
 多くの会社では余分な儲けなんかありませんから、ちょっと電気代が上がるだけで赤字に転
 落するところがほとんどだと思います。鈴廣さんのようにちゃんとやっておられる会社でも、
 内情は大変でしょう。

 鈴木 中小企業はどこでもそうです。
 藻谷 そこらへんにしわ寄せするべきなのか、そんなふうに杓子定規な節電でよいのかとい
 うことです。それに対する答えは2点あフて、1つ目は鈴廣さんが「これ以上できないと思
 ったが試しに一所懸命やってみたらさらに2割削減できた」とおっしゃっているように、抜
 本的改革以外の余地は中堅、中小の企業にもまだかなりあるはずなんです。
 そこはぜひ、やっていただきたい。

 鈴木 おっしゃる通りです。私たちエネ経会議は全国に300社の仲間かおりますが電気が
 足りないといわれたなかで、どうしたらエネルギーを賢く使えるかというとき、皆さん思っ
 てはいるんだけれども、具体的に何をしているのかというと、まだまだ余地があるんですね。
 ある程度の規模以上の企業さんだと、施設とか設備とかエネルギー専門の部署にスタッフが
 おりますけれども、中小企業だとオヤジが全部やっておりますから、そこまでまわる知恵も
 ないし、勉強する時間もありません。自分たちも意識をしっかり持って、サポートできる体
 制があれば、たぶん、できることはあると思います。
 藻谷 2つ目になりますが、一礼一礼では無理でも地域で数十礼、数百礼が集まったという
 単位だったら、もっとできることがあるんですね。企業の方はこれまで努力していますから
 「下げしろ」が少ないんですが、それでもお互いに情報を交換していくことで、イノベーテ
 ィブにやれる余地はあると思います。

 鈴木 再生可能子不ルギーなんてほんの数パーセントなので、そんなものは未来永劫頼りに
 ならないという議論があるわけですが、確かに現在は数パーセントかもしれませんが、地域
 とか自分の会社とかに目を向けると、「うちの会社は再生可能エネルギーにトライし始めた
 ばかりだけど、もうI割やってるよ」とか、「地域の仲間と協力してうちの町では30パーセ
 ントやった」とか、そういう小さな単位、つまり自分も関われる小さな単位であれば、でき
 ることってあると思うんですよね。

 藻谷 再生エネルギーなんて微々たるものだというのは、具体的にやる前から決め付けてい
 るわけです。再生エネルギーは何パーセントになるというのはマクロな計算なんですね。で
 すが、簡略化した計算と現実というのは相当違う。たとえば塩とグラニユー糖を100ミリ
 リットルずつ買って、混ぜると200ミリリットルになるかといえば、容器をトントントン
 とやればお互いに結晶の隙間に入って180ミリリットルま容量が減るかもしれません。軽
 く1割ぐらいは違いが出てくるわけですね。他の例で考えてみると、インターネットを定額
 で提供なんかしたら、サーパーのキャパシティオーバーでみんな赤字になるだろうという計
 算が、定額制が登場する前には十分に成り立っていたんだろうと思うのですが、結局は定額
 制が当たり前になっています。やる前にわずかの努力もしないでいて、計算してこうだとい
 う話は、だいたい、その通りにはいかない。

 実際、ドイツなんかは日本よりもかなり日照時間が短いし、地燕エネルギーもないわけです。
 そういう国より自然エネルギー比率が低いというのはおかしい。また、ドイツの隣国のオー
 ストリアには、木質ペレットを燃やすことで相当程度のエネルギーを自給している地域もあ
 ります。日本のほうが降水量も多いし森林も多いのだから、これまた同じことはできるはず
 です。ただオーストリアの場合には、製材所が非常に多く、本質ペレットの原料となる木屑
 がダダで大量に発生しているという事実があります。鉄筋コンクリートや新建材ではなく国
 産材で建物をつくることが普及しているからですが、日本でもそこまで徹底していけば状況
 は大きく変わります。

 鈴木 なるほど。多様なエネルギー開発を地域でやると、地域内での資源の有効活用や、地
 域内での資金循環の拡大というプラス而もあるわけですね。それに比べて、原発に関係する
 お金の流れ方にはどうも俯に落ちないところが多いのではないでしょうか。そこを変えてい
 かないと、エネルギー自給に伴フて地域にお金もまわって自立していくという流れにつなが
 っていかない。
 藻谷 原発に関していえば、お金の流れをブラックボックスに入れてしまって、電気の利用
 者はそのコントロール自体も他人に任せてしまっているわけです。だから、ほんとうに安い
 のかというと安くない。しかも多大な運営経費が地元に落ちるかといえば、現場での雇用の
 担い手は他所から流れ込んだ下請労働者で、福島の原発地帯も若狭の原発地帯も、地元の人
 口は事故前から減少の一途でした。同じく多額のはずの地元対策費も、箱モノ投資や広告費
 にまわって、建設会社やマスコミ経由で東京に還流してしまっています。

 鈴木 地域ごとに小規模なエネルギー開発を行なえば、一見効率は落ちるかもしれないけれ
 ども、地域でもっと仕事がまわったりとか、お金がまわったりとか、そういう効果もありま
 すよね。
 藻谷 そうです。そのような正の効果の分配に加えて、廃棄物処理や騒音対策といった負の
 分配も地域内でやったほうが効率的です。ゴミ処理が典型ですが、計算上は集中的にまとめ
 てやるほうが効率がいいはずのところ、それだとゴミが限りなく出てたいへんなことになる
 ので、東京などでは各区ごとに焼却施設を設けて量を減らす努力をさせています。

 鈴木 どこかでまとめてやっちやうと、多くの人にとっては他人事になってしまうわけです
 ね。だから、エネルギーのことも他人事でお金さえ払っておけば済むとなってしまう。
 藻谷 その究極の姿が原発で、国全体で考えれば、たいへんなコストが発生しているのがわ
 かりそうなのに、立地地域限定の問題であるということにして、大都市圈住民は目をつぶっ
 ている。原発を再稼働しろというのであれば、それこそ東京の真ん中に使用済み核燃料の最
 終処分場を設けるべきでしょう。それが嫌なのだったら、再稼働など求められたものではな
 い。話をプラスの効果のほうに戻せば、各地域ごとに1割でもエネルギーを自給できるシス
 テムをつくることによって、無駄なエネルギー使用が減ると同時に、エネルギーの問題がよ
 り自分事になっていく。

 鈴木 自分事として受けとめないと始まらないわけですよね。
 藻谷 地域単位の活動の非常によいところは、すべてが自分事としてやれること。自給自足
 というのではないのですが、まず自分たちの足で立って考えて、そのうえで周りと連携して
 やるべきことは当然連携してやる。しかし、その際にも自分が責任ある主体として自分の頭
 で考えて行動していて、責任も取るということになっていかないといけません。地域の自立
 というのは、国民個人個人の自立というのと似ているんです。

 鈴木 自分でこうだと言えるように考える……。
 藻谷 そういうことなんです。地域も個人も、複雑な分業のなかで生きているのだから、い
 まさら単独で自給自足して生きていけるわけはないのだけれども、周囲と協調・協力しつつ
 も、判断の際には自分の二本足で立たなければなりません。エネルギーの場合、地元産の風
 力エネルギーが3割、あるいは4、5割までいけるなら、そのときベース電源は何にするの
 か、これも地域がもっと主体的に考えて、きちんと責任を取ってやるべきなのです。ペース
 電源として有望な地熱発電一つを取っても、地域ぐるみで進めなければだれもやりませんよ。
 自分の地誠にたまたま地熱がある。これを何とかしたいと考える地元民が、いろいろと工夫
 をして、地域の人でコンセンサスつくって……。 

 鈴木 いろんな資源があるから、地域のある意味のテーラーメイドのシステムができていく。
 藻谷 自分のものだと思うとね、コストもかけるし、問題も自分で解決する。島根県の浜田
 の人たちが始めた浜田電力(中国ウィンドパワー(株))、これは非常にいいと思う。何か
 いいかというと、浜田の人たちが浜田のためにやっているからいい。だから、騒音だの景観
 だの問題があっても地元の人が一緒にやっていると話し合いで解決がついてしまう。そうや
 って電力が地域の収入になればいい。



 鈴木 浜田電力をやっているのは私たちのメンバーです。
 藻谷 これはぜひ全国に広げてほしいやり方ですよね。風力ですから、取り組める地域も多
 い。それに対して地熱は、いろいろと制約が多くなります。一番大きな問題は、温泉に影響
 が出るんじゃないかという風評があるために適地でもコンセンサスが取りにくいことでしょ
 う。ですが、地熱発電は地下2500メートルあたりから300度といった超高温の蒸気を
 取り出して行なうもので、それで地上の温泉に影響が出ることは原理的にありえません。逆
 に取り出した地熱の影響で、周囲に湧いていた温泉が熱くなりすぎてしまった例はあります
 が、これを防ぐには使用後の蒸気を完全に元の場所に返せばいいのです。ただし、地熱が、
 100パーセント天然であるのは事実なので、余った地熱を温泉の加熱に利用するシステム
 をつくれば、むしろ「天然温泉」の湯量が激増することにもなります。

行動経済学者の藻谷浩介の『里山資本主義』の書評をこのブログで掲載したことがあるが(この
一冊のみ)、いかなる内容が展開されるか楽しみである。

                                   この項つづく

【現代工学連続講座:熱設計Ⅱ】

これを書き留める切っ掛けは、日経 xTECH(クロステック)の『クールな熱設計』が実に止まっ
たため。半導体製造分野に関わった30数年前に「熱との戦い」がやがて大きくクローズアップ
されると同僚のとの何気ない話から強く意識したことに始まる。同シリーズの「深刻になる熱暴
走、劣化が進み部品が壊れる」の「問題1:半導体の熱暴走」ではつぎのよう解説する。

 これから先、一番深刻になるであろう問題は「熱暴走」である。既にいろいろなところで見ら
 れ、特にFPGAを使うケースで目立ってきた。

 半導体は微細化がどんどん進み、65nm、30数nmなどといった技術になってきているが、それ
 により、リーク電流が増えてきている。CMOSの消費電力Pdは次式で表すことができる。

  Pd=A×Nt×f×C×V2+Nt×Ileak×V

  Aはゲートの活性化率で、ゲートの遷移する確率を示す。Ntは素子の数で、今、非常に増えている
  ものだ。fは動作周波数、Cは一つのゲートが持つ電気的な容量、Vは電圧、そしてIleakはリーク電
  流である。

 集積度が上がると、Ntはどうしても増えてしまう。fは急激ではないものの、基本的には増え
 ていく。従って、AとVを落としていくことになる。Vについては2乗で効くため、低電圧にす
 ると電力をかなり抑えられる。

ところが、微細化が進むと式の第2項目が効いてきき。リーク電流に比例する項目であり、スイ
ッチがオフなのにトンネル効果で電流が流れたり、絶縁層が薄い所に徐々に電流が流れる、厄介
なのはリーク電流の温度依存性の強さ、温度が高くなるとリーク電流が急激に増える。下図(a)
は、米Intel社のサーバー機向けプロセサの消費電力に占めるリーク電力の割合を表したグラフ。
例えば1990年代後半までは消費電力が100W近くあっても、リーク消費電力はその中の数Wレベル
にあったが、このグラフの最新データである2006年では、消費電力120W中の数10Wがリーク消費
電力となる。

 

つまり、このように導出される。リーク電流は接合(ジャンクション)温度(Tj)の指数関数と
して表され、接合温度が高くなり、チップの温度が上がってくると、電流値が増え→チップの温度
は、どちらかといえば、このスイッチング電力(式の第1項目)で上がる。そうするとリーク電
力(式の第2項目)も増えてやがて収拾がつかなくなり(この定式化が正しければ)→熱暴走温度
を計算できる(上図(b))。スイッチング電流を増やしていくと、ジャンクション温度が上がり、
途中からはリーク電力が急激に増え暴走すると説明される。このシリーズは、「劣化が進み部品
が壊れる」「熱疲労で壊れる」の問題を解き明かし、「発熱量の範囲の考え方」「部品温度上限
の種類」が説明される。

ところで、話相手とは、二十年前、若くして他界したギタリストでもあった木村敏昭である。

 ● 今夜の一曲


 『嘘よ』                                          唄  前川    清

                                        作詞 久野征四郎
                                       作曲 弾    厚作

泣いたって泣いたって
何もない世界さ一世の花の
夢は消えてただ一人
泣けば悩みを忘れるなんて嘘よ嘘よ
にじむネオンにギターの音
燃えたって燃えたって
帰れない世界さ幼き頃の
夢は枯れて夜に咲く
泣けばあなたを忘れるなんて嘘よ嘘よ
酔えばなおさら切ないものよ
信じても信じても
寄る辺なき世界さ
つれない仕打ちに傷つさながら夜の花
明日はいいことあるだなんて嘘よ嘘よ
明日は昨日の繰り返し

 

核兵器と二酸化炭素

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

             ※ 心の機能を狂わせるもの:飢えた人は何を食べてもうまいと思い、のど
                    の渇いた人は何を飲んでもうまいと思う。だがそれは本当の味ではない。
                    飢えと渇きが正しい味覚を狂わせたのだ。舌のはたらきを狂わせる飢え、
                    渇きがあるだけではない。心のはたらきを狂わせるおそれもある。そん
                    なものに妨げられず、心のはたらきを正常に保つ人は、他人の富貴をひ
                    がんだりはしない。

                ※ 業は井戸掘りのようなもの:ひとつの事業を行なうのは、井戸を掘る
          ようなものである。いくら深く掘っても、水脈に達しないうちに止めて
          しまえば、井戸を棄てたも同然だ。

         【解説】 もう少しで水脈に達するところで止めてしまうのは、いかにも
              残念なことである。しかし、もともと水脈のない所をいくら掘
              っても水は出ない。そこに水脈があるのかどうか。事前調査が
              肝心である。 

           ※ 折角掘り当てても、横取りされる水脈もある。
              

     No.161 

【スマートグリッド篇:地域分散型電力融通システム】 

❦ 魅力的な地域分散指向

2月27日、米カリフォルニア大学アーバイン校の研究グループは、米国は太陽光発電と風力発
2018年2月28日~3月2日(「スマートエネルギーWeek 2018」東京ビッグサイト)で、村田製作所
とソニーコンピュータサイエンス研究所(ソニーCSL)が開発する電力融通システムを公表。こ
うした各家庭の分散電源の電力を、任意の相手と直接取り引き――国内でも家庭に太陽光発電な
どの発電装置や蓄電池が普及しはじめ、これらの分散電源を統合制御して、全体を1つの発電所
のようにコントロールするバーチャルパワープラント(VPP)――できるようにするもの。現在
の電力会社から系統を経て需要家に電力が供給される「トップダウン型」から、近隣住民など地
域の需要家間で電力を融通し合う「ストック型」の送電を行えるようにする。電力融通システム
には、ソニーCLSの1対1の双方向個人電力取引(P2P 電力融通)技術を活用。これに村田製作
所が持つ外部と通信可能な蓄電池システムを組み合わせる。同社の蓄電池の高出力・高サイクル
特性を生かすことで、電力取引で発生する1日数サイクルの充放電にも、寿命低下を抑えつつ高
速に対応が可能になった。

両社は2014年12月からこのシステムの実証を沖縄県で実施。19棟の住宅間を350V(ボルト)の
直流電力線および通信線で接続。各住宅に設置した蓄電池システムを含むノードには共通のソフ
トウェアが組み込まれており、協調動作を行うことでマイクログリッドを形成できる。このマイ
クログリッドには、「グリッドマスター」と呼ばれるノードが設定され、各ノード間で電力融通
の必要があると判断された場合は、グリッドマスターがマイクログリッドを制御することで、物
理的な電力融通を行う。グリッドマスターに障害が発生した場合でも、他のノードがグリッドマ
スターの役割を引き継ぐことで電力融通を継続できる特徴をもつ。また、既存の系統ではなく専
用のマイクログリッドを採用し、既存系統網に依存せず、耐災害性も高い。
このシステムを導入することで、系統のルールや料金に縛られずコミュニティー内で電力取引が
可能となることや、島しょ部など系統調整力が不足しやすい地域への再生可能エネルギー導入拡
大にも貢献できるという。ソニーCSLの担当者は、村田製作所と進める同システムの開発を発表
するのは今回が初めて。今後の商用化の時期は未定だが、早期の実用化に向けて今後も引き続き
村田製作所と開発を進めていく。

❏ 関連特許:特開2018-23256 電力網結合システム (JP 2018-23256 A 2018.2.8)

【概要】

既存電力網は交流の電力の供給が殆どで、集中エネルギー発生型――発電所で大きな電力を発生
させて、変電所を経由して、最終的な負荷に電力が供給される――であるが、送電及び配電には、
保守作業や故障、急な負荷の変動対応させ、安定供給のため複数の送電系統を用意するなどの冗
長性を持たせており、配電網が広範囲にわたり、配線が複雑になるが、配電網全体状況を把握し
配電制御が非常に複雑になる、このように、複数の配電網を疎結合し複数の配電網に対する制御
を容易なものにするための電力網結合システムの提案にあって、下図のように、送電網ごとに設
けられて電力の変換を行うコンバータと、それぞれのコンバータの動作を制御する制御装置と、
を備え、コンバータは、送電網及び少なくとも電力を蓄電する蓄電装置と接続されている直流電
力網に接続され、制御装置は、送電網の状況に応じて記コンバータの動作を制御する、電力網結
合システムを提案されている。

❏ 関連特許:特許開5576218  地域内電力融通システム ( JP 5576218 B)

【概要】

既存電力網は交流の電力の供給が殆どで、集中エネルギー発生型――発電所で大きな電力を発生

自然エネルギーの売買をオープン化し、電力負荷の平準化を推進する技術が、また、太陽光発電
を行った場合の二酸化炭素排出権の取引における売買価格の決定に係る技術が公開されているが
、前者は蓄電池を備えた一般家庭から電力の買取りが行われないと需要家のコストメリットが得
られず、商用電力系統から供給される電力と太陽光発電システムで生成した電力とを分離し、電
力の素性を明らかにし価格を設定する――❶パワーコンディショナーや電力計数器または電力盤
などで蓄電池からの電力が商用電力系統へ逆潮流することを防止する方法と、❷住宅内の電力設
備を情報ネットワークにより接続し、それぞれの稼動状態をモニタすることによって電力の素性
を保証する方法との2つが想定されるが。これを実現するためには、ホームネットワークやHE
MS(ホームエネルギーマネジメントシステム)などのシステムを適用して、電力機器、太陽電
池、蓄電池等にホームネットワーク機能を付加し、ホームネットGW(ゲートウェイ)と電力会
社、プロバイダを広域ネットワークで接続してビジネスモデル構築を行う。

❶のケースの場合、一般住宅に設置された自然エネルギーを利用した発電電力を無駄なく社会全
体の資源として利用し、供給者、需要者ともに納得できる料金を提供して、分散型のエネルギー
システムの普及を目指し、社会全体でこのシステムの恩恵が得られるように、「(ソーラー設置
者のソーラー電力料金)<(機器ユーザのソーラー電力料金)<(商用電力料金)」を前提とす
るが、ソーラー電力を商用電力より安くし、分散発電設備を導入している比較的裕福な人のみが、
ソーラシステムの恩恵を受けるのではなく、ソーラシステムを導入できない一般住宅(機器ユー
ザ)にも恩恵をもたらしシステム普及促進を自然エネルギー発電した余剰エネルギーを安く有効
利用しようとするが 電力会社が分散して発電された自然エネルギーをすべて受け入れ、その電力
を自由分配できることを前提とするが、その一方で、すべての分散電力を電力会社がいつでも受
け入れること義務化され、また、電力の価格決定は公共の利益、あるいは、需給バランスの経済
原理からのみ決定できるものではないと考えら、大規模広域システムでは、電力の逆潮流ができ
る場所や時間が地区毎に異なってきた場合、全体で問題が解決できなくなる可能性がある。

さらに、自然エネルギーの発電量と電力の需要量との調整には、システム全体での解決策を考え
ておく必要があり、柔軟で早期の対策を立てにくくなる。電力会社がすべての電力の逆潮流を受
け入れる前提上で、電力情報が適切に管理されるならば、地域ごとの料金設定の変更や条件によ
る料金の設定等が可能となるが、電力の流れに制約が発生した場合、この前提が崩れる。また、
❷のケースも前者の電力取引を想定したものでない。

【特許請求範囲】

地域内の住宅の電力取引を管理する取引装置と住宅のそれぞれに設置された発電設備、蓄
電設備及び電力分配装置とからなる地域内電力融通システムであって、電力分配装置は、
電力分配装置が設置されている住宅において発電設備が発電した電力と、蓄電設備に蓄電
または蓄電設備が放電する電力と、商用低圧線を介して電力会社から受電または電力会社
へ逆潮流する電力と、共有低圧線を介して他の住宅から受電または他の住宅へ送電する電
力と、電力負荷へ供給される電力の流れを切替える切替部と、発電設備の発電電力、蓄電
設備の蓄電電力または放電電力、前記電力負荷の消費電力を計測する計測部と、電力の流
れの切り替えを判断するために用いられるルールが設定された場合に、設定されたルール
に従って前記計測部による計測結果に基づいて該電力分配装置における電力の流れを決定
する状態判断部とを備え、取引装置は、記憶部に記憶され、電力の流れの切り替えを判断
するために用いられるルールに従って、住宅の前記電力分配装置が備える計測部による計
測結果に基づいて、電力分配装置における電力の流れを変更する対象の住宅と、変更後の
電力の流れとを決定する状態移行判断部と、状態移行判断部による決定に従って、変更後
の電力の流れを、変更対象の住宅の前記電力分配装置に指示する制御指示部とを備え、切
替部は、状態判断部による決定、あるいは、制御指示部からの前記指示に従って電力の流
れを切替えることを特徴とする地域内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、記憶部に記憶されているルールに従って、住宅の電力分配装置におけ
る現在の電力の流れと、電力分配装置が備える計測部による計測結果に基づいて、電力分配装
置における電力の流れを変更する対象の住宅と、変更後の電力の流れとを決定する、ことを特徴
とする請求項1に記載の地域内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、電力会社と取引する電力、または、地域内の住宅間で取引する電力の
取引金額を算出するためのレートを、電力分配装置における電力の流れに基づいて決定する、こ
とを特徴とする請求項1または請求項2に記載の地域内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、計測結果に基づいて、住宅において発電設備が発電した電力のうち住
宅の蓄電設備への蓄電及び電力負荷への供給に用いられなかった余剰電力があると判断した場
合、共有低圧線を介して余剰電力を他の住宅へ送電するよう住宅の電力分配装置における電力
の流れを決定し、計測結果に基づいて住宅において発電設備が発電した電力及び蓄電設備が放
電する電力が当該住宅内の電力負荷への供給よりも少ないと判断した場合、共有低圧線を介して
他の住宅からの余剰電力を受電するよう住宅の電力分配装置における電力の流れを決定する、
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の地域内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、発電設備が発電した電力及び蓄電設備が放電する電力が前記電力負
荷への供給よりも少ないと判断した住宅が複数ある場合、複数の住宅の中から共有低圧線を介し
て他の住宅からの余剰電力を受電するよう指示する対象の住宅を所定の優先度に基づいて選択
する ことを特徴とする請求項4に記載の地域内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、発電設備が発電した電力及び蓄電設備が放電する電力が前力負荷へ
の供給よりも少ないと判断した住宅が複数ある場合、複数の住宅の中で共有低圧線を介して他の
住宅からの余剰電力を受電するよう電力の流れを指示する対象の住宅を時間によって切替える、
ことを特徴とする請求項4に記載の地域内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、余剰電力が減少した場合、共有低圧線を介して他の住宅からの余剰電
力を受電している住宅の前記電力分配装置において、商用低圧線を介して電力会社の電力を受
電するよう電力の流れを決定する、ことを特徴とする請求項4から請求項6のいずれか1項に記載
の地域内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、住宅における前記電力負荷への急速充電の要求を受信した場合、共有
低圧線を介して余剰電力を受電するように急速充電を要求した住宅の前記電力分配装置におけ
る電力の流れを決定する、ことを特徴とする請求項4から請求項7のいずれかの項に記載の地域
内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、計測結果に基づいて蓄電設備が蓄電されていると判断された住宅の電
力分配装置において、共有低圧線を介して該蓄電設備から放電される電力を、急速充電を要求し
た住宅の前記電力分配装置へ送電するよう電力の流れを決定する、ことを特徴とする請求項8に
記載の地域内電力融通システム。 前記状態移行判断部は、蓄電設備の蓄電電力量に応じて前記電力の取引金額を算出するための
レートを決定する、 ことを特徴とする請求項9に記載の地域内電力融通システム。 前記急速充電の要求に応じて供給される電力の取引金額を算出するためのレートは、余剰電力の
取引金額を算出するためのレートよりも高い、ことを特徴とする請求項10に記載の地域内電力融
通システム。

【概説図】

【図1】本発明の第1の実施形態による地域内電力融通システムの地域内における電力共有の概
    要を説明するための示す図
【図2】同実施形態による地域内電力融通システムの電力線の接続構成図。
【図3】同実施形態による地域内電力融通システムの情報ネットワークの接続構成図



【符号の説明】

11…太陽電池(宅内発電設備)12…蓄電池(宅内蓄電設備)15…地域蓄電池(地域蓄電設
備)20…宅内電力分配器(宅内電力分配装置)21、21a…計測部(第1計測部、第2計測
部)22、22a…通信インタフェース部23…整流器 30、30a…地域電力分配器(地域
電力分配装置)31、32…直流電圧変換器(DC/DC)(第2切替部)33、33a、34
…直流交流変換器(DC/AC)(第2切替部)35、36、37、38、39…スイッチ(第
1切替部)40…ホームゲートウェイ 41…通信部 42…記憶部 43、43a…処理部 
44、44a…更新部 45…状態判断部 46、46a…状態通知部 47、47a…切替指
示部 48…リクエスト充電要求部 50…地域ゲートウェイ 60…変圧器 61…同期調整
器 70…データセンタ装置 71…通信部 72…記憶部 73…処理部 80…取引装置
81…通信部 82…記憶部 83…処理部 84…更新監視部 85…状態移行判断部 86
…制御指示部 87…レート通知部 

基本的にデジタル技術はネットワーク分散型であり、高性能で、安全な余剰電力貯蔵システムが完成す
ればエネルギー環境は変わる。間違いない。



● マルチテナント型物流施設「GLP神戸西Ⅱ」に竣工

1月25日、中国系資本のグローバル・ロジスティック・プロパティーズが日本事業として全権
限を掌握した『日本GLP株式会社』が神戸テクノ・ロジスティックパーク」内に建設していマル
チテナント型物流施設「GLP神戸西Ⅱ」を竣工した。太陽光発電システムや全館LED照明、気流解
析による換気システムなど環境面にも配慮し、屋根上に6,748枚の太陽光パネルを設置した。設置
容量は1990.66kWで、発電した電力は全量売電する。このほかにも、BCP(事業継続計画)対策と
して300kWの非常用発電機を備え、停電時でも事業継続を可能とした。なお、非常時における太陽
光電力の活用は行わない。太陽光発電システムの施工はテス・エンジニアリング。1階と3階に
トラックバースを設置し、1・2階、3・4階の2層使いが可能。敷地への2カ所の出入口を入口
専用・出口専用とし、敷地内を一方通行にして安全性を確保。このほか、虫害防止対策として低
誘虫ランプの採用、冷蔵冷凍倉庫対応、洗浄機対応など食品物流にも対応。

【バイオマス篇:耐環境ストレス性の強い農作物の育成が可能に】

● 遺伝子が損傷時に働く植物独自の遺伝子群を解明

2月16日、奈良先端科学技術大学の研究グループは、植物体内でDNAが損傷すると、遺伝子の
活性を調節するタンパク質が146個の遺伝子を制御して、細胞分裂を停止させたり、DNAを修
復したりすることを解明。動物にも似た働きをもつタンパク質が存在し、細胞のガン化を抑制し
ているが、調節している遺伝子群は植物とはかなり異なることが示され、また、植物に病原菌が
感染すると、このタンパク質を活性化して様々な遺伝子を制御して、病原菌に対する抵抗性を持
たせることを発見。この研究により、DNA損傷に対する植物独自の応答のしくみを明らかにする
とともに、病原菌に対する植物の巧妙な防御戦略を裏付けた。、

植物のDNAに傷が入ると、植物にのみ存在するSOG1と呼ばれるタンパク質が活性化することで
成長を停止し、様々な応答反応が引き起こされることが知られていたが、このときに、SOG1が
どのような遺伝子を制御しているかについては未解明であった。モデル植物のシロイヌナズナを
用いてSOG1が制御する146個の遺伝子を同定し、それらが細胞分裂の制御、DNAの修復、病
原菌に対する防御応答などさまざまな反応に関わっていることを突き止める。この研究成果によ
り、遺伝情報であるDNAが傷ついた時に、植物がどのように DNAを修復し、自身の成長を最適
に制御しているか、その詳細な仕組みが明らかとなったことで、SOG1の機能を改変することで、
紫外線によるDNA損傷や病原菌の感染などに耐える強い農作物の作出が期待される。

動物では、細胞内のDNAが損傷を受けると、p53タンパク質という転写因子が活性化し、様々な
遺伝子の発現を制御することにより、DNAに変異が入ったままの細胞が増殖するのを防いでいる。
その結果、ガン化が抑制される。一方、植物はp53を持っておらず、代わりに、植物にのみ存在
するSOG1という転写因子がDNA損傷に応じて活性化され、成長を停止させる。しかし、SOG1がど
のような遺伝子をターゲットに制御することでDNA損傷に対処しているかは、これまでほとんど
明らかにされていなかった。シロイヌナズナを用いて、DNAに傷を受けた時にSOG1がどのような
遺伝子の発現を制御しているのかを網羅的に調べた。その結果、SOG1は、146個の遺伝子の発
現を活性化していることを発見し、それらが細胞分裂を抑える働きを持つ遺伝子や、DNAの修復に
関わる遺伝子であることを突き止めた(上図)。


動物のp53も、細胞分裂を抑制する遺伝子の発現を調節していることから、細胞分裂の制御におい
て、同様の役割を果たしていることが考えられた。また、驚いたことには、SOG1は植物病原菌が
感染した時の防御応答に関わる遺伝子の発現も誘導することがわかった。そこで、SOG1遺伝子が
壊れたシロイヌナズナの変異体に病原菌を感染させたところ、野生型の植物よりも病原菌が拡が
る様子が観察された(上写真)。

● DNA倍加誘導系の確立による高バイオマス植物の創出

この研究グループでは、多くの植物種ではDNA倍加により細胞の肥大化と器官の成長を促進、
バイオマス増産が望まれているポプラ・イネなどでは、DNA倍加はほとんど起きないので、梅
田正明研究室では非DNA倍加植物でDNA倍加を誘発する技術開発を行い、シンク器官の巨大
化を実現、DNA倍加は細胞の肥大化とともに代謝産物の高蓄積をもたらすので、物質生産性を
飛躍的に向上させることにより、二酸化炭素の資源化に貢献する。下記特許(特開2017-006050 
4倍体ポプラの作出方法)を参考掲載しておく。そこに今回の成果である。「植物と動物はどこ
が異なるのか」という命題に迫る科学的アプローチだけでない、生命全般の遺伝子の耐環境スト
レス技法領域がまた新たに加わることになる。これは面白い。

 
❏ 関連特許:特許2017-006050  4倍体ポプラの作出方法 (JP 2017-6050 A 2017.1.12) 

【概要】 

既存電力網は交流の電力の供給が殆どで、集中エネルギー発生型――発電所で大きな電力を発生
近年、植物バイオマスの資源化が進められている。植物バイオマスの資源化を実現する上で、原
料となる植物バイオマスを効率的に生産する技術開発は極めて重要である。植物バイオマスの中
でも、食糧資源と拮抗せず、大規模原料供給が可能な木本系バイオマスとしてポプラやユーカリ
が注目されている。ポプラ(poplar)とは、ヤナギ科(Salicaceae family)のヤマナラシ属または
ポプラ属に属する樹木(広葉樹)の慣用名であり、成長が早く活着が良く、並木や街路樹、防風
林として植生される。生産するポプラやユーカリの地上部器官を巨大化して生産量を向上させる
方法が考えられる。この点、地球上の被子植物の内、約70%の被子植物はDNA倍加により細
胞を肥大化させ、器官サイズを大きくしている。ところが、バイオマス生産の原料として注目さ
れているポプラやユーカリではDNA倍加が起こらないと言われている。

 一方で、ユーカリ属について、生産性の向上した個体を短期間に作成できるユーカリ属4倍体の
作成方法が知られている。この事例では、ユーカリ属4倍体の作成方法は、2倍体であるユーカ
リ属の組織切片について染色体の倍加処理を行い、次いでこの組織切片を培養することにより染
色体が倍加した組織を発生させ、この組織から個体を再生して、ユーカリ属4倍体を作成するが、
バイオマス生産の原料としてはユーカリ属だけではなくポプラ等も有用であるが、ここに開示さ
れた方法は、パルプ材として有用なユーカリ属について4倍体を作成するものに過ぎない。また、
DNA倍加処理方法として、シュートをコルヒチン等の溶液中に浸漬することにより行うことが、
最も一般的としており、実施例においても、コルヒチン水溶液に24時間浸漬することで倍加処
理を行っている。ここで、シュートとは、茎とその上にできる多数の葉からなる単位をいうが、
染色体の倍加処理を行う際、ユーカリ属のシュート切片をコルヒチン等の溶液に浸漬して倍加処
理を行う方法では、培養のための培地以外に、倍加処理を行うための大規模な装置が必要であり、
煩雑であった。

さらに、倍加処理後に、植物ホルモンとしてBAPもしくはカイネチン、ショ糖、ゲランガムも
しくは寒天を含有する培地或はそれらを改変した培地により組織培養を行わなければならない方
法であったため、かかる点においても簡便な方法とはいえなかった。また、ウリ科植物の分裂組
織につきアミプロホスメチルを用いて染色体の倍加処理を行う染色体倍加方法が知られている(。
この事例のウリ科植物の染色体倍加方法は、コルヒチン等の倍加誘発剤を用いずにアミプロホス
メチルを用いて倍加処理を行うものであり、倍加効率が高いとされているが、アミプロホスメチ
ルは、通常、除草剤として用いられているため、植物体に薬害を発生させる危険性があるという
問題があった。また、ここに開示されたウリ科植物の染色体倍加方法においても、染色体の倍加
処理を行う際、ウリ科植物のシュート切片をアミプロホスメチル水溶液に浸漬して倍加処理を行
っているが、前者の事例と同様、かかる方法は煩雑であり、簡便な方法とはいえなかった。さら
に、倍加処理後に組織培養を介する方法であるため、かかる点においても簡便な方法とはいえな
かった。なお、温室で栽培中のメロンの腋芽に脱脂綿を乗せコルヒチンを滴下し処理する方法も
試みたが倍加シュートは得られなかったと記載されており、従来は、植物の腋芽にコルヒチンを
滴下する程度では倍加シュートは得られないのが常識とされていた。ここで、腋芽とは、葉の付
け根から出る芽のことをいう。

上述した2つの事例のDNA倍加方法は、何れもポプラを対象としたものではない。また、何れ
も倍加処理方法が煩雑であり、かつ、倍加処理後に組織培養を介する方法であるため、簡便な方
法ともいえない。このため簡便な方法によりDNA倍加処理を行い、かつ、組織培養を介さずに
4倍体ポプラを安定的に作出する方法を提供にあって、下図1のように、2倍体ポプラのシュー
トの腋芽に対してコルヒチン溶液を滴下して培養し、出てきた側枝を植え継いで4倍体ポプラを
作出する。コルヒチン溶液の濃度は、0.002w/v%以上、0.1w/v%未満であること
が好ましく、より好ましくは、0.005w/v%以上、0.05w/v%未満である。コルヒ
チン溶液には、ゲル化剤が添加され、滴下方法は、植え継いで育成したシュートの下葉を残して
主茎を切除したものの葉の根元の腋芽に対して行うことが好ましい。滴下の頻度は、2回、滴下
間隔は1日であることが好ましい。コルヒチン溶液量は、腋芽に雫の玉ができる量、かつ、腋芽
から流れ落ちない量であることが好ましい。
図1


● 無農薬で生産性30倍の最新屋内農場事例





The "most technologically-sophisticated commercial indoor farm in the world" will grow 30X more produce
 Inhabitat - Green Design, Innovation, Architecture, Green Building

● 今夜の寸評:核兵器と二酸化炭素

トランプ大統領のパリ協定離脱、エルサレム大使館移転、先制核攻撃の小型核弾頭開発、追加関
税と迷走が続き、東アジア・朝鮮半島の核武装禍と良心的な日本人への精神的圧迫感は増すばか
りだ。二度と戦禍や大惨事に巻き込まれないように腹を括る局面に突入しつつある。

 

 


 

今津ざぜん草の里

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

             ※ 舜ならどうするか:弟子の桃応(とうおう)が孟子にたずねた。
           「舜が天子のとき、皐陶は司法官でした。もし舜の父の回収が
                     人を殺したとすれば、皐陶はどうするでしょう」「捕えるほか
                     あるまい」「舜はとめないのですか」「とめようがないだろう。
                     人殺しを捕えるのは、昔から法令で定められていることだ」「
                     舜はどうするでしょう」「天子の位を捨てることなど、破れ草
                     履を捨てるくらいにしか思わなかった人だ。ひそかに父を背負
                     って逃れ、どこかの海辺に隠棲し、その暮しに満足して天下の
                     ことなど忘れてしまうだろう」


                   【解説】 舜の態度は、見方によっては無責任ともいえる。しかし孟
                              子の持論からすれば、親に孝養をつくす心で天下を治めるのである
                     から、親を見殺しにして天子の地位にとどまることは、それ自
                     体矛盾していることになる。

                 ※ 何が風格をつくり出すか:孟子は范から斉都に帰って来たとき、
           斉の王子を箔かけて、賛嘆の念をこめて言った。「食べる物で
           体質が変わり、住む財界で気質が変わるというが、環境の力は
           まことに大きい。あの王子にしても、素質は庶民と変わりない
           はずだが」
 
           さらに続けて言った。

           「王子の衣食住は、庶民とほ.とんど変わりがない。ところが
           王子は、あんなに大きく見えた。というのもで玉子の住んでい
           る世界がそうさせるのた。まして、仁の世界に身を置いてだら
           どうだろう。こんな話がある。魯君が宋を訪れたとき、垤沢(
                     てったく)の町に到着して門前で呼ばわった。すると門衛が言
           った。わが君ではないが、驚くほど声が似ている、と。これは
           ほかでもない、二人とも控む世界が同じだからだ」

 阿志都弥神社・行過天満宮

【奥琵琶湖トレッキング 森の精霊 達磨草】

朝8時に車を走られ奥琵琶湖は今津弘川に向かう。目的は今津の里の座禅草。伊吹が朝靄突き銀
色に輝き、琵琶湖は河口の雑木の奥で広がり海となる。見事である。メタセコイヤの林道を抜け
るとものの1時間もすれば今津弘川である。現場では三々五々と観光客が集まってくる。休憩所
でおみやげと、軽食(♂きつねうどんと♀炊き込みご飯セット)を頂き、正午過ぎ帰宅する。



❦ 今津のザゼンソウ群落 

今津のザゼンソウ群落は、滋賀県高島市にあるザゼンソウの群生地。国内南限のザゼンソウ自生
地として知られる。饗庭野の湿地帯に高密度で広く群生するが、日本列島では高島市が南限とな
る。1981年に今津中学の生徒が理科授業の観察時に発見。環境庁の自然環境保全基礎調査の特定
植物群落に選定(1986年)および滋賀県自然環境保全条例の緑地環境保全地域に指定(1989年)
されている。毎年2月下旬に周辺で「ザゼンソウまつり」が開催される。

● 発熱する花

ザゼンソウ(座禅草、学名:Symplocarpus renifolius Schott ex Tzvelev)は、サトイモ科ザゼンソウ
属の多年草。仏像の光背に似た形の花弁の重なりが僧侶が座禅を組む姿に見えることが、名称の
由来とされ、花を達磨大師の座禅する姿に見立てて、ダルマソウ(達磨草)とも呼ばれている。
冷帯、および温帯山岳地の湿地に生育し、開花時期は1月下旬から3月中旬。開花する際に肉穂
花序(にくすいかじょ)で発熱が起こり約25℃まで上昇する。そのため周囲の氷雪を溶かし、い
ち早く顔を出すことで、この時期には数の少ない昆虫を独占し、受粉の確率を上げている。開花
後に大型の葉を成長させる。ザゼンソウの発熱細胞には豊富にミトコンドリアが含まれているこ
とが明らかになっているが、発熱の詳細な分子メカニズムは、現在のところ分かっていない。動
物における発熱には、「脱共役タンパク質」が関わっていることが突き止められているが、この
タンパク質は、発熱しない植物にも幅広く存在しており、ザゼンソウの発熱に関与しているかは
不明である。発熱時の悪臭と熱によって花粉を媒介する昆虫(訪花昆虫)であるハエ類をおびき
寄せると考えられている。全草に悪臭があることから英語では Skunk Cabbage(スカンクキャベ
ツ)の呼び名がある。



一つの肉穂花序には約100個の小花(両性花)がある。個々の小花は雌性先熟の開花システムを
持ち、雌性期(雌蕊のみが成熟して露出した期間)と短い両性期(雌蕊と雄蕊が同時に露出する
期間)を経て、雄性期(雄蕊のみが露出した期間)の順で性表現を変える。花序での発熱は雌性
期と両性期で顕著であり、雄性期に至ると急速に発熱は低下する。この植物は自家不和合であり
、昆虫などによる送粉(花粉の運搬)を必要とする。しかしながら気温の低い時期に開花するた
め、訪花昆虫の活動は低調であり、そのため種子の結実率は低い。多くの種子は野ネズミによっ
て食害されるが、一部は野ネズミの貯食行為によって運ばれる。種子はそれによって散布され、
被食を逃れて発芽することが出来る。このように、個ノマの小花は雌性先熟の開花システムを持つ。
発熱は雌性期と両性期で顕著であり、雄性期になると急速に低下すし、外気温か氷点下で仏炎萄
は凍結していても、肉穂花序は20℃前後に保てる能力を持つ発熱する植物――暖かい所を昆虫
に提供し、受粉の為の昆虫を呼び寄せる(虫媒花)で、花の温度を高めて、昆虫を呼び寄せる匂い
をより多く発散させ、低い気温から、雌しべの受粉器官を守り、雪がとけない今津の群生地では
風媒で繁殖するとのこと。またその分布は、北アメリカ東部(カナダのノバスコシア州とケベッ
ク州南部からアメリカ合衆国ミネソタ州にかけて、南限はノースカロライナ州とテネシー州)お
よび北東アジア(北東シベリア、中国北東部および日本)。

また、田中澄江が『花の百名山』で伊那山地の守屋山を代表する花の一つとして紹介し、『新・
花の百名山』で北信五岳を代表する花の一つとして紹介。守屋山の北側の長野県諏訪市の有賀峠
付近には「ザゼンソウの里公園」があり、兵庫県美方郡香美町では開花時期に合わせて、「ザゼ
ンソウ祭り」を開催する。さらに、19世紀米国の薬局方では、ドラコンティウム(dracontium)
の名で呼吸器系疾患、神経症、リューマチ、浮腫の治療に用いられた。北アメリカとヨーロッパ
では、しばしば観賞用植物としてウォーターガーデンに植えられている。北米先住民はザゼンソ
ウをよく薬草、調味料、魔術的なお守りとして用いた。日本のレッドリストの「分布上重要種」
指定を受けている。

 

❦ 発熱する植物          岩手大学教授 伊藤 菊一(きくかつ)

一般に植物の体温は外気温の変化とともに変動するものと考えられているが、驚くべきことに、
ある積の植物には、自ら発熱し、その体温を積極的に調節できるものが存在する。例えば、我が
国の寒冷地に自生し、早春に花を咲かせるザゼンソウ(Symplocarpus renifolius Schott ex Tzvelev)
は氷点下を含む外気温の変動にも関わらず、その体温を20℃内外に維持できるサトイモ科の発熱
植物である。

このような発熱植物の最初の記述は、今からおよそ200年以上も前のフランスの博物学者ラマルク
(Jean-Baptistede Lamarck)によるヨーロビアン・アルム・リリーに関する報告である、その後、
ヒトデカズラ、ザゼンソウ、ソテツ、ハス、デッドホースといった発無能力を有する捨物が発見
され、「発熱捨物」とでも呼ぶべき-・群の植物の存在が明らかになりつつある。

 Apr. 23, 2015

○ザゼンソウの発熱現象-一一生物進化の過程で獲得した巧妙な仕掛け引仕組み

ザゼンソウは、北米太陰東部および北東アジアに分布するサトずモ科に属する多年生横物である
本植物は湿地に群落を形成して自生し、その地上部には√サトイモ科に特徴的な仏炎芭と肉穂花
序と呼ばれる器官を有している。これまでに、サーモグラフィーによる温度解析から本縫物の肉
穂花序が特異的に発熱していることが判明している(図1A)。ちなみに、ザゼンソウと同様、
湿地に自生し早春に花を咲かせるミズバショウもサトイモ科に属する縫物であるが、ザゼンソウ
のような発熱現象は観察されない。植物分類学においては、ミズバショウはザゼンソウに最も近
縁の植物種であると信管づけられているが、その発熱能力に大きな差異があることは非常に興味
深い。また、ザゼンソウはサトイモ科の植物に見られる“雌雄異熟”と呼ばれる特徴を示す。こ
れは、自家受粉を避けるため、雌期と雄期が時期的に分けられていることを指すが、非常に興味
深いことに、ザゼンソウの肉穂花序における発熱は、雌期にのみ観察され、その体温は氷点下を
含む外気温の変動にもかかわらずほぼ20℃内外に維持されることが明らかになっている(図1B)。
また、-15℃の寒冷環境で発熱しているザゼンソウの発熱量を他の生物と比べてみると、その発
熱量は、飛行中のハチの筋肉や、ハムスターの発熱組織(褐色脂肪組織)と比較できる程である
(図2)。

このようなザゼンソウの発熱の意義については、(1)開花・受粉プロセスの低温障害からの回
避、(2)寒冷環境における肉穂花序の生育の促進、(3)訪花昆虫を誘引するための揮発性物
質の効果的拡散、等の仮説が提案されている。これまで国内外で報告されている発熱桶物の中で
外気温度が氷点下まで低下するような寒冷環境下で積極的に発熱し、かつ、その体温を自立的に
調節できる但湿性を有する植物は、ザゼンソウ以外には例がない。従って、木棺物の発熱現象に
は、生物進化の過程で獲得した温度制御システムに関する巧妙な仕掛け・仕組みが含まれている
はずである。



● ザコザゼンソウ発熱制御システムの理解に向けた研究戦略

上述したように、ザゼンソウの発熱植物としての特徴は、①寒冷環境における高い発熱能力、お
よび、②外気温の変動にもかかわらずその発熱器官である肉穂花序の温度を一定に保つ恒温性、
にある。これらの特徴を考慮した上でザゼンソウの発熱制御システムをモデル化したものが以下
の図である(図3)。ザゼンソウの発熱器官である肉穂花序は外気温の変動にも関わらずその体温
を20℃内外に維持するが、このような恒湿性に関わるメカニズムにおいては、外気温の変動をモ
ニタリングする温度センサーに相当する機能が必要である。あるとともに、その発熱レベルを制
御する発熱装置が内在していることがえられる。また、環境温度変化から生じる熱情報に基づい
て発熱量を調節するタイミング等を統御するザゼンソウ型“温度制御アルゴリズム(算法)”と
でも呼ぶべき制御プログラムが存在していることが推定される。これらの3つの因子、すなわち
“温度変化モニタリング≒“発熱装置”、および、“温度制御アルゴリズム”が有機的に連携す
ることにより、本植物の恒湿性が保証されていることが予想される。以下、それぞれの機能に関
する最新の知見を説明するとともに、これらの機能の応用の可能性についても論じてみたい。

●ザゼンソウは鋭敏な温度モニタリングシステムを有している

群落地に自生しているザゼンソウの肉穂花序の温度は、気温の低下とともにある種の体温振動を
示す(図4A)。肉穂花序の温度データを用いたフーリエ変換による周波数解析を行うと、肉穂
花序の体温はほぼi時間を周期として規則的に振動していることが明らかとなった(図4B)。
興味深いことに、群落地から人工気巣窟に移し、気温を一定に保った条件では、このような体温
の振動現象は観察されない(図5A)。この結果は、外気温の変動が肉穂花序における体温振動の
引き金になることを示唆している。


しかしながら、一過的に外気温を変動させる条件においても肉穂花序における体温振動は観察さ
れないことから(図5B)、外気温そのものの変化が体温振動を誘導しているのではないことが示
唆された。それでは、肉穂花序の体温振動はどのようにして発生するのであろうか?この問いに
対する答えは、人工気象室の気温をステップ的に上下させ、肉穂花序の温度をモニターするという
極めて単純な実験から明らかになった。すなわち、ザゼンソウの肉穂花序は、外気温の変化を直
接的に認識しているのではなく、外気温の変化に伴う肉穂花序そのものの温度変化をモニターし
てその発熱量を調節していたのである。つまり、外気温か変動しても、肉穂花序自身の温度が変
化しなければ、体温振動は発生しないが(図5B)、外気温の変動とともに肉穂花序の温度が変化
するような場合には、必ずほぼ1時間を周期とする体温振動が観察された(図6AおよびB)。

興味深いことに、このような肉穂花序の体温変動に対する発熱応答は、肉穂花序の体温が低下あ
るいは上昇するいずれの場合においても、ほぼ同様のカーブが描かれることから(図6Aおよび
B)、肉穂花序における温度変化のモニタリングとその後の発熱応答のプロセスは、定量的な関
係にあることが明らかとなった。それでは、肉穂花序が自らの体温変動をモニターして、その発
熱量を制御できるのであれば、肉穂花序は一体どの程度の温度差を認識できるのであろうか?こ
れは、植物の温度センサーとも呼べる因子の“闇値”の問題である。

肉穂花序で観察されるほぼ].時間を周期とする体温振動は、肉穂花序の温度が0,6℃上昇あるい
は低下した際に明確に観察される(図6AおよびB)。この実験において用いた温度センサーの
精度が土O、3℃であることから、肉穂花序は±0.9℃の温度変化に応答してその体温を制御してい
ると考えることができる。この結果は、ザゼンソウが極めて鋭敏な温度センサー分子を有してい
ることを示唆している。現在我々はこのセンサー分子の検索を進めているところであり、近い将
来、ザゼンソウの有する鋭敏な温度モニタリングシステムを分子レベルで説明できるものと考え
ている。



●ザゼンソウから得られた新しく有用な発熱遺伝子

上述したように、ザゼンソウは精密な温度モニタリングシステムを有しており、これが本植物の
優れた温度調節機能を保証していると考えられるが、一方で、本植物が有する高い発熱能力も見
逃すことができない。一般に、ヒトを含む哺乳動物においては、“非ふるえ熱産生”と呼ばれる
発熱現象が存在し、発熱担当細胞である褐色脂肪細胞のミトコンドリア内膜に存在する脱共役タ
ンパク質(UCP:uncoupling protein)が呼吸鎖によりプロトン濃度勾配として蓄えられたエネルギ
ーを熱として放逸することが知られている。一方、ザゼンソウを含む発熱植物におけるUCPの存
在は全く不明のまま残されていた。そこで、発熱している肉穂花序からUCP関連遺伝子をスクリ
ーニングしたところ、2種類の異なるUCP因子をコードする遺伝子の固定に成功し、それぞれ、
SfUCPaおよびSfUCPab)と命ることとした。興味深いことに、SfUCPa遺伝子は、哺乳動物のUCP
と同様の6回膜貫通型のUCP分子をコードしていたが、SfUCPabは5番目の膜貫通ドメインが特
異的に欠失した新規の蛋白質をコードしていることが明らかとなった(図7)。これまで報告さ
れているUCP分子の中で、5番目の膜貫通ドメインを欠くようなUCP分子はザゼンソウから得ら
れたSfUCPbが初めてである。

また、ザゼンソウにおけるSfUCPaおよびSfUCPb遺伝子の発現および機能を検討したところ、発熟
している肉穂花序において主に発現している分子は新規因子のSfUCPbであり、その脱共役活性も
SfUCPaより高いことが明らかとなった(表1)。

このように、寒冷環境下で高い発無能力を有するザゼンソウにおいては、従来、哺乳動物で報告
されているUCP分子種とは異なる構造を有する蛋白質をコードする発熱関連遺伝子が存在するこ
とが明らかとなったわけである。これは、まさに、寒冷地にひっそりと自生している野生植物に
こそ、有用な遺伝子が眠っていることを示す一つの証左と言える。現在、6回膜貫通型UCP分子
の第5番目の膜貫通ドメインが欠失した蛋白質において、その脱共役活性(発熱誘導機能)が増
大する詳細な分子メカニズムの解析が進行中である。

●1時間周期の温度制御アルゴリズム

これまでに述べてきたように、ザゼンソウの温度制御システムは、およそ1時間を周期とする規
則的な体温振動により制御されている。このユニークな制御システムの中には、±0.9℃の温度変
化に応答する鋭敏な温度センサやザゼンソウ型UCP分子とでも呼ぶべき新しい発熱因子(SfUCPb)が含
まれている。以上の点を考慮して、現在我々は、問題とするザゼンソウの温度制御アルゴリズム
について、“時間軸依存型体温振動モデル”と名付けた新しいモデルを提案している(図8)。
このモデルにおいては、温度センサーが常時肉穂花序の温度変化をモニタリングしており、肉穂
花序の温度が閥値(±0.9℃)以上になった場合には、その情報がSfUCPbを含む一連の発熱装置の
活性を制御してその体温を一定に保とうとするレすなわち、およそ1時間を周期とする体温振動
プロセスにおいては、体温のモニタリングと、発熱レベルの制御という2つの素過程が含まれて
いることになる。そして、最終的には、何回かの体温振動の結果、肉穂花序の体温変化が闇値未
満になった際には、その発熱レベルが一定になり、体温が安定することになる。

現在のところ、1時間を周期とする肉穂花序における計時システムには不明な点が多いが、この
体温振動周期は、これまで報告されているおよそ24時間を周期とするサーカディアンリズムなど
とはその振動周期が全く異なることから、未知の計時システムが存在している可能性があり、今
後の大きな研究課題である。また、ザゼンソウの体温制御システムの特徴は、その発熱器官であ
る肉穂花序が、温度センサー器官としても機能していることである。我々哺乳動物における体温
調節は、交感神経系を介した制御下にあることが知られているが、神経系を待だない植物におい
ては、個別の器官あるいは細胞が独立して環境変動に対する応答を行っている可能性が高い。し
かしながら、もちろん、この問題については、発熱細胞レベルでの温度応答メカニズムを明らか
にすることが必須であり、今後さらなる研究の深化が必要である。

 ●「発熱モデル植物」としてより一層の戦略的な研究開発を

上述したように、これまで研究対象としてあまり顧みられることのなかった野生植物であるザゼ
ンソウは、予想外に鋭敏な温度センサー機能を有しており、また、その熱産生の原因蛋白質の一
つと考えられる高い機能活性を有するUCP分子の構造にもユニークな特徴が認められる。さらに、
これらザゼンソウ型体温調節システムの構成要素を統御する計時機構と関連した制御アルゴリズ
ムの存在が推定される。これらの特徴は、各種産業あるいは国民生活への貢献という視点からも、
大いに価値があるものと考えられる(図9)。すなわち、現在、温度制御に関わる工学的なデバ
イスにはPID制御と呼ばれる比例・積分・微分的計算に基づいた制御システムが汎用されている
がザゼンソウ型アルゴリズムにおいてPID制御方式に比べて大きなメリットが見出されれば、生
物の機能を模倣した革新的な熱制御技術に発展する可能性がある。我々は既にザゼンソウから抽
出・再構築した制御アルゴリズムを搭載した工学的制御装置の開発に成功しており、現在、岩手
大学21世紀COEプログラムにおける農工連携研究により、精力的な研究開発の推進を図っている
ところである。また、ザゼンソウから得られた新規UCP分子の構造から推定される基本的な特徴
は従来型UCP分子と比較して、生体内エネルギーを熱エネルギーとしてより効率良く変換する機
能を有する点にある。従って、本分子の馥能特性の利用により、低温回避作物の分子育種や肥満
等の医療分野における応用展開なども考えられ、関連する研究を進めているところである。さら
にザゼンソウが持つ高感度の温度センサ分子の同定や体温制御に関わる計時機構の分子メカニズ
ムなど、基礎研究としても非常に魅力的な課題である。

ザゼンソウは我が国の寒冷地ではそれほど珍しい植物ではない。しかしながら、これまでの国内
外における報告を見る限り、地球上に自生する数ある植物の中で、寒冷環境で発熱し、かつ、そ
の体温を調節できる植物は、ザゼンソウ以外には報告例がない。また、地球レベルでの本植物の
分布も、北東アジアおよび北米大陸東部に限局されていることから、本植物は、単なる山野草と
しての位置づけではなく、「発熱モデル植物」としてより一層の戦略的な研究開発を行うべき有
用資源植物であることを強調して本稿を閉じたい(2005.10.25)。

 ざぜんそうの里 きつねうどん 4百円

  日本基督教団今津教会

 

 Feb. 1, 2018

● iPhone7習得日誌

ロングドライブ用にと車載充電器を通販で取り寄せ試用(70%→100%までの高速充電)、
なるほど早い。それではと、モバイル型プロジェクタ(上写真)を物色する、これは内緒。

 


世界最大海洋風力発電

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

           ※ 人材を引き留めるには:人材を招いても、こちらに愛情がなけれ
         ば、豚を飼うのと同じである。愛するだけで敬う気持がなければ、
         犬や猫を飼うのと同じである。肢うということは、贈り物をする
         ことではない。それ以前の心の問題だ。形だけ敬っても、心がこ
         もらなければ、人材を引き留めることはできない。

       ※ 教育の厳しさ:公孫丑が孟子に言った。「先生の説かれる道は、
         高遠すぎます。あれでは天に登れというようなもの、とても実践
         できるとは思えません。だれでも、よしこれならできる、と勇み
         立つように、もう少し一般向きに易しくできませんか」「大工の
         親方は、いくら弟子が下手でも、そのために縄墨を変えはしない。
         羿(弓の名人)も未熟な弟子のために、弓の引き具合を千加威は
         しなかった。弓を引きしぼり、矢を放つ寸前、的中を念じる心が
         躍如としている、これが真の教育者の心だ。道の中ほどで、待っ
         ていればよいのだ。やる気のある者はきっとついて来る」

       ※ せっかちは、やめるのも早い:やめてはならないときにやめる人
         は、なにをやっても中途半端だ。念を入れてやらねばならないと
         きに手を抜く人は、なにをやってもいいかげんだ。せっかちに進
         む人は退くのもまた早い。

       ※ 春秋に義戦なし:『春秋』に記録されているような乱世に、正義
         の戦いはない。甲が乙より比較的正しい、というだけだ。本来、
         征伐とは、天命に揃った天子が諸侯を討伐することである。対等
         な諸侯どうしが征伐しあうということはありえない。

        【解説】 弱肉強食の時代における。”正義”とは相対的なものに
             すぎない。

       ※ ここでは、”二重の全否定”が表れている。これを実践できるの
         は究極の弁証への無窮の努力(=自立思想を獲得)をしなければ
         ならないと言ってのけているに等しい。

     No.162

 Mar. 2, 2018

【スマートグリッド篇:世界最大の海洋風力発電計画】 

3月2日、GE社は、2021年に世界最大の海洋風力発電――同社の6メガワットタービン製品よ
りエネルギー変換が45%上回る12メガワットのハリアード(Haliade-X)、21年に導入する
ことを公表。野心的な大規模化のタイムラインは、業界リーダーのMHI ヴェスタ社(MHI Vestas)と
ガメサ社(Siemens Gamesa Renewable Energy)の2社を凌×駕するとを意味する。同社は、今後3~
5年間を投資し、新しいハリアード(Haliade-X)――260メートルのタワーと107メートル
のブレードを装備――開発展開する予定である。海洋風力発電会社の最高経営責任者のジョン・
ラヴェル(John Lavelle)は、新製品の容積係数が63%を達成(経済効果として7百万ドルに相
当)すると述べている。

 

  Source: Hitachi, Ltd.

 

      

Mar. 1, 2018


【蓄電池篇:グラフェン電子素子工学Ⅲ】

● わずか20秒で充電 画期的な新エネルギー貯蔵装置

2月28日、韓国は先端科学技術院らの研究グループは、リチウムイオン電池より安価で安全で環
境に優しく、携帯用電子機器に適した、わずか20秒で完全に充電することができデバイスを開
発したことを公表している。この水性貯蔵デバイス (毒性または可燃性の有機ペーストではなく
水ベースの溶液を含有)は、安全で信頼性の高い選択肢として重大な注目を集めていたが、 リチ
ウム電池より低可燃性で、(潜在的に)超廉価だが、この溶液のキャリア(電子を運ぶ物質)の
移動速度が遅いという欠陥があったが、今回、 水性ハイブリッドキャパシタ(AHC)と呼ばれる
デバイスの構造/構成を変更、負極(アノード)にグラフェンベースのポリマー鎖材料を使用す
することで、グラフェンの網目構造により表面積を極大化し、より大きな静電容量を実現。金属
酸化物ナノ粒子は、正極(カソード)材料として役立て、電気損失を最小限に抑え、より高いエ
ネルギー密度と速いエネルギー交換を実現さる。このデバイスはフレキシブルな太陽電池やUSB
スイッチング充電器などの低電力充電システムを介し20~30秒で充電でき、従来の水性電池
よりも百倍もの大きな出力密度を実現。


Polymer Chain Anode and Metal Oxide Cathode for Aqueous Hybrid Capacitors

 Conventional AHC

❑ 長寿命で高いエネルギー密度と出力密度を可能にするハイブリッドキャパシタ
  用擬似容量性高分子鎖アノードとサブナノスケール金属酸化物カソードの合成
  Synthesis of Pseudocapacitive Polymer Chain Anode and Subnanoscale Metal Oxide Cath-
    ode for Aqueous Hybrid Capacitors Enabling High Energy and Power Densities along with 
    Long Cycle Life, DOI: 10.1002/aenm.201702895  , 15 January 2018

【概要】

電気化学的エネルギー貯蔵は、安全性が高く、環境にやさしいため、非常に注目されているが、
長時間の充放電サイクルにわたってエネルギー密度と出力密度の厳しい基準を満たさなければな
らない。ここでは、擬似容量性の負極および正極を用いた高性能水性ハイブリッドキャパシタ
(AHC)を実現するための戦略が報告されている。還元されたグラフェンシート上のポリアニリン
の現場重合によって合成されたポリマー鎖は、20Ag-1の高い電流密度および高い温度でさえも、
繊維様の形態および酸化還元反応性表面積によりアノード材料として高容量を可能にする約6mg/
cm 2の負荷。 さらに、グラファイト上のサブナノスケール金属酸化物粒子は、擬似容量性カソー
ド材料として利用され、約10nmのナノクリスタルより約3倍高い容量を示す。これらのポリマー
鎖アノードおよびサブナノスケール金属酸化物カソードをフルセルAHCに組み立てることにより、
100,000超酸化還元サイクル、約100%の容量保持と共に、水性電池のそれを超える高エネルギー
密度を与えることが示されている。 さらに、AHCは、超高速充電が可能な高出力密度で、2つの
AHCを直列に装備した、ウェアラブルディスプレイキッドを切り替えることで、フレキシブル太陽
電池モジュールとUSBスイッチング充電器で数秒以内の充電を実現できる。 

 Feb. 28, 2018

Aqueous Storage Device Needs Only 20 Seconds to Go;KAIST

最強の黒グラフェンの登場で有機/無機の材料領域が融合するという状況でさらに電池/スーパ
ーキャパシタなどの電子デバイスは大きく変わる。面白い反面、情報の整理整頓に追われるハー
ドな夜が続くよ。わかるかな、この四文字熟語?働き方改革? わからないね、吾は情熱なりで
ある(そだねぇ~、それはない!彼女は上で寝てる)。

 ● 今夜の一曲

 

 

 

エネルギー地産地消

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

           ※ 経典も全部は信用しない:言経』の記録をすべて信じこむなら、
         『書経』など読まぬほうがよい。武成篇にしろ、わたしはその中
         からごく一部を学ぶにすぎない。仁者には天下に敵がないはずだ。
         最高の仁治者が極悪人を討伐したのだ。楯が血で洗われるほどの
         激戦があろうはずがない。

        〈書経〉 夏殷周の治世を述べたもの。百篇からなる儒家の経典の
             一つ。
        〈武成篇〉『書縁』の中の一篇。武正が訂正を討伐したときの血み
             どろの戦闘が書かれている。ただし今日伝わっているの
             は偽作とされている。

       ※ 戦わずして勝つ:「わだしは作戦に自信がある。獄叩得意だ」と
         いう人は、大罪に値する。仁徳のある君主なら、天下に敵はない
         はずである。南へ征伐に行けば北の蛮族から、東へ征伐に行けば
         西の蛮族から「なぜ先に来てくださらないのか」と怨まれる。
         武王が殷の討王を征伐し仁とき、兵車は三百台、戦士は三千人に
         すぎなかったが、殷の人民に向って「安心せよ、救いに来たのだ。
         危害は加えない」と呼ばわったと仁ん、殷の人民はひとり残らず
         ひれ伏した。征伐の征とは正すという意味である。自分の国を正
         してもらいたいと望まぬものはない。正すことを心がけさえすれ
         ば、戦をしかける必要はないのだ。

     No.163

【蓄電池篇:最新水性ハイブリッドキャパシタ技術】

● わずか20秒で充電 画期的な新エネルギー貯蔵装置Ⅱ

昨夜の、韓国先端科学技術院の特許事例を理解を深めるために下記に掲載。

❑ 特開2013-165267 薄膜型スーパーキャパシタおよびその製造方法

【概要】

本件は、薄膜型スーパーキャパシタおよびその製造方法に関するものであって、グラフェンある
いはグラフェン酸化物を使用して電極フィルムを製造する方法、グラフェンあるいはグラフェン
酸化物電極フィルムをパターニング技法によって独立した二つの電極に分離して、二次元電極を
形成する方法、二次元電極が有するインプレーン(in-plane)構造、集電体(current collecor)を電極に
形成する方法、および二次元電極に電解質を供給してマイクロメートル規模の厚さのスーパーキ
ャパシタを製造する方法を含む。小型化が依然として進行中である携帯電子機器は、超小型モデ
ルに次第に発展しつつあり、厚さが薄くなった機器の性能を極大化するために、携帯電子機器に
バッテリーが内蔵される傾向にある。今後、紙のように薄い携帯電子機器への進化は約束された
も同様で、これに歩調を合わせて電源供給手段(バッテリー)も非常に薄くならなければならな
いが、現在使用されているリチウムバッテリーの構造では、超薄型電子機器に適用するのは困難
である。

これを克服するために開発されたリチウム薄膜電池があるが、単位体積当たり充電能力が一般の
リチウムバッテリーより低く、製造原価は3倍も高く、リチウムを含む特性上、先天的な危険性
を含んでいる。そのため、主要応用分野である人工臓器およびマイクロロボットなどのバイオア
プリケーション分野に適用が困難である。リチウム電池に代替される未来のエネルギー保存手段
として急浮上しているスーパーキャパシタは、数秒で急速充放電が可能であり2次電池より10
倍ほど高出力で、50万サイクル以上の半永久的な寿命を示す次世代エネルギー保存装置である。
スーパーキャパシタの重量当たりエネルギー保存レベルは、従来のバッテリーの1/10レベル
であるが、体積当たりエネルギー保存レベルは、リチウム電池と類似して、最近の報告によれば、
体積当たりエネルギー密度および出力密度の両面において、むしろより優れた結果を示している。
絶対的重量が小さい超小型電子機器には、重量より体積当たりエネルギー保存レベルがより重要
であるので、薄膜型マイクロスーパーキャパシタは、超小型電子機器に非常に適した電源供給手
段である。また、希土類および重金属を全く含まないので、安価で環境に優しく、酸化還元反応
を伴わないので、爆発性の全くない安全な未来型エネルギー保存手段である。薄膜型マイクロス
ーパーキャパシタは、紙のように薄くて、アクセサリー形態の携帯電話はもちろん、マイクロロ
ボット、人工臓器、スマートカード、マイクロ電子機械システムMEMS、電子ペーパーなどの非
常に小さい電源供給装置を必要とする超小型電子機器分野において、既存のバッテリーに代替され
て使用されるものと期待されている。

スーパーキャパシタは、リチウムを全く含まないので、安全性確保の側面で最も優れた電源供給
装置として評価されている。しかし、既存のスーパーキャパシタは、一般的なバッテリーと同一
な構造を有するので、超小型化するのが容易でない。言い換えると、従来のスーパーキャパシタ
は、二つの電極、電流集電体、分離膜がサンドイッチ状に積層されるスタック構造であるので、
MEMSに使用されるように、非常に小さくて薄い形態に製造するのが困難である。特に、スー
パーキャパシタとしてグラフェンを使用する場合、スタック構造では、イオンの移動が難しく、
効率が大きく低下することもある。

上記の課題を解決するために、本発明は、基板に付着された電極フィルムの両側に集電体を形成
する段階、および前記電極フィルムをインプレーン構造にパターニングして、分離された2つの
電極を形成する段階を含む薄膜型スーパーキャパシタの製造方法を一様態として提案。また、本
件は、電極フィルムの両側に集電体が形成されていて、電極フィルムは、インプレーン構造にパ
ターニングされて、分離された二つの電極を形成している薄膜型スーパーキャパシタを他の一様
態として提案。この実施例の薄膜型マイクロスーパーキャパシタは、マイクロ電子機械システム、
電子ペーパー、スマートカードなどの非常に小さい電源供給装置が必要な超小型電子機器分野で、
バッテリーを代替または補完でき、超小型電子機器のためのマイクロエネルギー保存装置への応
用される。

図 スーパーキャパシタの構造図
【符号の説明】

10 基板  12 電極フィルム  14 スパッタリングされた金  16 電気メッキされた金


     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.12   

    ● 対談2 新しい現実をつくる  

   『エネルギーは集中型か分散型かではなく、ミックスでいく』 

                         藻谷浩介 日本政策投資銀行特任顧問

1964年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。アメリカ・コロンビア大学経営大学院修了。M
BA取得。88年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)人行後、2012年から現職。特定非営利
活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク理事長,2011年度内閣官房「東日本大震災
復興構想会議専門委員会」委員、内閣府・財務・経産・国交・総務二厚生労働・文科省等の委員
を務める。海外59カ国を巡歴(米国についでは50州すべてを訪問)している。人口成熟問題、中
心市街地、産業振興、市町村合併、地域金融、観光振興、地域再生などをテーマにしている。著
書に『里山資本主義」一(角川書店/2013)『デフレの正体』(角川書店/2010)『実
測!ニッポンの・地域力』(日本経済新聞出版社 2007)など多数。 

 小田原箱根エネルギーコンソーシアム

   日本の国際収支改善は省エネと自然エネルギーから

 鈴木 エネルギーに関して、地域でできることの可能性もすごく大きいということがわかり
 ましたし、それによって地域の自立にもつながっていく。
 それで、ちょっとここで地域の話から国全体の話に視点を変えると、一つの議論が「石炭、
 石油を買うから日本は貿易が赤字になって厳しくなる。だから、原子力でいくんだ」という
 ものですが、かなりマクロ的にグローバル経済のなかで財政収支を切り口にしたときに、わ
 が国のエネルギー政策はどういう方向になるのでしょうか。

 藻谷 まず事実を確認しておかないといけないんですが、現時点で最新の2014年4月ま
 での国際収支データを見る限り、日本の輸出は震災直後の2カ丹を除いて、それ以前と比べ
 まったく減っておりません。ちなみに今年の3月の輸出はリーマンマンショック以降では最
 高を記録しました。それなのに震災以降貿易収支は赤字になっています。なぜかというと、
 化石燃料の輸入が増えたためです。震災後には1ドル70円台の超円高になりましたから、
 その分輸入額が下がったはずなのですが、それを打ち消すくらい化石 燃料の価格高騰が大
 きかったのです。

 よく、原発をとめたせいで化石燃料輸入が増えたといわれますが、正確には「原発事故によ
 り世界中の化石燃料価格が上がった」ことが最大の要因です。さらには、緊急にLNG(液
 化天然ガス)を調達しなければならなかった電力会社が、非常に高い単価で契約を余儀なく
 されたことも大きく響いています。

 鈴木 量の増加以前に価格が相当上がったわけですね。

 藻谷 そうです。世界的な上昇に、いわゆるジャパンプレミアムが加わっています。そもそ
 も日本が輸入しているLNGの価格は、「原油価格に連動する」というおかしな契約になっ
 ている。その結果、一説には国際相場より十数倍も高い価格でLNGを買わされているとい
 われます。
 そこで、早く原発を再稼働しようという意見が出るわけですが、確かに手持ちの核燃料を使
 えばその分、化石燃料の輸入は減りますし、足元の貿易赤字にも若干の改善効果はあるでし
 ょう。ですが、発電用は化石燃料輸入の一部です。そもそも重油も軽油もガソリンも灯油も
 値上がりしているわけで、赤字そのものを何とかしたければ、日本全体のエネルギー消費を
 見直すしかありません。ましてや、いま、極端に円高に振れているのが円安に戻っていくこ
 とにでもなれば、ますます、電力関係以外での化石燃料輸入額も増えることになります。

 加えて原子力発電は、それ自体が高くつくものです。仮に手持ちの核燃料を使う分石油輸入
 が減って足元の国際収支にプラスでも、国内のエネルギーコスト全体に関してはマイナスで
 す。実際問題、アメリカでは、原発はコスト高なので多年新設がなされていません。そのう
 え今回の福島の事故で保険料が上がり、しかも技術革新でシェールガスが採取できるように
 なって、ますます原発はペイしなくなりました。使用済み核燃料の再処理で無限にエネルギ
 ーを取り出すという話も、日本ではプラントの故障の連続で実現の気配がなく、実用化まで
 いっていた英国では一部で撤退が決まっています。

 さらには、日本では核廃棄物の最終処分方法がまったく固まっておりません。各原発の構内
 で使用済み核燃料を冷やして一時的に保存しているわけですが、今回の福島第一原発4号機
 をみてもわかるとおり、これはたいへん危ない状態です。さらにこれからは、廃炉関連の廃
 棄物もどんどん出てきます。それらの最終処分場はどうかというと、どこも引き受けてくれ
 ない。金を払うからだれか引き受けませんかと言えば言うほど、危なそうだからだれも手を
 挙げない。この使用済み燃料や廃炉に関する費用まで織り込めば、原発のコストは非常に高
 いわけです。これにさらに、実際に起きてしまった福島の事故のコストを織り込めば、天文
 学的なことになるわけですが、仮に事故がなかったとしても、あるいは今後二度と事故が起
 きなくても結論は同じで、再稼働をすれば、さらに日本人の将来の負担が増え続けます。原
 発が金部とまっているのはいい機会ですので、将来の世代へのツケ回しは、ここでやめてお
 くべきです。

 そもそも電力会社の購入しているLNGはなんでそこまで高いのか。しかも、なぜ近隣のロ
 シアや東南アジアではなく、中東屋が多いのか。総括原価方式で電力料金に転嫁できるから、
 一説に国際市場価格の18倍とも聞く契約をしてきたのかもしれませんが、いずれにせよ、そ
 の水準の高さ自体が、「原発は安い」といってそちらに誘導しようとしてきた政府にとって
 も、都合のいいものだったわけです。

 鈴木 原発というのはコスト計算をきちんとするとまったく安くないわけですよね。それな
 のに国際収支を安定させるためには化石燃料よりも原発だと、国内で将来発生するコストに
 触れずに誘導が行なわれているということですか。

 藻谷 政府も一枚岩ではありません。この間、経済産業省の石油資源課長に偶然お会いしま
 したので、「この状況でさらに円安になったらどうするんですか」と聞いたんです。国際収
 支が大赤字になっちやいますからね。すると彼は「まったくご懸念の通り」と言うわけです。
 「われわれぱ不眠不休で必死にやってます。あの手この手を使って、わけのわからない石油
 連動価格のLNG調達契約を変えるために全力を尽くしています」と話していました。まっ
 たく正しい行動だと思いますが、彼らをここまで苦労させている石油連動価格などというも
 のが存在してきたこと自体、原発に誘導したい向きには好都合だったわけです。

 鈴木 驚きますね。
 藻谷 いずれにしても再稼働をすれば10年以内に各原発の構内の使用済み核燃料プールが
 満杯になります。しかも、福島の事故で一時的に下がっているウラン価格も、今後はまた上
 がっていきます。日本がこうなっても、中国もインドも経済成長には石油依存だけでは無理
 で、原発をやめられませんから。

 幸い、米国内でのシェールガス採掘の本格化で、米国の化石燃料輸入は減っていき、中東産
 やロシア産はだぶつきます。玉突きで日本の輸入するLNGも安くできるチャンスですから、
 この際調達先を多様化してバーゲニングパワーを得なければなりません。
 とはいえ、現在の極端な円高が円安方向に戻るようなことがあれば、少々の価格低下は打ち
 消されてしまいます。だから、鈴廣さんがやったように電力使用量を総量として下げるとい
 うようなドラスティックな技術革新という方向へ、日本の産業全体が行かざるを得ないと思
 います。

 鈴木 まだまだ賢いエネルギーの使い方があるはずです。前よりもっとドラスティックに舵
 を切っていくことによって、省エネルギー化も進むでしょうし、技術革新も捗るでしょうし、
 結果として電気の使用量が何割か下がれば、「原発はいらないよね」という話になります。

 藻谷 事態は石油ショックのときとよく似ています。当時も石油がドラスティックに値上が
 りしましたが、それを機会に日本中の企業が省エネ技術の開発に走ったから、日本の産業が
 その後30年以上も競争力を保ったのですブこれに対していま、原発再稼働にに一人当たりG
 DPが世界最高だったのが、最近は17位と多くの国に抜き返されています。ですが、GD
 Pが縮小したわけではなく、ゆとりや便利さが失われているわけではないのですがこの間に
 15から64歳の現役世代は6パーセント減り、65歳以上の高齢者は2倍以上に増えてい
 ますから日本経済はダメでも何でもないどころか、大健闘しています。

 そもそも、日本のように急速に人口成熟の進む国の経済が、若者ばかりだったころのような
 成長に戻るというのは非現実的です。それでもへたに成長を狙えば、労働力不足を袖うべく
 機械を増やし、化石燃料輸入でどんどん貿易赤字になるかもしれない。いま日本は中国だと
 か、韓国だとか、インドだとか、アジアの新興国すべてに対して貿易黒字です。もちろんア
 メリカに対しても黒字、ヨーロッパに対してもトータルで黒字。ではどこに対して赤字かと
 いうと、アラブの産油国をはじめとする資源国です。結局、日本は欧米アジアからお金を集
 めてアラブに貢ぐ、真空掃除機のホースのようなことになってしまっているわけです。

 だから、活路は明らかです。省エネと自然エネルギー活用を進めれば、豊かさが国内に残る
 ようになります。GDPの総額を増やすより先に、子不ルギー購入を減らすことを考えるべ
 きなのです。日本にはたいへんな省エネ技術があるのだから、スマートグリッドを含めて、
 各地域ごとにエネルギー効率を上げるようにしていけばいい。単に目先の金勘定だけ考えて
 いるのではダメで、バックアップシステムもちやんと持つことですよ。

 鈴木 今度の事故でわかったことで、原発そのものが不安定なもの、危ないものなんだ、い
 つか何かあったら大変だ、それをわれわれは知ってしまったわけですね。それを知りながら
 知らんぷりをして安心・安全な暮らしはないと思うし、豊かさがあるんだろうかと思うわけ
 です。

 藻谷 ありえません。これは、国債を発行しながら景気対策ばかりやっているのとまったく
 同じ構造です。将来に大きなツケが発生していることを内心わかっていて、それでも目先の
 利益に走っていると、人間だんだん刹那的で虚無的な気分になってくるもので、心の平安も
 失われていきます。極端な成長を追い求めるという建前をそろそろおろして、ほどはどの安
 定、ほどはどの成長を目指すという本音で語ってはどうなのでしょうか。横ばいでいいから
 豊かさが昧わえる社会にする。そうして消費者が安心すると必ず消費が伸びます。

 鈴木 そう思いますね。安心・安全な暮らしがあって、いろんな物を買おうとか、何か食べ
 に行こうということになるわけですね。そういう意味でも地域でエネルギーを見直していく
 必要がありIます……。

 藻谷 経済人がそういうことを言うのは極めて垂要で、現実にエネ経会議の人たちがこれを
 言うのは非常に価値がありますね。金融界をも含めて金勘定の立場からもどんどん本音を言
 っていいんだぞ、という流れをつくりたいですね。
 鈴木 そうありたいと思います。

-小田原箱根コンソーシアム | 湘南電力

   原発再稼働を唱える声の背後にあるもの

 鈴木 ところで、歴史を振り返ってみると、どこから原発が発達したか、まず、そこに目が
 いくわけですが、やはりオイルショックですか。

 藻谷 オイルショックで加速したんです。

 鈴木 そうすると、スタートはもっと前ですか。

 藻谷 前です。日本も原子力を扱う一等国になるぞというところからスタートしているわけ
 です。被爆国として、敗戦国として、おまえらは原子力を扱うなといわれかねなかった時期
 に、そんなこといわないで人並みに原子力を扱わせてくれという、戦後復興をやった人たち
 の血の叫びから始まっていることなのです。あの世代の人たちはいまだに敗戦のショックを
 引きずって生きていますから、ここで日本が原発を放棄するのは大きな後退だ、と受け止め
 る人もいるでしょうね。さらには、使用済み核燃料の再処理で精製されるプルトニウムを待
 っていることが、日本に潜在的な核武装力を付与しているわけで、
 日本も核兵器を待つべきだという認識の人にすれば原発は重要な存在なのです。最初に原発
 を推進した顔ぶれのなかにも、そういう層の人たちがいます。

 鈴木 原発の裏には、戦後日本の方向を巡る思惑があったわけですね。

 藻谷 いま、原発の再稼働を唱える向きには4種類あると思います。

 第1は、足元の経済成長のためには原発が必要だと、マクロ経済掌上の機械的な計算から単
 純に信じ込んでいる人。財界などの大多数はこれでしょう。とはいえ、現役世代の人口がど
 んどん減少している日本で仮に今後経済成長が加速したとしても、一人当たり電力需要がよ
 ほど増えない限り、電力の総需要は増えないわけです。ですが、それはありえないでしょう。
 日本でこれから資源多消費型の製造業がどんどん伸びるというのは非現実的ですし、他方で
 省エネ技術が進展しますから、経済成長と発電能力を結びつけて論じるのは、マクロ経済学
 を中途半端に理解している人が陥る短絡です。

 第2は、私かお話ししてきたような日本の国際収支の現実、アラブに治代を貢ぐために経済
 活動しているような状態を理解し、あるいは日本のCOご排出量を真剣に憂慮し、化石燃料
 依存を減らさねばならないと思っている人。これは論理的な考え方ですが、だからといって
 原発を継続し、輸入ウランヘの依存を高め、使用済み核燃料間速などの後年度負担を増やす
 というのは、経済的にはやはりナンセンスです。お金は省エネと自然エネルギーにまわすべ
 きなのです。

 鈴木 なるほど。私たちの方向性は、経済的にも間違っていないのですね。

 藻谷 そうです。そして第3が、戦後復興の経緯を踏まえて、世界の一等国としてせめて核
 技術の平和利用は続けたいと願っている層。第4がさらに進んで、核武装能力を保持したい、
 あるいはいずれ核武装したいと願っている層。高齢の財界人の場合には、感情としてこのい
 ずれかにとらわれている人も多いでしょうね。ですが、この第3、第4の層はいかがなもの
 か。同じく敗戦国ですが欧州の柱石としてプレゼンスを高めているドイツは、脱原発の方向
 に連んでいます。しかし、それで彼らのプライドが傷ついているという話は聞きません。

 そもそも、今回の福島原発の事故で国土が損なわれたことに、国のプライドにこだわるよう
 な連中があまり・にも鈍感ではないかと、ぼくは情っているんです。中国が相手の尖聞問題
 ではあんなに怒っている連中です。仮に福島原発の事故原因が北朝鮮のテロだったりしたら、
 頭が沸騰しかねないでしょう。ところが、今回は日本人自身の失敗だったために、連中はだ
 れも怒っていない。先祖が営々と耕してきたあれだけの面積が損なわれていることに対して
 だれも怒りをぶつけない。だれも責任を取っていないし、裁かれてもいない、そこに暮らし
 ていた人たちのことにまで考え及ばない、国益といった抽象的なものしか考えない人であっ
 たとしても、子孫の幸せよりいまの繁栄が大事という人であったとしても、ここまで国上が
 損なわれたことについて、せめて国土や先祖に対して申し訳ないという感情が湧いてこない
 ものなのでしょうか。抽象的な国というものだけを愛していて、具体的な国土は愛していな
 いというのは奇妙です。

  小田原箱根エネルギーコンソーシアム

 ちなみに戦争のときにも同じことが繰り返されました。戦災で日本国中の主な町がみんな丸
 焼けになって、先祖から伝わったものすごい数の文化財を焼失してしまったのに、ほとんど
 の日本人がそのことについてまったく痛みを覚えていません。仮に、日本を含むアジア中で
 尊い人命が失われたことについては痛みを覚えないような冷血な人だったとしても、仮にも
 国を愛するというのであれば、文化財の喪失くらいは惜しんでほしいものです。そのような
 事態を招いた責任者は日本人自らの手で裁くべきだったでしょう。

 ところが、われわれには責任はなかった、東京裁判はけしからん、そんなことばかりしか言
 わない。やられたのが悔しい、そんな思いしかない。これは子どもの論理で、大人とはいえ
 ません。

 鈴木 それは政権の中枢にいる政治家にもいえることではありませんか。

 藻谷 中枢から路地裏まで日本中に、戦争やら事故やら不景気やら、「悪いことは何でも、
 自分のせいではなく他人のせいだ」と考えるこの子どもの論理は蔓延しています。「他国並
 みにならないと侮られる」と思って必死に背伸びするのも、同じく子どもの論理ですね。

 鈴木 そうした論理に支えられた、原発は何かあっても持ち続けたいという、大きな圧力が
 あるということですね。

 藻谷 圧力は直接はないけれど、そういう思いがあるであろうということに、お互いにおも
 んぱかって行動しているわけです。

 鈴木 何か見えないものにみんながみんなおびえている気がしますね。

 藻谷 だれからも指示は出ていない。だけど、こういうふうに指示がくるに違いない、とい
 う読みで動いている人が多い。結果としてだれかの。指示に従ったのと同じことになってし
 まう。権力を行使している奴は実はいないのに、皆が同じ方向に動く。そういう怪談話めい
 た現実があるのは確かです。

 鈴木 お互いにおもんぱかっているとおっしゃいましたが、だれかの意思というのがその根
 底にあるということではないんですか。藻谷 ずっと捜しているんですが、発見できない。
 つまり、ないのでしょう。

 鈴木 ないんですか?
 藻谷 私は最近、日本人というのはイワシの群れに似ていると感じています。水族館の太水
 槽で見ていますと、リーダーはいないのに瞬時に群れ全体が方向を変える,それぞれが自分
 の横のイワシについていく習性を持っている結果、先頭あたりの個体の些細な動きが、群れ
 全体の動きとして増幅されてしまうのです。太平洋戦争もそうだったのでしょう。日本人全
 員が死を覚悟するところまで追い詰められたのに、終わったときに「これは俺の責任だ、腹
 を切らなければ」と思った人が中枢にはだれもいなかった。実はだれも全体を誘導したわけ
 ではないのです。東条英機はなぜ自分の責任だとは思わなかったのか。彼の認識では、彼の
 意思で戦争を始めろと指示を出したわけではないからです。だれかがそう指示するであろう
 とおもんぱかっただけなんです。

 鈴木 実は、この間、上智大学でシンポジウムがありまして、政府がこれからのエネルギー
 をどうするか、エネルギー・環境会議が去年の7月から20回ぐらい議論をしてから20な
 いし25パーセントの範囲で選択肢を出すことになっていたんですが、本当は2012年春
 の3月くらいに笞申しないといけなかった。最終的に決めるのは8月ですが、8月までの間
 に国民的議論をしますというシナリオで勤いていたのが、いまだに選択肢が決まらずに、6
 月29日に、ようやく ……。

 藻谷 国民的議論なんか全然されていないですよね。

 鈴木 ええ。8月に決めるということは7月からの1カ月で国民的議論をするという話にな
 っていて、実はこのシンポジウムというのは25人くらいの委員のうち4人が参加して、委員
 会でどのような議論がなされたか、どのような議論が足りないと思っているのか、そういう
 ことを話してもらったんです。私も第2部でパネリストに呼ばれたんですが、委員会に入っ
 ていない人から委員の人たちに質問をしました。そのとき、強く感じたのが、こういうふう
 に日本の将来に関係する犬切なことが決められていくのか、これはえらいことだ、というも
 のでした。国民的議論をこれからやるとおっしゃっているんですが、1カ月でどうやってや
 るのか、委員の人たちが何十回も議論してまとまらないのに。

 藻谷 そりゃ、まとまらないでしょうね。

 鈴木 これまでパブリックコメントやりました、タウンミーティング何回かやりました。一
 応、これで国民の皆さんの意見を聞きました。これが原発にかぎらず、すべてのテーマにつ
 いてのこれまでの国民的議論だったようですが、そうすると目本には民主主義があるのかと
 疑問を感じてしまうし、だれが委員会をコントロールしているのか、だれがどういう意思で
 どういう方向に持って行こうとしているのかまったく見えないわけです。

 藻谷 多くの委員は、お互いにおもんぱかっているだけで、確たる意思はないのです。先ほ
 ど4種類の思惑を挙げましたが、経済成長のために、あるいは貿易赤字脱出のために原発は
 必要という程度の抽象論では、原発にはコストがかかりすぎるという具体論すらはね返せな
 い。一等国として原子力を持ち続けたいと思う人も、所詮「他国に侮られたくない」という
 感情にとらわれているだけで、「原子力を続けてくれ、何かあったら俺が全責任を取る」と
 いうような、大人としての意思までは示さない。

 他方で経団連も何を考えているかまったくわからない。原発を再稼働するよりも、国全体と
 して省子不機器とか省子不建築、自然子不ルギー開発のほうヘシフトしかほうが、絶対に儲
 かる会社が多い。原発を推進しても、ごく一部の会社しか儲からない。なのに、なんとなく
 おもんぱかって、経済成長のためには原発は必要というような抽象的な文句だけを唱えてい
 ます。

 鈴木 電力会社はどうですか。

 藻谷 彼らの本音は「すでにある原発に関する責任だけ押しつけられて、経済産業省からハ
 イ、サヨウナラされてはかなわない」ではないでしょうか。それから東電以外の各社には「
 東電と一緒にされてはかなわない」という思いもあるんです。確かに閃電以下、東電以外の
 各社は、東電よりはずっと慎重に原子力を取り扱ってきていて、これまでの事故件数も少な
 いのです。だから、ひたすら既定の方針の維持を主張する。

 神奈川新聞 Dec. 19, 2016

 鈴木 まっとう.という言い方が適当かどうかわかりませんが、私たちが電力会社に期待し
 ているのは、まっとうな考え方です。「わが社ってこういうふうになりたいね」とか、もっ
 といってしまうと、将来、自分の子どもに対して「われわれの世代の努力でこういう世の中
 にしてきました」とか、理想と現実にはギャップがあるけれども、自分の会社は理想へ向か
 って努力してきた、といいたいと考えるのがまっとうな経営者だと思うわけですが、電力会
 社はどうなんでしょうか。

 藻谷 高品質の電力を大量に安定的に供給する、という理想に向かって努力してきたと考え
 ているのです。確かに料金は高いが、諸外国にあるような大規模停電はないし、災害時の復
 旧も早い。応対もサービスも丁寧です。ですが、これまではそれで十分たったけれども、こ
 れからもその延長でやっているだけでは、日本はエネルギーのコストで沈んでしまう。化石
 燃料輸入継続、原発再稼働、いずれもコストアップの地雷原です。そこにきて人口は減って
 いるし、最初にお話ししたように、そろそろ集中型システムに分散型システムをミックスし
 ていったほうが、長期的な利益にかなう情勢になってきている。高度成長期のままのやり方
 は改めるべき時期なのです。

 ところが電力会社がそうした新たな時代認識の下に、新たな理念を持ってやっているかとい
 うと、経営幹部は「自分が辞めるまでは既定路線のままでいてほしい」という意識です。職
 員も、個人個人は地域を愛する、意欲もある人が多いんですが、組織全体としては銀行と似
 ていて、自分たちが仕事をすることによって地域が大きく発展するとか、そういうことは念
 頭にありません。何とか売り上げを増やして目先のコストを下げようとばかり考えているん
 です。

累積国債発行数と累積核リスクを同次元で喩えることには首をかしげたが対談内容に異論はない。


                                    この項つづく

 ● 今夜の一曲

ポロネーズ第11番ト短調、フレデリック・ショパンの1817年の作曲したピアノ独奏曲、作曲者が
わずか7歳(8歳)の作品

 

エネルギーと屋内農園

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

         ※ コツは教えられない:大工や車大工が弟子を敦えるとき、指し金の使
              い方を教えることはできる。だが微妙なコツは、教えることができない。

         ※ 不仁にして国を得る者:なるほど不仁な人間が一国の君主になること
              はある。だが、不仁な人間が天下を治めることはあり得ない。

          ※ 民を貴しとなし、君を軽しとなす:人民がいちばん貴い。次が社稜(
       国家の守護神)、君主はその下である。人民の信頼を受ければ天子にな
       れるが、天子の信頼を受けても諸侯にしかなれない。諸侯の信頼を受け
       てもせいぜい大臣だ。社稜をないがしろにする諸侯はとりかえてもよい。
       肥えた犠牲(いけにえ)や清浄な五穀を供え、時節をたがえず祭っても、
       干ばつや洪水を起こすような社稜なら、社稜もとりかえてかまわない。
 
      【解説】 孟子の王道論には、民本思想が多分にあるが、「民を貴しとな
       し、君を軽しとなす」のことばは、それを端的に表わしたものとして有
       名である。君主専制時代には、湯武放伐の章とともに、とかく非難の的
       になった。

従来から、光半導体の一種である酸化チタンは様々な化粧料――基礎化粧品、洗浄料、頭髪用化
粧品、育毛剤、デオドラント化粧品、制汗剤、ファンデーション、白粉、化粧下地、ほほ紅、ア
イシャドー、アイブロウ、口紅、さらには固形石鹸、日焼け止め等に用いることができる化粧料
および医薬部外品――の添加剤に用いられている。例えば、雲母や合成マイカに酸化チタンを被
覆した雲母チタン(いわゆるパール顔料)は干渉光をもつが、化粧料に適当な発色と光沢とを付
与したい場合に好適に用いられている。一方で、酸化チタンは、光が照射される等の所定の条件
が整うことにより有機物の分解性や超親水性を発揮する「光触媒」としても近年脚光を浴びて、
光触媒作用を利用れている。しかし、化粧料の添加剤として用いられている酸化チタンは、その
光触媒作用は必ずしも充分なものではなく、優れた有機物分解能、特に細菌やウィルスを分解す
る作用を有した化粧料の開発が期待されていた。

この背景には、アトピー性皮膚疾患やハウスダストに代表される粉塵に起因する皮膚疾患に悩ま
される患者が多くなっていることが背景としてある。上図のDR.C医薬株式会社の「花粉を水に変
えるマスク」はこの期待に応えるようにして登場しテレビでCMビデオが頻繁に流れるている。
このブログでも掲載していきたが対象物の補足・飛散防止機能に注目し、光触媒による殺菌・分
岐機能には断念ながら注目せず、マスクによる眼鏡の曇り防止に注目してきた。このように「化
粧品」に特化した機能性ファウンデーションから衛生マスクの商品開発に応用展開するパターン
はDR.C医薬株式会社ではならずのものである。どの程度効果あるのか、自己検証はこれからであ
るが今夜は、同社の保有特許/知財の理解に努めた。 



❑ 特開2007-137808  化粧料 岡崎 成実

【概説】

この化粧料によれば、少なくとも光半導体粒子と金属粒子とを構成要素とする光触媒機能体を含
有すること、により解決される。また、この化粧料にあっては、前記光触媒機能体が、前記光半
導体粒子と前記金属粒子のみならず、物質を吸着する性質をもつ吸着剤も構成要素とできる。ま
た、この化粧料は、光触媒機能体を構成する光触媒粒子が、アナターゼ型の酸化チタンとルチル
型の酸化チタンで、金属粒子が銀で、この化粧料にあって、光触媒機能体の添加量が、化粧料全
体に対し、0.01~50質量%であるり、レハロース――キノコ類、海藻類等広く自然界に存
在する非還元性の二糖類であり、高い保湿効果を有することが知られている。医療用としては、
臓器の保存や角膜の乾燥防止等に使用されており、高い細胞保護効果をもつ――を含有し、その
ため、この化粧料に含有させた場合には、光触媒機能体の有する酸化作用から肌を保護すること
ができ、また、脂肪酸の酸化やアミノ酸の分解を抑制する作用もと、光触媒機能体の酸化作用か
ら化粧料中の成分を保護して品質の劣化を防ぎ、化粧料の香気を安定に保つ。肌に適用した際に
は、人の皮脂の酸化を抑制して2-ノネナール等の悪臭成分の発生を防止するため、光触媒機能
体による悪臭成分の分解作用に加えてさらに高い消臭効果を発揮でき、トレハロースの保水機能
により、化粧料を肌等に適用し光触媒機能体が肌に付着した細菌や粉塵中の有機物成分を酸化分
解によって生じた水分を保持し、外部から水分を補給することなく、肌をしっとりと保もてる。

なお、トレハロースの含有量は特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましい、
他の化粧料成分との比率やトレハロースによる粘度の上昇を考慮して、化粧料全体に対し20質
量%以下であることが好ましい。従来の化粧料と異なり、単に酸化チタンの発色や光沢を利用す
るのではなく、酸化チタンに体表される光半導体粒子と、当該光半導体の機能を向上させる金属
粒子で、優れた光触媒作用を発揮、また、アトピー性皮膚疾患や様々な細菌に起因する皮膚疾患、
粉塵に起因する肌荒れ、汗による悪臭等を効果的に防止できる。


【符号の説明】


 1 光触媒機能体  1a  光半導体粒子  1b  金属粒子  2   吸着剤

     No.164

【省エネ篇:閉鎖生態系工学】 

● ニンニクの屋内農園でわかったこと

ニンニクをインドアーで安く生産できないか調査をはじめ、このブログテーマの1である「植物
工場」の応用展開の現況を僅か1日で知ることができた。結論から言ってしまえば、❶省エネで、
❷ゼロ廃棄物で、❸気候変動に左右されず、❹自然エネルギーを使って(=エネルギーフリー社
会の実現)、❺ハーブ、緑青野菜、根菜類などの栽培が、❻手軽に、新鮮に、安く手収穫できる
時代に突入していると。まず、ニンニクの栽培には、太陽光が要10時間/日で、猛暑・多湿回
避での環境下であれば、屋内水耕及び土壌の両栽培は誰でも行える(上図参照)。

    

今夜の調査で注目したことは2つある。その1つが、併載系生態工学――宇宙開発、とくに有人
宇宙活動におけるさまざまな生態工学的な取り組み、地球環境問題の解決のための陸域環境や水
圏環境での取り組み、農業やエネルギー問題についての生態工学的なアプローチ、センシングや
光と生物の問題など、生態工学の基礎となる学問分野――の研究がこの日本で30年間なされて
きたことを体系的に知ることができたということである。もう1つは、スプラウト養育を別にし
露地栽培、必要太陽光(=日照)時間についてである。発光ダイオード照明を前提して、ニンニ
クの場合、❶有用波長領域(例えば光合成吸収)の確定と、❷生育エネルギー源としての波長領
域の確定であり、❸例えば、波長変換フィルムとの併用(多層化)で無駄なエネルギーの有効利
用に転換する技術とはなにかという命題である。そのほか、❸との絡み意匠性を校了した、育成
ボックスの透視部あるいは内壁部位の光反射機能化及びマジックミラー化などである。このいず
れも特許地代との直結する。以上、これで実践のみをサスペンドする段階に到達した考えている。
いや、面白い「エネルギーフリー社会と屋内農園」の融合だ。

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.13   

    ● 対談2 新しい現実をつくる  

   『エネルギーは集中型か分散型かではなく、ミックスでいく』  

                         藻谷浩介 日本政策投資銀行特任顧問 

 

1964年山口県生まれ。東京大学法学部卒業。アメリカ・コロンビア大学経営大学院修了。M
BA取得。88年日本開発銀行(現日本政策投資銀行)人行後、2012年から現職。特定非営利
活動法人ComPus地域経営支援ネットワーク理事長,2011年度内閣官房「東日本大震災
復興構想会議専門委員会」委員、内閣府・財務・経産・国交・総務二厚生労働・文科省等の委員
を務める。海外59カ国を巡歴(米国についでは50州すべてを訪問)している。人口成熟問題、中
心市街地、産業振興、市町村合併、地域金融、観光振興、地域再生などをテーマにしている。著
書に『里山資本主義」一(角川書店/2013)『デフレの正体』(角川書店/2010)『実
測!ニッポンの・地域力』(日本経済新聞出版社 2007)など多数。 

 
   原発再稼働を唱える声の背後にあるもの

 鈴木 原発の仕組みをつくっている巨大企業、そういう会社は日本だけでなく世界的に影響
 力を持つ仕事をしているわけですが、そういう会社のトップから「うちは日本でこういうエ
 ネルギーをやりたいと思います」「自分の会社はこういう方針でいきます」と、そういうコ
 メントがなぜ聞けないのかと疑問を感じます。
 藻谷 オーナー企業ならばいえると思いますが、サラリーマン経営者は、先輩だの現場だの
 いろんなところにおもんぱかって、既定路線をなかなか崩せません。既存のシステムのなか
 で勝ち上がってきた人ですから、そもそもシステムを変える必要性を感じていない場合も多
 いでしょう。

 鈴木 残念ですね。原発そのものをつくっている会吐も同じですか。
 藻谷 日立、東芝、三菱重工ですね。この3社はいずれも素靖らしい省エネ技術を持つ会社
 でもあるんですね。鈴木 そうですよね。再生可能子不ルギー関連の技術も持ってますよね。
 藻谷 原発は彼らの社内では一部門でしかないわけです。とはいえ、手がけてきた以上はも
 っと儲けたいでしょうから、当然再稼働に賛成でしょう。ですが、原発が再稼働しくても、
 廃炉にしても、すでにある使用済み核燃料の処理にしても、これから莫大なお金のかかる世
 界があるのですから、本当はそっちに絞ればいい。他方で、新子エネルギー関連の部門を伸
 ばすチャンスが増えるわけですし、万が一の事故の場合の訴訟リスクも減りますし、もっと
 も、今回はGE製の古い炉が原因だったので、彼らは責めを負わずに済んでいるわけですが。

 鈴木 あの人たちがコ介に日本の将来を考えて、再生可能エネルギーに舵を切ることを考え
 るべきだと思います。
 藻谷 少々心配なのは、先はどから述べている第4の考え方、日本は核武装能力を持ってお
 くべきであると考える勢力の影響ですね。特に三菱垂工は白身が兵器メーカーでもあります
 から、なおのこと再稼働反対などとは言いにくいでしょう。ですが、言う、言わないに関係
 なく、社内では省エネルギー技術、再生可能エネルギー技術にシフトしていってほしいです
 ね。アジアマーケットで考えても、アジアに原発を売って儲けるよりも省エネ技術を輸出す
 るほうがはるかに市場は大きい。わかりきったことなのに、なんとなく何やかやにおもんぱ
 かって踏み切れない。

 鈴木 そういういろんなことがあって、なおかつ、今度の原発事故で電気料金が上がったり
 すると、もっときびしい。だから、とりあえず電気だけは安定してこのままでいきたい、原
  発を動かしてくれ、そういう経営者が多いわけです。

  藻谷 電気料金の値上がりは化石燃料価格の上昇が原因で、これは少々原発が稼働したくら
 いでは解消に向かいません。再稼働で使用済み核燃料が増えれば、さらに将来の負担が増え
 ることになります。それから関東地方の場合、そもそもどこの原発が稼働して電気を送って
 くるのでしょうか。東北電力エリアである福島や新潟の原発が、東京のためといって、そう
 そう簡単に動くとは思えません。つまり省エネをすすめ、地域独自のエネルギーを生む努力
 をしていくしか、具体的な対処策はないのです。電気料金が高いと、海外への工場移転が加
 速するという懸念の声も聞きます。ですが中国でも韓国でも子不ルギーを化石燃料輸入に頼
 っているという事情は同じです。そもそも、コストが安いというだけで移転すれば、その後
 は年々コストアップに悩まされることになってしまいます

   本当の国際競争力、本当の豊かさとは

 鈴木 日本企業がかつて多数中国に進出したのは人件費が安いからだということですが、逆
 に中国の労働者の立場で考えたら「なんであなたたちがきたか知ってるよ。私たちの給料が
 安いからでしょ」ということですから、やることは決まってますよね。賃上げ交渉が始まり、
 労働 争議が頻発し、結果的に人件費が上がります。
 藻谷 中国も少子化で労働力も足りなくなってきていますからです。

 鈴木 そうですね。結果的に商売ができないから、またよその国に行く。どこまで繰り返す
 のでしょうか。
 藻谷 そもそも最近の工場海外進出は、低コストを求めていくのではなく、将来の市場にあ
 らかじめくさびを打ちにいくのです。インドネシアが典型で、6億人の東南アジア市場開拓
 のために行くわけです。ところが中国では、13億人対応の分か飽和してしまったので、工
 場の新規進出はぐっと少なくなりました。6他人しかいない東南アジアも、このままではも
 っと早く飽和します。

 その次は周辺合わせて16植人いるインドですが、インドはインフラの整備状況一つとっても、
 中国よりもずっと難しいところですね。それはともかく、中国というメインディッシュをい
 ただいてしまった後は、デザートやつまみしか残っていないのです。このように資源が枯渇
 していき、市場が飽和していくなかで、生き残るのはだれかというと、欧州の一部企業のよ
 うにブランドを確立して商品を高く売っているころなんです。安いものを安く売っていると
 ころは業界全体がおかしくなってしまう。その典型が、汎用半導体とかカラー液晶パネルと
 か、「全社赤字ですよ」という分野です。そういう事実を知らずに、「日本はサムスンに負
 けた」と騒いでいる人が大量にいるわけです。

 鈴木 サムスンの話が出ましたが、サムスンは韓国の会社だから「韓国に負けているんだ」
 という論調があります。ところが、国際収支統計では日本が黒字です。なおかつ、サムスン
 の中身を見ていくと、サムスンをだれが持っているのかというと、株主はほとんどが世界資
 本であるわけです。サムスンは韓国の会社じゃないと思うわけですが、そのへんはどうです
 か。
 藻谷 サムスンは韓国内にはあまりお金を落としていません。ごく一部の人を雇っているだ
 けで、工場は海外にありますし、韓国の実際の豊かさの向上には貢献していないわけです。
 業界構造として利益が出にくく、そういうやり方をしないと生きていけない会杜なんです。
 日本の電機メーカーにも同じことがいえます。結局、国際競争力というのは、どれだけ輸出 
 できるかではなくて、どれだけ人件費を払えるかということなんだと思います。

 鈴木 なるほど、人件費が払える国こそ競争力の高い国ということですね。
 藻谷 スイスのビジネススクールTIMDが作成している国際競争力指数で、日本がトップ
 クラスだったバブルのころは人件費が高かったのですが、いまは人件費を削り倒して輸出を
 増やす国になってしまいました。
 バブルのころは42兆円だった輸出が、2011年は63兆円と、1・5倍に増えたわけです。
 輸出がI・5倍になったから指数が上がったかというと、1位から23位に落ちてしまった。

 鈴木 実感としての豊かさがないですしね。今日は意義深いお話をたくさんありがとうござ
 いました1た。おうかがいしたいことがまだたくさんあります。今後ともよろしくお願いし
 ます。

                       2012年6月29日 鈴廣蒲鉾本店にて

結局のところ、テーマの「エネルギーは集中型か分敢型かでぱなく、ミックスでいく」の詳細な
ことは触れずに、「脱原発/自然エネルギー転換」の基調背景が主として経済的側面から語られ
るにとどまる。次回は、河野太郎衆議院議員との『3・11以後は、この国のありようを変える
チャンス』に移る。



● 今夜の一枚

  

湖底に大量核廃棄物

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

         ※ 悪口:貉稽(はくけい)がこう言って訴えた。「わたしは何かにつけ
       人から中傷されて困ります」

       孟子は言った。「そんなことを気に病むことはない。俗物どもに悪口
       のひとつも言われぬようでは、むしろ士ではないのだ。。悩みはたえ
       ず 小人どもの悪口にかかるゆえと詩経にうたわれている。孔子のば
       あいがこれだった。また、俗衆の非難はたえず されど誉れはとこし
       えにともうたわれている。文王ののばあいがこれだったのだ。

      ※ 少ないほどよいもの:徴税には、織物税、年貢、労役の三種がある。
       君子はそのうち一つだけを徴収し、あとの二つはごく軽くする。二つ
       を徴収すれば餓死者がでる。三つともとりたてれば一家離散だ。

     ※ 三つの宝:諸侯には宝が三つある。土地と人民と政務とである。宝石
       だけを宝と思ってい災難がぶりかかる。

      ※ 来たる者は拒まず:孟子が滕の国へ出向き、迎賓館に泊まったときの
       ことである。館の人が作りかけのわらじを窓ぎわに置きっぱなしにし
       ておいた。それが不意になくなり、探してもみつからなかった。「お
       見事です。あなたのお伴の方もやりますな」
       ある男がこう言うと、孟子は、「連中がわらじを盗むために、わたし
       について来たと思っているのですか。あるいはそうかも知れません。
       わたしは弟子をとるとき、去る者は追わず、来たる者は拒まず、とい
       うことにしています。学ぶ意志さえあれば、だれでも弟子にしていま
       す」 

 

 

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.14    

    ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『3・11以降は、この国のありようを変えるチャンス』   

                              河野太郎 衆議院議員・現外務大臣 

自民党所属。1963年神奈川県生まれ。慶臆義塾大学経済学部中退。アメリカ・ジョージタウ
ン大学卒業。アメリカ滞在中、ワシントンで政治活動にもかかわり、アメリカの大統領選挙に立
候補したアラン・クランストン上院議員の遺財本部の財務部門でボランティアをしたり、リチャ
ード・シェルビー下院議員の下でインタjンを務めた。帰国後、富士ゼロックスに入社。2年間
のシンガポール勤務などを経て、日本端子に入社。1996年に衆議院選挙で初当選。核燃料サ
イクルには明確に反対しており「原子力は経済採算性は合わない≒原子炉の新設はしないという
ことを政治主導で決めるべき」と語っている。著書に『私が自民党を立て直す』(洋泉社新書/
2010)『原発と日本はこうなる南に向かうべきか、そこに住み続けるべきか』(講談社/2
011)『「超日本」宣言わが政権構想』(講談社/2012)、共著に『「原子カムラ」を超
てポスト福島のエネルギー政策』(NHKブックス/2011)などがある。

  使用済み核燃料問題から考える

 鈴木 今日はお忙しいなか、お時間をいただきましてありがとうございます。
 河野 とんでもない、こちらこそ、よろしくお願いします。

 鈴木 河野さんは「3・11]」以前から原発の危険性、いろいろな問題点について指摘を
 されてきたわけですが、恐れていたことが「3・11」に続く福島第コ原発事故というか
 たちで実際に起きてしまいました。いま、どのようにお感じになっておられますか。

 河野 もともと日本の原子力は石油を補完するということでスタートしました。ウランは全
 量輸入ですし、石油と同じで年数にかぎりがありますから、ウランを燃やした使用済み核燃
 料を再処理してプルトニウムを取り出して、高速増殖炉をつくって、プルトニウムを増やし
 ながら発電するのだから、電力は2000年は大丈夫という絵を描きました。
 ところが、50年の歳月と2兆円以上の全をつぎ込んだ高速増殖炉は政府の一番楽観的な見通
 しでも2050年まではできません。最初から高速増殖炉でプルトニウムを増やすんだとい
 っておりましたから、使用済み核燃料はイギリスとフランスヘ持っていって再処理をして、
 プルトニウムをどんどん取り出していて、日本が持っているプルトニウムはトータルで45ト
 ン、アメリカの核弾頭に積んであるプルトニウムが38トンですから、それより多いプルトニ
 ウムを持っています。でも、「もんじゅ」はとまっていて、高速増殖炉は早くても2050
 年まではできません。じやあ、45トンものプルトニウムはどうするのか。それから、プルト
 ニウムを取った残りのゴミは最終処分地が決まりません。

 これは何万年という長い期間にわたって人類から隔絶しないといけないというくらい放射能
 が強いものです。さらに原発から出てくる使用済み核燃料もプールに入れて冷やしているわ
 けですが、プールがいっぱいになりつつあります。3月10日の時点で「あと10年くらいしか
  持たない」「あと10年で原子炉はとまるよ」という状態でした。つまり、全部のステージで
 問題です。だからコ院、立ちどまって考え直さないと行き詰まりますよ。
 そういうことをずっと申し上げてきたところに「3・11」が起きました。安全だといわれ
 た原子炉が事故を起こして、爆発までして、それで、みんな目が覚めたというか、お金を握
 らされて黙っていたマスコミも、もはや、黙っていられなくなって報道するようになって、
 世の中にこの問題がインプットされるようになりました。特に核のゴミは使い始めたときか
 ら何万年も「この放射能どうするの」という問題があるけれど、技術が進歩したら何とかな
 るさと思っていて、いまだにこれがどうにもならない。何とかなるではなくて、何とかなら
 ないかもしれないから、いま、打てる最善の手は何だろうということをきちっと考えなけれ
 ばならなくなりました。

 鈴木 何とかしないといけないと思いますが、いまだにどうにもならないことを認めていま
 せんね。「もんじゅ」にしても、高速増殖炉にしても、勤きますということを前提にしてい
  ます。
 河野 そうですね。核のゴミも処分地は何年に決めますという目標はありますけれども、も
 はや、それには問に合わないというタイミングになっていますし、余っているプルトニウム
 もどうしていいかわからない、高速増殖炉は目標では2050年までにと言ってますが、そ
 れまでにできるとはだれも思っていない。ぎりぎりまで「できます、できます」と言ってお
 いて、いざ、ぎりぎりになったら「ごめんなさい」という「できない体質」みたいなものが
 ある。

 鈴木 世の中の常識としてできないことを「できるかもしれない」と言って放っておいて、
 将来の世代に先送りしてしまう。責任ある大人のやることではありません。
 河野 そうですね。特に核のゴミの処理には何万年もかかるものですが、10万年前といった
 ら人類もいなかったわけですし、10万年後も日本列島が今のかたちをしていることは、たぶ
 ん、ない。それなのに、何万年という気の遠くなるような長さの話を普通にしているという
 こと自体、ちょっと大丈夫かなと思ってしまう。

 鈴木 フィンランドのオンカロという原子力廃棄物処理施設を取り上げたドキュメンタリー
 映画『100、000年後の安全』では廃棄物が埋められていることを10万年先の人類にど
 うやって伝えていくか、科学者が一生懸命説明しようとしている、笑えないブラックユーモ
 アというか、観ていて背筋が寒くなりましたね。
 河野 フィンランドはそこへ哲学者や宗教家、いろんな人を入れて、「ほんとにどうする?」
 という議論をかなりオープンにやっています。ところが、日本の場合は専門家といわれる、
 いわゆる「原子カムラ」と鄭楡される住民ばかり集めて「なんとかなります」という結論だ
 けを外に出してやってきました。




  なぜ原発を続けていく必要があるのか

 鈴木 どうして、それまでして原発を続けていかなければならないのでしょうか。
 河野 スタートは石油ショックなんです。石油一本足では不安だというので原子力をスター
 トさせたんです。そこは問違っていなかったと思います。
 あのころ、太陽光とか、風力といってもサイエンス・フィクションみたいなものでしたから。
 ただ、高速増殖炉が20年後にできるはずだったのが、いつまでたってもできない。計画がど
 んどん後ろへ押していく。その一方、原子力の発電所をつくらなければいけなくて、そこに
 どんどんお金が流れ込んで、利権化してしまいました。つまり、スタートはよかったんだけ
 れども、だんだん状況が変わってきて、状況の変化に合わせて政策を変えるべきなのに、ま
 ったく変えられなかった。
 今度はその利権を守るために、「原子カムラ」と呼ばれる構造体ができて、外の人間にはわ
 からないようないろんな文書をつくって、自分たちの既得権を強引に守ろうとしたのが現実
 で、そこに手を入れるはずの専門家もムラの一員、経産省も天下りでムラの一員、マスコミ
 も広告宣伝費でムラの一員になりました。こういう構造になってしまったんです。

 鈴木 本来なら、そういう原子カムラがあったとしたなら、いろんな利害関係が存在するわ
 けですから、政治がそこにきちっとしたメスを入れて判断をしないといけないわけですね。
 河野 中曽根さんの強いりIダーシップでやろうよということで始まった。ところが、途中
 でおかしくなって「どうする」となったとき、実は政治も電力業界からお金をもらっており
 ました。当時の野党は電力の労働組合からも票をもらっていました。結局、関係の深い議員
 ぱ原子カムラのなかにいて、むしろ、政治が原子カムラを護送船団で守ってしまった。そう
 いう体制を与党としてつくってきたのは自民党ですから、自民党として真摯に反省しないと 
 いけないし、なんでそうなったかを点検しないといけないと思います。政治が見ていて「こ
 の選択はズレてきた」と思ったときにとめて点検をするという機能が働かなかったのが現実
 であり、残念です。

 鈴木 自民党時代もそうであったように政権が民主党に代わってからも、私たちからは見え
  ないことが多い。スタートで働いたりーダーシップが、「どうする」となったとき働かない
 のはなぜでしょうか。
 河野 自民党時代は利権構造というか、当時、与野党双方にお金と票がばらまかれていたわ
 けですが、実はマスコミもその構造のなかに絡め取られていたわけですね。実はいろんな方
 が声をあげていらっしゃったんです。当時の佐藤栄佐久・福島県知事ですとか、学者でいえ
 ば石橋克彦さんのように浜岡原発が地震で危ないとか、あるいは坂本龍一さんのように再処
 理工場はこれでいいのかとか、いろんな方々が警鐘を鳴らしておられたんですが、利権の構
 造が堅くて、たとえば芸能人が「反原発」を言おうものなら干されるといった状況すらあっ
 たわけです。

 鈴木 そのような経験を文化人からもよく聞きますよね。
 河野 原子カムラから「批判をしろ」みたいな指示が出て、コ介に攻撃されてしまう。

 鈴木 いま、国民の間には、いろんな認識レベルがあると思いますが、河野さんが言われた
 ようなことを知るにつけて、原発を使うのか使わないのかの問題を含めて、国民的議論がな
 された形跡がないように思います。国民的議論は可能なんでしょうか。

                                   この項つづく
 

【湖底に大量核廃棄物の時限爆弾】

毎年、ユタ州とアリゾナ州の国境をまたぐ巨大な人工水域であるパウエル湖には、300万人も
の人々が訪れる。輝く赤い岩崖の下では、貯水池はジェットスキー、モーターボート、ウイニバ
ーゴ族のボートハウスがひしめく観光の湖だが、これは表面上話、夢のような南西部の4千万人
の人々に飲料水を提供するパウエル湖だが、暗い湖の下には不吉な遺産――推定2万6千トンも
の放射性廃棄物――が潜んでいる。

 Lake Powell

 Mar. 6, 2018

  Lake Powell

  White Mesa Uranium Mill

1940年代から1950年代にかけて西部からのウラン流入時には、コロラド川のほとりに巨大な鉱床
が隆起している。例えば、1949年、米国のバナジウム社が建設したホワイト・キャニオン選鉱所
は、米国情報の自由法( Freedom of Information Act request)に準拠し、1日あたり20トンの鉱
石を粉砕し、硫酸、リン酸トリブチルなどで処理。失われた魂の川の著者であるジョナサン・ト
ンプソンによれば、1トンの鉱石で約2.3~2.7キログラムのウランを生産すると、河川周辺
1日に1万7,690キログラムの尾鉱が堆積する。 1953年の工場閉鎖にともない、バナジウム
社が廃業したにもかかわらず残鉱は置き去りにされていた。約10年後にグレンキャニオンダム
に貯水し始め残鉱が浸水する。

● 2000年~2005年の干ばつで平均水深の約5分の1のほぼ30メートルまで低下

パウエル湖を楽しむ観光客を汚染しなかったとユタ州環境省ウラン工場及び放射性物質部門の管
理責任者は話す。ウランの掘削は、放射性物質の重金属とラジウム226/228を含む土砂の老廃物
を堆積するが、これらの尾鉱は1950年頃から湖底堆積する。1~2メートルの堆積し、水は減速
材あるいは遮蔽材として機能すると説明されている。環境保護庁はパウエル湖から直接水を汲み
取る2つの公共水道――ナバホー発電所とアリゾナ州ページ市――があると付け加える。第9EPA
地区の広報官は、すべての地域の水道システムは、総アルファ線、複合ラジウム226/228、ウラ
ンの放射性核種群の飲料水基準の監視し求められており、ページ市の水道水、放射性核種の飲料
水基準を満たすことが定められており、ウランやラジウムなどの放射性元素が人の肺の内面に入
り込むと、貧血、歯牙破折、白内障、がんなどのリスクを喚起するが、湖底の放射性廃棄物がた
だちに憂鬱されるレベルにないと関係者は説明する。 

それは影響を受ける可能性のある発電所と小さなアリゾナ都市だけでなく、パウエルは「貯蓄口
座」のようなもので、4つの上流域州(コロラド、ワイオミング、ユタ、ニューメキシコ)は、
1922年のコロラド川コンパクト(Colorado River Compact)のもと、下流域の州とメキシコに年間
給水義務を果たせる。パウエルに到着する前にた上流域水の使用制限し、下流域の要求に合わせ
水を貯め供給することで、4千万人全員へのサービスを提供すると、コロラド川地域管理責任者
がこう説明する。 

しかしながら、状況は現在制御されているが、現状を揺るがすシナリオがある。パウエル湖が非
常に低い水位になったり、湖が流出したりすると当然、尾鉱が問題となり、尾鉱が露出する。こ
の場合、誰かが掘り起こしたり、強風による外乱、オフロード車で荒らしたりすると健康被害が
生じるとの考えは専門家らにより否定されているが、湖の排水や土砂を盛り上げる浚渫作業など
でそれは変わる可能性があるとされる。湖の排水は馬鹿げたように思えるかもしれないが、貯水
量は1990年代後半から減水し、2000年から2005年にかけての過度の荒廃と干ばつは、水深は30
メートル近く下がり平均水深の約5分の1までになる。研究者たちの中には、気候変動が西部干
ばつのサイクルを激化させ、長期に渡るものと予測する(下図参照)。もしそれが起こり、パウ
エル湖がもう一度赤岩峡谷になれば、汚染堆積層を取り除かなければしれない。

※ Source:Does a Ticking Time Bomb Lurk Beneath Lake Powell? | Acumen | OZY, Mar. 6, 2018

 Feb. 12, 2015




※ Report Titol:Unprecedented 21st century drought risk in the American Southwest and Central Plains

※  米国は米国はウランの3/4を輸入しており、ロシアは最大のサプライヤーの1つ。2016年の
  生産は725,747キログラムで、1979年のスリーマイル島事故以来、米国では原子力プロ
  ジェクトが完了しておらず、ウランの製造コストが海外生産品よりも高くなっている。昨年、
  韓国の文新大統領は、原子力発電量世界5位にランクされた国で原子力発電やめることを誓
  い、エネルギーの4分の3をまかなうフランスは、2025年までに原子力エネルギーを半減さ
  せる計画を策定している。 

     No.165

【蓄電池篇:最新リチウムイオン電池技術】 



● 金属シリコン電極開発によるリチウムイオン電池の高エネルギー密度化

ニンニクをインドアーで安く生産できないか調査をはじめ、このブログテーマの1である「植物
3月6日、株式会社 GSユアサは、大型電池での実用化に課題の多い金属シリコンを主体とする
負極の高エネルギー密度化と長寿命化の両立を実現しました。これにより、電気自動車に実際に
搭載されるサイズの電池において、従来のリチウムイオン電池に対して約3倍となる高エネルギ
ー密度化技術の改良の成功を公表。

それによると、極材に用いる金属シリコンは、理論容量が非常に高く(4200 mAh/g)、また、資
源量が豊富であることから、リチウムイオン電池の新規材料として多くの研究が行なわれてきた
が。金属シリコンは充放電にともなう体積変化が約400%と非常に大きく、充放電を繰り返す
過程において微粉化および孤立化といった劣化が生じる。その結果、充放電効率およびサイクル
寿命特性が乏しく、特に長期での使用が前提となる電動化車両用の大型電池では、金属シリコン
電極の実用化は困難とされてきた。これに対して同社は金属シリコンを用いた電極の好適な粒子
径および電極組成などを見出し、それらの特性を改善、従来の約3倍となる高エネルギー密度化
技術の改良に成功。
なお、この金属シリコン電極は今後の技術革新と普及が見込まれる全固体電池へも適用可能な技
術である。
また、今後の展開として、金属シリコン電極のサイクル寿命特性をさらに改良し、2025年頃の電
動化車両への適用を目指す。 



❦ どこが違うのか

①金属シリコンの好適な粒子径の選択による初期充電効率の向上およびサイクル寿命特性の改善

➲粒子径が小さい場合は初期充電効率が低く、また、大きい場合には微粉化が顕著となるためサ
イクル寿命特性が低いという問題があり、最適な粒子径の金属シリコンを適用することにより、
これらの2つの特性が改善する。

➁種々の導電助剤を組み合わせることによる放電特性の向上

➲通常、電極には1種類の導電助剤を用いますが、金属シリコン電極においては、導電助剤を複数
用いることにより、電極成型性が向上。さらには、電極の導電率改善による放電特性の向上。

③水溶性結着剤の適用による量産性の向上

➲金属シリコン電極を作製するためには、不活性雰囲気下で高温の熱処理を加えるなど量産に
は不向きな工程が生じる場合があるが、水溶性結着剤を適用することで、その工程の簡略化が可
能になり、その結果、高い結着力を維持しつつも量産性に優れる電極組成化に成功。

 

 

全固体電池革命

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               尽心(じんしん)篇    /    孟子    

                                 

         ※ 心は活かして使え:伺かの機会に、ああ、かわいそうだと感じること
              がある。そのときの心を、ふだん平気で見すごしていた事がらにまで
              広めたもの、それが仁である。また、絶対によくないことだ、やるま
              いと決心することがある。そのときの心を、いままで平気で行なって
              きた事がらにまで広めたもの、それが義である。

       たとえば、他人を不幸にしたくないと思う心を拡大するなら、かぎり
       なく大きな仁となる。盗みははたらくまいと思う心を拡大するなら、
       かぎりなく大きな義となる。他人から名を呼び棄てにされたくないと
       いう気持を大切にし、自分にそれだけの実質を育ててゆくならば、行
       なうことすべて義の道に適うのである。

       盗みにもいろいろある。言うべきでないのに言い出すのは、何かを探
       り出す魂胆なのだ。言うべきことを言い出さないのも、やはり沈黙で
       何かを探り出す魂胆なのだ。これらも盗みのたぐいである。



     No.166

【蓄電池篇:最新全固体蓄電池技術】 

再生可能エネルギーこと自然エネルギーの世界的シフトの時代にあって、移動体用と定置用二次
電池の大容量化の有力候補として、全固体蓄電池による革命がはじまっている。このブログでも
不定期に関連情報とその深掘りを行ってきたが、今夜も最新特許事例を掲載することでわたし(
たち)の(タイムライン上の)立ち位置を確認しておきたい。

周知の通り、リチウムイオン二次電池は、負極と、正極と、負極及び正極の間に挟まれた電解質
とを有し、両極間にリチウムイオンを往復移動させることにより充放電を可能とした蓄電池。リ
チウムイオン二次電池には、従来、電解質として有機電解液が用いられてきたが、有機電解液は
液漏れを生じやすく、また、過充電または過放電により電池内部で短絡が生じ発火するおそれも
あり、信頼性と安全性のさらなる向上が求められている。

このような状況下、有機電解液に代えて、無機固体電解質を用いた全固体二次電池が注目されお
り、全固体二次電池は負極、電解質および正極のすべてが固体からなり、有機電解液を用いた電
池の課題とされる安全性ないし信頼性を大きく改善することができ、また長寿命化も可能になる
とされる。さらに、全固体二次電池は、電極と電解質を直接並べて直列に配した構造とすること
ができる。そのため、有機電解液を用いた二次電池に比べてエネルギー高密度化が可能となるの
で、電気自動車や大型蓄電池等への応用が期待されている。

❑ 特開2018-037230  全固体二次電池用負極シートおよび全固体二次電池の製造方法

【概要】

次世代のリチウムイオン電池として全固体二次電池の開発計画が進められている。❶例えば(下
図、特開2001-102066 参照)、活物質を酸化物ガラスで結着して成る正極と負極との間に酸化
物系無機固体電解質を介在させた発電要素を、グラファイトシートから構成した集電体を介し、
直列に積層/極群させたリチウム電池が、高エネルギー密度で、安全性と信頼性に優れる技術が
公開されて、全固体二次電池の開発の進行とともに、容量密度の向上やサイクル特性の向上等、
全固体二次電池の高性能化に対する要求が高まっており、上記の記載事例は、集電体をグラファ
イトシートの単層で形成することにより、集電体の重量を低く抑え、また電極と集電体との接触
抵抗も低減しているものの、❷グラファイトシートは、高分子フィルムを高温(例えば、2400℃)
で熱処理するため、ヘテロ原子を多く含有し、グラファイト構造とは異なり、リチウムイオンの
吸蔵量(容量密度)が不十分である。❸また、負極活物質がランダムに配置されていることによ
り、活物質の体積変化もランダムに発生し、充放電を繰り返すと、活物質間に間隙が生じ、サイ
クル特性が十分でなく、容量密度の向上およびサイクル特性の向上に対する要求に十全な対応が
困難である。このように、ヘテロ原子の含有量を特定量以下に抑えたグラファイトシートが、全
固体二次電池において、負極集電体として機能するだけでなく、負極活物質層としても機能する
こと、充放電に伴う体積変化の方向を膜厚方向に規制でき、電池の長寿命化にも寄与する。 



下図のように、全固体二次電池の負極として用いることにより、優れた容量密度およびサイクル
特性を実現できる全固体二次電池用負極シートおよび全固体二次電池を提供にあって、周期律表
第1族また第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質(A)を含有する固体
電解質層を、ヘテロ原子 質量%以下のグラファイトシート(B)上に有する全固体二次電池用
負極シート及び全固体二次電池を提供する。



【符号の説明】

1 負極集電体兼負極活物質層(負極) 2 固体電解質層 3 正極活物質層 4 正極集電体 5 作動
部位 10 全固体二次電池 11 2032型コインケース 12 全固体二次電池用シート 13 イオン伝
導度測定用治具または全固体二次電池

 【表4 電池評価】



【特許請求範囲】

周期律表第1族又は第2族に属する金属のイオンの伝導性を有する無機固体電解質
(A)を含有する固体電解質層を、ヘテロ原子1質量%以下のグラファイトシート(
B)上に有する全固体二次電池用負極シート。 前記固体電解質層が、分散剤(C)を含む請求項1に記載の全固体二次電池用負極シ
ート。 前記分散剤(C)が下記一般式(1)で表される請求項2に記載の全固体二次電池用
負極シート。 式中、αは環構造を示し、R1は環α構成原子と結合している置換基
を示し、mは1以上の整数を示す。mが2以上の場合、複数のR1は同じでも異なっ
てもよい。隣接する環α構成原子に結合するR1同士は、互いに結合して環を形成し
てもよい。 前記グラファイトシート(B)が複数の孔を有し、真密度(g/cm3)>前記無機
固体電解質(A)が硫化物系無機固体電解質である請求項1~4のいずれか1項に記
載の全固体二次電池用負極シート。に対する見かけ密度(g/cm3)の割合が60
~98%である請求項1~3のいずれか1項に記載の全固体二次電池用負極シート。 前記無機固体電解質(A)が硫化物系無機固体電解質である請求項1~4のいずれか
1項に記載の全固体二次電池用負極シート。 正極活物質層と、請求項1~5のいずれか1項に記載の全固体二次電池用負極シート
とを具備する全固体二次電池。

❑ 特開2018-037341 全固体電池の製造方法

【概要】

下図のように金属アルコキシドを原料としたLAGP  が含まれる正極層と負極層を備えた全固体電
池の製造方法を提供にあって、一体的な焼結体からなる積層電極体を備えた全固体電池の製造方
法であって、非晶質のLAGPと正極用の電極活物質、および非晶質のLAGPと負極用の電極活物質
を混合した正極材料、および負極材料を作製するステップと、層状の正極材料と負極材料との間
に層状の固体電解質材料を挟持してなる積層体を焼成して積層電極体を作製するステップ(s6b)と
を含み、正極材料と負極材料の作製ステップでは、水系ストック溶液と金属アルコキシドを含ん
だ有機系ストック溶液との混合溶液に粉体状の電極活物質を混合し(s1a、s1b、s2、s10)、混合溶液
と電極活物質との混合物を不活性雰囲気で焼成よりも低い温度で熱処理し(s6a)、焼成ステップで
は、不活性雰囲気で650℃以下の焼成温度で積層体を焼結させる技術を提供する。

図2

【概説】

積層電極体の製造方法としては金型を用いて原料粉体を加圧して得た成形体を焼成する方法(以下、
圧縮成形法とも言う)や周知のグリーンシートを用いた方法(以下、グリーンシート法)などがある。
圧縮成形法では、金型内に正極層、固体電解質層、および負極層の各層の原料粉体を順次層状に
充填して一軸方向に加圧することによって得た成形体を焼成して積層電極体を得る。

グリーンシート法は、正極活物質と固体電解質を含むスラリー状の正極層材料、負極活物質と固
体電解質を含むスラリー状の負極層材料、および固体電解質を含むスラリー状の固体電解質層材
料をそれぞれシート状(グリーンシート)に成形するとともに、固体電解質層材料のグリーンシー
トを正極層材料と負極層材料のグリーンシートで挟持した積層体を焼成して焼結体にすることで
作製される。なお正極層および負極層(以下、電極層とも言う)に含まれている固体電解質は、粉
体状の正極活物質および負極活物質の表面に被膜されつつ、電極活物質の粒子間に介在すること
で電極層でのイオン伝導性を発現させる機能を担っている。

正極活物質や負極活物質(以下、総称して電極活物質とも言う)としては従来のリチウム二次電池
に使用されていた材料を使用することができる。また全固体電池では可燃性の電解液を用いない
ことから、より高い電位差が得られる電極活物質についても研究されている。固体電解質として
は、一般式LiaXbYcPdOeで表されるNASICON型酸化物系の固体電解質があり、このNASICON型酸
化物系の固体電解質としては、以下の特開2013?45738号公報に記載されているLi1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3
(以下、LAGPとも言う)がよく知られている。そしてLAGPの作製方法としては、金属アルコキシド
を原料とした周知のゾルゲル法があり、非特許文献1(Masashi Kotobuki, Keigo Hoshina, Yasuhiro-
Isshiki, Kiyoshi Kanamura、「PREPARATION OF Li1.5Al0.5Ge1.5(PO4)3 SOLID ELECTROLYTE BY
SOL-GEL METHOD」、Phosphorus Research Bulletin 、Vol.25(2011)、 pp.061-063 )にはゾルゲル法に
よるLAGPの作製方法について記載されている。また非特許文献2(大阪府立大学 無機化学研究グ
ループ、"全固体電池の概要"、[online]、[平成28年8月1日検索]、インターネット<URL:http://w
ww.chem.osakafu-u.ac.jp/ohka/ohka2/research/battery_li.pdf> )には全固体電池の概要について記載さ
れている。

【特許請求の範囲 一体的な焼結体で、正極用の電極活物質と固体電解質を含む正極層、固体電解質を含
む固体電解質層、および負極用の電極活物質と固体電解質を含む負極層がこの順に積
層されてなる積層電極体を備えた全固体電池の製造方法であって 一般式Li1.5Al0.5
Ge1.5(PO4)3で表されるLAGPを前記固体電解質として、非晶質状態の前記
LAGPと前記正極用の電極活物質とを混合した正極材料と、非晶質状態の前記LA
GPと前記負極用の電極活物質とを混合した負極材料を作製する電極材料作製ステッ
プと、層状の前記正極材料と層状の前記負極材料との間に、前記LAGPを含んだ層
状の固体電解質材料を挟持してなる積層体を焼成することで前記積層電極体を作製す
る焼成ステップと、を含み、前記電極材料作製ステップでは、前記LAGPのリチウ
ムとリンの起源となる原料を含んで水を溶媒とした水系ストック溶液と、前記LAG
Pのゲルマニウムとアルミニウムの起源となる金属アルコキシドを含んでアルコール
を溶媒とした有機系ストック溶液との混合溶液を用いたゾルゲル法によって前記LA
GPを作製するLAGP作製ステップと、前記混合溶液に粉体状の電極活物質を混合
する活物質混合ステップと、前記混合溶液と前記電極活物質との混合物を不活性雰囲
気で前記焼成ステップにおける温度よりも低い温度で熱処理して非晶質の前記LAG
Pを生成させるガラス化ステップと、を実行し、前記焼成ステップでは、不活性雰囲
気で650℃以下の焼成温度で前記積層体を焼結させる、ことを特徴とする全固体電池
の製造方法。 請求項1において、前記LAGP作製ステップでは、前記有機系ストック溶液を露点
-40℃以下の乾燥雰囲気で調合することを特徴とする全固体電池の製造方法。 請求項1において、前記LAGP作製ステップでは、前記有機系ストック溶液を露点
140℃以下の乾燥雰囲気で調合することを特徴とする全固体電池の製造方法。 請求項1または2において、前記焼成ステップでは、200℃/h以上の速度で前記
焼成温度まで昇温させることを特徴とする全固体電池の製造方法。 請求項1~3のいずれかにおいて、前記LAGP作製ステップでは、前記水系ストッ
ク溶液の溶媒である水のモル数を、前記有機系ストック溶液の溶媒であるアルコール
のモル数で割った比が0.1以上5未満となるように前記混合溶液を調合することを
特徴とする全固体電池の製造方法。 請求項4において、前記LAGP作製ステップでは、前記水系ストック溶液と前記有
機系ストック溶液との混合溶液に、さらに前記アルコールを追加することで前記比が
0.1以上5未満となるように当該混合溶液を調合することを特徴とする全固体電池
の製造方法。 請求項1?5のいずれかにおいて、前記LAGP作製ステップでは、前記水系ストッ
ク溶液の溶媒である水のモル数を、前記有機系ストック溶液中の前記ゲルマニウム
の起源となる金属アルコキシドのモル数で割ったときの比が170以下で、前記水の
モル数を、前記アルミニウムの起源となる金属アルコキシドのモル数で割ったときの
比が523以下となるように前記混合溶液を調合することを特徴とする全固体電池の
製造方法。

以上、今夜は2つの事例しか掲載しなかったが、要注目情報である。眠れぬ夜が続く。実に面白い
時代だが、健康管理が大事で「インフル花粉症」「虫歯」「膀胱炎」などなど対策もある。凄い
時代だね、だよねぇ。


     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.15     

    ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『3・11以降は、この国のありようを変えるチャンス』    

                              河野太郎 衆議院議員・現外務大臣  

 

自民党所属。1963年神奈川県生まれ。慶臆義塾大学経済学部中退。アメリカ・ジョージタウ
ン大学卒業。アメリカ滞在中、ワシントンで政治活動にもかかわり、アメリカの大統領選挙に立
候補したアラン・クランストン上院議員の遺財本部の財務部門でボランティアをしたり、リチャ
ード・シェルビー下院議員の下でインタjンを務めた。帰国後、富士ゼロックスに入社。2年間
のシンガポール勤務などを経て、日本端子に入社。1996年に衆議院選挙で初当選。核燃料サ
イクルには明確に反対しており「原子力は経済採算性は合わない≒原子炉の新設はしないという
ことを政治主導で決めるべき」と語っている。著書に『私が自民党を立て直す』(洋泉社新書/
2010)『原発と日本はこうなる南に向かうべきか、そこに住み続けるべきか』(講談社/2
011)『「超日本」宣言わが政権構想』(講談社/2012)、共著に『「原子カムラ」を超
てポスト福島のエネルギー政策』(NHKブックス/2011)などがある。

  中小企業ができること、守りたいこと

 鈴木 私どもエネ経会議は地域の中小企業の経営者の集まりですが、いわゆる電気エネルギ
 ーを使わせてもらっている立場からすると、前もって15パーセントを数時間ということを
 言ってくれれば、いくらでも事前に手は打てるんですね。24時間ずうっと15パーセント
 ということだとなかなか難しいかもしれませんが、ちゃんとした活か何ヵ月か前に出てくれ
 ば十分に対策はできるんです。あとは総電力使用量を節電しながらどうやって減らしていく
 かということをじっくり考えていくだけです。 それにつけても、もったいないと思うこと
 があります。中小企業のオヤジというのは機械を買うと長く使うにはどうしたらよいか、耐
 用年数が10年のものでも15年、20年使うにはどうしたらよいかを考えるわけです。ところが、
 冷蔵庫や冷凍庫は技術革新が進んで、10年前に比べると電気の使用量が2割、3割少なくて
 済むわけですね。それなのに替えない。心のどこかにスケベ心があって、そのうち原発が動
 いてしまって電気代が下がってしまったら投資しただけ損してしまう、そういうソロバンを
 はじくためです。

 逆に考えれば、とりあえず原発なしでやってみようということがきちんとした方針として打
 ち出されれば、私たちは別のソロバンをはじいて、新しい設備に替えれば3年、5年で元が
 取れるなと思ってコ介に動くわけです。そうすると、結果的に新しいビジネスチャンスが生
 まれてきますし、技術革新が一層進むでしょうし、さらに電力使用量が減るという、よりよ
 い循環が生まれると思うんです。それなのに、このチャンスをなんで逃しちゃうのかな、何
 を言ってもダメなのかな、そう思えてしまうのが残念でなりません。

 ただ、純粋に考えてみれば、私たちに日本の国民の力を信じて、経営者のそういうたくまし
 さを信じて号令かけてくれれば、われわれがコ介に努力しますから、今年の夏を乗り切るの
 くらいわけなくできると思います。実際に2011年の夏はやりましたから。

 河野 やりましたねえ。あれを毎年やれと言われてもなかなか、きびしいけれども、ひと夏
 きちんと計画を立てて節電をやりましょうよといえば、かなりの節電ができると思う。去年、
 あれだけ節電してバブル時の電力使用量に戻りました。バブルのときから電力使用量が相当
 伸びていますから、抑えようと思ってやれば抑えられると思うし、税制をうまくするとか、
 規制緩和をやるとか、償却期回を変えるとか、後押しをすることは可能だと思います。

 鈴木 中小企業の経営者として、日々、売り上げをどう上げるかとか、今月の給料を社員に
 払えるかなど、切った、張ったに明け暮れているわけですが、心のどこかでふるさとをどう
 やって先へ渡していくか、そういうことを考えています。私たちは小田原でかまぼこをつく
 っておりますが、万がI、小田原でやれなくなってしまったとき、どこかへ行ってやろうと
 しても難しい。それを考えると、小田原というふるさとは未来から借りたものだから未来に
 どう返していくか、そういう思いが深まってきます。そうはいっても目の前のソロバンは犬
 切なので、両方が成り立つように考えていくと、いま、よりはるかにいいでしょう。そうい
 うやり方を選択するにはやっぱり分散型の再生可能エネルギーが向いています。地方の活性
 化の切り札にもなりえるでしょう。



  この国を変えていくターニングポイント

 鈴木 今回の原発の問題、エネルギーの問題は、それだけにとどまらず、地域のあり方、地
 域の独立、地域と国の関係ということもクローズアップされたように思います。
 河野 ありようを変えるチャンスですよ。

 鈴木 いい意昧での最後のチャンス、大震災の直後で難しいかもしれませんが、チャンスで
 あることは間違いないと思います。日本人は戦争をして原爆を経験してと、いままで何度も
 危機を乗り越えてきていますし、今度も乗り越えられると思います。鍵は私たち自身が腹を
 くくれるかどうかではないでしょうか。

 河野 政治家がビジョンをちゃんと見せて、向こうにはこういう日本があるよという具合に、
 具体的に示すことが大事だと思いますね。

 鈴木 ところが、なかなかそうなっていかない。カベはやはり利権の構造でしょうか。それ
 とも電力会社の問題もあるのでしょうか。たとえば、経営に変更が利かない何か特有の難問
 を抱えているとか。
 河野 でも、いまの総括原価方式だと、よっぽどヘマをしないかぎり赤字にはならないわけ
 ですから、こんな楽な経営方法はないと思いますよ。
 鈴木 結局、そこなんでしょうかね。だから、会社のトップに立つと俺の代で変えるような
 ことは言えないという……。

 河野 東京電力の荒木浩さんという社長、会長、相談役をやられた方は電力会社を普通の会
 社にしないといけない、電力業界を普通の業界にしないといけない、これが私の使命だとお
 っしやった。東京電力のスキャンダルで責任を取らされてしまったのが残念です。
 ところで、電力会社の中は原子力をやっている部局だけではないので、たとえば六ケ所村の
 再処理工場をどうするかというようなとき、たぶん、電力会社としては後ろ向きだったと思
 うんですよ。それなのに原子力をやっている部門がもう前のめりになっちやった。「産道に
 出てきた赤ん坊はとめられない」みたいな東電の南直哉元栓長の名言があって、実は、みん
 ながおかしいと思っているけど、とまらなかった。いまだに六ケ所村の再処理工場は問題だ
 らけで動かない。あれだって何月に竣工しますといって、直前になって延期を19回している
 わけだから、それも、ぎりぎりまで間に合うふりをしてです。



 鈴木 究極の責任の先送りという気がしますよね。よくダーウィンの進化論を持ち出してき
 て、生き残る者は大きいとか小さいとかに関係なく、いかに変化に対応するか、その術を心
 得ているからだといわれます。マネジメントの教科書にそれがよく出てきます。
 確かに現実に世の中がどのように変わっていくか、的確に早めに読んで、それに合わせてい
 くというこどが大切なんですが、どうも日本の企業を見ていると、特に大企業になればなる
 ほどそればかりやってきているような気がしてなりません。
 たとえば、原発をやってきた3栓は巨大企業じやないですか。世界的にも影響力のある企業
 でありながら、トップが「これからの世界の子不ルギーはこうあるべきだ。その中でわが栓
 はこういう役割を演じたいと思っています。だから、こうします」と、なんでそういう言い
 方が出てこないのかと不思議に思います。極論ですが、あれで会社の経営をやっていておも
 しろいのかなと思ってしまいます。

 河野 われわれが地方へ行くと、地方の経済界を背負っているのは必ずその地域の電力会社
 で、みんなそこを向いちゃっています。この地域の経済はこうやろうぜという前にもう最初
 から電力会社を筆頭に序列ができていて、そこがエスタブリッシュメントで、枠外みたいな
 のが騒いでいるというようなパターンをよく見受けます。それが中央へ行くと経団連があっ
 て、IT企業やら何やら新興企業が騒いでいる。そうじゃないと思うんですよね。やっぱり、
 会社だって寿命があって変わっていくなかで、どうやって老舗の地位を守っていくか。うち
 は社会にこういう貢献をしている、そこで利益をもらっている。老舗には老舗の行持がある
 と思います。

 鈴木 大きな上場会社というのは社会貢献という面でもものすごく能力が高いだろうと思い
 ます。だけどスタンスというのが、自分が社長の間はいかに株価をきちっとキープするか、
 そういうことが優先されてしまって、「もしかしたら直近の時点では会社にとってマイナス
 かもしれないけれども、近い将来のことを考えたらやるべきだ」という会社としての決断が
 なかなかしにくい。
 政治の世界も同じようなことではないかと思いますが、総理大臣になってもこの国は物事が
 決められない、変えられない。私たちはけっして政治をあきらめてはいけないと思いますが、
 それはそれとして自分たちにこれならできるというところから始めて、小さいことから動か
 していく。自分の会社とか、地域とかでやれるところで変えていく。
 小さいからできるということがあるはずなので、それを無数に連ねていけば、ゆくゆくは大
 きな力になるのではないかというのが私たちの考えです。
 とりあえず再生可能エネルギーに関しては、日本ではまだ数パーセントなので、あんなもの
 は頼みにならないという議論がありますが、「自分の会社は20パーセントやっている」「
 自分の地域はやっと5パーセント」とか、そういう規模であればできますよね。きなり30
 パーセント、50パーセントやろうとしてもできませんが、自分の影響力の及ぶ範囲で始め
 る、その仲間を無数に全国規模で連ねることができたら、おのずと20パーセント、30パ
 ーセントという規模に達するのではないかと思います。いまの経済界にいくら言っても変わ
 らなければ、自分たちでやれることから連やかに着手して新しい現実をつくっていこうとい
 うことなんです。



   市民が参加する政治ヘ

 河野 本当は政治がもう少しきちんと対応しないといけないんでしょうけど、大企業の取締
 役会が機能していないのと同じことで、政治も予定調和というか、表で議諭しないから、与
 野党で裏で協議して結論が出てから表に出てくるというかたちだから、なかなか真剣に議論
 できない。国民の前で本音で議論して決めるのが本当なのに、大企業も、国会も、オープン
 にして真剣な議論ができない。特に大企業は中から選ばれてきているから、どこを向いてい
 るかというと中を向いているような気がするんですよね。政治もそうやってなんとなく押し
 出された人がとりあえず中を見て、外を顧みない。それを変えないといけない。

 鈴木 日本人にそれがやれるんだろうかと、最近、私は懐疑的になりかけているんです。

 河野 それこそ学校から自治会から神社の総代会まで阿吽の呼吸が幅を利かせていることが
 確かに事実としてあって、そこで何か言うと「空気が読めないヤツだ」なんていうことにな
 っちゃう。みんながボランティアでやっている神社の総代なんかはみんなで気を遣いながら
 やらなきやいけないと思うけれども、世の中で選ばれて仕事でやっている政治は別物だと思
 うし、企業だって会社を背負って指揮命令系統で動いているわけだから、「仕事だろ」とい
 う部分がある。それがなんとなく混同されて一体化してしまっているところに問題の根があ
 るように思います。

 鈴木 いま、一つの政治のスタイルとして、いわゆるプロの政治家にお任せするのではなく
 て、自分たちの問題として街のことも考えて、自分たちの意見として直接いってやっていく
 という、そういう市民参加型の政治がこれからの姿だという見方もあると思うんです。日本
 にふさわしいのはどっちなんでしょうか。

 河野 もともと日本はみんなのことはみんなで決めてきたわけです。多少、空気を読みなが
 らというところはあるかもしれないけれども。ところが、最近、市役所なんかへ行くと「5
 番の番号杜をお持ちのお客様」と言う。市役所が市民を「お客様」と言っています。あなた
 はお客で、われわれは行政をやる、そりゃ違うだろと思います。みんなでやっていくことが
 大事なのに、それを「俺はお客様だから、これこれやってくれ」と言い、やっている側も「
 税金をもらっているんだからやりましょう」みたいなかたちにしてしまうと、その代わり税
 金もどんどん高くなりますよ。でも、それはお客様のニーズですからみたいな話にしてしま
 いかねない。

 鈴木 そのうち、言うこと聞かなくなってしまうわけですよね。勝手なことを言うヤツだか
 ら、ほっとけみたいな。
 河野 そうです、そうです。お客様の言ってることは信用できないから、とりあえず聞いて
 おけで済まされてしまう。

 鈴木 とりあえず聞きましたで、何も変わらない。
 河野 この情報を出すとお客様が騒ぐから「SPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネッ
 トワークシステム)」は隠しておきましょうみたいなことにだんだんなっていく。執行する
 側は役所かもしれないけれども、そこはみんなでいろんな議論をしたうえで決める、そうし
 ないといけない。

 鈴木 この間、地元の商工会議所でアメリカのオレゴン州ポートランドヘ視察旅行に行って
 きたんです。全米で一番住みたい街だといわれている都市で、毎週500人くらい人口が増
 えている。それほど人気のある都市なんです。地産地消も進んでいる。そこの市の仕組みを
 聞いてびっくりしました。人口が60万人くらいいるのに、市会議員が4人しかいないんで
 す。当然、4人では細かいことまで手がまわらないので、100とか、200とかの委員会
 があって、その全部に市民がメンバーになって参加して直接やっている。だから、街のこと
 を他人事ではなくて自分事として考えるということでした。ある意味、理想的だという気が
 しますが、日本ではどうかなとも思ったんです。市議会は機能しているのでしょうか。

 河野 市議会は大統領制みたいなものですから、一人ひとりが一つひとつの議案に関して「
 賛成しました」「反対しました」というのが出ないといけないわけですが、それなのに賛否
 を会派でしか出さないみたいなところがあったり、市議会の議事録が次の日に出ていないと
 いうところがたくさんあって、結局、どういう議論をしたのか見たくても見ることができな
 い。議事録は市議会が閉会してから掲載されますみたいなところがあって、そうやって市民
 をだんだん遠ざけていく。

 鈴木 遠ざけられてしまうから、市民も市会議員を垂く見なくなってしまって、市長に陳情
 ばかり集まってしまうわけですね。そういう意味で、今回、エネルギーのこと、特に原発を
 どうするのかとか、日本のこれからの行く末を決めていく大切なタイミングにさしかかって
 いる、そういう思いを強くしているんです。日本の問題点を一人ひとりが考えないといけな
 いと思います。
 あとはこの国の目指すべき姿として子不ルギー、原発を論じるうえで必ず出てくる言葉が、
 「そうはいっても原発をとめたらそこの人たちが食えないじやないか」というのと、「日本
 が原発から手を引いてしまうと、国家安全保障上、非常に危ない。だから、日本は原発をや
 っていかないといけない」というこの2つです。まず前者ですが、原発をとめても仕事はな
 くなりませんよね。

今回も、特に異論はない、次回は「原発をとめても仕事はなくならい」に移る。

                                   この項つづく

 ● 今夜の一曲

 

「スマイル」(原題:Smile)は、1936年のチャールズ・チャップリンの映画『モダン・タイムス』
で使用されたインストゥメンタルのテーマ曲で、チャップリンが作曲した曲。数多くの音楽家に
よりカバーされているが、ナット・キング・コールが1954年にリリースしたカバー版が追憶の歌
として今も色褪せることはない。1954年にジョン・ターナーとジェフリー・パーソンズが歌詞と
タイトルを加えた。歌詞では、歌手が聴衆に対して笑っている限りは明るい明日が常にあると元
気付けている。「スマイル」はチャップリンの映画で使用されて以来、スタンダードとなる。


  

からくれなゐに水くくるとは

$
0
0

 

                

                                 

  ”危険な”思想家 孟子 

 民は政治に従わせるだけでよろしい、知らせる必要はない。原文は「民可使由之、不可侵知之」
 であるが、朱子はこの「使」を「能」と解して、民は政治に従わせることはできるが、知らせ
 ることはむずかしい、という孔子のなげきの言葉だと解している。そうでなければ「聖人之心」
 ではないというのだが、孔子を「聖人」に祭り上げようとする学者の多くはこの朱子の説に従
 っている。

 民を大切にするということは、孔子において、民のためにではない。それは治者のためにであ
 った。民は富国強兵の素材なのである。民の多いことが、国を富ませ強くすることの必要な条
 件だったのである。民を多くするにはどうすればよいか。「用を節して人を愛し、’民を侵う
 に時を以てす」ることである。また、治者が礼を好み義を好み信を好むことである。そうすれ
 ば「君子の徳は風」であり「小人の徳は草」であるから、風に草のなびくように「四方の民そ
 の子を襁保(きょうほし)して至る」、すなわち民は多くなる、というのである。
 孟子の民本思想も、同じく民は富国強兵の大切な素材であるという思想から出て、それを昇華
 させ、民こそが国家の主体であると説いたものである。

   思想の命運

 孟子は民本主義を主張した。誰のために、といえば、孔子が民を愛せよといった場合と同じく、
 天子諸侯のためにであって、人民のためにではない。すなわち、孟子の説くところは民本主義
 ではあるけれども、民権主義ではないのである。――将(は)た君子あり、将た野人あり。君
 子な ければ野人を治むるなく、野人なければ君子を養うなし。(滕文公篇)
 君子とは治者、野人とは野耕をする者、すなわち民である。ここでは明らかに「君子なければ
 野人を冶ひるなし」と言っている。孔子の場合の治者階級と被治者階級とかわるところはない。
 では、なにゆえに「民を貴しとなす」というのか。「野人なければ君子を養うなし」だからで
 ある。民本主義がもっぱら治者のためのものであることはここに明らかである。

 つまり孟子の民本主義には、体制変革の思想はないのである。治者階級と被治者階級という明
 確な区別の中で治者階級にむかって民のための政治をしなさいと説いているのが「民を貴しと
 なす」なのである。それが孟子のいう王道なのである。
 
 『史記』の列伝にいう――孟帽は鄭の人なり。業を子息の門人に受く道既に通じ、斉の宝王に
 游事す。宝玉、用いることあたわず。梁にゆく。梁の恵王、言うところを果さず、則も見て以
 為(おも)えらく、迂遠にして事情に闊しと。この時に当り、秦は商君(法家の商鞅)を用い
 て、国を富まし兵を強くし、楚・魏は呉起(兵家)を用いて、戦い勝って、敵を弱め、斉の威
 王・宜王は孫子・田忌(兵家)を用いて、諸侯東面して斉に朝す。天下まさに合従連衡に勉め、
 攻伐を以て賢となす。而も孟徊はすなわち唐虞(宛・舜)三代(夏・殷・周)の徳を述ぶ。是
 を以て如く所のもの合わず。退いて万章の徒と詩書を序し、仲尼 の意を述べて、孟子七篇を
 作る――覇道に対して王道を主張したが、孟子の理想が諸侯にいれられなかったことは、法治
 に対して徳治を主張した孔子の理想が諸侯にいれられなかったのと軌を一にする。理想は、か
 くあるべき現実であって、思想としては成り立っても、現実に適用されないのは当惑であろう。
 しかもなおそれを主張するところに思想がある。それが今日なお『孟子』のある所以に他なら
 ない。

   狂なる者と似而非君子

 『論語』に――子いわく、郷原(きょうげん)は徳の賊なり。(陽貨篇)という言葉ある。ま
 た――子いわく、中行を得てこれと与にせずんば、必ずや狂狷(きょうけん:いちずに理想に
 走り、自分の意思をまげないこと)か。狂なる者は 進取す。猾なる者は為さざる所あるなり。
 (子路篇)――子、陳に在りていわく、帰らんか、帰らんか。吾が党の小子は狂簡(きょうか
 ん:志は大きいが、行いがそれに伴わず疎略なこと)なり。斐然(ひぜん)として章を成すも、
 これ を裁する所以を知らず。(公冶長篇)とある。『孟子』の尽心篇には、この『論語』の
 「郷原」と「狂狷」あるいは「狂簡」とが、かなりくわしく解説されている。それは弟子の万
 章との問答という形で語られる。

 郷原とは、似而非君子のことである。彼らは自らは自分を君子であると思い、世間も彼らを君
 子と認めている。それだけに、非君子よりも一層、始末におえない。郷原は今日の言葉でいえ
 ば、官僚御用の知識人代表、あるいは保守的隠健派というところであろう。孔子の道をはばん
 だのは、このような郷原の存在であった。それは孟子の場合も同じであったろう。「退いて万
 章の徒と詩書を序し、仲尼(孔子)の意を述べて、孟子七篇を作」った所以である。孟子に祖
 述された孔子の「郷原と狂狷」は、儒学が官学となるとともに、そのまま埋められてしまうの
 である。後にこれを掘りおこしたのが王陽明である。玉陽明は、自分も南京でくらすようにな
 るまではなお郷原的なところがあった、しかし今や良知だけを信じて、狂に徹しようと言った。
 この狂が陽明学左派に受けつがれて、辛亥革命にまでつながっていったということもできよう。
 清末の譚嗣同(たんしどう)はその『仁学』で、御用儒家を郷原といい、専制君主が郷原を利
 用し郷原は専制 君主に媚びへつらって、二千年来彼らは人民を苦しめてきたのだと論断して
 いる。かくあるべき現実が現実になることはついにないであろう。  

          駒田信二 『私の諸子百家―その10:孟子』(「中国の思想」徳間書店)

孟子を通して読んだのはこの歳ではじめて。とき同じくして中国共産党がハードスターリン主義に
(社会帝国主義)に回帰するかのようにあり、孟子の"二重の全否定性"感じ取り、ここに駒田信二
の解説を掲載することでそれを裏付け肉付けフットラアイトを当ててる。孟子は今夜で終わり次回
は『孫子・呉子』へ移る。                    


 Source: Wikipedia


 

        千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは

                         在原業平朝臣) 『古今集』



【雫一滴:からくれなゐに水くくるとは】

昨夜、テレビをみていると映画『ちはやぶる 上の句』が放映されていたので作業しながらみてい
たが、来週も映画『ちはやぶる 下の句』も放映するといので録画することにしたが、何と翌日の
17日(土)には映画『ちはやぶる 結び』が劇場上映されるとか。ところが、吉永小百合主演の
映画『北の桜守』も上映されるとかで、桜にするか、紅葉にするかで悩むこととなった。明日は東
日本大震災の7年目になるが、「高度消費資本主義社会」を楽しみつつも少し後ろめたさを引きず
る自分を体験する。



● 花粉症対策の新常識「じゃばら」 

インフル花粉症対策に効果がありそうな食材としてじゃばら果皮に含まれるスーパーフラボノイド
のナリルチンが良さそうというので、早速、ジャムヨーグルトを試してみようかと考え中。今年は
早々と鼻炎に悩まされている。困りますねこの不快感。



     No.167

【蓄電池篇:最新陽子蓄電池技術】  

 May. 9, 2018

● カーボン電極と水で発電する充電式プロトン(陽子)電池登場!

3月2日、メルボルンのRMIT大学の研究者グループは世界初の充電式プロトン電池を開発たこと
を公表。この発明の特徴は、リチウムの代わりに炭素と水で発電/充電できることにある。安価で
豊富な材料だけで再生エネルギーを電動移動体や家庭用蓄電池、あるいは中規模の電力網に提供で
きる画期的なもの。担当者はリチウムイオン電池は素晴らしいものだが、最終的には希少で高価な
資源に依存、水素発電も良いが適切な場所は限られ、コスト高。それにくらべプロトン電池は。炭
素系材料プロトンを貯蔵、電極材料は豊富で、水からプロトンをることができる。バッテリ自体は
二酸化炭素排出を発生させずエネルギー蓄電でき、5~10年以内に商用化できるだろうと語る。

 May. 8, 2018

❑関連論文:活性炭電極を用いたプロトン電池の技術的実現可能性
             Technical feasibility of a proton battery with an activated carbon electrode

❦ どこが違うのか

①炭素電極を有する「プロトン電池」は、技術的に実現可能である
②プロトン電池は、水素を分子状ではなく原子状に貯蔵
③貯蔵電極は、酸に浸した活性炭から作製
④実験用電池は、充電モードでほぼ1wt%の水素を貯蔵
⑤放電モードでは、0.8wt%の水素が放出され、高い可逆性を示す

【要約】

カーボンベースの電極を用いた小規模な「プロトン電池」の技術的実現可能性が初めて実証された。
陽子電池は、地球温暖化ゼロの温室効果ガス排出に伴って発生する電気エネルギー貯蔵の膨大な需
要に対応の多くの潜在的な1つの再生可能エネルギー源である。本質的には、プロトン電池は、外
部シリンダー内の分子状水素ではなく、原子形態で水素を貯蔵できる一体型固体電極を有する可逆
PEM燃料電池(固体高分子形燃料電)である。したがって、両方のシステムタイプの利点を組み合
わせた、水素燃料電池とバッテリベースのシステムとの間のハイブリッドである。原則として、プ
ロトン電池は、リチウムイオン電池に匹敵する充放電効率をもつ。実験結果では、フェノール樹脂
および10重量%PTFEバインダから製造された多孔質の活性炭電極を有する小さなプロトン電池(
活性領域5.5cm 2)が、電気分解(電荷)モードでほぼ1重量%の水素を貯蔵することができ、燃料
電池(給電)モードでは0.8wt%の放電で放出する。重要な設計の革新は、可逆的電池のナフィオ
ン膜との間でプロトン(ヒドロニウムとして)を伝導し、多孔質電極内に少量の液体酸を使用する。
活性炭電極の充電中の水素ガス発生は、約18Vの電圧に達するまで非常に低い。今後の展望とし
て、充放電中の電流密度の増加、複数回のサイクル試験、およびヒドロニウムと炭素表面との反応
への理解深耕。

キーワード:プロトン電池/電気化学的水素貯蔵/活性炭/電気エネルギー貯蔵

doi.org/10.1016/j.ijhydene.2018.01.153 

   Feb. 28, 2018

 【エネルギータイリング事業篇:最新摩擦帯電発電技術】

● 従来の100倍以上の発電量 靴のインソールで0.6 mW/ステップ

2月28日、谷弘詞関西大学教授らのグループが、従来の百倍以上の発電量を有する摩擦発電機を
開発――ビーコン信号の発信による位置情報やスマートフォンなどのバッテリー充電も可能――た
った1歩でLED10個以上が点灯、靴のインソールで0.6mW/ステップの発電量――しところを公表。

❦ どこが違うのか

①ゴム、フィルムをベースにした柔軟で軽量な摩擦発電機を開発し靴のインソールに組み込み評価
②摩擦発電機のサイズは50×50×6mm、重量15gで、インソールの踵部と指の付け根部分に組み込む
③0.6mW/ステップの発電量で、10個以上のLED点灯やワイヤレス回路の駆動が可能

谷教授らのグループは、ゴム、帯電フィルム、電極からできた柔軟で軽量な摩擦発電機の開発に取
り組んできましたが、このたびゴム表面の粗さを工夫することで発電量を従来品より百倍以上向上
させることに成功。そこで、靴のインソールに組み込み発電量を評価したところ1歩の着地で0.6m
W(瞬間的には10mW)の発電が可能なことを確認。この発電量で、10個以上のLED の点灯やワイ
ヤレス回路の駆動が可能であり、環境発電デバイスとしてさまざまな所への応用が期待できる。人
の歩行や車、機械の振動などで発電する環境発電は、IoT社会におけるセンサ用電源として注目さ
れているとのこと。同グループは、摩擦で発生する静電気から発電する摩擦発電機の開発に数年前
から取り組む。開発当初は、歩行時の発電量が0.003mW/ステップと微弱でしたが、帯電フィルム
を保持するゴムの表面粗さを工夫することで、発電量が0.6mW/ステップへ飛躍的に向上することを
確認する。

この摩擦発電機は構造がシンプルでゴムがベースであるため、柔軟かつ低コストであり、さまざま
な応用が考えられます。例えば、靴に組み込めば歩くたびに発電しワイヤレス回路によってビーコ
ン信号を発信し位置を知らせることや、さらに発電量を上げることで蓄電回路と組み合わせてスマ
ートフォンなどのバッテリー充電も可能となる。今後は、更なる構造の改良によって0.1W/ステッ
プの発電を目指す。

 

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.16      

    ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『3・11以降は、この国のありようを変えるチャンス』     

                              河野太郎 衆議院議員・現外務大臣  

 

自民党所属。1963年神奈川県生まれ。慶臆義塾大学経済学部中退。アメリカ・ジョージタウ
ン大学卒業。アメリカ滞在中、ワシントンで政治活動にもかかわり、アメリカの大統領選挙に立
候補したアラン・クランストン上院議員の遺財本部の財務部門でボランティアをしたり、リチャ
ード・シェルビー下院議員の下でインタjンを務めた。帰国後、富士ゼロックスに入社。2年間
のシンガポール勤務などを経て、日本端子に入社。1996年に衆議院選挙で初当選。核燃料サ
イクルには明確に反対しており「原子力は経済採算性は合わない≒原子炉の新設はしないという
ことを政治主導で決めるべき」と語っている。著書に『私が自民党を立て直す』(洋泉社新書/
2010)『原発と日本はこうなる南に向かうべきか、そこに住み続けるべきか』(講談社/2
011)『「超日本」宣言わが政権構想』(講談社/2012)、共著に『「原子カムラ」を超
てポスト福島のエネルギー政策』(NHKブックス/2011)などがある。

  原発をとめても仕事はなくならない

 河野 廃炉にするのに30年ぐらいかかりますから、この間は、当然、仕事があります。だから、
 炭鉱を閉めたときに石炭六法をつくって何十年か支援したように原子力なんとか法という法律
 をつくって支援をしたり、廃炉技術を開発すれば、廃炉そのものが地域に雇用を生み出します。
 鈴木 そこのところをはっきりと言ってやれば、原発が立地する地域の人たちのうち100人
 が100人、原発が必要だと思っているわけではないでしょうから、もっと廃炉を前面に立て
 て議論を展開すれば理解の仕方、され方が一変するのでばないでしょう

 河野 そうです、そうです。私が六ケ所村に行ったときも、賛成・反対いろいろとあるなかで、
 「ようやくまとめて決まったのにやめるのか」という不満がありました。ぼくが言ったのは「
 国策でコミットしてくれた地域を犠牲にすることはありません。しかし、国策は変わる可能性
 があります。国策が変わるかどうかは一つの村がとめることはできないはずです。でも、国策
 が変わったとしても、国策にコミットしてくれた地域にした約束は必ず守ります」ということ
 でした。理解してもらえれば、「そうか、わかった」と言ってもらえるんです。だから、再稼
 働すればお金が出るけれども、再稼働しなかったらお金が出ないみたいな伝達をしちゃあダメ
 だというべきです。再稼働するかどうかは国が判断することですから、そこはちゃんとしない
 といけない。

 鈴木 ちょっと荒っぽいかもしれませんが、20年、30年、続くんであれば、その間に、次は何
 で食っていくのか、しっかり考えていくには十分な時間があります。そこのところを政治がき
 ちっと判断すれば……。
 河野 それなのに脅かしてきてしまった。原発ができれば金がくるぞっていうアメと、とめた
 ら食えなくなるぞというムチ、それでコミットしてくれというのだから乱暴極まりない。
 鈴木 それから、さっきいった2つ目の国家安全保障上の問題ですが・・・・・・。
 河野 たとえば、それは中国が原発をつくりました、何かあったときに日本から行くといって
 原発に入れるかといったら、事故の処理であっても入れないと思うんですよ。日本がほんとう
 に廃炉の技術を開発すれば、440基ある原発のどこかが廃炉の時期を迎える。そのときに日
 本の技術でちゃんとアドバイスできれば大きなチャンスが生まれてくる。ちゃんとした技術を
 持っていたってロシアと中国がおいそれと圧力容器の中を見てくれなんていうわけないから、
 むしろ、大事なのは自分のところで何か起きたときにきちっと手当てができる、廃炉にするの
 にノウハウがあるということだと思います。

 鈴木 原発は動いている時の危険性だけでなく、現実に使わないと決めれば廃炉の問題に直面
 するわけですから、まったく無視してしまうわけにはいかないですね。むしろ、避けては通れ
 ない重要なテーマだと思います。
 河野 そうですね。まったくその通りです。
 鈴木 だからといって、廃炉の土俵に政治が乗ってくるかというとなかなか難しいところがあ
 ると思いますが、やはり政治が仕事としてきちっと位置づけをして、われわれ国民に投げかけ
 る仕組みをつくれば、世界に先駆けて再生可能エネルギーを担っていく動機づけになると思い
 ますね。安心・安全で自然を大事にして、それでいて経済がまわっていく、そういう地域がた
 くさん連なっているというかたちに持っていけたら、世界に誇れるモデルになると思います。
 そこでまた日本的なノウハウを駆使してチャンスが生まれます。
 河野 それができるんだったら、べつに利権の取り合いをしなくてもいいしね。

 鈴木 ましてや、これからは地球環境を守らなければならない時代です。資源が限られている
 ということもわかっているわけです。そういうなかで日本という国が世界に先駆けて持続可能
 なエネルギー政策で経済をまわしていく。その仕組みというか、知恵を生み出すことが求めら
 れるし、世界から尊敬される国になるチャンスだという気がします。
 河野 そういう意味の尊敬を勝ち取るというのはすごく大事で、これまでの日本はそういうと
 ころにあまり知恵を絞ってこなかったから。経済一本槍でもいけません。

 鈴木 世界から尊敬されるようになれば、日本という国は世界の中でなくてはならない国にな
 れると思います。めぐりめぐっていくと安全保障の問題もクリアできるのではないでしょうか。
 向こうも鉄砲を持っているからこっちも鉄砲を持たないといけない、そういう「カウボーイ的
 安保」はそろそろ卒業したいですね。河野 カウボーイ的安保だと、どうしても大きな鉄砲を
 持っていれば勝つという話になっちゃうからね。

 鈴木 そういう意味でも「3∴息をきっかけに問題を提起して、日本をよい方向に変えていく
 チヤンスですよね。
 河野 チヤンスにしなきやいけない。
 鈴木 次の時代の国のあるべき方向を、若い世代の人たちが考えられるような意味のある情報
 も提供していきたいですね。そうしていかないといけないなと思わされるようなことを、この
 間、若い人たちに言われたんです。ここのところ経済はきびしい、ここがふんばりどころだ、
 頑張ってくれ、必ずよくなるから、おじさんたちによくそう言われるんですけれど、よくなっ
 た経済がぼくたちにはイメージできない、そう言われたんです。結局、いまの大学生はバブル
 景気を知りませんし、景気のよいときを経験していないわけです。なおかつ彼らが言うのは、
 「いま、世の中がこんなふうになっちゃってるのは、おじさんたちが頑張ってきた結果でしょ。
 だから、同じことやれと言われたって返事のしようがありませんよ」ということなんです。

 河野 頑張ったらこうなるんなら、頑張らないほうがいいじゃねえかというわけね。
 鈴木 いまの若い人たちはけっしてやる気がないわけでもないし、いい加減なわけでもないし、
 私など学生のころは女の子とクルマぐらいしか興味なかったのに(笑)、いまの若い世代は環
 境問題や社会貢献などに関心が高い。世の中の役に立ちたいという願望は待っています。それ
 をどう後押しするか、そういうことも私たちは考えていかないといけないと思います。

 河野 より考えている世代ですよね。
 鈴木 きびしい時代だからこそ考えていると思うし、だから、頑張ろうと思えるような価値観
 というか、そういうものをつくっていきたいですね。
 河野 変わろうとするのを抑えてしまうのではなくて、変わったら、後押しして支えてあげる。
 鈴木 エネルギーのことが、若い人たちにもチャンスになるように、世代と世代をつなげてい
 く仕組みも考えたいですね。
                                2012年6月11日
                             平塚市の河野太郎事務所にて

                                    この項つづく

  ● 今夜の一曲

アリス『誰もいない』1973年 作詞/作曲 谷村新司

   忘れ去られたベンチの上に

   真赤な夕陽がのびてくる

   黄色く変わったポプラの枝を

   ただ秋風がなでてゆく

   愛の言葉を交わした人も

   うとうと昼寝をしていた人も

   誰もいない誰もいない

   忘れ去られたベンチの上に

   読み棄てられた新聞紙

   ただ何となく読む気もせすに

   見上げた空のいわし雲

   誰かを待っているようで

   流れてゆくのも悲しそう

   誰もいない誰もいない・・・
 

  

 

わが衣手は露にぬれつつ

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    兵家 "戦略・戦術"の元祖 孫子 

  歴史的にも思想的にも、兵法のこ原流とぃうべきもの。二千四、五百年の生命をもつ。十三巻。

 まずは、「始計」。『孫子』冒頭のこの篇は総論ともいうべき「始計」とは計の基本。戦争は
 軽々しく始めるべきでないことから説きおこし、戦力の五要素、彼我の戦力を比較する基準、
 黄道の本質にふれる。

 ※ 戦力の基本「兵は国の大事なり」――戦争は、人民の生死、国家の存亡にかかわる重大事
   である。したがって戦争を始めるに当たっては、慎重細心な検討を加える必要がある。戦
   争に勝つためには、基本となる条件が五つある。すなわち「道」と「天」と「地」と「将」
   と「法」の五つである。「道」とは、人民の意志と為政者の意志とを一致させるものであ
   る。これがあってこそ、人民は、いかなる危険をも恐れず君主と生死をともにするのだ。
   「天」とは、天候、季節、時期などの時間的条件を指し、「地」とは、距離、険しさ、広
   さ、高さなどの地理的条件を指す。「将」とは、知謀、信義、仁愛、勇気、威厳などの徳
   性を具えるべきものである。「法」とは、軍隊の編成、規律、装備をととのえることであ
   る。この五つの基本的条件は、どれ一つとして見過ごすことのできないものである。将た
   るものは、この基本的条件をよく認識してこそ、勝利を収めることができる。これを認識
   しなければ、勝利はおぼつかない。

   では、これらの条件が充たされているか否かを具体的に判断するには、どうするか。彼我
   双方の優劣を比較し、自国の実力を把握することである。すなわち、次の点を比較すれば
   よい。

    一、彼我の君主は、どちらが「道」-正しい政治理念をもっているか。
    二、将の能力は、どちらが上回っているか。
    三、天の時と地の利は、どちらが有利であるか。
    四、法は、どちらがよく守られているか。
    五、兵士は、どちらが強いか。
    六、部隊の訓練は、どちらがゆきとどいているか。
    七、賞罰は、どちらが厳正に行なわれているか。

   わたしは、この七点を比較して戦争の見通しをつける。わたしの意見を聞きいれ、その見
   通しに従って武力を行使すれば、必ず勝利を収める。したがって、わたしは、軍師として
   留まろう。反対に、わたしの意見を問かず、その見通しに従わないで武力を行使すれば、
   かならず負ける。したがって、わたしは軍師として留まるつもりはない。さて、以上の七
   点を比較した結果、基本的条件においてこちらが有利だったとしよう。次に打つ手は、有
   利な態勢をつくって、基本的条件を補強することである。すなわち、基本的条件は、個々
   の場面に応じて、これに即応するさまざまな現われ方をし、その力を発揮する。

 

    No.168

【ソーラータイル篇:最新熱電併給技術】

● 太陽からエネルギーを取り出す屋根材、熱電併給も可能



建材や太陽電池セルの製造販売を手掛けるエフウエイブは、「スマートエネルギーWeek 2018」(20
18年2月28日~3月2日、東京ビッグサイト)で、フィルム型太陽電池を一体化した屋根材とこの建材
を使用した熱電併給システムを参考展示(スマートジャパン、2018.03.12)。同社の樹脂屋根材は、
新素材の難燃性高分子合成樹脂を採用し、従来の陶器平板瓦と比較して75%以上の重量を削減しつつ
も、強じんで柔軟である特徴をもつ。また、一般的な建材で用いられる樹脂素材と比較して、防水
性や紫外線による色あせ・割れの発生を防ぐ耐候性を兼ねそろえつ、樹脂素材が持つ高柔軟性を生か
し複雑な形状の屋根にも対応できる高い施工性、デザイン性を確保。この他、この屋根材と、同社が
2014年に富士電機より事業を取得したフィルム型アモルファス太陽電池「FWAVE太陽電池セル」と
の一体成型モジュールを展示。軽量で折り曲げ可能な太陽電池セルと屋根材を組み合わせることで、
屋根材の軽量性を損なうことなく、発電の付加価値を加えている。さらに、参考展示として太陽電池
付き樹脂屋根材と太陽熱収集器、熱交換器などによる屋根からの熱電併給システム「サーマルルーフ」
を提案。この樹脂屋根材は現在、工場での量産準備段階にあるとし、まず米国市場に投入した後に日
本市場での販売を判断する。





尚、欧州ではこのような熱電併給の研究開発では先行しているよに見受けられる。ここでの競合は特
許取得段階ではなく「ラスト・ワンマイル」の総合的な企業技術力(Know-how)の優劣になるだろう。

 Via New Atlas

【節水篇:最新節水型食用作育成技術】

 

イリノイ大学なの研究グループは、作物中の単一のタンパク質を過剰発現させる単純な遺伝子調整で、
通常収量生産量あたり最大25%の節水せきる品種改良に成功する。これにより干ばつや気候変動に
苦しむ地域で、より多くの食糧栽培ができ、水資源の有効利用できる。Photoshop II Subunit S(PsbS)
と呼ばれる特定のタンパク質を増やして、植物が部分的に気孔を閉鎖できることを発見。気孔は、葉
の細かい細孔を開/閉で、二酸化炭素を酸素または酸素に放出させ、光合成過程を調節する。最初の
仮説は、気孔の開口制限で、植物の蒸散で水分を失うことがなく、水分補給量を節約することにある。
仮説実証試験はタバコで行われ、PsbSの発現増加させることで、気孔の開口率が低下し、光合成によ
る水分排出率が25%向上。これは過去60年間で作物収量が善したが、1トンの穀物生産に必要な
水量は変わらなかった。世界中の気候変動パターンが不安定で不規則となるなかで、世界の淡水供給
の90%は農業用。2050年までに食糧生産が70%増産に向かうと予測されている。

 Mar. 6, 2018

タバコ作物の容易な改変と迅速なライフサイクルで、このプロセス開発が成功したが、次の段階は、
水分制限条件をシミュレーョン(模擬)での検証試験。この研究では、植物のPsbSの機能が普遍的な
ため、共通の食用作物への応用展開が見込まれている。


 

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.17      

     ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『原発廃炉には、政府から会計上のサポートが必要』     

 Jan. 17, 2013

         小宮一慶(こみやかずよし) 株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役

1957年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、アメリカ・ダ
ートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報システ
ムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役。この間、93年にはUNTAC(国連 カン
ボジア暫定統治機構)選挙監視員として、総選挙を監視。94年には日本福祉サービス(現在セント
ケア)企画部長を経て、95年に小宮コンサルタンツを設立、現在に至る。著書に『財務諸表を読
む技術わかる技術』(朝日新書/2010)『問題解決の教科書リーダーのための仕事力 向上講
座』(PHP研究所/ 2011『社長の教科書』(ダイヤモンド社/2010)など多数。



   原発をなくすために

 鈴木 本日はよろしくお願いします。私たちがこの会議を立ち上げた一つの大きなきっかけな
 のですが、新聞、テレビなどで、いろいろ報道されるなかで、原発がないと電気が足りなくて
 産業が空洞化してGDPが下がってしまう、ことあるごとに経済界からそういう声が出てきて
 しまうということがあります。私は非常な違和感があるのですが、小宮さんはいかがですか。

 小宮 正直に言いますとね、3月11日の震災まで、ぼくは原子力発電が日本の電力供給を担
 っていいんじゃないかと思っていたのです。それは、二酸化炭素排出の問題や、それから、ご
 存知のように日本は資源のない国だということがあるからでした。ただ、それには、大前提と
 して原発は安全だということが担保されている必要があるわけですが、3月11日以降、原発
 はしかるべきときに廃炉にするのが日本にとってもかというふうに思うようになってきました。
 あの事故で原発自体が非常に危険だということがわかったからです。これからも自然災害は起
 こりえるだろうし、もう一つはテロの脅威ですね。それと、日本は世界で唯一の被爆国ですか
 ら、そういう点からも新しいエネルギーを模索していくのがいいんじゃないかと私は思うわけ
 です。

 鈴木 私たちは経済人ですので、経済という観点から原発をみますと、一つは安全性に大きな
 疑問があるし、もう一つは原発というシステムにまとわりついている、あまりよわからないお
 金の流れというか、そこがよく見えないという問題があります。

 小宮 原発に絡んだ利権というものが結構あるでしょうし、それで成り立っている地域もある
 というのは事実なんですけれども、そのことについていえば、原発の立地によって成り立って
 いるからといって原発が欲しいわけじゃなくて、雇用だとか地域再生をしたいということで原
 発をおいておられるところが多いと思うんですね。ですから、そういうことを考えれば、私の
 意見としては、そういう地域で原発がなくなってしまうのはたいへんなんですけども、その代
 わりに再生可能エネルギーの発電などで地域雇用を守っていけばいいと思うのです。

 鈴木 いま、再稼働が議論されていますが、本当のところはどうなんでしょうか。
 小宮 正確にいうと、所在地で原発の立地によって経済を成り立たせている人たちは再稼働を
 主張する意見が強いと思いますが、必ずしもすべての人ではないと思います。繰り返しになり
 ますけども、そういう地域の方たちの雇用だとか、地域再生のための手段を守ることは大事だ
 と思います。でも、それが原発でなくてもいいんじゃないかな、と私は思っているんです。

 鈴木 たとえば、現在、原発をとめてもそれで終わらないわけです。庭炉という作業は20年、
 30年と続いていく。仕事があり、雇用があり、ある意味お金がまわっていく。
 小宮 再生可能子不ルギーを起こす発電設備をつくる、同じ場所に、そういうことをしていけ
 ば、雇用は守られるんじゃないか、ということなんです。



 鈴木 これまで原発による電気を使わせてもらってきた以上、私たちにも責任があると思いま
 す。知らん顔で放っておくわけにはいかないので、税金を投じていく必要がありますよね。
 小宮 それに関してもう少し言うと、私の専門の1つが会計なので、電力会社の立場もわかる
 んです。廃炉にすると決めたら、その瞬間に「減損会計」をしないといけない。減損会計とい
 うのは、資産の収益性が低下して想定した投資額の回収が見込めなくなった場合、当該資産の
 帳簿価額にその価値の下落を反映させる手続きをいうのですが、電力会社によっては1000
 億円単位での損失が出るわけで、財務基盤が大きく損なわれてしまうわけです。

 これについては、原発自体が国の政策でやってきたので、ある程度、それによって国も恩恵を
 受けてきたのは間違いないわけです。だから、廃炉に関して補助金を電力会社にあげたらいい
 と思うんですよ。なおかつ、その廃炉とともに再生可能エネルギーをつくるための補助金をあ
 げる。すると、帳簿上の減損処理は、所有している資産の簿価が下がった分「評価損」になる
 わけです。その「評価損」に対してキャッシュでお金が入るわけですから、財務基盤がまった
 く傷まないうえに、逆に強くなります。だから、電力会社も廃炉にしても損はしないと思いま
 す。たとえば、1基当たり1000億円あげるとすると、いま、あるのは50基ほどですから、
 5年とか、10年に分けてあげていけばよいわけです。その間、廃炉処理を進めながら再生可能
 エネルギーをつくる手立てを得られる。それを原発のある地域でやれば雇用にもつながります。

       
 鈴木 だけど、いま、被災者への賠償問題や情報隠蔽など、電力会社への不信感みたいなもの
 があって、どうしても電力会社に直接補助金を渡すことに、抵抗があるような気がしますが。
 小宮 電力会社の財務基盤が弱くなること自体、あまりいいことではないと思いますし、私個
 人としては原発がなくなればよいわけで、電力会社そのものがなくなるのを望んでいるわけで
 はないんです。私が考えたのは電力会社もうまくいきながら、地域雇用もでき、エネルギーも
 確保しながら、原発をなくしていく。会計的な立場から、それがいいんじやないかと思うわけ
 です。



  日本全体の経済とエネルギーの関係

 鈴木 少し、話題を変えますが、大企業からすると、とにかく電気が足りないということなん
 ですが、日本全体の経済とエネルギーという観点からするとほんとうにそうなのか、その点ど
 うなのでしょうか。
 小宮 そうですね、優先順位の置き方だと思うんです。電力があることが大前提であるはずな
 のに、議論のまずい点は、原発はいらない、いや必要だという議論しかないということです。
 原発の役割はここまで、ここから先は再生可能エネルギーで置き換える、というふうにどこま
 でにするかという議論がされていない。そういう議論をしていけば、工夫してある程度は節電
 して、それで今度はエコにもつながるわけです。

 それから、もう一つは原発をなくすならなくしてしまう、私個人としては2年間ぐらい安全性
 が高い原発を10基ほど動かしてみて、その間に廃炉の方針を決めて、さっき申し上げたように
 再生可能エネルギーをどれだけつくるとか、そういうことを決めてやればいいと思うのですが、
 動かしたいという人は永久に動かすようなことを言うし、やめさせたい人は、いますぐにやめ
 るようなことを言っていて、落としどころというのが見えてこない。いけないのは、やめるん
 だか、やめないんだかわからないまま、ずるずるいこうとしていること。私としてはちょっと
 許せないところがあります。

 鈴木 電気が足りなくなると日本の産業がどんどん外へ出て行って空洞化してしまうとよくい
 われるのですが、本当のところはどうなんでしょうか。
 小宮 私は「日本の産業の空洞化」論の、現在の一番大きな原因は、「円高」だったと思いま
 すよ。一時韓国のウォンに対して40パーセントも円が上がったのです。それに高齢化の進展や
 高い法人税の問題もあります。



 鈴木 なるほど。
 小宮 日本がどんなに優秀な産業を持っていても、ハイテク産業は、設備投資を行なえばどこ
 でもやれるので、為替レートによっては勝てなくなってしまうわけです。半導体が一部でおか
 しくなったり、液晶事業がやれなくなったりというのは、けっして電力のせいではなくて、円
 高のせいだったと思います。電力が将来的に足りなくなるのではないかということも影響して
 いることは間違いないんですが、それは何とかなると考えられます。

 鈴木 昨日、今日の話じゃないわけですね。
 小宮 もう一つ言うと、大企業でも原発の機器をつくることによって成り立っているメーカー
 もあるわけですが、再生可能子不ルギー関連の機器をつくる会社に変わっていけばいいんじゃ
 ないかなと思います。

 鈴木 原発をつくっているメーカーにも、電力会社にも、別の部門でそういう技術を持ってい
 るというようなことを聞きますしね。
 小宮 そうです。それをきちんと進めることによって、それをまた輸出産業にするわけですよ。
 日本の地熱発電は世界で最先端の技術を持っているのに、売れているのは、ほとんど、日本以
 外の地域という現実があります。風力発電にしたって日本が取り組めば、いまよりもっとでき
 ると思います。太陽光でも同じことがいえます。そういうのを日本の産業の中核にしていく。
 日本は世界に訪れるエコの国ですから、再生可能エネルギーをつくり出す産業で勝負する国に
 すればいいんじゃないかと思います。

 鈴木 どこかで原発を使うのはやめようと決めて腹をくくりさえすれば、大企業もそうでしょ
 うし、われわれのような中小企業も、いろいろな知恵が出るし、いろんな技術革新が可能にな
 るわけですね。

                                                                         この項つづく
 

  

 ● 今夜の一曲

 

   夢ならばどれはどよかったでしょう
   未だにあなたのことを夢にみる
   忘れた物を取りに帰るように
   古びた思い出の埃を払う

   戻らない幸せがあることを
   最後にあなたが教えてくれた
   言えずに隠してた昏い過去も
   あなたがいなさや永遠に昏いまま

   きっともうこれ以上傷つくことなど
   ありはしないとわかっている

   あの日の悲しみさえあの日の苦しみさえ
   そのすべてを愛してたあなたとともに
   胸に残り離れない苦いレモンの匂い
   雨が降り止むまでは帰れない
   今でもあなたはわたしの光

   暗闇であなたの背中をなぞった
   その輪郭を鮮明に覚えている
   受け止めきれないものと出会うたび
   溢れてやまないのは涙だけ

   何をしていたの何を見ていたの
   わたしの知らない横顔で

   どこかであなたが今わたしと同じ様な
   涙にくれ淋しさの中にいるなら
   わたしのことなどどうか忘れてください
   そんなことを心から願うほどに
   今でもあなたはわたしの光

   自分が思うより
   恋をしていたあなたに
   あれから思うように
   息ができない
   あんなに側にいたのに
   まるで嘘みたい
   とても忘れられない
   それだけが確か

   あの日の悲しみさえあの日の苦しみさえ
   そのすべてを愛してたあなたとともに
   胸に残り離れない舌いレモンの匂い
   雨が降り止むまでは帰れない
   切り分けた果実の片方の様に

   今でもあなたはわたしの光

米津 玄師(よねづ けんし;1991年3月10日 - )は、日本のミュージシャン、シンガーソングラ
イター、イラストレーター、ビデオグラファーで、徳島県徳島市出身。身長188cm、O型。所属レ
ーベルはソニー・ミュージックレコーズ。第57回日本レコード大賞にて優秀アルバム賞を受賞。
「Lemon」(レモン)は、米津玄師のメジャー8枚目のシングル。2018年3月14日にソニー・ミュ
ージックレコーズからリリースを予定。前作『ピースサイン』から約9か月ぶりのシングルリリ
ースとなる。表題曲「Lemon」は、2018年1月12日から放送開始、TBS系列テレビドラマ『アン
ナチュラル』の主題歌となっている。2017年11月1日から開始したワンマンライブツアー「米津
玄師 2017 TOUR / Fogbound」の、12月14日、神奈川県パシフィコ横浜国立大ホールでの公演内に
おいて、同ドラマへ楽曲提供のことをまた楽曲を制作中であることを公表していた。

 

Via 88th Geneva International Motor Show

【下の句トレッキング:わが衣手は 露にぬれつつ】

 

      秋の田の仮庵の苫をあらみ わが衣手は露にぬれつつ

                              天智天皇 『後撰集』秋中


刈り取られた稲の見張り小屋で、ただひとりで夜を明かしていると、
葺いてある屋根の苫の編み目が粗いので、
私の着物はぐっしょりと夜露で濡れ続けていることよ。

Waiting for morning in the lookout shed, I watch over the harvest alone.
The gaps in the weave of the roof are large,
and my kimono, wet from the night mist, never seems to dry.





昼は病みつきの「鴨だしそば」をほぼ毎日頂いている。そして、餅を1、2個、トースターオー
ブンで焼きそばを食べる直前に鉢に入れる。餅はできる限り焼いてよく乾燥させておくとそばと
の絡み緊張感が生じ焼きの香ばしさと七味の香り辛味が絶妙で"オンリーワンワールド"に包まれ
至福のひとときを楽しむ。ここから【iPhon習得記】に入る。今日はインターネット(YAHOO!
JAPAN)に入り、わたしが編集する、ホームページ、ブログ(2件)に接続する。なるほど、綺麗だが、レイ
アウトに工夫がいることに気づく。10年前では考えもしない世界が当たり前のようにヤンジェネを囲い込
み拡散しているのだ!と、感心しきり。都会では若者に「iPhon」 がないなんて考えられないというわけだ
(井上陽水の「傘がない」の歌が頭の中で同時進行している)。いかなくちゃ、誰かに会いにいかなくちゃ
っつ、てと ・・・・・・。

   

 


わが衣手に 雪はふりつつ

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      「兵は脆道なり」

 ※ 戦術の要諦は、敵をあざむくことである。例えば、できるのにできないふりをし、必要
   なものを不要とみせかける。遠ざかるとみせかけて近づき、近づくとみせかけて遠ざか
   る。有利とみせて誘い出し、混乱させて撃破する。充実している敵に対しては退いて態
   勢をととのえ、強力な敵とは正面衝突を避ける。また、敵を激昂させて消耗させ低姿勢
   に出て油断させる。敵が落ちついていれば、事をかまえて奔命に疲れさせ、団結してい
   る敵は離間させる。
   こうして敵の弱昧につけこみ、敵の意表をつく。これが戦術の背節であるが、その運用
   は状況の変化に応じて自在に駆使すべきものであるから、あらかじめ固定してかかるわ
   けにはゆかない。

   脆道と詐術のちがい 「兵は脆道なり」をめぐって、古来、中国や日本で是非の論争が
   展開されてきた。「脆道」は文字どおり読めば「脆わりの道」だが、否定論者は「孫子
   のいうところは仁義に欠ける」(王世貞)、「奇にすぎる」(戴溪)などと攻撃し、肯
   定論考は「脆も一つの遣である」(北条氏長)、「脆わりは本来、道とはいえぬが、そ
   のなかに道があることもある」(山鹿素行)と弁護する。が、両者いずれにしても、道
   義的な意昧での「道」にこだわりすぎているのではなかろうか。『孫子』の「脆道」は、
   単なる「詐術」ではなく、彼我の力を測定し、それがぶつかりあう場合、われに有利に
   作用するよう物理的な力でない最適なコントロールを加える。一種の弁証法的な運動法
   則といってよい。その有力な手段として心理操作があるのだ。

     事前の見通し

   戦争の見通しは、開戦に先立って立てられていなければならない。勝つか負けるかは、
   見通しのいかんにかかっているのだ。勝利の見通しが確実ならば勝てるが、あやふやで
   あれば勝利はおぼつかない。まして見通しを立てようともしない者が、勝てるはずがな
   い。この観点に立つならば、勝敗は戦わずして明らかであろう。

 

 

● 事件背景と告発の意味 Ⅸ

 第2章 信教の自由・プライバシーと監視社会-テロ対策を改めて考える  

   第5節 ヨーロッパにおける監視操作の状況

                  オーストリアの青年の訴えがセーフハーパー協定を無効にした

 宮下 昨年2015年10月6日、EU司法裁判所は、EUとアメリカの間で締結されてい
 たセーフハーバー協定(mワロ汐tF『ご呂『Fシy)を無効とする判決を下しました。こ
 の判決は、スノーデン・リークに基づき、二八歳のマックス・シュレムスというオーストリ
 ア人が使っていたフェイスブックをNSAが監視対象にしていたことが端緒となりました行
 つそうした安全でないSNSにより、アメリカとEUの間でデータ移転することはできない、
 ヨーロッパのユーザーデータをアメリカに移転することはできない、として協定を無効にし
 たわけです。これに伴いアメリカの4500社のグローバル企業はデータを移転することが
 できなくなりました。

 すなわち、ナショナル・セキュリティにおける監視の問題は、テロリストだけをターゲット
 にしていると思われがちですが実は違います。ここにいるみなさんひとりひとりがお使いの
 グーグルやヤフー、そしてフェイスブックといったSNSにも影響する問題なのです。
 スノしテン氏は、EU司法裁別所で勝訴した原告のマックスーシュレムスに対して「おめで
 とう、あなたは巨界を変えたね一とメッセージを送っております.

 井桁 SNSや我々が普段使っている便利なテクノロジーがそのまま監視のツールになりか
 ねないという点が、現代型の監視の特徴ということですね。

 第6節 NSAの監視は違憲なのか

 ここからは、各国で実施される監視捜査の適法性を中心に議論します。初めのテーマはスノ
 ーデン・リークによって明らかとなったNSAによる監視捜査の違憲性の問題です。光ファ
 イバーケーブルに直接アクセスをしたり、インターネットサービス会社に提出を命ずるなど
 して利用者の通信情報を大量に集めることが、アメリカ合衆国の憲法に違反しないのかとい
 う問題です,
 アメリカ海栗国の監視がアメリカ白票国の憲法に違反しないのかというある意味ローカルな
 テーマですが、アメリカに本社を置くインターネットサービス会社は世界中にユーザーがい
 るため、アメリカ政府による監視は世界中の市民に影響を及ぼします。また最先端のテクノ
 ロジーを用いた監視捜査が、自由主義国の代表であるアメリカの司法でどのように議論され
 るのかという点で、今後の監視捜査の在り方を占う問題であることは間違いありません。

     スノーデン・リークが監視プログラムの違憲性を問うことを可能にした

 井桁 これまでお話しいただいた監視の実態を前提として、市民社会はどのように監視のリ
 スクをコントロールしていくべきかという点についてお話しいただきます。
 まずワイズナー氏に伺います。スノーデン氏が明らかにしたアメリカ政府による監視はアメ
 リカの憲法には反しないのでしょうか。NSAによる監視はアメリカの憲法に違反する無効
 なものだと断言することはできるのでしょうか。

 ワイズナー その質問に答える前に、これまでのほかのパネリストの発言を踏まえてコメン
 トさせて下さい。ほとんどの監視技術は戦争のために開発されました。深刻な危機が存在し、
 これに対応するために監視システムが作られるわけです。他方で、監視システムが存在する
 から危機を演出するということもあります。危機が去った後にも大規模なシステムの存在を
 正当化するために、新たな危機を生み出すわけです。ムスリムの監視に関して日本で行われ
 ていることはこのようなことかもしれません。テロを防止するという目的のために監視が始
 まり、その後、監視を継続するために正当化を必要とするわけです。

 さて、ご質問に対する答えですが、私は違憲だと思います。そしてより重要なことは、つい
 に裁判所をこの問題に向き合わせることに成功したことです。スノーデン以前は証拠の不在
 が最大の障壁となり、裁判所に監視の違憲性について判断を求めると、裁判所は「帰りなさ
 い。

 あなたが主張する監視があなたに影響を与えているという証拠がないので、あなたにはその
 裁判を提起する権利かありません」と門前払いにされていたのですI詞月。
 監視プログラムの存在が国民に知らされないまま行われていたために、訴えが退けられると
 いう不当な状況でした。スノしデン氏が証拠を提供してくれたため、政府官僚ではなく裁判
 官にプログラムの違憲性を判断してもらうことができるようになりました。

 私たちは、政府が監視を行うには正当な理由が必要だと考えています。監視は正当な事由に
 基づき行われるべきです。政府の監視プログラムの問題は、スノーデン氏が牧えてくれたよ
 うに、後に役立つかもしれないという理由であらゆる情報を収集していることです。これは
 違憲であると私たちは考えていますが、裁判所ではこの点が争われるでしょう(※19)。

  テロの危険は、諜報機関という装置が自らの存在を正当化するための「燃料」

 青木 ワイズナー氏に質問があります。アメリカには強大な情報機関が複数存在し、NSA
 という組織自体も以前からあったわけですね。その活動が9・11以前と9・11以後では
 まったく変わってしまったのでしょうか。9・11の発生以後、予算や権限を増やしたこと
 によって活動内容が化物のように肥大化してしまったと考えるべきなのでしょうか。

 ワイズナー9・11後、大きな変化かありました。NSAは外国に対する諜報機関として設
 立され、その技術を本国においてアメリカ人に対して利用することはできないと考えられて
 いました。しかし一九セ○年代、NSAやCIA、FBIが、国内で大規模な監視活動を行
 っていたことが発覚しました。市民権運動のリーダー、女性運動、黒人の学生団体、反戦活
 動家などが対象でした。これは大スキャンダルとなりました(※20)。その結果、NSAが
 アメリカ国内で監視を行うことは、法律で厳しく制限されました。

 アメリカ国外での監視(※21)について言えば、NSAはこれまでも長きにわたって、あら
 ゆる情報を収集してきました。その理由はテロリズムではありませんでした。長期にわたり
 正当化事由は冷戦といういわば外部の脅威でした。照準を定めた核兵器が世界中に配備され
 ているという事態が例外的な監視権限を正当化していたのです。冷戦後9・Hが起こると、
 突然、テロ対策が巨大な予算のための新たな正当化事由となりました-詞『。確かに脅威が
 存在しないわけではありません。しかしスノーデン氏が指摘する通り、テロリストによって
 殺される確率よりバスタブで溺れる確率の方が高いのです。テロの脅威は、政府が毎年80
 0億ドルを費やして対策すべきほどの脅威なのか、改めて考えるべきです。

 情報当局にとってはテロの危険は大きければ大きいほど良いわけですが、私はこれをズ貿威
 という燃料〃と呼んでいます。諜報機関という装置が自らの存在を正当化するために必要と
 する燃料です。

 第7節 アメジカにおける政府の監視をコントロールする仕組み

 アメリカ政府が実施してきたテロ対策としての監視は、膨大な個人情報を集めること自体が
 自己目的化した問題の多いものであることが語られてきました。他方で、オバマ大統領の説
 明にもある通り、監視が常に許されないわけではありません。国家の安全を守るため、監視
 技術が有用に働く場合があることは否定できません。重要なことは、劇薬である監視技術を
 いかに適正に用いるか、そのコントロールの方法です。
 スノーデンは法律を破ることで民主的な監視の監督制度を再活性化した。

 井桁 アメリカでは、プライバシーなどの人権と監視による安全のバランスを取るためにど
 のようなシステムを導入しているのでしょうか。法律や裁判所の監督、議会における監視シ
 ステムなどいろいろとあると思いますが、まず、地元警察の監視を監督するシステムについ
 てマリコーヒロセ氏に伺い、その後に連邦政府についてワイズナー氏に伺います。

 ヒロセ 前提として、監視と日常的な法執行は異なることを意識する必要があります。地元
 警察の主な活動は発生した犯罪を解決することです。犯罪を捜査し、検察官に事件を送致し、
 最終的に事件が裁判所で審理されるという一連のシステムに基づくものです。うまく機能し
 ないこともありますが、少なくともこの確立したシステムが警察に対する監督としても機能
 しています。

 監視はまったく異なります。警察が解決すべき犯罪は発生していません。監視プログラムに
 終わりはないわけです(※23)。そのため、地元警察が行う監視プログラムに関しては、監
 督のメカニズムに大きな問題が生じています。日常の法執行のためのシステムが、監視のメ
 カニズムの文脈では必ずしもうまく機能しないからです。

 ワイズナー アメリカには連邦政府の諜報機関を監督するメカ平ズムがあります。議会には
 独立委員会(PCLOB)が存在し、NSAとCIAを監督しています(※24)。また、法
 執行目的ではなく海外における諜報活動のための監視を承認することのみを職務とする諜報
 監視裁判所司(Feign llltelligelKe Surveillance Court)という特別裁判所も存在します。
 スノーデン氏は、これらのメカニズムがまったく機能していないことを敦えてくれました。
 1970年代に、当時発生した先ほど述べたような問題の解決策としてこれらのメカニズム
 が創設されたのですが、40年後の現在、このメカニズムがむしろ足かせとなってしまって
 います。これらのメカニズムには期待できません。今必要なことは、NSAの活動について
 市民が十分に理解することです。

 例を挙げさせて下さい。2013年、スノーデン・リークの直後、オバマ大統領は「心配な
 い。NSAの活動は、三権、すなわち行政府、議会、裁判所のすべてによって承認されてい
 ます」と述べました(※25)。確かにその通りです。そしてそれこそが問題なわけです(※
 26)。人々の間で議論が深まると三権のいずれもが立場を変えました。大統領は、これらの
 プログラムの一部は不要かもしれないと言い出しました。裁判所は、これらのブログラムの
 一部は違法かもしれないと言いました。議会は、諜報監視活動を制限するための法案を通過
 させました。政府の監視権限が制限されるのは1978年に監視権限が認められて以来初め
 てのことです。皮肉なことに、スノーデン氏は法律を破ることで、三権それぞれに本来の仕
 事に取り掛からせて、民主的な監督制度を再活性化したのです。

    スノーデン以前、諜報監視裁判所のチェック体制は機能していなかった 
          
 井桁 ワイズナー氏のお話は、三つの国家機関がそれぞれ監督に失敗しており、そのことが
 スノーデンーリークによって暴かれたという話だと思います。具体的にどのように失敗をし
 ていて、それがどのように暴かれて今修復をされつつあるのか、宮下先生に補足いただけれ
 ばと思います。

 宮下私は、2012年から2013年にかけてアメリカのボストンにおりまして、私が帰国
 した直後にボストン了フソンのテロ事件がございました。アメリカにおける監視活動のチェ
 ック機能を見てきましたけれども、アメリカにおいては先ほどお話がありましたように、一
 般には、司法がまず大きな役割を果たしていると思います。ところが残念なことに、諜報監
 視銃判所ではチェック体制がほとんど機能しておりませんでした。令状がくれば右から左に
 それを許可していたのです。アメリカ司法省の統計では、2012年に1789件の電子監
 視の令状請求が来たものの、一件だけしか却下しなかったというような調査結果もございま
 す(※27)。

 また、先ほどスノーデン氏も指摘したPクラブ(編集部註:PCLOBのこと)という独立
 監視機関がありますが、これは大統領に直接進言できる機関です。ところが、この機関も監
 視プログラムがここまで大規模になされていたことを事前に知らされておらず、結局事後的
 な報告書を提出したにとどまるという状況でした。

          外国人を対象とした監視プログラムはいまだに続いている

 井桁 スノーデン・リーク以後は少しずつ改善されつつあるという話がありました。どのよ
 うに改善されつつあるのでしょうか。
 宮下 第一に、215条プログラム、すなわちアメリカ国民を対象とした電話のメタデータ
 収集プログラムについては、2015年6月に成立したフリーダムアクトという法律(編染
 部註:アメリカ自由法のこと)により停止になったということを先ほどワイズナー氏にも確
 認しました。

 ただ一方で、私たち日本人が気を付けねばならないのは、702条プログラム、これは外国
 人を対象とした別のプログラムなのですが、こちらはいまだに続いているということです(
 ※25)。だからこそ、EUではセーフハーパー決定の無効判決という厳しい形で、外国人を
 監視の対象とするブログラムを止めるというような判決を出したという経緯があります。日
 本では残念ながら、立法府、司法府のいずれにおいても、日本人も対象となっているこのア
 メリカの監視ブログラムについての活発な議論や審理がこれまでなされていません(忠29),

  自由な社会がこれまでに生み出した唯一の有用な解決策は、独立のメディア

 井桁 今まさに、アメリカ政府においても改善の途上だとは思いますが、ワィズナー氏から、
 監督のためのシステムのあるべき姿、あるいは重要な視点についてお話しいただければと思
 います。

 ワイズナー これは民主主義における難問です。正当な秘密というものが存在することを前
 提とし、他方で民主主義においては重要な決定は市民のインフオームド・コンセントに基づ
 いて行わなければならないとすると、衝突が生じます。たとえば戦争は、政府が秘密とする
 ことに確固たる理由がある一方、市民の名の下に政府が何をしているかについて市民が知ら
 なければならないことの最たるものです。

 自由な社会がこれまでに生み出した唯一の有用な解決策は、独立したメディアです。自由な
 社会であれ権威主義的な社会であれ、政府は自らに都合の悪い情報を隠蔽する傾向がありま
 す。情報を公開すると困ったことになったり、説明責任を問われたりするので、情報を隠す
 傾向にあるのです。これは宮原が悪者だからというわけではありません。それが人間の性で
 す。

 ここにこそメディアの役割があります。政府による情報の管理に対抗し、適切な形で情報を
 市民に伝えるという役割です。スノーデン氏が述べていた通り、すべてを公開すればよいと
 いうことではありません。肢は、日本に関するいくつかの質問に答えませんでした。それは
 メディアの仕事だからです。メディアは何か公益に責するかに関する専門家です。政府の利
 益と市民の知る権利のバランスを図るのに最も適した人たちです。
 もちろん国家の統治機関も必要です。より効果的な議会、より効果的な司法も必要です。そ
 れはもちろんですが、しかし強力で独立したメディアがなければこれらの組織は効果的に活
 動できないでしょう。

                                   この項つづく

 

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.18       

     ● 対談3 新しい現実をつくる  

   『原発廃炉には、政府から会計上のサポートが必要』     

 Jan. 17, 2013 

         小宮一慶(こみやかずよし) 株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役

1957年大阪府生まれ。京都大学法学部卒業。東京銀行に入行。84年から2年間、アメリカ・
ダートマス大学エイモスタック経営大学院に留学。MBA取得。帰国後、同行で経営戦略情報シ
ステムやM&Aに携わったのち、岡本アソシエイツ取締役。この間、93年にはUNTAC(国連 
カンボジア暫定統治機構)選挙監視員として、総選挙を監視。94年には日本福祉サービス(現在
セントケア)企画部長を経て、95年に小宮コンサルタンツを設立、現在に至る。著書に『財務
諸表を読む技術わかる技術』(朝日新書/2010)『問題解決の教科書リーダーのための仕事
力 向上講座』(PHP研究所/ 2011『社長の教科書』(ダイヤモンド社/2010)な
ど多数。

  再生可能エネルギーをつくる技術を育成していく

  小宮 そうです。産業の空洞化がいわれますが、国内でどういう産業を育成していくかとい
 うことを考えないといけないわけですね。航空宇宙だとか、精密機械だとか、そういう分野
 はもちろんですが、一番有望なのは再生可能子羊ルギー、それも最先端の再生可能エネルギ
 ーをつくる技術を育成していく。こうしたチャレンジは日本にとってすごくいいことだと思
 います。それには2つのことがいえます。1つは、日本に資源がないばかりに、いま、LN
 G(液化天然ガス)の輸入が急増していて貿易赤字の大きな原因になってしまっています。
 再生可能エネルギーはエネルギーを輸入する必要がないわけですから、そういった意味では
 貿易収支の改善につながります。
 2つ目は、再生可能エネルギー関連の製品を輸出できるようになれば日本の貿易収支は改善
 します。それを世界中に輸出できれば、きれいなエネルギーをつくり出す技術を世界中に提
 供できるわけですから、私はほんとうに素晴らしいことじゃないかなと思います。

 鈴木 再生可能エネルギーで新しいエネルギーをつくっていく、電気をつくると同時に、そ
 れとはまた別にエネルギーを、電気を賢く使うという方法があるように思いますが。
 小宮 3月11日の、震災があった直後から、関東地方はみんな節電したじゃないですか。
 駅なんか暗くなりましたが、慣れるとこれでいいんじゃないかと思いました。私は仕事柄よ
 く地方へ行くのですが、地方によっては「いやあ、ずいぶん明るいなあ」と思うことがあり
 ます。だから、企業もそうですが、ある程度慣れということが大事だと思います。

 鈴木 私ども中小合祭の経営者は、既械を買いますと、ものにもよりますが、財用年数が10
 年としますと、それを15年、20年、どうやって長く使うかと考えるのが習い性になっている
 わけですね。ところが、技術革新が進んでいるので、10年前の冷蔵庫に比べると3割くらい
 少ない電気で勤いてしまう、だったら、それを入れて節電すればいいはずなのですが、どう
 しても、ここでソロバン勘定しちゃうんです。つまり、どこかで「原発勣くんじゃないの?」
 「そうしたら電気代が下がっちゃう」「それでは損しちゃう」とい うようなことでようすをみて
 しまうんです。

 小宮 この近くに四ツ谷駅がありますが、このごろ、少し明るくなったと思うんです。
 それはね、節電をやめたわけじゃなくて、照明をLEDに替えたんです。明るくなったうえ
 にかなりの節電になっているとうので、そういう前向きな設備投資をしていくということも、
 企業にとってすごく大事 なことだと思いますよ。

 鈴木 経営者の立場からすると、そういうインセンティブというのがもっとあると、たぶん、
 流れが一気にそっちへいくような気がします。
 小宮 だから、エネルギーを節約できる新しい技術に対しても、政府から補助金が出るとか、
 そういうのがあればいいですよね,

 鈴木 原発は使わないと決めたら、みんな真剣になって新しい冷蔵庫に動く。たとえば30
 0万かけたら3年、5年で元を取ると考えるようになります。結果として電力使用量が下が
 るわけです。新しいビジネスチャンスが生まれてお金がまわっていきます。
 小宮 そうですね、その通りだと思います。それによって、そういうものをつくっている会
 社がよくなるわけですからね。当座のエネルギー使用量も減るということですよね。が働い
 ているような気がしますね。

 小宮 そもそも経済学的に独占を許しだのは、大規模に発電したほうが経済的にスケールメ
 リットがあるからなんですね。もちろん、安定供給もありますけれども、独占を許したのは
 50年も、60年も、場合によっては戦前の話みたいなものじやないですか。それから一層技術
 革新が進んでいるのに、まだ独占を許して、その独占によって得られた過剰な利益が、電力
 会社の待遇改善に使われているというのはたいへんばかげた話ですよ。それでいてね、電力
 が足りないから電気料金を土げますという、それもまたおかしな話で、もうちょっと供給体
 制に対して工夫するとか、そういうことが大事だと思います。

 鈴木 国の経済の貿易収支とか、マクロ的な視点で子不ルギーを取り上げて、そのなかで原
 発とか、再生可能エネルギーとかは、どういう位置づけになるのでしょうか。
 小宮 いま、貿易赤字になっていて、2011年度で4兆4000億円、名目GDPの1パ
 ーセント弱の貿易赤字なんですね。2010年は、円高で輸出が伸びなかったこともあるん
 ですが、やっぱりLNGの輸入が増えたという部分がけっこう大きいのです。

 私はエネルギーの専門家ではないのでよくわからないのですが、産業を成り立たせるために
 燃料がある程度必要なのは問違いないんじゃないですか。もちろん、節電するということも
 大切だけれども、それでも足りるかどうかわからない。
 やはり、LNGを使うのは火力発電ですから、排熱を利用して動力・温熱・冷熱を取り出し
 総合エネルギー効率を高めるコジェネレーションとか、そういうことをやっていかざるを得
 ないのではないでしょうか。LNG自体がBTU(英熱量)だと結構高いレベルですよ。B
 TU16ドルとか18ドルぐらいで買っているんですね、アメリカでシェールガスが出て、同じ
 ものがBTU2ドルくらいで売られている、そういうことを考えると、いろんな条件がある
 んですが、LNGの価格が下がっていく可能性がかなり高いような気がします。

 再生可能エネルギーがもっとも理想的ではあるんですが、シェールガスを輸入していくうえ
 で問題になっているのは何かというと、一つは米国には日本に輸出するための液化基地がま
 だないことなんです。液化してタンクに詰めて待ってくるわけですから船に積めない。もう
 一つはアメリカはエネルギー戦略上TPPに加入しない国には売らないとしていること。だ
 けど、日本はアメリカにとって最大の同盟国の一つですから交渉でクリアできると思うし、
 逆に交渉しなかったら政府の存在意義がなくなってしまいます。



 結論をいうと、当面、数年間とか、5年間くらいは値段が下がってくるLNGの火力発電で
 まかないながら、原発のある立地のところに再生可能子不ルギー、風力でもいいし、地熱で
 もいいし、太陽光でもいいから、再生可能子不ルギーをつくっていくことによってある程度
 カバーしていくのがいいんじやないか、というふうに思っているんです。もちろん、技術的
 な問題はありますが。
 そうすると、LNGの価格が下がってきて、再生可能子不ルギーの発電量が増えてきて、貿
 易黒字を確保できるんじやないかと思うんです。

 鈴木 時間がかかるけれども、原発よりもいいというわけですね。
 小宮 原発のもう一つ大きな問題は、日本では核燃料の最終処理の問題がまったく手つかず
 だということですね。だから、そのことを考えても、この先も長期間数多くの原発を稼働し
 つづけるというのは、将来の私たちの子どもとか孫の世代まで迷惑をかける可能性があるの
 で、できるだけ早く原発はやめたほうがいいんじゃないかとは思います。

 鈴木 使用済み核燃料が処理できないという状況がありながら、まだ、政府のなかに将来的
 に原発比率を30バーセント維持するという声があるというのは、普通に考えてもおかしいと
 思うわけですが、どうしてこんな論理が生まれてくるのでしょう。
 小宮 政府の考え方としては2つあると思うんですよ。一つは電力不足に対応したいという
 こと、もう一つは既得権益を守りたいということだと思います。
 原子力行政に携わっている人だとか、原発の技術者は職を失うわけですし、政府機関に関係
 する学識者などの人たちにしても立場を失うわけですから、必死で抵抗したくなるんじゃな
 いでしょうかね。ぼくらから見ると、他のことをすればいいのではないかと息いますけど、
 自分の存在意義を失うというのは個人としてはきびしいでしょうねえ。

 鈴木 たとえば再稼働にしても、リスク了不ジメントという観点からすると、大飯原発にし
 ても、どこにしても、とにかく原発を動かして、万スまた福島原発のような事故が起きたら、
 どうなってしまうのだろうかと思います。
 いま、実際に稼働しようとしているところは実は「3・H」のときと状況はまったく変わっ
 ていないわけです。このように改善しますというプランが示されただけですからもし万一の
 ことがあれば、大飯原発であれば琵琶湖の水が使えなくなるといったことが現実に起こりえ
 るわけです。
 浜岡原発であろうと、泊原発であろうと、もう一回、福島第一原発のような事故を起こして
 しまったら、その周辺だけの問題では済まないことになり、国際的な信用も地に堕ちてしま
 います。
 だから、年内で二番電力を使う夏に、少しがんばってみんなで工夫してやろうよと努力して
 みるリスクと、どっちを取るか。笞えは言うまでもなく明らかではないですか。

 小宮 そうした観点からすると、私はさっきから再三申し上げているように、ほんとうに安
 定性の高い原発を2年間ぐらい稼働させるというのが現実的じゃないかなと思うんですね。
 この夏がんばろうということで、また上目会社に出て働くという選択肢もあると思うんです
 が、2年の間に再生可能エネルギーなり、LNGの火力発電なりを役人して、2年間で原発
 をやめてしまう。もちろん、その2年間にリスクはある、地震があったら、テロに遭ったら、
 そのときどうするんだというのはあると思います。10基になるか、5基になるかはわかりま
 せんが、産業を維持できるくらいの最低限を2年とか3年とか限って稼働させるのです。

 いずれにしても、口本国政府にとって大事なことは、「原発はやめる」と決めることだと思
 うんです。いますぐかどうかは別として、とにかくやめることを決めて、2年後か、3年後
 かはわかりませんが、その間に必死に知恵を出す。先ほどいわれたようなリスクを最小限に
 しながら、変えていくというのが大事かなと思います。

 鈴木 ちょっと、また、観点を変えますと、この国の経済の発展のためにはどうしても原発
 が必要だという方がたくさんおられます。その大前提が経済というのは未来に向かって成長
 していかないとダメ、経済が成長することによってみんなが幸せになる、こういうような、
 思い込みのようなことが語られているわけですが、歴史を見ると経済が成長したことが必ず
 しもみんなが幸せになることに結びついていません。逆の場合もあったでしょうし、特に日
 本という国はこれから人口が減少するわけですから、そういう中でGDPで表現される経済
 の規模というものも、もしかしたら縮小していくのかもしれないと思うのです。
 小宮 縮小しますよ、このままいったら。



  原発がなくても経済は成長できる

 鈴木 経済というのは成長していかないといけないという神話みたいなものと、それと原発
 の話がセットで語られているんですね。経済ってほんとうに、成長しないといけないものな
 んでしょうか。
 小宮 結論からいうと、今の目本の状況であれば、成長させないとダメなんです。ただし、
 私は原発がなくても成長させられると思っています。では、なぜ成長させないといけないか
 というと、日本政府は膨大な債務を抱えていて、それが対名目GDP値でギリシャが170
 パーセント、イタリアが120パーセント、日本は200パーセントなんですよ。電力危機
 云々というよりも、このままでは日本は国内でデフオルトが起きる。そのことを非常に恐れ
 ているんです。ギリシャで起きていることが日本でも起きるんじゃないかと、それをすごく
 恐れています。 

 そこで調べたところ、過去20年間に主要60カ国でまったく経済成長していない国は日本だけ
 なんです。その間に政府の債務だけがどんどん増えていってしまいました。実はアメリカと
 同じだけ成長していれば何も問題はなかったんです。アメリカは平均3パーセント程度成長
 しているんですが、それでしたら20年で倍ぐらいにはなりますよ。それが自然なんです。
 債務の問題がなければ、日本は人口が減少していくわけですから、一人当たりの豊かさが変
 わらないんだったら、GDPはそれほど伸びなくてもよかったわけです。しかし、人口が減
 っていくなかで累積債務だけがどんどん増えていくから、子どもたち、孫たちが、すごく大
 変な目に遭う可能性が生じているのですね。

 それからもっと言うと、雇用という観点からも、ある程度の経済成長というのは必要だと思
 います。ただし、これも原発がないと成長しないというのは、あまりにも知恵のない話です。
 なぜなら、原発のない時代でも経済は成長していたわけですから。電力がないと経済成長し
 ないということは少しはいえるかもしれませんが、原発がないと成長しないというのはいた
 だけません、鈴木さんが言われたように再生可能エネルギーに変えていくだとか、節電を工
 夫するとか、その工夫のなかにまた新たな産業が生まれるわ発電で全体の20パーセントをま
 かなっている<風力発電のいいところはまず燃料を輸入しないでいいことです。デンマーク
 というのはおもしろい国で自動車の消費税が180バーセントなんです。コペンハーゲンで
 も通動している人の80パーセントは自転車なんです。デンマークには自動車産業がないの
 で、車を買うとしたら輸入車ですから、結局、貿易赤字をいかに避けるかということがデン
 マークの高福祉の原点の1つなんです。
 だから、いかに外貨を稼ぐかということが日本においても、経済を維持するためにすごく大
 事だと思うんです。そういう観点から国内産業を育成して、強い産業をつくって、輸入を減
 らせるような産業構造をつくっていくことが大事なんじやないかと思います。 
 強い産業をつくってそれを世界中に広めていくというのは目本にとってはすごくいいことだ
 と私は思っています。

                                   この項つづく



【下の句トレッキング:わが衣手に 雪はふりつつ】

  

     君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪はふりつつ 光孝天皇

                              
あなたに差し上げるために、春の野原に出て若菜を摘んでいる。その私の着物の袖に雪がしきり
に降りかかっている。

I have come to the spring meadows to pick herbs for you. The spring snow falls endlessly on my kimono
sleeve.

 ● 今夜の一曲
『春一番』

   Bougainvillea

 

しづ心なく花の散るらむ

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2 作 戦

※ 「兵は拙速を聞く。未だ巧の久しきを観ず」-この篇では短期戦論が強調される。それ
は万全の準備に裏付けられ、一切を集中することによって、最小の犠牲で最大の効果をあげ
るのである。 

「兵は拙速を聞く」

戦争ともなれば、兵車千台、輸送車千台、兵士十万人もの大軍を動員し、千里もの遠方へ糧
抹を輸送しなければならない。この大規模な戦争を遂行するには、内外の経費、外交使節の
接待、軍需物資、車輛、武器の補充などに一日千金もの莫大な費用がかかるのだ。たとい勝
つとしても、戦いを長びかせれば、軍隊は疲弊し、士気も衰えてくる。そうなってから慌て
て敵城攻撃をかけたとしても、失敗するばかりである。そしていつまでも軍隊を戦場にさら
す結果、国家財政は危機に追いこまれる。こうして軍隊が疲弊し、士気が衰え、攻撃に失敗
し、国力を使い果たせば、その隙に泉じて諸侯が攻めてくる。こうなってはどんな智者が現
われたところで、事態は収拾できない。
事実、短期決戦に出て成功した例はあっても、戦いを長びかせて成功した例は知らない。長
期戦は、国家になんの利益ももたらさない。それがいかに有害であるかを認識しなければ、
戦争によって利益を得ることはできないのだ。

【下の句トレッキング:しづ心なく花の散るらむ】

 ひさかたの光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ  紀友則

日の光がこんなにものどかな春の日に、どうして桜の花だけは(落ち着いた心がなく)散っ
ていってしまうのだろうか

On this gentle sunny spring day, I wonder why only the cherry blossoms cannot stay calm,
instead scattering every which way on the ground.

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    No.169

【ソーラータイル篇:最新ペロブスカイト太陽電池技術】

● ペロブスカイト太陽電池の結晶相に「超格子構造」を発見

2月19日、東京大学先端科学技術研究センタの研究グループは、高分解能電子顕微鏡で有機
金属ハライドペロブスカイト太陽電池の結晶相のナノ構造微細観察、従来、室温では正方晶(
Tetragonal)しか存在しないと思われていた有機金属ハライドペロブスカイト太陽電池の結晶相
に立方晶(Cubic)と正方晶(Tetragonal)が共存することを発見。この立方晶と正方晶は、塗
しただけで自発的に規則正しく交互に規則配列した超格子構造(Superlattice)を形成している
ことを世界で初めて確認したことを公表。

ペロブスカイト太陽電池は、今や世界の太陽電池開発を席巻。2018年1月現在、エネルギー変
換効率はNRELチャート上で22.7%が報告されて。 この値は同Lチャート上でCIGS(22.6%)、
CdTe(22.1%)、多結晶Si(22.3%)など競合するデバイスの効率を上回わり、それが大規模設
備の不要な溶液プロセスなどで実現できる。わずか数年でこの効率に到達した進化の速さも注
目されています。 昨年はペロブスカイト太陽電池がノーベル賞の受賞対象候補としても取り
上げられており、さらに高い「効率」「耐久性」「低コスト」の好適性を満たした実用デバイ
スとして期待されている。



従来、室温では正方晶しか存在しないと思われていたペロブスカイト層中に、ほぼ全領域に渡
って立方晶が共存していた(図1)。この結晶相の混合状態は作製方法が異なるペロブスカイ
トや、あるいは高効率化のために各種添加剤を加えたペロブスカイトいずれの試料においても
同様に観察された。また各結晶相の大きさは直径にして5〜10nm程度の不均質な粒子状からな
り、ナノグレインが形成されていた。



解析を進めるとこれら一部の混晶には規則性があり、場所によっては「正方晶(Tetragonal)-
立方晶(Cubic)-正方晶(Tetragonal)」3ユニットが1つの単位格子を構成、超格子(Superl-
attice)が形成されている(図2)。効率20%を越える有機金属ハライドペロブスカイト太陽
電池の中身が、実は結晶構造の異なる(即ち格子サイズや光学特性の異なる)結晶相の混合状
態になっているというのは従来の常識を覆す驚きの発見です。また、基板に塗布しただけで、
その一部が自発的に超格子構造を取ることは大きな発見です。今後、結晶工学的な立場から相
のコントロールを試みることで更なる高効率化が期待される。

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.18        

● 対談3 新しい現実をつくる  

『原発廃炉には、政府から会計上のサポートが必要』     

 Jan. 17, 2013 

小宮一慶(こみやかずよし) 株式会社小宮コンサルタンツ代表取締役

だから、いかに外貨を稼ぐかということが目本においても、経済を維持するためにすごく大
事だと思うんです。そういう観点から国内産業を育成して、強い産業をつくって、輸入を減
らせるような産業構造をつくっていくことが大事なんじやないかと思います。 
強い産業をつくってそれを世界中に広めていくというのは日本にとってはすごくいいことだ
と私は思っています。



原発がなくても経済は成長できる

鈴木 そうですね。
小宮 低成長ということで大事なのは心と経済との両方の豊かさだと思うんです。
鈴木 これまでの私たちの常識は、豊かさというのはGDPが増えることでした。それ
も豊かさの一つの指標であることは間違いないわけですが、すべてではないと思うんで
す。去年の「3・11」のいろんな経験を踏まえて「本当の豊かさって何?」と思った
とき、経済というのは数字だけじゃないと気づき始めた人が多いように思います。

小宮 働くことによって生きがいを得る。もう一つは世の中に貢献しているということ
で幸せを感じる豊かさがある。新しい産業を伸ばすことによって、世界に貢献できるじ
ゃないですか。日本人が持っている能力、そういう意味で、数字は結果だから、いい数
字が出るというのは貢献につながると思うんですよ。だから、数字を伸ばすのが目的で
はなくて、数字が伸びるくらいのいい産業をつくっていけばいいと思うんですね。

鈴木 いま、先生がおっしゃった経済力は規模ということですか。
小宮 規模と余裕です。いまの日本のように軍事にお金を使えないというようなことだ
と、一方で中国はどんどん稼いでいますから、空母を建造したり、ステルス戦闘機をつ
くったりということになっていきます。ただ、私がすごく恐れている点は中国は短期的
に成長力が落ち始めているということなんです。マクロ経済の用語で、子どもと高齢者
の数に比べ、働く世代の割合が増えていくことによって、経済成長が後押しされる1人
ロボーナス」という言葉があるんですが、中国は1人っ子政策をやっているので、若年
層が減ることによって、「人口ボーナス」がなくなってしまうんです。成長が落ちると
、56の多民族国家ですから動乱が起きる。求心力を得るのに一番効果があるのが外へ出
て行くことですから、その点、日本などは叩きやすいわけですよ。そういうときに軍事
的なバランスを欠くとですね、火がついてしまう可能性があるわけです。北朝鮮だって
同じように考えている。そうすると、軍事力を落とすということは日本にとっては問題
のあることだと思います。ただし、軍備だけ強化するというのも問題があります。経済
を伸ばしながら軍事力をそれに見合って強化していくということではないかと思います。

鈴木 理想主義的な見方かもしれませんが、日本は資源がないといわれていますが、見
方を変えれば、海も川も山も森も、自然の資源はあるわけですね。自然を活かしながら、
自然に活かされながら、経済がまわっていく仕組みをつくっていくことが、日本が世界
に貢献する最大の道筋だと思います。そのためにも日本が世界に先駆けた再生可能エネ
ルギーの技術を磨いていく意義は大きいのではないでしょうか。



世界一のエコ国家をめざして世界をリードする

小宮 日本は世界一のエコ国家になったらいいと思います。海洋国家でもありますしね。
そうなれば子不ルギーの輸入が減りますから、すごくいいと思います。
鈴木 願わくば日本という国の存在が世界にとってすごく価値があって、ということで
ありたいと思いますね。

小宮 再生可能エネルギーーの技術はすごくいい技術だと思うんです。それを世界中に
広めて輸出して、「日本がなきや困るぞ」と恩われるくらいになればいいですね。ただ
中国からみて、日本は4番目の貿易相手国なんです。1番がEUで、2番目がアメリカ
3番目がASEAN、日本はその次なんです。日本からみると中国は1番の貿易相手国
なんですよ。だから、立場が変わってしまって、そういう意味でも世界中に経済的な技
術的な恩恵を与えられる国になるというのはすごくいいことだと思います。
鈴木 世界中に経済的、技術的な恩恵を与えていく方法を、地域や土地に合うかたちに
していかないといけないわけですね。

小宮 そうです、そうです。その一つの大きな手段が再生可能子不ルギーというわけで
す。日本みたいに資源のない国はいっぱいあると思いますが、それと二酸化炭素の排出
問題もあるじゃないですか。そういう分野を新しいエネルギーで埋めるんだというとこ
ろを国家プロジェクトでやってほしいと思います。

鈴木 高度成長のときにはアメリカというモデルがあったので「追いつけ、追い越せで
よかったわけですが、いつの間にかアメリカがへろへろになってしまっていて、もう、 
これからはアジアの時代だといわれて久しいわけですが、目本という国がアジアのなか
でどういうスタンスを取るか、まだ腰が据わっていないような気がするんです。
小宮 さっき申し上げましたけどね、世界一のエコ国家を目指して世界をり-ドするこ
とが大事だと思います。将来はどうなるかわかりませんが、オバマ政権は原発推進派で
あるがために、シェールガスを売らないといっている可能性もなきにしもあらずですか
ら、日本は日本なりにこれでいくんだと決めてやればいいと思いますよ。

鈴木 みんながそういうふうに腹をくくれば、日本人は知恵があるし、必ずがんばると
思うんですよね。
小宮 政府が腹をくくればいいと思うんです。ぼくは経営コンサルタントだから、「が
んばります」という意見が言葉の遊びみたいに聞こえて一番嫌いなんです。お客様には
何月何日までにどれだけやるのかやらないのか、それを決めてくださいと、よく申し上
げるんです。

鈴木 原発の事故にしても「私が責任を取ります≒国が責任を取ります」と言いますが、
責任など取りようがない。
小宮 今日までかなり努力して原発を推進してきたわけだから、これからは同じ努力を
再生可能子不ルギーに振り向ける。当面は天然ガスなどの代替エネルギーになると思い
ますが、原発を停止しても間違いなくやれますよ。

鈴木 さっきデンマークの話が出ましたが、あるデンマークの方から「デンマークは車
をつくる技術がない。日本はあれだけ優秀な車をつくる技術があるんだから、再生可能
エネルギーをなぜやらないのか」と言われたことがあります。
小宮 その通りだと思います。再生可能子不ルギーは日本でもやっているんですが、そ
れが採算ペースに乗るレベルまで政府が後押しすることをしないとダメだと思うんです。
太陽光もそうですが、ある程度までは国が決めてやることだと思います。地熱発電に対
して温泉地が反対しているというのは誤解もあるでしょうから、オープンにして、再生
可能エネルギーの1つとしてどんどん推進していく。

鈴木 再生可能子不ルギーだからこそできる、小さいからこそできるということに意味
があるわけですね。
小宮 何万戸という単位でなくても、何百戸単位でもやれることはいっぱいあって、い
ままで活かされてない子不ルギーを活かす工夫が大事ですよ。

鈴木 再生可能エネルギーはまだ日本のなかでほんの数パーセントしかないから、こん
なものは未来になっても頭りにならないとこきおろす議論があるわけですが、それは
ちょっと違うと思いますね。むしろ、太切なことは「俺の会社はもう20パーセントや
ってるよ」「うちの町内は5パーセントで始まったよ」「うちの町は50パーセントや
ってるよ」という小さな単位が無数に生まれ、その総和が力だと思うんです。たぶん、
そこでしか現状は変わっていかないと思いますね。

小宮 そうですね。鈴木さんの地元の小田原をはじめ、いろんなところが「うちは小さ
な水力発電だからやれるんじゃないか」とか言って始めればいいんです。今日の新聞を
読んでいたら、ガスタービンコンバインドサイクル発電のことが書かれていて、それで
何百戸かに電気を供給できるというような仕組みもあるようなのです。ちょっとした工
夫をたくさんやっていくということが大事だと思います。

鈴木 私は小さな企業の経営者として、できることが限られているわけです。国会にい
くら言ってもダメなので、「自分の会社、自分の住む地域でならできる。そこをしっか
りやろう」ということでスタートして、それを全国で同時多発的にやっていけば大きな
力になると思っています。
小宮 その通りです。エネ経会議の取り組みが日本の政治を変えるいいモデルになるん
じゃないですか。結局、政治を変えないとね。根本的なところが変わらないから、于不
ルギーから政治を変えていくという、すごく素晴らしい取り組みを鈴木さんはされてい
ると私は思います。

鈴木 実はエネルギーから、経済だけでなく、この国のあり方をも変えていく力になれ
ればと思っています。
小宮 仕組みというか、やり方を変えていく。ご本人は望んでないかもしれないけれど、
鈴木さんがやろうとしていることはみんなに尊敬されるというか、喜んでもらえること
だと思いますよ。すごいキッカケになるんじゃないかと私は思います。

鈴木 エネルギーのことを国と地域が健全なかたちでやっていく、それからいま言われ
た再生可能子不ルギーをつくって安全・安心な国をかたちづくっていく、そのための一
歩を私たちが踏み出そうということなんです。
小宮 違う言い方をしますとね、経済人であるわれわれの感覚で正しいと思っているこ
とが政治に反映されていない。そういう意味では、エネルギーということがいまは主題
になってますけれども、いろいろな物事に関して、われわれの感覚で正しいと思うこと
が国政に反映されるためには、どうしたらよいかということを考えることが大切です。
そのためにはまず地方から変わって国政に反映されるべきだと私は思います。そういう
意味ではすごくおもしろいし、やりがいのある取り組みじゃないかなと思います。



鈴木 先生がおっしゃられるように日本が世界に先駆けるというか、ナンバーワンにな
るべく役割を担っていく、とりあえず日本の社会に示していく、そういうことですね。

小宮 そうなれば、自然と経済も成長すると思うんです。成長のために何かやるのでは
なくてね、業績も成長も結果だと思うんです。これがぼくの持論です。企業の業績はい
い仕事をした結果だと。世界全体が成長しているわけですから、日本が成長しないのは
おかしいわけです。だけど、成長を目的にするのではなくて、いい仕事をするとかね、
みんなが幸せになること、エコをやっていけばね、自然と成長すると思うんです。経済
学的にも成長というのは民間の消費、それから政府の支出、あとは輸出入の差なんです。
だから、輸出が増えてね、輸入が減る、日本の輸入のかなりの部分は于不ルギーですか
ら、それが減って、みんなが幸せになれて、世界一のエコ国家になれてね、GDPも自
然に成長するというのがね、あるべき姿じゃないかと思いますけどね。

鈴木 そういうふうにこの国の未来をイメージしていくと、これからの時代はけっして
暗い時代じゃないと思いますね。若い人たちも犬入たちがつくってきてしまった閉塞感
に覆われた今の時代の先に、新しい豊かな世の中への夢と希望を感じることができるの
ではないでしょうか。
小宮 エコで豊かになろう。それでGDPがほんとうに伸びていけばね、債務問題だっ
て解決するわけですよ。名目GDPが、この20年間、アメリカと同じように成長して
いれば政府債務残高は対名目GDP比100パーセントで済んだわけです。エネルギー
政策がうまくいけば産業が仲びます。すると、海外へ行こうかと思っている企業も日本 
に残るじゃないですか。不幸な災害がありましたけれどもね、それをきっかけにという
か、新しい産業、特にエネルギー産業をつくっていくいいチャンスじゃないかと思いま
す。そういうかたちに持っていかないと、「3・11」で亡くなった人たちに申し訳な
いし、いま、原発で避難されている方たちに顔向けできないと思います。

鈴木 エネ経会議のメンバーというのはみんな地域で生まれ育って商売しているので、
ふるさと意識が非常に強いわけです、私だって小田原からどこかへ行ってかまぼこ屋を
やるわけにはいかないわけです。ところが、福島ではやむなく他の土地に行ってしまっ
た例がたくさんあります。そういう意味では経済というのは人を豊かにしていく知恵仕
組みであるべきなのに、経済という枠組みだけが1人歩きしてしまっています。
小宮 いま、鈴木さんがおっしゃったことはすごくいいことだと思う。講演で東北へ向
かうとき、ぼくは飯舘村を通ったんですが、人っ子一人見当たらなかった。人を幸せにするなら
ともかく、人を不幸にするような仕組みは許せないですよ。私の師匠の曹洞宗のお坊さんがお
っしゃったのは、政治も経済も手段なんだということです。人が幸せになるための手段であり、
幸せにする手段なんです。だから、手段が一人歩きしたら意味がなくなってしまうのです。
鈴木 すばらしいご意見、お考えをたくさんおうかがいできました。今日はたいへんありがとうご
ざいました。

                                               2012年6月6日
                                株式会社小宮コンサルタンツ応接室にて

この対談はここでおわり、次回は中野ともよとの対談「新しい地域経済をつこうることは、女性ネッ
トワークの活用を」に移る。

                                                   この項つづく

 

 ● 今夜の一曲

『Hello』 Song ; Adele, Music&Word; Adele Adkins, Greg Kurstin

 Hello, it's me
I was wondering if after all these years you'd like to meet
To go over everything
They say that time's supposed to heal ya
But I ain't done much healing

Hello, can you hear me
I'm in California dreaming about who we used to be
When we were younger and free
I've forgotten how it felt before the world fell at our feet 

There's such a difference between us
And a million miles
  Hello from the other side
I must have called a thousand times
To tell you I'm sorry for everything that I've done
But when I call you never seem to be home .....

もしもし、私。
考えていたの  何年も経ってしまったけれど
あなたは、忘れたいと思っているかんもしれないけれど
時が経てば傷は癒えると言うけれど
私は、まだ癒えないでいるの ......

 

 

 

末の松山波越さじとは

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2 作 戦

※ 「兵は拙速を聞く。未だ巧の久しきを観ず」-この篇では短期戦論が強調される。それ
は万全の準備に裏付けられ、一切を集中することによって、最小の犠牲で最大の効果をあげ
るのである。 

「智将は敵に食む」

戦上手は、壮丁の徴用や糧抹の輸送を二度三度と追加するようなことはない。また、国内か
らは軍需品だけを運んで、糧抹は敵から奪いとる。こうすれば、不足するはずがない。戦争
によって国力が疲弊するのは、軍隊、武器、糧株をはるばる輸送しなければならないからだ
。遠くで戦えばそれだけ人民の負担は宣くなる。また軍隊が駐屯する地方では物価が騰貴す
る。物価が騰貴すれば、人民の生活が窮迫し、国家財政も逼迫する。その結果、国家は、ま
すます賦役を宣くする。かくして国力は使い果たされ、人民の生活は底をついて、国全体が
貧しくなるのだ。人民は全所得の三分の二まで税金にもってゆかれ、国家財政は、車輛の破
損、軍馬の損失、武器の調達、輸送手段の消耗などによって、半分以上も費消されてしまう。

知謀にすぐれた武将は、こういう事態を避けるためにも、糧抹を敵地で調達するように努力
する。敵地で調達した穀物一鍾は自図からはるばる運んだ穀物の二十節分にも相当し、敵地
で調達した飼料一石は自国からはるばる運んだ飼料の二十石分に相当する。

〈鍾〉一鍾は六石四斗

敵を補給源に「われわれの基本方針は、帝国主我と国内の敵の軍需工業に依存することであ
る。われわれはロンドンと漢mの軍需工場に権利をもっており、しかも敵の輸送隊がこれを
運んでくれる。これは真理であって決して笑い話ではない」(毛沢東『中国革命戦争の戦略
問題』1936年)



【下の句トレッキング:末の松山波越さじとは】

東日本大震災から遡ること1142年前の869年7月9日、貞観地震(マグニチュード
(M) 8.3 - 8.6,での大津波に都人にとって金や馬の産地であり憧憬の土地だったとされる東北
地方は、宮城県多賀城市周辺が飲み込まれる――当時、「こさじ」という名の少女が妖怪の
猩々に教えられ、大津波のときに末の松山に逃げ一命をとりとめたとする昔話―が貞観津波
の記録として『末の松山浪こさじ』と言い伝えられてきている。その貞観地震から古今和歌
集の成立まで約40年。記憶の風化とともに恋愛の歌枕に変化していく。このように不思議
に思える自然現象を詠み込んだ百人一首の歌も少なくはないが、各地の名勝を詠み込んだ歌
枕には歌人の知られざる祈りが込められているのだろうとされる。

さて、深養父の孫で清少納言の父であった清原元輔(908-990) は、平安中期の歌人、三十六
歌仙の一人で清梨壺の五人の一人として『後撰集』を編纂。 恋人の心変わりをとがめる歌
とされる。男女の変わらぬ愛の誓いを松山の美しい景色にたとえた「末の松山(枕詞)浪こ
さじ」は、みちのくを代表する格調高い歌枕として百人一首、古今和歌集や西行法師、藤原
定家ら多くの歌人に詠み継がれている。


契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは      清原元輔


誓い合いましたね。お互いの涙で濡れた袖を絞りながら。心変わりをすれば波が越すという
末の松山を波が越すことがないように、私たち二人の愛も決して変わりはしないと。

We promised each other that we would always be there for each other, as we wrung the
sleeves of our kimonos wet with our tears. We swore that Sue-no-Matsuyama would be
inundated with waves if we ever broke our promise, and so we for Sue-no-Matsuyama
we vow that our love will never change. (Source; 「小倉百人一首の全首を見る|小倉百人一
首殿堂 時雨殿」)

 

   No.170

【エネルギーストレージ篇:米エネルギー蓄電市場1ギガワットアワー超】 

3月6日、GTMリサーチ社と米エネルギー貯蔵協会(Energy Storage Association: ESA)は、
2013~17年の5年間で系統連系型のエネルギーストレージ設備の累積導入容量が1ギガワッ
トアワーを超えたことを発表。同社予測によると、2018年単年で1.233ギガワットアワーの
系統連系型エネルギーストレージが導入され、今年だけで2017年までの累積導入容量を超え
る(下図)。





2017年の米エネルギーストレージ市場は前2016年比で27%拡大したが、特に成長した分野
は、「ビハインド・ザ・メーター(Behind the meter)」と呼ばれる需要家サイドに設置され
る蓄電池で、2016年比で79%増加。これらの蓄電池は主に分散型太陽光と併設され、太
陽光発電の余剰を系統網に流さずに貯蔵して自家消費する。その反面、「ビハインド・ザ・
メーター」に対して、主に電力会社などの電力系統側に設置された蓄電池を「フロント・
オブ・ザ・メーター (Front of the Meter)」と呼ぶ。フロント・オブ・ザ・メーターとし
ての蓄電池は、2017年に総導入量の65%を占めるものの、2016年と比べると構成比率は
14%減。

● 長周期/短周期変動で蓄電容量が異なる

このことは、フロント・オブ・ザ・メーター市場では平均放電時間が長い蓄電池の導入が
増えている。これは、長周期対策向けの蓄電池市場が成長していることを意味し、蓄電池
の性能は、瞬時にどれだけの電力を流せるかを表す瞬時最大電力である「出力(単位:W)
」と、どれだけの電気を充電または放電できるかを示す「容量(単位:Wh)」の2つがあ
り、用途によってどちらを重視するかが異なってくる。2016年に米国に導入されたフロン
ト・オブ・ザ・メーター向けの大型蓄電池は、地域により用途が異なりことなることがわ
かっている。例えば、カリフォルニア州独立系統運用機関(California Independent System
Operator: CAISO)管内では、長時間の放電時間を必要とする長周期変動向けが多いことか
ら、比較的出力が小さく、大容量の蓄電池のニーズが高い。一方、ペンシルバニア州を中
心に米国中東部の13州およびワシントン DC 地域にまたがって、電力市場を運営する独
立系統運用者および地域送電機関として機能している。アンシラリーサービス市場向けな
ど短周期変動向けの蓄電池が求められ、低容量だが高出力の蓄電池の導入が進む傾向があ
る。

例えば、カリフォルニア州では太陽光発電などの再生可能エネルギー導入の活発化に伴い
ダックカーブ現象と呼ばれる需給ギャップなどの悪影響が顕著となり、同州の大手民間電
力会社(Southern California Edison(SCE)社、PG&E社、米San Diego Gas & Electric(SDG&E)
社の3社に、2020年までに合計1325MWの蓄電池の設置を義務付る。州政府が電力会社に
対しエネルギーストレージ設備の設置を義務付ける法律を制定したのは、米国で初めてで
カリフォルニア州では、2016年までに120MWのフロント・オブ・ザ・メーター向けの向け
の蓄電池が導入された。EIAのデータでは、カリフォルニア州で導入されたで蓄電池の平
均出力は5.7MWと小さく、平均放電時間は4時間弱と長期傾向にあり、PMJと違りCAISO
管内では、周波数調整向けの他、高速応答、電圧調整・無効電力抑制、負荷追従、システ
ムピークカット、負荷抑制・安定化、アービトラージ(裁定取引)、バックアップパワー
など、用途が多様化する。


因みに、米エネルギーストレージ協会は2025年までにエネルギーストレージを累積で最低
35ギガワット導入計画(35X25)目標を掲げる。また、GTMリサーチ社は、2019年には
エネルギーストレージ市場の規模は1兆6百億円を超え、2023年には4兆3百億円にまで
成長すると予想されている反面、コバルトニッケルなどの鉱物資源のリサイクル事業の早
期立ち上げを考えておかないと価格高騰のリスクが予想される。



【ソーラータイル篇:ペロブスカイト太陽電池に10倍の耐久性】

3月9日、東京大学は、電子を受け取る能力が高い「リチウムイオン内包フラーレン」を
有機半導体に加えることで、空気や水に対してより安定性が高いペロブスカイト太陽電池
を開発。リチウムイオン内包フラーレンの疎水性とリチウム内包フラーレンの抗酸化作用
により、従来のペロブスカイト太陽電池より耐久性を10倍向上。 ペロブスカイト太陽電
池は、20%近いエネルギー変換効率を示す一方で、発電層に使われる有機金属ペロブスカ
イトは水や酸素に対して非常に不安定で耐久性に課題を持つ。しかし、電荷選択層である
ホール輸送層に用いられる有機半導体は、ホールを輸送する特性が十分でないため、吸湿
性のあるリチウム塩を混ぜたり(ドープする)、酸素を使って電子を引き抜く(ホールを
ドープする)必要があり、ペロブスカイトとの間で矛盾があった。


今回、従来のリチウム塩に代わって、リチウムイオン(Li+)をフラーレンC60の殻で包ん
だ新しいリチウム塩(リチウムイオン内包フラーレン、Li+@C60)を用いた。リチウムイ
オン内包フラーレンは、日本のベンチャー企業が開発したもので、Li+が疎水性のC60の
中にあるため吸湿性が低く、高い電子親和力を持つ。また、電子を引き抜く酸素が不要で、
有機半導体spiro-MeOTADから電子を引き抜くことが可能。 従来のペロブスカイト太陽電
池は、未封止であるとリチウム塩を含む有機半導体層が周囲の水を引き寄せ、50時間で動
作しなくなる。今回開発したリチウムイオン内包フラーレンを含むペロブスカイト太陽電
池は、未封止の素子では約50時間かけてゆっくり変換効率が上がり、最高効率点から、約
500時間かけて効率が低下することを確認。最高点でのエネルギー変換効率は15.8%。
また、封止した素子では、疑似太陽光連続照射千時間で効率低下10%以内に収まり、ペ
ロブスカイト太陽電池の実用化の目安とされる条件をクリアした。長寿命化を可能とする
材料を見出したことで、実用化に弾みとなる。




【ソーラータイル篇:単結晶太陽電池のコスト大幅減 薄膜作製技術開発】 

3月□日、東京工業大学らの研究グループは、結晶欠陥密度をウエハーレベルまで低減し
た高品質な単結晶シリコン薄膜を、従来手法の10倍以上となる成長速度で作製に成功し
たことを公表。同技術では原料収率も百%近くとなるため、単結晶バルク型太陽電池の発
電効率を維持したまま、製造コストを大幅に低減した薄膜型太陽電池の製造が可能となる。

単結晶太陽電池は薄型化することにより、単結晶バルク型太陽電池モジュールの約40%を
占める原料コストを大幅に低減できると見込まれており、さらにフレキシブル化、軽量化
による用途の拡大、設置コストの低減も期待されている。また、多数の細孔を持つナノ構
造のポーラスシリコンで単結晶シリコン薄膜をリフトオフ(剥離)し製造する単結晶薄膜太
陽電池は、有望な次世代太陽電池として注目されている。しかし、高品質な薄膜の形成、
容易にリフトオフ可能なポーラス構造の実現、成長速度と原料収率の向上、リフトオフ後
の基板を再利用できるようにすることなど、複数の技術的な課題があった。



同技術では、単結晶シリコンウエハー表面にポーラスシリコンを2層生成し、東工大独自の
平滑化技術であるゾーンヒーティング再結晶化法(ZHR法)によって表面をならすことで、
高品質な薄膜形成と薄膜の容易なリフトオフを両立する基板を作製した。この基板上へ薄
膜を高速成長させるため、早大が開発した急速蒸着法(RVD法)を活用した。従来手法であ
る化学蒸着(CVD)の製膜速度は最大で毎時数マイクロメートルオーダー、原料収率は10
%程度、RVD法では毎分10マイクロメートルの速度で製膜が可能になった。また、リフト
オフ後の基板もRVDの蒸発源として利用できるため、原料損失を大幅に低減できることもメ
リット。

今後、太陽電池の性能に関わるパラメーターの1つである薄膜のキャリアライフタイムの測
定を行うことや、実際に薄膜から太陽電池を作製して同技術の実用化を目指すという。ま
た、30%超の発電効率が期待され複数のpn接合を持つ構造の、タンデム型太陽電池の低コ
ストなボトムセルとしての利用も検討する。

 

【ソーラータイル篇:世界初雪が解ける太陽光発電システム】 

3月12日、環境システムヤマノ(福島県須賀川市)は、世界で初めて人力による除雪作
業を省力化できる「融雪機能付き太陽光発電システム」を開発したことを公表。効率良く
融雪して発電量を増やすことができ、条件によっては雪国特有の融雪エネルギー代をゼロ
にできるという。東北6県および全国降雪地域で2018年5月から販売を開始する。

降雪地域では冬の期間、屋根などの雪下ろしに時間と労力を費やしている。一方、近年は
若者の減少で過疎化が進み、高齢者による屋根雪処理中の転落死亡事故や落雪による近隣
とのトラブルもみられる。さらに、人手不足で賃金が高騰する影響で、屋根の雪下ろしが
進まず、家屋の倒壊するといった被害も起きている。 

この雪下ろしを省力化する方法として、融雪ヒーターや化石燃料による不凍液循環融雪システムを
導入している家庭・自治体が多数あるが、二酸化炭素の排出といった環境負荷や、化石燃料費の
変動によって融雪費用の負担が増大している。今回開発した太陽光発電システムは、電流を逆流
させて太陽光パネルを加熱して雪を融かすシステムを搭載。独自開発したセンサーが降雪を感知
すると、自動でヒーターが作動し数分で発熱する。ヒーターは片側ずつ発熱し、雪が解けると一定
時間で反対側を加熱する。これにより、融雪電力契約の基本料金を抑えられる。 

 



雪国では積雪により太陽光発電には不向きといわれているが、これを解消するため同社は
、単結晶太陽光発電パネルとアモルファス太陽光発電パネルの両方を採用。日差しが強い
南面屋根に単結晶シリコン型太陽光パネル、北面など日差しの弱い屋根には薄膜のアモル
ファスシリコン型太陽電池を設置する。2種類の太陽電池を組み合わせることで屋根全体を
覆うことができ、全体の発電効率を高められるという。これにより売電量が増え、同社の
実証では、融雪に掛かるランニングコストを相殺できたとしている。システムの施工費は
屋根形状により異なるが、1平方メートル当たり6~8万円が目安になるとしている。



❏  特許事例:特開2016-079805  融雪装置


【概要】

下図のように外部電源からの電力を加熱手段に供給するときにもコストを低減できる融雪
装置を提供にあって、所定の日照条件を満足する屋根の部位に配設された単結晶シリコン
系太陽電池3と、それ以外の部分に配設されたアモルファスシリコン系太陽電池4と、屋根の
積雪を検知する積雪センサ5と、積雪センサ5により積雪が検知されたときを除いて太陽電
池3,4で得られた電力を外部回路9に供給し、積雪センサ5により積雪が検知されたときには
外部電源10の電力を太陽電池3の導電体及び太陽電池4自体に供給する制御手段6とを備える
。積雪センサ5により積雪が検知されたときには太陽電池4自体を融雪のための加熱手段と
する構成とした。


 【符号の説明】

1…家屋、  2a,2b…屋根、  3…単結晶シリコン系太陽電池、  4…アモルファスシリコン系太陽
電池、  5…積雪センサ(積雪検知手段)、  6…制御手段、  7…判定手段、  8…切替手段、  9
外部回路、  10…外部電源、  15…フレーム、  16…透明導電体、17,18…着雪防止部材。

 Mar. 12,, 2018

【抗大気汚染戦争に勝利した中国】

2014年3月4日、中国の李克強首相は、全国人民代表大会で約3,000名の代表者に、国家貧困
との戦争を宣言したときに公然と宣言する。この声明は、経済成長を環境に配慮するという
国の長年の政策から逸脱し、多くの人々が中国が本当に遵守するかどうかを疑問視した。
その宣言の4年後のデータは、中国は過去最高のペースで勝っている。 特に、都市では、
空気中の微粒子の濃度を平均して32%、その4年間で削減する。公害防止運転のスピー
ドは、人件費に関する重要な疑問を提起するが、中国がこれらの削減を維持すれば、住民
が健康に大きな改善を示し、数ヶ月または数年の寿命を伸ばすことを意味する。

首相の演説前の数ヶ月間に、国はすべての都市部で微粒子汚染物質の濃度を少なくとも10
%、さらには一部の都市で低下させる必要がある全国大気質行動計画を発表。北京地域は
公害を25%削減する必要があり、市はその目的のために驚異的な12兆7千億円の予算措
置を施している。これらの目標達に、中国は北京地域を含む国で最も汚染された地域に新
しい石炭火力発電所建設を禁止し、既存のプラントの排出量削減指令、天然ガスへの切り
替えを執行。北京、上海、広州などの大都市では、車の数が制限、鉄鋼生産能力を縮小し
炭鉱を閉鎖した。

米国の大気汚染防止法は、大気汚染の大幅な削減するために 1970年制定から4年間で大
気汚染を平均で20%減少させたが、約12年間の米国の景気後退が続いたが、中国がわ
ずか4年間で32%の削減を達成させている。勿論、大気汚染レベルは依然として中国の
国家基準を超えており、世界保健機関の推奨値を遙かに上回る。中国全土を国内基準に準
拠させるためには、世界保健機関より厳しい基準を遵守するには、4.1年はかかると推
定されている。中国市民の既存利益の維持しながら追加的な改善には、経済成長と環境の
バランスにによるが、早期に大気汚染削減を達せするには、市場に頼るだけでなく、具体
的な工学的な方法に裏打ちされた行動指針を必要としている。

  ● 今夜の一曲

My Heart Will Go On
Song; Celine Dion , Music&Word; James Horner / Will Jennings

Every night in my dreams
I see you, I feel you
That is how I know you, go on Far across the distance
And spaces between us
You have come to show you, go on Near, far, wherever you are
I believe that the heart does go on
Once more you open the door
And you're here in my heart and my heart will go on and on Love can touch us one time
And last for a lifetime
And never let go till we're gone Love was when I loved you
One true time I hold you
In my life we'll always go on Near, far, wherever you are
I believe that the heart does go on
Once more you open the door
And you're here in my heart
And my heart will go on and on You're here, there's nothing I fear
And I know that my heart will go on
We'll stay forever this way
You are safe in my heart and my heart will go on and on

 

 

吉野の里にふれる白雪

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2 作 戦

※ 「兵は拙速を聞く。未だ巧の久しきを観ず」-この篇では短期戦論が強調される。それ
は万全の準備に裏付けられ、一切を集中することによって、最小の犠牲で最大の効果をあげ
るのである。 

「智将は敵に食む」

戦上手は、壮丁の徴用や糧抹の輸送を二度三度と追加するようなことはない。また、国内か
らは軍需品だけを運んで、糧抹は敵から奪いとる。こうすれば、不足するはずがない。戦争
によって国力が疲弊するのは、軍隊、武器、糧株をはるばる輸送しなければならないからだ

 



【下の句トレッキング:吉野の里にふれる白雪】

三寒四温。さぶぃい~と彼女は悲鳴を上げている(これが常態化する人為的温暖化の兆候な
んだょ、とは言わぬが言霊の先、待てよ、今日は揃ってのスノータイヤ交換の日にあたるの
だが雪の降る心配はないのか)。えい、ままよと強行。交換依頼先に外出したで、細かいこ
とに気付きまた用事が増えるという寸法だ。一昨日は春先の白蟻駆除作業(残件で後2、3
日フォローアップ作業発生)。2台分のタイヤ交換作業に、洗車(これも時間と過剰負荷と
判断し、洗車コーナで自動洗車)するが、リアーフェンダーのアンテナ支持樹脂が劣化して
いたり、家周りの劣化破損などきりがない(やれやれ)。取り敢えずすべてを手直し・準備
事項を完了させ、通常作業に入ること午後2時。天気良し、ドイツ製の吸盤付きハンガーを
窓ガラスに取り付け、パテ処理したアンテナの塗装処理前の23℃以上での24時間懸垂乾
燥処理に入る。


朝ぼらけ有明のの月と見るまでに吉野の里に降れる白雪    坂上是則

ほのぼのと夜が明けるころ、明け方の月が照らしているのかと見間違えるほどに、吉野の里に白く
降り積もっている雪であることよ。

When the dawn broke after a lovely night, the snow of Yoshino is so brilliant one that
one could mistake it for the moon at dawn.

上是則は、世に名高い三十六歌仙――11世紀に藤原公任が選んだと言われる和歌の名手36
人で是則の他に、小野小町や在原業平、紀貫之などが名を連ねる。その是則が、大和権少掾
に任ぜられて大和に赴いた延喜六年(908年)の冬のこと。吉野の山の近くにある宿に泊まっ
た夜明けにふと目を覚ますと、表がとても明るい。夜明け方(有明)の月だろうかと底冷え
のする寒さの中、外を見てみると、雪が降っていたと驚きを詠う。吉野の名所に降る雪明か
りを月の白い光を雪や霜に見立ているが、中国の詩人・李白の漢詩の「静夜思」にも「牀牀
前月光を看る /疑ふらくは是れ地上の霜かと /頭を挙げて山月を望み/頭を低れて故郷を思ふ」
の一節にもみえる。

牀 前 看 月 光
疑 是 地 上 霜
挙 頭 望 山 月
低 頭 思 故 郷   李白

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.19   

● 対談4 新しい現実をつくる  

『新しい地域経済をつくるには、女性のネットワークの活用を』  

野中ともよ NPO法人ガイアイニシアティブ代表

上智大学大学院文学研究科前期博士課程修了。アメリカ・ミズーリ州立大学コロンビア校大
学院に留学。1979年よりNHK、テレビ東京等の数々の番組でメインキャスターを務め
る。2001年より日興フィナンシャル・インテリジェンス理事長、アサヒビール取締役な
どを務めた後、三洋電機取締役を経て05年7月~07年3月三洋電機代表取締役会長。また、
財政制度審議会、法制審議会、中央教育審議会など政府審議会委員も歴任。地球環境問題解
決を幅広いステークホルダー(企業、市民、政府、NPO)に呼びかけ、より大きな貢献を
実現するため「ガイア・イニシアティブ」というNPOを07年に立ち上げ、代表として活動
を始める。著書に『心をつなぐ生き方』(サンマーク出版/2004)『手ごたえのある女
(わたし)の人生が始まる本』(三笠書房/2005)など。

見えていたものが真実ではなかった

鈴木 本日はエネ経会議アドバイサーの野中ともよさんのところにおじやまさせていただい
ております お忙しいところ本日はありがとうございます
野中とんでもありません。

鈴木 東京の六本本ヒルズ49階から外を眺めておりますが、東京タワーをドに、いま話題
のスカイツリーもはっきりとにえます夜は夜以がきれいなんでしょうね。これだけ高いビル
をλえていくために膨大なエネルギーを使っているのが何かを象徴しているようですが、夜
になるともっとその思いが深まるのではないかと思います 原発セロのいまでも、眼下に広
がる街も確かにいまは機能しています。
野中 これ一つ視ても、原f力発電所を未来はゼロにしよう、あるいはもっとつくっていこ
う、いやいや現状維持だ、という議論は、電力の問題だけではないことは明らかです 私は
汽実を見極めていくのがジャーナリズムの本懐だと受けLめていますが、ここのところマス
メディアがそれについて呉実をにえないどころか、まったく触れないで、現状維持今ド休に
するか、あるいはこの方向に持っていきたいという方だちからの情服をカワラ版的に流して
いるという状態ではないてすか? 私もかつてはメディアの世界にいたわけですけれども、
こんなに簡単に70年近く前の、大本営発表のような記事を載せた新聞を読むことになると
は思いませんでした これはすごく悲しいことです。

鈴木 いま、野中うんは環境保護を含めたいろいろな活動を積極的に進められているわけで
すが、もともとはメデfアの世界で活躍をされ、大企業の経営トップを経験され、出際交流
にも関わられて、いろんなご経験がおありてづ 特にジャーナリストとして国民的議論か標
榜されエネルギー問題や、大きなくくりとしての原発問題を野中さんはどのように見ていら
っしゃいますか?
野中 はい どこからアブローチ仝してもあぶo出しのように出てくる共通のメッセージは
何かというと、一い主まてのままじ・ゃあ駄目だぜ」というちの いま、大きなくくりだと
おっしやっていただいたわけですが、あえてもっと大きなくくりを持ち出すと、私たちのい
のちはこの地球、太陽系の第三惑星ですけれビち、5年ほど面に水金地火木土天海冥のうち
冥がなくなって海王星までを大腸系と呼ぶと学校で教えるようになってもっと小さいものが
中にあって「やれ中性子」「いや陽子」となって、いまは「これ、何よ、素粒子」というと
ころまでわかってきた つまり.一番ちっちやくて、勤いているものがかたまって、私たち
はたまたま入休なんだけど、宇宙の視座から見ると、これスカスカなのね。

なぜ、こんな話から始めたかというと、原発を詰るときには電気が足りているか、足りてい
ないかという問題以上に、その状況はどんな背景のうえに存在しているのか、その根本をし
っかり認識する公安があると思っているからです たとえば、原子力発電所を建設するに当
たってべらはうなお分かかかります。

鈴木 そうですね
野中 1つのかの建設費は、だいたい、1000億円ともいわれます。
鈴木 お金を集めないといけませんね 
野中 はい、集めよう思っても渠まらないときに叩くドアはどこ?
鈴木 銀行でしょうね
野中 しかも、大きい銀行、金融融賎関です。「鈴木さんちのかまぼこ工場、最近、売れて
るの?」とか、銀行はいろいろと言ってきませんか?・ ここの会社はお金貸しておても大
丈夫か? とか(笑)。でも、原子力発電所だったらつぶれない。法律で競合他社は参入で
きないように守られてるのが電力会社。それでいて、株式会社ですからね。配当はきちんと
入る。どの金融機関も買いますよね。電気が足りるか足りないかという問題の裏側には、「
つくってくださったら利子は入るし、株式の配当は入るし、とても便利なお金マシーン」と
思っている方たちもいるわけです。

鈴木 いますね。
野中 今度は原子力発電所をつくる人たち、これは実は平和利用という名前なんだけど、ま
ずウラン。原子力発電所のメカニズムはタービンをまわすだけの実は 「湯沸かし器」です。
100度あれば十分なの。で、しかも、掘ってきたウランのうち3パーセントしか使えない。
残りの97パーセントは「そんなもの使えないよ」。

鈴木 どこに捨てるんですか。
野中 捨てられないんですよ。
鈴木 そうですよね。
野中 3パーセントを取った残り物のウランは、劣化ウラン弾という兵器になる。「これ、
つくったら売れるじやん」と考える方たちもでてきますよね。
鈴木 つまり、平和利用ではなくなるわけですね。

野中 つくるのにどういう技術が必要かというときに、学術振興、科学技術振興の名のもと
で、純粋にどうやったらウランを精製できるのか。どうやったら人を殺す武器になるのか。
アカデミックの世界には純粋に研究する人々は、いっぱいいるわけですよ。

鈴木 科学を虫の眼で見て純粋な気持ちで研究に取り組むわけですね。
野中 そうだと思いますよ。そういうことが渦巻いている。たとえば、かまぼこ工場をつく
ったら「かけたお金を何年で回収できるか」と計算しますよね。

鈴木 そうですね。
野中 そのためには「毎年、これだけ売らないといけない」ということになります。だけど、
原子力発電所の場合、それをしないで、設備投資したら総括原価方式で3パーセント乗っけ
て、電気を使っている人に「電気料金払って」と言えばいいということになっているわけで
すから。次から次へつくってくれると「すごくいい」という人もいるしそれを受け入れてく
れる自治体には「危険はないんですよ。安全なんですから」と言っていればよかった。原発
をつくる見返りに「学校つくりましょうか」「公園つくりましょう」と言って、「これだけ
生活が豊かになります」「こんなありかたいことはない。だって、絶対、安心なんだもん」
と思わせればいい。それをだれも疑わなかった。

地方の自治体が税金収入を上げるときに、原発が稼働してさえいればエネルギーの税収を取
ることができるわけです。電力会社さえ村に来てくれれば住民から税金を集めないでも、そ
のメーカーが、その会社が、学校に素晴らしい施設をうんとつくってくれる。こんなめぐま
れた地方自治体は全国でも少ないんだ、と信じてきた。金融界のみならず、日本の戦後の地
方自治運営そのものにも深く複雑に絡んでいる原発を巡るこうした仕組みを変えようとする
のは相当大変な作業と覚悟が必要ですよね。電気の量が足りるか足りないかなどというのは、
ほんの「これっぽっち」の問題なんです。
鈴木 そうかもしれませんね。




いま問われるのはどんな国をつくりたいのか

野中 よく報道されることですが、「電気が足りなくなると工場経営が立ちゆかなくなるか
ら海外へ逃げる」と、今ごろ、そんなことをいっている経営者がいると。わたしは三洋電機
という電機屋さんにいたことがあるので、「東電が停電したから、半導体つくれなくなっち
やった」というのが真っ赤なウソだとすぐにわかってしまう。それなりの大きさの工場には
必ず停電したらすぐに自分たちで供給できる設備をある程度は持っています。実際に昨年の
3月、4月、千葉の3つの大きな工場が「うちにあるのをまわしましょうIといって、それ
でフクシマの削胤分は間に合ってしまいましたよね。そうした状況は、「つくろう」という
ギアを入れさえすれば、すぐにつくれます。

だから、いま、私たちがほんとうに議論しないといけないのは、原発をやめろとか、再稼働
をやめろとか、そういうことと同時に、もっと前向きに先を見据えて、日本の未来のために
どんな国づくりをしたいか、どんな子不ルギー立国にしていくか。だれにリーダーになって
もらいたいか、そういう議論を早急にしないといけないと思います。リーダーを選ぶという
のは、総理大臣とか総裁を決めるという意味ではなくて、しっかりとヴィジョンを示し、皆
の心を集めて、ぐいっと引っ張っていける人になるということ。

未来に向けて流れを起こし、どの流れを創っていくかという、決断力ある人のことですが。
そのときにさっきの視点が間わってくる。目に見えないけど、実際に動いている、その事を
認知できること。目に見えないところに真実がある。それは一体、何なんだろうということ
を考えること。これは同時に、私たち一人ひとりにミッションとして降りてきているとも思
います。前例がこうだったからといってしばっていたら、いまから未来を創っていくのです
から、これは朽ちていく。だから今の日本は朽ちていかざるを得ない。

私の大事にしている言葉に「革新なきところに伝統なし」というのがあります。伝統という
のは時間軸だけ長くつづいているというふうにみえますが、長くつづいているのは、常にそ
の時代時代の先取りをするほど、おのれを変える勇気と決断があったからで、振り返ったら
「伝統の血」がつながっていたということです。日本を伝統的に技術力の国という人がいま
す。ものづくり立国、技術立国といっておきながら、大量生産でコストをかけずに安いもの
を外へ出して輸出国としてマーケットシェアを取って外貨を稼ぐ。これでイイ、これが正常
だと思っている物差しを変えることからしか、わたしには始める方法が考えられない。いま
いる成功者たちは昔のパラダイムをガッチリつくってくれたヒーローですが、音楽で例えれ
ば、「ロックンロールなんて頭から受け付けないよ」「おれは詩吟か浪花節を吟じていたい
」というような方たちには、デシジョンメークの現場からは去っていただかないと、新しい
道は問けない。



鈴木 いま言われた、戦後の日本経済を引っ張ってきてくれた大先輩たちという、一つの年
代層があるわけですね。
野中 ありますね。でも、全部が「詩吟か浪花節以外は受け付けない」わけではありません。
先はどから緯々申し上げているように、電気の問題だけではなくて、金融の問題でもあるし、
日本の地方自治と中央政権との問題でもあるわけです。霞が関と永田町が中心になってカリ
フォルニアー州より狭い島国の、津々浦々まで等質性を上手に行き渡らせるという世界。こ
れ、焼け野原の日本ではけっして悪くなかったと思います。

でも、時代を経て機能不全と金属疲労とゴミが溜まりきってきた、いまはそれを変えなけれ
ばいけないときなのに、そういう人たちが道を塞いでいるのが問題なのだと思います。象徴
的なのが「原子力発電所はやめない」という意見です。世界中に原子力発電所をつくってき
ているアメリカの会社の原発部門を買ったのは日本の会社、つまり、そこに「日の丸」の威
信がかかっているわけです。そういう国が「原発をやめます」ということを言ったらどうな
るか。とおんでもない、それはできない、と、まず考えてしまうのでしょうね。

鈴木 確かに野中さんがおっしゃるように、原発だけの問題でも、エネルギーだけの問題で
もありませんね。

                                   この項つづく  

   No.171

【ネオコンバテック篇:ミスト技術でカーボンナノチューブ薄膜】 

3月16日、東芝三菱電機産業システム(TMEIC)は、独自のミスト成膜技術により、カー
ボンナノチューブの薄膜化に成功したことを公表。カーボンナノチューブは導電性に優れ、
強度と柔軟性を兼ね備えた材料として注目されている。フィルム状にすることで様々な分野
へ用途が広がることが期待される。 特に、透明導電性フィルムとして実用化された場合、
太陽電池セル(発電素子)の大面積化が可能になる。加えて、ディスプレイパネルなどの形
状設計で自由度が上がり、新しいタイプの製品を実現できる。従来、カーボンナノチューブ
のフィルム化プロセスでは、「塗布方式」が使われてきた。この製法では、塗布量の微調整
が難しく、カーボンナノチューブを薄くムラなく均一な膜として形成することは困難とされ
ていた。今回、独自の「ミスト成膜技術」により、カーボンナノチューブ原料をミスト化し
、最適に噴霧することで、厚みが百ナノメートルの均一な膜厚」の実現に成功。同時に、透
明導電性フィルムとしての実用上、不可欠な条件である「透過率90%以上」も達成。今後、
カーボンナノチューブ薄膜の早期実用化に向け、プロセス条件などの一層の最適化を進める。
同社のミスト成膜技術は、膜厚10~100nmにおいて、ナノ単位での膜生成が可能で、カーボ
ンナノチューブ以外にも導電性高分子や、有機と無機のハイブリッド材料、ナノ粒子分散液
などの最先端材料でも適用できる。



【蓄電池篇:AIで効率的に全固体電池用電解質の開発】

3月16日、富士通と理化学研究所は、人工知能(AI)を用いて、高いイオン伝導率を実現
するための全固体リチウムイオン電池用固体電解質の開発を効率化することに成功したこと
を公表。高機能材料の最適組成を割り出す方法として、材料シミュレーション手法の1つの
「第一原理計算」がある。第一原理計算は、材料の組成を指定すれば量子力学に基づいて特
性予測が可能であり、最適組成を実験に先立って予測し、実験の失敗を低減できる。しかし
、第一原理計算は、計算負荷が非常に大きく、さまざまな組成について、1度に多数の計算
を行うと計算そのものに膨大な時間がかかる。材料開発の開発期間を短縮することを目指し
連携する富士通と理研AIPセンターは、AI手法の1つであるベイズ推定法を用いて、第一原理
計算の計算回数を数10分の1に抑制。この手法を用い、全固体リチウムイオン電池用固体電
解質の候補材料である「3種類のリチウム含有酸素酸塩から合成される化合物」について、
高いイオン伝導率を実現する最適組成を現実的な時間内で予測。実際に化合物の合成と分析
を行い、予測された組成付近で他の組成よりも高いリチウムイオン伝導率が実現されること
を確認。これにより、富士通と理研AIPセンターは新たな高機能材料開発のめどが付いたと
同時に、予測の正しさが実証されたと話す。 



【海洋風力発電篇:着床式洋上風力の基礎工事を低コスト化】

2月28日、日立造船は、京都大学および東洋建設と共同で、着床式の洋上風力発電施設の
基礎施工として「サクションバケット基礎工法」の適用に取り組む。新エネルギー・産業技
術総合開発機構(NEDO)の「風力発電等技術研究開発/洋上風力発電等技術研究開発/洋
上風力発電システム実証研究(低コスト施工技術調査研究)」の委託事業を公表。

サクションバケット基礎工法とは、円筒形の構造物である「サクションバケット」の内部を
排水することで静水圧以下の状態にして海底面下に貫入する手法。発電事業が終了し撤去す
る場合は、貫入時と逆方向に加圧することで完全に撤去できる。従来のモノパイル基礎工法
は杭の根入れに30m程度の堆積層が必要だが、日本の沿岸海域は堆積層の厚さが見込めない
海域が散見され、技術と費用の両面で制約があった。サクションバケット基礎工法は、欧米
では堆積層の厚さ10メートル程度でも基礎を築いた実績があり、日本でも設置可能な範囲が
広がることが期待される。

また、設置時に杭を打設するための大型重機が不要で、構造物の鋼材を軽量化できる。同社
の試算によると、1ウインドファーム(風車15基)を設置する場合でモノパイル基礎工法の
工期より1年短縮することができ、EPC(設計・調達・施工)にかかる費用も7%コストダウ
ンできる見込み。日本風力発電協会のロードマップでは、着床式洋上風力発電の導入量は
2030年に累計580万kWに達すると想定している。同社は今後、日本の洋上環境に合わせた設
計・施工手法の確立を図り、同工法の実用化を目指すという。この分野での日本の巻き返し
なるか?!

  ● 今夜の一曲

『遙かな影』They Long to Be Close to You
Song The Carpenters, Music&Word Burt Bacharach / Hal David

Why do birds
Suddenly appear?
Everytime you are near
Just like me
They long to be
Close to you

Why do stars
Fall down from the sky?
Everytime you walk by
Just like me
They long to be
Close to you

On the day that you were born the angels got together
And decided to create a dream come true
So they sprinkled moon dust in your hair of gold and starlight in your eyes of blue

That is why all the girls in town
Follow you all around
Just like me, they long to be
Close to you

On the day that you were born the angels got together
And decided to create a dream come true
So they…

「遙かなる影」(原題:(They Long to Be) Close to You)は、バート・バカラックとハル・デ
イヴィッドが作った楽曲。本作品を収録したカーペンターズのアルバムのタイトルから「
Close to You」と略記することも多い。1963年にリチャード・チェンバレンによって初めてレ
コーディングされた。1964年にディオンヌ・ワーウィック、1967年にダスティ・スプリング
フィールドがでカバーした。1968年には作者のバート・バカラックも本作品を吹き込んでい
る。1970年5月20日、シングルA面曲としてカーペンターズのバージョンが発表。B面はリチ
ャード・カーペンターがリード・ボーカルをとる「愛しつづけて(I Kept on Lovin' You)」。
同年7月25日から8月15日にかけてビルボード・Hot 100で4週連続1位を記録した。彼らにと
って初のナンバーワン・ソングである。ビルボードのイージーリスニング・チャートでも1
位を記録し、ゴールドディスクに輝いた。また、1970年の年間チャート2位を記録した。シ
ングル盤には、フェイドアウトするもの、ピアノ間奏部で終わるもの、ミックス違いなど様
々なヴァージョンが存在。「愛のプレリュード」と共にグラミーの殿堂入りを果たしている。
歌詞はのタイトル通り、異性の時めきを小鳥、星に喩え直裁に表現し、カレン・アン・カー
ペンターの透き通った歌声とリチャードのコーラスのシンクロが、聴き手の中で過去の時間
に戻すかのように郷愁を醸し出し、長く記憶に残る特異なデュエト・ソングである。

人に知られでくるよしもがな

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2 作 戦

※ 「兵は拙速を聞く。未だ巧の久しきを観ず」-この篇では短期戦論が強調される。それ
は万全の準備に裏付けられ、一切を集中することによって、最小の犠牲で最大の効果をあげ
るのである。 

「目的は勝利であって戦いではない」

兵士を敵との戦いに駆りたてる原動力は、なんといっても戦意である。その戦意の哀づけと
なるものは戦利品である。敵の兵車を十台以上も奪う戦果が上がったときには、まず手柄を
立てた兵士を表彰することを忘れてはならない。捕獲した兵車は軍旗をつけかえて自軍の兵
士を乗りこませることまた俘誂にした敵兵は手厚くもてなして味方にすること。勝ってます
ます強くなるというのは、このことである。戦争は、勝つことが目的であって、長く戦うこ
とがねらいではない。この道理をわきまえた将であってこそ、人民の生死、国家の安危を左
右する資格があるのだ。

★この一節の前段(「兵士を……」から五行)は、前後のつながりが不明確である。古来、
さまざまな解釈がなされているが、むりに結びつけようとするより、むしろ錯簡と考えたほ
うが妥当ではなかろうか。この部分を独立した文章と考えれば、「成果の分配による勁機づ
け」として含蓄がある。

 

     

❦ なぜ、かまぼこ屋がエネルギーのことを考えたのか ❦ No.20   

● 対談4 新しい現実をつくる  

『新しい地域経済をつくるには、女性のネットワークの活用を』 



野中ともよ NPO法人ガイアイニシアティブ代表 

いま問われるのはどんな国をつくりたいのか

野中 相当に複雑に絡んでいる問題だと思いますね。できるだけ具体例で、と悌介さんがお
っしゃったので、たとえば、「金融界の人々」の常識は、一般社会の「あたりまえ」と、い
かに乖離しているか。私が三洋電機の会長になったときにイヤというほど経験した例でよけ
ればお話ししましょうか。会長就任時には、大変な赤字会社でしたから、まず、将来どんな
会社として甦らせたいか。そのヴィジョンを創りました。
「Think Gaia」というヴィジョンです。地球も生きている一つの生命体であするいまでは、
科学的にも立証されている理論ですが、世界中10万人以上いる社員にひとことで共有できる
ものにしたかった。で、平たく言えば「三洋電機さん、こんな商品つくってくれてありがと
う」と世界中が喜んでくれるような会社になろう、未来の子どもたちからも、地球上の「い
のち」を太切にしてくれて、ありがとうと感謝されるようなメーカーになろう、という意味
です。
すべての研究開発部門で「水と空気と食糧とエネルギー」この4つの未来を拓くものを創っ
ていこうと決めたわけです。その第一号商品が「エネループ」という充電式電池です。太陽
光で充電もできますし、いまでは1800回くり返し充電可能、一本1円以ドの電池になる
のです。

開発途上国の人たちが近代化を始めるとき、必ずトランジスタラジオを鉛の電池から始める。
それをポイ捨てすると、土壌だけでなく農業が駄目になるんです。つまり、この電池は途上
国の農業の未来を拓くことにもつながる。開発完了してすぐに、インドを訪問し首相とお会
いして、援助プログラムを進めるところまでいきました。でも、その技術を開発してくれた
人たちを前にして、投資銀行からきた役員は「あんたら何でこんなものつくるんだ。こんな
ものつくったら当社が売っている(鉛の)乾電池が売れなくなる。しかも、これ、1本当た
り1円儲かったところで1億本売れて、1億円。こんなものつくるより、鉛の乾電池のコス
トを下げて、ガンガン世界のマーケットシェアを取っていってくれ」と。「『Think Gaia』
だかなんだかヴィジョンを掲げる女子は、クレジット破産したOLが、おしゃれなフレンチ
食べたいわといってるのと同じ」と演説したそうです。トホホですね。たまたま、その人個
人の資質の問題かもしれませんが、金融人には地球の未来とか、子どもたちが喜ぶこととか、
途上国の土壌汚染とか、まったく関係ないんですね。一番大事なのは3ヵ月ごとの四半期ペ
ースで株価がいくら上がって、自分のボーナスがいくら上がるかということ。成長というも
のを数字とお金によってしか考えることができない仕様になっている……。

鈴木 残念ですね。
野中 資本のロジックでいうと、もちろん、赤字を垂れ流しているような経営はいけません。
利益は大切です。でも、リストラをして経費をけずってバランスシート上健全さをつくる。
これは、金勘定しかできない人々の考える事だと思います。どんな会社も、働いているのは
人間です。赤字ならば、なぜ、そうなったのか。原因究明と徹底した決断と対処。そして、
次に、新しい未来への志と、夢。これを共有する仲間意識を、誇りとともに醸成していくこ
と。東北大学の石田秀輝先生(210ページ参照)がよい例だと思いますけど、三洋電機で
研究開発をしている人たちのなかにも、そういうことにやりがいと働き甲斐を感じてくださ
る人たちがいて、ほんとうに素晴らしい会社でした。世界中の人びとが使っていた携帯電話
の電池の70パーセントが三洋製品だったんですよ。



鈴木 なるほど、知りませんでした。
野中 まだいっぱいあるんですよ、世界一の商品。スーパーのフードショーケースもそうだ
し……、寅さんの映画に出てくる「タコ社長」に代表される中小企某工場の思いと愛が、三
洋電機にはいっぱい生きていましたから。だから「エネループ」が生まれたわけです。資本
のロジックだけで考える人たちには、研究間発した人たち、タコ社長たちの思いと愛が読み
取れない。リーマンショック前でしたからね。拝金もいいところでしたよ。もっとよいかた
ちで経営に入ってきてくれたら、三洋電機はあのまま突っ走れたと思います。

鈴木 日本人のものづくりはすぐれているといいますが、それは日本人ならではの緻密さだ
とか、チームワークだとか……。
野中 感謝の気持ち……。

鈴木 それらはまさに日本人の自然観、死生観、もっと言えば宇宙観に根ざすものであり、
地域の風上や資源、食や行事などの伝統的な文化、そしてそこで暮らす人と人とのつながり
によって育まれてきたものだと思います。それらを失うことは日本人の強さを失うこと。そ
ういう視点を持つということはノスタルジーとか懐古趣味ではけっしてなく、世界戦略的に
犬切なことだと思うわけです。
そういう意味で地域のいわゆる場所文化というものがまだ残っている間に、地域にまだ人材
がいる間に、野中さんのいわれるタコ社長の思いと愛とテクノロジーをもう一回つなぎ合わ
せて、磨き直していく。そうすることが、この国を豊かにすることだと思いますし、そうい
う個性豊かな地域がたくさん連なっているというのが本来の姿だし。

野中 さいわいなことに目本にはまだ70パーセントの森林が残っているから、計画で植え
たスギであれ、ヒノキであれ、何であれ、その営みがそこにいてくれる間に……。
鈴木 だから、そこのところ、それが地域を元気にしていくためには、お金がきちんとまわ
っていくという状況が必要ですし、そのためには再生可能子不ルギーが一番のビネスチャン
スだと思うんです。
野中 一番たいせつなことだと思います。
鈴木 だから、再三、申し上げているように、子不ルギー問題というのは子不ルギーだけの
問題ではなくて、この国のありようをどうデザインして、どうつくり直していくか、野中さ
んが最初に言われたように、実に大きなテーマだと思いますし、われわれが腹をくくってチ
ャレンジしていくことが、これから子不ルギーを調達していくであろうアジアにしても、ア
フリカにしても、それに対して新しいモデルというか、やり方を示していくことになるのだ
と思います。そういう意味で、電気が足りるとか、足りないとか、そういう現実があるのは
確かなんですが、もっと、こう、明るい夢のある話としてとらえながらできないかと思うの
です。
野中 おっしやる通りだと思います。



自分を変えることは世の中を変えること

鈴木 そうなると、日本の巨大企業の社長さんの任期の間の株価の問題、つまり、任期中は
株価を維持できればいいという考え方も、変えていかないといけない大きな問題ではないか
という気がします。長い目で見たときに、大小の違いはあるけれども同じ経営者として、ど
うしてそうなってしまうのか、それが理解できない。

地域で生まれて、地域で商売させてもらって、私たち小さな企業の経営者は「今日の売上は
どうか、社員に給料払えるか」と、切った張ったの世界でもがいているわけですが、同時に
意識するかしないかは別として、どこか自分たちのふるさとをどうやって次へつないでいく
のか、絶えずどこかで思っているわけです。ところが、すごく大きな会社になってしまって
上場会社になってしまうと、なぜかそのへんの思いがなくなってしまって、「株主のために
いくら配当を出すか」という考えがすべてに優先していく。

野中 地球を覆っている「お金がすべて」という考え方の典型的な現象の1つといえるでし
ょうね。その根っこはものすごく奥深いところにあって、しかも、その根っこから栄養を吸
ってきた経団連とか、電事連とか……。そこここに、それぞれの人々、わたしもあなたも彼
も彼女も……というふうにつながっている訳ですからね。

自民党が良いとか悪いとかじゃなくて、つくって支えてきたのは、私たち自身だったわけで
す。だから、いまは、「あいつらが悪いから、こんな国になっちゃった」のではなくて、例
えば、自分たちが60年間自民党に票を入れて一党政治をやってきてくれたから、これだけの
高度成長の経済ができて、おかげさまでこういう国になったんだけど、もう、どいてもらい
ましょ。それで、新しい国をつくっていくから、と、替えましたよね。民主党さんにお願い
したら、「なあんだ、変わんないじゃん。というか、もっとひどいじゃん」ということがわ
かった。でも、それは、「そうか。政党に任せておくだけでは駄目なんだ」ということがわ
かった、ということなんですよね。「私たちが自分を変える、自分で自分たちを変えていく
ことで、世の中を変えられるんだ」という気付きにつなげていく時代になったのだと思うの
です。つまり、悌介さんが「私たち、ちっぽけな中小企業が」とおっしゃった、そこが主人
公になる時代が始まったということです。



鈴木 学生時代からずうっといろんなことを試してこられた野中さんだからこそ、おっしゃ
るような基本中の基本にたどりつけたんだと思います。普通なら「言うは易く」で片づけら
れそうな、深いけれども当たり前で単純な結論なんですが、すごく説得力を感じます。そう
いう意味で、いま、おっしゃったように、自分で考えるための条件はたくさんあると思いま
す。
野中 条件がそろいましたね(笑)。
鈴木 結局、于不ルギーを考えるにしても、いままでずっと他人事だったんですよね。他人
事にして任せ切ってきたことが、野中さんが徘々ご説明されたシステムを支えてきたわけで
すね。そろそろ、それに気づかないといけないし、気がついたら「自分にできることって。
なに?」となる。まず、「じゃあ、いろんなことがあるんだからほんとうのことを知ろうよ
」と、私自身を含めて、そういうことだと思うんですよ。

野中 だから、悌介さんがエネ経会議として立ち上がってくれたことが、戦後初めての民主
主義を、もう一度原点からつくり直すことにつながると信じています。民主主義って、本当
にはなかった。他人に任せておいて自分は後で文句をいうだけ、これを民主主義だと思って
いただけ。民主主義というのはみんなでっくり上げていくしかないのに。

                                   この項つづく

    No.172
 【蓄電池篇:トヨタの電池シェア構想】 



❦ サイズの規格・耐久性15年で“乾電池”のような使いやすさ

3月1日(「スマートエネルギーWeek 2018」(2018年2月28~3月2日、東京ビッグサイト
)、トヨタ自動車はクルマや建設機械、家庭用の蓄電システムなどで電池パックを使い回せ
る仕組みをつくる。サイズを規格化して“乾電池”のように取り替えやすくする。電気自動
車(EV)で5~7年、他用途で8~10年、通算15年ほどの活用を想定している。すでに
電池シェアの議論が始まっており、狙いは、電池技術進化に合わせて交換し、生産後でも車
両性能を向上可能にすることにある。例えば、1充電あたりの航続可能距離が2百キロメー
トルの車両を中古で購入した場合に、最新の電池と交換して4百キロメートル走行できるよ
うにする。電池の劣化に対する懸念を払拭できれば中古電気自動車の価値を高める。自動車
メーカー各社や建設機械メーカーなどを巻込み、同電池を社会全体で使っていけるように事
業化するという、いわば、蓄電池の高性能化とゼロ廃棄物化の双方をにらんだ「技術の共通
化」とでも言えそうなもの。勿論、車両開発の効率も高められ、従来までの電気自動車は、
車両に合わせ、電池を専用で開発することが一般的だったが、電池の形状や性能が車種によ
って違うため、各車両ごとに多くの開発工数を必要とし、電池のサイズを規格化しておけば
平行開発が可能となり各自動車メーカーは車両開発に専念しやすく、開発の分業体制がさら
に促進される。

電池サイズは構想段階で、2人乗りの超小型車両コンセプト「TOYOTA Concept-愛i RIDE」
に1個搭載できる大きさで検討を進めている(上下図)。同車両の寸法は全長2500×全幅1300×
全高1500mmで、ホイールベースは1800mm。電池の大きさは全長700×全幅800mmほど。1個
あたりの消費電力は)10~15キロワットほどを想定。乗用車やトラックなどに適用を広げる計
画で、車格が大きくなれば搭載する電池の個数が増える。



Volt  EV car charging drone service / drone / size : 1156 x 1000 x 430(mm) / 2018

【蓄電池篇:地型充電無人機の登場】

今やアマゾンは、グーグル、アップル、フェイスブックと並び称される世界展開する通販の巨大企業に
著しい経済成長を遂る。そのアマゾン社はいち早く、電気自動車用の無人機による充電システム関
連の特許を公開(下図)しているが、その基本形は移動体に飛来着地型(航空母艦のように着艦)の
充電システムであるが、Behance社の電気自動車用充電無人機「Volt 」は、航続距離16~32キロ
メートルでモバイルアプリでレスキュー依頼し、費用も電子マネーで決済する至って簡単にレスキュ
ー依頼できる(上図)、通常の充電ステーションと同様の着地型充電方式をとる。とはいえ、アマゾン
タイプもビヘァーン社のタイプも暴風雨などの異常気象状態でもレスキューできるかは疑問であるが。
面白いニュースに関わりはない。


【下の句トレッキング:人に知られでくるよしもがな】

今夜は、藤原定方の誰にも知られないで逢いたいという思慕の表意の歌を取り上げる。話は
飛ぶ。今朝、腰痛用のコルセットのマジックテープが長く使っていると縮み解けるのでその
ことを彼女に伝えるも時便の自分ものを使えというので、丁寧にお断り申し上げ小学校5年
の家庭課の雑巾づくり以来の針子作業を行い繕い直す。勿論、針の穴に黒糸を通すのはさす
がメガネだけではできず、時計修理士用の作業帽子型拡大鏡を使用する。面倒くさいがこれ
も再訓練のためと割り切るが、彼女の理解の外にあるような顔をしていた(いいんだよ、こ
れで)。

名にし負はば 逢坂山のさねかづら人に知られでくるよしもがな 三条右大臣

逢坂山のさねかずらが、あなたに逢って寝るという意味を暗示しているなら、そのさねかず
らの蔓をくるくる手繰るように他人に知られず、あなたのもとへ来る方法がないものか。

If this kadsura vine from Mt. Osaka carries the secret message that we are to meet and
spend the night together, I will turn it over in my hands in full view of others without them
knowing, wondering how I can get to you. If only it were as easy as tugging on this vine

 ● 今夜の半曲

 『ひまわりの夢』 斉藤和義 歌/作詞/作曲

● 備忘録

本年正月第2弾で特集した人工知能(AI)を使った新しい地震予測の方法(MT法)で解析した
危険度マップを掲載。日本全国を30地区に分割して2月10日までのデータで適用した際の危
険度を示したもの。 危険度は0~5の6段階で表し数字が大きいほど危険度が高いことを意味
する。しばらくは月に1回程度特集にて掲載予定。


JESEA Mar. 14, 2018, Vol. No.11  週刊MEGA予測

※MT法とは、田口玄一博士がマハラノビス距離(MD)を用い、 対象が正常か異常かを判定
する人工知能(AI)の一手法として開発。 田口玄一博士はものづくりの分野で著名な方で、
品質工学の提唱者。日本人として三人目の米国自動車殿堂入りを果たすが、他二人は本田宗
一郎氏と豊田英二氏。

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