第64章 「千思の行は足下より始まる」
安定したものは、保存しやすく、形勢が固定する以前の問題は、処理しやすい。脆弱なものはたやすく
溶けるし、微細なものはたやすく散る。
事件は起こらぬ先に処理し、秩序は乱れぬ先に収拾することがかんじんだ。
ひと抱えある大木も、針先ほどの芽から生え、九階建ての高殿も、基礎がためから着工し、千里の長旅
も、踏み出しは一歩である。
この自然の道理に逆らい、作為と我執にとらわれる者は、かならず失敗する。
聖人は、作為もしなければ、我執も持だない。だから、失敗することがない。だが凡人は、完成まじか
にこぎつけながら、いつもそこで失敗する。最初のうちの慎重さを忘れてしまうのが、その原因である。
聖人は、欲望を捨て去っているから、目先の価値に誘惑されない。知の限界を心得ているから、忘れら
れがちな「道」に順応する。かくて
ある。
第65章 小知に頼れば国政は乱れる
人民を賢くさせず、愚かのままにする。これが昔の聖人のやり方だ。
人民のさかしらが過ぎるから、政治がやりにくくなる。したがって、さかしらに頼って政治をとれば、
国は乱れる。さかしらを捨て無為の政治を行なえば、国は栄える。これが政治の法則である。
この法則をわきまえること、それが底知れぬ徳である。この徳はいかにも深遠で、あたかも背理のごと
く見えるが、それでこそ、自然の大道に合致するのだ。
民の治め難きは、智多きをもってなり 知は両刃の剣である。それは人を生かしもすれば殺しもする。
そして、その知に正しく処することのできるのは、聖人のみであった。したがって、老子の政治学説は、
必然的に愚民政治の形をとるに至る。ただこの場合、愚民政治とはいっても、為政者のほしいままなふ
るまいを可能にするための愚民化ではないことを、承知しておく必要があるだろう。
【下の句トレッキング:雲の上がきかき絶えずして】
北へゆく雁のつばさにことづてよ雲の上がきかき絶えずして 紫式部
11月3日、福井県越前市の第37回菊花マラソンが開催。満開を迎えている「たけふ菊人形」会場近
くの武生西小をスタート、武生三中をゴールとするコースで開かれた。抜けるような秋晴れの下、昨年
よりも244人多い県内外の3756人が歴史豊かな「式部のまち」を駆け抜けたというのだが、「式
部のまち」とあるのでどこのことなのかと調べると武生市のことで、『源氏物語』の作者の紫式部が、
都を離れて越前の国に向かったのが、長徳2年(996年)の夏。父の藤原為時が、春の除目で帝に文
を奉り、大国である越前の国守に任じられ、式部はその父ととも に国府があった現在の福井県武生市に
やってくる。式部が生まれたのは、天延元年(973年)とする説では23歳のころだとかす。
上の一首は、『紫式部集』に収められ、当時たった一人の姉を失い、同様に妹を亡くした友人と「姉妹」
の約束をしてお互いを慰め合っていたところ、式部が越前へ向かうのと同じ時にその友も筑紫へ向かう
こととなり、近況を歌に託したという。情報量の少ない平安時代だからこそ、通う情感の質量の深さを
偲びながら立冬の夜をしばし物思いに耽り、こんな思いも自分にもあっただと遠くなった昭和を重ねる。
”Anytime, anywhere ¥1/kWh Era”
【エネルギー通貨制時代 13】
【エネルギー貯蔵技術事例研究 語Ⅴ】
✪ 蓄電池事業篇:最新全固体二次電池技術
先々回は出口戦略として「独立分散型固体蓄電池」の性能及びコストパラメター――❶エネルギー密度
:250Wkg/kg 超、❷ライフサイクル:5万回超、❸耐用年数:15年以上、❹価格:5万円/kWh
以下と目標設定とした。今回は、国内特許からハイレート特性――高電圧、高容量、高エネルギー密度、
長寿命のレベルがどこにあるを調べた。今回も、電池の種類としてはリチウムイオン、水素ニッケル、
空気-金属、リチウムハイブリッドを対象とし、製造方法から超音波溶着装置をピックアップし(いずれも11月1
日公開)し掲載する。
● パトリック・スン・シオン、リチウムイオン蓄電池産業への参入を支援
亜鉛空気、フロー電池、塩水電池、小型圧縮空気電池の製造の企業技術をもつNantEnerg社を、Los Angeles
Timesを買収したPatrick Soon-Shiong氏が同社の未公開株を過半数獲得(同社は現在までに220百万ドルの
資金を調達していた)。来年度NantEnergy社は、カルフォルニアに1ギガワット時程の生産能力を持つ
製造設備建設を予定、また、海外の製造共同者を探している。また、同社の話によると、生産を百メガ
ワットに拡大すると、量産型リチウムイオン電池が現在達成している価格よりはるかに低い、1キロワ
ット時当たりの蓄電池価格を百ドルとし、安全性と耐久性(高ライフサイクル性)の企業技術をベース
に量産効果で価格逓減を実現する。問題は、リチウムイオンが既に大規模生産され、さらに拡大する傾
向にあるが、そのための資金不足がネックになる。
同社は過去6年間に、9か国に3,000の亜鉛空気電池システムを設置、累計120万サイクルの実績があり、
約56メガワット時の設備容量に相当。遠距離流通信バックアップと遠隔マイクログリッドの海外市
場でコスト競争している。インドネシア工場では国内供給し、マイクログリッドで再生可能ベースで百
%の再エネ電気を得る約110万のコミュニティは、合計20万人にのぼり、ラテンアメリカに約一千基の実
績があるがアフリカと米国市場ではまだ初期段階で、グレート・スモーキー山脈国立公園の前哨場の遠
隔マイクログリッドへの電力供給するDuke Energy社は、同社と提携し、自身もカリフォルニア州で電気
通信アプリケーションを供給。また、世界市場規模70億ドルになる遠距離通信バックアップ蓄電池用
途では、十分な成長が見込まれ、22年には110億ドルと予想されている。また、亜鉛空気電池のマ
イクログリッドは、遠隔地に電力供給用ディーゼルや通信バックアップ用鉛蓄電池に対して優れており、
これらは大規模電力系統への参入とは別問題であると話す。
出典:With 3,000 Systems and Money to Scale, Will NantEnergy Make Long-Duration Storage Profitable? |
Greentech Media/Nov.1, 2018
※ それにしても、「❹価格:5万円/kWh」の1/5の約1万円相当/kWhとは恐れいりました。
Oct. 31, 2018
● NEDOドイツで大規模ハイブリッド蓄電池システムを完成、11月に実証運転開始
10月31日、NEDOと日立化成(株)、(株)日立パワーソリューションズ、日本ガイシ(株)は、ド
イツのニーダーザクセン州ファーレル市で大規模ハイブリッド蓄電池システムを完成させ、2018年11月1
日より実証運転を開始。特性の異なる2種類の蓄電池(リチウムイオン電池とナトリウム硫黄電池、合計
容量11.5MW/22.5MWh)から構成。高出力・大容量で充電・放電が可能なシステムとすることで、電力需
給バランスの調整をより経済的に実現し、再生可能エネルギーの大量導入が進んだ電力系統の安定化に
貢献することを目指す。
【関連特許事例:最新ハイレート特性とローコスト技術】
☑ 特開22018-133299 電極体の製造方法 トヨタ自動車株式会社
鍵語:電極体の製造方法
【概要】
二次電池その他の各種電池では一般的に,正負の電極体を積層した電極積層体を発電要素として使用す
る。電極積層体を構成する個々の電極体は,集電箔に電極合材層を積層したシート状のものである。ま
た電極積層体では,正極電極体と負極電極体との直接の接触を防ぐセパレータもともに積層される。
下図のように、集電箔上に電極合材層が形成されたものである電極板11における電極合材層上に 耐熱
層を形成する液状耐熱物を塗工する塗工工程(1)と,塗工工程(1)で塗工された液状耐熱物が乾燥
する前に,塗工された液状耐熱物上に多孔質のセパレータ層10を配置するセパレータ層配置工程(2)
とを行う。これにより,集電箔と電極合材層と耐熱層とセパレータ層とがこの順に積層されたものであ
る電極体6を製造する。耐熱層とセパレータ層とを一体的に含むとともに,これらの密着性に優れた電
極体を製造できる,電極体の製造方法を提供。
【符号の説明】
1 塗工部 2 貼り合わせ部 3 乾燥部 5 セパレータ供給部 6 電極体 7 集電箔 8 電
極合材層 9 耐熱層 10 セパレータ層
【図1】実施の形態に係る電極体の製造方法の実施設備の概要を示す正面図
【図2】実施の形態の製造方法で製造される電極体の断面図
☑ 特開2018-107007 リチウム二次電池用正極電極
【概要】
5V級リチウムマンガン含有複合酸化物を正極活物質として使用した正極電極に関し、ガス発生を抑制
でき、且つ、サイクル特性を向上させることができ、ハイレート特性をも高めることができる、新たな
正極電極の提供。極活物質の比表面積に対する前記導電材の比表面積の比率が10以上150未満であ
り、且つ、正極電極合剤層の厚さ方向断面において、前記正極活物質の総面積に対する前記導電材の総
面積の比率が0.47以上0.66未満であることを特徴とする正極電極を提案する。
☑ 特開☑ 特開2018-167193 両面塗工装置および塗膜形成システム
鍵語:化学電池製造/両面塗工/塗工ギャップ
【概要】
リチウムイオン電池などの化学電池の製造で、金属箔等の基材をロールトゥロール方式にて搬送し基材
表面に電極材料を塗工し、電極多層構造するための裏両面塗工装置は、片面づつ塗工/乾燥処理を行う
方法ではコストが増大する。このため、乾燥前に基材両面――基材を挟み表面側と裏面側とに相対向す
るようにダイを設け、双方のダイから均一に塗工液を同時に吐出吐出する両面塗工装置が提案されてい
るが、基材のくせ、基材搬送時の振動、搬送張力、吐出圧などの要因で塗工不良やムラが生じる。
このため、下図2のごとく、 基材の搬送方向に対して上流側に位置し、基材と対向する上流側対向面を
有する上流側リップと、基材の搬送方向に対して下流側に位置し、基材と対向する下流側対向面を有す
る下流側リップとを備える一対の塗工ノズルにおいて、それぞれの下流側リップは、下流側対向面から
塗工液流路に連通する切り欠き部を有し、切り欠き部が吐出口の一部を構成することを特徴とする基材
の両面に同時に塗工液を塗工する場合でも、塗工液を均一塗工できる両面塗工装置及び塗工成システム
の提供。
Nov. 1, 2018
【符号の説明】
1 塗膜形成システム 5 基材 10 両面塗工装置 20 第1塗工ノズル 21、41 吐出口
22 第1上流側リップ 23 第1下流側リップ 24 第1塗工液流路 26、46 切り欠き部
30 第1送液機構 40 第2塗工ノズル 42 第2上流側リップ 43 第2下流側リップ
44 第2塗工液流路 50 第2送液機構 60 搬送機構 61 巻き出しローラ(第1ローラ)
62 巻き取りローラ(第2ローラ) 80 乾燥部
【図2】塗工ノズルの断面を示す模式図
【図6】基材の波板状変形を示す模式図
【図7】比較例に係る塗工ノズルを用いた場合の基材の波板状変形によって発生する筋状の塗工不良を
示す模式図
【図8】比較例に係る塗工ノズルを用いた場合の筋状の塗工不良が発生するメカニズムを模式的に示す図
【図9】図2の吐出口近傍の拡大図である。
【図10】塗工ノズルを用いた場合の基材の波板状変形が押し戻されるメカニズムを模式的に示す図
【鳥の目線で自然感じて 琵琶湖博物館の樹冠トレイル】
『若い頃の加藤和彦のように』 唄 坂崎幸之助 北山修 Music Writer:加藤和彦 北山修