およそ物を観るに、疑いありて、中心定まらずば、外物清からず / 「解弊」
※ 心の機能を知らなければ、自分の心を正しく勣かすことはできない。
迷いを生じないためには、心のはたらを知るのが先決だ。
「解蔽」は、蔽いをとりさる、心を蔽っているものをとりされという。
※ 荀子は、人間の認識能力が外在的事物と結びついたとき、はじめて認識は
可能になるのだと指摘した。この点は、すでに『墨子』が指摘したことだ。
けれども、人間の認識能力というのが感覚器官と思惟器官であることは、
かれがはじめて明碩にしたことである。かれは、認識する主観と認識され
る客観とを、明確に区別していた。
感性認識と理性認識とのちがいに着目して、理性認識の優越性を示してい
るのも、すぐれた見識である。だからといって、感覚のはたらきを軽んじ
たわけではなく、その軍要件は十分わきまえていた。なぜなら、心が事物
を見分けるのは、感覚器官がとらえる事物の印象にもとづくからだと。
※ 「虚心/集中/静止」の3つを守れば、どんなことがらでも理解できる。
● ペロブスカイト太陽電池の耐熱性を世界で初めて確認
12月22日、兵庫県立大の伊藤省吾准教授らの研究グループは、次世代の薄型太陽電池として注目
される「ペロブスカイト太陽電池」について、弱点とされていた熱の耐久性を大幅に上げる研究成果
を公表。この太陽電池は鉱石の結晶構造を利用。現在、メガソーラーや住宅用ソーラーパネルで使わ
れる「結晶シリコン太陽電池」よりも製造が簡単でコストも低く、薄いシート状で利用できることか
ら応用性が高いと注目されている。ペロブスカイト太陽電池が熱で劣化する要因を取り除き、実験を
重ねた結果、100℃の熱を加えても2600時間の耐久性を世界で初めて実証する。伊藤准教授は
光、熱と水分(湿度・湿気)への弱さが最大の難点だったが、ハードルの一つを超える成果であり、
原子力の発電コストを大幅に下回る発電技術として、実用化が視野に入ってきたと話す。
伊藤省吾准教授は、酸化チタン系色素増感型太陽電池の研究開発の先駆者であり、今年で凡そ10年
の歳月が経過している。わたし(たち)が考える実用化にたどり着くための課題は、①安定性、②耐
久性(熱耐久性・ライフサイクル)、③安全性(鉛などのハイブリッド型太陽電池で使用される重金
の毒性)などある。③の毒性については、金属化合物半導体系やシリコン半導体系も同様で、リサイ
クル回収の義務化などを視野に入れコスト計算しておく必要がある。また、色素増感型太陽電池は、
カラフル化の意匠性のアドバンテージポイントの取り扱いをどうするのかの課題が残る。ここで、シ
リコン無機系半導体製造に関わってきた経験から、彼が指摘している「光」「熱」「水」の3つの弱
点の他に、「不純物(コンタミ)」については触れられていない点についてここでは保留しておく。
尚、「光」と「二酸化チタン」の背反二律は、有機化合物系材料の「劣化」と「変換効率・起電量」
として現れる。
A tandem device consisting of two perovskite cells with a combined efficiency of 20.3 percent.
● ペロブスカイト太陽電池の開発経緯 Ⅰ
ここで、光、水分(湿度)および 二酸化チタン:TiO2 の3元要素が同時に存在するため、劣化が加
速されることが判明している有機無機ハイブリッド CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶太陽電池の開
発の足取りを振り返り、17年以降の展開を考えてみる(出典:「100℃でのペロブスカイト太陽
電池の耐久性確認」伊藤省吾兵庫県立大学准教授)。
尚、ペロブスカイトとは、二百年前にロシア人科学者のペロブスキーが発見した結晶構造で、立方晶
を基本とし、ABX3 の3元系元素組成比率をとる(下図)。一般的なペロブスカイト結晶は、 A サ
イトに 2価金属カチオン、B サイトに 4価金属カチオン、そして O サイトに 2価酸素イオンから
なる酸化物結晶(代表的なものとしては、CaTiO3 および BaTiO3)。それに対し、1価のアルカリカ
チオン(Cs+、K+)、 2価鉛イオン(Pb2+)および1価のハロゲンアニオン(Cl-、Br-、I-) からなるペロ
ブスカイト結晶が発見され、さらに、1価カチオンとして有機分子 イオンであるメチルアンモニウム
カチオン(CH3NH3+)を使用した有機無機ハイブリッド型のペロブスカイト結晶が発見されてきた。
当初は正孔輸送材料としてヨウ素電 解液が使用され、効率はわずか 3.8%%で、その3年後に、宮
坂教授とスネイス教授(オックス フォード大)の共同研究、およびパク教授(成功館大)とグレッツ
エル教授(EPFL)の共同研究が同時に立ち上がり、10%前後の効率を持つペロブスカイト太陽電池
がほぼ同時期に報告されている。開発の大きなポイントとして、ヨウ素電解液を使用せずに、有機の
ホール輸送材である N2,N2,N2’,N2’,N7,N7,N7’,N7’-octakis(4-methoxyphenyl)-9,9’-spirobi[9H-fluorene]-
2,2’,7,7’-tetramine (spiro-OMeTAD) を使用。セルの構造は、宮坂教授とスネイス教授の共同研究による
ものは、<glass/F-doped tin oxide (FTO)/flat TiO2/ porous Al2O3+CH3NH3PbI3/ spiro-OMeTAD / Au>であり、
後者のパク教授とグレ ッツエル教授の共同研究のものは<glass/F-doped tin oxide (FTO)/flat TiO2/ porous
TiO2+CH3NH3PbI3/ spiro-OMeTAD / Au>である(下図)。
その後、ペロブスカイト太陽電池の開発は進み、4年の間に効率は 20%にまで至るように なる。
第3機関に認証されたデータとしての最高値は、ソック教授(ウルサン大学)で、その光電特性は、
開放起電力 (Voc) 1.11 V、短絡光電流密度 (Jsc) 25.0 mA cm-2、曲 率因子 (FF) 0.817、および変換効
率 (PCE) 22.6%。また、非認証データとしては、イム教授(キュンヒー大学)で、開放起電力 (
Voc) 1.28 V、短絡光電流密度 (Jsc) 23.2 mA cm-2、曲率因子 (FF) 0.81、および変換効率 (PCE)24.1
%。変換効率限界値は、25~26%程度と推測されている。
同氏はペロブスカイト太陽電池は、現在のシリコン太陽電池と同等までの変換効率を得ることが出来
たと主張する。その実用化に向けた次のステップとしては、①製造コスト低減と、②材料の無毒化(
非鉛ペロブスカイト太陽電池の開発)、③および、耐久性の向上の3つとし、①の製造コストは、非
真空プロセスであり、各原材料も非常に低価格であることから、現行市場で最も低価格な太陽電池で
あるカ ドミニウムテルライド太陽電池の半分近くの超低価格になる事を、グリーン教授(UNWS)が
学会等で報告。また、ペロブスカイト太陽電池の非鉛化には、いずれも芳しい成果は得られていない
ものの、鉛に関して、RoHS指令 による非常に厳しい制限もある。環境には(人工・自然環境も含め
て)非常 に多くの鉛にあふれており、現に人類の血中にも常時鉛が存在することから、最終的には
鉛毒性の問題は今後の社会的議論にゆだねられるものと考えられるとし、③の最後の科学的な検討項
目は「耐久性」だと結論している。
しかし、コスト的に半導体製造システムを模倣した工程を持つ無機(結晶・非結晶)シリコン系ある
いは、無機化合物系など比較して、量産効果により1/10はおろか1/100の価格達成も可能だ
ろうと思われるが、結晶シリコンの純度が半導体ではイレブン・ナイ、太陽電池でナイン・ナインと
明確なグレード規定あるように、コンタミ(不純物)のグレードを規定しない限り、製造プロセスも
投入材料費も、信頼性、堅牢性、耐久性(ライフサイクル)などの主要品質も決まらない。現在、ヘ
テロ接合有機系太陽電池製造工程へのコンタミの影響が問題視されいることや、まして、鉛の環境拡
散をミネラル(必須元素)扱いで安全性を論じることは、原発の放射性汚染物質規制値議論と同じに
なり、この問題は実用・量産段階で「製造責任」(PL)として問題解決しておかなければならない
だろう。
● 耐久性問題のアプローチ
次に、CH3NH3PbI3 を基本構造とするペロブスカイト太陽電池は水と反応してPbI2 になっ てしまう
ことが知られ、特に、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶を構成するメチルアンモニウムイオン( CH3
NH3+ )は水と共に以下の反応(式1)を起こし、その平衡定数は Ka = [CH3NH2][H3O +]/[CH3NH3+
] = 2.2 x 10-11 ということまで有機化学の教科書にまで記載されている。
CH3NH3++H2O ⇄ CH3NH2+ H3O+ (式 1)
なお、ここで形成されるメチルアンモニウム(CH3NH2)とヨウ化水素(HI)は共に沸点がそれぞれ
-6℃および -34℃であり、常温では気体である。つまり、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は
以下 の反応(式2)で簡単に分解してしまうことを示す。
CH3NH3PbI3 ⇄ PbI2 + CH3NH2↑ + HI↑ (式 2)
実際に、封止をしていない CH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池は、光照射下では一晩もその光電
変換特性を維持することが出来ない。その光照射下での脆弱さを、同氏のグループは初めて論文とし
て示す。わずか12 時間の光照射で、変換効率はゼロ%にまで減少し、色合いも初期の黒色 から、
PbI2 の黄色に変化した。つまり、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は光照射により分解して PbI2
に変化し、太陽電池として不活性化する。
その一方、数百時間もの変換効率維持を示すペロブスカイト太陽電池の論文が数多く報告され、
CH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池は非常に耐久性が良いように見られてきたが、論文 を精査す
ると、それらの耐久性の良い状態は、「封止無しでは暗所保持」もしくは「封止をすれば光照射下保
持」で、同グループが別の実験を行ったところ、「TiO2 が無ければ、 封止無しでも光照射下で耐久
性有り」ということが判明。つまり、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は、光と空気と TiO2 の3要
素が同時に存在するときに不安定化することが判明。つまり、3つの要素うちのどれか2つであれば、
CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶は即時分解しない。
また、ハック教授(ロンドン帝国大学)は、酸素と光と TiO2 の共存下では、その CH3NH3PbI3 ペ
ロブスカイト結晶は劣化しないことを光化学的に解明し、CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶の空気
との劣化は、空気内の酸素は問題無く、湿度が問題であることを証明。さらに、キイ教授(沖縄先端
科学技術大)は、ペロブスカイト太陽電池に通常使用される有機ホール輸送材料(spiro-OMeTAD)
は湿度の進入を効果的に防ぐことが出来、太陽電池作製方法の最適化により、spiro-OMeTAD 層のピ
ンホールを減らすことで耐久性を向上させることが出来ることを報告。
CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶中のイオン拡散が、光照射により活性化し、さらに、結晶 の微小
欠陥があると、ヨウ素]やメチルアンモニウムイオンが結晶内を拡散することがウェル シュ教授(バ
ス大)およびファン教授(ネブラスカ・リンカーン大学)から報告され た。また、TiO2 の表面と
CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶およびそこから出来る PbI2 とは接着力が弱く、さらにその材料間
の表面は乖離することが瀬川教授(東大)、チェン教授(モナシ大)、および同氏(兵県立大)より
報告。また、特に TiO2 表面には 水分子が吸着しやすいことは良く知られ、ドライルームの除湿ロ
ータ材料に使用さ れているほどであり、TiO2 と CH3NH3PbI3 ペロブスカイト結晶の間が乖離して
空間が出来た場合には、セル外部から進入した水分子が優先して吸着すると考える。よって、考えら
れるCH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池の分解スキームとしては、
①光照射により、CH3NH3PbI3 ペロブスカイトから TiO2 に電子が移動する
②TiO2 と CH3NH3PbI3 ペロブスカイトの電位差をドライビングフォースとしてヨウ素イオン(I-)
が背面電極に、メチルアンモニウムイオン(CH3NH3+)が TiO2 電極側に移動する
③TiO2 の表面に吸着した水分子とメチルアンモニウムイオン(CH3NH3+)が式1の反応により、メ
チルアンモニウム(CH3NH2)ガスが発生し、その結果、式2のように PbI2が発生して太陽電池特
性が劣化する。
以上のスキームから、TiO2 と湿度と光の3つのヨウ素が共存することで、CH3NH3PbI3 ペロブスカ
イト結晶の分解が促進されることが予測されるとし、同氏のグループは、TiO2 の表面を Sb2S3 でコ
ートすることで、封止しない CH3NH3PbI3 ペロブスカイト太陽電池の寿命を向上させる事を見出す
が、これ は TiO2 の表面で発生する水分子と CH3NH3PbI3 ペロブスカイトとの反応(式1、式2)
を防いだことによるものと考える。
以上、出典の成果報告書を看てきたが、この続きは次回とする。
この項つづく、
【今宵もほっとウイスキーとひとり鍋】
年の瀬を迎え、ことしの精神はと考えるとやはり「整理」だろうなと納得するところあり。書棚や部
屋だけでなく家や家族関係あるいは社会との繋がりや仕事に不要なものを切り捨る覚悟と言ったもの。
取り敢えず食の領域で、個食を徹底しよう。つまり、自炊を楽しもうと。そこで、今夜は、インフル
エンザ、肺炎、癌予防に効果があるという①アリシン:ビタミンB1を活性化させ疲れや肩こりなど
の症状改善や血栓、糖尿病の予防、②フルクタン:インフルエンザウイルスの侵入・増加を抑え、抵
抗力をアップする長ネギをたっぷりに鮭のアラの鍋でタンパク、ビタミン、コラーゲン、DHA、カ
ルシウムを摂取。朝食に、長ネギウェルシュ・レア・ビットを常食するできるよう準備しよう。
材 料:鮭のアラ 100グラム、長ネギ 1本、生姜 1片、水 400ミリリットル
作り方:①アラを熱湯に入れ、色が変わったらすぐに引き上げ、水にとる。②長ネギは斜め一口大に
切る。③鍋に水、アラを入れてひと煮立させ、長ネギと生姜を加えて食べる(好みで、醤油、
白胡麻を加える)。
材 料:無塩バター 大さじ1杯、長ネギ 半本(スライス)、小麦粉、大さじ 1/2杯、牛乳
約40ミリリットル、ビール 約40ミリリットル、マスタード 小さじ1/4杯、赤唐辛
子 ウスターソース、コンテチーズ/グリュイエールチーズの裁断 1/4カップ、卵黄
1/4個、塩 少々、新鮮パセリの裁断
作り方:①小さなフライパンを中低温でバターを溶かす。長ネギと塩を加え柔らかくなるまで、かき
混ぜながらゆっくりと約7~10分加熱する。②中火に加熱した小鍋にバターを溶かし、小
麦粉をかき混ぜながら約1分間加熱。牛乳を注ぎ混ぜ合わせ、そこにマスタード、赤唐辛子
ウスターソース、チーズ、卵黄を加え混ぜる。ビールを注ぎ、塩を加える。③トーストした
パンに溶かしネギをスプーンで分けのせ、イタリアンパセリをトッピングすすれば完成。